説明

セキュリティーゲート

【課題】多様な用途・適用条件に対応し構成の変更が可能なセキュリティーゲートを提供する。
【解決手段】セキュリティーゲート1は、開口3が形成された円筒状の周壁筐体部2の後端開放部に中間筐体部を着脱可能に連通して設け、装置本体の長さや経路の形状を決める。例えば周壁筐体部2を1個設けてこれに1個の中間筐体部を連結して扉が一つの簡易な構成にもでき、また中間筐体部の両側に一対の周壁筐体部2を設ける標準的な構成ともでき、さらにこの標準的な構成において中間筐体部の長さ(経路の距離)や屈曲の状態を適宜に定めたものを採用すれば、セキュリティーゲートの多様な用途・適用条件に応じたフレキシブルな構成の変更が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに区画されるべき2つのエリアの境界に設置されて両エリア間の人の入退出を管理するセキュリティーゲートに関する。例えば、本発明のセキュリティーゲートは、ビルの出入り口として設けられ、又はコンサート会場の内外を区画するゲート部や飛行場の一般エリアと搭乗エリアとを区画する境界部分等に設けられ、内外の人の出入りを管理する装置として利用される。特に本発明は、かかる用途のセキュリティーゲートにおいて、配置される前記境界付近の状況(例えば本セキュリティーゲートが設置される建物の形状等)に合わせて配置可能であり、また入退出管理における単位時間当たりの通過可能人数を任意に設定するためにゲート内の経路の長さを任意に設定することができるフレキシブルで臨機応変な構成の変更が可能なセキュリティーゲートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに区画されるべき第1のエリアと第2のエリアとの境界にセキュリティーゲートを設置し、両エリア間の人の入退出を管理する場合には、セキュリティーゲートを設置する場所の状況に合わせて入退室方向を定めたり、時間当たりの通過可能人数を設定するためにゲート内で入り口から出口まで移動する距離を任意に定めたい場合がある。すなわち、ゲート内には一人しか入れないので、入り口から出口まで移動する距離が長くて一人が入ってから出るまでにかかる時間が長ければ、単位時間当たりの通過可能人数は少なくなる。さらに、セキュリティーゲートの用途によっては、個人認証の確実性を十分に高いものとする必要が生じるため、認証手段(個人識別手段)をゲート内に複数設けたい場合もあるが、そのような場合には複数の個人識別手段を設置するスペースのためにゲート内を当然その分だけ広くしなければならず、セキュリティーゲート全体としての寸法は大きくならざるを得ない。
【0003】
このように、セキュリティーゲートの用途、適用条件等は他種多様であるから、規定の寸法・使用で製造しても、そのままでは使用しにくい場合がある。そこで、フレキシブルで臨機応変な構成の変更が可能なセキュリティーゲートが求められるところであるが、従来はそのような用途等に応じて組み換え可能な構成のセキュリティーゲートは存在しなかった。
【0004】
セキュリティーゲートに関連する技術としては、本願出願人は、特許文献1及び2に記載のものを把握している。特許文献1は、円筒状のエレベータかごに対して乗場ドアを縦型円弧面板状としてエレベータかごの中心に回転軸を設けて回転方向に開閉可能に設けた円形ドア装置に関するものであり、乗場ドアはモータの回転駆動によって往復移動する。特許文献2は、エレベータドアの制御装置に係るものであり、安全性向上のために、ドアのトルク制限値をいくつか設けておき、開閉にトルクを要する位置では動特性重視し、例えば扉閉動作時には高いトルクで閉動作し、扉が所定位置まで閉まるとトルクを低くして挟み込みの危険を防止するものである。
【特許文献1】特開平3−26685号公報
【特許文献2】特開平7−97167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の円形のドア装置はかごドアと乗り場ドアの2つのドアによって円筒形のかご室の開閉を行うものであり、特許文献2に記載の制御装置は扉の位置に応じて駆動トルクを調整するというものであり、いずれも、用途、適用条件等に応じてフレキシブルに構成を変更できるセキュリティーゲートに関連するものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、セキュリティーゲートの多様な用途、適用条件等に臨機応変に対応でき、フレキシブルな構成の変更が可能なセキュリティーゲートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載されたセキュリティーゲート1は、互いに区画されるべき第1のエリアXと第2のエリアYとの境界に設置されて両エリア間の入退出を管理するセキュリティーゲートにおいて、
開口3が形成された周壁筐体部2と、該周壁筐体部2の後端開放部に着脱可能に連通して設けられた中間筐体部20,20b,20cとによって構成され、前記中間筐体部20,20b,20cの選択によって入退室方向についての経路長さが設定自在となるように構成されたゲート筐体4,4a,4b,4cと、
前記開口3を閉止する少なくとも1枚の扉5と、
前記周壁筐体部2に設けられて前記扉5を往復して開閉する駆動手段6と、
前記駆動手段6を制御する制御手段と、
前記中間筐体部20,20b,20cの内面に設けられ、前記制御手段によって前記扉5の開閉を制御して個人の入退室管理を行うべく個人認証情報を前記制御手段に入力する入力パネル21,21b,21cと、
を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載されたセキュリティーゲート1は、請求項1記載のセキュリティーゲートにおいて、
前記周壁筐体部2は、略円筒形状をなして構成され、前記扉5は、前記開口3を閉止しうる大きさの円筒周面形状であって、前記周壁筐体部2の周壁に沿って回動自在となるように前記周壁筐体部2に軸支されることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載されたセキュリティーゲート1,1a,1bは、請求項1または2記載のセキュリティーゲートにおいて、
前記ゲート筐体4,4a,4bが、実質的に直方体状で経路が直線状である前記中間筐体部20,20bの両側に一対の前記周壁筐体部2が着脱可能に連通して取り付けらることにより、入退室方向Zが実質的に直線状となるように構成されたことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載されたセキュリティーゲート1cは、請求項1または2記載のセキュリティーゲートにおいて、
前記ゲート筐体4cが、実質的に屈曲しており経路が曲線状である前記中間筐体部20cの両側に一対の前記周壁筐体部2が着脱可能に連通して取り付けらることにより、入退室方向Zが実質的に屈曲しているように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセキュリティーゲート1の構造によれば、開口3が形成された周壁筐体部2を第1のユニットとし、該周壁筐体部2の後端開放部に着脱可能に連通して設けられる中間筐体部20,20b,20cを第2ユニットとし、これら各ユニットの組み合わせによって装置本体となるゲート筐体4,4a,4b,4c全体の長さや経路の形状が決まるので、例えば周壁筐体部2を1個設けてこれに1個の中間筐体部20を連結して扉が一つの簡易な構成とすることもできるし、中間筐体部20,20b,20cの両側に一対の周壁筐体部2を設ける標準的な構成とすることもできるし、さらにこの標準的な構成においても中間筐体部の長さ(経路の距離)や屈曲の状態を適宜に定めたものを採用すれば、セキュリティーゲートの多様な用途、適用条件等に臨機応変に対応してフレキンブルな構成の変更が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。
(1)第1の例
図1は第1の例のセキュリティーゲート1の正面図、図2は同平面図、図3は同左側面図、図4は図3におけるA矢視断面図、図5は図1におけるB矢視方向における内部構造を示す拡大図、図6は図4において中間部を省略した状態を示す断面図、図7乃至図12は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作を示す動作図である。
【0013】
図1乃至図3に示すように、第1の例のセキュリティーゲート1は、互いに区画されるべき第1のエリアXと第2のエリアYとの境界に設置されて両エリア間の人の入退出を管理する装置であって、縦2分割にした円筒状の周壁筐体部2,2の間に矩形の中間筐体部20を挟んで着脱可能に一体化したユニット式のゲート筐体4を本体としている。該ゲート筐体4の2つの半円筒状の周壁筐体部2,2には、それぞれ全高にわたって開口3が形成されている。各開口3には、該開口3を閉止しうる大きさの円筒周面形状であって、ゲート筐体4の周壁筐体部2に沿って互いに反対方向に移動自在とされた一対の扉5,5が設けられている。第1の例の扉5は透明な樹脂製である。これら2つの周壁筐体部2,2は扉5及びその駆動機構も含めて同一の構造であり、本例ではセキュリティーゲート1の入退室方向Z(図2及び図5に図示)に直交するゲート筐体4の中心線C1(図2に図示)に沿って対称な形状・配置となっているので、以後ゲート筐体4の一方の周壁筐体部2について説明する。
なお、2つの半円筒状の周壁筐体部2,2の間にある矩形の中間筐体部20の内面側には、図1に示すように、本セキュリティーゲート1において入退室を管理するための個人認証情報入力手段が設けられた入力パネル21が設けられている。
【0014】
図4及び図5に示すように、前記周壁筐体部2の上壁10には、一対の扇形の扉取付板9,9が、セキュリティーゲート1の入退室方向Zに関して対称な配置となるように、その扇形の中央部分において支持軸22を介して水平面内で回動自在に設けられている。各扉取付板9の前側の縁部は、前記周壁筐体部2に沿う平面視円形状となっており、その下面に設けられた固定部23には前記扉5の上部が差し込まれて固定・連結され、扉5は周壁筐体部2に沿って扉取付板9から吊り下げられた状態にある。
【0015】
図4及び図6に示すように、前記扉5の下部は、前記周壁筐体部2の床板24の下に設けられた案内手段11によって前記周壁筐体部2に沿って移動可能となるように案内されている。すなわち、扉5の下部は床板24に周状に形成された溝25に沿って挿入されており、扉5の下部には床板24の下方において連結板26を介して摺動手段としてのベアリング27が連結されており、該ベアリング27は床板24の下に周状に配置された案内レール28に摺動可能に係合している。このように扉5は床板24に設けられた溝25から挿入され、床板24の下部に設けられた案内手段11で案内されているので、扉5の上部に力を加えて開閉を行う構造ではあるが、扉5の下部は全く自由というものではなく、侵入者が扉5の下部の隙間から細工をする余地はない。
【0016】
図5に示すように、前記周壁筐体部2の上壁10の上には、前記扉取付板9を回動するための駆動手段6が設けられている。第1の例の駆動手段6は制御が容易で騒音の少ない直線往復運動を行う電動アクチュエータであり、スライダ7の直線運動方向がセキュリティーゲート1の入退室方向Zと一致するようにゲート筐体4に配置固定されている。
【0017】
駆動手段6のスライダ7には、セキュリティーゲート1の入退室方向Zに直交するように動作リンクブラケット30の中央部が連結されている。そして、動作リンクブラケット30の両端部は、一対の扉取付板9,9にリンク機構8,8を介して連結されており、駆動手段6のスライダ7が直線運動すれば、リンク機構8,8によって該直線運動が回転運動に変換され、一対の扉取付板9,9はセキュリティーゲート1の入退室方向Zに平行な中心軸について対称な揺動運動を行い、これによって一対の扉5,5がゲート筐体4の開口3を開閉することができるように構成されている。
【0018】
なお、前記リンク機構8には長さを調節できるターンバックルが設けられており、装置各部の組み立て上のあそび等に応じて動作リンクブラケット30と扉取付板9の間隔を微妙に調整することができるので、一対の扉5,5の閉止状態を隙間なく精密に調整することが可能である。
【0019】
以上説明した第1の例のセキュリティーゲート1の駆動手段6及び扉5の開閉動作を図7〜図12を参照して説明する。
図7は全閉状態を示す。ここで駆動手段6のスライダ7は扉5に最も接近した最前位置にあり、一対の扉5,5は隙間なく閉止されている。図8〜図11に示すように、駆動手段6が駆動されてスライダ7が扉5から離れていく。スライダ7の直線運動がリンク機構8によって扉取付板9の回動に変換され、これによって閉止状態にあった一対の扉5,5は、ゲート筐体4の周壁筐体部2に沿って対称な動作で外方に向けて移動していく。図12は全開状態を示す。ここで駆動手段6のスライダ7は扉5から最も離れた最奥位置にあり、一対の扉5,5の間隔は回動角度で100°となっている。
【0020】
第1の例のセキュリティーゲート1は、扉5の開閉を管理する制御手段を有している。制御手段によるセキュリティーゲート1における入退室管理は次のように行われる。このセキュリティーゲート1が管理している一方のエリアXから他方のエリアYに行こうとする人は、必ずこのセキュリティーゲート1を一人ずつ正式に通過しなければならず、そのためには一方の周壁筐体部2から入室後、中央の中間筐体部20に進み、パスワード、その他の個人認証情報を、前記入力パネル21から入力しなければならない。
【0021】
まず、人が一方の周壁筐体部2の扉5の外に接近すると、図6に示すセンサ31が当該人物を検出し、又は当該人物がゲート筐体4の外に設けられたスイッチ32を押すことにより、その扉5が開かれる。その人物は一方の周壁筐体部2の内部に入ることができるが、周壁筐体部2の内部は狭いので通常は1人しか入ることができず、一人ずつセキュリティ確認をして通過を許可するか否か判断するようになっている。仮に2人以上が入室したとしても(伴連れと呼ぶ)、本例では図6に示すように、ゲート筐体4を構成する各ユニットごとに、すなわち2つの半円筒状の周壁筐体部2,2の部分及びそれらの間にある矩形の中間筐体部20ごとに、それぞれの床板の下にロードセル33が設けられており、内部に入った者の重量を測定できるようになっている。そして、入室後の重量測定から2人以上が入室したと制御手段が判断した場合には、個人認証情報の入力の有無に関わらず、反対側の周壁筐体部2の扉5をロックして他方エリアYへの通過を許さず、また必要に応じて入り口側の周壁筐体部2の扉5もロックして最初のエリアXに戻れないようにして所定部署に通報するなどの措置をとる。
【0022】
入室が適正であり、その人物が室内において適正な手順で個人の認証情報を入力パネル21から制御手段に入力すれば、入り口側の周壁筐体部2の扉5がロックされると同時に出口側の周壁筐体部2の扉5が開放され、セキュリティ確認された当該人物は希望の反対側のエリアYに行くことができる。
【0023】
以上のように、第1の例のセキュリティーゲート1は、それぞれ扉5を有する一対の周壁筐体部2,2と、これらの間に設けられた1つの中間筐体部20をユニットとして組み合わされた構成であって、一定の条件下において2つの扉の開閉で人の通行を制限するものであるから、扉5の開閉はなるべく速やかに行う必要があるが、入退室に際して扉5に挟まれる等の危険があってはならないことはもちろんである。また、必要な場合には扉5をロックしてセキュリティチェックをパスできなかった人物が扉5をこじ開けて不許可で反対側エリアYに侵入することを防がなければならない。
【0024】
そこで、第1の例のセキュリティーゲート1の制御手段は、上述したセキュリティチェックに伴い扉5を開閉する際には、次のような制御動作を行うこととされている。
第1の例の制御手段は、前記駆動手段6のトルクを任意に設定して駆動することにより前記扉5の開閉を行うことができ、また設定したトルク以上の過負荷が閉止時に扉5に加わった場合には前記駆動手段6に異常信号を出力してその駆動を停止し、必要に応じて駆動手段6を反対方向に駆動することができる。反対方向に移動させるのは、異常信号が挟み込みによるものと判断し、これを解除するためである。
【0025】
さらに前記制御手段は、前記駆動手段6を駆動して前記扉5の閉止動作を行う際に、全開位置と完全閉止位置との間に、完全閉止位置の直前である直前位置を設けて、該直前位置を境に駆動手段6の駆動態様を変更している。この直前位置は一対の扉5,5が接触して完全に閉止する手前の例えば1mm程度の微小な寸法位置である。この寸法、すなわち直前位置と完全閉止位置の間隔は、少なくとも前記扉5,5に挟まれる可能性のある人体の一部分(例えば爪や髪の毛等)又は物(服や装身具等)の寸法よりも小さく設定されていることが必要である。
【0026】
制御手段は、前記扉5,5が直前位置に来るまでは前記駆動手段6のトルクを比較的小さい所定の値に管理して駆動する。この間、扉5,5は相対的に遅い速度(例えば20mm/分)で移動し、その間に検出対象が前記扉5,5に挟まり、予め設定されたトルク以上の過負荷が加わると、駆動手段6が制御手段に異常信号を出力し、前記駆動手段6の駆動は停止され、続けて開動作に移行させる。なお、この異常信号を出力するか否かの判断基準となるトルクの設定値は制御手段に対して任意に設定可能である。
【0027】
第1の例のセキュリティーゲート1は、図示はしないが、赤外線センサ、人感センサ、戸先スイッチ等を設けて扉5に人や物が挟まれないように安全対策を行うが、扉5の閉止中の大部分は管理された低トルクで駆動しているので、挟み込みがあれば扉5は容易に過負荷を受けて停止するので、最悪の場合でも、扉5に人が挟まれても痛くないようにすることができ、また物が挟まれても壊れないようにすることができる。
【0028】
挟み込みがなく、閉止中の扉5,5が直前位置を通過すると、それ以降、完全閉止位置に来るまでは、前記駆動手段6のトルクを制限せずに前記駆動手段6を最大出力で駆動する。その結果として駆動手段6は最大トルクで前記扉5を閉止し、扉5,5は相対的に早い速度(例えば60mm/分)で移動して一気に完全閉止位置に設定される。ここで、トルクは制限されていないので、一対の扉5の閉止は最大限の力で行われており、閉止状態にロックされている。従って、セキュリティチェックをパスできなかった人物が扉5をこじ開けて不許可で反対側エリアに侵入することは不可能であり、安全が保たれることとなる。
【0029】
(2)第2の例
図13は第2の例の正面図、図14は第2の例の平面図である。
第2の例は、1つの周壁筐体部2と、その後端開放部(扉5と反対側の開放部)に接続された1つの中間筐体部20からなるゲート筐体4aを備えた簡易的なセキュリティーゲート1aである。各ユニットである周壁筐体部2及び中間筐体部20の構成は第1の例と同一であるので説明は省略する。本例は、扉が一つしかないので伴連れを完全には防げないが、前述したロードセル33による重量検出によって伴連れを検知した場合には警報を出力する等の対応が考えられる。
【0030】
(3)第3の例
図15は第3の例の正面図、図16は第3の例の平面図である。
第3の例は、2つの周壁筐体部2,2と、その各後端開放部(扉5と反対側である各開放部)の間に接続された1つの中間筐体部20bからなるゲート筐体4bを備えた第1の例よりも厳重なチェック機能を有するセキュリティーゲート1bである。周壁筐体部2の構成は第1の例と同一であるので説明は省略するが、本例の中間筐体部20bは、入退室方向Zの寸法(幅W2)が第1の例及び第2の例の中間筐体部20(幅W1)よりも大きく(W2>W1)、セキュリティーゲートの用途に応じて個人認証の確実性をさらに図るために認証手段(個人識別手段)の2種類の入力パネル21,21bが広いスペースを用いて配置されている。本例は、扉が二つあり、個人識別手段の入力パネル21,21bも二種類あり、前述したロードセル33もあるので、伴連れはほぼ完全に防ぐことができ、より厳格なセキュリティーチェックを行うことができる。
【0031】
(4)第4の例
図17は第4の例の模式的な平面図である。
第4の例は、2つの周壁筐体部2,2と、その各後端開放部(扉5と反対側である各開放部)の間に接続された屈曲した形状の1つの中間筐体部20cからなるゲート筐体4cを備えたセキュリティーゲート1cである。周壁筐体部2の構成は第1の例と同一であるので説明は省略するが、本例の中間筐体部20cは、入室方向Zと退室方向Zが変化しており、内部を通過する経路が曲がっている点に特徴がある。また、内部を通過する経路の長さも、第1乃至第3の例よりも長くなっている。認証手段(個人識別手段)の入力パネル2cは一つとされているが、広いスペースを用いて2以上配置することもできる。本例の中間筐体部20cが屈曲しているのは、本例のセキュリティーゲート1cが配置されるエリアX、Yの境界付近における設置環境に起因する。すなわち、設置場所付近には建物等の障害物50があり、直線的な配置で各ユニットを組み合わせたセキュリティーゲートは配置できず、入室方向Zと退室方向Zが変化する配置とせざるを得ない場合である。
【0032】
(5)その他の例
例えば、図15及び図16に示す第3の例において、中間筐体部20bの入退室方向Zの長さ(同図ではW2)を相当長くし、入側の周壁筐体部2から出側の周壁筐体部2まで歩いて例えば十数秒かかる程度の長い距離とすれば、時間当たりの通過可能人数を少なく設定できる。すなわち、ゲート内には一人しか入れないので、入口から出口まで移動する距離が長くて一人が入ってから出るまでにかかる時間が長ければ、単位時間当たりの通過可能人数は少なくなる。このように、単位時間の通過可能人数を適宜に定めたい場合には、適当な長さの中間筐体部を選択して2つの周壁筐体部2,2間に接続すれば、直ちに所定通過人数のセキュリティーゲートを構成することができる。
【0033】
さらに、以上説明した第1の例と、第3及び第4の例では、2つの周壁筐体部2,2の間に1つの中間筐体部を設けたが、3本の断面矩形の管が三叉状に連結した構造の中間筐体部を用い、3本の各管の開口にそれぞれ周壁筐体部2を設け、3つのエリア間の入退出を管理するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は第1の例のセキュリティーゲート1の正面図である。
【図2】図2は第1の例のセキュリティーゲート1の平面図である。
【図3】図3は第1の例のセキュリティーゲート1の左側面図である。
【図4】図4は図3におけるA矢視断面図である。
【図5】図5は図1におけるB矢視方向における内部構造を示す拡大図である。
【図6】図6は図4において中間部を省略した状態を示す断面図である。
【図7】図7は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図8】図8は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図9】図9は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図10】図10は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図11】図11は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図12】図12は第1の例のセキュリティーゲート1における扉5の開閉動作の動作図である。
【図13】図13は第2の例の正面図である。
【図14】図14は第2の例の平面図である。
【図15】図15は第3の例の正面図である。
【図16】図16は第3の例の平面図である。
【図17】図17は第4の例の模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1,1a,1b,1c…セキュリティーゲート
2…ユニットとしての周壁筐体部
3…開口
4,4a,4b…ゲート筐体
5…扉
6…駆動手段
7…スライダ
8…リンク機構
9…扉取付板
10…上壁
11…案内手段
20,20b,20c…ユニットとしての中間筐体部
21,21b,21c…入力パネル
X…第1のエリア
Y…第2のエリア
Z…セキュリティーゲートの入退室方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに区画されるべき第1のエリアと第2のエリアとの境界に設置されて両エリア間の入退出を管理するセキュリティーゲートにおいて、
開口が形成された周壁筐体部と、該周壁筐体部の後端開放部に着脱可能に連通して設けられた中間筐体部とによって構成され、前記中間筐体部の選択によって入退室方向についての経路長さが設定自在となるように構成されたゲート筐体と、
前記開口を閉止する少なくとも1枚の扉と、
前記周壁筐体部に設けられて前記扉を往復して開閉する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記中間筐体部の内面に設けられ、前記制御手段によって前記扉の開閉を制御して個人の入退室管理を行うべく個人認証情報を前記制御手段に入力する入力パネルと、
を有することを特徴とするセキュリティーゲート。
【請求項2】
前記周壁筐体部は、略円筒形状をなして構成され、前記扉は、前記開口を閉止しうる大きさの円筒周面形状であって、前記周壁筐体部の周壁に沿って回動自在となるように前記周壁筐体部に軸支されることを特徴とする請求項1記載のセキュリティーゲート。
【請求項3】
前記ゲート筐体が、実質的に直方体状で経路が直線状である前記中間筐体部の両側に一対の前記周壁筐体部が着脱可能に連通して取り付けらることにより、入退室方向が実質的に直線状となるように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載のセキュリティーゲート。
【請求項4】
前記ゲート筐体が、実質的に屈曲しており経路が曲線状である前記中間筐体部の両側に一対の前記周壁筐体部が着脱可能に連通して取り付けらることにより、入退室方向が実質的に屈曲しているように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載のセキュリティーゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−9548(P2006−9548A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216587(P2004−216587)
【出願日】平成16年6月27日(2004.6.27)
【出願人】(594128832)日本原子力防護システム株式会社 (7)
【Fターム(参考)】