説明

セパレータ構造と該セパレータ構造用取付金具

【課題】セパレータ構造における取付金具のスパナ掛けによる応力集中の解消と、その重量の軽量化を達成して、より一層耐久性と安全性を向上させたセパレータ構造と該セパレータ構造用取付金具とを提供すること。
【解決手段】縦断面太鼓形のアンカーブラケット2と、その一端側に螺合され、外端に盤体1bを螺着したネジ部1aを有する軸棒1と、他端側に螺合され、円錐面や放物曲面に形成される外周面を有する金具本体3cの突端に止めネジ軸3dを突設した取付金具3Aとから成るセパレータ構造Aにおいて、前記取付金具3Aの金具本体3cの外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝3e又は/及び突起の頂面が配設される。前記金具本体3cの外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝3e又は/及び突起の頂面が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設時の型枠支持に使用されるとともに、型枠解体後に鉄筋コンクリート構造体の躯体の外壁面に外断熱体を接合できるセパレータ構造とその細部に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、鉄筋コンクリート構造体の構築に使用する両型枠を支持固定するとともに、型枠解体後に鉄筋コンクリート構造体の躯体の外壁面へ取付ける断熱材等の外断熱体の取着を、その取付け自由度を広範に、かつ、工期を短縮して達成できるセパレータ構造を特開2007−23536号公報(特許文献1)に先行技術として提案し、前記外断熱体を取着する取付金具の金具本体を円錐状にして耐久性の向上を図ったものである。
取付金具の大ネジ軸をアンカーブラケットに接合する際に、アンカーブラケットの外フランジの凹部に金具本体の基部の嵌着部を嵌着して振れ止めを図り、外断熱体の自重や風圧等の負荷に対して強固に対応したものである。
ところが、アンカーブラケットに対して取付金具を接合する際のスパナ掛けとして、金具本体の一部に対向して切欠き二面幅部を欠設したことから、この切欠き二面幅部に応力集中が発現するおそれがあるため、その点の解消と金具本体の重量の軽量化が要望された。
【特許文献1】特開2007−23536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記に鑑みて、セパレータ構造における取付金具のスパナ掛けによる応力集中の解消と、その重力の軽量化を達成して、耐久性と安全性を向上させたセパレータ構造と該セパレータ構造用取付金具との提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に記載したセパレータ構造は、縦断面太鼓形のブラケット本体の内外にそれぞれ内フランジと外フランジを一体とするアンカーブラケットと、該アンカーブラケットに内フランジ側から螺合され、端側に盤体を螺着したネジ部を有する軸棒と、前記外フランジからアンカーブラケットに螺合される大ネジ軸を突設し、該大ネジ軸の基部に該外フランジの凹部に嵌着される円形嵌着部が設けられ、該円形嵌着部の外周を大径として他端側に向けて小径とする外周面を形成する金具本体の突端に止めネジ軸を突設した取付金具とから成るセパレータ構造において、
前記取付金具は、金具本体の外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝又は/及び突起の頂面が配設されて成る
本発明の請求項2に記載したセパレータ構造用取付金具は、一端の円形嵌着部の軸心に大ネジ軸を突設し、該円形嵌着部の外周を大径として他端に向けて小径とする外周面を形成する金具本体の突端に止めネジ軸を突設して成る取付金具において、
前記金具本体の外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝又は/及び突起の頂面が配設されて成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、取付金具の金具本体の外周面に軸心方向に沿って溝又は/及び突起の頂面を配設することで溝や突起をスパナ掛けとしたから、軸心に対して作用する曲げモーメントによる曲げ応力の応力集中が解消して曲げ強度が強化され、耐久性と安全性が向上するとともに、無垢の金具本体の断面に比して溝又は突起間の断面が減少することとなってその分重量が軽量化され取扱い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の取付金具本体の外周面は、円形嵌着部の外周を大径端とする円錐面のものから放物曲面などであり、スパナ掛けとなる溝や突起は平行な溝や突起などであり、突起の頂面は円錐面上又は放物曲面上に配置され、溝の底面は直線状のものや曲線状のものが選択され、その数は6個が最適である。金具本体は長短種々で軸部も含む。
【実施例】
【0007】
本発明のセパレータ構造Aをコンクリートが打設され型枠が外されて鉄筋コンクリート構造体aが構築された実施例により説明すると、図3に示すように、左端側のネジ部1aに所要外形(六角形や円形で一部に二面幅部を切欠いた形状等)、所要厚の盤体1bを螺着し、右端側にネジ部1aを配設した軸棒1と、縦断面太鼓形のブラケット本体2aの左部に設けられる内フランジ2bから螺設され、前記右端側のネジ部1aが螺合される小ネジ孔2cと、右部に設けられる外フランジ2dの凹部2eから小ネジ孔2cに向けて連接される大径の大ネジ孔2fを有するアンカーブラケット2と、大ネジ孔2fに螺合される大ネジ軸3aを凹部2eに嵌着される円形嵌着部3bの軸心より突設し、円形嵌着部3bの外周を大径として右方へ向けて小径とする円錐面を形成する金具本体3cの突端に止めネジ軸3dを突設した取付金具3Aとから成る。
そして、取付金具3Aには図1に示すように、金具本体3cの円錐面に底面が扇形で、両側面が図2に示すようにV形状の溝3eが6個形成され、溝3e間に挟まれる突起がスパナ掛け3fとして使用される。
したがって、セパレータ構造Aでは軸棒1の左端側のネジ部1aに内装材(図外)が接合され、取付金具3Aの金具本体3cには断熱材や外装材等の外断熱体(図外)が係着されて適宜なナットを介して止めネジ軸3dに螺合されるナットで要所が締結される。
【0008】
他の態様の取付金具3Bは図4に示すように、大ネジ軸3aを突設する円形嵌着部3bの外周を大径として他端を軸部3gの外径に向けて小径とする放物曲面を形成する金具本体3cの軸部3gの突端に止めネジ軸3dが突設され、止めネジ軸3dには適宜な座金が係着される。この放物曲面に設けられる溝3eはその底面が分図(b)に示すように正面平行な滑り台状で、両側面は分図(a)に示すように三日月状に欠切されてスパナ掛け3fが形成される。
したがって、図6に示すようにセパレータ構造Bに取付金具3Bを用いるときは、溝3eで形成されるスパナ掛け3fにスパナを掛け、アンカーブラケット2の大ネジ孔2fに大ネジ軸3aを螺合するとともに、凹部2eに円形嵌着部3bを嵌着させて取付金具3Bがアンカーブラケット2に係着され、金具本体3cの放物曲面や軸部3gに外断熱体(図外)が係着され、外断熱体は適宜な座金を介して止めネジ軸3dに螺合される所要のナットで要所が締結される。
【0009】
さらに他の態様の取付金具3Cは図5に示すように、円形嵌着部3bを座盤として左方に大ネジ軸3aを突設し、右方に所要長さの軸部3gを横設し、軸部3gの突端に止めネジ軸3dを突設し、軸部3gの周面に均等に6個の突起3hを立設するとともに、その頂面を円形嵌着部3bの外周を大径として他端に向けて小径とする放物曲面上に配設して成る。
したがって、取付金具3Cをアンカーブラケット2に螺合するときは突起3hをスパナ掛け3fとして使用する。セパレータ構造Bとして使用するときは、放物曲面と軸部3gに金具本体3Cに外断熱体(図外)が係着され、それらは適宜な座金を介して止めネジ軸3dに螺合した所要のナットで要所が締結される。
【0010】
本発明の取付金具3A乃至3Cを用いたセパレータ構造A、Bによれば、金具本体3cの軽量化が図られる上、スパナ掛け3fを形成する溝3eや突起3hが金具本体3cの円錐面や放物曲面の軸心に沿って形成されるから、外断熱体の自重や風圧等の外力による曲げ応力の応力集中が解消され、耐久性と安全性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0011】
先に提案したセパレータ構造における各種外断熱体への対応自由度の広汎化に加えて軽量化が達成されるとともに曲げ強度の強化が図られたことから、より一層の需要が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の取付金具3Aの説明図で、(a)はその正面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(a)の背面図。
【図2】図1(c)のA−A矢視断面図。
【図3】鉄筋コンクリート構造体aにおける本発明のセパレータ構造Aの説明図。
【図4】本発明の取付金具3Bの説明図で、(a)はその正面図、(b)は(a)の右側面図。
【図5】本発明の取付金具3Cの説明図で、(a)はその正面図、(b)は(a)の右側面図。
【図6】鉄筋コンクリート構造体aにおける本発明のセパレータ構造Bの説明図。
【符号の説明】
【0013】
1:軸棒
1a:ネジ部
1b:盤体
2:アンカーブラケット
2a:ブラケット本体
2b:内フランジ
2c:小ネジ孔
2d:外フランジ
2e:凹部
2f:大ネジ孔
3A、3B、3C:取付金具
3a:大ネジ軸
3b:円形嵌着部
3c:金具本体
3d:止めネジ軸
3e:溝
3f:スパナ掛け
3g:軸部
3h:突起
a:コンクリート構造体
A、B:セパレータ構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦断面太鼓形のブラケット本体の内外にそれぞれ内フランジと外フランジを一体とするアンカーブラケットと、該アンカーブラケットに内フランジ側から螺合され、一端側に盤体を螺着したネジ部を有する軸棒と、前記外フランジからアンカーブラケットに螺合される大ネジ軸を突設し、該大ネジ軸の基部に該外フランジの凹部に嵌着される円形嵌着部が設けられ、該円形嵌着部の外周を大径として他端側に向けて小径とする外周面を形成する金具本体の突端に止めネジ軸を突設した取付金具とから成るセパレータ構造において、
前記取付金具は、金具本体の外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝又は/及び突起の頂面が配設されて成るセパレータ構造。
【請求項2】
一端の円形嵌着部の軸心に大ネジ軸を突設し、該円形嵌着部の外周を大径として他端に向けて小径とする外周面を形成する金具本体の突端に止めネジ軸を突設して成る取付金具において、
前記金具本体の外周面に、軸心方向に沿って複数個の溝又は/及び突起の頂面が配設されて成るセパレータ構造用取付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−240259(P2008−240259A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78572(P2007−78572)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(505266271)
【Fターム(参考)】