説明

セラミックハニカム構造体及びその製造方法

【課題】寸法精度の高いセラミックハニカム構造体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】セラミックハニカム構造体を製造する方法は、少なくとも原料粉末、水、および乾燥時に膨張する膨張材を含むセラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形する押出工程と、ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、ハニカム成形体を焼成してセラミックハニカム構造体を得る焼成工程とを含む。乾燥工程においては、膨張材の膨張によりハニカム成形体を膨張させ、ハニカム成形体の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが、1.01〜1.12の範囲になるように乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなるセラミックハニカム構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関の排ガス浄化装置における触媒担体やフィルターとして、セラミックハニカム構造体が用いられている。
上記セラミックハニカム構造体は、径方向の外周に設けた外周スキン部と、該外周スキン部の内側においてハニカム状のセルを形成するセル壁とを有する。そして、このようなセラミックハニカム構造体は、セラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形し、これを乾燥、焼成することにより得ることができる。
【0003】
上記セラミックハニカム構造体は、例えば、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(粒子状物質)を含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に用いられる場合、パティキュレートを捕集するための細孔をセル壁に設ける。
【0004】
従来から、セル壁に所望の大きさの細孔を得るため、セラミックス原料に発泡材を含有させる方法が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記の方法では、乾燥時の加熱によって発泡材が発泡し、ハニカム成形体が不均一に膨張する等して、得られるセラミックハニカム構造体は、寸法精度の低いものとなるおそれがあった。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−129015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなるセラミックハニカム構造体を製造する方法において、
少なくとも原料粉末、水、および乾燥時に膨張する膨張材を含むセラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形する押出工程と、
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してセラミックハニカム構造体を得る焼成工程とを含み、
上記乾燥工程においては、上記膨張材の膨張により上記ハニカム成形体を膨張させ、該ハニカム成形体の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが、1.01〜1.12の範囲になるように乾燥させることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法にある(請求項1)。
【0008】
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法は、上記乾燥工程において、上記膨張材を膨張させることにより上記ハニカム成形体を膨張させ、上記乾燥膨張比B/Aが1.01〜1.12の範囲となるように乾燥させる。即ち、上記乾燥膨張比B/Aを上記特定の範囲に積極的に制御する。これにより、上記乾燥工程における上記ハニカム成形体の変形を抑制することができる。そして、それ故に、上記焼成工程後には、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【0009】
上記乾燥膨張比B/Aが1.01よりも小さい場合には、上記乾燥工程における上記ハニカム成形体の変形が起こり易くなると共に、得られるセラミックハニカム構造体の寸法精度が低下するおそれがある。
一方、上記乾燥膨張比B/Aが1.12よりも大きい場合には、膨張が大きくなりすぎ、焼成による上記ハニカム成形体の収縮が大きくなるおそれがある。そのため、得られるセラミックハニカム構造体の内部にクラック等が多く発生するおそれがある。
【0010】
このように、本発明によれば、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明の製造方法により製造したことを特徴とするセラミックハニカム構造体にある(請求項6)。
本発明によれば、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記第1の発明において、上記乾燥膨張比B/Aは、1.05〜1.08の範囲であることがより好ましい。
この場合には、上記乾燥工程における上記ハニカム成形体の変形をさらに抑制することができると共に、より寸法精度の優れたセラミックハニカム構造体を得ることができる。
なお、上記乾燥膨張比B/Aを調整する手段としては、上記セラミックス原料に添加する上記膨張材の添加量の割合、乾燥時の温度・時間等を調整する手段がある。
【0013】
また、上記膨張材は、熱可塑性高分子よりなるポリマー殻の内部に、液状ガス(低沸点炭化水素)を内包してなる粒子よりなる加熱発泡性発泡材よりなることが好ましい(請求項2)。
上記加熱発泡性発泡材は、加熱されたときに、上記ポリマー殻の内部に内包された上記液状ガスが気化してガス圧が増加すると共に該ポリマー殻が軟化することで体積が大幅に増加し、発泡する。これにより、上記乾燥工程において、上記ハニカム成形体を膨張させることができる。
【0014】
また、上記セラミックハニカム構造体をディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に用いる場合、排ガス中のパティキュレート(粒子状物質)を捕集するための細孔を上記セル壁に設ける必要がある。上記加熱発泡性発泡材は、一般的に有機物で構成されているため、上記焼成工程における焼成により消失する。そのため、上記セラミックス原料に上記加熱発泡性発泡材を含有させておくことにより、該加熱発泡性発泡材が焼成により消失した部分に細孔を設けることができる。つまり、上記セラミックハニカム構造体のセル壁に細孔を容易に設けることができる。
【0015】
また、上記乾燥工程は、マイクロ波加熱又は高周波加熱により行うことが好ましい(請求項3)。
この場合には、加熱された上記ハニカム成形体は、外側よりも中心部のほうが先に温度が上昇する。そのため、加熱された上記膨張材を充分、かつ均一に膨張させることができる。これにより、上記ハニカム成形体を均一に膨張させることができ、上記乾燥工程における上記ハニカム成形体の変形を抑制することができる。
【0016】
ここで、マイクロ波加熱及び高周波加熱は、上記ハニカム成形体の内部が充分に加熱されるようなエネルギーを与えて加熱することが好ましい。充分なエネルギーを与えないで加熱した場合には、内部が加熱されず、外側から乾燥が進む。外側が半硬化状態となれば、内部が膨張しようとする力を制御する効果が現れ、上記ハニカム成形体を均一に膨張させることができないおそれがある。そのため、上記ハニカム成形体の変形が起こり易くなるおそれがある。
【0017】
また、上記セラミックハニカム構造体の直径は50mm〜400mmであることが好ましい(請求項4)。
この場合には、寸法精度を充分に確保することができると共に、製造容易なセラミックハニカム構造体を得ることができる。
上記直径が50mmよりも小さい場合には、圧力損失が大きくなりすぎて実用性に欠けるおそれがある。一方、上記直径が400mmよりも大きい場合には、急激な温度変化による熱衝撃によってクラック等が発生するおそれがあると共に、寸法精度を充分に確保することが困難となるおそれがある。また、製造時における取り扱いが困難となるおそれがある。
【0018】
また、上記セラミックハニカム構造体はコーディエライトよりなることが好ましい(請求項5)。
コーディエライトは、耐熱性に優れた低熱膨張材料である。そのため、高温や急激な温度変化に耐え得る、耐熱衝撃性に優れた高性能のセラミックハニカム構造体を得ることができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるセラミックハニカム構造体及びその製造方法について、図1〜図5を用いて説明する。
本例は、図1〜図5に示すごとく、セル壁3をハニカム状に配して多数のセル11を設けてなるセラミックハニカム構造体1を製造する方法であり、押出工程、切断工程、乾燥工程、及び焼成工程を含む。
【0020】
押出工程では、少なくとも原料粉末、水、および乾燥時に膨張する膨張材を含むセラミックス原料を押出成形してハニカム成形体10を成形する。
切断工程では、ハニカム成形体10を所望長さに切断する。
乾燥工程では、ハニカム成形体10を乾燥させる。
焼成工程では、ハニカム成形体10を焼成してセラミックハニカム構造体1を得る。
そして、乾燥工程においては、上記膨張材の膨張によりハニカム成形体10を膨張させ、ハニカム成形体10の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが、1.01〜1.12の範囲になるように乾燥させる。
以下、これを詳説する。
【0021】
押出工程では、まずハニカム成形体を構成するセラミックス原料を作製する。
セラミックス原料の原料粉末としては、カオリン、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、カーボン粒子等を含有し、化学組成が重量比にて最終的にSiO2:45〜55%、Al23:33〜42%、MgO:12〜18%よりなるコーディエライトを主成分とする組成となるように調整したものを用いた。
【0022】
そして、上記原料粉末に水及び乾燥時に膨張する膨張材を所定量混合し、セラミックス原料を作製する。
上記膨張材には、熱可塑性高分子よりなるポリマー殻と、その内部に内包され、加熱によって気化する液状ガスとより構成された粒子状の加熱発泡性発泡材を用いる。本例では、上記加熱発泡性発泡材として、熱可塑性高分子ポリマー殻に液状低沸点炭化水素を内包した粒子を用いた。
作製した上記セラミックス原料は、ハニカム成形体成形用金型を用いてハニカム状に押出成形を行い、ハニカム成形体を成形する。
【0023】
次に、切断工程では、押出成形したハニカム成形体を所望の長さに切断する。
これにより、図1に示すごとく、径方向の外周に設けた外周スキン部2と該外周スキン部2の内側においてハニカム状のセル11を形成するセル壁3とを一体成形してなるハニカム成形体10を得る。
【0024】
次に、乾燥工程では、図1のハニカム成形体10をマイクロ波加熱によって乾燥させる。この加熱により、ハニカム成形体10に含有されている膨張材としての加熱発泡性発泡材は、ポリマー殻の内部に内包された液状ガスが気化してガス圧が増加すると共に該ポリマー殻が軟化することで体積が大幅に増加し、発泡する。この加熱発泡性発泡材の発泡により、ハニカム成形体10は膨張する。
このとき、ハニカム成形体10の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが1.01〜1.12の範囲となるように、ハニカム成形体10を乾燥させる。
【0025】
ここで、ハニカム成形体10の乾燥前後の直径A、直径Bの測定方法について説明する。
まず、ハニカム成形体10において、軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間位置である中間部との3箇所における直径を測定する。上記3箇所の直径は、図2に示すごとく、ハニカム成形体10の両端面12からそれぞれ5mm内側(軸方向中心側)に入った位置の直径a、cと、これらの測定位置の中間部の直径bである。
【0026】
これらの直径a、b、cは、それぞれの位置において、図3に示すごとく、セル壁3の方向に沿った2つの直径a1(b1、c1)及びa2(b2、c2)と、これらに対して45°傾斜した直径a3(b3、c3)及びa4(b4、c4)とを測定し、これらの平均値として導く。即ち、a=(a1+a2+a3+a4)/4、b=(b1+b2+b3+b4)/4、c=(c1+c2+c3+c4)/4である。
【0027】
そして、直径a、b、cの平均値である「(a+b+c)/3」をハニカム成形体10の乾燥前、乾燥後に求め、それぞれ直径A、直径Bとする。
一例として、ハニカム成形体10の乾燥前の直径A=157.0mm、乾燥後の直径B=168.2mmのとき、乾燥膨張比B/A=1.071となる。
なお、ハニカム成形体10の乾燥には、マイクロ波加熱に代えて高周波加熱を用いることもできる。また、マイクロ波加熱及び高周波加熱は、ハニカム成形体10の内部が充分に加熱されるようなエネルギーを与えて加熱する。
【0028】
次に、焼成工程の前に、ハニカム成形体10の両端面12における所定のセル11の端部に、上記セラミックス原料よりなる栓材4を充填する。
そして、焼成工程では、ハニカム成形体10を焼成する。このとき、上記加熱発泡性発泡材は、焼成により消失し、その部分に細孔が形成される。
以上により、図4、図5に示すごとく、セラミックハニカム構造体1を得る。
【0029】
上記製造方法によって製造されたセラミックハニカム構造体1は、図4、図5に示すごとく、径方向の外周に設けた外周スキン部2と、該外周スキン部2の内側においてハニカム状のセル11を形成するセル壁3とを有する。外周スキン部2とセル壁3とは、一体成形されている。
また、セラミックハニカム構造体1は、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート(粒子状物質)を含む排ガスを浄化するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)に用いることも可能である。従って、図4に示すごとく、軸方向の両端面12において、栓材4がいわゆる市松模様状にセル11の端部に配設されている。
また、セラミックハニカム構造体1は、コーディエライトより構成されており、セル壁3には、上記加熱発泡性発泡材が焼成により消失して形成された細孔が設けられている。
【0030】
次に、本例の作用効果について説明する。
本例のセラミックハニカム構造体1の製造方法は、乾燥工程において、上記膨張材を膨張させることによりハニカム成形体10を膨張させ、ハニカム成形体10の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが、1.01〜1.12の範囲になるように乾燥させる。即ち、乾燥膨張比B/Aを上記特定の範囲に積極的に制御する。これにより、乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形を抑制することができる。そして、それ故に、焼成工程後には、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
【0031】
さらに、本例の乾燥膨張比B/Aは、1.05〜1.08の範囲で制御することが望ましい。その結果、乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形をさらに抑制することができると共に、より寸法精度の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
なお、乾燥膨張比B/Aは、上記セラミックス原料に添加する上記膨張材の添加量の割合、乾燥時の温度・時間等によって調整することができる。
【0032】
また、上記膨張材は、熱可塑性高分子よりなるポリマー殻の内部に、液状ガスを内包してなる粒子よりなる加熱発泡性発泡材よりなる。上記加熱発泡性発泡材は、加熱されたときに、上記ポリマー殻の内部に内包された上記液状ガスが気化してガス圧が増加すると共に該ポリマー殻が軟化することで体積が大幅に増加し、発泡する。そのため、乾燥工程において、ハニカム成形体10を膨張させることができる。
【0033】
また、上記加熱発泡性発泡材は、一般的に有機物で構成されているため、焼成工程における焼成により消失する。そのため、上記セラミックス原料に加熱発泡性発泡材を含有させておくことにより、該加熱発泡性発泡材が焼成により消失した部分に細孔を設けることができる。即ち、セラミックハニカム構造体1のセル壁3に容易に細孔を設けることができる。
【0034】
また、乾燥工程は、マイクロ波加熱により行う。また、ハニカム成形体10の内部が充分に加熱されるようなエネルギーを与えて加熱を行う。そのため、ハニカム成形体10を内部から外側に向かって徐々に乾燥させることができると共に、加熱された上記膨張材を充分、かつ均一に膨張させることができる。これにより、ハニカム成形体10を均一に膨張させることができ、乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形を抑制することができる。
【0035】
また、セラミックハニカム構造体1の直径は50mm〜400mmである。そのため、寸法精度を充分に確保することができると共に、製造容易なセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
また、セラミックハニカム構造体1はコーディエライトよりなる。コーディエライトは、耐熱性に優れた低熱膨張材料であるため、高温や急激な温度変化に耐え得る、耐熱衝撃性に優れた高性能のセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
【0036】
以上により、本例によれば、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体及びその製造方法を提供することができる。
【0037】
(実施例2)
本例は、図6、図7に示すごとく、実施例1のセラミックハニカム構造体1において、乾燥膨張比(B/A)と乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形量及び焼成工程後のセラミックハニカム構造体1のクラック発生数との関係を調べたものである。
【0038】
図6は、乾燥膨張比と乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形量との関係を示したものである。
ここで、ハニカム成形体10の変形量の測定方法について説明する。
まず、乾燥工程後のハニカム成形体10において、軸方向の一方の端部と他方の端部とこれら2つの端部の中間部との3箇所のそれぞれの位置でa1〜a4、b1〜b4、c1〜c4の直径を測定する。測定位置及び方法は、実施例1において説明したとおりである(図2、図3参照)。
【0039】
そして、(a1〜a4)、(b1〜b4)、(c1〜c4)のそれぞれの中で最大値と最小値との差であるMa、Mb、Mcを求める。求めた(Ma、Mb、Mc)の中で最大の値を変形量とする。
図6から分かるように、乾燥膨張比を1.01以上とすることにより、変形量を抑えることが可能となる。さらに、乾燥膨張比を1.05以上とすることにより、変形量を2(mm)以下に抑えることが可能となる。そのため、乾燥工程におけるハニカム成形体10の変形を抑制し、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
【0040】
図7は、乾燥膨張比と焼成工程後のセラミックハニカム構造体1のクラック発生数との関係を示したものである。
図7から分かるように、乾燥膨張比を1.12以下とすることにより、クラック発生数を10(個)以下に抑えることが可能となる。さらに、乾燥膨張比を1.08以下とすることにより、クラック発生数を1(個)以下に抑えることが可能となる。そのため、焼成によるクラックの発生を抑制し、信頼性の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
【0041】
以上のことから、ハニカム成形体10の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aは、1.01〜1.12の範囲であることが好ましい。また、より好ましい乾燥膨張比B/Aは、1.05〜1.08の範囲である。そして、上記の条件を満たすことにより、寸法精度の高いセラミックハニカム構造体1を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1における、ハニカム成形体の斜視図。
【図2】実施例1における、ハニカム成形体の直径の測定位置を説明する側面図。
【図3】実施例1における、ハニカム成形体の直径の測定位置を説明する断面図。
【図4】実施例1における、セラミックハニカム構造体の斜視図。
【図5】図4のA−A線矢視断面図。
【図6】実施例2における、乾燥膨張比とハニカム成形体の変形量との関係を表す線図。
【図7】実施例2における、乾燥膨張比とセラミックハニカム構造体のクラック発生数との関係を表す線図。
【符号の説明】
【0043】
1 セラミックハニカム構造体
10 ハニカム成形体
11 セル
2 外周スキン部
3 セル壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなるセラミックハニカム構造体を製造する方法において、
少なくとも原料粉末、水、および乾燥時に膨張する膨張材を含むセラミックス原料を押出成形してハニカム成形体を成形する押出工程と、
上記ハニカム成形体を所望長さに切断する切断工程と、
上記ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、
上記ハニカム成形体を焼成してセラミックハニカム構造体を得る焼成工程とを含み、
上記乾燥工程においては、上記膨張材の膨張により上記ハニカム成形体を膨張させ、該ハニカム成形体の乾燥前の直径Aと乾燥後の直径Bとの比である乾燥膨張比B/Aが、1.01〜1.12の範囲になるように乾燥させることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記膨張材は、熱可塑性高分子よりなるポリマー殻の内部に、液状ガスを内包してなる粒子よりなる加熱発泡性発泡材よりなることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記乾燥工程は、マイクロ波加熱又は高周波加熱により行うことを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記セラミックハニカム構造体の直径は50mm〜400mmであることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記セラミックハニカム構造体はコーディエライトよりなることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により製造したことを特徴とするセラミックハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−224341(P2006−224341A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38043(P2005−38043)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】