説明

セルフシーリングエラストマー組成物

【課題】インフレータブル物品においてパンク防止層として特に使用し得るセルフシーリングエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも30phrの飽和熱可塑性スチレンエラストマー、多くても70phrの不飽和熱可塑性スチレンエラストマー及び200phrを超えるオイル増量剤を含む。セルフシーリング組成物として本発明のエラストマー組成物を含むパンク防止層を備えたタイヤのようなインフレータブル物品。有利には、インフレータブル物品におけるパンク防止気密ラミネートを構成するように、パンク防止層を、例えば、ブチルゴムをベースにした気密層と組み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフシーリング組成物及び任意のタイプの“インフレータブル”物品、即ち、定義によれば、空気によって膨張させたときに使用できる形をとる任意の物品においてパンク防止層としてのその使用に関する。
本発明は、より詳細には、運行中の穿孔による穴を閉鎖する、インフレータブル物品、特にインフレータブルタイヤにおけるこのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、近年、タイヤ製造業者は、インフレータブルタイヤを装着した車輪の使用のまさしく初期にさかのぼる問題、即ち、車両が1つ以上のタイヤのかなりの或いは完全な圧力減にもかかわらず走行し続けるのをどのように可能にするかの問題に対して新たな解決法を開発するのに特に多大な努力を行っている。数十年間、スペアタイヤが唯一且つ一般的な解決法であるとみなされていた。その後、最近になって、その可能な省略に関連する実質的な利点が明らかになってきた。“エクステンデッド モビリティ”の概念が開発された。関連技術は、パンク又は圧力低下後も、順守すべきある種の制約に応じて、同じタイヤで走行することを可能にしている。このことは、例えば、停止する必要なしに、しばしば危険な状況において、スペアタイヤを装着する必要なしに、修理地点まで達することを可能にする。
このような目的を達成することができ、定義によれば、自動的に、即ち、何らの外的介入なしで、クギのような異物によるタイヤの穿孔の場合にタイヤを密封することができるセルフシーリング組成物は、開発が特に困難である。
使用することができるように、セルフシーリング層は、物理的及び化学的性質の多くの条件を満たさなければならない。これは、特に、極めて広い操作温度範囲にわたって、またタイヤの寿命全体にわたって効果的でなければならない。これは、穿孔物体がその場に残存している場合にその穴を閉鎖することができなければならず、穿孔物体が除かれた場合に、穴を充填することができ且つタイヤを密封することができなければならない。
多くの解決法が構想されてきたが、特に時間が経つにつれて安定性を欠き或いは極端な操作温度条件下で有効性を欠くために、車両用タイヤにおいて開発されることができていない。
【0003】
高温で良好な有効性を維持することを援助するために、文献US-A-4,113,799(又はFR-A-2 318 042)には、セルフシーリング層として、必要により少量の熱可塑性スチレンエラストマーと一緒であってもよい、高分子量及び低分子量の部分架橋ブチルゴムの組合せを含む組成物が提案されている。良好に密封するために、前記組成物は、55から70質量%までの粘着付与剤を含んでいる。
【0004】
文献US-A-4 228 839には、タイヤ用のセルフシーリング層として、第1照射分解性ポリマー材料、例えば、ポリイソブチレン、及び第2照射架橋性ポリマー材料、好ましくはブチルゴムを含有するゴムコンパウンドが提案されている。
文献US-A-4 426 468には、また、極めて高い分子量の架橋ブチルゴムをベースにした、タイヤ用のセルフシーリング組成物が提案されている。
【0005】
ブチルゴムの既知の欠点は、広い温度範囲にわたって大きなヒステリシス損失(高tanδレベル)を受けることであり、この欠点がセルフシーリング組成物自体に影響し、ヒステリシスをかなり増大させるとともにタイヤの転がり抵抗をかなり悪化させる。
更に、出願人は、ブチルゴムをベースにしたこれらの組成物が、タイヤの構造内で長時間その場に残存する穿孔物体の遅い排除又は除去後に有効性が不充分であり得ることを見出している。
文献EP-B1-1 090 069には、ブチルゴムを含まないセルフシーリング組成物が確かに提案されており、その特定の配合は、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部当り、80から140質量部までの液体可塑剤、110から190質量部までの粘着付与樹脂及び2から20質量部までの添加剤を含んでいる。
大量の粘着付与樹脂は、タイヤが引き起こすより高い工業コストの他に、それ自体でセルフシーリング組成物の過度の剛性化のリスクのためにタイヤの転がり抵抗も悪化することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、出願人は、その研究を続けることにより、ブチルゴムも粘着付与樹脂の使用も必要とせず、且つインフレータブル物品に先行技術のセルフシーリング組成物に比較して改善されるパンク防止の性能を与えるかなり単純化した配合のセルフシーリング組成物を発見した。
通常のセルフシーリング組成物と比較すると、特に、穿孔物体を除去した後、特に除去が遅れた後にも、穴の密封速度が改善される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、第1の主題によれば、本発明は、インフレータブル物品におけるパンク防止層として特に使用し得るセルフシーリング組成物であって、少なくとも以下の成分(phrはゴム100質量部当たりの質量部を意味する):
- 少なくとも30phrの飽和熱可塑性スチレン(“TPS”)エラストマー;
- 多くても70phrの不飽和TPSエラストマー; 及び
- 200phrを超える前記エラストマーのためのオイル増量剤
を含む、前記組成物に関する。
【0008】
本発明は、また、特にインフレータブル物品に特に使用し得るパンク防止気密ラミネートであって、本発明のセルフシーリング組成物を含む第1パンク防止層及び第2気密層を備える、前記ラミネートに関する。
【0009】
本発明は、特に、詳しくは前記組成物又は前記ラミネートが前記インフレータブル物品又はタイヤの内壁上に配置される場合、タイヤのようなインフレータブル物品におけるこのようなセルフシーリング組成物又はこのようなラミネートの使用に関する。
【0010】
本発明は、特に、乗用車タイプ、SUV(“スポーツ用多目的車”)タイプの自動車、二輪車(特に、自転車、オートバイ)、航空機、又は、バン、“重量”車両、即ち、地下鉄列車、バス、道路輸送車(トラック、牽引車両、トレーラー)、農業用又は土木工学車両のような道路外車両より選ばれる産業用車両、並びに他の輸送又は操作用車両に装着することを意図するタイヤにおける上記セルフシーリング組成物又はラミネートの使用に関する。
【0011】
本発明は、また、それ自体で、パンク防止層又は上記のラミネートを備える、任意のインフレータブル物品、特にタイヤに関する。
【0012】
本発明及びその利点は、以下の説明及び例示的実施態様に照らして、本発明のセルフシーリング組成物を用いたラジアルカーカス補強材を有するタイヤを半径方向断面で略図的を示すこれらの実施態様に関連する唯一の図面と共に容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従う空気式タイヤの半径方向断面を極めて略図的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I. 発明の詳細な説明
本説明において、特にことわらない限り、示されるパーセント(%)は全て質量%である。
更に、表現“aとbの間”によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくbよりも小さい範囲の値の領域を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方表現“aからbまで”によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでの範囲である値の領域を意味する(即ち、厳格な限定値a及びbを含む)。
【0015】
I-1. セルフシーリング組成物
本発明に従って用いられるセルフシーリング組成物又は材料は、少なくとも1つの飽和TPSエラストマーを少なくとも30phr(少なくとも30phr以上)の量で、不飽和TPSエラストマーを多くても70phr(即ち、70phr以下)の量で及び200phrを超える前記TPSエラストマーのためのオイル増量剤を含むエラストマー組成物である(phrはゴム100質量部当たりの質量部を意味する)。
【0016】
I-1-A. 熱可塑性スチレンエラストマー(飽和及び不飽和)
熱可塑性スチレン(TPS)エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマーの形の熱可塑性エラストマーである。
【0017】
熱可塑性ポリマーとエラストマー間の構造中間体を有するこれらの熱可塑性エラストマーは、既知のように、エラストマー軟質ブロック、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン又はポリ(エチレン/ブチレン)が結合したポリスチレン硬質ブロックから調製される。しばしば、軟質セグメントが結合した2つの硬質セグメントを有するトリブロックエラストマーである。硬質及び軟質セグメントは、直鎖、星型又は分枝鎖形状で配列され得る。これらのTPSエラストマーは、また、軟質セグメントに結合した1つの硬質セグメントを有するジブロックであり得る。典型的には、これらのセグメント又はブロックの各々は、最低5基本単位より多く、一般的には10を超える基本単位を含有する(例えば、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマーの場合のスチレン単位とイソプレン単位)。
【0018】
本発明の組成物の第1の本質的な特徴は、以下を組み合わせることを含むことである:
- 少なくとも30phr(即ち、30phrから100phr未満まで)、好ましくは少なくとも50phr(即ち、50phrから100phr未満まで)の飽和TPSエラストマー; 及び
- 多くても70phr(即ち、0phrより大きく70phrまで)、好ましくは多くても50phr(即ち、0phrより大きく50phrまで)の不飽和TPSエラストマー。
【0019】
言い換えれば、飽和TPSエラストマー含量は、最低30phrから100phr未満までの範囲にあり、不飽和TPSエラストマー含量(組成物中に常に存在する)は、0phrより大きく最高70phrまでの範囲にある。
【0020】
本出願において、周知の通り、以下の定義が理解される:
- 飽和TPSエラストマーは、エチレン系不飽和基を含まない(即ち、炭素-炭素二重結合がない)TPSエラストマーを意味すると理解され;
- 不飽和TPSエラストマーは、エチレン系不飽和基がある、即ち、(共役であっても共役でなくてもよい)炭素-炭素二重結合を含むTPSエラストマーを意味すると理解される。
【0021】
好ましくは、飽和TPSエラストマーは、スチレン/エチレン/ブチレン(SEB)、スチレン/エチレン/プロピレン(SEP)、スチレン/エチレン-エチレン/プロピレン(SEEP)、スチレン/エチレン-ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)、スチレン/エチレン-エチレン-プロピレン/スチレン(SEEPS)ブロックコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる。
【0022】
更に好ましくは、前記エラストマーは、SEBSコポリマー、SEPSコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる。
【0023】
好ましくは、不飽和TPSエラストマーは、スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/ブチレン(SBB)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)ブロックコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる。より好ましくは、この不飽和TPSエラストマーは、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)ブロックコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれるトリブロックコポリマーである。
【0024】
セルフシーリング組成物における不飽和TPSエラストマーの存在は、上で推奨された含量において、前記組成物が、少なくとも部分的に不飽和のポリマーマトリックスに、例えば、ブチルゴムのようなジエンエラストマーの層により容易に付着することを容易にする。
【0025】
セルフシーリング特性と接着特性による最適性能については、飽和TPSエラストマー含量は少なくとも60phrに等しく、より好ましくは70から95phrの範囲にあることが好ましく、不飽和TPSエラストマー含量は多くても40phrに等しく、好ましくは5から30phrの範囲にある。
【0026】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、飽和及び不飽和のTPSエラストマーにおけるスチレン含量は、5と50%の間である。示された最低値よりも低いと、エラストマーの熱可塑性が実質的に低下するリスクを負い、一方、推奨される最高値よりも高いと、組成物の弾力性が悪影響を受け得る。これらの理由により、スチレン含量は、より好ましくは10と40%の間、特に15と35%の間である。
【0027】
飽和TPSエラストマーのTg (ASTM D3418、1999に準じるDSC(示差走査熱量測定)によって測定される)は、好ましくは-20℃よりも低く、より好ましくは-40℃よりも低い。組成物自体のより高いTgを意味する、これらの最低温度よりも高いTg値は、非常に低い温度で用いられる場合セルフシーリング組成物の性能を低下させることになる; このような使用について、飽和TPSエラストマーのTgは、より好ましくは-50℃よりもまだ低い。
【0028】
飽和及び不飽和の各TPSエラストマーの数平均分子量(Mnで示す)は、好ましくは50 000と500 000g/モルの間、より好ましくは75 000と450 000g/モルの間である。示された最低値よりも低いと、TPSエラストマー鎖間の凝集が、その希釈(増量剤の量)のために、悪影響を受けるリスクを負う; 更に、使用温度の上昇は、機械的性質、特に破断時特性に悪影響を及ぼすリスクを負い、結果として“熱”性能の低下につながる。更に、高すぎる分子量Mnは、推奨される増量剤オイル含量で、組成物の可撓性に関して有害であり得る。従って、250 000から400 000の範囲内にある値が、特にインフレータブルタイヤにおけるセルフシーリング組成物の使用に特に適したことが見出された。
【0029】
TPSエラストマーの数平均分子量(Mn)は、既知の方法で、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって求められる。試験片を、先ず、約1g/lの濃度でテトラヒドロフランに溶解し、次いで、この溶液を0.45μm孔のフィルターで注入前にろ過する。用いられる装置は、WATERS Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.7ml/分であり、系の温度は35℃であり、分析時間は90分である。STYRAGELの商品名(“HMW7”、“HMW6E”及び2本の“HT6E”)を有する連続の4本のWATERSカラムセットを用いる。ポリマー試験片溶液の注入容量は、100μlである。検出器は、WATERS 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータを処理するその関連ソフトウェアは、WATERS MILLENIUMシステムである。算出した平均分子量は、ポリスチレン標準によって得た検定曲線と対比する。
【0030】
上記2つのTPSエラストマーは、エラストマーマトリックスの全部又はエラストマーマトリックスの支配的な質量部(即ち、50%を超える、好ましくは70%を超える)を、熱可塑性であってもなくても1つ以上の他のエラストマー、例えば、ジエンタイプのエラストマーを前記マトリックスが含む場合に構成し得る。
【0031】
好ましい実施態様によれば、これらの2つのTPSエラストマーは、単独エラストマーと、セルフシーリング組成物中に存在する単独熱可塑性エラストマーである。
【0032】
特に大量のオイルで増量した、飽和TPSエラストマー、例えば、SEPS又はSEBSは、周知であり、市販されている。増量した形で市販の飽和TPSの例として、名称“Dryflex”(例えば“Dryflex 967100”)又は“Mediprene”(例えば“Mediprene 500 000M”)としてVita Thermoplastic Elastomers又はVTC(“VTC TPEグループ”)から販売されている製品、これらのいずれもが名称“Multiflex”(例えば“Multiflex G00”)としてMultibaseから販売されているものを挙げることができる。医学、製薬又は化粧品用途に特に開発されるこれらの製品は、TPEに関して、例えば、ビーズ又は顆粒の形で利用可能な原料から出発して、押出又は成形によって慣用的に処理することができる。当然、飽和TPSエラストマーは、増量されない形でも利用可能である。挙げることができるこれらの例は、名称“Kraton G”(例えば、製品G1650、G1651、G1654、G1730)としてKraton社から又は名称“Septon”(例えば、S2005、S2006、S8004、S8006)としてKuraray社から販売されるSEBS又はSEPSタイプのエラストマーである。
【0033】
不飽和TPSエラストマー、例えば、SBS、SIS又はSBBSもまた、Kraton社から名称“Kraton D”(例えば、SIS及びSBSエラストマーの例として製品D1161、D1118、D1116、D1163)として、Dynasol社から名称“Calprene”(例えば、エラストマーの例として製品C405、C411、SBSC412)として或いはAsahi社から名称“Tuftec”(例えば、SBBSエラストマーの例として製品P1500)として周知であり市販されている。
【0034】
組み合わせて用いられる2つのTPSエラストマーは、オイル増量剤が推奨された量で添加された後、説明の残りにおいて詳細に説明されるように、有効なセルフシーリング組成物の機能を満たすことができることがわかった。
【0035】
I-1-B. オイル増量剤
セルフシーリング組成物の第2の必須成分は、200phrを超える - 全エラストマー(即ち、飽和及び不飽和TPSエラストマーと、適切な場合、1つ又は複数の追加のエラストマー)100質量部当たり200質量部を超える - 好ましくは250phrを超える極めて高い含量で用いられるオイル増量剤(又は可塑化用オイル)である。
【0036】
任意の増量剤オイル、好ましくは、エラストマー、特に熱可塑性エラストマーを増量又は可塑化することができる弱極性を有するものを用いることができる。
【0037】
周囲温度(23℃)において、これらのオイルは、比較的粘稠であり、本来固体である樹脂と特に対照的に、液体(即ち、心覚えとして、最終的には容器の形を取る能力を有する物質)である。
【0038】
好ましくは、増量剤オイルは、ポリオレフィンオイル(即ち、オレフィン、モノオレフィン又はジオレフィンの重合から得られるもの)、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル(低又は高粘度を有する)、芳香族オイル、鉱油及びこれらのオイルの混合物によって形成される群より選ばれる。
【0039】
より好ましくは、オイル増量剤は、ポリブテン、パラフィン系オイル及びこれらのオイルの混合物によって形成される群より選ばれる。最も詳しくは、ポリイソブテンオイル、特にポリイソブチレン(“PIB”)オイルが用いられる。
【0040】
例として、ポリイソブチレンオイルは、特に、Univarから商品名“Dynapak Poly”(例えば、“Dynapak Poly1 90”)、BASFから商品名“Glissopal”(例えば、Glissoal 1000”)又は“Oppanol”(例えば、“Oppanol B12”)が挙げられる; パラフィン系オイルは、例えば、Exxonから商品名“Telura 618”として又はRepsolから商品名“Extensol 51”として販売されている。
【0041】
上記増量剤オイルの数平均分子量(Mn)は、好ましくは200〜30 000g/モル、より好ましくは300と10 000g/モルの間にある。過度に低いMn値について、オイルがセルフシーリング組成物の外に移行するリスクがあり、一方、過度に高いMn値は、この組成物が硬くなり過ぎる結果となり得る。350と4000g/モルの間、特に400と3000g/モルの間のMn値は、意図する用途、特に、空気式タイヤに用いられる優れた妥協点であることがわかる。
【0042】
増量剤オイルの数平均分子量(Mn)は、SECによって求められ、試験片を、先ず、約1g/lの濃度までテトラヒドロフランに溶解し、次いで溶液を0.45μm孔のフィルターで注入前にろ過する。装置は、WATERS Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は1ml/分であり、系の温度は35℃であり、分析時間は30分である。商品名“STYRAGEL HT6E”を有する2本のWATERSカラムの一組が用いられる。ポリマー試験片溶液の注入された容積は、100μlである。検出器はWATERS 2410示差屈折率検出器であり、クロマトグラフィーのデータを処理するための関連するソフトウェアはWATERS MILLENNIUMシステムである。算出された平均分子質量は、ポリスチレン標準で得られる検定曲線と対比する。
【0043】
当業者は、以下の説明及び実施態様に照らして、特に用いられることを意図するインフレータブル物品に従って、セルフシーリング組成物の具体的な使用条件に従う増量剤オイルの量をどのようにして調整するかを知るであろう。
【0044】
増量剤オイル含量は好ましくは200と900phrの間、より好ましくは250と850phrである。示された最低値よりも低いと、セルフシーリング組成物は、ある種の用途には高過ぎる剛性を有するリスクを負い、一方、推奨する最高値よりも高いと、組成物が不充分な凝集力を有するリスクが存在する。この理由により、オイル増量剤含量は、好ましくは、特にセルフシーリング組成物の空気式タイヤにおける使用においては300と800phrの間である。
【0045】
I-1-C. 各種添加剤
他の各種添加剤、例えば、カーボンブラックのような補強用充填剤、非補強用又は不活性充填剤、ラメラ充填剤、UV安定剤、酸化防止剤又はオゾン劣化防止剤のような保護剤、他の各種安定剤、及びセルフシーリング組成物を着色するのに有利に使用し得る着色剤は、典型的には少量で(好ましくは20phr未満、より好ましくは10phr未満の含量で)添加され得る。
【0046】
特定の配合のために、セルフシーリング組成物は、可塑化又は粘着付与炭化水素樹脂の使用を必要としないが、本発明は、また、このような樹脂が用いられる事例に適用する。当業者に既知の方法で、用語“樹脂”は、定義によれば、一方では、室温(23℃)で固体であり(オイルのような液体可塑化化合物とは対照的に)、もう一方では、真の希釈剤として作用するように、意図するエラストマー組成物と適合できる(即ち、用いられる含量で混和する)化合物のために確保されている。
【0047】
このような炭化水素樹脂の例としては、ホモポリマー又はコポリマーのシクロペンタジエン(CPD)又はジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、テルペンホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5画分ホモポリマー又はコポリマー樹脂及びこれらの樹脂のブレンドによって形成される群より選ばれるものが挙げることができる。
【0048】
上記エラストマー(飽和TPS、不飽和TPS及び他の可能なエラストマー)の他に、セルフシーリング組成物は、また、エラストマー以外のポリマー、例えば、TPSエラストマーと適合できる熱可塑性ポリマーを、TPSエラストマーに比べて少数の質量分率で含むことができる。
【0049】
I-2. セルフシーリング組成物のパンク防止層としての使用
上記のセルフシーリング組成物又は材料は、弾性固体化合物の固体(23℃で)であり、その特定の配合のために、非常に高い可撓性及び変形能を特に特徴とする。
【0050】
これは、任意のタイプの“インフレータブル”物品、即ち、定義によれば、空気で膨張した場合に使用できる形をとる任意の物品においてパンク防止層として使用し得る。
【0051】
このようなインフレータブル物品の例としては、インフレータブルなボート及びバルーン又はゲームもしくはスポーツに用いられるボールを挙げることができる。
【0052】
これは、ゴム製の最終製品又は半製品のインフレータブル物品に、最も詳しくは、二輪車タイプの車両、乗用車又は産業用車両のような自動車、又は自転車のような非電動車両用の空気式タイヤにパンク防止層として用いるのに特に適している。
【0053】
このようなパンク防止層は、好ましくは、インフレータブル物品の内壁上に配置され、完全に又は少なくとも部分的にそれが覆われるが、その内部構造の中に完全に一体化させてもよい。
【0054】
パンク防止層の厚さは、好ましくは0.3mmより大きく、より好ましくは0.5mmと10mmの間(特に1と5mmの間)である。
【0055】
特定の用途分野において、関連する寸法及び圧力及び本発明の実施方法は変動してもよく、パンク防止層が幾つかの好ましい厚さ範囲を含むことは容易に理解されることであろう。従って、例えば、乗用車タイプのタイヤの場合には、前記パンク防止層は、少なくとも0.5mm、好ましくは1と5mmの間の厚さを有し得る。他の例によれば、重量又は農業用車両タイヤの場合、好ましい厚さは、1と6mmの間であり得る。他の例によれば、土木工学分野の車両用又は航空機用の車両タイヤの場合、好ましい厚さは、2と10mmの間であり得る。最後に、他の例によれば、自転車の場合、好ましい厚さは0.4と2mmの間であり得る。
【0056】
本明細書に記載されるセルフシーリング組成物は、タイヤの非常に広い操作温度にわたって、このようなセルフシーリング層をもたないタイヤと比較して、転がり抵抗に関して実際に悪影響を受けない利点を有する。通常のセルフシーリング組成物と比較して、特に穿孔物体が後に除去された場合に、穴が塞がれる速度がかなり大幅に改善される。
【0057】
更に、通常のセルフシーリング組成物は、かなりのクリープを受ける。タイヤが走行している間、前記セルフシーリング組成物は遠心力の作用下でこれらのタイヤのサイドウォール部分からしばしば追い出され、そのクラウン部分に蓄積する。これは、タイヤのいかなる内部にも入り得る、本発明が推奨する組成物の事例ではない。
【0058】
当然、本発明は、上記セルフシーリング組成物が気密層と必ずしも組み合わせられることなくタイヤ又は任意の他のインフレータブル物品に用いられる事例に適用する。
【0059】
しかしながら、本発明の具体的な好ましい実施態様によれば、セルフシーリング組成物は、セルフシーリング且つ機密であり、また、タイヤのようなインフレータブル物品の内壁として特に使用し得る、多層ラミネートを形成するために少なくとも第2の気密層と組み合わせられる。
【0060】
ラミネートの第2層は、気密膜(又はより一般的にはガスの漏れない膜)の機能を満たすことができる任意のタイプの材料を、例えば、金属材料にしてもポリマー材料にしても含むことができる。この気密層は、厚さが好ましくは0.05mmより大きく、より好ましくは0.05と6mmの間(例えば、0.1から2mmまで)を有する。
【0061】
好ましい実施態様によれば、この第2気密層は、ブチルゴム組成物を含む。用語“ブチ
ルゴム”は、知られている通り、イソブチレン/イソプレンコポリマー(略号 IIR)、及びこのタイプのコポリマーのハロゲン化、好ましくは塩素化又は臭素化変形例を意味すると理解すべきである。好ましくは、ブチルゴムは、ハロゲン化ブチルゴム又はハロゲン化及び非ハロゲン化ブチルゴムのブレンドである。ブチルゴムは、それ自体で、或いは、1つ以上の他のエラストマー、特にジエンエラストマー、例えば、天然ゴム又は合成ポリイソプレンと組み合せて用いることができる。また、気密組成物には、当業者にとって既知の気密層において通常存在する各種添加剤、例えば、カーボンブラック、シーリングを改良するラメラ充填剤(例えば、カオリン、タルク、雲母、クレー又は変性クレー(“オルガノクレー”)のようなフィロケイ酸塩)、酸化防止剤又はオゾン劣化防止剤のような保護剤、架橋系(例えば、イオウ系または過酸化物系)及び各種加工助剤又は他の安定剤のような補強用充填剤が含まれる。
【0062】
上のラミネートの2つの層は、任意の適切な手段により、例えば、単純なキュアリング操作、好ましくは加圧下(例えば、16バールの圧力下150℃で数分間)により一緒に結合することができる。
【0063】
II. 本発明の例示的実施態様
上記セルフシーリング組成物及び多層ラミネートは、有利には、すべての車両タイプのタイヤに、特に非常に高速で走行しやすい乗用車用のタイヤ又は特に高内部温度条件下で走行及び操作しやすい重量産業用車両のタイヤに用いることができる。
【0064】
一例を示すために、単一の添付図面は、本発明のタイヤによって半径方向断面を極めて略図的に示している(一定の縮尺で描かれていない)。
【0065】
このタイヤ1は、クラウン補強材又はベルト6によって補強されたクラウン2、2つのサイドウォール3及び2つのビード4を有し、これらのビード4の各々は、ビードワイヤー5によって補強されている。クラウン2は、トレッド(この略図には図示せず)が取付けられている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードワイヤー5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、タイヤ1の外側に向って位置しており、この場合、リム9に取付けて示されている。カーカス補強材7は、それ自体知られている通り、コード、いわゆる“ラジアル”コード、例えば、繊維又は金属コードによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのコードは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通るタイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の角度をなしている。
【0066】
タイヤ1は、その内壁が、少なくとも2つの層(10a、10b)を含む多層ラミネート(10)を含み、前記ラミネートが、その第1層(10a)のためにセルフシーリング性であり、その第2層(10b)のために気密性であることに特徴を有する。
【0067】
本発明の好ましい一実施態様によれば、2つの層(10a、10b)は、タイヤの実質的内壁全体を覆い、一方の側壁から他方の側壁に、タイヤが装着位置にあるときの少なくともリムガターを有するレベルまで延びている。他の可能な実施態様において、層10aは、また一方、気密領域(層10b)の部分のみ、例えば、タイヤのクラウンゾーンのみを覆い得るか、或いは少なくともクラウンゾーンからショルダーまで又は前記タイヤの中心点(赤道)まで延び得る。
【0068】
他の好ましい実施態様によれば、ラミネートは、第1セルフシーリング層(10a)が、添付図面に概略的に示されているように、その他の層(10b)に相対してタイヤの半径方向の最外部にあるような形で配置されている。言い換えれば、セルフシーリング層(10a)は、タイヤ1の内部空洞11の側面上の気密層(10b)を覆っている。他の可能な実施態様は、この層(10a)が半径方向の最深部にあり、その場合、気密層(10b)とタイヤ1の残余の構造との間に配置されているものである。
【0069】
この例において、層10b(0.7から0.8mmまでの厚さを有する)は、“内部ライナー”用の従来の配合を有するブチルゴムに基づき、通常は、従来のタイヤにおいて、カーカス補強材をタイヤの内部空間からの空気の拡散から保護することを意図する前記タイヤの半径方向内面を画成している。それ故、この気密層10bは、タイヤ1を膨張させ加圧下に保つのを可能にしている。その密封特性は、比較的遅い圧力減速度を担保するのを可能にしており、タイヤの膨張を、正常な操作状態において、充分な時間、通常は数週間又は数ヶ月間保つのを可能にしている。
【0070】
層10aは、それ自体、3つの必須成分、即ち、75phrの質量含量を有するSEBS飽和エラストマー(Kraton社製“G1654”; 約30%のスチレン含量、Tg約-60℃及び約150 000g/モルのMn値を有する)及び25phrの質量含量を有するSBS不飽和TPSエラストマー(Kraton社製“D1118”)及び最後にポリイソブチレンオイル増量剤(Univar社製“Dynapak 190”- 約1000g/モルのMn)を含むセルフシーリング組成物からなる。
【0071】
上のセルフシーリング組成物は、以下の通り調製される。3つの成分(SEBS、SBS及びオイル)を、二軸スクリュー押出機(L/D = 40)を用いて、典型的には組成物の融点(約190℃)より高い温度で慣用的に混合した。使用する押出機には、2つの異なるフィード(ホッパー)(一方はSEBS用及びもう一方はSBS用)及びポリイソブチレンオイル増量剤用の加圧液体インジェクションポンプを有した。また、押出機には、望ましい寸法で製品を押出すダイが備えられた。
【0072】
従って、層10bとタイヤの空洞11との間に配置される層10aは、これらの穿孔が自動的に密封されることを可能にすることによって、偶発的な穿孔による圧力減に対する有効な保護をタイヤに与える。
【0073】
クギのような異物がインフレータブル物品の構造、例えば、タイヤ1のサイドウォール3又はクラウン6のような壁を通る場合には、セルフシーリング層として機能する組成物がいくつかの応力を受ける。これらの応力に反応して、また、その有利な変形性及び弾力特性のために、前記組成物は、物体の周りに不透過性接触領域を生じる。前記物体の輪郭又は外形が均一又は規則的であるかどうかは殆ど重要ではなく、セルフシーリング組成物の可撓性が非常に小さなサイズの開口中に浸透するのを可能にする。セルフシーリング組成物と異物とのこの相互作用により、前記物体が侵襲したゾーンを密封する。
【0074】
異物が偶発的にしても意図的にしても除去された場合、穿孔は残存し、その大きさによるが、比較的大きな漏れを発生しやすい。静水圧に曝されたセルフシーリング組成物は、充分に軟質で且つ変形性であり、変形することによって穿孔を閉鎖して、膨張ガスが漏出するのを防止する。特にタイヤの場合、セルフシーリング組成物の可撓性は、積載時及び走行時のタイヤの変形期間中でさえも、周囲壁からの力に何の問題もなく耐えることを可能にすることがわかった。
【0075】
上記のようにパンク防止層(10a)を備えたタイヤは、有利には、加硫(又はキュアリング)の前に製造することができる。セルフシーリング組成物は、層10aを形成するように、望ましい場所で従来の方法で簡単に適用される。次に、加硫が慣用的に行われる。TPSエラストマーは、加硫工程と関連する応力に充分に耐えることができる。
【0076】
タイヤを製造する当業者のための有利な製造変形例は、当業者に周知の製造技術を用いて、気密層、次にタイヤの構造の残余で覆われる前に、例えば、第1の工程で、セルフシーリング組成物を直接組み立てドラム上に、適切な厚さ(例えば、2から6mmまで)のスキムの形で平らに付着させることからなる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレータブル物品においてパンク防止層として特に使用し得るセルフシーリング熱可塑性エラストマー組成物であって、少なくとも以下の成分(phrはゴム100質量部当たりの質量部を意味する):
- 少なくとも30phrの飽和熱可塑性(TPS)エラストマー;
- 多くても70phrの不飽和TPSエラストマー; 及び
- 200phrを超える前記エラストマーのためのオイル増量剤
を含む、前記組成物。
【請求項2】
飽和TPSエラストマーの量が少なくとも50phrであり、不飽和TPSエラストマーの量が多くても50phrである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
飽和TPSエラストマーが、スチレン/エチレン/ブチレン(SEB)、スチレン/エチレン/プロピレン(SEP)、スチレン/エチレン-エチレン/プロピレン(SEEP)、スチレン/エチレン-ブチレン/スチレン(SEBS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)、スチレン/エチレン-エチレン-プロピレン/スチレン(SEEPS)コポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
飽和TPSエラストマーが、SEBSコポリマー、SEPSコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
不飽和TPSエラストマーが、スチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/ブチレン(SBB)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)ブロックコポリマー及びこれらのコポリマーのブレンドによって形成される群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
飽和TPSエラストマー及び不飽和TPSエラストマーが、各々5と50質量%の間のスチレンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
飽和TPSエラストマー及び不飽和TPSエラストマーの数平均分子量が、各々50 000と500 000g/モルの間にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
増量剤オイルが、ポリオレフィンオイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族オイル、鉱油及びこれらのオイルの混合物によって形成される群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
オイル増量剤が、ポリブテンオイル、パラフィン系オイル及びこれらのオイルの混合物によって形成される群より選ばれる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
オイル増量剤が、ポリイソブチレンオイルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
オイル増量剤の数平均分子量が、200と30 000g/モルとの間にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載のラミネート。
【請求項12】
増量剤オイルの含量が、200と900phrの間にある、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
飽和TPSエラストマーの量が少なくとも60phrに等しく、好ましくは70から95phrまでの範囲にあり、不飽和TPSエラストマーの量が多くても40phrに等しく、好ましくは5から30phrの範囲にある請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
インフレータブル物品におけるパンク防止層としての請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
インフレータブル物品において特に使用し得るパンク防止気密多層ラミネートであって、少なくとも:
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のセルフシーリングエラストマー組成物を含む第1パンク防止層; 及び
- 第2気密層
を含む、前記ラミネート。
【請求項16】
気密層が、ブチルゴム組成物を有する、請求項15に記載のラミネート。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のラミネートのインレータブル物品における使用。
【請求項18】
パンク防止層又はパンク防止気密ラミネートが、それぞれ、インレータブル物品の内壁上に付着される、請求項14又は17に記載の使用。
【請求項19】
インフレータブル物品が、ゴム物品である、請求項14、17及び18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
インフレータブル物品が、インフレータブルタイヤである、請求の範囲14及び17〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のセルフシーリング組成物又はパンク防止気密ラミネートを含むインフレータブル物品。
【請求項22】
セルフシーリング組成物又はパンク防止気密ラミネートが、インフレータブル物品の内壁上に付着される、請求項21に記載のインフレータブル物品。
【請求項23】
前記物品が、ゴム物品である、請求項21又は22に記載のインフレータブル物品。
【請求項24】
前記物品が、車両用のインフレータブルタイヤであることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか1項に記載のインフレータブル物品。

【公表番号】特表2011−525435(P2011−525435A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513907(P2011−513907)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003949
【国際公開番号】WO2009/156050
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】