説明

セルロース系融着加工糸、その製造方法及びそれを用いた布帛

【課題】本発明の目的は、従来得られなかった、セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物である融着加工糸、または、それを用いた製品によって、清涼感と独特の風合いを有し、かつ、吸水性、吸湿性に優れ、春夏用の衣料品として好適な融着加工糸を提供することにある。
【解決手段】セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物が加撚状態にて融着されたセルロース系融着加工糸を使用しているために、染色、仕上げ加工後の布帛においても清涼感と独特の風合いを有し、かつ、吸水性、吸湿性に優れ、春夏用の衣料品として好適な素材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物を用いた融着加工糸、その製造方法、または、それを用いた製品に関する。より詳しくは、セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなる繊維が加撚状態にて融着されたセルロース系融着加工糸と該セルロース系融着加工糸を使用しているために、染色、仕上げ加工後の布帛としては清涼感とソフト感を同時に有する独特の風合いを有し、かつ、吸水性、吸湿性に優れ、春夏用の衣料品として好適な素材を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル糸を用いた融着仮撚糸を製造する方法は、特許文献1や2などで提案されている。これらの融着仮撚糸はポリエステルの一部を融着し、解撚部と未解撚部を混在させることで得られる方法であり、シャリ感とハリ、腰感のある麻様風合の布帛を得るために優れた素材を得ることができる。
【0003】
しかしながら、これらの融着仮撚糸のみを使用して布帛にすると、ガサついて粗硬感のある風合いとなり、また、糸条の長手方向に互いに反対方向の撚を有する未解撚融着部と過解撚融着部とが交互に存在するため、製編織工程等で張力を受けると撚が相殺され、糸条の形態が変化しやすいという欠点がある。さらに、融着仮撚糸を製編織して得られる布帛をアイロンをかける際に、糸条の潜在トルクが部分的に発現してシボ立ちしやすいという欠点もある。また、融着仮撚糸は製造過程において管理が非常に困難であり、糸切れや欠点、規格外れが非常に大きいという大きな問題も有している。
【0004】
一方、例えば特許文献3には、膨らみ感や柔軟性を増すために2種以上のフィラメントを使用した融着仮撚糸がに記載されている。しかし、2種以上のフィラメントを使用するため製造工程が複雑になる他、前記問題も完全には解消できていない。
【0005】
そこで、麻調のシャリ感を有しながら同時に従来よりもソフトな風合いを有し、容易に製造可能な融着仮撚糸が求められていた。
【特許文献1】特公昭60−11129号公報
【特許文献2】特公昭62−40448号公報
【特許文献3】特開平11−12871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、従来得られなかった、セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物である融着加工糸、または、それを用いた製品によって、清涼感と独特の風合いを有し、かつ、吸水性、吸湿性に優れ、春夏用の衣料品として好適な融着加工糸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の融着加工糸は上記の課題を解決するために次の構成を有する。すなわち、
[1]セルロースエステル系繊維Aを少なくとも一部に含む加工糸であって、該セルロースエステル系繊維Aが加撚状態にて融着していることを特徴とするセルロース系融着加工糸。
【0008】
[2]セルロースエステル系繊維Aが、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレートから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする前記[1]に記載のセルロース系融着加工糸。
【0009】
[3]強度が3.0cN/dtex以上であって、融点が160℃以上ある熱可塑性繊維Bが混繊されていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のセルロース系融着加工糸。
【0010】
[4]仮撚糸であり、かつ、解撚率が60%以下であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸。
【0011】
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸の製造方法であって、加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下、仮撚係数が15,000以上30,000以下の条件で加撚され、融着することを特徴とするセルロース系融着加工糸の製造方法。
【0012】
[6]前記[3]または[4]に記載のセルロース系融着加工糸の製造方法であって、セルロースエステル系繊維Aと熱可塑性繊維Bとを加撚前に混繊し、加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下、仮撚係数が15,000以上30,000以下の条件で加撚し、該セルロースエステル系繊維Aを融着することを特徴とするセルロース系融着加工糸の製造方法。
【0013】
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸を用いた布帛であって、セルロース系繊維Aが鹸化されており、減量率が10重量%以上65重量%以下である布帛。
【0014】
[8]前記[7]に記載されたセルロース系融着加工糸を用いた布帛において、布帛構造を形成後にセルロースエステル系繊維Aが鹸化し、融着部分を消失された布帛の状態において解撚率が60%以下であることを特徴とするセルロース系融着加工糸を用いた布帛の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明はセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物を用いた融着加工糸に関する。より詳しくは、セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなる繊維が加撚状態で融着された素材を用いているために、清涼感と独特な風合いであるソフト感とシャリ感を同時有し、かつ、セルロース系素材の有する吸水性、吸湿性を持ち合わせ、加工工程におけても容易に管理することが可能な素材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0017】
本発明は、加工糸の少なくとも一部として、セルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなる繊維(以下、セルロースエステル系繊維Aと称する)を用いて、融着仮撚を施すことにより、セルロースエステル系繊維Aのソフト感とシャリ感を同時に有する素材を得ることができる。すなわち、糸の長さ方向に連続的に単繊維が融着した仮撚糸でもよく、間欠的に融着部が存在する仮撚糸でもよい。また繊維を構成する複数の単繊維の一部が部分的に融着した仮撚糸でもよい。本発明でいう融着とは、繊維が開繊されずに単繊維同士が溶融接着したり、繊維全体が撚られた状態で単繊維同士が溶融接着したことをいい、融着部とは融着した部分をいう。このように、繊維の全体、または一部が撚られた状態で融着した繊維が、織物や編物などの布帛構造を構成した後、融着部分を消失させる加工方法(溶出)を用いても、布帛構造により加撚状態が固定されているために、適度なシャリ感が残存する仕組みとなる。融着部分の溶出前後の融着加工糸の断面の模式図を図6、図7に示す。
【0018】
また、布帛した場合、解撚率が60%以下であれば、強いシャリ感が残存する素材となるが、減量によりシャリ感が軽減されてしまうために、加撚されたセルロースエステル系繊維Aとしては解撚率が40%以下であるものがより好ましく使用される。ここで、解撚率とは、繊維長さ方向に対して、繊維が撚られていない部分の比率を示す。本発明の融着加工糸の一例を示す側面の模式図を図4、図5に示す。ここで、特に限定されるものではないが、図5はセルロース系エステル繊維Aと他の繊維との複合混繊糸の側面の模式図の一例であるが、セルロース系エステル繊維Aが芯部(点線)、鞘部(実線)のいずれでも構わない。
【0019】
さらに、該セルロースエステル系繊維Aは鹸化し、セルロース化したものが好ましく使用される。セルロースエステル系繊維Aを鹸化することにより、セルロースエステル系繊維Aの単繊維繊度が減少し、ソフト感がさらに向上する素材となる。セルロースエステル系繊維Aの繊度減少率が60重量%以上であるようにセルロースエステル系繊維Aが完全に鹸化されていることが好ましいが、鹸化前のセルロースエステル系繊維Aの単繊維繊度にもよるが、セルロースエステル系繊維Aの20重量%以上の繊度減少率であるように、セルロースエステル系繊維Aの少なくとも一部が鹸化されていれば、十分なソフト感のある素材を得ることができる。このような方法により、ソフト感とシャリ感を同時に有した従来なかった素材を得ることができる。
【0020】
本発明におけるセルロースエステル系繊維Aは、セルロースエステル組成物よりなるが、組成物の主成分であるセルロースエステルは、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたものである。炭素数2のアシル基であるアセチル基のみによって置換されたセルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなど)よりなる繊維は、ポリマー組成物としての熱可塑性がほとんどないため、複合混繊加工や仮撚加工時の十分な熱セットを受けることができず、十分に堅牢な捲縮および嵩高性を有する物ではない。それに対し、少なくとも一部の水酸基が例えば炭素数3のアシル基であるプロピオニル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とする場合、複合混繊加工や仮撚加工時の熱セットが可能となるため、複合混繊糸では、延伸倍率や収縮率をコントロールし、糸長差を持つ複合混繊加工を行うことで、大きいふくらみ感を有する素材を得ることができる。また、仮撚加工糸は例えば熱水処理を施した後にも残存しているような強固かつ嵩高い捲縮を有するものとなる。
【0021】
少なくとも一部の水酸基を置換するアシル基の炭素数に関しては、3以上であれば良好な熱可塑性によって高い加撚や融着を有する仮撚融着加工糸となるため好ましい。また18以下であれば加工糸の強度および耐熱性が低下することがないため好ましい。また、水酸基を置換するアシル基は1種類である必要はなく、炭素数2のアセチル基と炭素数3のプロピオニル基によって置換されたセルロースエステルであってもよい。
【0022】
また、繊維のソフト感を発現させるために少なくとも一部のアシル基が炭素数3〜18のものであることが好ましい。炭素数3のアシル基すなわちプロピオニル基を少なくとも一部に有するセルロースエステルは、全てが炭素数2のアシル基すなわちアセチル基からなるセルロースエステルに比べて、格段に柔軟となり、初期引張抵抗度が十分に低くなり、得られる値も10cN/dtex以上25cN/dtex以下と、ソフト感を有する素材を得ることができる。同様に炭素数4のアシル基であるブチリル基を少なくとも一部に有するセルロースエステルも好ましく用いられる。少なくとも一部に導入されるアシル基の炭素数が18以下であれば、セルロースエステルの親水性が極端に失われることもなく、ヌメリ感を生じることもない。フィラメントを柔軟にする目的の観点から、炭素数3〜18のアシル基に対応する置換度は、1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましい。
【0023】
本発明で採用しうる具体的なセルロースエステルの例としては、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、また、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートカプロネート、セルロースアセテートカプリレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートオレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレートなどがあげられる。中でも、製造が容易なことおよび耐熱性が優れていることから、本発明のセルロースエステルとしてはセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好適に採用できる。
【0024】
また、本発明で用いられるセルロースエステル組成物は可塑剤を含んでいることが好ましい。可塑剤の量としてはセルロースエステル組成物全重量に対して5〜30重量%含有することが好ましい。5重量%以上の可塑剤を含有することで、組成物の熱流動性が良好となり、溶融紡糸時の生産性を向上することが可能となる。また、30重量%以下の可塑剤量とすることで、繊維表面への可塑剤のブリードアウトを抑制することができ、室温での膠着などのトラブルを回避することができる。セルロースエステル組成物の可塑剤含有量は、溶融紡糸時の生産性の観点から、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることが最も好ましい。また、ブリードアウトを抑制する観点からは、25重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが最も好ましい。
【0025】
本発明において用いられる可塑剤は、本発明のセルロースエステルに混和するものであれば特に制限はなく用いることができる。例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類、テトラオクチルピロメリテート、トリオクチルトリメリテートなどの芳香族多価カルボン酸エステル類、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、ジグリセリンテトラアセテート、グリセリン混合エステルなどの多価アルコールの脂肪酸エステル類、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類などを挙げることができる。
【0026】
また、高分子量の可塑剤として、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリバレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエステル類などを挙げることができる。これらの高分子量可塑剤は共重合体であってもよいし、重合体の一部が修飾されているものであってもよい。
【0027】
さらには水溶性の可塑剤として、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、一般式(1)で示されるポリエーテル類などを挙げることができる。ここで水溶性とは、20〜100℃の温度の水にその10重量%以上が溶解可能であることをいう。
R1−O−{(CH)nO}m−R2 ・・・(1)
(但し、R1とR2は、H、アルキル基およびアシル基よりなる群から選ばれた同一または異なる基を表す。nは2〜5の整数、mは3〜30の整数)。
【0028】
上記の一般式(1)で示されるポリエーテル化合物は、セルロースエステルとの相溶性が優れているため好適に採用することができる。具体的なポリエーテル化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体などを挙げることができる。
【0029】
特に限定されるものではないが、本発明においては上記に示す可塑剤の融点が低いことから融着が発生し(低融点成分と記す場合もある)、図6のような融着部分が発生する。ここで、複合混繊などの加工を行う場合には、この低融点成分である可塑剤の融点は160℃以下であるものが好ましく使用される。このように融着部分が溶出可能な可塑剤である場合には、図7のように融着部分を除去されたものを得ることも可能である。
【0030】
また、複合混繊のように融着加工糸の一部として他の繊維を用いる場合には、強度が3.0cN/dtex以上であって、融点が160℃以上である熱可塑性マルチフィラメント繊維(以下、熱可塑性繊維Bと称する)を用いることが好ましい。セルロースエステル系繊維Aについては、融着仮撚時や湿潤時に強度が低くなる傾向があり、布帛強度の改善や高次工程での通過性を考えると、3.0cN/dtex以上の強度を有する熱可塑性繊維Bと複合混繊して、セルロース系融着加工糸の強度を改善することが好ましい。作成されたセルロース系融着加工糸の強度として、2.0cN/dtex以上であることが好ましいが、1.5cN/dtex以上の強度であれば、製織、編成、染色などの高次工程での通過性は可能であり、また、衣料用として使用できる素材を得ることができる。また、複合混繊する熱可塑性繊維Bの融点が160℃以上であることが必要である。熱可塑性繊維Bの融点が160℃以上であれば、複合混繊したセルロース系繊維Aが融着される温度よりも熱可塑性繊維Bの融点が十分高いために、熱可塑性繊維Bへのダメージは少なく、上記した高強度を保った素材となるため好ましい。ここで、熱可塑性繊維Bの素材ついては、上記特性を満たす限り特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステルやポリアミド、ポリプロピレンなど素材を用いることが考えられる。このような場合には、これら熱可塑性繊維Bの融点である200〜260℃付近が熱可塑性繊維Bの融点であり、通常の素材を使用する場合には、融点の上限が290℃付近であることが挙げられる。
【0031】
ここで、本発明においてセルロースエステル系繊維Aと熱可塑性繊維Bとを複合混繊する場合は、混繊状態の加工糸の外層部と内層部が完全に分離、独立している必要はなく、各部を構成する糸条の単繊維と部分的に混ざっていても、また多少逆転していても構わないものである。セルロースエステル系繊維Aが外層部にある場合には、肌触りをソフトな風合いを有し、良好な吸湿性や吸水性を有する素材となるため好ましく使用される。
【0032】
ここで、複合混繊時のセルロースエステル系繊維Aと熱可塑性繊維Bとの混繊割合については、特に限定されるものではないが、複合繊維の強度やセルロースエステル系繊維Aを生かした風合い、上記の布帛減量率を考慮すると、熱可塑性繊維Bの混繊割合が、複合混繊した融着加工糸において10重量%以上70重量%以下の範囲であることが好ましい。熱可塑性繊維Bの混繊比率が10重量%に満たない場合には、加工糸としての強度の改善が小さいことなど、複合混繊加工における熱可塑性繊維Bの特徴が生かされないものとなる。また、70重量%より大きい場合には、得られた織物において熱可塑性繊維Bの特徴が強く、融着加工されたセルロースエステル系繊維Aの特徴であるシャリ感がほとんどないものとなるために好ましくない。
【0033】
また、本発明の融着加工糸を用いた織物や編物等の布帛は、減量率が10重量%以上65重量%以下として、作製されることが好ましい。本発明におけるセルロースエステル系繊維Aが水溶性の可塑剤を含んでいる場合には、40℃〜60℃付近の湯洗にてセルロースエステル系繊維Aの可塑剤重量分(一例として20重量%程度)の減量が容易に可能となる。よって本発明のセルロースエステル系繊維Aを用いた融着加工糸を使用することにより、セルロースエステル系繊維A以外の繊維に対するダメージが少ない状態で、容易に大きな布帛減量が可能な素材を得ることができる。さらに、上記のように可塑剤による減量を行った後に、セルロースエステル系繊維Aの鹸化を行うことにより、さらに布帛の減量を行うことが可能である。布帛の減量率が10重量%未満の場合には変化が微小であり、風合い改善には至らず、また、65重量%より大きい場合には、布帛構造がルーズとなってしまうため、目ズレや布帛強度低下などの欠点が生じやすい素材となる。より好ましくは、20重量%以上40重量%以下の布帛減量率である。
【0034】
セルロースエステル系繊維Aの単繊維繊度は0.1dtex以上2.0dtex以下であることが好ましい。セルロースエステル系繊維Aの単繊維繊度を2.0dtex以下とすることで、よりソフトな風合いを有した布帛を得ることが可能となる。ただし、単繊維繊度を0.1dtex未満であれば、紡糸における操業性の悪化や品質のばらつきが発生するために、繊維を作成することが困難である。よって、セルロースエステル系繊維Aの単繊維繊度は0.1dtex以上2.0dtex以下であることが好ましい。
【0035】
セルロースエステル系繊維Aの断面形状については、特に限定されるものではないが、3葉以上の多葉断面、好ましくは3、4、5、6葉断面などのように丸型断面より表面積が大きくなる異形断面形状である場合には、繊維間に微細な空隙を多数形成するため毛細管現象による吸水力が増し、スポーツウェアなどの吸汗性を必要とする素材には好適に用いられる。なお、異形断面としてはY、W、C、H、X等でもよい。また、繊維間に微細な空隙を多数作り出す、丸型と異形断面を組み合わせたマルチフィラメントでも良い。
【0036】
熱可塑性繊維Bの単繊維繊度および断面形状はセルロースエステル系繊維Aと同様、単繊維繊度は0.5〜10dtex、断面形状はY、W、C、H、Xなどのように丸型断面よりも表面積が大きい形状の方が好ましい。
【0037】
本発明のセルロース系融着加工糸の製造方法においては、セルロースエステル系繊維Aを加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下、仮撚係数が15,000以上30,000以下の条件で加撚し、セルロースエステル系繊維Aを融着させることが重要である。
【0038】
本発明のセルロースエステル系繊維Aを使用する場合には、130℃以上の温度にて部分的に融着を開始するために、130℃以上で仮撚加工を行う方法が適切である。また、180℃以上の温度は強度の低下や糸切れの多発など繊維のダメージが大きいために適切でない。よって、加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下が好ましく使用される。
【0039】
また、仮撚係数については、15,000から30,000の範囲が好ましく使用される。15,000より小さい場合には、繊維に十分なシャリ感が得られない。また、30,000以上となると2重に撚が入ったり、糸切れが多発するため好ましくない。ここで、仮撚係数は以下の式で計算される値である。
(仮撚係数)=(仮撚数)×(繊度;dtex×0.9)1/2
融着仮撚糸を製造する方法については、特に限定されるものではないが、図1や図3のような通常の仮撚工程において仮撚時に融着糸を形成する方法や、図2のようなセルロースエステル系繊維と他の繊維と複合混繊した後に仮撚時に融着糸形成する方法があり、加撚部ヒーター温度を通常より高く設定する方法が使用される。
【0040】
本発明における熱可塑性繊維Bについては、特に限定されるものではないが、通常のポリエステル繊維の他に、イソフタル酸及び2,2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンなどを含有する共重合ポリエチレンテレフタレートのような高収縮ポリエステル繊維を用いることができる。このようなポリエステル素材を使用する場合には、染色上の関係からセルロースエステル系繊維Aを鹸化するように処理することが好ましい。セルロースエステル系繊維Aを鹸化することにより、ポリエステルの染色温度である130℃付近での染色が可能となり、鮮明な発色性を得ることが可能である。
【0041】
ここで、熱可塑性繊維Bにポリアミドや常圧カチオン染色のポリエステルのような100℃以下での染色が可能な繊維を使用する場合には、セルロースエステル系繊維Aに失透(発色の鮮明性が失われる)の危険が小さいために、必ずしもセルロースエステル系繊維Aを鹸化する必要はないが、取扱性を考えると、鹸化処理を行う方法が好ましい。このように布帛の表面感から見た場合には、熱可塑性繊維Bの染色方法によって、鹸化の重要度が異なってくる。
【0042】
鹸化処理の方法については、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウム水溶液を用いた通常の鹸化方法が使用される。
【0043】
本発明の複合混繊する場合は、より強固に混繊させるために、セルロースエステル系繊維Aの融着仮撚を行う前に混繊させることが好ましい。混繊の方法については、特に限定されるものではないが、通常タスラン加工と称される方法やインターレース加工称される方法により、2種類の異なるフィラメントを混繊させることが可能である。2種類の異なるフィラメントに、フィード差を付けて送り出すことにより、一方が他方にカバーするような状態となり層構造をなすことが可能となるが、フィード差を付けずに引き揃えにて混繊させる加工も可能である。複合混繊する場合の方法については、特に限定されるものではないが、図2に示すように、上記の方法にて2種類のフィラメントを複合混繊した後に、融着仮撚を行う方法が使用される。
【0044】
本発明における融着仮撚加工では、仮撚加工において一般に用いられるピンタイプ、フリクションディスクタイプ、ベルトニップタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよい。
なお、本発明における各種特性値は次の方法で測定するものである。
【0045】
(1)繊維強度及び伸度
JIS−L−1013法、合成繊維フィラメント引張試験法(1999年度版)に基づいて、インストロン社製引張試験器(インストロン5500R)を用い、試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を20回行い、破断点の応力の平均値を繊維の強度(cN/dtex)とした。
【0046】
(2)布帛の減量率
減量処理前後の重量を測定し、処理によって減量した重量の処理前の重量に対する変化率を百分率で表し、減量率(重量%)とした(測定のためn数は5とした)。
【0047】
(3)沸騰水収縮率
JIS−L−1013法、熱水収縮率測定法(1999年度版)に基づいて、糸条を98℃の沸水バス中で30分間処理し、処理によって収縮した長さの処理前繊維長に対する百分率を沸水収縮率(%)とした(測定のためのn数は5とした)。
【0048】
(4)繊維の解撚率
下記に実施した方法にて、得られた布帛サンプルをマイクロスコープにて50倍の倍率で観察し、繊維5mm長の解撚率の測定を10カ所行い、解撚率の平均値を繊維の解撚率(%)とした。解撚率は、下式のように、繊維長さ(5mm)に対して、繊維が撚られていない部分の長さ(L:図4、図5における解撚部)の比率とした。
(解撚率:%)=L/5×100
(5)風合い(ソフト感)
被験者10名が試験し、触手による官能試験によって、風合いについてはソフト感とふくらみについて評価し、それぞれ3段階(「ソフト感が優れている」は◎、「普通」は△、「がさついた風合い」は×)で評価した。
【0049】
(6)風合い(シャリ感)
被験者10名が試験し、触手による官能試験によって、ソフト感とふくらみについて評価し、それぞれ3段階(「シャリ感が強くあり清涼」は◎、「ややシャリ感がある」は△、「シャリ感がない」は×)で評価した。
【0050】
(7)表面感、染色特性
得られた加工糸を用いて織物を作成し、下記の実施例に沿った処理や染色を行った。得られた織物の表面感および濃色性について目視による外観検査を実施した。「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×とした。
【実施例】
【0051】
(実施例1、2)
(1)セルロースエステル系繊維A
アセチル置換度が0.2、プロピオニル置換度が2.5(トータル置換度2.7)であるセルロースアセテートプロピオネート80部と、可塑剤としてポリエチレングリコール(以下、PEGと称する場合もある)20部を2軸エクストルーダーを用いて混練し均一なチップとした。ポリマー屈折率は1.44であった。
【0052】
得られたチップを通常の紡糸方法にて、紡糸温度230℃とした溶融パックへ導入して、円形の36ホール有する紡糸口金から3000m/分で引き取って100dtex−36fのセルロースエステル繊維(セルロースエステル系繊維A)を得た。得られたセルロースエステル系繊維Aの強度、引張抵抗度、沸騰水収縮率は、1.78cN/dtex、23cN/dtex、0.3%であった。
【0053】
(2)融着加工、布帛処理
図1に示す仮撚工程(加工速度130m/分)において、セルロースエステル系繊維Aを給糸Yとし、フィードローラ1を介して、ヒーター温度150℃、2200T/m、延伸倍率1.05倍にて加工を行い、テイクアップローラ6に巻き取り、93dtex−36fの融着加工糸を得た。
【0054】
作成した加工糸をカバーファクター1000にて平織物を作製し、浴比1:30、50℃のお湯にて20分間でPEGを溶出させた。次いで、実施例1については、浴比1:30、90℃、1.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液にて、60分間鹸化処理を行い、実施例2については鹸化処理を行っていない。
【0055】
次に、実施例1のサンプルは100℃、20分間反応染料にて染色加工を行い、実施例2のサンプルは120℃、20分間分散染料で染色加工を行っている。これらのサンプルを130℃ピンテンターにて熱セットを行ったものを布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。
【0056】
(実施例3)
(1)セルロースエステル系繊維A
実施例1と同様に丸断面100dtex−36fのセルロースエステル系繊維Aを用いた。
【0057】
(2)熱可塑性繊維B
熱可塑性繊維Bとして、テレフタル酸/エチレングリコールスラリ及びイソフタル酸/エチレングリコールスラリを用いて常法に従いエステル化反応を行った後、共重合成分としてイソフタル酸及び2,2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンのエチレングリコール溶液を添加し、通常の方法により重合を行い、イソフタル酸7.1モル%、BHPP4.4モル%含有の共重合ポリエチレンテレフタレートのチップを得た。これを通常の紡糸方法にて、24ホール有する紡糸口金により紡糸温度280℃、紡糸速度2000m/分で未延伸糸を得た。さらにこの未延伸糸を延伸速度600m/分でホットロ−ル(温度90℃)−熱板(温度120℃)の方式により延伸し、沸収率が19.9%、強度が4.1cN/dtexである56dtex−24fのポリエステルマルチフィラメント(熱可塑性繊維B)を得た。
【0058】
(3)融着加工、布帛処理
図2に示す流体噴射加工工程(加工速度130m/分)において、セルロースエステル系繊維Aと熱可塑性繊維Bを流体噴射ノズル9にて、引き揃えた状態で複合混繊した後、仮撚ツイスター13にて、延伸倍率1.05倍、仮撚ヒーター温度150℃、仮撚数1800T/mで加工を行い、テイクアップローラ15に巻き取り、151dtex−60fの融着加工糸を得た。
【0059】
実施例1と同様に、PEG溶出、鹸化、染色を行い、布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。
【0060】
(実施例4)
(1)セルロースエステル系繊維A
実施例1と同様に丸断面100dtex−36fのセルロースエステル系繊維Aを用いた。
【0061】
(2)熱可塑性繊維B
三酸化アンチモンを重合触媒として用い、テレフタル酸/エチレングリコールから常法に従いポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。この時、艶消し剤として平均一次粒径0.5μmの酸化チタンを0.4重量%添加し、チップを得た。これを通常の紡糸方法にて、重合体を紡糸温度284℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸を行い、95dtex、24フィラメントの未延伸糸を巻き取った。
【0062】
さらにこの未延伸糸を延伸速度600m/分でホットロ−ル(温度90℃)−熱板(温度120℃)の方式により延伸し、沸騰水収縮率が10.4%、強度が4.0cN/dtexである56dtex−24フィラメント(f)のポリエステルマルチフィラメント(繊維B)を得た。
【0063】
(3)融着加工、布帛処理
実施例3と同様の工程にて加工を行い、融着加工糸を得た。
また、実施例1と同様に、PEG溶出、鹸化、染色を行い、布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
(1)セルロースエステル系繊維A
実施例1と同様に丸断面100dtex−36fのセルロースエステル系繊維Aを用いた。
【0065】
(2)仮撚加工、布帛処理
実施例1と同様の方法にて、ヒーター温度を低く設定し、仮撚加工工程(加工速度130m/分)において、セルロースエステル系繊維Aを仮撚ツイスター4にて、延伸倍率1.05倍、仮撚温度120℃、仮撚数2200T/mで仮撚した後、テイクアップローラ6に巻き取り、95dtex−36fの仮撚加工糸を得た。得られた加工糸は、融着が発生しておらず、加工糸捲縮の経時変化が発生し、管理が難しい素材であった。
【0066】
次に、実施例1と同様に、PEG溶出、鹸化、染色を行い、布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。得られた布帛は、ソフト性はあるが、シャリ感がない素材であった。また、仮撚の捲縮による経時変化があり、安定するまでに24時間を要するものであり、使用方法を難しいものであった。
【0067】
(比較例2)
(1)熱可塑性繊維B
三酸化アンチモンを重合触媒として用い、テレフタル酸/エチレングリコールから常法に従いポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。この時、艶消し剤として平均一次粒径0.5μmの酸化チタンを0.4重量%添加し、チップを得た。これを通常の紡糸方法にて、重合体を紡糸温度284℃、紡糸速度3000m/分で溶融紡糸を行い、95dtex、24フィラメントの未延伸糸を巻き取った。
【0068】
(2)融着加工、布帛処理
実施例1と同様の工程にて、ヒーター温度234℃、2800T/m、延伸倍率1.4倍にて加工を行い、67dtex−24fの融着加工糸を得た。
また、得られた加工糸をカバーファクター1000にて平織物を作成し、60℃にて20分間精錬した後、120にて20分間分散染料で染色加工を行い、160℃ピンテンターにて熱セットを行ったものを布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。得られた布帛はシャリ感はあるが、ソフト性がないものであった。
【0069】
(実施例5)
(1)セルロースエステル系繊維A
実施例1と同様に丸断面100dtex−36fのセルロースエステル系繊維Aを用いた。
【0070】
(2)融着加工、布帛処理
図3に示す仮撚工程(加工速度130m/分)において、セルロースエステル系繊維Aを給糸し、フィードローラ1を介して、ヒーター温度150℃、2200T/m、延伸倍率1.05倍にて加工を行い、次いで、第2ヒーター温度140℃、6%フィード率を介して、テイクアップローラ6に巻き取り、93dtex−36fの融着加工糸を得た。得られた融着加工糸は残留トルクがほとんどなく、製織性が良好なものであった。
【0071】
次に、実施例1と同様に、PEG溶出、鹸化、染色を行い、布帛サンプルとした。この布帛サンプルの評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明で得られる融着加工工程の一例を示す概略図。
【図2】本発明で得られる融着加工工程の一例を示す概略図。
【図3】本発明で得られる融着加工工程の一例を示す概略図。
【図4】本発明の融着加工糸の一例を示す側面の模式図。
【図5】本発明の融着加工糸の一例を示す側面の模式図。
【図6】低融点成分がフィラメント内部に混在した融着加工糸の一例を示す断面の模式図。
【図7】低融点成分を溶出した後のフィラメント(融着)加工糸の一例を示す断面の模式図。
【符号の説明】
【0075】
1:フィードローラ
2:仮撚ヒーター
3:冷却板
4:仮撚ツイスター
5:ドローローラ
6:テイクアップローラ
7:フィードローラ
8:フィードローラ
9:流体噴射ノズル
10:デリベリローラ
11:仮撚ヒーター
12:冷却板
13:仮撚ツイスター
14:ドローローラ
15:テイクアップローラ
16:フィードローラ
17:仮撚ヒーター
18:冷却板
19:仮撚ツイスター
20:ドローローラ
21:第2ヒーター
22:デリベリローラ
23:テイクアップローラ
X:内層側糸
Y:外層側糸
R:低融点成分を含むセルロース系混合エステル系繊維(断面)
S:低融点成分を溶出した後のセルロース系混合エステル系繊維(断面)
T:融着点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースエステル系繊維Aを少なくとも一部に含む加工糸であって、該セルロースエステル系繊維Aが加撚状態にて融着していることを特徴とするセルロース系融着加工糸。
【請求項2】
前記セルロースエステル系繊維Aが、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートおよびセルロースプロピオネートブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載のセルロース系融着加工糸。
【請求項3】
強度が3.0cN/dtex以上であって、融点が160℃以上ある熱可塑性繊維Bが混繊されていることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース系融着加工糸。
【請求項4】
仮撚糸であり、かつ、解撚率が60%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸の製造方法であって、加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下、仮撚係数が15,000以上30,000以下の条件で加撚され、融着することを特徴とするセルロース系融着加工糸の製造方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載のセルロース系融着加工糸の製造方法であって、セルロースエステル系繊維Aと熱可塑性繊維Bとを加撚前に混繊し、加撚部ヒーターの出口直後の糸条温度が130℃以上180℃以下、仮撚係数が15,000以上30,000以下の条件で加撚し、該セルロースエステル系繊維Aを融着することを特徴とするセルロース系融着加工糸の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース系融着加工糸を用いた布帛であって、セルロース系繊維Aが鹸化されており、減量率が10重量%以上65重量%以下である布帛。
【請求項8】
請求項7に記載されたセルロース系融着加工糸を用いた布帛において、布帛構造を形成後にセルロースエステル系繊維Aが鹸化し、融着部分を消失された布帛の状態において解撚率が60%以下であることを特徴とするセルロース系融着加工糸を用いた布帛の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−150746(P2008−150746A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340996(P2006−340996)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】