説明

セロトニン5−HT6受容体の調節に応答する障害の治療に好適なキノリン化合物

本発明は、新規な式(I)のキノリン化合物およびこれらの塩に関する。該化合物は、有益な治療特性を有し、セロトニン5−HT受容体の調節に応答する疾患の治療に特に好適である。


式(I)において、Rは、式(R)の部分であり、ここで、はキノリニル基に対する結合部位を示し、A、B、X’、Y、Q、R、R、R、R、R、m、n、p、q、R、R、XおよびArは、請求項1に定義されたとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なキノリン化合物に関する。本化合物は、有益な治療特性を有し、特にセロトニン5−HTの調節に応答する疾患の治療に好適である。
【背景技術】
【0002】
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5HT)は、モノアミン神経伝達物質および局所ホルモンでもあるが、トリプトファンのヒドロキシル化および脱カルボキシル化によって形成される。最大濃度は、胃腸管の腸クロム親和性細胞において見られ、残りは、主に血小板および中枢神経系(CNS)に存在している。5−HTは、莫大な生理学的および病態生理学的経路に関与している。末端において、これは、多くの平滑筋を収縮させ、内皮依存性血管拡張を誘導する。CNSにおいて、これは、食欲、気分、不安、幻覚、睡眠、嘔吐および疼痛知覚の制御を含む、広範な機能に関与していると考えられる。
【0003】
5−HTを分泌するニューロンは、セロトニン作動性と呼ばれる。5−HTの機能は、特定の(セロトニン作動性)ニューロンとその相互作用後に発揮される。今日まで、以下の7種の5−HT受容体が確認されている:5−HT(サブタイプ5−HT1A、5−HT1B、5−HT1D、5−HT1Eおよび5−HT1Fを有する)、5−HT(サブタイプ5−HT2A、5−HT2Bおよび5−HT2Cを有する)、5−HT、5−HT、5−HT(サブタイプ5−HT5Aおよび5−HT5Bを有する)、5−HTおよび5−HT。大部分のこれら受容体は、アデニル酸シクラーゼまたはホスホリパーゼCγの活性に影響を与えるG−タンパク質に結合している。
【0004】
ヒト5−HT受容体は、アデニリルシクラーゼに積極的に結合している。これらは脳の辺縁、線条体および皮質領域全体に分布しており、抗精神病薬に対して高い親和性を示す。
【0005】
適切な物質による5−HT受容体の調節は、認知機能障害(特にアルツハイマー病関連の、記憶、認知および学習の欠陥など)、年齢関連認知低下および軽度認知機能障害、注意欠陥障害/多動症候群、人格障害(統合失調症、特に統合失調症関連認知欠陥など)、気分障害(抑うつ、不安および強迫性障害など)、運動障害(motion or motor disorders)(パーキンソン病およびてんかんなど)、偏頭痛、睡眠障害(概日周期障害を含む)、摂食障害(食欲不振および食欲亢進など)、ある種の胃腸障害(過敏性腸管症候群など)、神経変性関連疾患(卒中など)、脊髄および頭部外傷および頭部損傷(水頭症など)、薬物嗜癖および肥満症を含むある種の障害を改善することが期待される。
【0006】
5−HT受容体に対する親和性を有するキノリン化合物は、従来技術、例えば、US2007/0027161、WO2007/039219、WO2006/053785、WO05/026125、WO05/113539およびWO03/080580に記載されている。
【0007】
US2007/0027161、WO05/026125およびWO03/080580に開示された化合物は、キノリン部分の8位において場合によって置換されたピペラジン−1−イル基またはホモピペラジン−1−イル基を担持する。
【0008】
WO05/113539に開示された化合物は、キノリン部分の8位においてアミノ置換ピペリジン−1−イル基またはピロリジン−1−イル基を担持する。
【0009】
WO05/113539に開示された化合物は、キノリン部分の8位においてアミノメチルまたはアミノエチル基を担持する。
【0010】
しかし、5−HT受容体に対して高い親和性を有し、この受容体に対して高い選択性を示す化合物を提供することに対して依然として継続的な必要性がある。特に、この化合物は、アドレナリン作動性受容体(α−アドレナリン作動性受容体など)、ヒスタミン受容体(H−受容体など)、およびドーパミン作動性受容体(D−受容体など)に対する低い親和性を有すべきであり、これらの受容体の調節関連の考慮すべき副作用、例えば、起立性低血圧、反射性頻拍症、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシンおよびラベタロールの降圧作用の増強作用もしくはα−アドレナリン作動性受容体の遮断に関連した眩暈、H−受容体の遮断に関連した中枢抑制薬の体重増加、鎮静作用、傾眠もしくは増強作用、または錐体外路運動障害(失調、パーキンソン症候群、静座不能、遅発性ジスキネジアまたはウサギ症候群など)、またはD−受容体の遮断に関連した内分泌効果[プロラクチン上昇(乳汁漏出、女性化乳房、月経変化、男性における性機能障害)など]を回避または減少させるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0027161号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/039219号
【特許文献3】国際公開第2006/053785号
【特許文献4】国際公開第05/026125号
【特許文献5】国際公開第05/113539号
【特許文献6】国際公開第03/080580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、5−HT受容体に対する高い親和性および選択性を有し、したがって5−HT受容体関連障害またはそれにより影響された障害の治療を可能にする化合物を提供することである。
【0013】
この化合物はまた、良好な薬理学的プロファイル、例えば、良好な脳血漿比、良好なバイオアベイラビリティ、良好な代謝安定性、またはミトコンドリア呼吸作用の阻害低下を有しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
今や、本明細書で定義されたとおりの式(I)のキノリン化合物、これらの生理学的に許容される酸付加塩およびこれらのN−酸化物が、驚くべくおよび予想外のことに、5−HT受容体に対して選択的結合を示すことが明らかになった。
【0015】
したがって、本発明は、式(I)
【0016】
【化1】

[式中、
Rは、式
【0017】
【化2】

[式中、は、キノリニル基に対する結合部位を示し;
Aは、(CHであり、ここで、aは0、1、2または3であり;
Bは、(CHであり、ここで、bは0、1、2または3であり;
X’は、(CHであり、ここで、xは0、1、2または3であり;
Yは、(CHであり、ここで、yは0、1、2または3であり;
但し、a+bは1、2、3または4であり、x+yは1、2、3または4であり、a+b+x+yは3、4、5、6または7であることを条件とし;
Qは、NまたはCHであり;
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ−C1−C−アルキル、C−Cハロアルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、ヘタリール−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−ハロアルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルであり、ここで、最後に記述された2つ部分のフェニル環は非置換であり、またはハロゲン、C−C−アルキルもしくはC−C−ハロアルキル、特に、水素、C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−ハロアルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、ヘタリール−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−ハロアルケニル、ホルミル、C−CアルキルカルボニルもしくはC−C−アルコキシカルボニルから選択される、1、2もしくは3個の置換基を担持し;
は、水素、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり;
は、水素、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり;
pは、0、1または2であり;
qは、0、1または2であり;
は、存在する場合、C−C−アルキルもしくはC−C−ハロアルキルであり、Xおよび/もしくはYに結合しており;
または
pが1もしくは2である場合、窒素原子に隣接しているXもしくはYの炭素原子に結合している1個の基Rは、Rと一緒になって、直鎖C−C−アルキレン(1または2個の基Rを担持してよい。)であってもよく;または
pが2である場合、XもしくはYの隣接炭素原子に結合している2個の基Rは一緒になって、直鎖C−C−アルキレン(1または2個の基Rを担持してよい。)であってもよく;
は、存在する場合、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり、Aおよび/またはBに結合しており;
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルコキシである。]
の部分であり;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
、Rは、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C(O)Raa、C(O)NRccbbおよびNRccbbからなる群から独立して選択され;
ここで、Raaは、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルコキシであり、
cc、Rbbは、水素およびC−C−アルキルからなる群から独立して選択され;
Xは、CH、C(O)、S、S(O)またはS(O)であり;これは、キノリン環の3位または4位に位置しており;
Arは、基Ar、Ar−ArまたはAr−O−Arであり、ここで、Ar、ArおよびArはそれぞれ、アリールまたはヘタリール(アリールまたはヘタリール部分は非置換であっても、1,2,3個の置換基Rを担持してよい。)からなる群から独立して選択され、ここで、
は、ハロゲン、CN、NO、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−ハロアルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ヒドロキシアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−ハロアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−ハロアルキルカルボニルアミノ、カルボキシ、NH−C(O)−NRx1x2、NRx1x2、NRx1x2−C−C−アルキレン、O−NRx1x2であり、ここで、最後に記述された4個の基中Rx1およびRx2は、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルもしくはC−C−アルコキシであるまたは最後に記述された4個の基のRx1およびRx2は窒素原子と一緒になって、N結合5員、6員もしくは7員の飽和へテロ環またはN結合7員、8員、9員もしくは10員の飽和ヘテロ二環(非置換であり、またはC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ヒドロキシアルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1、2、3または4個の基を担持する。)を形成し、ここで、Arの隣接炭素原子に結合している2つの基Rは、飽和または不飽和の5員または6員の炭素環またはヘテロ環(これはそれ自体、基Rを担持してよい。)を形成してもよい。]
の化合物、ならびにこれらの生理学的に許容される酸付加塩およびN−酸化物に関する。
【0018】
本発明はまた、少なくとも1種の生理学的に許容される担体および/または補助剤と必要に応じて一緒に、少なくとも1種の式(I)のキノリン化合物および/または少なくとも1種の生理学的に許容される式(I)の酸付加塩および/または少なくとも1種の式(I)のN−酸化物を含む薬学的に組成物に関する。
【0019】
本発明はさらに、少なくとも1種の生理学的に許容される担体または補助剤と場合によって一緒に、薬学的組成物を調製するための、式(I)のキノリン化合物および/またはこの薬学的に許容される酸付加塩および/または少なくとも1種の式(I)のN−酸化物の使用に関する。
【0020】
本発明の化合物(すなわち、式(I)のキノリン化合物、式(I)の生理学的に許容される酸付加塩、式(I)のN−酸化物およびこれらの生理学的に許容される酸付加塩)は、選択的5−HT受容体リガンドである。したがって、本発明の化合物は、特に、中枢神経系の障害、嗜癖疾患または肥満症の治療に、薬剤として特に好適であり、これらの障害または疾患が5−HT受容体リガンドによる影響に応答しやすいからである。したがって、本発明ではまた、哺乳動物における障害を治療する方法であり、有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物および/または少なくとも1種の生理学的に許容される式(I)の酸付加塩および/または少なくとも1種の式(I)のN−酸化物を、それを必要とする対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0021】
本発明はまた、薬剤、特に本明細書および特許請求の範囲で定義されたとおりの内科的障害の治療のための薬剤としての本発明の化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の化合物による治療の影響を受けやすい疾患には、例えば、中枢神経系の障害および疾患、特に認知機能障害(特にアルツハイマー病関連の記憶、認知および学習の欠陥など)、年齢関連認知低下および軽度認知機能障害、注意欠陥障害/多動症候群(ADHD)、人格障害(統合失調症、特に統合失調症関連認知障害など)、情動障害(抑うつ、不安および強迫性障害など)、運動障害(motion or motor disorders)(パーキンソン病およびてんかんなど)、偏頭痛、睡眠障害(概日リズム障害を含む)、摂食障害(食欲不振および食欲亢進など)、ある種の胃腸障害(過敏性腸管症候群など)、神経変性関連疾患(卒中など)、脊髄または頭部外傷および頭部損傷(水頭症など)、薬物嗜癖および肥満症が含まれる。
【0023】
本発明によれば、少なくとも1種の本発明の化合物(すなわち、始めに記述された意味を有する一般式(I)のキノリン化合物、生理学的に許容される式(I)の酸付加塩、式(I)のN−酸化物またはこれらの生理学的に許容される酸付加塩)が上記適応症の治療に使用される。但し、所与の構成の式(I)の化合物が異なる空間配置で存在してもよいことを条件とし、例えば、これらが1つ以上の不斉中心、多置換環もしくは二重結合を有するまたは異なる互変異性として有する場合、エナンチオマー混合物、特にラセミ化合物、ジアステレオマー混合物および互変異性混合物を用いることが可能であるが、好ましくは、式(I)の化合物のそれぞれ、本質的に純粋なエナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異性体ならびに/またはこれらの塩および/もしくはこれらのN−酸化物を用いることも可能である。
【0024】
式(I)の化合物の生理学的に許容される塩、特に生理学的に許容される酸と一緒の酸付加塩を用いることも同様に可能である。好適な生理学的に許容される有機酸および無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、C−C−アルキルスルホン酸(メタンスルホン酸など)、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸など)、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、アジピン酸および安息香酸である。他の使用可能な酸は、Fortschritte der Arzneimittelforschung[Advance in drug research]、10巻、224頁以降、Birkhauser Verlag、Basel and Stuttgart、1966年に記載されている。
【0025】
これらの化合物が、キノリン部分の窒素原子などの塩基性窒素原子を含む場合、式(I)の化合物のN−酸化物を用いることも同様に可能である。
【0026】
本発明の化合物はまた、少なくとも1つの放射性核種、例えば、H、11C、13N、15O、18F、75Br、76Br、77Br、82Br、123I、125Iおよび/または131Iなどを組み込むことによって放射性標識化され得る。少なくとも1つの放射性核種の組込みは、例えば、WO2006/053785との類似性によって、放射性核種を組み込む標準方法により達成され得る。本発明の放射性標識化化合物は、例えば、5−HT受容体を標識化するために、および哺乳動物、特にヒトにおける5−HT受容体の画像診断のために使用され得る。本発明の放射性標識化化合物は、哺乳動物において5−HT受容体を発現する組織の画像診断、特にそれらの脳の画像診断のために使用され得る。
【0027】
本発明の放射性標識化化合物の特定の実施形態は、式Iの化合物に関し、これらには11C、13N、15Oまたは18Fなどの放射性核種、特に11Cおよび18Fから選択される放射性核種を放出する少なくとも1つのポジトロンが含まれる。本発明の放射性標識化化合物の特定の好ましい実施形態は、R11C−メチルであるまたはArが18F−置換フェニルであるものである。放射性核種を放出する少なくとも1つのポジトロンを含む本発明の放射性標識化化合物は、標識化およびポジトロン放出型断層撮影法(PET)による5−HT受容体機能の画像診断のために特に有用である。これらの化合物は、哺乳動物における5−HT受容体を発現する組織の画像診断、特にPETによる脳の画像診断にも特に有用である。PETは、例えば、WO2006/053785に記載された方法との類似性によって行うことができる。
【0028】
変数の上記定義に記述された有機部分は、−用語ハロゲンのように−個々の基のメンバーの個々の列挙に対する総称である。接頭辞C−Cは、それぞれの場合に、その基における炭素原子の可能な数を示す。
【0029】
「ハロゲン」という用語は、それぞれの場合に、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特にフッ素、塩素または臭素を意味する。
【0030】
本明細書でおよび、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキルまたはヘタリール−C−C−アルキルのアルキル部分で用いられるような「C−C−アルキル」という用語は、それぞれの場合に、1から6個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルである。
【0031】
本明細書でおよび、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、C−C−ハロアルキル−カルボニル、C−C−ハロアルキルカルボニルアミノのハロアルキル部分で用いられるような「C−C−ハロアルキル」という用語は、それぞれの場合に、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を意味し、ここで、この基の水素原子はハロゲン原子で部分的にまたは全体的に置き換えられている。好ましいハロアルキル部分は、C−C−ハロアルキル、特に好ましくはC−C−ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルなどから選択される。
【0032】
本明細書で用いられるような「C−C−アルキレン」という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐の二価のアルカンジイル基を意味し、例えば、メチレン、1,1−エチレン(1,1−エタンジイル)、1,2−エチレン(1,2−エタンジイル)、1,1−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、2,2−プロパンジイル、1,3−プロパンジイル、1,1−ブタンジイル、1,2−ブタンジイル、1,3−ブタンジイル、1,4−ブタンジイル、2,3−ブタンジイル、2,2−ブタンジイルを含む。本明細書で用いられるような「直鎖C−C−アルキレン」という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖の二価アルカンジイル基を意味し、例えば、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロパンジイルおよび1,4−ブタンジイルを含む。
【0033】
本明細書でおよびC−C−アルコキシ−C−C−アルキルのアルコキシ部分で用いられるような「C−C−アルコキシ」という用語は、それぞれの場合に、1から6個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブチルオキシ、2−ブチルオキシ、イソ−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、1−メチルブチルオキシ、2−メチルブチルオキシ、3−メチルブチルオキシ、2,2−ジ−メチルプロピルオキシ、1−エチルプロピルオキシ、ヘキシルオキシ、1,1−ジメチルプロピルオキシ、1,2−ジメチルプロピルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、1,2−ジメチルブチルオキシ、1,3−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、2,3−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、1−エチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ、1,2,2−トリメチルプロピルオキシ、1−エチル−1−メチルプロピルオキシおよび1−エチル−2−メチルプロピルオキシである。
【0034】
本明細書でおよびC−C−ハロアルコキシ−C−C−アルキルのハロアルコキシ部分で用いられるような「C−C−ハロアルコキシ」という用語は、それぞれの場合に、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルコキシ基を意味し、ここで、この基の水素原子は、ハロゲン原子、特にフッ素原子で部分的にまたは全体的に置き換えられている。好ましいハロアルコキシ部分には、C−C−ハロアルコキシ、特にC−C−フルオロアルコキシ、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−クロロ−2−フルオロエトキシ、2−クロロ−2,2−ジフルオロエトキシ、2,2−ジクロロ−2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシなどが含まれる。
【0035】
「C−C−ヒドロキシアルキル」という用語は、1から6個、特に1から4個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルキル)、特に1から3個の炭素原子(=C−Cヒドロキシアルキル)を有する直鎖または分岐のアルキル基であり、ここで、その水素原子の1個は、例えば、2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基で置き換えられている。
【0036】
「C−C−アルコキシ−C−C−アルキル」という用語は、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基であり、ここで、その水素原子の1個は、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−メトキシプロピル、2−エトキシプロピル、3−メトキシプロピルまたは3−エトキシプロピルなどのC−C−アルコキシ基で置き換えられている。
【0037】
「C−C−ハロアルコキシ−C−C−アルキル」は、1から4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基であり、ここで、その水素原子の1個は、C−C−ハロアルコキシ基で置き換えられている。
【0038】
本明細書で、ならびにC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルおよびC−C−ハロシクロアルキルのシクロアルキル部分で用いられるような「C−C−シクロアルキル」という用語は、それぞれの場合に、3から6個のC原子を有するシクロ脂肪族基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを意味する。シクロアルキル基は、非置換であってもよくまたは1、2、3もしくは4個のC−C−アルキル基、好ましくはメチル基を担持してよい。
【0039】
本明細書でおよびC−C−ハロシクロアルキル−C−C−アルキルのハロシクロアルキル部分で用いられるような「C−C−ハロシクロアルキル」という用語は、それぞれの場合に、3から6個のC原子を有するシクロ脂肪族基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどを意味し、ここで、少なくとも1個の水素基、例えば、1、2、3、4または5個の水素基は、ハロゲン、特にフッ素で置き換えられている。例には、1−フルオロシクロプロピル、2−フルオロシクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、1−フルオロシクロブチル、2−フルオロシクロブチル、2,2−ジフルオロシクロブチル、3−フルオロシクロブチル、3,3−ジフルオロシクロブチル、1,3−ジフルオロシクロブチルなどが含まれる。
【0040】
本明細書でおよびC−C−ハロアルケニルおよびアリール−C−C−アルケニルのアルケニル部分で用いられるような「C−C−アルケニル」という用語は、それぞれの場合に、2、3、4、5または6個のC−原子を有する一価の不飽和炭化水素基、例えば、ビニル、アリル(2−プロペン−1−イル)、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−2−イル、メタリル(2−メチルプロプ−2−エン−1イル)、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、1−メチルブト−2−エン−1−イル、2−エチルプロプ−2−エン−1−イルなどを意味する。
【0041】
本明細書で用いられるような「アリール」という用語は、それぞれの場合に、フェニルおよび飽和または不飽和の5員または6員の炭素環に縮合したフェニル、例えば、ナフチル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インデニルまたはインダニルからなる群から選択される炭素環式基を意味し、但し、この縮合環においてアリールは縮合環のフェニル部分を介して結合していることを条件とする。
【0042】
本明細書で用いられるような「ヘタリール」という用語は、それぞれの場合に、環メンバーとして、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む単環式5員または6員のヘテロ芳香族基、ならびにフェニル環または5員もしくは6員のヘテロ芳香族基(このヘテロ環は環メンバーとして、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を含む。)に縮合した5員−または6員のヘテロ芳香族環からなる群から選択されるヘテロ環式基を意味する。
【0043】
5員または6員のヘテロ芳香族基の例には、ピリジル(すなわち、2−、3−、または4−ピリジル)、ピリミジニル(すなわち、2−、4−または5−ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(すなわち、3−または4−ピリダジニル)、チエニル(すなわち、2−または3−チエニル)、フリル(すなわち、2−または3−フリル)、ピロリル(すなわち、2−または3−ピロリル)、オキサゾリル(すなわち、2−、3−または5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル(すなわち、3−、4−または5−イソオキサゾリル)、チアゾリル(すなわち、2−、3−または5−チアゾリル)、イソチアゾリル(すなわち、3−、4−または5−イソチアゾリル)、ピラゾリル(すなわち、1−、3−、4−または5−ピラゾリル)、(すなわち、1−、2−、4−または5−イミダゾリル)、オキサジアゾリル{例えば、2−または5−[1,3,4]オキサジアゾリル、4−または5−(1,2,3−オキサジアゾール)イル、3−または5−(1,2,4−オキサジアゾール)イル}、2−または5−(1,3,4−チアジアゾール)イル、チアジアソリル(例えば、2−または5−(1,3,4−チアジアゾール)イル、4−または5−(1,2,3,−チアジアゾール)イル、3−または5−(1,2,4−チアジアゾール)イルなど)、トリアゾリル(例えば、1H−、2H−または3H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、2H−トリアゾール−3−イル、1H−、2H−、または4H−1,2,4−トリアゾリルおよびテトラゾリル(すなわち、1H−または2H−テトラゾリル)が含まれる。
【0044】
フェニル環または5員−もしくは6員のヘテロ芳香族基に縮合した5員もしくは6員のヘテロ芳香族環の例には、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、チノリニル、イソチノリニル、プリニル、1,8−ナフチリジル、プテリジル、ピリド[3,2−d]ピリミジルまたはピリドイミダゾリルなどが含まれる。これらの縮合ヘタリール基は、5員もしくは6員のヘテロ芳香族環の任意の環原子を介してまたは縮合フェニル部分の炭素原子を介してその分子の残部に(より正確にはそのX基に)結合していてもよい。
【0045】
Arの隣接炭素原子に結合している2つの基Rが飽和もしくは不飽和の5員もしくは6員の炭素環式またはヘテロ環を形成する環Arの例には、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロイソチノリニル、ベンゾモルホリニル、クロメニル、クロマニル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インデニルおよびインダニルが含まれる。
【0046】
それぞれの場合における「飽和または不飽和のヘテロ環」という用語は、N、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3員から7員の環状基を意味する。このような飽和または不飽和の3員から7員のヘテロ環の例は、飽和または不飽和の芳香族または非芳香族ヘテロ環を含む。したがって、例には、上に定義された5員または6員のヘテロ芳香族基だけでなく、アジリジル、ジアジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、アゼチニル、ジおよびテトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、オキソピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキソ−オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキソチオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニルなどが含まれる。
【0047】
N結合5員、6員または7員の飽和ヘテロ環は一般に、環メンバーとして1個の窒素原子(これはその分子の残部に結合している)、および場合によって、合計で5、6または7個の環メンバー原子を有する、環メンバーとして1個以上、例えば、1個または2個のさらなるO、SまたはNなどのヘテロ原子を含む飽和ヘテロ単環式基である。「N結合5員から7員の飽和ヘテロ環」の例は、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、イミダゾリジン−1−イル、オキサゾリジン−3−イル、チアゾリジン−3−イルまたはヘキサヒドロジアゼピン−1−イル、特にピロリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、ピペリジン−1−イルおよびモルホリン−4−イルである。
【0048】
N結合7員から10員の飽和ヘテロ二環は一般に、環メンバーとして1個の窒素原子(これはその分子の残部に結合している)、および場合によって、合計で7,8、9または10個の環メンバー原子を有する、環メンバーとして1個以上、例えば、1個または2個のさらなるO、SまたはNなどのヘテロ原子を含む飽和ヘテロ二環である。N結合7員から10員の飽和ヘテロ二環式基の例は、基Rであり、ここで、QはNであり、a+b+x+yは3、4、5または6である。
【0049】
5−HT受容体に結合するそれらの能力に関して、変数Ar、A、X、n、m、R、R、R、R、RおよびRが以下に与えられる意味を有する、式(I)の化合物は好ましい。
【0050】
本発明の好ましい態様、例えば、化合物(I)の変数の好ましい意味、好ましい化合物(I)および本発明による方法または使用の好ましい実施形態に関して以下でなされる所見は、それぞれの場合にそれら自体に対してまたはそれらの組合せに適用される。
【0051】
部分Rにおいて、変数xおよびyが0、1または2である、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。好ましくはx+yは1、2または3である。特に、x+yは1または2である。
【0052】
部分Rにおいて、変数aおよびbが0、1または2である、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。好ましくはa+bは1、2または3である。特に、a+bは1または2である。
【0053】
好ましくはa+b+x+yは3、4、5または6であり、特に、3、4または5である。
【0054】
部分Rにおいて、変数aおよびbが0、1または2であり、x+yが0、1または2であり、a+bが、1、2または3であり、x+yが1、2または3であり、a+b+x+yが3、4、5または6であり、特に3、4または5である、式Iの化合物およびこれらの塩はより好ましい。
【0055】
部分Rにおいて、変数QがNである、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。
【0056】
本発明の別の実施形態は、部分Rにおいて、変数QはCHである、式Iの化合物およびこれらの塩に関する。
【0057】
部分Rにおいて、変数Rが水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはシクロプロピルメチルである、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。特に好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0058】
同様に、部分Rにおいて、変数Rがベンジル、ベンジルオキシカルボニルまたはC−C−アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニルである、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。これらの化合物は、化合物Iの調製において有益な中間体であり、ここでRは水素である。
【0059】
部分Rにおいて、変数Rが水素である、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。部分Rにおいて、変数Rが水素である、式Iの化合物およびこれらの塩も好ましい。特にRおよびRは両方とも、水素である。
【0060】
部分Rにおいて、変数qが0である、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。
【0061】
部分Rにおいて、変数pが0である、式Iの化合物およびこれらの塩は好ましい。
【0062】
本発明の別の実施形態は、式Iの化合物およびこれらの塩に関し、ここで、pは2であり、XまたはYの隣接炭素原子に結合している2個の基Rは一緒になって、直鎖C−C−アルキレンであり、これは非置換であるまたは1もしくは2個の本明細書で定義されたとおりの基Rを担持し得る。
【0063】
本発明のさらなる実施形態は、式Iの化合物およびこれらの塩に関し、ここで、pは1であり、窒素原子に隣接してしるXまたはYの炭素原子に結合している、基Rと一緒の基Rは、直鎖C−C−アルキレンであり、これは非置換であるまたは1もしくは2個の本明細書で定義されたとおりの基Rを担持し得る。
【0064】
部分Rにおいて、変数a、b、x、y、p、q、Q、R、RおよびRが、以下のとおりに定義される、式Iの化合物およびこれらの塩は特に好ましい:
aは、0、1または2であり、
bは、0、1または2であり、
xは、0、1または2であり、
yは、0、1または2であり、
但し、a+bは1、2または3であり、x+yは1、2または3であり、a+b+x+yは3、4、5または6、特に3、4または5であることを条件とし、
pは、0であり、
qは、0であり、
Qは、Nであり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはシクロプロピルメチル、特に水素であり、またはRはベンジルもしくはブトキシカルボニルであり、
は、水素であり、
は、水素である。
【0065】
部分Rは式R−1からR−44の基である、式Iの化合物およびこれらの塩は特に好ましい:
【0066】
【化3】



(式中、Rは請求項1に定義されたとおりであり、はキノリニル基に対する結合部位を示す。)。
【0067】
部分Rが、式R−1からR−38およびR−44、特に式R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38およびR−44の基から選択される、式Iの化合物、これらのN−酸化物およびこれらの塩がより好ましい。部分Rが、式R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26およびR−44の基から選択される、式Iの化合物、これらのN−酸化物およびこれらの塩は特に好ましく、RがR−11およびR−12から選択される化合物はより好ましい。RがR−44である、本発明の化合物は特に好ましい。
【0068】
多環式基Rにおいて、架橋炭素原子(すなわち、それぞれ、RおよびRを担持する炭素原子)は、キラリティーの中心を生じ得る。本発明は、Rがエナンチオマーの混合物である化合物ならびにRがエナンチオマー富化またはエナンチオマー純粋である化合物に関する。基R、特に基R−5、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26およびR−44の可能なエナンチオマーを以下に示す:
【0069】
【化4】


【0070】
本発明の特定の好ましい実施形態は、XがSOである、式Iの化合物に関する。
【0071】
本発明の別の実施形態は、XがCHである、式Iの化合物に関する。
【0072】
本発明のさらなる実施形態は、Xがカルボニル基である、すなわち、XがC(=O)である、式Iの化合物に関する。
【0073】
本発明の1つの好ましい実施形態において、Xはキノリニル部分の3位に位置している、すなわち、この実施形態は、以下の式Ia:
【0074】
【化5】

の化合物に関する。
【0075】
本発明の別の実施形態において、Xはキノリニル部分の4位に位置している、すなわち、この実施形態は、以下の式Ibの化合物に関する:
【0076】
【化6】

【0077】
化合物IaおよびIbの中で、XがSOである、それらの化合物は好ましい。
【0078】
化合物IaおよびIbの中で、部分Rにおいて、変数a、b、x、y、p、q、Q、R、RおよびRが好ましい意味の1つを有し、特に以下のとおり定義される、これらの化合物Ia、Ibおよびこれらの塩は好ましい:
aは、0、1または2であり、
bは、0、1または2であり、
xは、0、1または2であり、
yは、0、1または2であり、
但し、a+bは1、2または3であり、x+yは1、2または3であり、a+b+x+yは3、4、5または6、特に3、4または5であり、
pは、0であり、
qは、0であり、
Qは、Nであり、
は、水素、C−C−アルキル、C−C−アルケニルもしくはシクロプロピルメチル、特に水素でありまたはRはベンジルもしくはブトキシカルボニルであり、
は、水素であり、
は、水素である。
【0079】
化合物IaおよびIbの中で、XがSOであり、Rが式R−1からR−44の部分、特に、部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、Rは上に定義されたとおりであり、特に水素である、それらの化合物IaおよびIbならびにそれらの塩は特に好ましい。
【0080】
本発明の非常に好ましい実施形態は、以下の式Ia.aの化合物に関する:
【0081】
【化7】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−44の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0082】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式Ia.bの化合物に関する:
【0083】
【化8】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−44の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0084】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、以下の式Ia.cの化合物に関する:
【0085】
【化9】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−41の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0086】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、以下の式Ib.aの化合物に関する:
【0087】
【化10】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−41の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0088】
本発明の別の好ましい実施形態は、以下の式Ib.bの化合物に関する:
【0089】
【化11】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−41の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0090】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、以下の式Ia.cの化合物に関する:
【0091】
【化12】

(式中、n、m、Ar、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりであり、Rは上に定義されたとおりであり、例えば、式R−1からR−41の部分、特に部分R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38またはR−44、より好ましくは部分R−5、R−11、R−12、R−15、R−16、R−25、R−26またはR−44、最も好ましくは部分R−11またはR−12またはR−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおり、特に水素である。)
【0092】
本発明の特に好ましい実施形態は、以下の式Ia.a1の化合物に関する:
【0093】
【化13】

(式中、n、m、Ar、R、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりである。)。Rは特に水素である。
【0094】
本発明の別の特に好ましい実施形態は、以下の式Ia.a2の化合物に関する:
【0095】
【化14】

(式中、n、m、Ar、R、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりである。)。Rは特に水素である。
【0096】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態は、以下の式Ia.a2aの化合物に関する:
【0097】
【化15】

(式中、n、m、Ar、R、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりである。)。Rは特に水素である。
【0098】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態は、以下の式Ia.a2bに関する:
【0099】
【化16】

(式中、n、m、Ar、R、RおよびRは、本明細書で定義されたとおりである。)。Rは特に水素である。
【0100】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−1であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a3)。
【0101】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−3であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a4)。
【0102】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−5であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a5)。
【0103】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−5aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a5a)。
【0104】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−5bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a5b)。
【0105】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−6であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a6)。
【0106】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−8であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a7)。
【0107】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−9であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a8)。
【0108】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−10であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a9)。
【0109】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−13であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a10)。
【0110】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−15であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a11)。
【0111】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−15aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a11a)。
【0112】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−15bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.11b)。
【0113】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−17であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a12)。
【0114】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−21であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a13)。
【0115】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−22であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a14)。
【0116】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−24であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a15)。
【0117】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−25であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a16)。
【0118】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−25aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a16a)。
【0119】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−25bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a16b)。
【0120】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−27であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a17)。
【0121】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−28であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a18)。
【0122】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−29であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a19)。
【0123】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−34であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a20)。
【0124】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−35であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a21)。
【0125】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−36であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a22)。
【0126】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−37であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a23)。
【0127】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−38であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a24)。
【0128】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−16であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a25)。
【0129】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−16aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a25a)。
【0130】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−16bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a25b)。
【0131】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−26であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a26)。
【0132】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−26aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a26a)。
【0133】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−26bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a26b)。
【0134】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−44であり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a27)。
【0135】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−44aであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a27a)。
【0136】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、上に定義されたとおりの式Ia.aの化合物に関し、ここで、Rは基R−44bであり、ここで、Rは上に定義されたとおりであり、ここで、Rは特に水素である(化合物Ia.a27b)。
【0137】
式Iにおいて、および同様に、式Ia、Ib、Ia.a、Ia.b、Ia.c、Ia.a1から式Ia.a27において、置換基Arは好ましくは基Ar、特に、フェニル、ナフチル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾモルホリニルまたはインダニルから選択される基であり、ここで環状基Arは、非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおりの置換基Rを担持し得る。同様に、式Iの化合物が好ましく、ここで、Arは基Ar−Arであり、ここで、ArおよびArは、フェニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリルからなる群から互いに独立して選択され、ここでArおよびArは非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおりの置換基Rを担持し得る。基Ar−Arにおいて、基Arは好ましくは、フェニル、ピリジル、およびチエニルから選択され、基Arは好ましくは、フェニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリルまたはチアジアゾリルであり、ここで、ArおよびArは非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおりの置換基Rを担持し得る。同様に、式Iの化合物が好ましくは、ここで、Arは基Ar−O−Arであり、ここで、ArおよびArは、フェニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリルまたはチアジアゾリルからなる群から互いに独立して選択され、ここで、ArおよびArは非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおりの置換基Rを担持し得る。基Ar−Arにおいて、基Arは好ましくは、フェニル、ピリジルおよびチエニルから選択され、基Arは好ましくは、フェニルであり、ここで、ArおよびArは、非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおりの置換基Rを担持し得る。
【0138】
式Iにおいて、および同様に式Ia、Ib、Ia.a、Ia.b、Ia.c、Ia.a1からIa.a27において、置換基Arはより好ましくはフェニルであり、これは非置換であるまたは1、2または3個の本明細書で定義されたとおり置換基Rを担持し得る。
【0139】
が存在する場合、Rは好ましくは、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−シクロアルキル、および基NRx1x2から選択される。より好ましくはRは、ハロゲン、C−C−ハロアルキルまたはC−C−ハロアルコキシから選択される。
【0140】
式Iにおいて、および同様に式Ia、Ib、Ia.a、Ia.b、Ia.c、Ia.a1からIa.a27において、変数mは好ましくは0である。mが0と異なる場合、Rは好ましくは、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、特にメチル、OCH、CF、CHF、OCHFおよびOCFから選択される。
【0141】
式Iにおいて、および同様に式Ia、Ib、Ia.a、Ia.b、Ia.c、Ia.a1からIa.a27において、変数nは好ましくは0である。mが0と異なる場合、Rは好ましくは、ハロゲン、CN、C−C−アルキルから選択され、特にメチル、OCH、CF、OCF、OCHFおよびOCFから選択される。
【0142】
式Iの好ましい化合物の例は、以下の表1から表32bで与えられる。
【0143】
表1:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−11の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−1からIa.a−225)
【0144】
【表1】









【0145】
表2:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−226からIa.a−450)
表2a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−226aからIa.a−450a)
表2b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−226bからIa.a−450b)
表3:式Ib.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−11の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ib.a−1からIb.a−225)
表4:式Ib.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ib.a−226からIb.a1−450)
表4a:式Ib.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ib.a−226aからIb.a1−450a)
表4b:式Ib.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ib.a−226bからIb.a1−450b)
表5:式Ia.bの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−11の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.b−1からIa.b−225)
表6:式Ia.bの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.b−226からIa.b−450)
表6a:式Ia.bの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.b−226aからIa.b−450a)
表6b:式Ia.bの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.b−226bからIa.b−450b)
表7:式Ia.cの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−11の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.c−1からIa.c−225)
表8:式Ia.cの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.c−226からIa.c−450)
表8a:式Ia.cの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.c−226aからIa.c−450a)
表8b:式Ia.cの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−12bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.c−226bからIa.c−450b)
表9:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−1の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−451からIa.a−675)
表10:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−3の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−676からIa.a−900)
表11:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−5の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−901からIa.a−1125)
表11a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−5aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−901aからIa.a−1125a)
表11b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−5bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−901bからIa.a−1125b)
表12:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−8の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−1126からIa.a−1350)
表13:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−9の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−1351からIa.a−1575)
表14:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−10の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−1576からIa.a−1800)
表15:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−13の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−1801からIa.a−2025)
表16:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−15の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2026からIa.a−2250)
表16a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−15aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2026aからIa.a−2250a)
表16b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−15bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2026bからIa.a−2250b)
表17:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−17の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2251からIa.a−2475)
表18:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−21の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2476からIa.a−2700)
表19:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−22の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2701からIa.a−2925)
表20:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−24の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−2926からIa.a−3150)
表21:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−25の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3151からIa.a−3375)
表21a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−25aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3151aからIa.a−3375a)
表21b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−25bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3151bからIa.a−3375b)
表22:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−27の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3376からIa.a−3600)
表23:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−28の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3601からIa.a−3825)
表24:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−29の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−3826からIa.a−4050)
表25:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−34の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−4051からIa.a−4275)
表26:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−35の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−4276からIa.a−4500)
表27:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−36の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−4501からIa.a−4725)
表28:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−37の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−4726からIa.a−4950)
表29:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−38の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−4951からIa.a−5175)
表30:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−16の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5176からIa.a−5400)
表30a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−16aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5176aからIa.a−5400a)
表30b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−16bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5176bからIa.a−5400b)
表31:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−26の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5401からIa.a−5625)
表31a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−26aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5401aからIa.a−5625a)
表31b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−26bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5401bからIa.a−5625b)
表32:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−44の部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5626からIa.a−5850)
表32a:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−44aの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5626aからIa.a−5850a)
表32b:式Ia.aの化合物(mおよびnは0であり、Rは式R−44bの部分であり、ここで、置換基ArおよびRは、表Aの行1から225の1つにおいて与えられる意味を有する。)(化合物Ia.a−5626bからIa.a−5850b)
【0146】
本発明による式Iの化合物は、下記の合成経路に概要を述べたとおり得ることができる。
1.一般合成経路
QがNである、式Iの化合物は、例えば、スキーム1に示されるように塩基触媒カップリングによって式IIの適切な8−ハロ置換キノリン化合物および多環式アミンIIIから出発して調製することができる:
【0147】
【化17】

【0148】
スキーム1において、変数R、R、R、R、R、A、B、X、Y、R、R、Ar、mおよびnは、本明細書で定義されたとおりである。R1aは、好ましくは水素と異なる、Rに対して与えられた意味の1つを有するまたは適切なN−保護基であり、例えば、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(Trt)、ニトロベンゼンスルフェニル(Nps)、アリルまたはベンジルである。Halはハロゲン、特にBrまたはIである。
【0149】
スキーム1によれば、例えば、WO2005/113539もしくはUS2007/0027161に記載された方法またはBioorg.Med.Chem.Lett.、2003年、13、1329頁に記載されるようにジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性非プロトン性溶媒中塩基を有さずに、標準的方法に従って、多環式アミン化合物IIIを塩基の存在下でハロキノリン化合物と反応させる。化合物IIおよび化合物IIIの反応は、WO2002/059107(特に112頁)、WO03/03197、US2007/0027161およびOrganic Letters、2003年、5、897−900頁に記載された方法との類似性によってPd(O)−化合物の存在下で行うこともできる。
【0150】
好適な塩基には、アルカリ金属炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムn−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムn−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、アルカリ金属水素化物(水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなど)が含まれる。塩基の量は好ましくは、アミンIIIの1モル当たり少なくとも0.9モルであり、特にアミンIIIの1モル当たり少なくとも1.0モルであり、例えば、アミンIIIの1モル当たり1.1から10モルである。
【0151】
好ましい実施形態において、IIおよびIIIのカップリング反応は、触媒有効量のパラジウム(0)化合物または有利にはホスフィンリガンド、例えば、トリアリールホスフィン(トリフェニルホスフィンなど)、トリアルキルホスフィン(トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィンなど)、およびシクロアルキルホスフィン(トリシクロヘキシルホスフィンなど)、ならびに特にホスフィンキレートリガンド(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンまたは1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなど)と組み合わせて、反応条件下で、パラジウム(0)化合物、例えば、二塩化パラジウム、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(=Pd(DBA))を形成することができるパラジウム化合物の存在下で行う。触媒有効量は好ましくは、化合物IIの1モル当たり1から500ミリモル、特に10から300ミリモルである。
【0152】
一般に、IIおよびIIIのカップリング反応は、不活性溶媒中で行う。好適な不活性溶媒には、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソールなど)、脂肪族または脂環式エーテル(テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、脂肪族または脂環式スルホンおよびスルホキシド(ジメチルスルホキシド、スルホランなど)など、脂肪族C1−C3−カルボン酸のN,N−ジアルキルアミドおよびN−アルキルラクタム(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルピペリドン、およびN−エチルピロリドンが含まれる。
【0153】
が水素である、式Iの化合物は、Rが適切な保護基である場合、N−R1a結合の切断によって式I’の化合物から得ることができる。
【0154】
得られるキノリン化合物I’において、基R1aが所望の基Rでないが、その前駆体である場合、その化合物は下記に概略を述べたように修飾して、所望の置換基Rを得ることができる。前駆体は容易に除去することができるおよび所望の基Rで置き換えることができるまたは修飾してRを得ることができる基である。前駆体は、N−保護基(PG)、例えば、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(Trt)、ニトロベンゼンスルフェニル(Nps)、アリルおよびベンジルなどであることもできる。
【0155】
1aがアリルである場合、アリル基を切断して、Rが水素である式Iの化合物を得ることができる。アリル基の切断は、当業者に知られている方法を適用して、例えば、触媒有効量のパラジウム(0)化合物または有利にはホスフィンリガンド、例えば、トリアリールホスフィン(トリフェニルホスフィンなど)、トリアルキルホスフィン(トリブチルホスフィンなど)、およびシクロアルキルホスフィン(トリシクロヘキシルホスフィンなど)、ならびに特にホスフィンキレートリガンド、例えば、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルまたは1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどと組み合わせて、反応条件下で、パラジウム(0)化合物、例えば、二塩化パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を形成することができるパラジウム化合物の存在下で、化合物I’をR1a[=アリル捕捉剤(例えば、メルカプト安息香酸または1,3−ジメチルバルビツール酸など)と一緒のアリル]と反応させることによって得る(メルカプト安息香酸の存在下でN−アリルを脱離させることに関しては、WO94/24088を参照;1,3−ジメチルバルビツール酸の存在下で脱離させることに関しては、J.Am.Chem.Soc.2001年、123巻(28号)、6801−6808頁およびJ.Org.Chem.2002年、67巻(11号)3718−3723頁を参照)。あるいは、N−アリルの切断は、J.Chem.Soc.、Perkin Transaction I:Organic and Bio−Organic Chemistry 1999年(21)3089−3104頁およびTetrahedron Asymmetry 1997年、8巻(20号)、3387−3391頁に記載された方法との類似性によって、ロジウム化合物(トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウム(I)など)の存在下で、化合物I’をアリルであるR1aと反応させることによって行うこともできる。
【0156】
1aがベンジルである場合、この置換基を切断して、RがHである化合物Iを得ることもできる。切断の反応条件は当技術分野で知られている。典型的には、ベンジル基を炭素上のPdまたは水酸化パラジウムなどの適切なPd触媒の存在下で水素化反応によって除去する。
【0157】
1aは、酸切断性保護基であることもできる。保護基を除去して、R1aが水素である化合物Iを生成することができる。適切な保護基は当技術分野で知られており、例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(Trt)およびニトロベンゼンスルフェニル(Nps)から選択される。好ましい保護基はBocである。保護基は、知られている方法、例えば、保護アミンを酸、例えば、ハロゲン酸(HClまたはHBrなど)、ギ酸もしくはトリフルオロ酢酸の処理などによって、または場合によってPd触媒の存在下で、水素化によって除去することができる。
【0158】
次いで、RがHである、得られた化合物Iは、化合物R1b−X(R1bは水素とは異なるRに対して与えられた意味の1つを有する)と、知られている仕方で、アルキル化の意味において、反応させることができる。この化合物において、R1bは好ましくは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、ヘタリール−C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルであり、Xは求核的に置換可能な離脱基、例えば、ハロゲン、トリフルオロメチルスルホネート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルスルフェートなどである。アルキル化に必要な反応条件は、例えば、Bioorganic and Medicinal Chemistry Lett.2002年、12巻(7号)、2443−2446頁およびまた2002年、12巻(5号)、1917−1919頁に開示されている。
【0159】
アルキル化は、還元剤の存在下で、例えば、水素化ホウ素(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなど)の存在下で、RがHである化合物Iを適切なケトンまたはアルデヒドと反応させることによって、還元アミノ化の意味において、得ることもできる。当業者は、例えば、Bioorganic and Medicinal Chemistry Lett.2002年、12巻(5号)、795−798頁および12巻(7号)1269−1273頁から、還元アミノ化に必要な反応条件をよく知っている。
【0160】
が水素である場合、化合物Iは、ハロゲン化アシルと反応させて、RがホルミルまたはC−C−アルキルカルボニルである式Iの化合物を得ることができる。これらの化合物におけるカルボニル基は、ジボランで還元して、RがC−C−アルキルである一般式Iの化合物を得ることができる。カルボニル基は、フッ素化剤と反応させて、Rが1,1−ジフルオロアルキルである化合物Iを得ることもできる。アシル化および還元は、Jerry March、Advanced Organic Chemistry、第3版、J.Wiley & Sons、New York、1985年、370頁と373頁(アシル化)および1099頁以降において、ならびにこの出版物に引用された文献(アシル化に関しては、Synth.Commun.1986年、16、267頁も参照、および還元に関しては、J.Heterocycl.Chem.1979年、16、1525頁も参照)において検討されている標準的方法によって得ることができる。
【0161】
QがCHである式Iの化合物は、例えば、式IIの適切な8−ハロ置換キノリン化合物および多環式アミンIIIaから出発して、スキーム2:
【0162】
【化18】

で示されるようなPd−触媒交差カップリングによって調製することができる。
【0163】
スキーム2において、変数R、R、R、R、R、A、B、X、Y、R、R、Ar、mおよびnは本明細書で定義されたとおりである。R1aは、好ましくは水素と異なる、Rに与えられた意味の1つを有するまたは適切なN−保護基であり、例えば、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(Trt)、ニトロベンゼンスルフェニル(Nps)、アリルまたはベンジルである。HalおよびHal’はハロゲン、特にBrまたはIである。スキーム2によれば、標準的方法によって、例えば、Tetrahedron 1987年、43、2203−2212頁;J.Org.Chem.1988年、53、2390−2392頁に記載された方法によって、ハロゲン化合物IIIaを有機亜鉛化合物IIIbに変換する。その後、有機亜鉛化合物をNegeshi型Pd(0)−介在交差カップリング反応において適切な8−ハロキノリン化合物IIと反応させて、Synlett 1998年、4、379−380頁;J.Am.Chem.Soc.2003年、125、12527−12530頁に記載された方法との類似性によって8−置換化合物I’を得る。あるいは、中間的に生成した有機亜鉛化合物IIIbは、例えば、CuCn2LiClとトランスメタル化し、その後に式IIの8−ハロキノリン化合物と反応させることができる。
【0164】
式IIの8−ハロキノリン化合物は市販されているまたはこれらは、当業者によく知られている有機合成の日常技術によって、例えば、WO2003/080580に記載された方法との類似性によって、調製することができる。XがS(O)である式IIの化合物は、例えば、スキーム3に示されるような式XIIの8−ニトロキノリン化合物から出発して調製することができる。
【0165】
【化19】

【0166】
IVなどの市販のニトロキノリンは、酢酸などの溶媒中N−ヨードスクシンイミドなどのヨード化反応剤で処理することによって3−ヨード誘導体Vに変換し、3−または4−ヨードキノリン化合物Vを生成することができる。3−および4−異性体は、この段階または後の段階で分離することができる。次いで、化合物Vは、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)またはDMFなどの極性溶媒中Cu(I)トリフラートなどの銅(I)塩の存在下でスルフィン酸Ar−S(O)OHのアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩Ar−S(O)Naと反応させて、キノリン化合物VIを生成する。VIのニトロ基を還元してアミノ化合物VIIを得る。還元は、SnClなどの「非−水素」還元剤による還元を含む様々な方法によってまたは当業者によく知られている触媒水素化技術によって得ることができる。次いで、VIIのアミノ基は、ニトロソニウム源(例えば、NaNO、nBuNO)および、水またはCHCNなどの適切な溶媒中ヨウ化物(例えば、CuIまたはn−BuNI)を用いてサンドマイヤー反応によってヨード基に変換する。
【0167】
式IIIの化合物は、市販されているもしくは当技術分野で知られているまたはP.Kocienski、「Protecting Groups」、Thieme Verlag、Stuttgart 2000年、185から243頁およびそこに引用された参考文献に記載されたようなNH−保護の標準的技術による所望のNH−基の選択的保護/脱保護によって、遊離のNH−基を有する対応する多環式アミンから調製することができる。式IIIの化合物は、例えば、Journal of Medicinal Chemistry(2007年)、50巻(22号)、5493−5508頁、WO2001/081347、WO2008/060767、WO2008/041090、WO2007/100990、およびBioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2006年)、16巻(11号)、2891−2894頁に記載されている。
【0168】
特に断りがない限り、上記反応は一般に、溶媒中、室温と用いられる溶媒の沸点との間の温度で行う。あるいは、この反応に必要な活性化エネルギーは、マイクロ波、特に、遷移金属により触媒された反応の場合に、有益であることが証明されたものを用いて、反応中に導入することができる(マイクロ波を用いる反応に関しては、Tetrahedron 2001年、57、9199頁以降、9225頁以降およびまた、一般的な仕方においては、「Microwaves in Organic Synthesis」、Andre Loupy(編)、Wiley−VCH 2002年を参照されたい)。
【0169】
化合物Iの酸付加塩は、必要に応じて、有機溶媒、例えば、アセトニトリル、低級アルコール(メタノール、エタノールまたはプロパノールなど)、エーテル(ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはジイソプロピルエーテルなど)、ケトン(アセトンまたはメチルエチルケトンなど)、エステル(酢酸エチルなど)、それらの混合物ならびに水とそれらの混合物における溶液中、遊離の塩基を対応する酸と混合することによって、慣例の仕方で調製される。
【0170】
本発明の化合物は、部分的アゴニスト活性を含む、5−HT受容体アゴニスト、または逆アゴニスト活性を含む、5−HT受容体アンタゴニストであることができる。
【0171】
本発明による式Iの化合物は、驚くべきことに、5−HT受容体に対して高い親和性を有する。本発明による化合物の5−HT受容体に対する高い親和性は、一般に50nM(ナノモル/l)未満、好ましくは10nM未満、特に5nM未満の非常に低いインビトロ受容体結合定数(K(5−HT)値)に表されている。H−LSDの置換は、例えば、5−HT受容体に対する結合親和性を決定するために受容体結合試験において用いることができる。
【0172】
さらに、式Iの化合物は、ドーパミン受容体、アドレナリン受容体、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体、アヘン剤受容体などの他の受容体、特に、ドーパミンD受容体、α−アドレナリン受容体およびヒスタミンH受容体に対するそれらの低い親和性のために、他のあまり選択的でない5−HTリガンドより生じる副作用が少ない、非常に選択的な5HT−受容体リガンドである。
【0173】
例えば、本発明による化合物の5−HT/D、5−HT/α−アドレナリンまたは5−HT/Hの選択性、すなわち、受容体結合定数の比K(D)/K(5−HT)、K(α−アドレナリン)/Ki(5−HT)またはK(H)/K(5−HT)は、一般に少なくとも25であり、好ましくは少なくとも50であり、さらにより好ましくは少なくとも100である。
【0174】
H]SCH23390または[125I]スピペロンの置換は、例えば、D、DおよびD受容体についての受容体結合試験を行うために用いることができる。
【0175】
さらに、式Iの化合物は、それらの構造的特徴のために、他の知られている5−HT受容体リガンドよりも高い脳浸透を示しやすい。
【0176】
それらの結合プロファイルのために、本化合物は、5−HT受容体リガンドに応答する(または5−HT受容体リガンドによる治療を受けやすい)疾患の治療に用いることができる、すなわち、5−HT受容体(を調節すること)に影響を及ぼして臨床像に改善をもたらすまたは疾患の治癒に導くことにおいて、それらの内科的障害または疾患の治療に有効である。これら疾患の例は、中枢神経系の障害または疾患である。
【0177】
中枢神経系の障害または疾患は、脊髄および、特に、脳に影響を与える障害を意味すると理解される。本発明の意味の範囲内で、「障害」という用語は、一般に病的状態または機能であるとみなされるならびに特定の徴候、症状および/または機能不全の形態で現れ得る障害および/または異常を意味する。本発明による治療は個々の障害、すなわち、異常または病状に向けることができるが、互いに原因的に関連させ得るいくつかの異常が、本発明によって治療することができるパターン、すなわち、症候群に合体されることも可能である。
【0178】
本発明によって治療され得る障害は、特に、5−HT受容体の調節に応答する障害である。これらには、認知機能障害(特にアルツハイマー病関連の記憶、認知および学習の欠陥など)、年齢関連認知低下および軽度認知機能障害、注意欠陥障害/多動症候群、人格障害(統合失調症、特に統合失調症関連認知欠陥など)、気分障害(抑うつ、不安および強迫性障害など)、運動障害(motion or motor disorders)(パーキンソン病およびてんかんなど)、偏頭痛、睡眠障害(概日周期障害など)、摂食障害(食欲不振および食欲亢進など)、ある種の胃腸障害(過敏性腸管症候群など)、神経変性関連疾患(卒中など)、脊髄および頭部外傷および頭部損傷(水頭症など)、薬物嗜癖および肥満症が含まれる。
【0179】
嗜癖疾患には、向精神剤(薬剤または麻薬など)の乱用、およびまた他の嗜癖疾患(賭け事中毒など)(他に分類されない衝動調節障害)によって引き起こされる精神的障害および行動障害が含まれる。常習性物質の例は、アヘン剤(例えば、モルヒネ、ヘロインおよびコデイン)、コカイン;ニコチン;アルコール;GABAクロライドチャネル複合体と相互作用する物質、鎮静剤、睡眠薬および精神安定剤(例えば、ベンゾジアゼピン);LSD;カンナビノイド;精神運動興奮薬(3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン(エクスタシー)など);アンフェタミンおよびアンフェタミン様物質(メチルフェニデートなど)ならびに他の興奮剤(カフェインを含む)である。特に考慮される常習性物質は、アヘン剤、コカイン、アンフェタミンまたはアンフェタミン様物質、ニコチンおよびアルコールである。
【0180】
嗜癖疾患の治療に関しては、それら自体まったく向精神薬効果を有さない式Iの本発明による化合物が特に好ましい。これは、投与された後に、本発明によって使用することができる化合物が、向精神薬物質、例えば、コカインなどのそれら自体の投与を減少させる、ラットを用いる試験でも観察することができる。
【0181】
本発明の別の態様によれば、本発明による化合物は、その原因が少なくとも部分的に5−HT受容体の異常な活性に帰することができる障害の治療に好適である。
【0182】
本発明の別の態様によれば、その治療は、特に、5−HT受容体への好ましくは外因的に投与された結合パートナー(リガンド)の結合によって、目的にかなった薬物療法の意味の範囲内で、影響され得るそれらの障害に向けられる。
【0183】
本発明による化合物で治療し得る疾患はしばしば、漸進的進行、すなわち、上記状態の時間経過にわたる変化によって特徴付けられ;一般に、重症度は増加し、および状態は恐らくは互いに合併し得るまたは他の状態が既に存在しているものに加えて現れ得る。
【0184】
式Iの化合物は、中枢神経系の障害および、特に、上記状態と関連している多数の徴候、症状および/または機能不全の治療に使用することができる。これらの徴候、症状および/または機能不全には、例えば、現実に対する関係障害、生活によってなされる習慣的な社会規範またはその要求を満たす洞察および能力の欠如、気質の変化、個人の欲動(空腹、睡眠、渇きなど)および気分の変化 観察および統合する能力の障害、人格の変化、特に情動不安定、幻覚、自我障害、注意散漫、両面感情、自閉症、離人症および妄覚、妄想観念、歌唱的言動、共同運動欠如、歩幅が短い歩行、体幹および体肢の固定姿勢、振戦、顔表情の不足、単調な言動、抑うつ、無気力、自発性および果断阻害、連想能力貧困、不安、神経興奮、どもり、対人恐怖、パニック障害、嗜癖関連禁断症状、躁型症候群、興奮および錯乱状態、情動不安、運動障害症候群およびチック障害(例えば、ハンチントン舞踏病およびジルドラトゥレット症候群、眩暈症候群(例えば、末梢位置、回転および振動眩暈)、メランコリー、ヒステリー、心気症などが含まれる。
【0185】
本発明の意味の範囲内で、治療にはまた、予防的治療(予防)(特に再発予防または相予防など)、ならびに急性または慢性の徴候、症状および/または機能不全の治療も含まれる。この治療は、例えば、症状の抑制として症状的に方向付けることができる。これは、短期間で効果をもたらす、中期間で方向付けする、または例えば、維持療法の文脈内で長期の治療であることができる。
【0186】
本発明による化合物は、中枢神経系の疾患の治療に、より好ましくは認知機能障害の治療に、特に、統合失調症関連またはアルツハイマー病関連認知機能障害の治療に優先的に好適である。
【0187】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物は、例えば、それらに関連した精神的障害および行動障害を含めて、向精神剤、例えば、薬剤、麻薬、ニコチンまたはアルコールなどの乱用によって引き起こされる嗜癖疾患の治療に特に好適である。
【0188】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物は、栄養障害(肥満症など)、ならびにそれらに関連した疾患(心疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、癌または2型糖尿病など)の治療に特に好適である。
【0189】
治療の文脈の範囲内で、記載された化合物の本発明による使用には、方法も含まれる。この方法において、一般に薬学および獣医学の実務に従って製剤化された、有効量の1種以上の化合物は、治療される個体、好ましくは哺乳動物、特に人、生産動物または家畜に投与される。このような治療が適応されるかどうか、およびどの形態で起こるはずかは、個々の場合に依存し、考慮に入れる医学的評価(診断)、存在している徴候、症状および/または機能不全、特定の徴候、症状および/または機能不全を発症するリスク、ならびに他の要因に左右される。
【0190】
一般に、治療は、必要に応じて他の活性化合物もしくは活性化合物含有調製物と一緒に、または交互に、一回または連続毎日投与によって行われ、経口投与の場合は、好ましくは約0.1から1000mg/kg体重、または非経口投与の場合は、約0.1から100mg/kg体重の日用量が治療される個体に与えられる。
【0191】
本発明はまた、個体、好ましくは哺乳動物、特に人、生産動物または家畜を治療するための薬学的組成物の製造に関する。したがって、式Iの化合物は、本発明による少なくとも1種の化合物および、必要に応じて、他の活性化合物と一緒に薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物の形態で通例投与される。これらの組成物は、例えば、経口的、直腸、経皮的、皮下、静脈内、筋内または鼻腔内に投与され得る。
【0192】
好適な薬学的製剤の例は、固体薬剤形態[粉末、顆粒、錠剤(特に、フィルム錠剤、ロゼンジ、サシェ、カシェ、糖衣錠)、カプセル(硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセルなど)、坐薬または膣薬剤形態]、半固体薬剤形態(軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペーストまたは膏薬など)、およびまた、液体薬剤形態[溶液、エマルジョン(特に水中油型エマルジョン)、懸濁液(例えば、ローション、注射製剤および輸液製剤)、ならびに点眼液および点耳液など]である。埋め込み式放出装置も、本発明による阻害剤を投与するために使用することができる。さらに、リポソームまたはミクロスフェアを使用することも可能である。
【0193】
組成物を製造する場合、本発明による化合物は、1種以上の賦形剤と場合によって混合または希釈される。賦形剤は、固体、半固体または液体材料であることができ、これらは活性化合物のためにビヒクル、担体または媒体として機能する。
【0194】
好適な賦形剤は、専門家薬剤モノグラフに列挙されている。さらに、製剤は、薬学的に許容される担体または通常の補助物質、例えば、流動促進剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤;酸化防止剤;抗刺激剤;キレート剤;コーティング補助剤;エマルジョン安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;臭気マスキング剤;味覚矯味薬;樹脂;親水コロイド;溶媒;可溶化剤;中和剤;拡散促進剤;顔料;四級アンモニウム化合物;再脂肪剤および過脂肪剤;軟膏、クリームまたはオイル用原料;シリコーン誘導体;展着補助剤;安定剤;滅菌剤;坐薬基剤;錠剤補助剤(結合剤、充填剤、流動促進剤、崩壊剤またはコーティング剤など);推進剤;乾燥剤;不透明化剤;増粘剤;ワックス;可塑剤および白色鉱油を含み得る。この点での製剤は、例えば、Fiedler,H.P.,Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete[Encyclopedia of auxiliary substances for pharmacy,cosmetics and related fields]、第4版、Aulendorf:ECV−Editio−Kantor−Verlag、1996年に記載されたような専門家知識に基づく。
【0195】
以下の実施例は、本発明をその範囲を限定することなく説明するために役立つ。
【0196】
本化合物は、400MHzまたは500MHzNMR装置(Bruker AVANCE)上でd6−ジメチルスルホキシドもしくはd−クロロホルム中プロトン−NMRによって、または一般に、C18−材料上の高速勾配におけるHPLC−MSによって記録して、質量分析法(エレクトロスプレー−イオン化(ESI)様式)、または融点によって特徴付けられる。
【0197】
核磁気共鳴スペクトル特性(NMR)は、100万分の1(ppm)で表した化学シフト(δ)を指す。H NMRスペクトルのシフトの相対面積は、分子中の特定の官能タイプに対する水素原子の数に対応する。多重度に関して、シフトの性質は、一重項(s)、ブロード一重項(s.br.)、二重項(d)、ブロード二重項(d br.)、三重項(t)、ブロード三重項(t br.)、四重項(q)、五重項(quit.)および多重項(m)として示される。
【0198】
8−ニトロ−3−(フェニルスルホニル)キノリンは、Insight Chemical Solutionsから購入し、およびまた、特許出願WO2003/80580に記載された手順を用いて調製した。
【0199】
3−ヨード−8−ニトロキノリンはInsight Chemical Solutionsから購入し、およびまた、特許出願WO2003/80580に記載された手順を用いて調製した。
【0200】
エチル(3aS,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−5−カルボキシレートは、WO2008060767、WO2008041090、WO2007100990、およびBioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2006年)、16巻(11号)、2891−2894頁に記載された手順を用いて調製した。
【0201】
Tert−ブチル(3aS,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−5−カルボキシレートは、Focus Synthesis and Enamineから市販されている。
【0202】
(1R,5S)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステルは、ジ−tert−ブチル−ジカーボネートによる遊離のアミンの保護およびその後のベンジルオキシ−カルボニル基の除去によって、(1S,5S)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボン酸フェニルエステルを調製した。(1S,5S)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボン酸フェニルエステルは、Journal of Medicinal Chemistry(2007年)、50巻(22号)、5493−5508頁、およびWO20011081347に従って合成したが、Asta Techからも市販されている。
【0203】
(1S,5R)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステルは、(1R,5S)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステルについて記載されたように(1R,5R)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボン酸フェニルから調製した。
【0204】
I.化合物の調製
【実施例1】
【0205】
8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)−3−(フェニルスルホニル)キノリン塩酸塩
1.1 3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−アミン
80℃において8−ニトロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(3.70g、11.77モル)の酢酸(40ml)中溶液に、鉄粉末(3.29g、58.86ミリモル)を5分間かけて数回に分けて添加した。得られた懸濁液をさらに30分間攪拌した。次いで、これを室温まで冷却し、ろ過した。固形分を酢酸で洗浄し、収集したろ液を濃縮した。残留物をCHClに溶解させ、水酸化アンモニウム溶液(25%)、水で洗浄し、次いで、MgSO上で乾燥させた。有機層をろ過し、次いで蒸発させて、黄色固体として表題化合物(3.20g、96%)を得た。
MS(ESI+)m/z=285.1[M+H]
【0206】
1.2 8−ヨード−3−(フェニルスルホニル)キノリン
8−ヨード−3−(フェニルスルホニル)キノリンは、特許出願WO2003080580において前に記載された手順によって3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−アミンから調製した。
MS(ESI+)m/z=395.9[M+H]
【0207】
1.3 tert−ブチル5−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−1(2H)−カルボキシレート
ナトリウムt−ブトキシド(70mg、0.71ミリモル)およびtert−ブチルヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−1(2H)−カルボキシレート(537mg、2.53ミリモル)のジオキサン(3mL)中溶液を窒素下で攪拌した。これに、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(25mg、0.05ミリモル)、Pd(DBA)(12mg、0.02ミリモル)および8−ヨード−3−(フェニルフルホニル)キノリン(200mg、0.51ミリモル)を添加し、その後さらに2mLのジオキサンを添加した。次いで、この混合物を40℃で12時間加熱し、その後、CHClおよび水間に分配した。混合物を、セライトを通してろ過し、有機相を分離した。水相をCHClで2回抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮し、粗物質を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製して淡黄色油として表題化合物(92mg、38%)を得た。
【0208】
MS(ESI+)m/z=480.1(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO):δ(ppm)回転異性体 1.38(d,9H)、1.82(m,1H)、2.02(m,1H)、3.00(m,1H)、3.40(m,2H)、3.68(m,2H)、3.82(m,1H)、3.95(m,1H)、4.25(m,1H)、7.02(s,1H)、7.53(s,2H)、7.65(m,5H)、8.09(d,1H)、8.97(s,1H)、9.10(br s,1H)。
【0209】
1.4 8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)−3−(フェニルスルホニル)キノリン塩酸塩
tert−ブチル5−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−1(2H)−カルボキシレート(92mg、0.19ミリモル)のCHCl(5ml)中溶液を塩酸(ジオキサン中4M、2ml)で0℃において処理し、次いで、50℃で16時間攪拌した。濃縮後、生成物をEtOAcで洗浄し、真空中で乾燥させ、白色固体として表題化合物(80mg、100%)を得た。
【0210】
MS(ESI+)m/z=380.1(M+H)
H NMR(400MHz,DMSO):δ(ppm)1.95(m,1H)、2.20(m,1H)、3.12(m,1H)、3.26(m,2H)、3.67(rn,2H)、3.97(m,1H)、4.15(m,1H)、4.31(m,1H)、7.12(d,1H)、7.65(m,5H)、8.10(d,1H)、8.85(br s,1H)、9.05(s,1H)、9.22(br s,1H)。
【実施例2】
【0211】
ベンジル6−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボキシレート
ナトリウムt−ブトキシド(49mg、0.51ミリモル)および(1S,5S)−ベンジル3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(98mg、0.24ミリモル)のトルエン(3mL)中溶液を窒素下で攪拌した。これにトリ−t−ブチルホスフィン(25mg、0.05ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(6.9mg、0.03ミリモル)および8−ヨード−3−(フェニルスルホニル)キノリン(80mg、0.202ミリモル)を添加した。次いで、この混合物を60℃で2時間加熱し、その後、CHClおよび水間に分配した。混合物を、セライトを通してろ過し、有機相を分離した。水相をCHClで2回抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮し、粗物質を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た。
【0212】
MS(ESI+)m/z=500.2(M+H)
【実施例3】
【0213】
tert−ブチル2−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート
ナトリウムt−ブトキシド(49mg、0.51ミリモル)および(1S,5S)−ベンジル3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(98mg、0.24ミリモル)のトルエン(3mL)中溶液を窒素下で攪拌した。この溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(25mg、0.05ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(6.9mg、0.03ミリモル)および8−ヨード−3−(フェニルスルホニル)キノリン(80mg、0.202ミリモル)を添加した。次いで、この混合物を60℃で2時間加熱した。次いで、得られた反応混合物をCHClおよび水間に分配した。混合物を、セライトを通してろ過し、有機相を分離した。水相をCHClで2回抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮し、粗物質を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た。
【0214】
MS(ESI+)m/z=494.5(M+H)
【実施例4】
【0215】
3−(フェニルスルホニル)−8−(1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)キノリン
tert−ブチル2−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。25mg(51%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0216】
MS(ESI+)m/z=394.1(M+H)
【実施例5】
【0217】
(1R,5S)−tert−ブチル3−(3−フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレート
(1R,5S)−tert−ブチル3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。
【0218】
MS(ESI+)m/z=465.1(M+H)
【実施例6】
【0219】
8−((1S,5S)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−3−イル)−3−(フェニルスルホニル)キノリン
(1R,5S)−tert−ブチル3−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。
【0220】
MS(ESI+)m/z=365.1(M+H)
【実施例7】
【0221】
(3aS,6aS)−エチル1−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(100mg、0.348ミリモル)、(3aS,6aS)−エチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(2R,3R)−2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)スクシネート(944mg、1.74ミリモル)およびKCO(577mg)のDMF(3mL)中溶液を窒素下で攪拌し、100℃で7時間加熱した。これを冷却した混合物を10mLの飽和NaClで希釈し、得られた沈殿物を収集し、乾燥させて、表題化合物を得た。
【0222】
MS(ESI+)m/z=454.1(M+H)
【実施例8】
【0223】
tert−ブチル5−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−カルボキシレート
3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンおよびtert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。250mg(69%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0224】
MS(ESI+)m/z=498.2(M+H)
【実施例9】
【0225】
tert−ブチル5−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1,5−ナフチリジン−1(2H)−カルボキシレート
tert−ブチルオクタヒドロ−1,5−ナフチリジン−1(2H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。120mg(9%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0226】
MS(ESI+)m/z=508.2(M+H)
【実施例10】
【0227】
1−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)デカヒドロ−1,5−ナフチリジン
tert−ブチル5−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1,5−ナフチリジン−1(2H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。1mg(8%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0228】
MS(ESI+)m/z=408.2(M+H)
【実施例11】
【0229】
tert−ブチル2−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート
tert−ブチルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレートおよび3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。130mg(55%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0230】
MS(ESI+)m/z=512.2(M+H)
【実施例12】
【0231】
8−((3aS,6aS)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロロ−1(2H)−イル)−3−(フェニルスルホニル)−キノリン
(3aS,6aS)−エチル1−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(60mg、0.133ミリモル)およびヨウ化トリメチルシリル(160mg、0.797ミリモル)のクロロホルム(1mL)中溶液を還流において1.5時間攪拌した。メタノール(4mg)を添加し、この溶液を酢酸エチルおよびNaOH水溶液(1M)間に分配した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、ろ過し、濃縮して、浅黄色油として11mg(22%)の表題化合物を得た。
【0232】
MS(ESI+)m/z=380.1(M+H)
【実施例13】
【0233】
3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−(1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)キノリン
tert−ブチル2−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。81mg(77%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0234】
MS(ESI+)m/z=412.2(M+H)
【実施例14】
【0235】
3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)キノリン
tert−ブチル5−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。121mg(92%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0236】
MS(ESI+)m/z=398.1(M+H)
【実施例15】
【0237】
tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートおよび8−ヨード−3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリンを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。140mg(79%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0238】
MS(ESI+)m/z=564.2(M+H)
【実施例16】
【0239】
8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)−3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン
tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。79mg(74%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0240】
MS(ESI+)m/z=464.1(M+H)
【実施例17】
【0241】
tert−ブチル5−(3−(3−(5−(tert−ブトキシカルボニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートおよび3−(3−ブロモフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを用いる以外は、1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。18mg(12%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0242】
MS(ESI+)m/z=690.3(M+H)
【実施例18】
【0243】
8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)−3−(3−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)フェニルスルホニル)キノリン
tert−ブチル5−(3−(3−(5−(tert−ブトキシカルボニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。9mg(58%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0244】
MS(ESI+)m/z=490.1(M+H)
【実施例19】
【0245】
tert−ブチル2−(3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート
tert−ブチルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレートおよび8−ヨード−3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリンを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。130mg(54%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0246】
MS(ESI+)m/z=578.2(M+H)
【実施例20】
【0247】
8−(1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン
tert−ブチル2−(3−(3−(トリフルオロメトキシ)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。67mg(63%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0248】
MS(ESI+)m/z=478.1(M+H)
【実施例21】
【0249】
tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−カルボキシレート
tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−カルボキシレートおよび8−ヨード−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリンを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。133mg(56%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0250】
MS(ESI+)m/z=548.2(M+H)
【実施例22】
【0251】
8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン
tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1(2H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。17mg(17%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0252】
MS(ESI+)m/z=448.1(M+H)
【実施例23】
【0253】
(3aR,6aS)−tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
(3aR,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートおよび8−ヨード−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリンを用いる以外は、実施例1.3と類似の手順によって表題化合物を調製した。107mg(60%)の表題化合物を浅黄色固体として得た。
【0254】
MS(ESI+)m/z=548.2(M+H)
【実施例24】
【0255】
8−((3aR,6aS)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン
(3aR,6aS)−tert−ブチル5−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを用いる以外は、実施例1.4と類似の手順によって表題化合物を調製した。103mg(97%)の表題化合物を浅黄色油として得た。
【0256】
MS(ESI+)m/z=448.1(M+H)
【実施例25】
【0257】
(3aS,6aS)−エチル−1−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
25.1 3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ニトロキノリン
15gの3−ヨード−8−ニトロキノリン(50ミリモル)、0.476gのCuI(2.5ミリモル)および21.22gのKPO(100ミリモル)を150mlのエチレングリコール中に懸濁させた。9.61gの3−フルオロベンゼンチオールを添加し、この反応混合物を80℃で6時間攪拌し、その後室温で14時間攪拌した。反応混合物を150mlのジクロロメタンおよび150mlの水間に分配し、15分間攪拌後、有機相を分離した。水層をジクロロメタンでさらに1回抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、5gの活性炭と一緒に15分間攪拌した。ろ液を54.1g(87ミリモル)のモノペルオキシフタル酸マグネシウム塩6水和物の300mlのジクロロメタン/メタノール中懸濁液に10−25℃で30分以内に添加した。室温で16時間攪拌後、反応混合物を冷却し、250mLのピロ亜硫酸ナトリウム水溶液をゆっくり添加した。有機相および沈殿物を分離し、250mlの重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。15分間攪拌後、沈殿物をろ過し、水およびエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて、11.7gの生成物を得た。
MS(ESI+)m/z=333.0[M+H]
【0258】
25.2 3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−アミン
10.13gの3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ニトロキノリン(30.5ミリモル)を150mlの酢酸中に懸濁させ、110℃に加温した。8.51gの鉄粉末(152ミリモル)を攪拌しながら少量ずつ添加した。攪拌を1時間続けた。次いで、この反応混合物を室温に冷却し、水および酢酸エチル間に分配した。有機相を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層に水を添加し、pHを急速攪拌下で、アンモニア水でアルカリ状態に調整した。有機層を分離し、水で2回抽出し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させて、9.2gの生成物を得た。
MS(ESI+)m/z=303.0[M+H]
【0259】
25.3 3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨード−キノリン
9.214gの3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−アミン(30.5ミリモル)を50mlのトリフルオロ酢酸中に溶解させた。この混合物を濃縮して、トリフルオロアセテート塩を得て、次いで、これをアセトニトリル中に溶解させた。150mlのアセトニトリル中4.71gの亜硝酸n−ブチル(45.7ミリモル)を0℃に冷却し、3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−アミン(100mLのアセトニトリル中に溶解させた)のトリフルオロアセテート塩のアセトニトリル溶液を0−+5℃で滴下した。10分間攪拌後、22.52gのヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウムを複数回に分けて添加し、この反応混合物を約0℃で2時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をジクロロメタン中に溶解させ、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機相を蒸発乾固させ、残留物をイソプロパノールで処理した。沈殿物をろ過し、少量のイソプロパノールおよびn−ヘプタンで洗浄し、真空中に乾燥させて、生成物を得た。さらなる生成物をそのろ液を乾燥まで蒸発させることによって得て、残留物質をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/酢酸エチル)で精製して、総量6.4gの生成物を得た。
MS(ESI+)m/z=413.9[M+H]
【0260】
25.4 (3aS,6aS)−エチル−1−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート
5mLのトルエン中0.255gの3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリン(0.617ミリモル)、0.114gの(3aS,6aS)−エチルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(0.617ミリモル)、0.404gの炭酸セシウム(1.234ミリモル)、0.014gの酢酸パラジウム(0.062ミリモル)および0.029gのX−Phos(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、0.062ミリモル)を90℃で8時間攪拌した。この反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/メタノール10/1+2.5%トリエチルアミン)で直接精製した。生成物を含む画分を合わせ、溶媒を蒸発させて、0.271gの所望の生成物を得て、これをさらに精製することなく実施例26で用いた。
【0261】
MS(ESI+)m/z=470.1[M+H]
【実施例26】
【0262】
3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−(3aS,6aS)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1−イル−キノリン塩酸塩
0.264gの(3aS,6aS)−エチル1−(3−(3−フルオロ−フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−カルボキシレート(0.562ミリモル)および0.338gのヨウ化トリメチルシリル(1.687ミリモル)の溶液をクロロホルム(5mL)中還流において1.5時間およびさらに室温で16時間攪拌した。さらなるヨウ化トリメチルシリルを添加し、この反応混合物を還流において6時間攪拌した。この混合物を室温に冷却させた。次いで、0.27gのメタノール(8.43ミリモル)を攪拌しながら添加し、攪拌を30分間続けた。溶媒を蒸発させ、残存物質を水で処理し、pHを濃アンモニア水でアルカリpHに調整した。水層をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーおよび分取HPLCで精製した。遊離塩基のテトラヒドロフラン/ジエチルエーテル中の溶液にジエチルエーテル中2NHClを添加することによって塩酸塩を得た。それにより、沈殿物が形成され、これをろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させて、10mgの生成物を得た。
【0263】
MS(ESI+)m/z=398.1[M+H]
【実施例27】
【0264】
(1S,5R)−tert−ブチル3−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレート
3−(3−(フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンおよび(1S,5R)−tert−ブチル3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートをカップリングさせることによって実施例25.4と類似の方法によって、0.153gの(1S,5R)−tert−ブチル3−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートを調製した。
【0265】
MS(ESI+)m/z=484.2[M+H]
【実施例28】
【0266】
8−(1R,5R)−3,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル−3−(3−フルオロ−ベンゼン−スルホニル)−キノリン塩酸塩
実施例27由来の0.150gの(1S,5R)−tert−ブチル3−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートを5mlのエタノール中に溶解させた。イソプロパノール中5NHCl5mLを添加し、この混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を少量のエタノール中に溶解させ、ジエチルエーテルの添加により沈殿させた。エタノール/イソプロパノール(2:1)から再結晶させて、0.0275gの生成物を得た。
【0267】
MS(ESI+)m/z=384.1[M+H]
【実施例29】
【0268】
3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−(ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピロール−5−イル)キノリン塩酸塩
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを1−(tert−ブトキシカルボニル)−オクタヒドロピロロ[2,3−c]ピロール−5−イウムクロライドとカップリングさせ、その後イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.088gの5−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−1−イウムクロライドを調製した。
【0269】
MS(ESI+)m/z=398.1[M+H]
【実施例30】
【0270】
3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−(3aR,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル−キノリン塩酸塩
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを市販の(3aR,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルとカップリングさせ、その後、イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.145gの3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−(3aR,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル−キノリン塩酸塩を調製した。
【0271】
MS(ESI+)m/z=398.1[M+H]
【実施例31】
【0272】
6−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−1−イウムクロライド
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを市販のオクタヒドロ−ピロロ[3,4−b]ピリジン−6−カルボン酸tert−ブチルエステルとカップリングさせ、その後、イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.073gの6−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン−1−イウムクロライドを調製した。
【0273】
MS(ESI+)m/z=412.2[M+H]
【実施例32】
【0274】
(1S,5S)−3−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3−アザ−6−アゾニアビシクロ[3.2.0]ヘプタン塩酸塩
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを(1R,5S)−tert−ブチル3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボキシレートとカップリングさせ、その後、イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.081gの(1S,5S)−3−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)−3−アザ−6−アゾニアビシクロ[3.2.0]ヘプタン塩酸を調製した。
【0275】
MS(ESI+)m/z=384.1[M+H]
【実施例33】
【0276】
5−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イウムクロライド
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを市販のtert−ブチルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H)−カルボキシレートとカップリングさせ、その後、イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.072gの5−(3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イウムクロライドを調製した。
【0277】
MS(ESI+)m/z=412.2[M+H]
【実施例34】
【0278】
8−(5−ベンジル−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン
34.1 tert−ブチル5−ベンジルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H)−カルボキシレート
0.777gの臭化ベンジル(4.54ミリモル)を、1.028gの市販のtert−ブチルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H)−カルボキシレート(4.54ミリモル)、1.883gの炭酸カリウム(13.62ミリモル)およびスパチュラ先端部の18−クラウン−6の25mlのテトラヒドロフラン中混合物に滴下した。この反応混合物を室温で16時間攪拌し、ろ過し、ろ過液を濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解させ、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、1.413gの生成物を得て、これをさらに精製することなくその後の工程で用いた。
MS(ESI+)m/z=317.2[M+H]
【0279】
34.2 5−ベンジルオクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2,5−ジイウムクロライド
1.355gのtert−ブチル5−ベンジルヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H)−カルボキシレート(4.28ミリモル)を10mlのエタノール中に溶解させた。この溶液にイソプロパノール中5NHCl20mlを添加し、得られた混合物を室温で16時間攪拌した。ジエチルエーテルを添加後、生成物が沈殿した。この生成物をろ過し、ジエチルエーテルでさらに洗浄後、生成物を乾燥させた。さらなる生成物を、ろ液を濃縮して、ジエチルエーテルから結晶化させて得た。合わせた量の生成物は1.07gであった。
MS(ESI+)m/z=217.2[M+H]
【0280】
34.3 8−(5−ベンジル−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを5−ベンジルオクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2,5−ジウムクロライドとカップリングさせることにより実施例27と類似の方法によって、0.367gの8−(5−ベンジル−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリンを調製した。
【0281】
MS(ESI+)m/z=502.2[M+H]
【実施例35】
【0282】
3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−(オクタヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2−イル)キノリン塩酸塩
0.05gのPd/C(10%)の1mlの水中懸濁液を、0.331gの8−(5−ベンジル−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン(0.66ミリモル)の10mlのエタノール中溶液に添加した。この混合物を80℃に加熱した。次いで、2mlの水中0.41gのギ酸アンモニウム(6.61ミリモル)を添加した。80℃で1時間後、さらなる触媒およびギ酸アンモニウムを添加した。攪拌を80℃で1時間続けた。次いで、触媒をろ別し、ろ液を濃縮した。残留物をジクロロメタンおよび水間に分配した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/メタノール10/1+2.5%トリエチルアミン、Analogix SF15/24g)で精製した。生成物を含む画分を合わせ、濃縮し、ジエチルエーテル中HClを添加することによって塩酸塩を形成させた。0.018gの生成物を得た。
【0283】
MS(ESI+)m/z=412.2[M+H]
【実施例36】
【0284】
8−((3aS,6aS)−1−ベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリン
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを(3aS,6aS)−1−ベンジルオクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロールとカップリングさせることにより実施例27と類似の方法によって、0.157gの8−((3aS,6aS)−1−ベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)−3−(3−フルオロフェニルスルホニル)キノリンを調製した。
【0285】
MS(ESI+)m/z=488.2[M+H]
【実施例37】
【0286】
3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−((3aR,6aS)−5−メチル−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル)−キノリン塩酸塩
0.05gの3−(3−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−8−((3aR,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−イル)キノリン塩酸塩(0.117ミリモル)をメタノール中に溶解させた。メタノール中水酸化ナトリウム1当量を添加し、この混合物を濃縮した。残留物を5mlのジクロロメタン中に溶解させ、その後、0.007gの酢酸(0.117ミリモル)、8.7μlのホルムアルデヒド水溶液(0.117ミリモル)および0.025gのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.117ミリモル)を添加した。反応が終了した後、ジクロロメタンを添加した。有機層を重炭酸ナトリム水溶液で洗浄し、水層をジクロロメタンで2回再抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残留物をテトラヒドロフラン中に溶解させ、ジエチルエーテル中HClを添加することによってその塩酸塩を形成させた。ろ過後、生成物をジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させた(0.033gの生成物を形成した)。
【0287】
MS(ESI+)m/z=412.2[M+H]
【実施例38】
【0288】
5−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−イウムクロライド
3−(3−フルオロフェニルスルホニル)−8−ヨードキノリンを市販の(3aR,6aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルとカップリングさせ、その後、イソプロパノール中HClでtert−ブチル−オキシカルボニル誘導体を脱保護することにより実施例27および実施例28と類似の方法によって、0.045gの5−(3−(4−フルオロフェニルスルホニル)キノリン−8−イル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−イウムクロライドを調製した。
【0289】
MS(ESI+)m/z=398.2[M+H]
実施例39から44の化合物を実施例1から38と類似の方法によって調製した。
【実施例39】
【0290】
3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール−5(1H)−イル)キノリン
MS(ESI+)m/z=398.2[M+H]
【実施例40】
【0291】
8−(5−ベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)−3−(フェニルスルホニル)−キノリン
MS(ESI+)m/z=470.2[M+H]
【実施例41】
【0292】
8−(5−メチル−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(フェニルスルホニル)キノリン
MS(ESI+)m/z=408.2[M+H]
【実施例42】
【0293】
2−(3−(フェニルスルホニル)キノリン−8−イル)ドデカヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール
MS(ESI+)m/z=448.1[M+H]
【実施例43】
【0294】
8−(ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)−3−(フェニルスルホニル)キノリン
MS(ESI+)m/z=380.1[M+H]
【実施例44】
【0295】
8−(1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル)キノリン
MS(ESI+)m/z=462.2[M+H]
【0296】
II.生物学的調査
以下のクローン化ヒト受容体に結合している放射リガンドの置換
1.超音波処理および分画遠心法による膜の調製
対応する受容体(5−HT、α−アドレナリン、ドーパミンDまたはヒスタミンHの受容体)を発現する安定クローン細胞系由来の細胞をPBS(w/oCa++、Mg++)で洗浄し、0.02%EDTAを有するPBS中で収穫した。これらの細胞を500gで4℃において10分間遠心分離法によって収集し、PBSで洗浄し、遠心分離した(500g、10分、4℃)。このペレットを使用まで−80℃で保存した。膜調製のために、解凍細胞ペレットを氷冷ショ糖緩衝液(0.25Mショ糖、10mMHepes(pH7.4)、DMSO中1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、5μg/mlPepstatin−A、3mM EDTA、0.025%Bacitracin)中に再懸濁させ、Branson Sonifier W−250で均一にした(設定:タイマー4;出力制御3;負荷サイクル定数;2から3サイクル)。細胞破壊を顕微鏡によって検査した。残存する非破壊細胞を1.000gで4℃において10分間ペレット化した。次いで、ショ糖緩衝液上清を60.000gで4℃において1時間遠心分離した(Beckman Ultrazentrifuge XL80)。このペレットを、10ml血清学的ピペットによってピペットで取ることによって、30mlの氷冷トリス緩衝液(20mMトリス(pH7.4)、5μg/mlPepstatinA、0.1mM PMSF、3mM EDTA)中に再懸濁し、60.000gで4℃において1時間遠心分離した。最終再懸濁を、血清学的ピペットによって押すことによって、少量の氷冷トリス緩衝液(上記参照)中で行い、その後Branson Sonifier W−250(設定:タイマー1;出力制御3;負荷サイクル定数;1サイクル)で超音波処理した。タンパク質濃度を決定し(BCA−キット;Pierce)、アリコートを長期保存のために−80℃でまたは液体窒素中に保存した。
【0297】
2.受容体結合実験
受容体結合実験はすべて、試験化合物の様々な濃度(10−5から10−9M、10倍の連続的希釈、繰り返し測定)の存在下で総容量200μlの対応するアッセイ緩衝液において行った。アッセイは、Tomtec MachIII U 96ウェルプレート収穫機を備えた、ポリエチレンイミン(PEI0.1%または0.3%)に予め浸したPackard Unifilter Plate(GF/CまたはGF/B)上でのろ過によって終了させた。プレートを乾燥室中55℃で2時間乾燥させた後、シンチレーションカクテル(BetaPlate Scint;PerkinElmer)を添加した。シンチレーション混合物を添加後2時間に、放射能をMicrobeta Triluxにおいて測定した。液体シンチレーション計数由来のデータを、Statistical Analysis System(SAS):MunsonおよびRodbard(Analytical Biochemistry 107、220−239頁(1980年))により記載されたとおりの「LIGAND」と同様のプログラムを使用して反復非線形回帰分析によって分析した。
【0298】
a)5−HT受容体結合アッセイ
h−5−HT受容体を安定に発現するHEK293細胞(NCBI参照配列番号XM001435)を、25mMHEPES、10%ウシ胎仔血清および1−2mMグルタミンで補給したRPMI1640培地中で培養した。膜調製を第1節に記載したように行った。これらの膜に関して、[H]−LSD(リセルグ酸ジエチルアミド;Amersham、TRK1038)に対するK1.95nMは、飽和結合実験によって決定した。アッセイの当日に、膜を解凍し、アッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、5mM CaCl、0.1%アスコルビン酸、10μMパルギリン、pH7.4)中に8μgタンパク質/アッセイの濃度に希釈し、穏やかなボルテックスによって均一にした。阻害試験のために、1nM[H]−リセルグ酸ジエチルアミドをアッセイ緩衝液中様々な濃度の試験化合物の存在下で温置した。非特異的結合は1μMメチオテピンで定義した。結合反応は、室温で3.5時間行った。温置の間に、プレートを100rpmにおいてプレートシェーカー上で振とうし、Packard Unifilter GF/C(0.1%PE)プレート上でろ過し、その後、氷冷50mMトリス−HCl、5mM CaClによる2回洗浄サイクルによって終了させた。
【0299】
a)ドーパミンD受容体結合アッセイ
ドーパミンD受容体を安定に発現するHEK293細胞(NCBI参照配列番号NM_000795)を、25mMHEPES、10%ウシ胎仔血清および1−2mMグルタミンで補給したRPMI1640培地中で培養した。膜調製を第1節に記載したように行った。これらの膜について、[125I]−ヨードスピペロン(PerkinElmer Life Sciences、NEX284)に対するK0.22nMは、飽和結合実験によって決定した。アッセイの当日に、膜を解凍し、アッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、120mM NaCl、5mM MgCl、5mM KCl、1.5mM CaCl、pH7.4)中に15μgタンパク質/アッセイの濃度に希釈し、穏やかなボルテックスによって均一にした。阻害試験のために、0.01nM[125I]−ヨードスピペロン(PerkinElmer Life Sciences、NEX284)をアッセイ緩衝液中様々な濃度の試験化合物の存在下で温置した。非特異的結合は1μMハロペリドールで定義した。結合反応は、室温で1時間行い、Packard Unifilter GF/B(0.1%PEI)プレート上でろ過し、その後氷冷7%ポリエチレングリコール溶液で6回洗浄サイクルによって終了させた。
【0300】
b)α−アドレナリン受容体結合アッセイ
α−アドレナリン受容体を安定に発現するCHO−K細胞(NCBI参照配列番号NM_033303)を、25mMHEPES、10%ウシ胎仔血清および1−2mMグルタミンで補給したRPMI1640培地中で培養した。膜調製を第1節に記載したように行った。これらの膜について、[H]−プラゾシン(PerkinElmer Life Sciences、NET823)に対するK0.12nMは、飽和結合実験によって決定した。アッセイの当日に、膜を解凍し、アッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、pH7.4)中で4μgタンパク質/アッセイの濃度に希釈し、穏やかなボルテックスによって均一にした。阻害試験のために、0.1nM[H]−プラゾシン(PerkinElmer Life Sciences、NET823)をアッセイ緩衝液中様々な濃度の試験化合物の存在下で温置した。非特異的結合は1μMフェントラミンで定義した。結合反応は、室温で1時間行い、Packard Unifilter GF/C(0.1%PEI)プレート上でろ過し、その後氷冷アッセイ緩衝液で3回洗浄サイクルによって終了させた。
【0301】
c)H受容体結合アッセイ
ヒスタミンH受容体を安定に発現するCHO−K細胞(Euroscreen−ES−390−C、NCBI参照配列番号NM_000861)を、25mMHEPES、10%ウシ胎仔血清および1−2mMグルタミンで補給したRPMI1640培地中で培養した。膜調製を第1節に記載したように行った。これらの膜について、[H]−ピリラミン(PerkinElmer Life Sciences、NET594)に対するK0.83nMは飽和結合実験によって決定した。アッセイの当日に、膜を解凍し、アッセイ緩衝液(50mM NaHPO、50mM KHPO、pH7.4)中6μgタンパク質/アッセイの濃度に希釈し、穏やかなボルテックスによって均一にした。阻害試験のために、1nM[H]−ピリラミン(PerkinElmer Life Sciences、NET594)をアッセイ緩衝液中の様々な濃度の試験化合物の存在下で温置した。非特異的結合は、1μMピリラミンで定義した。結合反応を室温で50分間行い、Packard Unifilter GF/C(0.3%PEI)プレート上でろ過し、その後氷冷アッセイ緩衝液で2回洗浄サイクルによって終了させた。
【0302】
3.データ分析
液体シンチレーション計数由来のデータをStatistical Analysis
System(SAS):MunsonおよびRodbard(Anal.Biochem.1980年、107、202−239頁)により記載されたとおりの「LIGAND」と同様のプログラムを使用することにより反復非線形回帰分析によって分析した。当てはめ(Fitting)をFeldman(Anal.Biochem.1972年、48、317−338頁)によって記載された式に従って行った。IC50、nHおよびK値は幾何平均として表した。試験化合物の最も高い濃度が特異的放射リガンド結合の30%未満を阻害した、試験化合物に対する親和性が低い受容体について、K−値はCheng and Prusoffの等式(Biochem.Pharmacol.1973年、22、2099−2108頁)に従って決定し、より大きい(>)として表した。
【0303】
受容体結合試験の結果は、本明細書で前に記載されたとおり、それぞれ、受容体結合定数K(5−HT)、K(D)、K(α−アドレナリン)およびK(H)として表し、表1に示す。
【0304】
これらの試験において、本発明による化合物は、5−HT受容体に対して非常に良好な親和性を示す(K<250nMまたは<50nMまたは<20nMまたは<10nMおよびしばしば<5nMまたは<1nM)。さらに、これらの化合物は、D、α−アドレナリンまたはHの受容体に対する親和性と比較して、5−HT受容体に選択的に結合する。これらの化合物はD、α−アドレナリンまたはHの受容体に対してあまり親和性を示さない(K>250nMまたは>1000nMおよびしばしば>10000nM)。
【0305】
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のキノリン化合物
【化1】

[式中、
Rは、式
【化2】

[式中、は、キノリニル基に対する結合部位を示し;
Aは、(CHであり、ここで、aは0、1、2または3であり;
Bは、(CHであり、ここで、bは0、1、2または3であり;
X’は、(CHであり、ここで、xは0、1、2または3であり;
Yは、(CHであり、ここで、yは0、1、2または3であり;
但し、a+bは1、2、3または4であり、x+yは1、2、3または4であり、およびa+b+x+yは3、4、5、6または7であることを条件とし;
Qは、NまたはCHであり;
は、水素、C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−Cハロアルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、アリール−C−C−アルキル、ヘタリール−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−ハロアルケニル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルであり、ここで、最後に記述された2つの部分のフェニル環は非置換であり、またはハロゲン、C−C−アルキルもしくはC−C−ハロアルキルから選択される、1、2もしくは3個の置換基を担持し;
は、水素、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり;
は、水素、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり;
pは、0、1または2であり;
qは、0、1または2であり;
は、存在する場合、C−C−アルキルもしくはC−C−ハロアルキルであり、ならびにXおよび/もしくはYに結合しており;
または
pが1もしくは2である場合、窒素原子に隣接しているXもしくはYの炭素原子に結合している1個の基Rは、Rと一緒になって、直鎖C−C−アルキレン(1または2個の基Rを担持してよい。)であってもよく;または
pが2である場合、XもしくはYの隣接炭素原子に結合している2個の基Rは一緒になって、直鎖C−C−アルキレン(1または2個の基Rを担持してよい。)であってもよく;
は、存在する場合、C−C−アルキルまたはC−C−ハロアルキルであり、ならびにAおよび/またはBに結合しており;
は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルコキシである。]
の多環式部分であり;
nは、0、1または2であり;
mは、0、1、2または3であり;
、Rは、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C(O)Raa、C(O)NRccbbおよびNRccbbからなる群から独立して選択され;
ここで、Raaは、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルコキシであり、
cc、Rbbは、水素およびC−C−アルキルからなる群から独立して選択され;
Xは、CH、C(O)、S、S(O)またはS(O)であり;これは、キノリン環の3位または4位に位置しており;
Arは、基Ar、Ar−ArまたはAr−O−Arであり、ここで、Ar、ArおよびArはそれぞれ、アリールおよびヘタリール(アリールおよびヘタリール部分は非置換であっても、1,2,3個の置換基Rを担持してよい。)からなる群から独立して選択され、ここで、
は、ハロゲン、CN、NO、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−ハロアルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−ハロシクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ヒドロキシアルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−ハロアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−ハロアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−ハロアルキルカルボニルアミノ、カルボキシ、NH−C(O)−NRx1x2、NRx1x2、NRx1x2−C−C−アルキレン、O−NRx1x2であり、ここで、最後に記述された4個の基中のRx1およびRx2は、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキルもしくはC−C−アルコキシであり、または最後に記述された4個の基中Rx1およびRx2は窒素原子と一緒になって、N結合5員、6員もしくは7員の飽和へテロ単環またはN結合7員、8員、9員もしくは10員の飽和ヘテロ二環(非置換であり、またはC−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ヒドロキシアルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1、2、3もしくは4個の基を担持する。)を形成し、ならびにここで、Arの隣接炭素原子に結合している2個の基Rは、飽和または不飽和の5員または6員の炭素環またはヘテロ環(これはそれ自体、基Rを担持してよい。)を形成してもよい。]
ならびに該化合物の生理学的に許容される酸付加塩およびN−酸化物。
【請求項2】
部分Rにおいて、変数xおよびyが、0、1または2であり、但し、x+yは1、2または3であることを条件とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
部分Rにおいて、変数aおよびbが、0,1または2であり、但し、a+bは1、2または3であることを条件とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
QがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
部分Rにおいて、変数qが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
部分Rにおいて、変数pが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
部分Rが、式R−1からR−44:
【化3】



(式中、Rは請求項1で定義されたとおりであり、はキノリニル基に対する結合部位を示す。)
の基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
部分Rが、式R−1、R−3、R−5、R−6、R−8、R−9、R−10、R−11、R−12、R−13、R−15、R−17、R−21、R−22、R−24、R−25、R−27、R−28、R−29、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38およびR−44の基から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
XがSOである、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
XがCHである、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
XがC(O)である、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Xがキノリニル部分の3位に位置している、請求項1から13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Xがキノリニル部分の4位に位置している、請求項1から13のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
Arが、フェニル、ナフチル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンソチアジアゾリル、ベンゾモルホリニルまたはインダニルであり、ここで、環状基Arは非置換であるまたは1、2もしくは3個の請求項1に定義されたとおりの置換基Rを担持し得る、請求項1から15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
Arが、非置換であるまたは1、2もしくは3個の請求項1に定義されたとおりの置換基Rを担持し得るフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、ハロゲン、CN、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−シクロアルキルおよび基NRx1x2から選択される、請求項1から17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
mが0である、請求項1から18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
nが0である、請求項1から19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
必要に応じて、少なくとも1種の生理学的に許容される担体または補助物質と一緒に、少なくとも1種の請求項1から20のいずれかに記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項22】
中枢神経系の疾患、嗜癖疾患または肥満症から選択される内科的障害を治療する方法であり、有効量の少なくとも1種の請求項1から20のいずれかに記載の化合物を、治療を必要としている対象に投与する段階を含む方法。
【請求項23】
内科的障害が中枢神経系の疾患である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
認知機能障害を治療するための、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
アルツハイマー病関連の認知機能障害を治療するための、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
統合失調症関連の認知機能障害を治療するための、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
内科的障害が嗜癖疾患である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
内科的障害が肥満症である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
薬学的組成物を調製するための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項30】
請求項22から28のいずれか一項に定義されたとおりの内科的障害の治療のための薬学的組成物を調製するための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項31】
薬剤としての使用のための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物。
【請求項32】
請求項22から28のいずれか一項に定義されたとおりの内科的障害の治療のための薬剤としての使用のための、請求項1から20のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2010−535739(P2010−535739A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519460(P2010−519460)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060335
【国際公開番号】WO2009/019286
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】