説明

センサ装置および情報表示装置

【課題】検出可能距離および検出感度を向上させることができるセンサ装置および情報表示装置を提供する。
【解決手段】上記センサ装置は、センサ部10と、演算部12と、切替回路部11と、制御部13とを具備する。センサ部10は、検出対象物の近接によって静電容量が変化する複数の検出電極を有する。演算部12は、検出対象物とセンサ部との間の距離である第1の距離を算出する。切替回路部11は、複数の検出電極を、上記静電容量の検出のための信号電圧が供給される第1の状態と電気的に浮遊した第2の状態との間で切り替える。切替回路部12は、複数の検出電極のうち第2の状態から第1の状態へ切り替えられる二以上の検出電極を一つずつ選択する。制御部13は、第2の状態から第1の状態へ切り替えられる検出電極相互間の距離である第2の距離が上記第1の距離に対応するように切替回路部11を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物の近接または接触を検出するセンサ装置および情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子などを使用した平面型の情報表示装置にあっては、表示パネル面に指などが接触したことをタッチセンサで検出し、その接触位置の座標情報に基づいて表示画像や動作を制御するものが一般的である。さらに近年、接触状態の検出だけでなく、指などがタッチセンサに触れる前の近接状態を検出可能な情報表示装置が提案されている(例えば下記特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば下記特許文献1には、複数の検知電極からなるセンサ手段と対象物との対向距離に応じて検知電極の電極間距離を変化させ、検知分解能を調整する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、遠い位置に存在する検知対象物を検知する場合は複数の検知電極を電気的に結合し、近い位置に存在する検知対象物を検知する場合は電気的に結合されている複数の検知電極を分離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−117371号公報
【特許文献2】特開2008−153025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の情報表示装置においては、検知電極相互間の静電結合の影響により、対象物の検出距離を大きくすることができないという問題がある。また、上記特許文献2に記載の構成では、検知電極の形状や配置の自由度が低いため、検出距離や感度が検出領域の大きさに制限される。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、検出可能距離および検出感度を向上させることができるセンサ装置および情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るセンサ装置は、センサ部と、演算部と、切替回路部と、制御部とを具備する。
上記センサ部は、検出対象物の近接によって静電容量が変化する複数の検出電極を有する。
上記演算部は、上記検出対象物と上記センサ部との間の距離である第1の距離を算出する。
上記切替回路部は、上記複数の検出電極を、上記静電容量の検出のための信号電圧が供給される第1の状態と電気的に浮遊した第2の状態との間で切り替え可能である。上記切替回路部は、上記複数の検出電極のうち上記第2の状態から上記第1の状態へ切り替えられる二以上の検出電極を一つずつ選択する。
上記制御部は、上記第2の状態から上記第1の状態へ切り替えられる上記検出電極相互間の距離である第2の距離が、上記演算部で算出された上記第1の距離に対応するように上記切替回路部を制御する。
【0008】
上記センサ装置においては、第1の状態に切り替えられる検出電極の静電容量の変化に基づいて、センサ部に対する検出対象物の近接が検出される。センサ部と検出対象物との間の相対距離(第1の距離)は、演算部によって算出される。このとき、第1の状態に切り替えられた検出電極以外の他の検出電極は、切替回路部によって電気的に浮遊した第2の状態に維持されるため、第1の状態にある検出電極とそれ以外の検出電極との間における静電結合が低減される。これにより、センサ部による検出対象物の検出感度を向上させることができる。
【0009】
また、上記センサ装置においては、上記第1の距離に対応する大きさの電極間距離(第2の距離)を有する二以上の検出電極が一つずつ第2の状態から第1の状態へ切り替えられる。これにより、検出対象物の近接距離に関係なく安定した検出感度を確保できるとともに、検出可能距離の拡大を図ることができる。
【0010】
上記演算部は、上記検出電極の静電容量の変化を検出することで上記第1の距離を算出する演算回路で構成されてもよい。また、上記演算部は、上記第1の距離を直接的に検出する撮像素子や、光学的に検出するセンサ素子などによって構成されてもよい。
【0011】
上記検出電極は、第1の方向に第1の間隔をおいて配列された複数の第1の電極部を有してもよい。この場合、上記制御部は、上記第1の距離の大きさに応じて、上記第2の距離が上記第1の間隔の整数倍で変化するように上記切替回路部を制御してもよい。
これにより、第1の方向に沿った検出対象物の位置あるいは動きを検出することができる。また、第1の状態へ切り替えられる検出電極の数を増減させることで、検出対象物の近接距離に応じた検出感度を得ることができる。
【0012】
上記検出電極は、上記第1の方向と交差する第2の方向に第2の間隔をおいて配列された複数の第2の電極部をさらに有してもよい。この場合、上記制御部は、上記第1の距離の大きさに応じて、上記第2の距離が上記第2の間隔の整数倍で変化するように上記切替回路部を制御してもよい。
これにより、第2の方向に沿った検出対象物の位置あるいは動きを検出することができる。また、第1の状態へ切り替えられる検出電極の数を増減させることで、検出対象物の近接距離に応じた検出感度を得ることができる。
【0013】
本発明の一形態に係る情報表示装置は、センサ部と、演算部と、切替回路部と、制御部と、表示素子とを具備する。
上記センサ部は、検出対象物の近接によって静電容量が変化する複数の検出電極を有する。
上記演算部は、上記検出対象物と上記センサ部との間の距離である第1の距離を算出する。
上記切替回路部は、上記複数の検出電極を上記静電容量の検出のための信号電圧が供給される第1の状態と電気的に浮遊した第2の状態との間で切り替え可能であり、上記複数の検出電極のうち上記第2の状態から上記第1の状態へ切り替えられる二以上の検出電極を一つずつ選択する。
上記制御部は、上記第2の状態から上記第1の状態へ切り替えられる上記検出電極相互間の距離である第2の距離が、上記演算部で算出された上記第1の距離に対応するように上記切替回路部を制御する。
上記表示素子は、上記センサ部に対向して配置され、情報を表示する表示面を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出対象物に対する検出可能距離および検出感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンサ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記センサ装置のセンサ部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記センサ装置のセンサ部、切替回路部、演算部との関係を示す概略的な回路図である。
【図4】上記センサ部から検出対象物までの距離と、検出電極の走査間隔との関係を説明する図である。
【図5】上記センサ装置の作用の一例を示す模式図である。
【図6】上記センサ装置の一動作例を説明するフローチャートである。
【図7】発振方式を異ならせて発振電極上の電界強度分布を測定したときの各発振条件を説明するシミュレーションモデルである。
【図8】図7のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】電極の間隔と検出対象物の高さを変化させて、電極と検出対象物との間の静電容量の変化率を測定する方法を説明するシミュレーションモデルである。
【図10】図9のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るセンサ装置を示す概略図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るセンサ装置を示す概略図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るセンサ装置を示す概略図である。
【図14】上記センサ部の電極形状の変形例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
[センサ装置]
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ装置の構成を示すブロック図である。本実施形態のセンサ装置1は、センサ部10と、切替回路部11と、演算部12と、制御部13と、表示部15とを有する。センサ装置1は、例えば入力座標位置の検出装置として機能し、入力座標位置に応じて表示画像を制御する情報表示装置の入力インターフェースを構成する。
【0018】
(センサ部)
図2は、センサ部10の概略構成を示す分解斜視図である。センサ部10は、第1の電極基板101と、第2の電極基板102と、これら電極基板101、102を相互に接合する接合層103との積層構造を有する。センサ部10は、図2に示すXY平面上における検出対象物の位置座標を検出するためのもので、静電容量式のタッチセンサあるいは近接センサとして構成される。本実施形態において検出対象物は、人の手指である場合を例に挙げて説明するが、これ以外にも、検出対象物にはスタイラスペン等の入力補助具も含まれる。
【0019】
第1の電極基板101は、複数本の検出電極10xと、これらの検出電極10xを支持する支持基材Dxとを有する。各検出電極10xは、図2においてY軸方向(縦方向)に平行に延びる直線的な配線電極で形成され、Y軸方向と直交するX軸方向(横方向)に所定の間隔をおいて複数配列されている。検出電極10xは、X軸方向に沿った手指の位置を検出する。
【0020】
第2の電極基板102は、複数本の検出電極10yと、これらの検出電極10yを支持する支持基材Dyとを有する。各検出電極10yは、X軸方向に平行に延びる直線的な配線電極で形成され、Y軸方向に所定の間隔をおいて複数配列されている。検出電極10yは、Y軸方向に沿った手指の位置を検出する。
【0021】
本実施形態では、第2の電極基板102は、第1の電極基板101の上層側に位置しているが、勿論これに限られず、第1の電極基板101が上層側に位置してもよい。第2の電極基板102の最上面は、検出電極10x、10yがマトリクス状に配列された検出面Dを構成し、例えば、第2の電極基板102を被覆する透明基板で形成される。
【0022】
検出電極10x、10yおよび支持基材Dx、Dyは、透光性を有する材料で形成されてもよいし、透光性を有さない材料で形成されてもよい。例えば図2に示すように、センサ部10が表示素子Wの表示面上に積層される場合、表示画像を外部から視認可能とするため、センサ部10を構成する各部材は、透光性を有する材料で形成される。この場合、検出電極10x,10yとしては、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電酸化物で形成され、支持基材Dx、Dyは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)等の透光性を有する樹脂材料で形成される。これに対して、センサ部10が表示素子Wの背面側に配置される場合は、センサ部10は透光性を必要とされないため、非透光性の材料で形成されることが可能である。
【0023】
切替回路部11は、検出電極10x、10yに信号電圧を供給することでセンサ部10を駆動する。センサ部10は、信号電圧を供給されることで、検出面Dへの手指の近接あるいは接触、および検出面Dに対する手指の相対位置に関する検出信号を生成し、これを演算部12へ出力する。
【0024】
図3は、センサ部10、切替回路部11、演算部12との関係を示す概略的な回路図である。図では簡単のため、センサ部10の各検出電極10x、10yはそれぞれ4本ずつ示されているが、実際はより多くの本数で各検出電極が配列される。
【0025】
(切替回路部)
切替回路部11は、個々の検出電極10xに対応して設置された複数のスイッチを含む第1のスイッチ群11xa、11xbと、個々の検出電極10yに対応して設置された複数のスイッチを含む第2のスイッチ群11ya、11ybとを有する。
【0026】
第1のスイッチ群11xa、11xbは、個々の検出電極10x(x1、x2、x3、x4)の両端にそれぞれ設置されたスイッチ(Sx1、Sx2、Sx3、Sx4)をそれぞれ有する。同一の検出電極10x(x1、x2、x3、x4)に接続された2つのスイッチ(Sx1、Sx2、Sx3、Sx4)は、それぞれ連動して開閉されるように構成されている。第1のスイッチ群のうち、一方側のスイッチ群11xaは、第1の信号発生回路14xに接続されており、他方側のスイッチ群11xbは、第1の演算回路12xに接続されている。
【0027】
一方、第2のスイッチ群11ya、11ybは、個々の検出電極10y(y1、y2、y3、y4)の両端にそれぞれ設置されたスイッチ(Sy1、Sy2、Sy3、Sy4)をそれぞれ有する。同一の検出電極10y(y1、y2、y3、y4)に接続された2つのスイッチ(Sy1、Sy2、Sy3、Sy4)は、それぞれ連動して開閉されるように構成されている。第2のスイッチ群のうち、一方側のスイッチ群11yaは、第2の信号発生回路14yに接続されており、他方側のスイッチ群11ybは、第2の演算回路12yに接続されている。
【0028】
信号発生回路14x、14yは、切替回路部11に含まれてもよいし、切替回路部11とは別に構成されてもよい。信号発生回路14x、14yは、検出電極10x、10yを駆動する信号電圧を発生させる発振回路あるいは電源回路で構成される。本実施形態における信号電圧は、所定周波数で発振するパルス電圧とされるが、これに限られず、高周波を含む所定周波数の交流電圧でもよいし、直流電圧でもよい。演算回路12x、12yは、後述する演算部12に含まれる。
【0029】
スイッチ群11xaを構成する各スイッチは、検出電極10x(x1、x2、x3、x4)と信号発生回路14xとの間を電気的に接続する第1の状態と、これらの間を電気的に遮断する第2の状態とをそれぞれ有する。スイッチ群11xbを構成する各スイッチは、検出電極10x(x1、x2、x3、x4)と演算回路12xとの間を電気的に接続する第1の状態と、これらの間を電気的に遮断する第2の状態とをそれぞれ有する。第1の状態では、検出電極10x(x1、x2、x3、x4)へ信号電圧が供給されることで発振し、演算回路12xは、信号電圧が供給された検出電極(以下、「発振電極」ともいう。)の静電容量およびその変化を検出する。
【0030】
スイッチ群11xaは、スイッチ(Sx1、Sx2、Sx3、Sx4)のうち一つのスイッチを選択する。ここでいう選択とは、第2の状態から第1の状態へ切り替えられるスイッチを選択することを意味する。選択されたスイッチは、当該スイッチに接続される検出電極を信号発生回路14に接続し、当該検出電極へ信号電圧を供給する。このとき、スイッチ群11xaは、残余のスイッチを第2の状態に切り替えて、これらスイッチに接続される検出電極への信号電圧の供給を遮断する。
【0031】
一方のスイッチ群11xaの中から一つのスイッチが選択されると、それを反映するように、他方のスイッチ群11xbの対応するスイッチが上記スイッチと同じ状態をとるように切り替えられる。例えば、スイッチ群11xaのスイッチSx1が第1の状態に切り替えられると、スイッチ群11xbのスイッチSx1も第1の状態へ切り替えられ、スイッチ群11xbの残余のスイッチSx2〜Sx4が第2の状態へ切り替えられる。したがって、スイッチ群11xa、11xbによって一つの検出電極が選択されると、当該検出電極からの出力信号が演算回路12xへ供給され、残余の検出電極は、電気的に浮遊した状態(フローティング状態)へ遷移される。これにより、検出電極10x相互間の静電結合の影響を抑えて、発振電極の静電容量を高感度に検出することが可能となる。
【0032】
スイッチ群11ya、11ybも上記と同様に構成される。すなわち、スイッチ群11ya、11ybによって一つの検出電極が選択されると、当該検出電極からの出力信号が演算回路12yへ供給され、演算回路12yは、信号電圧が供給された検出電極の静電容量およびその変化を検出する。残余の検出電極は、各スイッチ群のスイッチが第2の状態をとることで、電気的に浮遊した状態(フローティング状態)へ遷移される。これにより、検出電極10y相互間の静電結合の影響を抑えて、発振電極の静電容量を高感度に検出することが可能となる。
【0033】
スイッチ群11xa、11xb、12ya、12ybを構成する各スイッチは、第2の状態において検出電極をフローティング状態にすることができるものであれば特に限定されない。例えば、上記スイッチは、機械的な接点を使用する電気機械式スイッチでもよいし、電界効果トランジスタ(FET)やPINダイオードなどを使用する半導体スイッチであってもよい。電気機械式スイッチは、原理的にスイッチ容量が発生することはないため所望のフローティング状態を実現できる。一方、半導体スイッチは、スイッチ容量の小さい素子を用いることで、所望のフローティング状態を実現可能である。この種の半導体スイッチとして、例えば、米国アナログデバイセズ(ANALOG DEVICES)社製の単極単投(SPST)スイッチ「ADG1206」(製品名)を用いることができる。
【0034】
スイッチ群11xa、11xbおよびスイッチ群11ya、11ybは、複数のスイッチのうち二以上のスイッチを一つずつ選択する。典型的には、スイッチ群11xa、11xbは、スイッチSx1〜Sx4を順番に一つずつ第1の状態へ切り替えることで検出電極10xを順次発振させ、検出面DのX軸方向に沿った手指の位置を検出可能とする。同様に、スイッチ群11ya、11ybは、スイッチSy1〜Sy4を順番に一つずつ第1の状態へ切り替えることで検出電極10yを順次発振させ、検出面DのY軸方向に沿った手指の位置を検出可能とする。切替回路部11は、制御部13からの出力を受け、各スイッチを統括的に制御するコントローラ110を有する
【0035】
本実施形態のセンサ装置1は、検出面Dと手指との間の相対距離に応じて、選択されるスイッチを異ならせて、各検出電極10x、10yの走査間隔を調整する。ここで、走査間隔とは、第2の状態から第1の状態へ切り替えられるスイッチ間の間隔、すなわち発振電極間の間隔をいう。本実施形態のセンサ装置1は、後述するように、検出面Dから手指が離れているほど検出電極10x、10yの走査間隔は大きく(粗く)なるように調整される。反対に、検出面Dに対して手指が近接しているほど、検出電極10x、10yの走査間隔が小さく(密に)なるように調整される。
【0036】
(演算部)
演算部12は、検出電極10xから出力される信号電圧を処理する演算回路12xと、検出電極10yから出力される信号電圧を処理する演算回路12yとを有する。各検出電極10x、10yから出力される信号電圧は、検出面D上における手指の存在あるいは位置に関する情報を含む検出信号に相当する。演算回路12x、12yはこれら検出電極10x、10yの検出信号に基づいて、検出面D上における手指の存在の有無、あるいは手指が存在する場合にはその検出面Dからの距離、XY座標位置、移動方向、移動速度(あるいは加速度)を算出する。
【0037】
演算回路12x、12yは、切替回路部11によって選択された検出電極10x、10yの検出信号に基づいて、当該検出電極10x、10yの静電容量を検出し、当該静電容量に対応する距離(第1の距離)を算出する。静電容量の検出方式は特に限定されず、公知の手法を採用することができる。また、静電容量の変化に基づいて、手指の近接や位置座標の特定を行うことができる。
【0038】
本実施形態では、セルフキャパシタンス方式と呼ばれる検出方式で、各検出電極10x、10yの静電容量をそれぞれ個別に検出する。セルフキャパシタンス方式は、単電極方式とも呼ばれ、センシングに用いる電極は1つである。センシング用の電極は、接地電位に対して浮遊容量をもっている。この電極に、人体(手指)などの接地された検出対象物が近づくと、当該電極の浮遊容量は増加する。演算部12は、この容量増加を検出することで、手指の近接や位置座標を算出する。
【0039】
(制御部)
制御部13は、センサ装置1の動作を制御する。以下、制御部13の詳細について説明する。
【0040】
制御部13は、検出面Dからの手指の距離情報を演算部12から取得し、この距離情報に基づいて切替回路部11を制御する。制御部13は、切替回路部11を介して、検出電極10x、10yの走査間隔(第2の距離)を調整する。本実施形態では、制御部13は、検出電極10x、10yの走査間隔が、検出面Dからの手指の距離と対応するように、切替回路部11を制御する。
【0041】
図4(A)〜(C)は、検出面Dから手指Fまでの距離G(G1、G2、G3)と、検出電極の走査間隔L(L1、L2、L3)との関係を説明する図である。ここでは、検出電極10X、10yを構成する各電極を電極e1〜e7とする。電極数は図示の例に限られない。なお、走査対象である電極は、(A)〜(C)の各図においてハッチングを付して示す(図5において同じ)。
【0042】
上述のように、制御部13は、演算部12から取得する手指Fに関する距離情報に基づいて切替回路部11を制御し、検出電極10xの走査間隔を調整する。そこで、図4(A)に示すように、手指Fの距離GがG1のとき、このG1の大きさと同じ大きさとなるように検出電極10xの走査間隔LがL1に調整される。同様に、図4(B)および(C)に示すように、距離がG2のとき走査間隔はL2に調整され、距離がG3のとき走査間隔はL3に調整される。
【0043】
ここで、手指Fの距離Gが連続的に変化するのに対して、各電極x1〜x9はX軸方向に一定のピッチ(p)で配列されているため、検出電極の走査間隔Lは離散した値しかとり得ない。従って、検出電極の走査間隔は、電極ピッチpの整数倍の値であって、距離Gに最も近い値が選択される。このように、検検出電極の走査間隔Lは、手指Fの検出面Dからの距離Gの変化に応じて、電極ピッチpの整数倍で変化する。
【0044】
また、検出面D上に手指Fが存在しないときの検出電極10x、10yの最大走査間隔は、要求される検出可能距離等に応じて適宜定められ、例えば電極本数で2本〜5本おきの間隔に設定される。本実施形態では、説明を簡便にするため、図4(A)に示す走査間隔が最大走査間隔であるとして説明する。
【0045】
走査対象とされた各電極は、一つずつ一定の周期で走査される。走査周期は、検出電極10xおよび検出電極10yともに同一とされ、例えば1フィールドあたり16.7msecとされる。検出電極10xと検出電極10yの走査は、交互に実行される。さらに、走査間隔の調整があった場合のフィールド周期は不変とされるが、これに限られない。
【0046】
図5は、図4(B)に示す走査形態を切替回路部11との関係で示す模式図である。切替回路部11は、制御部13からの指令に基づいて、走査対象とする二以上の電極(e1、e3、e5、e7)を一つずつ選択する。図5は、電極e3を選択した状態を示している。このとき他の電極(e1、e2、e4〜e7)は、フローティング状態とされる。
【0047】
なお、切替回路部11は、上述のように、各スイッチを統括的に制御するコントローラ110を有するが、コントローラ110は、制御部13の一部として構成されてもよい。同様に、演算部12も制御部13の一部として構成されてもよい。切替回路部11、演算部12および制御部13は、共通の半導体チップ(ICチップ)で構成されてもよい。
【0048】
制御部13はさらに、演算部12において算出された手指の距離、位置座標、移動方向、移動速度などを記憶する記憶部を有してもよい。また、これら記憶された物理量に基づいて、手指のジェスチャを判定し、所定の制御信号を生成する機能を有していてもよい。上記制御信号としては、表示画像の制御等の機器の動作を制御する信号全般が含まれる。これにより、手指の位置に応じたセンサ部10の最適調整を自動で行いつつ、手指の特定の動作に関連した機器の制御が可能となる。
【0049】
本実施形態において、制御部13は、センサ部10で検出された手指の動作に基づいて制御信号を生成し、表示部15に表示される画像を制御する。例えば、検出面Dへの手指の近接に応じてアイコンの大きさを変更し、あるいは、検出面D上における手指の移動に応じてポインタの移動や画面のスクロール動作を制御する。
【0050】
(表示部)
表示部15は、画像を表示する表示面を有する表示素子Wを含む。表示素子Wには、例えば、液晶表示パネル、有機ELパネル、冷陰極管(CRT)等の画像表示デバイスが用いられる。表示部15は、制御部13から供給される制御信号に基づいて、表示面に表示される画像を制御する。表示部15は、センサ部10とは物理的に離れた位置に設置されてもよいし、図2に示すようにセンサ部10と一体的に構成されてもよい。
【0051】
[センサ装置の動作例]
次に、以上のように構成されるセンサ装置1の動作例について説明する。図6は、センサ装置1の制御フローの一例を示す。
【0052】
制御部13は、切替回路部11を制御して、センサ部10を図4(A)に示す最大走査間隔で駆動する。これにより、検出電極10x、10yは、それぞれ所定の間隔をおいて一本ずつ発振され、演算部12(演算回路12x、12y)において各発振電極の静電容量およびその変化が算出される。この動作は、各発振電極の静電容量が所定値(第1の閾値)を超えるまで繰り返される(ステップ101)。
【0053】
検出面Dに手指が接近すると、手指に近接する発振電極の浮遊容量は増大する。当該発振電極の浮遊容量が上記所定値(第1の閾値)を超えた場合、制御部13は、センサ部10の検出面Dへの手指の近接を判定する。このとき、当該発振電極から出力される容量値から、手指の近接距離だけでなく、演算部12において手指の移動方向および移動速度がそれぞれ算出され、それらの算出結果が制御部13へ供給される(ステップ102)。制御部13は、演算部12から出力される手指の移動に関する情報に基づいて制御信号を生成し、表示部15の表示画像を制御する。
【0054】
次に、演算部12にて算出された手指の距離情報に基づいて、検出電極10x、10yの走査間隔が手指の位置に最適な間隔となるように調整される(ステップ103)。すなわち、制御部13は、検出電極10x、10yの走査間隔が、検出面Dから手指までの距離に対応するように切替回路部11を制御する。
【0055】
例えば、図4(B)に示すように、検出面Dから手指Fまでの距離がG1からG2へ変化したとすると、発振電極の浮遊容量はさらに増加する。当該静電容量が所定値(第2の閾値)を超えたとき、制御部13は、切替回路部11を制御することで、検出電極10x、10yの走査間隔をL1からL2へ調整する。これにより、発振対象とされる検出電極の位置が変化し、調整前の二本おきから一本おきへ検出電極の走査間隔が変更され、手指Fの近接位置の検出感度が高められる。すなわち、検出面Dに対する手指のX、YおよびZの各位置座標の検出精度を向上させることができる。
【0056】
検出電極10x、10yの走査間隔の調整は、手指の距離情報(静電容量値)だけを基準とする場合に限られず、例えば、手指の接近速度(Z位置座標の変化率)などを基準として、検出電極の走査間隔を調整するようにしてもよい。
【0057】
制御部13は、走査間隔L2で発振される検出電極の静電容量の増加に基づく手指の更なる接近の有無を判定する(ステップ104)。そこで、静電容量の増加が認められない場合、検出面Dからの手指の距離に変更がないか、手指が検出面から遠ざかっていることになる。この場合、再度ステップ102、103が繰り返され、センサ部10は、手指の距離に応じた最適な走査間隔に調整される。
【0058】
一方、ステップ104において発振電極の静電容量の増加が認められると、検出面Dへ手指が更に近接しているか、検出面へ手指が接触していることになる。そこで、制御部13は、現在の検出電極10x、10yの走査間隔が最小(最密)であるか否かを判定する(ステップ105)。このとき、上記走査間隔が最小でない場合は、再び上述のステップ102〜104が実行される。例えば、図4(B)に示す状態で発振電極の静電容量の更なる増加が認められ、手指Fの近接距離がG2からG3へ変化した場合、制御部13は、切替回路部11を制御して、図4(C)に示すように検出電極10x、10yの走査間隔をL2からL3へ調整する。これにより、全ての検出電極10x、10yが走査対象とされ、検出面Dの近傍における手指の位置検出精度を更に向上させることが可能となる。
【0059】
上述のようにして検出電極10x、10yの走査間隔が最小間隔となると、制御部13は、その走査間隔を保持して手指の動きをトレースする(ステップ106)。これにより、検出面D上における手指の移動に基づく制御信号を生成する。この場合の制御信号としては、例えば表示画面上のポインタの移動制御、画面のスクロール、ページ繰りなどが含まれる。
【0060】
一方、検出面Dからの手指の離間は、発振電極の静電容量の減少に基づいて判断することができる(ステップ107)。そこで、静電容量の減少が認められ場合、制御部13は、ステップ102へ移行し、再び上述の動作を繰り返すことで、手指の離間距離に応じた走査間隔が得られる検出電極10x、10yを選択する。一方、発振電極の静電容量の減少が認められない場合、制御部13は、ステップ106の動作を継続し、手指の移動形態に対応した制御信号を生成する。
【0061】
以上のように、本実施形態のセンサ装置1においては、検出電極10x、10yは一本ずつ発振され、発振電極以外の他の検出電極は、切替回路部11によって電気的に浮遊した状態(第2の状態)に維持される。このため、発振電極とそれ以外の電極との間における静電結合が低減され、個々の発振電極から発生する電界強度が高まり、より遠方に位置する手指の検出が可能となる。これにより、センサ部10による手指の検出感度および検出可能距離を向上させることができる。
【0062】
ここで、発振方式を異ならせて発振電極上の電界強度分布を測定したときの各発振条件を説明するシミュレーションモデルとシミュレーション結果を図7および図8に示す。
【0063】
図7(A)は、基板上に一定ピッチで配列された5本の電極のすべてを同時に発振させるサンプルモデル(サンプル1)を示している。図7(B)は、中央の電極とこれより最も離れた左右両側の電極とを同時に発振させ、残余の電極をフローティング状態にしたサンプルモデル(サンプル2)を示している。そして、図7(C)は、中央の配線電極のみ発振させ、残余の電極をフローティング状態にしたサンプルモデル(サンプル3)を示している。
【0064】
図8は、各サンプルについて中央の電極から生じる電界強度を測定し、注目電極から直上への距離に対する上記電界強度の積分値を算出した結果を示している。当該積分値は、指などの検出対象物との間に生じる静電容量に比例し、この値が大きいほど検出感度が高くなることが電磁気学的に証明されている。
なお、各サンプルの電極の構成は同一とし、電極ピッチ(A1)は5mm、電極幅(B1)は0.3mm、電極厚み(C1)は0.04mm、基板の厚み(D1)は1mm、印加電圧は1Vとした。また、シミュレータには、アンソフト(Ansoft)社製「Maxwell3D」を用いた。
【0065】
図8の結果から明らかなように、サンプル1の場合が遠方において最も電界強度が弱くなっていることがわかる。一方、サンプル3では、遠方における電界強度が最も強い。これは、指などの検出対象物を最もよく検出できることを示している。
【0066】
以上のように、発振電極を一本のみ発振し、残余の電極をフローティング状態にすることで、検出対象物の検出感度および検出可能距離の向上を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態においては、検出面Dに対する手指の近接距離(第1の距離)に対応する大きさに、検出電極10x、10yの走査間隔(第2の距離)が調整される。これにより、手指の近接距離に関係なく安定した検出感度を確保できるとともに、手指の検出可能距離の拡大を図ることができる。
【0068】
例えば図9に示すように、電極の間隔(A2)を徐々に広げていき、その各々の間隔において、手指の高さを変化させたときの、手指と電極の間の静電容量の変化率をシミュレーションにより測定した。その結果を図10に示す。
なお、電極間隔(A2)は0〜50mm、電極幅(B2)は1mm、電極厚み(C2)0.04mm、手指の高さ(E)は0〜50mm、基板の厚み(D2)は1mm、印加電圧は1Vとした。また、シミュレータには、アンソフト(Ansoft)社製「Maxwell3D」を用いた。
【0069】
図10に示すように、例えば指が10mmの高さにあるとき(F10mm)、電極の間隔は約10mmのときが最も変化率が大きく、指を検知しやすい。また、指が50mmの高さにある場合(F50mm)は、電極の間隔も約50mmの時の変化率が大きくなっている。このように、指の高さと電極間距離との間には一定の相関があり、検出したい指の高さと同等の電極間隔(走査間隔)を設定することで、検出感度が最もよい状態に保てることがわかる。
【0070】
さらに、本実施形態においては、検出電極10x、10yが配線状に形成されているため、配線の幅や本数を調整することによって所望の検出感度を得ることができる。また、検出電極の走査間隔の調整によって近接距離にかかわらず所定の検出感度を得ることができる。さらに、検出電極の配置の自由度が高いため、検出領域の大きさの影響を受けにくい、安定した検出感度を確保することができる。
【0071】
さらに、本実施形態によれば、検出面D上における複数本の手指の動きを検出することができる。例えば、親指と人差し指を用いた手指の複合的な動きに基づいて、画面のズーム制御や回転制御などが実行される。
【0072】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係るセンサ装置の概略構成図である。
【0073】
本実施形態のセンサ装置は、上述のセンサ部10と表示素子50とを有する。センサ部10は2枚の透明基材51に挟まれ、表示素子50は、センサ部10の背面に対向して配置された、文字や図形などの情報を表示する表示面を有する液晶パネルや有機ELパネル等で形成される。表示素子50は、センサ部10の検出出力に基づいて表示画像が制御される。本実施形態に係るセンサ装置は、携帯電話に代表される携帯型情報処理端末に適用される。図示せずとも、センサ部10以外の他の構成(切替回路部11、演算部12、制御部13)は、上記端末本体の内部に格納されている。
【0074】
透明基材51は、透光性を有する電気絶縁性の基板、例えば、ガラス基板、プラスチック基板で形成される。センサ部10の構成部材(検出電極10x、10y、支持基材Dx、Dy)は透光性を有する材料で形成され、これにより、表示素子50の表示画像が外部から視認可能とされる。センサ部10の上面を被覆する透明基材51は、センサ部10の検出面Dを形成する。
【0075】
本実施形態によれば、端末を手にもったまま検出面D上で手指Fを動かすだけで、所要の入力操作を行うことができる。また、センサ部10において手指Fの近接およびその動きを高感度に検出することができるため、検出面Dに手指を接触させるだけでなく、かざすだけでの入力操作に応じた適正な画像表示制御が可能である。
【0076】
<第3の実施形態>
図12は、本発明の第3の実施形態に係るセンサ装置の概略構成図である。本実施形態のセンサ装置は、表示素子50がセンサ部10の正面に対向して配置されている点で、上述の第2の実施形態と異なる。センサ部10は、筐体内部に設置されたシャーシ60によって支持されている。
【0077】
本実施形態においても、センサ部10に近接する手指Fを高感度に検出することが可能であるため、センサ部10と手指Fとの間に表示素子50が介在する場合でも、手指の近接およびその動きを精度よく検出することができる。また、本実施形態によれば、センサ部10が表示素子50の背面側に位置しているため、透光性を有する材料で各部材が形成される必要がなくなり、材料選択の自由度を高めることができる。
【0078】
<第4の実施形態>
図13は、本発明の第4の実施形態に係るセンサ装置の概略構成図である。本実施形態のセンサ装置は、入力部材70と、センサ部10とを有する。入力部材70は、センサ部10の正面に対向して配置されるとともに、筐体内部に設置されたシャーシ60によって支持されている。
【0079】
入力部材70は、典型的には、入力キーが配列されたキーボードで構成される。本実施形態によれば、入力部材70上に手をかざしたり、手指を動かしたりすることで、コンピュータの起動や、図示しない表示画面に表示される画像の制御が可能である。例えば、本実施形態では、入力部材70の直上において手指を動かすことで、表示画面に表示されるポインタを移動させ、入力部材70に対する接触動作で当該ポインタの位置を固定する。これにより、入力部材70を用いたキー入力操作以外の方法で、ポインタの移動制御が可能となる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0081】
例えば以上の実施形態では、センサ部10は平面的に形成される例を説明したが、これに限られず、センサ部は曲面形状を有していてもよい。
【0082】
また、以上の実施形態では、センサ部10は、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ検出電極10x、10yを有する例を説明した。これに限られず、X軸方向およびY軸方向のいずれかの方向に検出電極が配置されるセンサ装置にも、本発明は適用可能である。さらに、検出電極は配線電極に限られず、点電極であってもよい。
【0083】
あるいは図14に示すように、X軸方向に配列された検出電極x1〜x5と、Y軸方向に配列された検出電極y1〜Y5の交差領域以外の各電極に、幅広の電極領域Ex、Eyをそれぞれ形成してもよい。これにより、各検出電極の検出感度の更なる向上を図ることができる。
【0084】
さらに、以上の実施形態では、検出対象物とセンサ部との間の距離を算出する演算部として、発振電極の静電容量に基づいて上記距離を算出する演算回路を例に挙げて説明した。これに代えて、検出対象物を撮像する撮像デバイスや、人体の熱を感知する赤外線検出デバイス等を用いて、上記距離を算出することも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…センサ装置
10…センサ部
10x、10y…検出電極
11…切替回路部
11xa、11xb、11ya、11yb…スイッチ群
12…演算部
12x、12y…演算回路
13…制御部
14x、14y…信号発生回路
15…表示部
50…表示素子
70…入力部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物の近接によって静電容量が変化する複数の検出電極を有するセンサ部と、
前記検出対象物と前記センサ部との間の距離である第1の距離を算出する演算部と、
前記複数の検出電極を、前記静電容量の検出のための信号電圧が供給される第1の状態と電気的に浮遊した第2の状態との間で切り替え可能であり、前記複数の検出電極のうち前記第2の状態から前記第1の状態へ切り替えられる二以上の検出電極を一つずつ選択する切替回路部と、
前記第2の状態から前記第1の状態へ切り替えられる前記検出電極相互間の距離である第2の距離が、前記演算部で算出された前記第1の距離に対応するように前記切替回路部を制御する制御部と
を具備するセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記検出電極は、第1の方向に第1の間隔をおいて配列された複数の第1の電極部を有し、
前記制御部は、前記第1の距離の大きさに応じて、前記第2の距離が前記第1の間隔の整数倍で変化するように前記切替回路部を制御するセンサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ装置であって、
前記検出電極は、前記第1の方向と交差する第2の方向に第2の間隔をおいて配列された複数の第2の電極部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1の距離の大きさに応じて、前記第2の距離が前記第2の間隔の整数倍で変化するように前記切替回路部を制御するセンサ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記センサ部に対向して配置され情報を表示する表示面を有する表示素子をさらに具備するセンサ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記センサ部に対向して配置され情報を入力することが可能な入力部材をさらに具備するセンサ装置。
【請求項6】
検出対象物の近接によって静電容量が変化する複数の検出電極を有するセンサ部と、
前記検出対象物と前記センサ部との間の距離である第1の距離を算出する演算部と、
前記複数の検出電極を、前記静電容量の検出のための信号電圧が供給される第1の状態と電気的に浮遊した第2の状態との間で切り替え可能であり、前記複数の検出電極のうち前記第2の状態から前記第1の状態へ切り替えられる二以上の検出電極を一つずつ選択する切替回路部と、
前記第1の状態から前記第2の状態へ切り替えられる前記検出電極相互間の距離である第2の距離が、前記演算部で算出された前記第1の距離に対応するように前記切替回路部を制御する制御部と、
前記センサ部に対向して配置され情報を表示する表示面を有する表示素子と
を具備する情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−232992(P2011−232992A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103620(P2010−103620)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】