説明

センターベルトの製造方法

【課題】 凹凸のピッチが小さい場合や、帆布の剛性が高いような場合でも帆布には確実に凹凸形状をつけることができ、帆布の凹凸への沿いにくさの原因は解消され、センターベルトの凹凸形状が確実に形成されるセンターベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】 ブロックを嵌合固定してなる高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトであって表面にカバー帆布を積層したセンターベルトの製造方法において、凹凸形状を有する金型100上にカバー帆布25を配置して、押圧部材104によりカバー帆布25を金型100の凹凸形状に沿わせ、押圧部材104を取り除いた後にゴムシート107を積層して加熱加圧することによって加硫する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センターベルトに長手方向にブロックを配置した自動車、自動二輪車や農機具などの無段変速装置など高負荷を伝動するような用途に用いられる高負荷伝動ベルト用センターベルトの製造方法であり、センターベルトの凹凸形状を確実に形成することができるセンターベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には、特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのゴム中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているゴムよりも比較的硬質のブロックを止着固定したものや、特許文献1に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0004】
このようなベルトに用いるセンターベルトは張力を担う部材であり、ゴム中に高強力低伸度の心線が埋設されており、センターベルトの内外周面にはブロックと嵌合するための凹部と凸部が交互に設けられている。例えばブロック両側面の溝内にも、前記センターベルトの凹部に対応する位置に凸部が設けられ、互いに嵌合することによってブロックはセンターベルトに対して高負荷伝動ベルトの進行方向に動かないよう固定されている。センターベルトの表面には補強のためにカバー帆布が積層されている。
【0005】
このようなセンターベルトの製造方法は、カバー帆布とゴムシートを重ね合せてプレスすることよってブロックと噛み合うための凹凸を片面に設けた複合体シートを作製し、該複合体シートを円筒形のモールドに巻きつけて心線を上からスパイラル状に巻き、ゴムシートを巻きつけて加硫する。
【0006】
加硫後にモールドから取り出して、背面側にゴムシートを積層して再度プレスによって凹凸形状を設けるとともに加硫する。続いて所定幅にカットおよび仕上げ加工することによって、両面に凹凸を有するセンターベルトを得ることができる。
【0007】
センターベルトとブロックのベルト長手方向の動きを規制するのはこれらの凹凸による噛み合いであり、もしセンターベルトの凹凸が設計どおりに形成されていなければ、センターベルトとブロックとの間の緩みにつながり、両者の間で動きが発生してセンターベルトやブロックの摩耗や摩擦による発熱にもつながり、最後にはセンターベルトが切断して早期に故障に至るといった問題があった。
【0008】
センターベルトの摩耗を防止するために、センターベルトのカバー帆布の素材としてアラミド繊維などの強度の高い繊維を用いることが考えられるが、アラミド繊維などからなる帆布は剛性が高く金型の凹凸形状に沿いにくい。よって、尚更のことセンターベルトの凹凸形状が形成されにくくなっている。
【0009】
特許文献2には歯付ベルトの製造方法において、金型に吸引孔を設けておき歯付ベルトの歯部表面に配置する帆布を吸引することによって金型の歯形状に型付けておき、その上から心線やゴムシートを巻いて加硫成形することでベルトの歯形が確実に形成された歯付ベルトを製造することができるという技術が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開昭63−34342号公報
【特許文献2】特開昭62−7532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載したような金型に吸引孔を設けて帆布を吸引させることによって、歯形の形成は大きく改善されるが、凹凸形状の一つ一つのサイズが小さい場合や帆布の剛性が高い場合はそれでも十分ではない。
【0012】
そこで本発明では、センターベルトとブロックとを噛み合せたベルトにおいて、センターベルトの凹凸形状を確実に形成することができて、ブロックとの間に緩みが生じにくくベルト切断などの故障を低減し寿命の長い高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上のような目的を達成するために本発明の請求項1では、ゴム中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの少なくとも片面には長手方向に沿って所定ピッチで凹凸を有し、該凹凸と嵌合固定したブロックとからなる高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトであって表面にカバー帆布を積層したゴムからなるセンターベルトの製造方法において、凹凸形状を有する金型上にカバー帆布を配置して、押圧部材によりカバー帆布を金型の凹凸形状に沿わせ、押圧部材を取り除いた後にゴムシートを積層して加熱加圧することによって加硫する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項2では、金型の少なくとも凹部には吸引孔を設けており、押圧部材により金型に押し付けられたカバー帆布を吸引してカバー帆布の凹凸形状を保持するセンターベルトの製造方法としている。
【0015】
請求項3では、吸引孔は金型の凹条部の底に設けており、吸引しながらセンターベルトの成形をおこなうことによってセンターベルトの凸条部にゴムの突起を形成するようにした請求項2記載のセンターベルトの製造方法としている。
【0016】
請求項4では、帆布を配置していない吸引孔では吸引を行わないようにしたセンターベルトの製造方法としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のようにセンターベルトの表面に設けるカバー帆布を押圧部材にて金型の凹凸形状に沿わせておいてからゴムを積層して加熱・加圧することによって、凹凸のピッチが小さい場合や、帆布の剛性が高いような場合でも帆布には確実に凹凸形状をつけることができるので帆布の凹凸への沿いにくさの原因は解消されるのでセンターベルトの凹凸形状が確実に形成されるようになる。
【0018】
請求項2においては、請求項1での押圧部材による帆布の型付けに加えて金型に吸引孔を設けて帆布に凹凸形状を型付けた状態で吸引し金型に吸着させているのでセンターベルトの凹凸形状はより確実に形成されることになる。
【0019】
請求項3では、吸引孔は金型の凹条部の底に設けており、吸引しながらセンターベルトの成形をおこなうことによってセンターベルトの凸条部にゴムの突起を形成するようにしていることからセンターベルトとブロックとの嵌合力を強くすることができる。
【0020】
請求項4では、吸引孔の中でも帆布をまだ配置していない状態の吸引孔では吸引を行わないという構成を採っている。帆布を配置していない吸引孔も含めて吸引を行うとそれらの吸引孔から空気を吸い込んでしまい、帆布を配置した吸引しなければならない吸引孔における吸引力が低下するといった問題があるが、帆布の配置されたところのみを吸引するようにすることによって、十分な吸引力を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明方法により製造されるセンターベルトを用いた高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2はセンターベルトの断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト用センターベルトの製造方法にて製造されるセンターベルトを用いる高負荷伝動ベルト1は、ゴム4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、側面2a、2bにセンターベルトを3a、3bを嵌めこむ溝14、15を有したブロック2からなっている。
【0022】
このセンターベルト3a、3bの上下面22、23に所定ピッチで形成された凹条部18、19にブロック2の溝14、15内において後で説明するように係止固定されているものである。このブロック2の両ブロック側面2a、2bは、プーリのV溝と係合する傾斜を有する面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。また、センターベルト3a、3bの上下の表面にはカバー帆布24、25が積層されている。
【0023】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面にはセンターベルト3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、図2に示すように溝15内の溝上面16および溝下面17にはセンターベルト3の上面22に設けた凹条部18と下面23に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21が設けられており、これによってブロック2とセンターベルト3a、3bは係止固定されている。センターベルトの下面23には凹条部19が所定ピッチで形成されており、当然ながらそれらの間には凸条部26が存在する。
【0024】
センターベルト3a、3bは、図2に示すように心体5がセンターベルトの厚み方向のほぼ中央に埋設されており、その内周側に位置する内層4aとその外周側に位置する外層4bからなっている。
【0025】
本発明においてこのようなセンターベルトの製造方法としては、まず、図3のようにセンターベルトの下面23の凹条部19および凸条部26を形成する凸条部101a、101b、101c、101dと凹条部102a、102b、102c、102dを交互に配置した金型100にカバー帆布25を配置する。次いで図4に示すような金型の凹条部102と同形状の凸条部103を有する押圧部材104を用いてカバー帆布25を金型100の凹条部102a、102b、102c、102dに押圧して型付けを行う。カバー帆布25は凹条部102に押圧することによって凹条部102内に押し込まれる。隣り合う凹条部102a、102bにカバー帆布25を同時に押圧するとその範囲内でカバー帆布25に十分なたるみがないと長さが不足してしまう可能性もある。よって、押圧作業は、例えば凹条部102aに押圧して、凹条部102bに押圧して、凹条部102cに押圧するという具合に一つずつ順番に行っていくことが好ましい。そうすることによってカバー帆布25を凹条部の形状に確実に沿わせることができる。また、伸縮性のない平織り帆布等を使用することも可能になる。
【0026】
押圧部材104は図4に示すような一つの凸条部103を有するものでもよいが、図5のようにこのような一つの凸条部103を有する部材104を屈曲可能に且つ凸条部103のピッチが金型100の凹条部102a、102b、102c、102dのピッチと合うように多数連結したものを使用することもできる。使用する場合は凸条部103が外側を向くようにして巻物にし、金型100の端にある凹条部102aに一つ目の凸条部103を用いてカバー帆布25を押圧し、巻物を順次解いていき二つ目の凸条部103でカバー帆布25を凹条部102bに対して押圧する。このようにして凹条部102cと102dに対してもカバー帆布25を押圧し型付けすることができる。
【0027】
また、金型100の少なくとも凹条部102a、102b、102c、102dには吸引孔105が設けられている。吸引孔105は真空ポンプなどに接続されており、型付けしたカバー帆布25を吸引し押圧部材104を取り除いた後もカバー帆布25が金型100に密着して型付けした形状が崩れないようにすることができる。
【0028】
この吸引孔105はカバー帆布25を配置した状態で吸引すると確かにカバー帆布25が金型に密着して良好な成形を行うことができるが、まだカバー帆布25のない状態で吸引すると吸引孔105からいくらでも空気を吸い込んでしまい、カバー帆布25を配置した吸引孔での吸引力を低下させることにもなってしまう。よって、吸引孔105には図示はしないが開閉弁等を設けてカバー帆布25を設けていない吸引孔では吸引を行わないようにすることでカバー帆布25を金型100により密着させることができ、より良好な成形を行うことができる。
【0029】
このように押圧部材104で押圧し型付けしたカバー帆布25を吸引して金型100に密着させた状態で上からゴムシート107を置いてプレス板108にてプレスすることで片面に凹条部19を含む凹凸を有する内層4aとなる帆布付の複合シート109を作製する(図6)。その複合シート109を所定の周長になるようカットして、例えば図7に示すようなスピニング装置を用いて、円筒形の金型111に巻きつけて上から心線112をスピニングし、接着ゴム層(図示しない)を巻きつけて加硫しスリーブとする。
【0030】
更に、外層4bとなるゴムシート114とカバー帆布24を積層する(図8)。上記で作製した凹凸と噛み合う凹凸形状を有する下側の金型100と新たに積層したゴムシート114に凹凸を設けるための凹凸形状を有する上側の金型116との間でプレスして外層側にも凹条部18を含む凹凸を形成するとともにゴムを加硫する(図9)。順送りに未加硫部分を加硫していくことによってベルトスリーブ全周を加硫することができる。次いで所定幅にカットすることによってセンターベルトを製造することができる。
【0031】
吸引孔105の位置を金型100の凹条部102a、102b、102c、102dの最も底となる場所に設けることによって、出来上がったセンターベルトの凸条部26の頂部にゴムからなる突起を形成することができる。そうすることによって、センターベルトをブロック2に嵌め込んだときの嵌合力を強くすることができ、センターベルトとブロックとの間の動きを防止することになり好ましい形態といえる。
【0032】
本発明では以上のようにカバー帆布25を押圧部材で押圧することで金型の凹凸形状に沿わせておいてからゴムシートを重ねて成形を行っており、特に形状が出にくい小サイズの凸条部の場合やカバー帆布の素材としてアラミド繊維等剛性の高いものを用いている場合でも確実に金型通りの凹凸を形成することができる。
【0033】
ここで用いる金型100は円筒形のものを用いて行うことも可能であり、カバー帆布25を円筒形の金型100に巻きつける際に端部同士を接合する必要があるが、凹条部内で接合するようにし、1〜3mm程度の重ね代をとって重ね合わせ熱や超音波等の手段で融着することによって接合することができる。その後未加硫のゴムシート114を巻きつけて加熱加圧することによって凹凸を形成した帆布付の複合シート109とすることができる。
【0034】
以上のようにして得られたセンターベルトの凹条部18、19にブロック2を嵌め込んでいくことによって最終的に高負荷伝動ベルト1を得ることができる。
【0035】
また、ブロック内に例えばアルミ合金などからなるインサート材を埋設したブロックでも、インサート材を埋設していないブロックでもどちらでも用いることができる。
【0036】
ブロックの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられるが、中でも低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよく、ポリアミド樹脂、なかでもナイロン46が好ましいといえる。
【0037】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐磨耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になることや射出成形が困難になるなどの問題があるので好ましくない。
【0038】
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例である4,6−ナイロンと炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維が4,6−ナイロンの吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つ4,6−ナイロンの有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。
【0039】
また、前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。
【0040】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は添加した効果が発現せず、多すぎると混練できず、成形することが困難となる。
【0041】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3a、3bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0042】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0043】
センターベルト3a、3bのゴム4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。
【0044】
また、カバー帆布としてはアラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等からなるものであり、またそれらを混撚りした糸を使用した帆布や経糸と緯糸で使い分けた帆布なども使用可能である。本発明の方法であればカバー帆布自身の伸縮性は必要ではなく平織り帆布を用いることができる。しかし、綾織り帆布、朱子織り帆布も使用できる。
【0045】
図10に示すのは、本発明の製造方法で得られたセンターベルトを適用できる別のベルトの例であり、ビーム部31の両端から上方に向かって一対のサイドピラー32、33が延びており、このサイドピラー32、33の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部34、35が対向するように設けられている。そして、これらビーム部31、サイドピラー32、33及びロック部34、35によってセンターベルト3a、3bが嵌合する嵌合溝30が形成されている。この嵌合溝30に、センターベルト3a、3bが、ロック部34、35間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部34、35の嵌合溝30側には、凸部37がそれぞれ設けられており、この凸部37が、センターベルト3a、3bに所定ピッチで設けられている凹部36に嵌合する。これによって、センターベルト3a、3bは、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は自動車や自動二輪車、一般産業機械、農業機械などの駆動に用いられるベルトの張力体となるセンターベルトの製造方法として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】高負荷伝動ベルトの側断面図である。
【図3】金型にカバー帆布を置いたところの断面図である。
【図4】金型にて内層側の凹凸を成形したところの断面図である。
【図5】押圧部材の例を示す正面図である。
【図6】カバー帆布においたゴムシートを成形しているところの断面図である。
【図7】心線をスピニングしているところの概要図である。
【図8】外層側のゴムシートとカバー帆布を積層したところの断面図である。
【図9】金型にて外層側の凹凸を成形しているところの断面図である。
【図10】本発明に係る高負荷伝動ベルトの他の例を示す斜視概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 ゴム
4a 内層
4b 外層
5 心体
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
14 溝
15 溝
16 溝上面
17 溝下面
18 凹条部
19 凹条部
20 凸条部
21 凸条部
25 カバー帆布
100 金型
101a 凸条部
101b 凸条部
101c 凸条部
101d 凸条部
102a 凹条部
102b 凹条部
102c 凹条部
102d 凹条部
103 凸条部
104 押圧部材
106 ゴムシート
110 複合シート
111 金型
112 心線
113 スリーブ
114 ゴムシート
116 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム中に心体を埋設したセンターベルトと、該センターベルトの少なくとも片面には長手方向に沿って所定ピッチで凹凸を有し、該凹凸と嵌合固定したブロックとからなる高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトであって表面にカバー帆布を積層したゴムからなるセンターベルトの製造方法において、凹凸形状を有する金型上にカバー帆布を配置して、押圧部材によりカバー帆布を金型の凹凸形状に沿わせ、押圧部材を取り除いた後にゴムシートを積層して加熱加圧することによって加硫する工程を含むことを特徴とするセンターベルトの製造方法。
【請求項2】
金型の少なくとも凹部には吸引孔を設けており、押圧部材により金型に押し付けられたカバー帆布を吸引してカバー帆布の凹凸形状を保持する請求項1記載のセンターベルトの製造方法。
【請求項3】
吸引孔は金型の凹条部の底に設けており、吸引しながらセンターベルトの成形をおこなうことによってセンターベルトの凸条部にゴムの突起を形成するようにした請求項2記載のセンターベルトの製造方法。
【請求項4】
帆布を配置していない吸引孔では吸引を行わないようにした請求項2〜3記載のセンターベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−168356(P2006−168356A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335218(P2005−335218)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】