説明

ソルダーレジスト層及びその形成方法、並びにこれらのソルダーレジスト層を有するプリント配線板とその製造方法、及びその方法を用いて製造するプリント配線板

【課題】インクジェットプリンターを用いて形成されるマーキングパターンとの密着性が良く、当該マーキングパターンが脆くなり割れやすくなるといった不具合を抑制することができるソルダーレジスト層を提供すること。
【解決手段】インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層であって、このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、この塗膜を露光し、この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、この塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンを形成するのに適しているソルダーレジスト層とその形成方法、並びにこれらのソルダーレジスト層を有するプリント配線板に関する。
また本発明は、上記ソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて形成されるマーキングパターンを有するプリント配線板の製造方法、及び当該方法を用いて製造されるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、銅張積層板等にエッチングパターンを印刷後、エッチング加工を施してプリント配線回路を形成し、これにソルダーレジスト組成物を塗布乾燥、露光、現像及び洗浄等してソルダーレジスト層を形成し、更に基板にマーキング印刷を施して外形加工等を施すことにより製造されるのが一般的である。そして、前記マーキング印刷を行う方法としては、所定のマークのスクリーン版を予め用意し、このスクリーン版を用いたスクリーン印刷によって、マーキングインキ等の硬化性樹脂組成物を用いて基板上に所定のマーキングパターンを印刷する方法が使用されている(特許文献1参照)。上記マーキングパターンは、プリント配線回路に対する実装部品の誤実装を防止することを主な目的として印刷されるものであり、これは基板上以外にもソルダーレジスト層といった樹脂絶縁層上に印刷されることがある。
【0003】
ここで、プリント配線板の工程及び製造コスト等を削減する方法として、上記ソルダーレジスト層や当該ソルダーレジスト層上に形成されるマーキングパターンを、インクジェットプリンターを用いて形成する方法がある(特許文献2及び特許文献3参照)。
【0004】
しかし、上記マーキングパターンをインクジェットプリンターによりソルダーレジスト層に形成する場合、当該ソルダーレジスト層とマーキングパターンとの密着性が悪く、形成されたマーキングパターンが脆くなるという問題があった。
【0005】
本発明者らは、プリント配線板の製造工程のうち水洗工程において、洗浄液の温度が低い場合、又は洗浄液が劣化している場合にソルダーレジスト層とマーキングパターンの密着性が悪化することを発見した。そして、本発明者らは、上記水洗工程においてPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄したところ、上記問題が解決できることを見出した。
上記原因は定かではないが、現像工程において塗膜の表面に付着しているカルボキシル基がアルカリ性イオン基に置換されている、又は当該塗膜にアルカリ性イオン基が付着する可能性があること、及びこのアルカリ性イオン基が上記問題の原因で有る可能性があると推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−244629号
【特許文献2】特開平7−263845号
【特許文献3】特開平9−18115号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンを形成するのに適しているソルダーレジスト層とその形成方法、及びそれらのソルダーレジスト層を有するプリント配線板を提供することにある。
また本発明の他の目的は、上記ソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて形成されるマーキングパターンを有するプリント配線板の製造方法、及び当該方法を用いて製造されるプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有する。
即ち、本発明の特徴の一つは、インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層であって、このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、この塗膜を露光し、この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、この塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層である。
【0009】
また本発明の他の特徴は、インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層の形成方法であって、このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、この塗膜を露光し、この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、この塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層の形成方法である。
【0010】
更に本発明の他の特徴は、ソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、この塗膜を露光し、この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、この塗膜を熱硬化してソルダーレジスト層を形成し、このソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、この描画されたパターンを硬化してマーキングパターンを形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0011】
また本発明において上記前記硬化性樹脂組成物は、(A)分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマーと、(B)重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(但し、前記(A)を除く)と、(C)光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、その粘度が25℃で150mPa・s以下であることが好ましい。
【0012】
更に本発明の他の特徴は、上記ソルダーレジスト層の形成方法を用いて形成されるソルダーレジスト層を有するプリント配線板、及び上記プリント配線板の製造方法により製造されるプリント配線板である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のソルダーレジスト層は、インクジェットプリンターを用いて形成されるマーキングパターンとの密着性が良く、当該マーキングパターンが脆くなり割れやすくなるといった不具合を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を詳述する。尚、本発明が当該実施形態に限定されないことはもとよりである。
【0015】
本発明のソルダーレジスト層は、導体パターンの形成された基板表面に、ソルダーレジスト組成物の塗膜を形成し、この塗膜を露光し、この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、この塗膜を熱硬化することで形成される。また本発明のプリント配線板は、当該ソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、この描画されたパターンを硬化してマーキングパターンを形成して製造される。
【0016】
即ち、本実施態様のソルダーレジスト層の形成方法及びプリント配線板の製造方法は、以下のような工程を有している。
【0017】
1.導体パターンが形成された基板表面に、ソルダーレジスト組成物の塗膜を形成する工程
2.露光工程
3.希アルカリ水溶液による現像工程
4.現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄する工程
5.基板を乾燥する工程
(3〜5の工程を一括して、現像工程と呼ぶことが一般的である)
6.熱硬化工程
(1〜6の工程でソルダーレジスト層が形成される)
7.インクジェットプリンターを用いてソルダーレジスト層上に硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、これを硬化してマーキングパターンを形成する工程
【0018】
ます、導体パターンが形成された基板表面に、ソルダーレジスト組成物の塗膜を形成する。この工程における導体パターンの形成された基板とは、例えば紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層板等で、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等に導電パターンを形成した基板を挙げることができる。
【0019】
このような基板表面に、ソルダーレジスト組成物の塗膜を形成する工程において、液状のアルカリ現像型ソルダーレジストを使用する方法と、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を有するドライフィルムを使用する方法がある。
【0020】
液状のアルカリ現像型ソルダーレジストを使用する場合、これを有機溶剤等で塗布方法に適した粘度に調整し、導体パターンの形成された基板上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により全面塗布する。そして、約60〜100℃の温度でアルカリ現像型ソルダーレジスト中に含まれる有機溶剤等を揮発乾燥(仮乾燥)させる。このようにして、タックフリーのアルカリ現像型ソルダーレジスト組成物の塗膜を形成することができる。
【0021】
また、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を有するドライフィルムとは、キャリアフィルムとアルカリ現像型ソルダーレジストをキャリアフィルム(またはカバーフィルム)に塗布・乾燥して得られたソルダーレジスト層と、ソルダーレジスト層上に剥離可能なカバーフィルムを有するものである。
【0022】
キャリアフィルムとしては、10〜150μmの厚みのPET等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。
【0023】
アルカリ現像型ソルダーレジスト層は、アルカリ現像型ソルダーレジストを、有機溶剤等で、キャリアフィルムまたはカバーフィルムに塗布可能な粘度に下げた後、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等を用いて、キャリアフィルム(またはカバーフィルム)に例えば10〜150μmの厚さで均一に塗布し乾燥して形成される。
【0024】
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、アルカリ現像型ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0025】
このようなアルカリ現像型ソルダーレジストのドライフィルムを使用する場合、カバーフィルムを剥がし、導体パターンの形成された基板にキャリアフィルム上のアルカリ現像型ソルダーレジスト層を重ねる。そして、ラミネーター等を用いてラミネートすることにより、導体パターンの形成された基板上にアルカリ現像型ソルダーレジスト層の塗膜を形成することができる。このとき、キャリアフィルムは、露光前または露光後のいずれかに剥離すれば良い。また、ラミネートは、加熱ラミネーターで、通常、60〜110℃で、0.4MPa以上で行われる。このとき、真空ラミネーターを使用することにより、ボイドの発生を抑えることができる。
【0026】
次に、このようにして形成された塗膜を、所定のパターンで露光する。この露光工程において、活性エネルギー線の照射光源として、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプを用いた接触または非接触露光機が一般的に用いられる。更に、レーザー光を用いたレーザー・ダイレクト・イメージング装置を使用することもできる。
【0027】
このようにして露光された塗膜を、現像液として希アルカリ水溶液を用いて現像する。この現像工程において、ディッピング法、シャワー法、スプレー法等を用いることができるが、後工程の水洗工程を考慮した場合、スプレー法を用いることが好ましい。
【0028】
現像液としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等、1価のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を含む希アルカリ水溶液を使用することができる。
【0029】
このようにして現像された塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換する、若しくはPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄する。
【0030】
上記PH7未満の洗浄液又は30℃以上の洗浄液としては、市水、井水、イオン交換水、工場内循環水、及びそれらをPH管理したものが好ましく用いられる。
【0031】
そしてその後は、塗膜を、乾燥させた後、熱硬化させる。
【0032】
熱硬化工程においては、例えば、熱風循環式乾燥炉や遠赤外線硬化炉等を用い、例えば約140〜180℃の温度に設定して加熱される。そして、塗膜に含まれるカルボキシル基と、エポキシ樹脂等の熱硬化性成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れたソルダーレジスト層を形成することができる。
【0033】
その後、上記ソルダーレジスト層に、インクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、これを硬化することでマーキングパターンを形成する。
【0034】
上記マーキングパターンの形成方法としては、インクジェットプリンターを用いて上記ソルダーレジスト層上に硬化性樹脂組成物のパターンを描画する。そしてこのパターンに活性エネルギー線を照射することによって一次硬化させ、その後更に加熱硬化することにより、マーキングパターンを形成することができる。この場合、活性エネルギー線の照射条件は、100mJ/cm以上、好ましくは300mJ/cm〜2000mJ/cmとすることが望ましい。また、加熱硬化の条件は、140〜170℃で20分以上、好ましくは150〜170℃で20〜60分とすることが望ましい。
【0035】
上記活性エネルギー線の照射は、インクジェットプリンターによるパターンの描画後に行なう方法と、当該パターン描画と平行して行う方法とがあるが、時間や工程の短縮等から、後者の方法が好ましい。上記活性エネルギー線の照射をパターン描画と平行して行う方法としては、例えばパターン描画時に基板の側部や低部等から活性エネルギー線を照射する方法等がある。活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を利用することができる。その他、電子線、α線、β線、γ線、X線、中性子線等も利用できる。
【0036】
これらの工程を経て、本発明のソルダーレジスト層及びプリント配線板が製造される。
【0037】
次に、本発明のプリント配線板の製造に用いる硬化性樹脂組成物について説明する。
【0038】
当該硬化性樹脂組成物は、(A)分子内に(メタ) アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマーと、(B)重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(但し、前記(A)を除く)と、(C)光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、その粘度が25℃で150mPa・s以下であることが好適である。
【0039】
上述の粘度とは、JIS K2283に従って常温(25℃)で測定した粘度をいう。尚、インクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンをソルダーレジスト層に描画する場合、その樹脂組成物の粘度は塗布時の温度において約20mPa・s以下であることが必要である。しかし、常温で150mPa・s以下の硬化性樹脂組成物であれば、これを加温することによって、塗布時にはこの条件を満足することができる。また、本明細書において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基及びメタアクリロイル基を総称する用語である。他の類似の表現についてもこれと同様とする。
【0040】
以下、当該硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0041】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマー(A)
前記分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマー(A)の熱硬化性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、メルカプト基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、オキサゾリン基等のモノマーが挙げられる。
【0042】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基として水酸基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、市販品としてはライトエステルHO、ライトエステルHOP、ライトエステルHOA(以上、共栄社化学(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0043】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてカルボキシル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。これらの市販品としてはライトエステルHO−MS、ライトエステルHO−HH(以上、共栄社化学(株)製の商品名)、アロニックスM−5400(東亞合成化学(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0044】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてイソシアネート基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、2−メタクリロイオキシエチルイソシアネート(例えば、昭和電工(株)製の商品名、MOI)等が挙げられる。
【0045】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてアミノ基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジエチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0046】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてエポキシ基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリロイル基含有脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの市販品としては、サイクロマーM100、サイクロマーA200、サイクロマー2000(以上、ダイセル化学(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0047】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてオキセタニル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、オキセタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの市販品としてはOXE−10、OXE−30(大阪有機化学(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0048】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてメルカプト基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、エチルチオアクリレート、エチルチオメタクリレート、ビフェニルチオアクリレート、ビフェニルチオメタクリレート、ニトロフェニルチオアクリレート、ニトロフェニルチオメタクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、トリフェニルメチルチオメタクリレート、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパンのトリスアクリレート、2−プロペン酸の2−(メルカプトメチル)−メチルエステル、メタクリル酸の2−[(2−メルカプトエチル)チオ]エチルエステル等が挙げられる。
【0049】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてメトキシメチル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、メトキシメチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、ジメトキシメチルアクリレート、ジメトキシメチルメタクリレート等が挙げられる。これらの市販品としては、ニカラックMX−302(アクリル変性アルキル化メラミン、三和ケミカル(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0050】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてメトキシエチル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、1−メトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、1,1−メトキシエチルアクリレート、1,1−メトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0051】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてエトキシエチル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、1−エトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0052】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてエトキシメチル基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリレート、エトキシメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0053】
分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基としてオキサゾリン基を有するモノマー(A)の具体的な例としては、2−プロペン酸の2−メチル−2−{[3−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)ベンゾイル]アミノ}エチルエステル、2−プロペン酸の2−メチル−2−(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾイル)エチルエステル、2−プロペン酸の3−(4,5−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2−オキサゾイル)プロピルエステル等が挙げられる。
【0054】
重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(但し、前記(A)を除く)(B)
前記重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(B)は室温で液状である。その光反応性基としては、代表的には(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
【0055】
(メタ)アクリロイル基を有する前記光反応性希釈剤(B)としては、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を持ったモノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリレート類や、アクリロイルモルホリン等を挙げることができる。
【0056】
また、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持った多官能モノマーの具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアクリレート、あるいはポリウレタンジアクリレート類及びそれらに対応するメタアクリレート類、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシアクリレート、ビスフェノールフルオレンジメタクリレート、あるいはこれらのシルセスキオキサン変性物等に代表される多官能アクリレート、あるいはこれらに対応するメタアクリレートモノマーを使用することができる。
【0057】
また前記光反応性希釈剤(B)として、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸等のカルボキシル基含有ポリマーにブタンジオールモノアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等をエステル化、アミド化反応させアクリレート基を導入した多官能(メタ)アクリレート類を使用することもできる。
【0058】
更に前記光反応性希釈剤(B)として、ビニルエーテル類、エチレン誘導体、スチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、ジシクロペンタジエン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、キシリレンジオキセタン、オキセタンアルコール、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、レゾルシノールジグリシジルエーテル等の不飽和二重結合やオキセタニル基、エポキシ基を有する化合物等を使用することもできる。
【0059】
光重合開始剤(C)
前記光重合開始剤(C)としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を用いることができる。
【0060】
前記光ラジカル重合開始剤としては、光、レーザー、電子線等によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始する化合物であれば全て用いることができる。
【0061】
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;リボフラビンテトラブチレート;2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6−トリス−s−トリアジン、2,2,2−トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;ベンゾフェノン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等を使用することができる。これらは、単独で又は複数種の混合物として使用できる。
【0062】
また、前記光ラジカル重合開始剤と併せて、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類等の光開始助剤を使用することができる。またこれ以外に、可視光領域に吸収のあるCGI−784等(BASFジャパン(株)製の商品名)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために添加することができる。尚、前記光ラジカル重合開始剤と併せて使用できるものは特にこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光開始助剤に限らず、単独であるいは複数併用して使用できる。
【0063】
前記光カチオン重合開始剤は、光、レーザー、電子線等によりカチオン重合反応を開始する化合物であれば全て使用することができる。
【0064】
前記光カチオン重合開始剤としては、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ブロモニウム塩、クロロニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩;トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン及びその誘導体等のハロゲン化化合物;スルホン酸の2−ニトロベンジルエステル;イミノスルホナート;1−オキソ−2−ジアゾナフトキノン−4−スルホナート誘導体;N−ヒドロキシイミド=スルホナート;トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン誘導体;ビススルホニルジアゾメタン類;スルホニルカルボニルアルカン類;スルホニルカルボニルジアゾメタン類;ジスルホン化合物等が挙げられる。これらの市販されているものとしては、サイラキュアUVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6950(以上、UCC社製の商品名)、イルガキュア261(BASFジャパン(株)製の商品名)、SP−150、SP−152、SP−170(以上、(株)ADEKA製の商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製の商品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製の商品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達(株)製の商品名)、PI−2074(ローヌプーラン(株)製の商品名)、FFC509(3M(株)製の商品名)、ロードシル フォトイニシエーター2074(ローディアジャパン(株)製の商品名)、BBI−102、BBI−101(ミドリ化学(株)製の商品名)、CD−1012(サートマー・ジャパン(株)製の商品名)等が挙げられる。
【0065】
前記硬化性樹脂組成物は、前記成分(A)から(C)に加えて、例えば、ジエチレングルコールジビニルエーテル等のビニル基含有化合物、トリアリルイソシアネート等のアリル基含有化合物、ビスフェノールAやビスフェノールAの水添物、フェノールノボラック樹脂等の水酸基含有化合物、キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有化合物、メラミン等のアミノ基含有化合物、メタンジチオール等のメルカプト基含有化合物、1,3−フェニレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン基含有化合物、マロン酸やコハク酸、シック酸等のカルボキシル基含有化合物、フェノールノボラック型オキセタン島のオキセタニル基含有化合物、無水トリメリット酸や無水ピロメリット酸、無水ハイミック酸等の酸無水物基含有化合物、脂環式エポキシ樹脂やグルシジルエーテル型エポキシ樹脂等のエポキシ基含有化合物、メトキシメチル基含有化合物、イミノ基含有化合物、エトキシメチル基含有化合物等を熱硬化成分として配合することができる。これらの熱硬化成分は架橋剤としての役割を果たし、これらを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物(マーキングパターン)の架橋密度が上がり、耐熱性、硬度、はんだ耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、無電解めっき耐性等の諸特性をさらに向上させることができる。
【0066】
また、前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化触媒を配合することができる。この硬化触媒としては、例えば、イミダゾール誘導体類、グアナミン類、ポリアミン類並びにこれらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト、トリアジン誘導体類、三級アミン類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩類、4級アンモニウム塩類、多塩基酸無水物等の公知慣用の硬化剤類あるいは硬化促進剤類が挙げられる。これらの硬化剤類又は硬化促進剤類は、単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0067】
前記硬化性樹脂組成物は、重量平均分子量が700以下の光反応性希釈剤(B)を用いているため、基本的に希釈溶剤の添加は不要である。しかし、粘度の調整を目的としてこれに希釈溶剤を添加することもできる。希釈溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤類等が挙げられる。
【0068】
更に前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の公知慣用の重合禁止剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤等の添加剤類を配合することができる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において特に断りのない限り、「部」は質量部を意味する。
【0070】
例1から例4について、表1に示す割合で各成分を配合し、これをディゾルバーで攪拌した。さらにこれを1μmのディスクフィルターでろ過し、各組成物を得た。
【0071】
【表1】

<分子内に(メタ) アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマー(A)>
GMA:グリシジルメタクリレート(メタクリロイル基とグリシジル基を持つ)
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
M−100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(メタクリロイル基と脂環式エポキシ基を持つ)
<重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(但し、前記(A)を除く)(B)>
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
<光重合開始剤(C)>
IRG819:BASF社製 イルガキュア819
<その他>
CR−95:石原産業製酸化チタン
2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール 熱硬化触媒
【0072】
<工程1>
太陽インキ製造製ソルダーレジストPSR−4000G24をプリント配線板用銅張積層板(FR−4 厚み1.6mm 大きさ150×95mm)にスクリーン印刷にて乾燥塗膜が20μmになるようにベタ印刷した。そしてこれを80℃で30分乾燥して塗膜を形成した。そして、この塗膜が全面残るようなパターンにて、300mJ/cmで塗膜を露光し、これを30℃1wt%NaCOで現像した。更に、現像後の塗膜を10℃の水で60秒間洗浄し、これを150℃で30分間硬化させて試験用基板を作製した。
尚、本工程1は気温の低い時期で行われることを想定しており、現像液は現像性の再現性を重視して30℃に管理されているものの、洗浄用の水は工場内の循環水等をそのまま用いており、これを温度管理していない場合を想定している。
上記試験用基板に対して、富士フィルム製インクジェットプリンターDimatix Materials Printer DMP−2831を用いて、例1から例4の各組成物を10×20mmの大きさの長方形のパターンで膜厚が15μmになるように印刷し、直後にこれを高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの積算光量でUV照射した。次いで、これを熱風循環式乾燥炉にて150℃で30分加熱して熱硬化させ、各試験片を得た。
各試験片に形成された長方形パターンについて、JIS K5400に準拠して鉛筆硬度を測定し、以下の基準で評価した。その結果を表2に示す。尚、評価基準は以下の工程においても同様とする。
○ 9H〜H
△ F〜B
× 2B〜6B
【0073】
<工程2>
試験用基板の作製工程における洗浄条件を40℃の水で60秒間にしたこと以外は工程1に記載の条件と同じ条件で各試験片を作製し、鉛筆硬度を測定した。その結果を表2に示す。
【0074】
<工程3>
試験用基板の作製工程における洗浄条件を40℃の水で10秒間にしたこと以外は工程1に記載の条件と同じ条件で各試験片を作製し、鉛筆硬度を測定した。その結果を表2に示す。
【0075】
<工程4>
試験用基板の作製工程における洗浄条件を、10℃の0.5%の硫酸水溶液で30秒間とし、更に10℃の水で30秒間洗浄することにした以外は工程1に記載の条件と同じ条件で各試験片を作製し、鉛筆硬度を測定した。その結果を表2に示す。
【0076】
<工程5>
試験用基板の作製工程における洗浄条件を、10℃の0.5%の酢酸水溶液で30秒間し、更に10℃の水で30秒間洗浄することにした以外は工程1に記載の条件と同じ条件で各試験片を作製し、鉛筆硬度を測定した。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
表2に示すとおり、本発明のソルダーレジスト層は、インクジェットプリンターを用いて形成されるマーキングパターンとの密着性が良く、当該マーキングパターンが脆くなり割れやすくなるといった不具合を抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層であって、
このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換し、
この塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層。
【請求項2】
インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層であって、
このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜をPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、
この洗浄した塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層。
【請求項3】
インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層の形成方法であって、
このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換し、
この塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層の形成方法。
【請求項4】
インクジェットプリンターを用いてマーキングパターンが形成されるソルダーレジスト層の形成方法であって、
このソルダーレジスト層の形成に用いるソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜をPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、
この洗浄した塗膜を熱硬化して得られることを特徴とするソルダーレジスト層の形成方法。
【請求項5】
ソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜に含まれる酸基に結びついたアルカリ性イオン基を洗浄液にて水素イオン基に置換し、
この塗膜を熱硬化してソルダーレジスト層を形成し、
このソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、
この描画されたパターンを硬化してマーキングパターンを形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
ソルダーレジスト組成物の塗膜を基板上に形成し、
この塗膜を露光し、
この露光した塗膜を希アルカリ水溶液にて現像し、
この現像した塗膜をPH7未満の洗浄液又は水温30℃以上の洗浄液を用いて30秒以上洗浄し、
この洗浄した塗膜を熱硬化してソルダーレジスト層を形成し、
このソルダーレジスト層上にインクジェットプリンターを用いて硬化性樹脂組成物のパターンを描画し、
この描画されたパターンを硬化してマーキングパターンを形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記硬化性樹脂組成物が、
(A)分子内に(メタ) アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマーと、
(B)重量平均分子量700以下の光反応性希釈剤(但し、前記分子内に(メタ)アクリロイル基と熱硬化性官能基を有するモノマー(A)を除く)と、
(C)光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
その粘度が25℃で150mPa・s以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のソルダーレジスト層を有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
請求項3又は4に記載の形成方法により形成されるソルダーレジスト層を有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項10】
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の製造方法により製造されることを特徴とするプリント配線板。

【公開番号】特開2012−216588(P2012−216588A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79338(P2011−79338)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591021305)太陽ホールディングス株式会社 (327)
【Fターム(参考)】