説明

ソレノイドの構造及びこれを用いた画像形成装置

【課題】ソレノイドの発熱を低減して長時間にわたるソレノイドの機能を維持できるソレノイドの構造とこれを用いて高品位の画像出力を実現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーによってトナー像が形成される感光体ドラム3を有し該感光体ドラム3の表面のトナー像を用紙Pに転写する画像形成部14と、用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット6と、トナー像定着処理後の用紙Pを排紙トレイ9に排出する用紙搬送路7を備え、各部処理工程における動作の一部を適宜ソレノイドにより行なうようにした画像形成装置1Aにおいて、磁束を発生させる通電コイル131と、その通電コイル131の磁束によって作用する鉄芯132を備えたソレノイド122の構成として、通電コイル131を複数の巻き線部により構成したものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドの構造及びこれを用いた画像形成装置に係り、特に、磁束を発生させる通電コイルとその通電コイルの磁束によって作用する可動部材を備えたソレノイドの構造と、電子写真方式を用いた複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ等に適用して、各部処理工程における動作の一部をソレノイドにより行なうようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、接離機構の駆動の一手段としてソレノイドを用いることが知られている(特許文献1を参照)。
例えば、印字処理部における転写部において、感光体ドラムと転写ユニットとの接離機構として用いられている。
【0003】
しかしながら、転写部において、常に感光体ドラムと転写ユニットとを圧接した状態では、感光体ドラムに転写ユニットの材質(例えば無端ベルトの材質)等が転移し、帯電電位が不均一になり印字品位の低下を招くという問題が生じる。
【0004】
また、転写ユニットでは、感光体ドラムの曲率に応じた変形が生じ、実動作時の転写部材の適正電位の確保が出来なくなるという問題が生じる。
【0005】
このため、感光体ドラムに対する転写ユニットの接離機構が必要とされているが、機械的機構で接離機構を構成すると、接離タイミングの設定が難しく、また、機構面では構成が大型化するとともに組立て作業が煩雑となるため、装置自体の大型化を招来する。そこで、単純な機構で省スペース、且つ汎用性のある“ソレノイド”を用いて転写ユニットを感光体ドラムに対して接離する手法が多く用いられている。
【0006】
従来のソレノイド430の構造は、図8(a)に示すように、主に磁束を発生させる通電コイル431と、その通電コイル431の磁束によって作用する鉄芯432を備えている。通電コイル431に通電することで、図8(b)に示すように、通電コイル431により鉄芯432を所定量突出させた状態で保持するようになっている。
【特許文献1】特開2000−173822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、画像形成装置の高速化に伴い、転写ユニットのON/OFF状態においてON状態が継続すると、鉄芯432を保持する通電コイル431から発生する熱によりソレノイド430自体が発熱し、ソレノイド430の機能が低下することにより転写ユニットを感光体ドラムに圧接する圧接力が弱くなり、転写性能の低下を招来するという問題が生じている。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであって、ソレノイドの発熱を低減して長時間にわたるソレノイドの機能を維持できるソレノイドの構造とこれを用いて高品位の画像出力を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明に係るソレノイドの構造は、次の通りである。
請求項1に記載したソレノイドの構造は、磁束を発生させる通電コイルと、その通電コイルの磁束によって作用する可動部材、例えば、鉄芯を備えたソレノイドの構造において、前記通電コイルの構成として、複数の巻き線部を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載したソレノイドの構造は、請求項1に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部を連結して構成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載したソレノイドの構造は、請求項2に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部をそれぞれの巻き線部の抵抗値が異なるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載したソレノイドの構造は、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部を、それぞれの巻き線部を構成する巻き線の長さが異なるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載したソレノイドの構造は、請求項2乃至4のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部を、連結された巻き線部のうちの通電時の入力側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載したソレノイドの構造は、請求項2乃至4のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部の構成を、少なくとも3箇所以上の巻き線部により構成し、連結された巻き線部のうちの両端側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載したソレノイドの構造は、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルの構成として、隣接する巻き線部同士の間に該巻き線部より大きい抵抗値を有する抵抗部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に記載したソレノイドの構造は、請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルを、前記複数の巻き線部への通電を切換え可能に構成したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に記載したソレノイドの構造は、請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記複数の巻き線部の構成として、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材を前記通電コイル内の所定位置に移動して保持する主部巻き線部と、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材の前記通電コイル内の所定位置における保持状態を維持する補助巻き線部とを含むことを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載したソレノイドの構造は、請求項9に記載した構成に加えて、前記主部巻き線部を、巻き線部を構成する巻き線の長さが前記補助巻き線部の巻き線の長さよりも長く構成したことを特徴とするものである。
【0019】
請求項11に記載したソレノイドの構造は、請求項9または10に記載した構成に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、連結された主部巻き線部または補助巻き線部の何れの巻き線部側からでも通電可能となるようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項12に記載したソレノイドの構造は、請求項9乃至11のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、前記通電コイルの温度の変化量と前記通電コイルの温度特性に基づき行なうようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
請求項13に記載したソレノイドの構造は、請求項9乃至12のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルを、前記ソレノイドの動作初期状態の時に、前記主部巻き線部に通電されて前記通電コイル内の所定位置で前記可動部材を保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項14に記載したソレノイドの構造は、請求項9乃至13のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルを、前記主部巻き線部が発熱して所定の温度に到達した時に、前記補助巻き線部側から通電することで該通電コイル内の所定位置で前記可動部材の保持状態を維持するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
請求項15に記載したソレノイドの構造は、請求項8乃至14のうちの何れか一項に記載した構成に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、前記ソレノイドに通電されて運転状態、つまりON状態の時に繰返して行なうことようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項16に記載した画像形成装置は、現像剤によって現像剤像が形成される静電潜像担持体を有し該静電潜像担持体の表面の現像剤像を記録媒体に転写する画像形成部と、該記録媒体上に転写された現像剤像を記録媒体に定着させる定着手段と、現像剤像定着処理後の記録媒体を排紙トレイに排出する記録媒体排出手段とを備え、各部処理工程における動作の一部を適宜ソレノイドにより行なうようにした画像形成装置において、前記ソレノイドの構造として、請求項1乃至15のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載した発明によれば、磁束を発生させる通電コイルと、その通電コイルの磁束によって作用する可動部材(鉄芯)を備えたソレノイドの構造において、前記通電コイルの構成として、複数の巻き線部を備えたことで、前記ソレノイドの通電中(運転中)に特定の巻き線部のみが発熱することなくソレノイド自体の温度上昇を低減でき、これにより、ソレノイドの機能の低下を抑制して安定した保持力を得ることができる。
【0026】
また、請求項2〜15に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、次の効果を得ることができる。
【0027】
すなわち、請求項2に記載した発明によれば、前記複数の巻き線部を連結して構成したことで、通電コイルの発熱を分散でき、通電コイルやソレノイドの温度上昇を抑制することができる。
【0028】
請求項3に記載した発明によれば、請求項2に記載の発明で得られる効果に加えて、前記複数の巻き線部をそれぞれの巻き線部の抵抗値が異なるようにしたことで、それぞれの巻き線部の温度上昇を異ならせることができ、通電コイルの発熱を分散させて通電コイルの温度上昇を抑制することができる。
【0029】
請求項4に記載した発明によれば、請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記複数の巻き線部を、それぞれの巻き線部を構成する巻き線の長さが異なるようにしたことで、同一の部材で巻き線部の抵抗値を異ならせるとともに温度上昇を異ならせることができ、前記通電コイルの発熱を分散させて通電コイルの温度上昇を抑制することができる。
【0030】
請求項5に記載した発明によれば、請求項2乃至4のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記複数の巻き線部を、連結された巻き線部のうちの通電時の入力側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成したことで、入力側の巻き線部の温度上昇を抑制して、ソレノイドの性能を安定して維持することができる。
【0031】
請求項6に記載した発明によれば、請求項2乃至4のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記複数の巻き線部の構成を、少なくとも3箇所以上の巻き線部により構成し、連結された巻き線部のうちの両端側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成したことで、通電コイルの両端部の巻き線部の温度上昇を抑制して、ソレノイドの性能を安定して維持することができる。
【0032】
請求項7に記載した発明によれば、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルの構成として、隣接する巻き線部同士の間に該巻き線部より大きい抵抗値を有する抵抗部を設けたことで、その他の巻き線部の温度上昇を抑制して、ソレノイドの性能を安定して維持することができる。
【0033】
請求項8に記載した発明によれば、請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルを、前記複数の巻き線部への通電を切換え可能に構成したことで、通電コイルに生じる発熱を集中させることなく分散させることができるので、ソレノイド自体の温度上昇を抑制することができる。
【0034】
請求項9に記載した発明によれば、請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記複数の巻き線部の構成として、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材を前記通電コイル内の所定位置に移動して保持する主部巻き線部と、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材の前記通電コイル内の所定位置における保持状態を維持する補助巻き線部とを含むことで、通電コイルに生じる発熱を分散させて、通電コイルの温度上昇を抑制できる。
【0035】
請求項10に記載した発明によれば、請求項1乃至9のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記主部巻き線部を、巻き線部を構成する巻き線の長さが前記補助巻き線部の巻き線の長さよりも長く構成したことで、同一の部材で巻き線部の抵抗値を異ならせるとともに温度上昇を異ならせることができ、前記通電コイルの発熱を分散させて通電コイルの温度上昇を抑制することができる。
【0036】
請求項11に記載した発明によれば、請求項9または10に記載の発明の効果に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、連結された主部巻き線部または補助巻き線部の何れの巻き線部側からでも通電可能となるようにしたことで、通電方向を切換えることで通電コイルの発熱を集中させることなく分散させることができるので、ソレノイド自体の温度上昇を抑制することができる。
【0037】
請求項12に記載した発明によれば、請求項9乃至11のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、前記通電コイルの温度の変化量と前記通電コイルの温度特性に基づき行なうようにしたことで、前記通電コイルの特定の巻き線部が高温になることなく通電コイルの発熱を分散させることができるので、ソレノイド自体の温度上昇を抑制することができる。
【0038】
請求項13に記載した発明によれば、請求項9乃至12のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルを、前記ソレノイドの動作初期状態の時に、前記主部巻き線部に通電されて前記通電コイル内の所定位置で前記可動部材を保持するようにしたことで、前記ソレノイドの動作と同時に可動部材を所定位置に移動して保持することができる。
【0039】
請求項14に記載した発明によれば、請求項9乃至13のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルを、前記主部巻き線部が発熱して所定の温度に到達した時に、前記補助巻き線部側から通電することで該通電コイル内の所定位置で前記可動部材の保持状態を維持するようにしたことで、可動部材を同じ所定位置で維持することができる。
【0040】
請求項15に記載した発明によれば、請求項8乃至14のうちの何れか一項に記載の発明で得られる効果に加えて、前記通電コイルの通電の切換えを、前記ソレノイドに通電されて運転状態、つまりON状態の時に繰返して行なうことようにしたことで、前記通電コイルの発熱を分散できるので、該通電コイルの温度上昇を抑制することができ、ソレノイドの性能を維持することができる。
【0041】
また、請求項16に記載した発明によれば、現像剤によって現像剤像が形成される静電潜像担持体を有し該静電潜像担持体の表面の現像剤像を記録媒体に転写する画像形成部と、該記録媒体上に転写された現像剤像を記録媒体に定着させる定着手段と、現像剤像定着処理後の記録媒体を排紙トレイに排出する記録媒体排出手段とを備え、各部処理工程における動作の一部を適宜ソレノイドにより行なうようにした画像形成装置において、前記ソレノイドの構造として、請求項1乃至15のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造を用いたことで、前記ソレノイドの通電中(運転中)に特定の巻き線部のみが発熱することなくソレノイド自体の温度上昇を低減でき、ソレノイドの機能の低下を抑制して安定した保持力を得ることができるので、高品位の画像出力を可能にした画像形成装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例であって、図1の(a)は本発明の実施形態に係るソレノイドの構造の全体の構成を示す概略図説明図、(b)は前記ソレノイドの構造の動作時の状態を示す説明図である。
【0043】
本実施形態に係るソレノイド130の構造は、図1(a)に示すように、磁束を発生させる通電コイル131と、その通電コイル131の磁束によって作用する鉄芯(可動部材)132を備え、通電コイル131として、通電時に鉄芯132を通電コイル131内の所定位置に移動して保持する第1の巻き線部(主部巻き線部)131aと、通電時に鉄芯132の通電コイル131内の所定位置における保持状態を維持する第2の巻き線部(補助巻き線部)131bとを備えたことを特徴とするものである。
【0044】
通電コイル131は、第1の巻き線部131aの巻き線の長さが第2の巻き線部131bの巻き線の長さよりも長く構成されている。すなわち、第1の巻き線部131aの方が第2の巻き線部131bよりも多く巻回されている。
【0045】
第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bは、抵抗値が同一で且つ同じ温度特性を有する巻き線により形成され、鉄芯132の軸心方向に沿って直列に接続配置されている。また、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bとの間には、それらの巻き線部の抵抗値より大きい抵抗値を有する抵抗部131cが設けられている。
【0046】
また、通電コイル131は、第1の巻き線部131aまたは第2の巻き線部131bの何れの巻き線部側からでも通電できるように通電方向を切換え可能に構成されている。詳しくは、通電コイル131の通電の切換えは、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bとの温度の変化量及び温度特性に基づき行なわれるように図示しない制御部により動作制御されている。
【0047】
この通電コイル131の通電の切換えは、本実施形態ではソレノイド130が運転状態(ON状態)の時に繰返して行なわれるように動作制御されている。
【0048】
鉄芯132は、柱状体を呈し、通電コイル131内でコイルの軸心(中心線)方向に沿って移動可能に配置され、通電コイル131に発生する磁束によって図中上下方向に作用(変位)するようになっている。
【0049】
この鉄芯132は、ソレノイド130が動作初期状態の時に第1の巻き線部131a側から通電されると、図1(b)に示すように、通電コイル131内の所定位置に移動して保持されるようになっている。
【0050】
また、鉄芯132は、通電コイル131の通電の切換えにより、第2の巻き線部131b側から通電されると、通電コイル131内の所定位置で保持された状態が維持されるようになっている。
【0051】
次に、ソレノイド130の動作・作用について図面を参照して説明する。
ソレノイド130の構成として、通電コイル131の一部を構成する第1の巻き線部131aは、図1(a)に示すように、ソレノイド130の動作開始時に、鉄芯132を移動可能な磁力を得られるように、鉄芯132の外周の一部を広く覆うコイルの巻き線となっている。
【0052】
一方、第1の巻き線部131aとともに通電コイル131の一部を構成する第2の巻き線部131bは、移動した鉄芯132を所定位置で維持できるように、鉄芯132の外周の一部を第1の巻き線部131aよりも狭い範囲で覆うコイルの巻き線となっている。
【0053】
このように、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bとを巻き線部の役割に応じて巻き線部の巻回数を異ならせて構成することで、各々の巻き線部の抵抗値を小さくして、通電コイル131に発生する発熱を巻き線部毎に分散させることができるので、通電コイル131の温度上昇を抑制できる。
【0054】
また、本実施形態では、通電コイル131への通電方向を第1の巻き線部131a及び第2の巻き線部131bの温度の変化量と温度特性に基づき切換えるようにしたので、電通方向を切換えることにより、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bにかかるそれぞれ電流値が変わるため、効果的に発生する熱を抑制することができる。
【0055】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、ソレノイド130の動作時に発生するコイルの発熱に起因した、ソレノイドの温度上昇による動作不良を解消することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bとの間にそれらの巻き線部の抵抗値より大きい抵抗値を有する抵抗部131cを設けたので、第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bの温度上昇を抑制して、ソレノイド120の性能を安定して維持することができる。
【0057】
尚、本実施形態では、通電コイル131に使用される巻き線を均一な抵抗値のものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、抵抗値の異なる巻き線を用いた巻き線部により構成したものであっても良い。
【0058】
また、本実施形態では、通電コイル131として第1の巻き線部131aと第2の巻き線部131bの2つの巻き線部を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、変形例として、例えば、通電コイルを3箇所以上の巻き線部を連結して構成したものであっても良い。
【0059】
以下に、本実施形態の変形例について図面を参照して詳細に説明する。
図2は本発明に係るソレノイドの構成の第1実施形態の変形例を示す説明図である。
変形性は、ソレノイド230の構成として、図2に示すように、通電コイル231を3箇所以上の巻き線部、すなわち第1の巻き線部(補助巻き線部)231a,第2の巻き線部(主部巻き線部)231b,及び第3の巻き線部(補助巻き線部)231cを連結して構成したものである。
【0060】
通電コイル231は、連結された3つの第1〜第3の巻き線部231a,231b,231cのうちの両端側の巻き線部、つまり第1の巻き線部231aと第3の巻き線部231cの抵抗値が第3の巻き線部231bの抵抗値より小さく構成されている。
すなわち、この変形例では、通電コイル231の連結された複数の巻き線部のうちの通電時の入力側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成されている。
【0061】
主部巻き線部に相当する第2の巻き線部231bは、鉄芯232の動作開始時に、該鉄芯232を移動可能な通電力を供給できるように、鉄芯232の外周の一部を広く覆うコイルの巻き線となっている。
【0062】
一方、補助巻き線部に相当する第1の巻き線部231a及び第3の巻き線部231cは、移動した鉄芯232を所定位置で維持できるように、鉄芯232の外周の一部を第2の巻き線部231bよりも狭い範囲で覆うコイルの巻き線となっている。
【0063】
このように構成したので、変形例によれば、第1実施形態と同様に、通電コイル231を、巻き線部の役割に応じて巻き線部の巻回数を異ならせて複数個構成することで、各々の巻き線部の抵抗値を小さくして、通電コイル231に発生する発熱を巻き線部毎に分散させることができるので、通電コイル231の温度上昇を抑制できる。
【0064】
また、変形例においても、通電コイル231への通電方向を第1〜第3の巻き線部231a,231b,231cの温度の変化量と温度特性に基づき切換えるようにしたので、電通方向を切換えることにより、前述した実施形態と同様に第1〜第3の巻き線部231a,231b,231cにかかるそれぞれ電流値が変わるため、通電コイル231に発生する熱を効果的に抑制することができる。
【0065】
尚、本実施形態およびその変形例では、通電コイル131,231を構成する複数の巻き線部を直列に接続して通電方向の切換えを行なうようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の巻き線部を並列に接続してそれぞれ単独に通電の切換えを行なうようにしたものであっても良い。
【0066】
このように構成することで、それぞれの巻き線部の温度上昇に対応してより緻密に通電を切換えることができるので、ソレノイドの温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るソレノイドの構造が採用された画像形成装置1Aについて図面を参照して詳細に説明する。
図3は本発明の第2実施形態に係るソレノイドの構造が採用された画像形成装置の全体の構成を示す説明図、図4は前記画像形成装置の装置本体の構成を示す部分詳細図である。
【0068】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、トナー(現像剤)によってトナー像(現像剤像)が形成される感光体ドラム(静電潜像担持体)3を有し該感光体ドラム3の表面のトナー像を用紙(記録媒体)Pに転写する画像形成部14と、用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット(定着手段)6と、トナー像定着処理後の用紙Pを排紙トレイ9に排出する用紙搬送路(記録媒体排出手段)7とを備え、各部処理工程における動作の一部を適宜ソレノイドを用いて行なうようにした画像形成装置1Aにおいて、前記ソレノイドとして、前述したソレノイド130と同様な構造のものを採用したものである。
【0069】
まず、本実施形態に係る画像形成装置1Aの全体構成について図面を参照して説明する。
画像形成装置1Aは、図3,図4に示すように、主に、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送路7、給紙トレイ8、排紙トレイ9及び転写機構100等より構成される装置本体1A1と、自動原稿処理装置1A2とにより構成されている。
【0070】
装置本体1A1の上面部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台21が設けられ、この原稿載置台21の上方には、自動原稿処理装置1A2が上方に向かい揺動開放自在に設けられ、一方、この原稿載置台21の下方には、原稿の画像情報を読み取る原稿読み取り部であるスキャナ部22が配置されている。
【0071】
そのスキャナ部22の下方には、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送路7、排紙トレイ9及び転写機構100が配設され、さらに、その下方には、用紙Pが収納された給紙トレイ8が配設されている。
【0072】
露光ユニット1は、図示しない画像処理部から出力された画像データ(印字用画像情報)に応じてレーザ光を、帯電器4によって均一に帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより、該感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を書込み形成する機能を有するものである。
【0073】
露光ユニット1は、スキャナ部22の直下で且つ感光体ドラム3上方に配置され、レーザ照射部11および反射ミラー12を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)13a,13bが採用されている。本実施形態では、高速印字処理を行う為に、複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減する手法を採用し、2ビーム手法を採用している。
【0074】
尚、本実施形態では、露光ユニット1にレーザスキャニングユニット(LSU)13a,13bを用いているが、発光素子をアレイ状に並べたもの、例えばELやLED書込みヘッドを用いるものであっても良い。
【0075】
感光体ドラム3は、図4に示すように、円筒状を呈し、露光ユニット1の下方に配設され、図示しない駆動手段と制御手段により所定方向(図中の矢印A方向)に回転するように制御されている。この感光体ドラム3の外周面に沿って、画像転写終了後の位置を基準として感光体ドラム回転方向下流側に向かい、用紙剥離爪31、クリーナユニット5、電界発生部としての帯電器4、現像器2、除電装置41の順に配置されている。
【0076】
用紙剥離爪31は、ソレノイド32により感光体ドラム3の外周面に接離可能に配置されている。この用紙剥離爪31は、感光体ドラム3の外周面に当接した状態で、感光体ドラム3上の未定着トナー像を用紙Pに転写する際にその感光体ドラム3の表面に張り付いた用紙Pを剥離するものである。
【0077】
尚、用紙剥離爪31の駆動手段として、ソレノイド32の換わりに駆動用モータ等を採用しても良く、その他の駆動手段の選択も可能である。
【0078】
現像器2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を黒トナーで顕像化するものであって、感光体ドラム回転方向(図中の矢印A方向)で帯電器4より下流側で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で右側)に配置されている。この現像器2下方には記録媒体搬送方向上流側にレジストローラ15が配置されている。
【0079】
レジストローラ15は、給紙トレイ8から供給された用紙Pの先端と感光体ドラム3上のトナー像とを整合して感光体ドラム3と転写ベルト103との間に搬送するように、図示しない駆動手段と制御手段とのより動作制御されている。
【0080】
帯電器4は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であって、感光体ドラム3の上方でその外周面に近接して配置されている。
尚、本実施形態では、チャージャー型の帯電器4を用いているが、接触型のローラ方式によるものやブラシ方式によるものを用いるものであっても良い。
【0081】
除電装置41は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像を用紙Pに転写し易くするために該感光体ドラム3の表面電位を低下させるための転写前除電手段であって、感光体ドラム回転方向で現像器2より下流側で、且つ該感光体ドラム3の下方でその外周面に近接して配置されている。
【0082】
尚、本実施形態では、除電装置41は、除電電極を用いて構成されているが、除電電極の替わりに除電ランプを用いたり、その他の方式により除電するようにしたものであっても良い。
【0083】
クリーナユニット5は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものであって、感光体ドラム3を挟んで現像器2と略対向する位置で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で左側)に配置されている。
【0084】
上述した様に、感光体ドラム3上で顕像化された静電像は、静電像が有する電荷の逆極性の電界が搬送される用紙P上に転写機構100から印加されることで用紙P上に転写される。
例えば、静電像が(−)極性の電荷を有している時は、転写機構100の印加極性は(+)極性となる。
【0085】
転写機構100は、図4に示すように、駆動ローラ101、従動ローラ102及び他のローラで架橋されるとともに、所定の抵抗値(本実施形態では1×109〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト103が配置された転写ユニット110を有する転写ベルト式ユニットで構成され、感光体ドラム3の下方で、転写ベルト103の表面が感光体ドラム3の外周面の一部と接触するように配置されている。この転写ベルト103により、用紙Pを感光体ドラム3に押圧しながら搬送するようになっている。
転写ユニット110の下方にはベルト接離機構120が配置されている。
【0086】
感光体ドラム3と転写ベルト103の接触部104には、駆動ローラ101及び従動ローラ102とは異なる導電性で転写電界を印加可能な弾性導電性ローラ105が配置されている。
【0087】
弾性導電性ローラ105は、弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料により構成されている。この弾性導電性ローラ105が弾性を有することで、感光体ドラム3と転写ベルト103とが線接触でなく、所定の幅(転写ニップと呼ばれる。)を有する面接触となるので搬送される用紙Pへの転写効率の向上を図ることができる。
【0088】
更に、転写ベルト103の転写領域の用紙搬送方向下流側には、搬送される用紙Pが転写領域で印加された電界を除電し、次工程への搬送をスムーズに行う為の除電ローラ106が転写ベルト103の背面側に配置されている。
【0089】
また、転写機構100には、転写ベルト103の残留トナーによる汚れを取るクリーニングユニット107と、転写ベルト103の除電を行う複数の除電機構108が配置されている。この除電機構108に用いられる除電を行うための手法として、装置を介して接地する手法、若しくは積極的に前記転写電界の極性とは逆極性を印加する手法がある。
【0090】
転写機構100で用紙P上に転写された静電像(未定着トナー)は、定着ユニット6に搬送されて加圧・加熱されることで未定着トナーが溶融されて用紙P上に定着される。
【0091】
定着ユニット6は、図4に示すように、加熱ローラ6a、加圧ローラ6bとを備え、この加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとにより用紙Pを挟持した状態で加熱ローラ6aを回転させ、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの間を通過させることにより、用紙P上に転写されたトナー像を溶融して定着させるものである。
【0092】
定着ユニット6の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを搬送する搬送ローラ16が設けられている。
【0093】
加熱ローラ6aは、その外周部には用紙剥離爪611、ローラ表面温度検出部材(サーミスター)612、ローラ表面クリーニング部材613が配置され、内周部には加熱ローラ表面を所定温度(定着設定温度:概ね160〜200℃)とする熱源614が設けられている。
【0094】
加圧ローラ6bは、ローラの両端部で加熱ローラ6aに対し所定圧量で加圧ローラ6bが圧接することが可能な加圧部材621が配置され、さらに、加圧ローラ6bの外周には加熱ローラ6aの外周と同様に用紙剥離爪622、ローラ表面クリーニング部材623が配置されている。
【0095】
この定着ユニット6は、図4に示すように、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接部(いわゆる定着ニップ部と呼ばれる。)600において、搬送される用紙P上の未定着トナーを加熱ローラ6aにより加熱して溶融し、該加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接力による用紙P上への投鋲作用で、未定着トナーを用紙P上に定着するようになっている。
【0096】
給紙トレイ8は、画像情報が出力(印字)されるシート(用紙)を複数枚蓄積しておくためのものであり、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6等で構成される画像形成部14の下側に構成されている。この給紙トレイ8の排紙側上部には、用紙ピックアップローラ8aが配置されている。
【0097】
この用紙ピックアップローラ8aは、給紙トレイ8内に積載収容された用紙Pを最上層から1枚ずつピックアップし、下流側に向かって(便宜上の用紙Pの流れ出し側(カセット側)を上流、排紙側を下流とする。)用紙搬送路7上のレジストローラ(「アイドルローラ」とも称する。)15側に搬送するようになっている。
【0098】
本実施形態に係る画像形成装置1Aでは、高速印字処理を行うことを目的とする為、画像形成部14の下方に定型サイズの用紙Pを各々のトレイに500〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ8が配置され、一方、装置側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット81が配置されるとともに、該大容量給紙カセット81の上方に、主に不定型サイズの印字等に対応する手差しトレイ82が設けられている。
【0099】
排紙トレイ9は、手差しトレイ82とは反対側の装置側面に配置されている。また、排紙トレイ9に変わって、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等を行う装置)や複数段排紙トレイ等をオプションとして配置することも可能な構成となっている。
【0100】
用紙搬送路7は、前述した感光体ドラム3と給紙トレイ8との間に構成され、給紙トレイ8から供給される用紙Pを一枚ずつ転写機構100に搬送し、転写機構100において、感光体ドラム3からトナー像が転写された用紙を定着ユニット6に搬送し、定着ユニット6において、未定着トナー像を用紙に定着した後に、指定された処理モードに応じて形成された用紙搬送路や分岐爪によって反転搬送ローラ18やスイッチバックローラ19を用いて用紙を搬送するように構成されている。
【0101】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、予め設定された排出処理モードとして、片面印字モード及び両面印字モードが設定されている。片面印字モードにおいて、排出処理として印字面を上方に向けて排出されるフェースアップ排出、及び、印字面を下方に向けて排出されるフェースダウン排出が設定されている。
【0102】
要求された処理モードに応じて分岐爪を動作させて、処理モードに対応した用紙Pの用紙搬送路を選択可能としている。
【0103】
以上のように構成された画像形成装置1Aにおいて、本実施形態では転写機構100を構成するベルト接離機構120に本発明に係るソレノイドの構造を採用している。
ここで、ベルト接離機構120について図面を参照して説明する。
図5は本実施形態に係る画像形成装置を構成するベルト接離機構の構成を示す側面視による説明図である。
【0104】
ベルト接離機構120は、図5に示すように、転写ユニット110に当接して転写ユニット110を変位させるリフトアーム121と、リフトアーム121を連動させる連動部材124と、連動部材124を介してリフトアーム121を動作させるソレノイド122とを備えている。
【0105】
ベルト接離機構120は、画像形成装置1Aに入力された処理信号(動作信号)に基づきソレノイド122を動作させて、感光体ドラム3上のトナー像を用紙Pに転写する時には、感光体ドラム3と転写ベルト103とを当接させ、転写処理が行なわれない時には、感光体ドラム3から転写ベルト103を離間するようになっている。
【0106】
ソレノイド122は、本発明に係るソレノイドの構造を採用したものであり、その構成は前述した第1実施形態に係るソレノイド130と同様な構成を有している。従って、ソレノイド122の詳細については、第1実施形態に係るソレノイド130の記載を参照するものとして説明を省略する。
【0107】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1Aの制御系について図面を参照して説明する。
図6は本実施形態に係る画像形成装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
【0108】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、図6に示すように、画像の読み取り処理、画像処理、画像形成処理、および用紙Pの搬送処理等をROM(Read Only Memory)55に予め記憶されたプログラムにしたがって中央処理ユニット(CPU)54がRAM(Random access Memory)56等の一時的記憶手段を用いて処理を実行する。
【0109】
尚、ROM55やRAM56に代えてHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶手段を用いることができる。
【0110】
画像形成装置1Aにおいて、スキャナ部22によって読み取った原稿の画像情報(原稿画像データ)、または、図示しない通信ネットワークに繋がれた各端末装置から送信された原稿画像情報は、通信処理部58を介して画像処理部57に入力されるようになっている。
【0111】
画像処理部57は、RAM56等の記憶部に記憶された原稿画像情報を印字(用紙への画像形成)に適した印字用画像に上記のプログラムによって処理するものである。
【0112】
印字用画像情報は画像形成部14に入力される。
画像形成部14、用紙搬送部(用紙搬送路7等において用紙の各種検出・制御を行う。)59、定着ユニット6、排紙処理部(排紙ローラ17において用紙の各種の検出・制御を行う。)60は、各々の駆動制御部62と連動している。
【0113】
用紙搬送部59によって搬送される用紙は、印字工程(画像形成部14においての画像情報の印字処理)と、その後に、その印字処理された用紙に対する定着工程(定着ユニット6)を経て用紙排出部(排紙トレイ9)に排出されるようになっている。
尚、用紙搬送部59には、レジスト前検知スイッチ596や図示しない定着検知スイッチ、および排紙検知スイッチ等の検出信号が入力されるようになっている。
【0114】
レジスト前検知スイッチ596は、レジストローラ15に用紙が到達したか否かを検出するスイッチである。定着検知スイッチは、定着ユニット6に用紙が到達したか否かを検出するスイッチである。排紙検知スイッチは、用紙が排紙された否かを検出するスイッチである。
【0115】
また、画像形成装置1Aには、運転条件設定部77が設けられている。
この運転条件設定部77は、操作スイッチ類76によって使用者が設定した画像形成要求または記録媒体(用紙)の種類等の画像形成条件に応じて、画像形成装置1Aの画像形成、または搬送条件等の運転条件を設定するものである。
【0116】
また、画像形成装置1Aは、設定された前記運転条件にしたがって、読み取り部(スキャナ部22)、用紙搬送部59、画像形成部14、転写機構100、定着ユニット6および排紙処理部60などの駆動用アクチュエータである原稿読み取り駆動部64、用紙搬送駆動部66、反転搬送駆動部67、印字処理駆動部68、転写機構駆動部100A、定着駆動部70、排紙駆動部72及び大容量給紙カセット(用紙供給装置)81の動作、すなわちROM55に記憶されたプログラムに基づくCPU54の指令にしたがって同期した動作処理を行うようになっている。
【0117】
原稿読み取り駆動部64は、スキャナ部22の駆動用アクチュエータである。
用紙搬送駆動部66は、用紙搬送部59、具体的には、上述の用紙搬送路7上の用紙ピックアップローラ8a、レジストローラ15の駆動用モータである。
反転搬送駆動部67は、反転搬送ローラ18やスイッチバックローラ19の駆動用モータである。
印字処理駆動部68は、感光体ドラム3の駆動用モータである。
定着駆動部70は、定着ユニット6の加熱ローラ6aおよび加圧ローラ6bの駆動用モータである。
排紙駆動部72は、排紙ローラ17などの駆動用モータである。
【0118】
これらの各駆動部の駆動用モータは、それぞれ同じまたは異なるモータを駆動源として適宜に動力伝達機構を介して構成できる。
【0119】
転写機構駆動部100Aは、転写ユニット110を感光体ドラム3に対して着脱操作をするためのソレノイド122であり、転写処理工程において転写ベルト103の駆動ローラ101の動作とともに、用紙搬送駆動部66や印字処理駆動部68等の動作に同期して動作処理が行なわれる。
【0120】
また、転写機構駆動部100Aは、図示しない駆動制御部からの指令により、ソレノイド122を構成する通電コイルの温度の変化量と温度特性に基づき該通電コイルの通電を切換えてソレノイド122を駆動するようになっている。
【0121】
さらに、画像形成装置1Aには、オプション構成74として、後処理装置(ステープル、パンチ、複数段排紙トレイ、シフター等々)、自動原稿読み取り装置(自動原稿処理装置1A2等)、大容量給紙カセット81等が配置可能であり、それらオプション構成74は画像形成装置1Aの制御部とは別に各々のオプション構成74内に制御部74aを持ちながら、装置とのタイミング調整を、前記通信処理部58を介して同期するように構成されている。
【0122】
記録媒体検出手段78は、定着ユニット6または搬出部に用紙の先端が到達することを検出するものである。具体的には、記録媒体検出手段78は、用紙搬送路7入り口において用紙を導入するレジストローラ15から用紙が送り出された後の用紙の搬送時間を計測する搬送時間計測手段79aと、このレジストローラ15から制御対象の定着ユニット6および排紙ローラ17のそれぞれまでの距離と用紙の搬送速度に基づき、用紙搬送路7における用紙の搬送タイミングを決定する搬送タイミング決定手段79bとを有している。
【0123】
また、記録媒体検出手段78は、本実施形態では、定着ユニット6および排紙ローラ17のそれぞれに用紙が到達する(突入する)タイミングを、搬送タイミング決定手段79bによって検出した記録媒体の搬送タイミングに基づいて検出するようにしている。
【0124】
排紙処理部60は、搬送ローラ16、排紙ローラ17、反転搬送ローラ18、スイッチバックローラ19による用紙Pの搬送や、各種の検出・制御を行うものである。
【0125】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1Aのソレノイド122の動作についてフローチャートを参照して説明する。
図7は本実施形態に係る画像形成装置の印字処理工程における動作を示すフローチャートである。
【0126】
画像形成装置1Aにより印字処理が行なわれる場合は、図7に示すフローチャートに基づき行なわれる。
まず、印字処理が要求されると(ステップS1)、ベルト接離機構120を構成するソレノイド122への通電を行ない、転写ユニット110を感光体ドラム3に当接させる(ステップS2)。
【0127】
その後、印字処理が実行される(ステップS3)。
そして、次印字の指示があるか否かが判断される(ステップS4)
ステップS4において、次印字の指示が無いと判断された場合は、ベルト接離機構120のソレノイド122への通電を停止して転写ユニット110を感光体ドラム3から離間する(ステップS5)。そして、装置は待機状態となる。
【0128】
一方、ステップS4において、次印字の指示があると判断された場合は、ソレノイド122の温度がソレノイド122の動作可能範囲内か否かが判断される(ステップS6)。
【0129】
ステップS6において、ソレノイド122の温度がソレノイド122の動作可能範囲内であると判断された場合は、丸付き数字1に進み、引き続き印字処理が実行される(ステップS3)。
【0130】
一方、ステップS6において、ソレノイド122の温度がソレノイド122の動作可能範囲内ではないと判断された場合は、通電方向が第1の巻き線部131aから通電されているか否かが判断される(ステップS7)。
【0131】
ステップS7において、通電方向が第1の巻き線部131aから通電されていると判断された場合は、ベルト接離機構120のソレノイド122への通電を第1の巻き線部131aから第2の巻き線部131bに切換える(ステップS8)。そして、丸付き数字1に進み、引き続き印字処理が実行される(ステップS3)。
【0132】
一方、ステップS7において、通電方向が第1の巻き線部131aから通電されていないと判断された場合は、通電方向が第2の巻き線部131bから通電されているか否かが判断される(ステップS9)。
【0133】
ステップS9において、通電方向が第2の巻き線部131bから通電されていると判断された場合は、ベルト接離機構120のソレノイド122への通電を第2の巻き線部131bから第1の巻き線部131aに切換える(ステップS10)。そして、丸付き数字1に進み、引き続き印字処理が実行される(ステップS3)。
【0134】
一方、ステップS9において、通電方向が第2の巻き線部131bから通電されていないと判断された場合は、ステップS7に戻り、再び通電コイル131の通電方向の判定が繰り返し行なわれる。
【0135】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、画像形成装置1Aに本発明に係るソレノイド122を採用することで、ソレノイド122の通電中(運転中)に通電方向を切換えるようにしたので、特定の巻き線部のみが発熱することなくソレノイド122自体の温度上昇を低減でき、これにより、ソレノイド122の機能の低下を抑制して安定した保持力を得ることができるので、感光体ドラム3と転写ベルト103との接離動作を確実にでき、安定した転写と用紙搬送を行なうことができる。これにより、高品位な画像出力を実現できる。
【0136】
尚、本実施形態では、本発明に係るソレノイドの構造を画像形成装置1Aの転写機構100に用いられるソレノイドに適用しているが、本発明は使用する場所や装置に限定されるものではなく、その他の着脱動作などの動作処理を行なう箇所に適用してもよい。
【0137】
また、本発明は、上述した実施形態において説明した画像形成装置に限定されるものではなく、転写機構やそれに類する構成、着脱機構などを有するものであれば、本実施形態とは異なる構成よりなる画像形成装置やその他の装置にも展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係るソレノイドの構造の全体の構成を示す概略図説明図、(b)は前記ソレノイドの構造の動作時の状態を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の変形例を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るソレノイドの構成が採用された画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図4】前記画像形成装置の装置本体の構成を示す部分詳細図である。
【図5】前記画像形成装置を構成する転写機構の構成を示す側面視による説明図である。
【図6】前記画像形成装置の電気制御部の構成をブロック図である。
【図7】前記画像形成装置の印字処理工程における動作を示すフローチャートである。
【図8】(a)は従来のソレノイドの構造の全体の構成を示す概略図説明図、(b)は前記ソレノイドの構造の動作時の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0139】
1A 画像形成装置
3 感光体ドラム
6 定着ユニット
7 用紙搬送路
9 排紙トレイ
14 画像形成部
62 駆動制御部
100 転写機構
100A 転写機構駆動部
110 転写ユニット
120 ベルト接離機構
121 リフトアーム
122,130,230 ソレノイド
131,231 通電コイル
131a 第1の巻き線部(主部巻き線部)
131b 第2の巻き線部(補助巻き線部)
131c 抵抗部
132,232 鉄芯(可動部材)
231a 第1の巻き線部(補助巻き線部)
231b 第2の巻き線部(主部巻き線部)
231c 第3の巻き線部(補助巻き線部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束を発生させる通電コイルと、その通電コイルの磁束によって作用する可動部材を備えたソレノイドの構造において、
前記通電コイルは、複数の巻き線部を備えたことを特徴とするソレノイドの構造。
【請求項2】
前記複数の巻き線部は、連結されていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイドの構造。
【請求項3】
前記複数の巻き線部は、それぞれの巻き線部の抵抗値が異なることを特徴とする請求項1または2に記載に記載のソレノイドの構造。
【請求項4】
前記複数の巻き線部は、それぞれの巻き線部を構成する巻き線の長さが異なることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項5】
前記複数の巻き線部は、連結された巻き線部のうちの通電時の入力側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成されていることを特徴とする請求項2乃至4のうちの何れか一項に記載に記載のソレノイドの構造。
【請求項6】
前記複数の巻き線部は、少なくとも3箇所以上の巻き線部により構成され、連結された巻き線部のうちの両端側の巻き線部の抵抗値が他の巻き線部の抵抗値より小さく構成されていることを特徴とする請求項2乃至4に記載のソレノイドの構造。
【請求項7】
前記通電コイルは、隣接する巻き線部同士の間に該巻き線部より大きい抵抗値を有する抵抗部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項8】
前記通電コイルは、前記複数の巻き線部への通電を切換え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項9】
前記複数の巻き線部は、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材を前記通電コイル内の所定位置に移動して保持する主部巻き線部と、前記通電コイルへの通電時に前記可動部材の前記通電コイル内の所定位置における保持状態を維持する補助巻き線部を含むことを特徴とする請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項10】
前記主部巻き線部は、巻き線部を構成する巻き線の長さが前記補助巻き線部の巻き線の長さよりも長く構成されていることを特徴とする請求項9に記載のソレノイドの構造。
【請求項11】
前記通電コイルの通電の切換えは、連結された主部巻き線部または補助巻き線部の何れの巻き線部側からでも通電可能としたことを特徴とする請求項9または10に記載のソレノイドの構造。
【請求項12】
前記通電コイルの通電の切換えは、前記通電コイルの温度の変化量と前記通電コイルの温度特性に基づき行なわれることを特徴とする請求項9乃至11のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項13】
前記通電コイルは、前記ソレノイドの動作初期状態の時に、前記主部巻き線部に通電されて前記通電コイル内の所定位置で前記可動部材を保持することを特徴とする請求項9乃至12のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項14】
前記通電コイルは、前記主部巻き線部が発熱して所定の温度に到達した時に、前記補助巻き線部側から通電することで該通電コイル内の所定位置で前記可動部材の保持状態を維持することを特徴とする請求項9乃至13のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項15】
前記通電コイルの通電の切換えは、前記ソレノイドに通電されて運転状態の時に繰返して行なうことを特徴とする請求項8乃至14のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造。
【請求項16】
現像剤によって現像剤像が形成される静電潜像担持体を有し該静電潜像担持体の表面の現像剤像を記録媒体に転写する画像形成部と、該記録媒体上に転写された現像剤像を記録媒体に定着させる定着手段と、現像剤像定着処理後の記録媒体を排紙トレイに排出する記録媒体排出手段とを備え、各部処理工程における動作の一部を適宜ソレノイドにより行なうようにした画像形成装置において、
前記ソレノイドの構造として、請求項1乃至15のうちの何れか一項に記載のソレノイドの構造を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−26815(P2008−26815A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202251(P2006−202251)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】