説明

ゾル−ゲル溶液製造装置およびゾル−ゲル溶液製造方法

【課題】実験室規模で得られる所望のゾル−ゲル溶液を大規模で製造するための装置である。
【解決手段】装置200は、攪拌機202を場合により備えた容器201と、ポンプ204と、流動床反応カラム206と、複数の流体配管203a〜203dを備える。流体配管203a、203bは第1の循環ループにおいて、容器201およびポンプ204に接続し、かつ流体配管203a、203b、203c、203dは第2の循環ループにおいて、容器201、ポンプ204および流動床反応カラム206に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゾル−ゲル溶液を製造する装置およびゾル−ゲル溶液を製造する方法に関し、特にゾル−ゲル溶液を製造する装置、ならびにそのようなゾル−ゲル溶液、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を作製する効率的で規模拡大可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体層に関係する用途で使用されるとき、ゾル−ゲル反応成分および任意の添加物は通常の感光体層材料と混合される。ゾル−ゲル反応成分の加水分解はコーティング溶液中その場で(in situ)起こる。コーティング後、工程で使用した溶媒は蒸発し、所望の薄いフィルムが生成する。ゾル−ゲル反応成分の縮合は加熱乾燥中にその場で起こり、有機−無機相互侵入網目(interpenetrating network)が形成され、それが予想外に良好な耐摩耗性、欠失抑制およびその他の利点を与える。
【0003】
しかしながら、例えばこれらのシロキサン含有材料を製造するためのゾル−ゲル調合は、大きな体積変化が起こり得る工程を含み得る。そのような問題は、ゾル−ゲル工程を、実験室規模を超えて拡大させることを困難にする。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,265,990号明細書
【特許文献2】米国特許第6,730,448号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0086794号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0136348号明細書
【特許文献5】特開昭57−128344号公報
【特許文献6】特公昭60−022347号公報
【特許文献7】特開昭63−065449号公報
【特許文献8】特開平04−015659号公報
【特許文献9】特公平05−047104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、実験室規模で得られる電気的および物理的性質を有する所望のゾル−ゲル溶液を大きな規模で製造するゾル−ゲル溶液を製造するための改良された高効収率で規模拡大可能な装置ならびに方法に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゾル−ゲル溶液製造装置であって、攪拌機を場合により備えた容器と、ポンプと、流動床反応カラムと、複数の流体配管と、を備え、前記流体配管は第1の循環ループにおいて容器およびポンプに接続し、かつ前記流体配管は第2の循環ループにおいて容器、ポンプおよび流動床反応カラムに接続している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本開示は、反応物を第1のループに通して循環させて完全に混合することができ、次に反応物を反応させる触媒作用のある固体状材料を有する流動床反応カラムを含む第2のループに通して循環させることができるゾル−ゲル溶液製造装置を提供する。
【0008】
典型的な装置は、容器であって、場合により攪拌機を含む容器と、ポンプと、流動床反応カラムと、複数の流体配管と、を備えるゾル−ゲル溶液の製造装置であって、第1の循環ループにおいて流体配管が容器およびポンプと接続し、第2の循環ループにおいて流体配管が容器、ポンプおよび流動床反応カラムと接続している装置を含む。
【0009】
典型的な工程は、攪拌機を場合により備えた容器と、ポンプと、上部と本体と下部とを有する流動床反応カラムと、複数の流体配管と、を備えた装置であって、流体配管が第1の循環ループにおいて容器およびポンプに接続しており、かつ流体配管は第2の循環ループにおいて容器、ポンプおよび流動床反応カラムに接続しており、上部と本体とは第1の流体透過性膜によって分離されており、下部はコネクタにより流体配管に接続し、下部とコネクタとは第2の流体透過性膜によって分離されており、本体は第1の流体透過性膜または第2の流体透過性膜に透過性でない固体状酸触媒を含む装置を準備するステップと;容器にゾル−ゲル前駆体材料を供給するステップと;ゾル−ゲル前駆体材料、水およびメタノールを、場合により溶媒を加えて混合するステップと;混合物を第1の循環ループに通して循環させるステップと;混合物を第2の循環ループに通して循環させてゾル−ゲル前駆体材料を固体状酸触媒と接触させることによりゾル−ゲル前駆体材料を反応させるステップと、を含む。
【0010】
例えば、シロキサン含有材料を製造するためのゾル−ゲル調合(sol-gel formulations)は、少なくとも1つのケイ素含有材料を含む成分材料(component materials)を組み合わせるステップと、ケイ素置換基をより反応性の置換基に交換するステップと、成分材料を重合させるステップと、反応系を安定化させるステップと、を含むことができる多段階工程を必要とすることが知られている。実験室規模では、そのような工程は、起こり得るいかなる体積変化にも対応するように選択した反応容器中で実施される。しかしながら、拡大した規模では、非常に大きい反応容器を使用することにより、または反応混合物を容器間で移動させることにより大きな体積変化に対応することは、費用がかかり困難になることがある。
【0011】
本開示はゾル−ゲル溶液調合のための規模拡大可能な装置およびシステムならびにそのような装置およびシステムを使用してゾル−ゲル溶液を製造する方法を提供する。実施の形態の装置および工程はゾル−ゲル系一般に応用可能であるが、しかしながら、典型的目的として、本明細書で開示する特別の実施の形態を感光体層およびそれらの作製に関して記載する。特に、本開示は任意のゾル−ゲル溶液を作製するのに適した流動床反応カラムを利用する新規な装置に関する。流動床反応カラムを利用する典型的な装置を最初に説明して、次にそのような装置を利用するゾル−ゲル工程を説明することにする。
【0012】
実施の形態において、装置は攪拌手段、ポンプ、場合により熱交換器、流動床反応カラムおよび流体配管を含む容器を備える。図4に示すような典型的な装置は、流体および反応物を、この装置を通して循環させることができるように2つ以上の循環ループを入れるように構築することができる。例えば、適当な装置200は、容器内に攪拌手段202を有する容器201を含む。容器201は、ポンプ204を含み、場合により熱交換器205に接続する流体配管203aに接続している。次に熱交換器205は容器201に接続する別の流体配管203bに接続している。これが第1の循環ループの定義である。装置200の第2の循環ループは、容器201、流体配管203a、ポンプ204、場合により熱交換器205および流体配管203bを含む。それに加えて、第2の循環ループは、流体配管203cを含み、それが流体配管203bおよび流動床反応カラム206に接続し、次にカラム206は流体配管203dを介して流体配管203bおよび容器201に接続している。
【0013】
典型的な装置において、図5に示すような流動床反応カラム206は、通常(円)筒形の形状(cylindrical shape)を有する本体207と、実質的に円錐形の下部と、を有する。この下部は実質的に円錐形を有し、本体207内での固体状材料の流動化を可能にする。この下部は切り取ることができ、本体207を流体配管203cに接続するコネクタ208、および下部とコネクタ208との間に網(screen)または膜211を備えることができる。本体207は、本体207を流体配管203dに接続する上部および本体207と上部209との間に付け加えられた網または膜212をも含むことができる。本体207は下方の窓210aおよび/または上方の窓210bを含むことができ、窓を通して流動床反応カラム206内の反応および該カラムを通る流れを観察できる。
【0014】
典型的な装置では、本体207の下部は、形状が実質的に(円)筒(cylindrical)および/または実質的に円錐である部分を有することができる。実施の形態において、本体207の下部は、円錐形の突出した頂点における角度が約30から90°または約40から約60°など、約1から約175°である円錐形の切断された形を有することができる。
【0015】
典型的な装置では、本体207の上部209は、実質的に円錐の形状を有することができる。実施の形態において、実質的な円錐形は、円錐形の突出した頂点における角度が約45から160°または約60から約115°など、約1から約175°である円錐の切断された形であってよい。
【0016】
典型的な装置では、網または膜211、212は装置中で使用する流体に対して透過性である;すなわち、網または膜211、212は流体および流体に溶解した材料を網または膜211、212を通して流動させる。しかしながら、網または膜211、212は、固体材料および流体に溶解していない材料に対しては透過性でない;そのような固体材料および流体に溶解していない材料は網または膜211、212を通過できない。
【0017】
典型的な装置では、流動床反応カラム206は、本体207中に1つ以上の固体状材料を含むことができる。そのような固体状材料は網または膜211、212を通過できない。実施の形態において、固体状材料はゾル−ゲル反応系に有用な固体状触媒であってよい。
【0018】
実施の形態においては、装置200の第1の循環ループは、流動床反応カラム206中のいかなる固体状材料にも反応物を曝すことなく循環させることができる。このように、反応物は完全に混合されて、流動床反応カラム206を通過することなく第1の循環ループを通って循環することができる。典型的な実施の形態の装置の、第2の循環ループは、流動床反応カラム206に通して反応物を循環させ、流動床反応カラム206中に入れておくことができる触媒などの任意の固体状材料と接触させる。
【0019】
実施の形態において、流動床反応カラム206は、流体流量により変化し得る膨張を伴って固体状材料が流動床カラムを形成するような形状寸法を有することができる。例えば実施の形態において、固体状材料は、流体の流量が約3.3L/minであるとき、元の体積の約3倍に膨張する流動床カラムを形成できる。本開示の実施の形態は、各固体状粒子が最も近接する固体状粒子と殆どもしくはまったく接触しない固体状材料の「希薄な(lean)」膨張、または各固体状粒子が最も近接する1つ以上の固体状粒子と直接物理的に接触する固体状材料の「緻密な(dense)」膨張を生ずる流量における変化を含む。詳細な実施の形態においては、流量を固体状材料の「希薄な」膨張を生ずるように調節することができる。
【0020】
ゾル−ゲル製造の工程において、固体状材料を流動床反応カラム206に供給することができる。適当な固体状材料は流動可能な粉末状材料または顆粒状材料であり、そのような固体状材料を多数のゾル−ゲル調合物を製造するために使用することができる。
【0021】
実施の形態において、固体状材料には、酸触媒、塩基触媒、および表面に物理的または化学的に吸収された化学元素を含み、これらの(酸性または塩基性の性質を有することができる)化学元素が水の存在下に反応性シロキサン材料の加水分解および縮合を起こさせる固体状触媒が含まれる。そのような固体状触媒は、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)によりAMBERLYSTの商標で販売されているものなどの有機触媒、または当業者により同定可能であると思われるある種の粘土および/またはゼオライトなどの無機触媒であってよい。適当な固体状触媒として、既知のまたは今後開発されるいかなる固体状触媒も使用することができる。適当な固体状触媒には、AMBERLYST(ローム・アンド・ハース)の商標で市販のものなどのイオン交換樹脂が含まれる。存在する触媒の量を変えることにより、当業者は実施の形態のゾル−ゲル工程における反応の反応速度を調節することができるであろう。
【0022】
典型的な装置200などの装置で実施されるゾル−ゲル製造工程においては、ゾル−ゲル前駆体材料を容器201に導入することができる。適当な前駆体ゾル−ゲル材料としては、既知のまたは今後開発される所望の材料を使用することができる。適当なゾル−ゲル前駆体材料には、反応性シロキサン含有正孔輸送材料および反応性シロキサン含有バインダ材料、およびゾル−ゲル溶液で使用される他の化合物ならびにそれらの混合物が含まれる。実施の形態において、バインダ材料は反応性シロキサン含有材料であってよく、4価のケイ素原子の周囲に2つから4つの間の反応性アルコキシ残基と残る原子価含有炭化水素残基を含むことができる。実施の形態において、ゾル−ゲル前駆体材料には、1つ以上の反応性シロキサン含有正孔輸送材料および1つ以上の反応性シロキサン含有バインダ材料が含まれる。
【0023】
実施の形態において使用するための適当な反応性シロキサン含有バインダ材料には、芳香族シラン化合物すなわち1つ以上の芳香族基であるかまたはそれを含む連結基(linking group)により分離された1つ以上のシラン基を有する化合物などの芳香族ケイ素含有化合物が含まれる。例えば、芳香族ケイ素含有化合物は一般に次の式(I)により表される:
【0024】
Ar−[X−L−SiR(OR’)3−n (I)
【0025】
式(I)において、Arは芳香族基を表し、1つ以上のフェニル基を有することができる。Arの適当な例には以下に示す構造式(II−1)から(II−44)までが挙げられるが、これらに限定はされない:
【0026】
【化1】


【0027】
式(I)において、Xは2価/3価の基を表す。Xの適当な例には、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、オキシカルボニル基(−COO−)、チオカルボニル基(−COS−)、カルバメート基(−OCO−NH−)、イミド基(−CO−NH−OC−)、アミド基(CO−NH−)、カーボネート基(−OCOO−)等またはこれらの2つ以上が組み合わされた2価の基が挙げられるが、これらに限定はされない。Lは2価の連結基を表す。Lの適当な例には、−C2m−、−C2m−2−、−C2mm−4−(mは1から約15まで、例えば2から約10までなどの整数)、−CH−C−もしくは−C−C−により表される2価の炭化水素基、またはそれらの2つ以上を組み合わせた2価の基が挙げられる。2価の基Lは、場合により側鎖にアルキル基、フェニル基、アルコシキル基またはアミノ基などの置換基を有していてもよい。Rは、水素原子、低級アルキル基またはアリール基を表す。R’は、低級アルキル基を表す。さらに、nは整数で0、1または2であることができ、mは1から10まで、例えば1から5までなどの整数であることができる。
【0028】
反応性シロキサン含有化合物の典型的な例には化合物(III)〜(V)などの化合物が挙げられる:
【0029】
【化2】

【0030】
【化3】

【0031】
【化4】

【0032】
実施の形態において、反応性シロキサン含有バインダ材料は、反応物の全重量を基準にして約0.01から約99重量%、または約5から約20重量%の量で反応させることができる。しかしながら、実施の形態の装置は、ゾル−ゲル材料の非常に希薄な溶液またはシロキサン材料の非常に濃厚なもしくは無溶媒の混合物を製造するために使用することができるので、反応性シロキサン含有バインダ材料の量は広範囲に変わり得ることに注意すべきである。
【0033】
実施の形態において使用するための適当な反応性シロキサン含有正孔輸送分子には、例えば化合物(VI)等などのケイ素含有アリールアミン化合物が含まれる。
【0034】
【化5】

【0035】
実施の形態において、反応性シロキサン含有正孔輸送分子は、反応物の全重量を基準にして約5から約50重量%、または約10から約15重量%の量で使用できる。
【0036】
さらに、それに加わるゾル−ゲル前駆体材料には、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシリルイソブチル−POSS(POSSはポリヘドラルオリゴマーシルセスキオキサンである)、オクタ(トリクロロシリルエチル)−POSS等などのアルキルトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン(「TMOS」)、テトラエトキシシラン(「TEOS」)、およびケイ酸エチル40、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラブトキシシラン、等などのTEOSのオリゴマー縮合物などのテトラアルコキシシランを含む実施の形態で使用するのに適したアルコキシシリルまたはヒドロキシシリル基を含む既知の化合物が含まれる。他のシロキサン化合物には、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、ジエトキシジクロロシラン、トリエトキシクロロシラン等が含まれる。他の適当な前駆体ゾル−ゲル材料には、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン酸ジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート(diisopropoxybisethylacetoacetato titanate)、チタン酸トリエタノールアミン、ジルコン酸トリエタノールアミン、アルミニウムsec−ブトキシド等が含まれる。
【0037】
実施の形態において、付け加えるゾル−ゲル前駆体材料は、反応物の全重量を基準にして約0.01から約100重量%、または約5から約20重量%の量で使用できる。
【0038】
ゾル−ゲル前駆体材料は、完全な混合を確実にするために一緒に攪拌することができる。ゾル−ゲル前駆体材料の完全な混合は任意の適当な溶媒または溶媒の混合物中で実施することができる。例えば、適当な溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパノール等などのアルコール;ヘキサン、デカン等などのアルカン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等などのエーテル;トルエン、キシレン、ベンゼン等などの芳香族溶媒;およびそれらの混合物が含まれる。特定の溶媒または溶媒の混合物の選択は、出発材料および最終生成物の溶解性に基づいて決定することができ、当業者にとって直ちに明らかであるかまたは日常的な実験の範囲内であろう。
【0039】
実施の形態のゾル−ゲル前駆体混合物が完全に混ぜ合わされた後で、水およびメタノールもしくは他の追加の溶媒を容器201に加えることができる。実施の形態では、水とメタノールまたは他の共溶媒(cosolvent(s))との比率を、所望の溶液粘度および所望の重合度に基づいてそれぞれ決定することができる。これらの量を決定するための実験方法は当業者には自明であろう。
【0040】
ゾル−ゲル前駆体混合物、水およびメタノールを、攪拌手段202によって容器201中で一緒にして攪拌して、完全な混合を確実にするために第1の循環ループに通して循環させる。反応混合物が完全に一体化した後、反応混合物が第2の循環ループを通って循環するように循環様式を変更することができる。反応混合物を第2の循環ループに通して流すことにより、ゾル−ゲル前駆体材料、メタノールおよび水が流動床反応カラム206中で固体状触媒と接触させられる。
【0041】
温度は実施の形態における触媒反応に影響を及ぼし得る。適当な反応温度は所望の重合度に基づいて選択することができる。存在する水の配合および量を考慮に入れて、温度が高いほど重合度が高くなることは当業者には自明であろう。所望の重合度を決定する実験法も当業者には自明であろう。
【0042】
実施の形態においては、所望のオリゴメリゼーション率が得られるまで反応混合物を、第2の反応ループ(循環ループ)を通して循環させる。オリゴメリゼーション率は、反応系から採取した試料の気相クロマトグラフィーに基づいて、存在するモノマー様ゾル−ゲル前駆体成分の量と存在するオリゴマー様成分の量とを比較することによって決定する。実施の形態においては、反応混合物を第2の循環ループに通して循環させ、(モノマー様成分):(オリゴマー様成分)のオリゴメリゼーション率が約1:1となるまで、反応を継続させる。この比はゲル浸透クロマトグラフィーなどの標準的実験技法によって測定することができる。任意の所望のオリゴマー率のゾル−ゲル材料を製造するためにこの装置を使用することができること、ならびにオリゴマー率が水の量、装置中の時間および装置の温度に依存するであろうこと、ならびに所望のオリゴマー率が製造される溶液の所望溶液粘度を含む多くの要因に依存するであろうことは当業者には自明であろう。
【0043】
オリゴメリゼーション率が得られた後、循環様式を再び変更して、反応混合物を容器201に戻す。このとき、追加のゾル−ゲル層成分を添加することができる。追加のゾル−ゲル層成分は安定剤、抗酸化剤、ポリマーバインダ材料および界面活性剤を含むことができる。
【0044】
実施の形態においては、1つ以上の安定剤を添加することができる。例えば、適当な安定剤には、アルミニウム(III)アセチルアセトナート(Al(AcAc))、アセチルアセトナート(AcAc)およびそれらの混合物が含まれるが、他の既知のおよび今後発見される安定剤を実施の形態で使用することができる。
【0045】
実施の形態において、1つ以上の抗酸化剤を添加することができる。適当な抗酸化剤には、立体障害のあるフェノール(hindered-phenol)、立体障害のあるアミン、チオエーテルまたはホスファイトを部分構造に有する抗酸化剤が含まれる。これは環境が変化したときの性能安定性および画質の改良に有効である。抗酸化剤には、立体障害のあるフェノール、立体障害のあるアミン、チオエーテルまたはホスファイトを部分構造に有する抗酸化剤が含まれる。これは環境が変化したときの性能安定性および画質の改良に有効である。例えば、立体障害のあるフェノール抗酸化剤には、SUMILIZER BHT−R、SUMILIZER MDP−S、SUMILIZER BBM−S、SUMILIZER WX−R、SUMILIZER NW、SUMILIZER BP−76、SUMILIZER BP−101、SUMILIZER GA−80、SUMILIZER GMおよび SUMILIZER GS(上記は住友化学(株)(Sumitomo Chemical Co., Ltd.)により製造されている)、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1098、IRGANOX 1135、IRGANOX 1141、IRGANOX 1222、IRGANOX 1330、IRGANOX 1425WLj、IRGANOX 1520Lj、IRGANOX 245、IRGANOX 259、IRGANOX 3114、IRGANOX 3790、IRGANOX 5057およびIRGANOX 565(上記はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)により製造されている)、およびADECASTAB AO−20、ADECASTAB AO−30、ADECASTAB AO−40、ADECASTAB AO−50、ADECASTAB AO−60、ADECASTAB AO−70、ADECASTAB AO−80およびADECASTAB AO−330i(上記は旭電化(株)(Asahi Denka Co., Ltd.)により製造されている)が含まれる。立体障害のあるアミン抗酸化剤には、SANOL LS2626、SANOL LS765、SANOL LS770、SANOL LS744、TINUVIN 144、TINUVIN 622LD、MARK LA57、MARK LA67、MARK LA62、MARK LA68、MARK LA63およびSUMILIZER TPSが含まれる。ホスファイト抗酸化剤には、MARK 2112、MARK PEP・8、MARK PEP・24G、MARK PEP・36、MARK 329KおよびMARK HP・10が含まれる。これらの内、立体障害のあるフェノールおよび立体障害のあるアミンの抗酸化剤は、実施の形態において特に適当であり得る。
【0046】
実施の形態において、ポリマーバインダは、ケイ素含有層の形成のために使用するコーティング溶液中の液体成分に可溶な樹脂であってよい。そのような液体成分に可溶な樹脂は液体成分の種類に基づいて選択することができる。例えば、コーティング溶液がアルコール系溶媒を含んでいれば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂またはブチラールが部分的にホルマールもしくはアセトアセタールで変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロースなどのセルロース樹脂、およびフェノール樹脂が、アルコール可溶性樹脂として適切に選択できる。これらの樹脂は単独でも、または2種以上の樹脂の組合せとしても使用できる。実施の形態においては、上記樹脂の中で、ポリビニルアセタール樹脂が電気的性質の点から見て特に好適である。
【0047】
実施の形態において、ポリマーバインダ成分の重量平均分子量は、約2,000から約1,000,000、例えば約5,000から約50,000などであればよい。重量平均分子量が約2,000未満のときは、放出ガス耐性(discharge-gas resistance)、機械的強度、耐摩耗性、粒子分散性その他の強化が不十分になる傾向がある。しかしながら、重量平均分子量が約1,000,000を超えると、コーティング溶液中の樹脂の溶解性が低下して、コーティング溶液に加える樹脂の量が制限され、その結果フィルム形成が不良になる可能性がある。
【0048】
さらに、ポリマーバインダの量は、実施の形態において、コーティング溶液の全量を基準にして、約0.1から約15重量%、または約0.5から約10重量%にすることができる。加える量が0.1重量%未満であるときは、放出ガス耐性、機械的強度、耐摩耗性、粒子分散性その他の強化が不十分になる傾向がある。しかしながら、ポリマーバインダの量が約15重量%を超えると、本開示の電子写真感光体を高温および高湿で使用したときに画像形成が不明瞭になる傾向がある。
【0049】
実施の形態において、1種以上の界面活性剤を添加することができる。適当な界面活性剤には、例えば、ポリエチレングリコール界面活性剤、ポリエチレングリコール基をグラフトしたポリジメチルシロキサン界面活性剤、およびFLUOROLINK S−10として市販されている界面活性剤などの末端反応性(terminal reactive)アミノプロピルシロキサン残基を有するペルフルオロポリエチレングリコール界面活性剤が含まれるが、他の既知のおよび今後発見される界面活性剤を実施の形態で使用することができる。
【0050】
オリゴマー化した反応混合物および任意の添加成分を配合したならば、ゾル−ゲル工程により生成したポリマーゲルを所望の基材に適用し、加熱によりゆっくりと乾燥させてアルコールなどの揮発性成分を蒸発させる。急速な乾燥は不均一なゲル収縮を生じさせてその結果ひび割れの原因になるおそれがあるので、アルコゲルの乾燥は、ゆっくりと起こさせなければならない。
【0051】
実施の形態の装置および工程によって製造されるゾル−ゲル溶液およびゾル−ゲル層は、感光体層の製造を含むいかなる既知のおよび今後開発されるゾル−ゲル応用にも使用することができる。典型的な電子写真画像形成部材をここでさらに詳細に説明することにする。
【0052】
実施の形態の電子写真感光体において、この感光体は、アンダーコート層、電荷発生層、電荷輸送層、オーバーコート層等など種々の層を含むことができる。実施の形態のオーバーコート層はケイ素化合物含有層にすることができ、この層は上記のゾル−ゲル工程により形成した層にすることができる。
【0053】
例えば、電子写真感光体の実施の形態の汚染付着耐性および潤滑性をさらに改良するために、種々の粒子をケイ素化合物含有層に添加することもできる。粒子は、単独でも2種以上のそのような粒子の組合せとしても、いずれでも使用することができる。粒子は限定されないが、例えば構成元素としてケイ素を含む粒子などのケイ素含有粒子が挙げられ、特にコロイダルシリカおよびシリコーン粒子が挙げられる。実施の形態のケイ素含有層中のシリコーン粒子の含有率は、ケイ素含有層の全固体含有量を基準にして、0.1から20重量%の範囲内、または0.5から10重量%の範囲内であってよい。
【0054】
本開示におけるケイ素含有粒子として実施の形態で使用するコロイダルシリカは、1から100nm、または10から30nmの平均粒子サイズを有する粒子の酸性またはアルカリ性水分散液、およびアルコール、ケトンまたはエステルなどの有機溶媒中の粒子分散液から選択され、一般に市販の粒子を使用することができる。
【0055】
実施の形態の電子写真感光体の表面層中にあるコロイダルシリカの固体含有率に特別の制限はない。しかしながら、実施の形態では、フィルム形成特性、電気的特性および強度の点から、コロイダルシリカは、表面層の全固体含有量を基準にして、約1から約50重量%、例えば約5から約30重量%などの量で含まれていてよい。
【0056】
本開示においてケイ素含有粒子として使用するシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子およびシリコーンで表面処理したシリカ粒子から選択することができ、それらは球形であって約1から500nm、例えば約10から約100nmなどの平均粒子サイズを有し、一般に市販粒子を実施の形態で使用することができる。
【0057】
実施の形態において、シリコーン粒子は化学的に不活性で樹脂中における分散性に優れている小サイズの粒子であり、さらに満足な性質を得るために必要な含有率が低い。したがって、電子写真感光体の表面特性は架橋反応を阻害せずに改良することができる。すなわち、シリコーン粒子は強い架橋構造に組み込まれて電子写真感光体表面の潤滑性および撥水性を改良し、その結果該表面は良好な耐摩耗性および汚染付着耐性を長期間維持することができる。実施の形態のケイ素化合物含有層中のシリコーン粒子含有率は、ケイ素化合物含有層の全固体量を基準にして、約0.1から約20重量%、例えば約0.5から約10重量%などであればよい。
【0058】
実施の形態で使用できる他の粒子には、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニルおよびフッ化ビニリデンなどのフッ素系粒子、ならびにZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnOおよびMgOなどの金属酸化物半導体(semiconductive metal oxide(s))が含まれる。
【0059】
在来の電子写真感光体においては、上記の粒子が感光層中に含まれるときに、粒子の電荷輸送物質または結着樹脂との適合性が不十分になることがあり、それが感光層における層分離、およびその結果である不透明なフィルムの生成の原因になる。結果として、電気的特性がある程度劣化していた。対照的に、実施の形態のケイ素化合物含有層は、この層の形成に使用するコーティング溶液中の液体成分に可溶の樹脂およびケイ素化合物を含むことができ、それによりケイ素化合物含有層中における粒子の分散性を改良する。したがって、コーティング溶液の可使時間(ポットライフ)を十分に延長することができ、かつ電気的特性の劣化を防止することができる。
【0060】
さらに、可塑剤、表面改質剤、抗酸化剤、または光による劣化の防止剤などの添加物を、実施の形態のケイ素化合物含有層中に使用することもできる。限定するものではないが、実施の形態で使用できる可塑剤の例には、例えば、ビフェニル、ビフェニルクロリド、テルフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチレングリコール、フタル酸ジオクチル、トリフェニルリン酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよび種々のフッ化炭化水素(fluorohydrocarbon(s))が挙げられる。
【0061】
ケイ素含有層の厚さに制限はないが、しかし実施の形態において、ケイ素含有層は厚さが約2から約5μm、例えば約2.7から約3.2μmなどでよい。
【0062】
実施の形態の電子写真感光体は、具体的な実施の形態の電子写真感光体が上記のケイ素化合物含有層を備えた感光層を有する限り、電荷発生物質(電荷発生層)を含む層と電荷輸送物質(電荷輸送層)を含む層とが別に提供される機能分離型感光体か、または電荷発生層と電荷輸送層の両者が同一層内に含まれる単層型感光体のいずれであってもよい。機能分離型感光体を例にして、電子写真感光体を下でさらに詳細に説明することにする。
【0063】
図1は、本開示の電子写真感光体の実施の形態を概念的に示す断面図である。図1に示した電子写真感光体1は電荷発生層13および電荷輸送層14を別々に備えた機能分離型感光体である。すなわち、基層12、電荷発生層13、電荷輸送層14および保護層15が導電性支持体11上に積層されて感光層16を形成している。保護層15はこの層の形成に使用されたコーティング溶液に含まれた液体成分に可溶の樹脂とケイ素化合物とを含む。図1に示した感光体の種々の層は、一般に知られていて、自己の米国同時係属出願においても詳細に説明してある。
【0064】
実施の形態の電子写真感光体は上記の構成に限定されると解すべきではない。例えば図1に示した電子写真の感光体は保護層15を備えている。しかしながら、電荷輸送層14がこの層の形成に使用したコーティング溶液中の液体成分に可溶の樹脂およびケイ素化合物を含むとき、電荷輸送層14は、保護層15を使用せずに表面層(支持体11から最も離れた側にある層)として使用することができる。この場合、電荷輸送層14に含まれる電荷輸送物質は、電荷輸送層14の形成に使用したコーティング溶液中の液体成分に可溶であることが望ましい。例えば、電荷輸送層14の形成に使用したコーティング溶液がアルコール溶媒を含むとき、触媒的(水素)移動(catalytic transfer)による選択的水素化(selective hydrogenation)を含む工程により製造したアリールアミン誘導体を含む上述のケイ素化合物は電荷移動物質として使用することができる。
【0065】
図2は画像形成装置または電子写真機の実施の形態を示す概略図である。図2に示した装置において、電子写真感光体1は支持体9により支持されており、矢印により示した方向へ支持体9を中心にして指定された回転速度で回転できる。帯電器2、露光器3、現像器4、転写器5およびクリーニングユニット7が、電子写真感光体1の回転方向にこの順で配列している。さらに、この典型的装置は画像定着器6を備え、トナー像が転写されるべき媒体Pが、転写器5を通って画像定着器6に運ばれる。
【0066】
図3は画像形成装置の別の典型的な実施の形態を示す断面図である。図3に示した画像形成装置220は中間転写系の画像形成装置であり、4つの電子写真感光体401aから401dまでが筺体400中の中間転写ベルト409に沿って互いに平行に配置されている。
【0067】
図中、画像形成装置220により保持されている電子写真感光体401a〜401dは各々電子写真感光体である。電子写真感光体401a〜401dの各々は所定の方向に回転することができ(図3のシート上で反時計方向)、帯電ロール402a〜402d、現像器404a〜404d、1次転写ロール410a〜410dおよびクリーニングブレード415a〜415dは、各々それら感光体の回転方向に沿って配置されている。現像器404a〜404dの各々の中で、トナーカートリッジ405a〜405d中に含まれる黄(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および黒(B)の4色のトナーを供給することができ、1次転写ロール410a〜410dは各々、中間転写ベルト409を挟んで電子写真感光体401a〜401dと当接させられる。
【0068】
さらに、レーザー光源(露出ユニット)403が筐体400中の所定の位置に配置されており、電子写真感光体401a〜401dの表面を帯電させた後、レーザー光源403から放射されたレーザー光で照射することが可能である。これで、帯電、露出、現像、1次転写およびクリーニングのそれぞれのステップが、電子写真感光体401a〜401dの回転ステップで順に実施され、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト409上に次々と転写される。
【0069】
中間転写ベルト409は、駆動ロール406、バックアップロール408およびテンションロール407により所定の張力で支持され、偏位(deflection)を起こさずにこれらのロールの回転により回転できる。さらに、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を挟んでバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通過した中間転写ベルト409はクリーニングブレード416により浄化されてから、それに続く画像形成工程に繰り返しかけられる。
【0070】
さらに、トレイ(トナー像を転写する媒体のためのトレイ)411が筐体400中の所定の位置に備えられている。トレイ411中にあるトナー像を転写すべき媒体(紙など)は、中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらに互いに当接している2つの定着ロール414の間を順に搬送ロール412により運ばれ、次に筐体400から外へ送り出される。
【0071】
図3に示した典型的な画像形成装置220によって、実施の形態の電子写真感光体を電子写真感光体401a〜401dとして使用すれば、電子写真感光体401a〜401dの各々による画像形成工程において、放出ガス耐性、機械的強度、耐摩耗性その他を十分高いレベルで得ることができる。したがって、感光体を接触帯電器またはクリーニングブレード、またはさらに化学的重合により得た球状トナーと一緒に使用するときでも、かぶりなどの像欠陥が起こらずに良好な画質を得ることができる。したがって、この実施の形態などの中間転写体を使用するカラー画像形成用の画像形成装置によっても、長期間良好な画質を安定的に提供できる画像形成装置が実現される。
【0072】
本開示が上記実施の形態に限定されるものと解すべきではない。例えば、図2または図3に示した各装置は電子写真感光体1(または電子写真感光体401a〜401d)および帯電器2(または帯電器402a〜402d)を含むプロセスカートリッジを備えることができる。そのようなプロセスカートリッジの使用により、実施すべき保守がより簡単にかつ容易になる。
【0073】
さらに、実施の形態において、コロトロン帯電器などの非接触帯電系の帯電器を接触帯電器2(または接触帯電器402a〜402d)の代わりに使用するとき、十分良好な画質を得ることができる。
【実施例】
【0074】
<実施例1〜4>
1リットル(L)設備におけるゾル−ゲル溶液の製造
攪拌手段を備えた1L容器、ポンプ、熱交換器、0.33Lの容量を有する流動床反応カラムならびに2つの循環ループ中の容器、ポンプ、熱交換器および流動床反応カラムを接続する流体配管を備える装置を準備した。この装置の第1の循環ループには、容器、ポンプへの流体配管、熱交換器への流体配管、および容器へ戻す接続の流体配管が含まれる。この装置の第2の循環ループには、容器、ポンプへの流体配管、熱交換器への流体配管、流動床反応カラムに接続する流体配管および容器に接続するもう1本の流体配管が含まれる。流動床反応カラムは、固体状酸触媒であるAMBERLYST H−15を7.22グラム含むものである。
【0075】
[実施例1]化合物(III)を含むゾル−ゲル溶液
容器に、84.48グラムの化合物(III)、72.24グラムのメタノール、265.31グラムのn−ブタノールおよび32.31グラムの水を充填する。この溶液を完全に混合して、第1の循環ループを循環させた。その後この反応混合物を、第2の循環ループを循環させて、300mL/minの流量および約22.5℃の温度で触媒と接触させた。4〜6時間後、反応混合物を容器に戻すように循環経路を変更した;1.182グラムのアルミニウム(III)アセチルアセトナート、1.182グラムの2,4−ペンタンジオン、13.135グラムのポリビニルブチラール(polyvinylbutyrol)、1.182グラムの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、1.714グラムの抗酸化剤IRGANOX−259および0.09グラムのFLUOROLINK S−10を加えた;生成した混合物を攪拌して均質化させた。
【0076】
[実施例2]化合物(IV)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を84.48グラムの化合物(IV)で置き換えた以外は実施例1にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【0077】
[実施例3]化合物(V)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を84.48グラムの化合物(V)で置き換えた以外は実施例1にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【0078】
[実施例4]化合物(IV)および化合物(VI)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を80.04グラムの化合物(VI)および43.66グラムの化合物(IV)を含む混合物で置き換えた以外は実施例1にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【0079】
<実施例5〜8>
6L設備におけるゾル−ゲル溶液の製造
攪拌手段を備えた12L容器、ポンプ、熱交換器、2Lの容量を有する流動床反応カラムならびに2つの循環ループ中の容器、ポンプ、熱交換器および流動床反応カラムを接続する流体配管を備える装置を準備した。この装置の第1の循環ループには、容器、ポンプへの流体配管、熱交換器への流体配管、および容器へ戻す接続の流体配管が含まれる。この装置の第2の循環ループには、容器、ポンプへの流体配管、熱交換器への流体配管、流動床反応カラムに接続する流体配管および容器に接続するもう1本の流体配管が含まれる。流動床反応カラムは固体状酸触媒であるAMBERLYST H−15を80.03グラム含む。
【0080】
[実施例5]化合物(III)を含むゾル−ゲル溶液
容器に、934.60グラムの化合物(III)、751.85グラムのメタノール、2761.33グラムのn−ブタノールおよび336.28グラムの水を充填する。この溶液を完全に混合して、第1の循環ループを循環させた。その後この反応混合物を、第2の循環ループを循環させて、2L/minの流量および約22.5℃の温度で触媒と接触させた。4〜6時間後、反応混合物を容器に戻すように循環経路を変更した;12.30グラムのアルミニウム(III)アセチルアセトナート、12.30グラムの2,4−ペンタンジオン、136.70グラムのポリビニルブチラール、12.30グラムの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、17.84グラムの抗酸化剤IRGANOX−259および0.94グラムのFLUOROLINK S−10を加えた;生成した混合物を攪拌して均質化させた。
【0081】
[実施例6]化合物(IV)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を934.60グラムの化合物(IV)で置き換えた以外は実施例5にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【0082】
[実施例7]化合物(V)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を934.60グラムの化合物(V)で置き換えた以外は実施例5にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【0083】
[実施例8]化合物(IV)および化合物(VI)を含むゾル−ゲル溶液
化合物(III)を800.36グラムの化合物(VI)および436.56グラムの化合物(IV)を含む混合物で置き換えた以外は実施例5にしたがって、ゾル−ゲル溶液を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】電子写真感光体の実施の形態を示す模式的断面図である。
【図2】画像形成装置の実施の形態を示す模式的断面図である。
【図3】画像形成装置の別の実施の形態を示す模式的断面図である。
【図4】ゾル−ゲル溶液製造システムの実施の形態を示す模式図である。
【図5】典型的な流動床反応装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1 電子写真感光体、2 帯電器、3 露光器、4 現像器、5 転写器、6 定着器、7 クリーニングユニット、9 支持体、11 導電性支持体、12 基層、13 電荷発生層、14 電荷輸送層、15 保護層、16 感光層、200 ゾル−ゲル溶液製造システム(装置)、201 容器、202 攪拌手段、203a〜203d 流体配管、204 ポンプ、205 熱交換器、206 流動床反応カラム、207 流動床反応カラム本体、208 コネクタ、209 流動床反応カラム上部、210a,210b 窓、211,212 網または膜、220 画像形成装置、400 筺体、401a〜401d 電子写真感光体、402a〜402d 帯電ロール、403 レーザー光源(露出ユニット)、404a〜404d 現像器、405a〜405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 テンションロール、408 バックアップロール、409 中間転写ベルト、410a〜410d 1次転写ロール、411 トレイ、412 搬送ロール、413 2次転写ロール、414 定着ロール、415a〜415d,416 クリーニングブレード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌機を場合により備えた容器と、
ポンプと、
流動床反応カラムと、
複数の流体配管と、
を備え、
前記流体配管は第1の循環ループにおいて容器およびポンプに接続し、かつ前記流体配管は第2の循環ループにおいて容器、ポンプおよび流動床反応カラムに接続していることを特徴とするゾル−ゲル溶液製造装置。
【請求項2】
装置であって、
攪拌機を場合により備えた容器と、
ポンプと、
上部、本体および下部を有する流動床反応カラムと、
複数の流体配管と、を備え、
前記流体配管は第1の循環ループにおいて容器およびポンプに接続し、かつ前記流体配管は第2の循環ループにおいて容器、ポンプおよび流動床反応カラムに接続し、
前記上部と前記本体とは第1の流体透過性膜によって分離され、前記下部はコネクタにより流体配管に接続し、前記下部と前記コネクタとは第2の流体透過性膜によって分離され、前記本体は前記第1流体透過性膜または前記第2流体透過性膜に透過性でない固体状酸触媒を含む、装置を準備する工程と、
容器にゾル−ゲル前駆体材料を供給する工程と、
前記ゾル−ゲル前駆体材料、水およびメタノールを、場合により溶媒を加えて混合する工程と、
前記混合物を第1の循環ループに循環させる工程と、
前記混合物を第2の循環ループに循環させて前記ゾル−ゲル前駆体材料を前記固体状酸触媒と接触させることにより前記ゾル−ゲル前駆体材料を反応させる工程と、
を含むことを特徴とする、ゾル−ゲル溶液製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−296519(P2007−296519A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118178(P2007−118178)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】