説明

タイミング信号発生回路

【課題】 種々の時間間隔のタイミング信号を低コストで正確に発生させる。
【解決手段】 クロック回路と、クロック信号を入力するカウント回路と、外部から入力する基準タイミング信号を取得し、少なくとも2以上の基準タイミング信号を含む所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、該2時点間の時間とを対応させて記録する記憶回路と、カウント回路が所定の2時点間に対応するカウント値だけ増分した時点を中心とする所定の期間に基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を受信した時点のカウント回路のカウント値を所定の2時点間に対応するカウント値として記録し、所定の2時点間の時間を周期とするタイミング信号をカウント回路のカウント値の増分を契機として発生させ、さらに基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を取得した時点からカウント値の増分を計数し直す制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵する低精度のクロック信号を用いて所定の時間間隔のタイミング信号を発生させるタイミング信号発生回路において、必要に応じて外部から与えられる高精度の基準タイミング信号に基づいてそのタイミング信号を補正し、正確なタイミング信号を出力するタイミング信号発生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、第1の従来のタイミング信号発生回路の構成例を示す(特許文献1)。図11は、第1の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す。
【0003】
図において、カウンタ回路71は、図外のクロック回路からクロック信号を入力してカウント値を順次更新し、そのカウント値を補正手段72および時計手段73に出力する。補正手段72は、外部から供給される基準タイミング信号の入力でカウント値を保持し、カウンタ回路71のカウント値をリセットする。補正手段72が保持したカウント値は時計手段73に与えられ、時計手段73はカウンタ回路71から入力するカウント値が補正手段72に保持されたカウント値になったときにタイミング信号を出力する。
【0004】
ここで、クロック回路のクロック周波数が製造バラツキなどのために正規の値からズレている場合、カウンタ回路71のカウント値も正規の値からズレてくる。例えば、クロック周波数が正規であれば基準タイミング信号の入力間隔に対するカウント値がn1 になるときに、クロック周波数誤差のためのカウント値がn2 であれば、そのカウント値のズレをクロック周波数ズレとして推定することができる。したがって、クロック信号のカウント値がn2 をなったときにタイミング信号を出力することにより、基準タイミング信号が供給されない場合でも正確なタイミング信号を発生させることができる。
【0005】
しかし、図10に示すタイミング信号発生回路は、クロック周波数のズレの影響を含むカウント値(上記の例ではn1 ではなくn2 )を基にタイミング信号を発生させる構成であり、生起させたい時間間隔に相当するカウント値を事前に計測する必要がある。例えば図12に示すように、基準タイミング信号の3周期ごとにタイミング信号を発生させる場合には、3周期分のカウント値(3n1 )に対して誤差を含むカウント値n3 を計測し、カウント値n3 ごとにタイミング信号を発生させることになる。このため、予め計測したカウント値以外の任意の時間間隔のタイミング信号を自由に発生させることができなかった。
【0006】
図13は、第2の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す(特許文献2)。
本従来例は、基準タイミング信号を常時受信状態にするのではなく、クロック周波数との誤差をもとに次の周期における受信開始タイミングと受信期間を決定し、この基準タイミング信号参照期間ごとに間欠受信することにより消費電力の低減を図るものである。これは、基準タイミング信号の周期が比較的短く、クロック周波数による1周期ごとの誤差が小さいために、基準タイミング信号参照期間内で基準タイミング信号を確実に取得できることによる。
【0007】
しかし、図12に示す場合と同様に、生起させたいタイミング信号の時間間隔が基準タイミング信号の複数周期分になるとき、図14に示すように、クロック周波数の誤差が累積するため基準タイミング信号参照期間を長くとる必要がある。このとき、基準タイミング信号参照期間内に狙いとする基準タイミング信号の前後の基準タイミング信号も含まれる状態になると、本来の生起させたいタイミングに対して、基準タイミング信号の1周期分ずれたタイミング信号が生成されることになる。
【0008】
そのため、図13に示す場合のように、基準タイミング信号の1周期ごとに基準タイミング信号参照期間を設けて基準タイミング信号を追尾しながら、基準タイミング信号参照期間を広げることなく基準タイミング信号の複数周期に相当するタイミング信号を生成する方法が考えられる。
【特許文献1】特開2002−139585号公報
【特許文献2】特開2002−368729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1の従来のタイミング信号発生回路は、生起させたいタイミング信号の時間間隔に相当するカウント値を事前に計測しておく必要があるため、任意の時間間隔のタイミング信号を自由に発生させることが困難であった。
【0010】
第2の従来のタイミング信号発生回路は、生起させたいタイミング信号の時間間隔が基準タイミング信号の複数周期に相当するとき、クロック周波数の誤差の累積による影響を回避するために基準タイミング信号を1周期ごとに追尾する必要があり、基準タイミング信号の間欠受信による消費電力の低減効果が薄れる問題があった。
【0011】
本発明は、種々の時間間隔のタイミング信号を低コストで正確に発生させることができるタイミング信号発生回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のタイミング信号発生回路は、クロック信号を出力するクロック回路と、クロック信号を入力してカウント値を更新するカウント回路と、外部から入力する基準タイミング信号を取得し、少なくとも2以上の基準タイミング信号を含む所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、該2時点間の時間とを対応させて記録する記憶回路と、カウント回路が、所定の2時点間に対応するカウント値だけ増分した時点を中心とする所定の期間に基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を受信した時点のカウント回路のカウント値を所定の2時点間に対応するカウント値として記録し、所定の2時点間の時間を周期とするタイミング信号をカウント回路のカウント値の増分を契機として発生させ、さらに該タイミング信号を発生させる時点を中心とする所定の期間だけ継続して基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を取得した時点からカウント4 の増分を計数し直す制御手段とを備える。
【0013】
また、本発明のタイミング信号発生回路において、記憶回路は、基準タイミング信号の遷移で示される所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、2時点間の時間との対応を複数個記録する構成であり、制御手段は、記録される複数の所定の2時点間の時間は等比級数であり、カウント回路の計数を継続して行い、最小の時間間隔に対応するカウント値の記録からはじめ、次の時間間隔に対応するカウント値を、当該の時間間隔に対応するカウント値の等比級数の公比倍として推定し、カウント回路のカウント値が推定したカウント値となる時点を中心に所定の期間だけ継続して基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を取得した時点のカウント回路のカウント値を推定値に代わる値として記録し、複数個の2時点間の時間の中から任意の1つを選択し、その任意の2時点間の時間を周期とするタイミング信号をカウント回路のカウント値の増分を契機として生成する構成である。
【0014】
また、本発明のタイミング信号発生回路において、記憶回路は、基準タイミング信号の遷移で示される所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、2時点間の時間との対応を複数個記録する構成であり、制御手段は、記録される複数の所定の2時点間の時間は等比級数であり、カウント回路の計数を継続して行い、最小の時間間隔に対応するカウント値の記録からはじめ、次の時間間隔に対応するカウント値を、当該の時間間隔に対応するカウント値の等比級数の公比倍として推定し、カウント回路のカウント値が推定したカウント値となる時点を中心に所定の期間だけ継続して基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を取得した時点のカウント回路のカウント値を推定値に代わる値として記録し、基準タイミング信号の遷移で示される任意の2時点間の時間を周期とするタイミング信号を、複数の2時点間の時間とカウント値の増分との対応関係から推定したカウント値の増分を契機として生成する構成である。
【0015】
また、推定したカウンタ値の増分は、目的とする任意の2時点間の時間間隔を、基準タイミング信号の周期の整数倍で表し、該整数倍を等比級数の公比を基数とする数表現に変換し、この数表現の各桁の整数と、複数のカウント値のうち対応するタイミング信号の時間間隔を表す等比級数表現のべき数が、数表現の各桁を表すべき数と同一であるカウント値との積をとり、数表現の全ての桁に対する積の総和とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のタイミング信号発生回路は、設定するタイミング信号の時間間隔に応じた基準タイミング信号を受信する際にクロック信号をカウントし、所定の参照期間においてその時間間隔に対応する基準タイミング信号を受信する。これにより、基準タイミング信号を追尾する必要がなく、低コストで正確なタイミング信号を発生させることができる。
【0017】
また、本発明のタイミング信号発生回路は、種々の時間間隔のタイミング信号を低コストで正確に発生させることができる。これにより、様々な周期で動作させる必要がある通信端末などに本発明のタイミング信号発生回路を適用することにより、消費電力を大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(タイミング信号発生回路の構成例)
図1は、本発明のタイミング信号発生回路を含む通信端末の構成例を示す。
図において、通信端末は、本発明のタイミング信号発生回路10、基準タイミング信号生成回路20および制御回路30により構成される。基準タイミング信号生成回路20は、タイミング信号発生回路10から基準タイミング信号要求制御信号aを受けると、受信信号から基準タイミング信号bを生成してタイミング信号発生回路10に提供する。タイミング信号発生回路10は、基準タイミング信号bを参照し、制御回路30から入力するタイミング設定信号cに応じた時間間隔で、内部のクロック信号から発生させたタイミング信号dを制御回路30に提供する。
【0019】
タイミング信号発生回路10は、クロック回路11、カウント回路12,13、記憶回路14、タイミング信号制御回路15により構成される。クロック回路11は、内蔵する発振回路によりクロック信号を生成する。カウント回路12,13は、クロック信号の遷移を契機としてカウント値を更新し、これを保持する。記憶回路14は、所定の時点におけるカウント値をその時点を示す情報とともに格納し、当該カウント値はタイミング信号制御回路15からの要求により読み出される構成である。
【0020】
図2は、本発明のタイミング信号発生回路10の基本的な動作例を示す。
タイミング信号発生回路10は、手順1および手順2の処理を行う。手順1は、所定のタイミングで出力する基準タイミング信号要求制御信号aに対応する基準タイミング信号bを取得し、内部のクロック信号から発生するタイミング信号の時間間隔を補正する。手順2は、手順1で得られた補正されたタイミング信号に基づき、タイミング設定信号cで要求される時間間隔のタイミング信号dを生成する。なお、手順1は、手順2を行う際に毎回行う必要はない。タイミング信号発生回路10の電源投入時に1 回、あるいは温度などの環境変動が著しい場合には、定期的に行うだけでよい。
【0021】
まず、手順1における基準タイミング信号の参照タイミングについて、図3を参照して説明する。手順1では、所定の時間間隔の基準タイミングに対応するカウント値を記録する。
【0022】
クロック回路11が生成するクロック信号の正規の周期をTc (s) 、製造ばらつきによる周期の相対誤差をσとする。このとき誤差を含むクロック信号の周期はTc(1+σ)(s)と表される。基準タイミング信号の時間間隔Tf (s) は、Tc の整数n倍で
Tf =n・Tc
の関係があるものとする。なお、カウント回路12,13のカウント値は、クロック信号の遷移(立ち上がり、または立下りとする) を契機として更新される。また、カウント値は整数nに比べて十分に大きな値までとりうるものとする。
【0023】
時刻0において、基準タイミング信号が0から1に遷移し、時間Tp だけ経過した後に1から0に遷移するものとする。以後、同様な信号遷移が、Tf 間隔で発生するものとする。すなわち、時刻Tf, 2Tf,…で0から1に遷移し、時刻Tf +Tp, 2Tf +Tp,…で1から0に遷移するのものとする。なお、Tp はクロック信号の周期Tc に比べて十分小さいものとする。また、時刻0において、クロック回路11およびカウント回路12,13は既に動作しているものとし、カウント値を0、基準タイミングとの位相誤差をφs(s)とする。また、クロック信号の周期の相対誤差σは、時間変動せず、製造時の固定誤差のみ存在するものと仮定する。
【0024】
タイミング信号発生回路10は、時刻0から、タイミング信号の発生間隔の補正を開始する。時刻0からカウント回路12,13の計数を開始し、時刻0から数えてa番目の基準タイミング信号に対応するカウント値が、
(an−[n/2] )から(an+[n/2] ) …(1) で示される期間のみ基準タイミング信号を取得し、この期間中で基準タイミング信号が0から1に遷移した時点のカウント値をN0 として保持する。なお、記号 [*] は、*以上の最小の整数とする。
【0025】
aは、クロック信号の周期の相対誤差のうち想定される最大値をσmax としたときに、 a<|1/(2σmax)| …(2)
を満たす整数とする。
【0026】
このとき、 (1)式の期間内で1つの基準タイミング信号のみを検出することができ、これが時刻0から数えてa番目の基準タイミング信号となる。このときのカウント値N0 は正規の時間間隔にして
aTf =a・n・Tc
に対応する。
【0027】
ここで、(1) 式の期間内で検出される基準タイミング信号が時刻0から数えてa番目であり、(a±1)番目でないことについて説明する。カウント値がanに遷移した時点と、時刻0から数えて、a番目の基準タイミング信号が0から1に遷移した時点の時間差は、図9でi=0の場合を考慮するとφe (s) となり、下記が成り立つ。
anTc +φs =anTc(1+σ)+φe …(3)
∴|φe |=|anTc σ+φs
≒|anTc σ| (∵φs <<|anTc σ|) …(4)
【0028】
一方、
|anTc σ|<|anTc σmax | …(5)
であり、(2) 式から
|anTc σmax |<nTc /2 …(6)
であるので、 (4),(5),(6)式から
|φe |<nTc /2 …(7)
となる。すなわち、誤差は基準タイミング信号の周期Tf(=nTc)(s) の1/2以下となる。よって、カウント回路のカウント値がanの前後n/2の期間にわたって、基準タイミング信号を取得した場合、期間内に取得される基準タイミング信号は時刻0から数えてa番目のものであり、かつこれに限る。
【0029】
この時刻0から数えてa番目の基準タイミング信号に対応するカウント値N0 を取得するコスト(延べ稼働時間、消費電力)について、第2の従来技術で説明した基準タイミング信号を1周期ごとに追尾しながらa回、間欠受信する場合との差異について説明する。
【0030】
図3(b) に示すように、a番目の基準タイミング信号を受信するときに (1)式に示す期間のみ受信処理を行う場合、受信動作の起動時間をTr とすると、総受信時間Tt1(s) は、
Tt1=2[n/2] Tc(1+σ) +Tr
≒nTc(1+σ) +Tr …(8)
となる。一方、図3(a) に示すように、基準タイミング信号をa回検出する場合、1回当たりの検出に要する時間範囲を2n|σmax|とすると、総受信時間Tt2(s) は、
Tt2=a{2n|σmax|Tc(1+σ)+Tr } …(9)
となる。
【0031】
この総受信時間Tt1,Tt2を比較すると、
Tt1/Tt2=(1+Tr/nTc(1+σ))/(a(2|σmax|+Tr/nTc(1+σ)))
…(10)
となり、aを (2)式を満たす最大整数として1/(2σmax)で近似すると、
Tt1/Tt2=(1+Tr/nTc(1+σ))/(1+(1/(2σmax))Tr/nTc(1+σ))
<<1 …(11)
となる。
【0032】
このように、a番目の基準タイミング信号を検出する場合の受信時間は、基準タイミング信号をa回検出する場合の総受信時間に比べて短くなることがわかる。ただし、その短縮率は、クロック信号の周期の最大誤差σmax と、1回当たりの起動時間Tr と基準タイミング信号の比(Tr/nTc(1+σ))に応じて変化する。
【0033】
具体的数値例を示す。タイミング信号発生回路10のクロック回路11として水晶発振器を用い、その周波数を32.768kHz(周期Tc :1/32768 (s))、周波数の製造ばらつきの最大値σmax を 100ppm 、実際の製造ばらつきσを50ppm とする。基準タイミング信号の周期Tf を1秒とする。 (2)式は
a<|1/(2σmax)|=1/(2×100×10-6)=5000
となるのでaを4000とする。すなわち、基準タイミング信号を4000回ごとに検出し、カウント値N0 を取得する。また、受信動作の起動時間Tr を1(ms)とする。以上を整理すると表1のようになる。
【0034】
【表1】

【0035】
a番目の基準タイミング信号を検出する場合の総受信時間Tt1(s) は、 (8)式から
Tt1= 32768×(1/32768)×(1+50×10-6)+1×10-3
≒1 (s)
となる。基準タイミング信号をa回検出する場合の総受信時間Tt2(s) は、 (9)式から
Tt2=4000{2×32768×(1/32768)×(100×10-6)×(1+50×10-6)+1×10-3
≒4 (s)
となる。このように、a番目の基準タイミング信号を検出する場合の総受信時間Tt1(s) は、基準タイミング信号をa回検出する必要がある従来方法に対して約1/4の時間に削減でき、低消費電力化が実現する。
【0036】
なお、上記の数値例において(10)式をaの関数として表すと図4のようになる。aの値が 850以上であれば、a番目の基準タイミング信号を検出する場合の総受信時間Tt1(s) の方が短くなることがわかる。
【0037】
(図2に示す手順1,手順2の第1の実施例)
手順1では、種々の時間間隔の基準タイミング信号に対応するカウント回路のカウント値を記録する。取得タイミングは、低コストで正確にデータを収集できる等比級数的な時間配置とする。取得タイミングを模式的に図5に示す。
【0038】
まず、図3に示すように、時刻0から数えてa番目の基準タイミング信号を取得し、このときのカウント値N0 を記録する。
【0039】
次に、カウント回路12のカウント値が、(rN0 −r) から(rN0 +r−1)で示される期間、すなわち時間にして2rTc(1+σ)(s) の期間のみ、基準タイミング信号の取得を連続して行う。そしてこの期間中で最初に基準タイミング信号が0から1に遷移した時点のカウント回路12のカウント値をN1 として記録する。ここでrは2以上の任意の整数とする。
【0040】
次に、カウント回路12のカウント値が、(rN1 −r) から(rN1 +r−1)で示される期間、基準タイミング信号の取得を連続して行い、この期間中で最初に基準タイミング信号が0から1に遷移した時点のカウント値をN2 として記録する。
以後同様にして、カウント回路12のカウント値が、(rNk −r) から(rNk +r−1)で示される期間、基準タイミング信号の取得を連続して行い、この期間中で最初に、基準タイミング信号が0から1に遷移した時点のカウント値をNk+1 として記録する。ここで取得された基準タイミング信号は、時刻0から数えてark+1 番目である。
【0041】
以上の動作をカウント回路12のカウント値の(e+1)番目の値Ne が得られるまで繰り返し、表2のような基準タイミング信号の時間間隔と実際のカウント値との対応関係を得る。
【0042】
【表2】

【0043】
ここで、取得した基準タイミング信号が時刻0から数えてark+1 番目であることについて説明する。
【0044】
まず、取得したカウント値Ni の誤差について説明する。Ni 取得時の基準クロック信号と、自走クロック信号の位相関係を図9に示す。時刻0と、時刻ariTfでは、自走クロック信号の位相が、基準クロックの位相とそれぞれ、φs (s),φe (s) だけ異なるものとする。その結果、
arinTc +φs =NiTc(1+σ) +φe …(12)
i = <(arinTc +φs)/Tc(1+σ)> …(13)
∴φs −φe =NiTc(1+σ)−arinTc =Tc(1+σ)(<arin/(1+σ)+φs/Tc(1+σ)>
−arin/(1+σ)) …(14)
ここで、φs/Tc(1+σ) <1なので、
|<arin/(1+σ)+φs/Tc(1+σ)>−arin/(1+σ)|<1
となり、
φs−φe <Tc(1+σ) …(15)
となる。なお、記号 <*> は、*以下の最大の整数とする。
【0045】
カウント回路におけるカウント値Ni は、実際の時間NiTc(1+σ)に相当する。一方, これに対応する基準タイミング信号の時間間隔はarinTcとなる。したがって、誤差は
|NiTc(1+σ)−arinTc |=|φs −φe | …(16)
となり、(15),(16) 式から
|NiTc(1+σ)−arinTc |<Tc(1+σ) …(17)
となる。よって、カウンタ回路のカウント値Ni として取得されたタイミング信号の時間間隔は、クロック信号1周期分の誤差を含む。
【0046】
次に、Ni を用いて推定したタイミング信号時間間隔rNi の誤差について説明する。基準タイミング信号の時間間隔arinTcに対して取得したカウント値をNi とする。基準タイミング信号の時間間隔ari+1nTcに相当するカウント値Ni+1 を、rNi として推定すると、その誤差はNi の場合の誤差のr倍となる。すなわち、
|rNiTc(1+σ)−ari+1nTc|=r|NiTc(1+σ)−arinTc|
<rTc(1+σ) …(18)
となる。よって、推定したタイミングで基準タイミング信号を取得しようとすると、最大でクロック信号周期のr倍の誤差を経験する。そこで基準タイミング信号を取得する時刻に幅を持たせ、推定した時刻を中心にカウント値がrだけ前後する範囲とする。この結果、この期間中に取得される基準タイミング信号は時刻0から数えて第ari+1 番目のものとなり、これに限る。
【0047】
次に、図2の手順2において、制御回路30からの要求に応じ、所定の時間間隔のタイミング信号を生成する仕組みについて説明する。なお、所定の時間間隔とは、基準タイミング信号の時間間隔Tf の所定の整数倍であり、表2のパラメータを用いてarkTf(k=0,1,2,…,e)で表される値とする。本発明では、タイミング信号を生成する合間では、基準タイミング信号を取得しないが、タイミング信号を生成した時点においては、基準タイミング信号を取得し、カウント値の補正を随時行うものとする。
【0048】
タイミング信号を生成する手順は、ターゲットとする時間間隔bTfに応じて以下となる。ここで、b=ark (k=0,1,2,…,e)とする。
(1) 表2第2列から、ターゲットとする時間間隔bTfに対応するカウント値を選択する。これをNx とする。
(2) 基準タイミング信号を取得する。そして取得した時点で、カウント回路12,13のカウント値を0とし、以後、クロック信号の遷移(立ち上がり、または立下りのどちらかとする) に従い、カウント回路12,13の計数を同時に行う。
(3) カウント回路12のカウント値がカウント値Nx となった時点で、タイミング信号を生成する。
(4) タイミング信号を生成するのと同時に、カウント回路12のカウント値がカウント値Nx で示される値の前2、後ろ1の期間にわたり、基準タイミング信号の取得を行う。そして実際に基準タイミング信号が得られた時点で、カウント回路13のカウント値を0に非同期リセットする。
(5) カウント回路12,13の役割を交代し、上記(2) から繰り返す。
タイミング信号発生回路は、図2の手順1において、基準タイミング信号をあるタイミングで取得する必要がある。取得には多大な消費電力を要するため、可能な限り取得時間は短いほうがよい。本実施形態では、以下に説明するように、基準タイミング取得時間を著しく短くすることができる。
【0049】
仮に、時間間隔arkTf(=arknTc) (s)のタイミング信号を発生させる場合を想定する。本実施形態によれば、図2の手順1における基準タイミング信号の総受信時間Tt1 (s)は
Tt1=(2[n/2]+2rk)Tc(1+σ)+(k+1)Tr
≒(n+2rk)Tc(1+σ)+(k+1)Tr …(19)
となる。
【0050】
一方、時間間隔arknTc (s)内の全ての基準タイミング信号を取得して順次カウントする従来の方法では、基準タイミング信号の時間経過と、クロック信号の時間経過を間断なく追尾する必要があるので、総受信時間Tr2 (s)は
Tt2=ark(2n|σmax|Tc(1+σ)+Tr ) …(20)
となる。
【0051】
本実施形態では、(19)式に示すように総受信時間Tt1がターゲットとする時間間隔
arkTfに対し対数関数的に増加するのに対して、従来の方法は(13)式に示すように線形に増加する。したがって、ターゲットとする時間間隔が大きい場合、本実施形態では、総受信時間を著しく削減し、消費電力を低減することができる。
【0052】
具体的数値例を示す。タイミング信号発生回路10のクロック回路11として水晶発振器を用い、その周波数を32.768kHz(周期Tc :1/32768 (s))、周波数の製造ばらつきの最大値σmax を 100ppm 、実際の製造ばらつきσを50ppm とする。基準タイミング信号の周期Tf を1秒とする。 (2)式は
a<|1/(2σmax)|=1/(2×100×10-6)=5000
となるのでaを4000とする。指数関数的に配置した基準タイミング信号の参照時点をa=4000、r=2、e=5とし、発生させたいタイミング信号の時間間隔をare Tf とする。このため、手順1では最大で
are Tf =4000×25 ×1=128000 (s)
までの時間間隔で基準タイミング信号を参照するものとする。また、受信動作の起動時間Tr を1msとする。また、時刻0におけるクロック信号と基準タイミング信号の位相差を φ=Tc(1+σ)/10
とする。以上を整理すると表3のようになる。
【0053】
【表3】

【0054】
手順1における基準タイミング信号の取得タイミングは、カウンタ回路のカウント値の範囲として表4の第2列のように計算される。また、それぞれの基準タイミング信号の取得時間は表4の第4列のようになる。さらに、それぞれのカウント値の範囲において、基準タイミング信号を契機として取得される実際のカウント値は表4の第6列のようになる。
【0055】
【表4】

【0056】
本実施形態による手順1の基準タイミング信号の総受信時間は、表4の第4列を合計して約1秒となる。一方、基準タイミング信号をすべて検出する場合の総受信時間Tt2(s) は、(20)式から
Tt2=4000×25×{2×32768×(1/32768)×(100×10-6)×(1+50×10-6
+1×10-3
≒154 (s)
となる。
【0057】
このように、本実施形態による総受信時間は、基準タイミング信号を128000回検出する必要がある従来方法に対して約1/154 の時間に削減でき、基準タイミング信号のソースである外部受信回路の受信時間を低減し、関連する回路の消費電力を大幅に削減することができる。
【0058】
なお、上記の数値例において(19)式と(20)式の比(Tt1/Tt2)をark の関数として表すと図7のようになる。ark が増加するにつれて、本実施形態の総受信時間Tt1(s) が一段と短くなり、総受信時間の短縮効果が高まることがわかる。
【0059】
(図2に示す手順1,手順2の第2の実施例)
本実施例では、図7に示すように、タイミング信号を発生させたい時間間隔bTf が与えられているものとする。bは1以上の任意の整数とする。手順1の処理は第1の実施例と同様である。
【0060】
本実施例におけるタイミング信号を生成する手順は、ターゲットとする時間間隔bTfに応じて以下となる。
(a) 0≦b<aの場合
(1) <bN0/a> を計算し、これをNx とする。ただし、 <bN0/a> はbN0/a以下の最大の整数とする。
(2) 基準タイミング信号の取得を行う。そして取得した時点で、カウント回路12,13のカウント値を0とし、以後、クロック信号の遷移( 立ち上がり、または立下りのどちらかとする) に従い、カウント回路12,13の計数を同時に行う。
(3) カウント回路12のカウント値がカウント値Nx となった時点で、タイミング信号を生成する。
(4) タイミング信号を生成するのと同時にカウント回路12のカウント値が、カウント値Nx で示される値の前後1の期間にわたり、基準タイミング信号の取得を行う。そして実際に基準タイミング信号が得られた時点で、カウント回路13のカウント値を0に非同期リセットする。
(5) カウント回路12,13の役割を交代し、(2) から繰り返す。
【0061】
(b) ark ≦b<ark+1 の場合
(1) <bNk+1/ark+1>を計算し、これをNx とする。ただし、 <bNk+1/ark+1>はbNk+1/ark+1以下の最大の整数とする。
(2) 基準タイミング信号の取得を行う。そして取得した時点で、カウント回路12,13のカウント値を0とし、以後、クロック信号の遷移( 立ち上がり、または立下りのどちらかとする) に従い、カウント回路12,13の計数を同時に行う。
(3) カウント回路12のカウント値がカウント値Nx となった時点で、タイミング信号を生成する。
(4) タイミング信号を生成するのと同時にカウント回路12のカウント値が、カウント値Nx で示される値の前後1の期間にわたり、基準タイミング信号の取得を行う。そして実際に基準タイミング信号が得られた時点で、カウント回路13のカウント値を0に非同期リセットする。
(5) カウント回路12,13の役割を交代し、(2) から繰り返す。
【0062】
タイミング信号発生回路は、図2の手順1において、基準タイミング信号をあるタイミングで取得する必要がある。取得には多大な消費電力を要するため、可能な限り取得時間は短いほうがよい。本実施形態では、以下に説明するように、基準タイミング取得時間を著しく短くすることができる。
【0063】
時間間隔bTf(=bnTc) (s)のタイミング信号を発生させる場合を想定する。本実施形態によれば、図2の手順1における基準タイミング信号の総受信時間Tt1 (s)は、
(a) 0≦b<a
Tt1=(2[n/2]Tc(1+σ)+Tr
≒nTc(1+σ)+Tr …(21-1)
(b) ark≦b<ark+1
Tt1=(2[n/2]+2r(k+1))Tc(1+σ)+(k+2)Tr
≒(n+2r(k+1))Tc(1+σ)+(k+2)Tr …(21-2)
となる。
【0064】
一方、時間間隔bnTc (s) 内の全ての基準タイミング信号を取得して順次カウントする従来の方法では、基準タイミング信号の時間経過と、クロック信号の時間経過を間断なく追尾する必要があるので、総受信時間Tr2 (s)は
Tt2=b(2n|σmax|Tc(1+σ)+Tr ) …(22)
となる。
【0065】
具体的数値例を示す。タイミング信号発生回路10のクロック回路11として水晶発振器を用い、その周波数を32.768kHz(周期Tc :1/32768 )、周波数の製造ばらつきの最大値σmax を 100ppm 、実際の製造ばらつきσを50ppm とする。基準タイミング信号の周期Tf を1秒とする。 (2)式は
a<|1/(2σmax)|=1/(2×100×10-6)=5000
となるのでaを4000とする。発生させたいタイミング信号の時間間隔bTf は、
b=86400 ×1(s) =24 [h]
とする。指数関数的に配置した基準タイミング信号の参照時点をa=4000、r=2で表すと、
ar4 <b<ar5
となる。このため、手順1では最大で
are Tf =4000×25 ×1=128000 (s)
までの時間間隔で基準タイミング信号を参照するものとする。また、時刻0におけるクロック信号と基準タイミング信号の位相差を
φ=Tc(1+σ)/10
とする。以上を整理すると表5のようになる。
【0066】
【表5】

【0067】
手順1における基準タイミング信号の取得タイミングは、カウンタ回路のカウント値の範囲として表4の第2列のように計算される。また、それぞれの基準タイミング信号の取得時間は表4の第4列のようになる。さらに、それぞれのカウント値の範囲において、基準タイミング信号を契機として取得される実際のカウント値は表4の第6列のようになる。
【0068】
本実施形態による手順1の基準タイミング信号の総受信時間は、表4の第4列を合計して約1秒となる。一方、基準タイミング信号をすべて検出する場合の総受信時間Tt2(s) は、(22)式から
Tt2= 86400×{2×32768×(1/32768)×(100×10-6)×(1+50×10-6
+1×10-3
≒104 (s)
となる。
【0069】
このように、本実施形態による総受信時間は、基準タイミング信号を 86400回検出する必要がある従来方法に対して約1/104 の時間に削減でき、基準タイミング信号のソースである外部受信回路の受信時間を低減し、関連する回路の消費電力を大幅に削減することができる。
【0070】
なお、上記の数値例において(19)式と(20)式の比(Tt1/Tt2)をbの関数として表すと図8のようになる。bが増加するにつれて、本実施形態の総受信時間Tt1(s) が一段と短くなり、総受信時間の短縮効果が高まることがわかる。
【0071】
(図3に示す手順1,手順2の第3の実施例)
本実施例では、第2の実施例のようにタイミング信号を発生させたい時間間隔bTf が与えられているときに、整数bを公比rを基数とする表現{xw-1 、xw-2 、…、x0 }に変換する。ただしxw-1 を最上位桁、x0 を最下位桁とする。すなわち
b=Σxkk (k=0,1,…,w−1) …(23)
とする。手順1の処理は第1の実施例と同様である。
【0072】
本実施例におけるタイミング信号を生成する手順は、ターゲットとする時間間隔bTfに応じて以下となる。
(1) 手順1で取得した表2のカウント値を用いて、bの数表現{xw-1 、xw-2 、…、x0 }に対する数値Nx を計算する。
Nx =ΣxkK (k=0,1,…,w−1) …(24)
(2) 基準タイミング信号の取得を行う。そして取得した時点で、カウント回路12,13のカウント値を0とし、以後、クロック信号の遷移(立ち上がり、または立下りのどちらかとする) に従い、カウント回路12,13の計数を同時に行う。
(3) カウント回路12のカウント値がカウント値Nx となった時点で、タイミング信号を生成する。
(4) タイミング信号を生成するのと同時にカウント回路12のカウント値が、カウント値Nx で示される値の前後1の期間にわたり、基準タイミング信号の取得を行う。そして実際に基準タイミング信号が得られた時点で、カウント回路13のカウント値を0に非同期リセットする。
(5) カウント回路12,13の役割を交代し、(1) から繰り返す。
【0073】
本実施例では、タイミング信号を発生させるためのカウント値Nx を、第2の実施例に比べ容易に計算することができる。第2の実施例では、Nx の計算に除算を必要とする。一方、本実施例では (23),(24)式に示すように乗算と加算だけで済む。このため、非常に簡単な計算とすることができる。特に公比rを2とした場合は、デジタル演算処理の2値表現と合致するため、乗算をビットシフト演算で置き換えることができ、処理をさらに簡単化することができる。その他の処理は第3の実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明のタイミング信号発生回路を含む通信端末の構成例を示す図。
【図2】本発明のタイミング信号発生回路の基本的な動作例を示すタイムチャート。
【図3】手順1における基準タイミング信号の取得タイミングを説明するタイムチャート。
【図4】手順1における基準タイミング信号の総受信時間を示す図。
【図5】本発明のタイミング信号発生回路の第1の実施例を示すタイムチャート。
【図6】第1の実施例における基準タイミング信号の総受信時間を示す図。
【図7】本発明のタイミング信号発生回路の第2の実施例を示すタイムチャート。
【図8】第2の実施例における基準タイミング信号の総受信時間を示す図。
【図9】本発明のタイミング信号発生回路における基準タイミング信号とクロック信号の関係を説明するタイムチャート。
【図10】第1の従来のタイミング信号発生回路の構成例を示す図。
【図11】第1の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す図。
【図12】第1の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す図。
【図13】第2の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す図。
【図14】第2の従来のタイミング信号発生回路の動作例を示す図。
【符号の説明】
【0075】
10 タイミング信号発生回路
11 クロック回路
12,13 カウント回路
14 記憶回路
15 タイミング信号制御回路
20 基準タイミング信号生成回路
30 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号を出力するクロック回路と、
前記クロック信号を入力してカウント値を更新するカウント回路と、
外部から入力する基準タイミング信号を取得し、少なくとも2以上の基準タイミング信号を含む所定の2時点間の前記カウント回路のカウント値の増分と、該2時点間の時間とを対応させて記録する記憶回路と、
前記カウント回路が、前記所定の2時点間に対応するカウント値だけ増分した時点を中心とする所定の期間に基準タイミング信号を取得し、基準タイミング信号を受信した時点の前記カウント回路のカウント値を前記所定の2時点間に対応するカウント値として記録し、前記所定の2時点間の時間を周期とするタイミング信号を前記カウント回路のカウント値の増分を契機として発生させ、さらに該タイミング信号を発生させる時点を中心とする所定の期間だけ継続して前記基準タイミング信号を取得し、前記基準タイミング信号を取得した時点から前記カウント値の増分を計数し直す制御手段と
を備えたことを特徴とするタイミング信号発生回路。
【請求項2】
請求項1に記載のタイミング信号発生回路において、
前記記憶回路は、前記基準タイミング信号の遷移で示される所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、前記2時点間の時間との対応を複数個記録する構成であり、
前記制御手段は、記録される複数の所定の2時点間の時間は等比級数であり、前記カウント回路の計数を継続して行い、最小の時間間隔に対応するカウント値の記録からはじめ、次の時間間隔に対応するカウント値を、当該の時間間隔に対応するカウント値の前記等比級数の公比倍として推定し、前記カウント回路のカウント値が推定したカウント値となる時点を中心に所定の期間だけ継続して前記基準タイミング信号を取得し、前記基準タイミング信号を取得した時点の前記カウント回路のカウント値を前記推定値に代わる値として記録し、前記複数個の2時点間の時間の中から任意の1つを選択し、その任意の2時点間の時間を周期とするタイミング信号を前記カウント回路のカウント値の増分を契機として生成する構成である
ことを特徴とするタイミング信号発生回路。
【請求項3】
請求項1に記載のタイミング信号発生回路において、
前記記憶回路は、前記基準タイミング信号の遷移で示される所定の2時点間のカウント回路のカウント値の増分と、前記2時点間の時間との対応を複数個記録する構成であり、
前記制御手段は、記録される複数の所定の2時点間の時間は等比級数であり、前記カウント回路の計数を継続して行い、最小の時間間隔に対応するカウント値の記録からはじめ、次の時間間隔に対応するカウント値を、当該の時間間隔に対応するカウント値の前記等比級数の公比倍として推定し、前記カウント回路のカウント値が推定したカウント値となる時点を中心に所定の期間だけ継続して前記基準タイミング信号を取得し、前記基準タイミング信号を取得した時点の前記カウント回路のカウント値を前記推定値に代わる値として記録し、前記基準タイミング信号の遷移で示される任意の2時点間の時間を周期とするタイミング信号を、前記複数の2時点間の時間とカウント値の増分との対応関係から推定したカウント値の増分を契機として生成する構成である
ことを特徴とするタイミング信号発生回路。
【請求項4】
請求項3に記載のタイミング信号発生回路において、
前記推定したカウンタ値の増分は、目的とする任意の2時点間の時間間隔を、基準タイミング信号の周期の整数倍で表し、該整数倍を前記等比級数の公比を基数とする数表現に変換し、この数表現の各桁の整数と、前記複数のカウント値のうち対応するタイミング信号の時間間隔を表す等比級数表現のべき数が、数表現の各桁を表すべき数と同一である前記カウント値との積をとり、数表現の全ての桁に対する前記積の総和とする
ことを特徴とするタイミング信号発生回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−290837(P2009−290837A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144296(P2008−144296)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】