説明

タイヤのポストキュアインフレーション方法および装置

【課題】冷却温度を管理してスピューの伸長および補助コードの熱収縮を生じさせずに、タイヤを冷却することができるタイヤのポストキュアインフレーション方法および装置を供する。
【解決手段】タイヤ保持工程と、気体供給工程と、液槽に貯えられた冷却液に前記タイヤを浸漬するタイヤ浸漬工程と、回転軸7を回転駆動して同回転軸7に保持されたタイヤTをブラダBとともに回転させながらタイヤTが浸漬する液槽40内の冷却液を所定温度範囲内に液温制御してタイヤTを冷却する冷却工程と、回転軸7の回転駆動を停止してタイヤTを液槽30に貯えられた冷却液から抜き出すタイヤ抜出工程と、タイヤ取外工程とを備えたタイヤのポストキュアインフレーション方法および装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ加硫機により加硫されタイヤを、内圧を加えながら冷却するタイヤのポストキュアインフレーション方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主に乗用車用ラジアルタイヤやバイアスプライタイヤ等の補強コードとして熱収縮するナイロンやポリエステル等が用いられているタイヤでは、モールド内の加硫の後に、自然放置して冷却すると、補強コードが収縮してタイヤとしての所定の形状を維持できない。
【0003】
そこで、モールドにより加硫されたタイヤを、ポストキュアインフレータに装着してタイヤを内側から内圧を加えて補強コードの収縮を抑えてタイヤの変形を防止しながら冷却するポストキュアインフレーションが行われている。
【0004】
ポストキュアインフレーションにおいて、単に空気との接触だけでタイヤを冷却すると、タイヤ内面の温度により補強コードが熱収縮するとともに、高い冷却時間が多くかかりすぎ、非効率的であるので、冷却水を用いて強制的に冷却する例が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭50−39778号公報
【0006】
特許文献1には、モールド加硫後のタイヤを自立高速回転させ、その外表面および内面に冷却水をスプレーし、内側に入れた冷却水の遠心力によりポストキュアインフレーション相当圧をタイヤに作用させ、冷却も同時に行う方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された水冷方式は、タイヤに冷却水を散布するとともに、内側に冷却水を溜めて冷却を行い、冷却温度を管理することはしていない。
また、この水冷方式であると冷却温度を制御することは困難である。
【0008】
ポストキュアインフレーション過程で、タイヤの冷却温度が低過ぎると、特にタイヤを支持する金属製のリムの温度が低下して、同リムを使用した次のタイヤ加硫時にリム付近の加硫が遅れゴムの硬化が遅くなることで、タイヤ表面に突出していたスピュー(加硫金型の隙間に生じるゴム突起)が長く延びてしまい外観上好ましくないとともに、新たにリム組みしたときにタイヤとリムとの間にスピューが挟まったりするので、後工程でスピューの除去作業が必ず必要となってくる。
また、タイヤの冷却温度が高過ぎると、埋設されたナイロンやポリエステル等の補助コードの熱収縮が生じてしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、冷却温度を管理してスピューの伸長および補助コードの熱収縮を生じさせずに、タイヤを冷却することができるタイヤのポストキュアインフレーション方法および装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、タイヤ加硫機により加硫されたタイヤの一対のビード部を一対のリムが係止して回転軸が前記タイヤを保持するタイヤ保持工程と、前記タイヤの内側で前記一対のリム間に設けられた袋状に密閉され伸縮可能なブラダの内部に気体を供給してブラダを膨張させる気体供給工程と、液槽に貯えられた冷却液に前記タイヤを浸漬するタイヤ浸漬工程と、前記回転軸を回転駆動して同回転軸に保持された前記タイヤをブラダとともに回転させながら前記タイヤが浸漬する前記液槽内の冷却液を所定温度範囲内に液温制御して前記タイヤを冷却する冷却工程と、前記回転軸の回転駆動を停止して前記タイヤを液槽に貯えられた冷却液から抜き出すタイヤ抜出工程と、
前記回転軸からタイヤを取り外すタイヤ取外工程と、を備えたタイヤのポストキュアインフレーション方法とした。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法において、前記冷却工程において液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法において、前記回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し、前記冷却工程では、タイヤを鉛直姿勢で液槽内の冷却液に浸漬して回転し冷却することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法において、前記冷却工程における冷却液の液温制御は、前記液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することによりなされることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、タイヤ加硫機により加硫されたタイヤの一対のビード部を一対のリムが係止して保持する回転軸と、前記タイヤの内側で前記一対のリム間に設けられた袋状に密閉され伸縮可能なブラダと、前記回転軸を前記ブラダとともに回転駆動する駆動機構と、前記タイヤの内側で前記ブラダの内部に気体を供給する気体供給機構と、冷却液を貯える液槽と、前記液槽内の冷却液の液温を所定温度範囲内に制御する液温制御機構と、前記液槽内の冷却液に前記タイヤを浸漬し、また抜き出す浸漬・抜出機構と、を備えたタイヤのポストキュアインフレーション装置である。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置において、前記液温制御機構は、前記液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置において、前記回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し回転させることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置において、前記液温制御機構は、前記液槽内に冷液を供給する冷液供給手段と、前記液槽内に温液を供給する温液供給手段と、前記液槽内の冷却液を排出する冷却液排出手段と、前記液槽内の冷却液の温度を検出する液温検出手段とを備え、前記液温検出手段が検出する冷却液の温度に基づき前記冷液供給手段と前記温液供給手段を制御して前記液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することにより前記液槽内の冷却液の液温を所定温度範囲内に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法によれば、タイヤの内側のブラダの内部に気体を供給してブラダを膨張させてタイヤに埋設された補強コードの収縮を抑えてタイヤの変形を防止し、液槽内の冷却液に浸漬した状態でタイヤは回転しながら液槽内の所定温度範囲内に液温制御された冷却液により冷却されるので、タイヤの冷却温度が低過ぎないようにしてタイヤ表面に突出していたスピューが長く伸びるのを防止して外観を良好に保ち、タイヤの冷却温度が高過ぎないようにして埋設された補助コードの熱収縮が生じてしまうのを防止して形状を維持することができる。
【0019】
請求項2記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法によれば、冷却工程において液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御するので、液温が40℃未満でスピューが長く伸びるのを防止し、液温が60℃を超えることで補助コードの熱収縮が生じてしまうのを防止することができる。
【0020】
請求項3記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法によれば、回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し、前記冷却工程では、タイヤを鉛直姿勢で液槽内の冷却液に浸漬して回転し冷却するので、冷却液はタイヤ全体を均一に冷却することができる。
【0021】
請求項4記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法によれば、冷却工程における冷却液の液温制御は、液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することによりなされるので、応答性が良く精度も高い冷却液の温度制御ができる。
【0022】
請求項5記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置によれば、気体供給機構によりタイヤの内側のブラダの内部に気体を供給してブラダを膨張させてタイヤに埋設された補強コードの収縮を抑えてタイヤの変形を防止し、浸漬・抜出機構により液槽内の冷却液に浸漬した状態で駆動機構によりタイヤは回転しながら液槽内の所定温度範囲内に液温制御された冷却液により冷却されるので、タイヤの冷却温度が低過ぎないようにしてタイヤ表面に突出していたスピューが長く伸びるのを防止して外観を良好に保ち、タイヤの冷却温度が高過ぎないようにして埋設された補助コードの熱収縮が生じてしまうのを防止して形状を維持することができる。
【0023】
請求項6記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置によれば液温制御機構は、前記液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御するので、液温が40℃未満でスピューが長く伸びるのを防止し、液温が60℃を超えることで補助コードの熱収縮が生じてしまうのを防止することができる。
【0024】
請求項7記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置によれば、回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し回転させるので、タイヤを鉛直姿勢で液槽内の冷却液に浸漬して回転し冷却するため、冷却液はタイヤ全体を均一に冷却することができる。
【0025】
請求項8記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置によれば、液温検出手段が検出する冷却液の温度に基づき冷液供給手段と温液供給手段を制御して液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することにより液槽内の冷却液の液温を所定温度範囲内に制御するので、応答性が良く精度も高い冷却液の温度制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係るポストキュアインフレータの概略構成断面図である。
【図2】同別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1および図2に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態に係るポストキュアインフレーション装置であるポストキュアインフレータ1の概略構成図である。
【0028】
基台2の上に設けられた筐体3から水平方向に有底の内筒4が突設され、同内筒4にベアリング5を介して水平回転軸である有底の外筒7が回転自在に嵌装されている。
なお、内筒4と外筒7の間には、ベアリング5の軸方向外側にシール部材6が介装されている。
この外筒7の底部にはロック部材8が嵌着することができる。
【0029】
外筒7の外周に、加硫機により加硫されたタイヤTがブラダBの膨張により内側から形状を維持された状態で装着される。
タイヤTは、内外のビード部Tbが内リム10と外リム11により係止され、内リム10と外リム11を連結する円筒状の連結部材12がブラダBの内外縁部をそれぞれ内リム10、外リム11との間に挟んで固着し、連結部材12により閉じられブラダBの内側に内圧を保ってブラダBを膨張してタイヤTの内面に圧接している。
【0030】
タイヤTを内リム10と外リム11とを介して支持する連結部材12は、その内径が外筒7に等しく、外筒7に相対回転を規制されて嵌合されることで、タイヤTはブラダBとともに外筒7と一体に回転可能に装着される。
外筒7に対してタイヤTは外リム11がロック部材8に係合する位置に装着される。
【0031】
外筒7に装着される内リム10より内側に被動ギヤ17が嵌着されており、基台2に配置されたモータ15の駆動軸に嵌着された駆動ギヤ16が被動ギヤ17と噛合している。
したがって、モータ15の駆動により、駆動ギヤ16と被動ギヤ17との噛合を介して外筒7が回転する。
【0032】
外筒7に挿入されて外筒7を回転自在に支持する内筒4の先端底部と外リム11との間に連通空間20が形成されていて、同連通空間20とブラダBの内部とを連通する連通孔21が外筒7と連結部材12とを穿孔して周方向に複数形成されている。
【0033】
また、内筒4の先端底部に円孔4aが形成され、同円孔4aに先端を連結したパイプ23が内筒4内に配設されている。
パイプ23の他端には切替弁24が設けられている。
【0034】
また、内筒4の先端底部に円孔4aが形成され、同円孔4aに先端を連結したパイプ23が内筒4内に配設されている。
筐体3内には、空気圧給排機構30が設けられていて、この空気圧吸排機構30に前記パイプ23は連結されている。
【0035】
したがって、空気圧給排機構30により空気圧をパイプ23,連通空間20,連通孔21を経てブラダBの内部に供給することができるとともに、ブラダBの内部の空気圧を排出することができる。
【0036】
外筒7に一体に軸支されたタイヤTは、水平方向に指向した内筒4を支軸に鉛直姿勢で回転自在に支持される。
このように支持されたタイヤTの下方には、冷却水が溜められた水槽40がリフト機構50により昇降可能に設けられている。
リフト機構50は、水槽40の底板を支持する複数のロッド51を一斉に伸縮させることにより水槽40を上下に昇降することができる。
【0037】
図2に示すように、水槽40は、内部が仕切板41により容積の大きい冷却槽40aと容積の小さい排水槽40bに仕切られ、冷却槽40aには冷水供給機構42から給水管42pを介して冷水が供給されるとともに、温水供給機構43から給水管43pを介して温水が供給される。
排水槽40bからは排水機構44により排水管44pを介して余分な冷却水が排出される。
なお、水槽40の冷却槽40a内には、水温センサ45が仕切板41に固定されて設けられている。
【0038】
冷水供給機構42と温水供給機構43は、水温センサ45が検出する冷却槽40a内の冷却水の温度に基づき制御されて、所定温度に調整される。
リフト機構50により水槽40が上昇すると、外筒7に鉛直姿勢で軸支されたタイヤTの下部が冷却槽40a内に浸漬する。
鉛直姿勢のタイヤTのビード部Tbの最下位置まで冷却水に漬かる。
【0039】
前記仕切板41は、底面から所定の高さがあり、冷却槽40aが満杯になり溢れると、溢れた冷却水は仕切板41を超えて排水槽40bに移り、排水機構44により適宜排出されるので、冷水供給機構42および温水供給機構43により給水がある限り、冷却槽40a内の冷却水は、仕切板41に規定された一定の深さに保たれる。
【0040】
本実施の形態では、冷却槽40a内の冷却水は、略50℃の温度に保たれるように冷水供給機構42および温水供給機構43が制御される。
すなわち、50℃を下回る一定温度の冷水を供給する冷水供給機構42と50℃を上回る一定温度の温水を供給する温水供給機構43を、水温センサ45の検出温度に基づいてフィードバック制御し、冷却槽40a内に供給する冷水と温水の割合を調整することで、略50℃に水温を保つようにする。
【0041】
本ポストキュアインフレータ1は、概ね以上のような構造をしており、以下作業手順を図2ないし図8に基づいて説明する。
予め約50℃に保たれた冷却水を一杯にして貯めておいた水槽40を、リフト機構50により下方位置に待機させておく(図1に水槽40を2点鎖線で示す)。
【0042】
そして、タイヤ保持工程に入り、加硫機により加硫されたタイヤTを、内リム10と外リム11とを介して連結部材12が支持した状態で、前記したように外筒7に装着し、ロック部材8を嵌着して固定する。
図2に示すように、タイヤTは外筒7に鉛直姿勢で保持される。
【0043】
次に、気体供給工程で、空気圧吸排機構30により空気圧をパイプ23,連通空間20,連通孔21を経てブラダBの内部に供給し、ブラダBの内圧を所定圧まで上昇させることで、ブラダBがタイヤTの内面に全面に亘って圧接して補強コードの収縮を抑えてタイヤの変形を防止するようにする。
【0044】
次いで、タイヤ浸漬工程で、リフト機構50により水槽40を上昇し、鉛直姿勢のタイヤTの下部を冷却槽40a内に浸漬する。
そして、冷却工程に入り、モータ15を駆動して、外筒7を回転し、外筒7とともにブラダBおよび鉛直姿勢にあるタイヤTを回転し、冷却槽40a内の冷却水に漬かるタイヤTの部分を変えてタイヤT全体を均一に冷却する。
【0045】
この冷却工程中は、前記冷水供給機構42と温水供給機構43のフィードバック制御が実行され、冷却槽40a内の冷却水の温度が略50℃に維持され、タイヤTは概ね50℃の冷却水により冷却され、ポストキュアインフレーションがなされる。
【0046】
当初、加硫されたタイヤTは高温度にあるため、冷却槽40a内の冷却水の温度を略50℃に維持するのに、冷水の方が温水より給水の割合が多く、その後冷水の割合が減っていく。
【0047】
ある程度、時間を経ると、冷水供給機構42と温水供給機構43による冷水と温水の給水割合が一定に安定してくるので、略安定したところで、冷水供給機構42と温水供給機構43による給水を止め、モータ15の駆動を停止してタイヤTの回転を停止し、冷却工程を終了し、リフト機構50により水槽40を下降して冷却槽40a内の冷却水からタイヤTを抜き出す(タイヤ抜出工程)。
【0048】
そして、抜き出されたタイヤTに付いた水をエアブローで吹き飛ばし、空気圧給排機構30によりブラダBの内部の空気圧を抜き、ロック部材8を外してタイヤTをブラダB、連結部材12とともに取り外し(タイヤ取外工程)、次のタイヤTのポストキュアインフレーションに備えることになる。
【0049】
以上のように、本ポストキュアインフレーション方法では、加硫されたタイヤTは、略50℃に水温制御された冷却水により冷却されるので、タイヤの冷却温度が低過ぎることによるリム付近のスピューの伸長を抑えて外観を良好に保ち、また逆に高過ぎることによるタイヤTに埋設された補助コードの熱収縮を防止して形状を維持することができる。
【0050】
すなわち、略50℃に水温制御されているので、リム10,11も略50℃程度に保たれ、同リム10,11を使用した次のタイヤ加硫時にリム10,11付近でもスピューが長く延びることがなく、外観上好ましく、また新たにリム組みしたときにタイヤとリムとの間にスピューが挟まったりすることがないので、後工程でスピューの除去作業が必ずしも必要ではない。
【0051】
本実施の形態では、タイヤTを略50℃に水温制御された冷却水により冷却していたが、40℃〜60℃の温度範囲内に水温制御された冷却水により冷却すればよい。
すなわち、液温が40℃未満でスピューが長く伸びるのを防止できるとともに、液温が60℃を超えることで補助コードの熱収縮が生じてしまうのを防止することができる。
【0052】
外筒7は水平方向に指向してタイヤTを鉛直姿勢で保持し、前記冷却工程では、タイヤTを鉛直姿勢で水槽40内の冷却液に浸漬して回転し冷却するので、冷却水はタイヤ全体を均一に冷却することができる。
【0053】
冷却工程における冷却水の液温制御は、液槽内に供給する冷水と温水の割合を調整することによりなされるので、応答性が良く精度も高い冷却液の温度制御ができ、効率的にタイヤTを冷却することができる。
【符号の説明】
【0054】
T…タイヤ、Tb…ビード部、B…ブラダ、
1…ポストキュアインフレータ、2…基台、3…筐体、4…内筒、5…ベアリング、6…シール部材、7…外筒、8…ロック部材、10…内リム、11…外リム、12…連結部材、15…モータ、16…駆動ギヤ、17…被動ギヤ、20…連通空間、21…連通孔、23…パイプ、30…空気圧給排機構、
40…水槽、40a…冷却槽、40b…排水槽、41…仕切板、42…冷水供給機構、43…温水供給機構、44…排水機構、45…水温センサ、
50…リフト機構、51…ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ加硫機により加硫されたタイヤの一対のビード部を一対のリムが係止して回転軸が前記タイヤを保持するタイヤ保持工程と、
前記タイヤの内側で前記一対のリム間に設けられた袋状に密閉され伸縮可能なブラダの内部に気体を供給してブラダを膨張させる気体供給工程と、
液槽に貯えられた冷却液に前記タイヤを浸漬するタイヤ浸漬工程と、
前記回転軸を回転駆動して同回転軸に保持された前記タイヤをブラダとともに回転させながら前記タイヤが浸漬する前記液槽内の冷却液を所定温度範囲内に液温制御して前記タイヤを冷却する冷却工程と、
前記回転軸の回転駆動を停止して前記タイヤを液槽に貯えられた冷却液から抜き出すタイヤ抜出工程と、
前記回転軸からタイヤを取り外すタイヤ取外工程と、
を備えたタイヤのポストキュアインフレーション方法。
【請求項2】
前記冷却工程において液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御することを特徴とする請求項1に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法。
【請求項3】
前記回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し、前記冷却工程では、タイヤを鉛直姿勢で液槽内の冷却液に浸漬して回転し冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法。
【請求項4】
前記冷却工程における冷却液の液温制御は、前記液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することによりなされることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のタイヤのポストキュアインフレーション方法。
【請求項5】
タイヤ加硫機により加硫されたタイヤの一対のビード部を一対のリムが係止して保持する回転軸と、
前記タイヤの内側で前記一対のリム間に設けられた袋状に密閉され伸縮可能なブラダと、
前記回転軸を前記ブラダとともに回転駆動する駆動機構と、
前記タイヤの内側で前記ブラダの内部に気体を供給する気体供給機構と、
冷却液を貯える液槽と、
前記液槽内の冷却液の液温を所定温度範囲内に制御する液温制御機構と、
前記液槽内の冷却液に前記タイヤを浸漬し、また抜き出す浸漬・抜出機構と、
を備えたことを特徴とするタイヤのポストキュアインフレーション装置。
【請求項6】
前記液温制御機構は、前記液槽内の冷却液の液温を、40℃〜60℃の所定温度範囲内に液温制御することを特徴とする請求項5に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置。
【請求項7】
前記回転軸は水平方向に指向してタイヤを鉛直姿勢で保持し回転させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置。
【請求項8】
前記液温制御機構は、
前記液槽内に冷液を供給する冷液供給手段と、
前記液槽内に温液を供給する温液供給手段と、
前記液槽内の冷却液を排出する冷却液排出手段と、
前記液槽内の冷却液の温度を検出する液温検出手段とを備え、
前記液温検出手段が検出する冷却液の温度に基づき前記冷液供給手段と前記温液供給手段を制御して前記液槽内に供給する冷液と温液の割合を調整することにより前記液槽内の冷却液の液温を所定温度範囲内に制御することを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のタイヤのポストキュアインフレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−241017(P2010−241017A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93261(P2009−93261)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】