説明

タイヤ支持装置

【課題】未加硫のタイヤをタイヤ製造ドラムから取り外し、未加硫のタイヤを損傷させずに短期間収容できるタイヤ取り出し装置を提供する。
【解決手段】このタイヤ支持装置は、内側表面と外側表面とを有している支持部材であるタイヤ取り出しリング10と、該リング10に取り付けられている支持フランジ60とを有し、支持フランジ60は支持フランジ60に取り付けられた膨脹可能なブラダ50を有しており、膨脹可能なブラダ50はタイヤを支持する膨脹している状態とタイヤを取り外す膨脹していない状態とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造の分野に関し、特にタイヤ製造に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ製造において、未加硫のタイヤが作られた後、タイヤ製造ドラムから取り外され、コンベアベルトなどの通常自動化された工程を通ってタイヤ硬化工程に送られる。
【0003】
重機などの非常に大きなタイヤについては、通常の自動化工程では、タイヤの大きさや重量のために十分ではない。50インチを越える直径の非常に大きなタイヤは、タイヤ製造機械からタイヤ金型まで移動させ、それから操作して金型内に入れる必要がある。したがって、未加硫のタイヤをタイヤ製造ドラムから取り外し、未加硫のタイヤを損傷させずに短期間収容できるタイヤ取り出し装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、内側表面と外側表面とを有している支持部材と、
前記環状の支持部材に取り付けられている支持フランジと、
を有し、前記支持フランジは前記支持フランジに取り付けられた膨脹可能なブラダを有しており、前記膨脹可能なブラダは前記タイヤを支持する膨脹している状態と前記タイヤを取り外す膨脹していない状態とを有することを特徴とする、タイヤ支持装置を提供する。
【0005】
明細書および請求の範囲中の用語の定義
「縦横比」は、タイヤの断面の幅に対する高さの比を意味する。
【0006】
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転の軸線に平行なラインまたは方向を意味する。
【0007】
「ビード」または「ビードコア」は、環状の引張部材を有しているタイヤの部分を一般的に意味し、半径方向内側のビードは、プライコードに被覆されて形作られて、タイヤを保持した状態でリムと結合され、フリッパ、チッパ、エイペックス、またはフィラ、トーガード、およびチェーファーのような他の補強部材を有することもあれば、有しないこともある。
【0008】
「ベルト構造」または「補強ベルト」は、トレッドの下に存在し、ビードに固定されておらず、タイヤの赤道面に対して17°から27°の範囲の左および右のコード角度を有する、織物または不繊布の平行なコードの少なくとも2つの環状の層すなわちプライを意味する。
【0009】
「バイアスプライタイヤ」は、複数の強化コードがカーカスプライ内をタイヤを横切ってビードからビードにタイヤの赤道面に対して約25°から65°の角度で対角線方向に延びており、複数のプライコードが複数の層内を交互に反対の角度で延びていることを意味する。
【0010】
「ブレーカ」または「タイヤブレーカ」は、ベルト、ベルト構造、または強化ベルトと同じものを意味する。
【0011】
「カーカス」は、継ぎ合わせて円筒形状または環状とするのに適した長さで切断され、または既に継ぎ合わされた、タイヤプライ材料および他のタイヤ要素の薄層を意味する。成形タイヤを作るために加硫前にカーカスに追加的要素を付加しても良い。
【0012】
「周方向」は、軸線方向に垂直な環状トレッドの表面の周囲に沿って延びているラインまたは方向を意味するが、断面で見たときに、半径がトレッドの軸線方向の曲率を定めている、隣接している1組の円形の曲線部分の方向を意味することもある。
【0013】
「コード」は、プライの強化に使用されている、繊維を有している強化素線を意味する。
【0014】
「内側のライナ」は、チューブレスタイヤの内側の表面を形成しており、タイヤ内に膨張流体を閉じこめているエラストマまたはその他の物質の1つまたは複数の層を意味する。
【0015】
「インサート」は、ランフラットタイヤのサイドウォールの強化に通常使用される強化材を意味するが、トレッドの下にあるエラストマのインサートも意味する。
【0016】
「プライ」は、エラストマで被覆され、半径方向に配置されている、またはその他の平行な複数のコードのコード強化層を意味する。
【0017】
「半径方向の(ラジアル)」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸線に向けて、または回転軸線から離れるように、半径方向に延びている方向を意味する。
【0018】
「ラジアルプライ構造」は、タイヤの赤道面に対して65°と90°との間の角度に向けられている複数の強化コードを有している1つまたは2つ以上のカーカス層、または2つ以上のカーカス層の中の少なくとも1つの層を意味する。
【0019】
「ラジアルプライタイヤ」は、ビードからビードへ延びるプライコードがタイヤの赤道面に対して65°から90°の間のコード角度で配置されている、ベルトが巻かれている、つまり周方向に制限されている空気入りタイヤを意味する。
【0020】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】タイヤと共に示している本発明のタイヤ取り出し装置の透視図である。
【図2】タイヤなしに示している本発明のタイヤ取り出し装置の透視図である。
【図3】支持フレーム装置内で共に示しているタイヤ取り出し装置の前面図である。
【図4】タイヤ取り出し装置と支持フレーム装置の側面図である。
【図5】タイヤの一部と共に膨脹した状態で示しているブラダ組み立て品の断面図である。
【図6】タイヤの一部と共に膨脹していない状態で示しているブラダ組み立て品の断面図である。
【図7】組み立てられていない状態のブラダの断面図である。
【図8】内部にタイヤが取り付けられており、水平位置で示しているタイヤ取り出しリングの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を、実例として、添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1と図2は、タイヤをタイヤ製造ドラム(不図示)から取り外すのに適しているタイヤ取り出しリング10を図示している。タイヤ取り出しリング10は、大きく重いタイヤ、特に直径が50インチを越える大きさのタイヤに特に適している。タイヤ取り出しリング10は、環状リングを構成するように1つに組み立てられる1つまたは2つ以上の弓状の区分12から構成されている。複数の弓状の区分12は、圧力容器等級の溶接部分の標準を満たしている鋼で構成されていることが好ましい。複数の区分12のうち1つ区分13はクレーンのフックを受け入れる穴16を備えているフランジ付きの端部14を有している。複数の区分12のうちの2つは、2つの区分12に溶接されており直径方向に対向している2つの支持ロッドつまりトラニオン18を有している。2つの支持ロッド18は、環状の歯車を有している外側の環状表面20を有している。環状の歯車は、垂直位置から水平位置へまたは所望の任意の角度に、タイヤ取り出しリング10の角度を段階的に回転させるように駆動手段(不図示)に接続可能である。タイヤ取り出しリング10は、図8に示しているようにタイヤ取り出しリング10が水平方向に回転するときにタイヤが落ちるのを防止する複数の保持アーム40をさらに有している。複数の保持アーム40は、180°ピボット運動をしてタイヤのじゃまにならないようにタイヤ取り出しリング10にピボット運動をするように取り付けられている。
【0024】
図3と図4は、第1と第2の三脚支持スタンド30に取り付けられているタイヤ取り出しリング10を示している。三脚支持スタンド30はJ字形状のフック32を有している上側の部分を有している。2つの三脚スタンド30は、タイヤ取り出しリング10がクレーンによって下降したときに、対向している2つのトラニオン12が2つのJ字形状のフック32の内部31内に受け入れられるまで下降するようにタイヤ取り出しリング10に対して配置されている。2つのJ字形状のフック32によって、タイヤ取り出しリング10は回転することができる。2つのJ字形状のフック32は3つの支持脚34によって支持されている。
【0025】
図2に示しているように、タイヤ取り出しリング10はタイヤ取り出しリング10の内側の表面上に位置しているブラダ50をさらに有している。ブラダ50は、膨脹している状態においてタイヤ10を定位置に保持するようにクランプとして機能する。ブラダ50を組み立てられていない状態で図7に示している。ブラダ50は、ゴムかエラストマから作られていることが好ましい環状の柔軟なスリーブから構成されている。ブラダの材料は、ナイロンまたはアラミドなどの繊維での補強材を有していることが好ましい。ブラダ50の外部表面54は、鋼などの高強度補強材から構成されていることが好ましいコード層56である。複数の鋼製コードは平行であって、組み立てられた状態では環状のブラダ50の周方向に対して小さい角度に向けられている。補強材の角度は、周方向に対して計測した場合に、約0度から約90度の範囲、より好ましくは、約30度から60度の範囲であることがより好ましい。鋼製コードの2つの層が存在することが好ましい。1つまたは2つ以上の補強層は、ブラダ50の幅の約2/3の幅を有している。ブラダ50の両端部は、環状の支持フランジ60内の2つの受け入れ部分55に受け入れられる2つのゴム製の脚52を有することが好ましい。図5と図7とは、膨脹した状態でタイヤTの一部に係合しているブラダ50を示しているのに対して、図6と図8は、膨脹していない状態のブラダ50を示している。環状の支持フランジ60は、ブラダ50に空気を供給する1つまたは2つ以上の周方向に離れている複数の内部通路62を有している。
【0026】
動作中は、クレーンまたは他の持ち上げ装置は空のタイヤ取り出しリング10をタイヤ製造ドラムの近くまで持ち上げる。タイヤ取り出しリング10の中心がタイヤ製造ドラム上で製造されたタイヤTの中心に揃うまでタイヤ取り出しリング10を下降させる。それからタイヤ取り出しリング10はタイヤTの外側円周部分に摺動してかぶせられる。それから取り出しリング10のブラダ50をタイヤTに完全に係合するまで膨脹させ、タイヤ製造ドラムをより小さい直径位置になるまで作動させる。それからタイヤ取り出しリング10はタイヤTをタイヤ製造ドラムから取り外す。
【0027】
本発明の変形例が本明細書に示している説明の観点から可能である。対象としている発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態と詳細とを示しているが、当業者には対象としている発明の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更と修正が可能であることが明らかになるであろう。そのため、当然のことながら、添付の特許請求の範囲で定めている本発明の意図した完全な範囲において、説明している特定の実施形態の変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 タイヤ取り出しリング
12 弓状の区分
13 フランジ付き端部のある弓状の区分
14 フランジ付き端部
16 フランジ付き端部の穴
18 支持ロッド
20 支持ロッドの外側の環状表面
30 三脚支持スタンド
31 J字形状のフックの内部
32 J字形状のフック
34 支持脚
40 保持アーム
50 ブラダ
52 ゴム製の脚
54 ブラダの外部表面
55 受け入れ部分
56 コード層
60 環状の支持フランジ
62 環状の支持フランジの内部通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側表面と外側表面とを有している支持部材と、
環状の前記支持部材に取り付けられている支持フランジと、を有し、
前記支持フランジは前記支持フランジに取り付けられた膨脹可能なブラダを有しており、前記膨脹可能なブラダが、タイヤを支持する膨脹している状態と前記タイヤを取り外す膨脹していない状態とを有することを特徴とする、タイヤ支持装置。
【請求項2】
前記支持部材は環状であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項3】
前記支持フランジは環状であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項4】
前記膨脹可能なブラダは環状であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記外側表面に取り付けられた、対向している複数のトラニオンを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項6】
前記膨脹可能なブラダは繊維での補強材を有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項7】
前記補強材は、周方向に対して0から90°の範囲の角度であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ支持装置。
【請求項8】
前記膨脹可能なブラダの前記外側表面はコードでの補強材の層を有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項9】
前記コードでの補強材は鋼であることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ支持装置。
【請求項10】
第1と第2の支持スタンドをさらに有し、該タイヤ支持装置は前記第1と第2の支持スタンド内に回転可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ支持装置。
【請求項11】
環状の前記支持フランジは前記支持部材の前記内側表面に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−126135(P2012−126135A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267625(P2011−267625)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】