説明

タイヤ空気圧監視システム

【課題】タイヤ空気圧監視システムにおいて、通信方式を変更可能なシステムを供給する。
【解決手段】ツール30を通じて指令信号Sor1をTPMS受信機10に送信することで、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式が変更出来るシステムとする。これにより、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式を車両メーカや仕向け地に合わせることができ、バルブ20及びTPMS受信機10を複数種類用意する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ空気圧監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるシステムとして、各タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が知られている。タイヤ空気圧監視システムは、各タイヤにセンサユニットを取り付け、センサユニットから無線により送信されるタイヤ空気圧信号に基づきタイヤの空気圧を監視する。センサユニットには、自らが定期的にタイヤ空気圧信号を送信する方式と、車載装置からの電波をトリガとしてタイヤ空気圧信号を送信する方式とがある。車載装置は、タイヤ空気圧信号を受信したとき、タイヤ空気圧を読み取り、タイヤ空気圧の異常を検出すると、そのタイヤ位置を運転者に通知する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−335115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、タイヤ空気圧監視システムにおいては、センサユニットと車載装置(正確には受信機)との間で通信方式が合わされている。この通信方式とは、周波数、フレーム長、ビットレート、データレート等から構成される方式である。通信方式が合わされることでセンサユニット及び受信機間での通信が可能となる。しかし、この通信方式は、車両メーカ、仕向け地(販売国)等によって異なるものが採用されている。このため、通信方式に対応する複数組のセンサユニット及び受信機を用意する必要があった。
【0005】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信方式を変更することができるタイヤ空気圧監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、車両の各タイヤに取り付けられるセンサユニット及び車載装置間での無線通信に際して第1の通信方式が利用されるとともに、前記センサユニットはタイヤの空気圧情報を含む無線信号を送信し、前記車載装置はその無線信号に基づき前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記センサユニット及び前記車載装置の何れか一方は、外部ツールとの間で通信可能とされ、当該通信をトリガとして前記センサユニット及び前記車載装置において利用される通信方式を前記第1の通信方式から第2の通信方式に変更することをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、外部ツールによってセンサユニット及び車載装置において利用される通信方式が第1の通信方式から第2の通信方式に変更される。これにより、センサユニット及び車載装置の通信方式を車両メーカや仕向け地に合わせることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記外部ツールは、第2の通信方式への変更を要求する旨の第1の指令信号を前記車載装置に送信し、前記車載装置は、前記第1の指令信号を受信すると、同第1の指令信号と同様の変更を要求する旨の第2の指令信号を前記各センサユニットに送信した後に、自身の利用する通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、前記センサユニットは、前記第2の指令信号を受信すると、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更することをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、外部ツールを通じて第1の指令信号を車載装置に送信することで、センサユニット及び車載装置にて通信方式が第1の通信方式から第2の通信方式に変更される。このとき、ユーザは、外部ツールを通じて車載装置に第1の指令信号を送信するだけでよく、容易に通信方式の変更が可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記各センサユニットは、前記第2の指令信号を受信すると、応答信号を前記車載装置に送信したうえで、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、前記車載装置は、前記第2の指令信号の送信後に前記全てのセンサユニットからの応答信号を受信したとき、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、前記第2の指令信号の送信後に前記全てのセンサユニットからの前記応答信号を受信しないとき、再度、前記第2の指令信号を送信することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、車載装置は、全てのセンサユニットからの応答信号を受信したとき、自身の通信方式を第1の通信方式から第2の通信方式に変更する。また、車載装置は、第2の指令信号の送信後に全てのセンサユニットからの応答信号を受信しないとき、再び、第2の指令信号を送信する。これにより、何らかの理由でセンサユニットが第2の指令信号を受信できなかった場合であっても、そのセンサユニットの通信方式が変更されない事態を抑制できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記外部ツールは、第2の通信方式への変更を要求する旨の第3の指令信号を前記センサユニットに送信し、前記各センサユニットは、前記第3の指令信号を受信すると、同第3の指令信号と同様の変更を要求する旨の第4の指令信号を前記車載装置に送信した後に、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、前記車載装置は、前記全てのセンサユニットからの前記第4の指令信号を受信したとき、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更することをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、外部ツールを通じて第3の指令信号をセンサユニットに送信することで、センサユニット及び車載装置において利用される通信方式を第1の通信方式から第2の通信方式に変更することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記車載装置は、自身の通信方式の変更が完了したとき、その旨を示す完了信号を、前記外部ツールを介して若しくは直接に前記各センサユニットに送信し、前記各センサユニットは、前記第4の指令信号を前記車載装置に送信した後であって、前記完了信号を受信したとき自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、センサユニットは、車載装置の通信方式の変更が完了したことを、完了信号を通じて認識したとき、自身の通信方式を変更する。これにより、センサユニットの通信方式を車載装置に確実に合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タイヤ空気圧監視システムにおいて、通信方式を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態におけるタイヤ空気圧監視システムの構成図。
【図2】第1の実施形態におけるツール、車載制御部及びコントローラの処理手順を示したフローチャート。
【図3】第3の実施形態におけるタイヤ空気圧監視システムの構成図。
【図4】第3の実施形態におけるツール制御部、車載制御部及びコントローラの処理手順を示したフローチャート。
【図5】第4の実施形態におけるツール制御部、車載制御部及びコントローラの処理手順を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化したタイヤ空気圧監視システムの第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、車両1には、各タイヤ2(2a〜2d)の空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム3が搭載されている。タイヤ空気圧監視システム3は、各タイヤ2a〜2dのバルブ20から無線により送信されるタイヤ空気圧信号Stpに基づき各タイヤ2a〜2dの空気圧を監視する。そして、タイヤの空気圧に異常があると、そのタイヤ位置をインジケータに表示する。以下、具体的にタイヤ空気圧監視システム3の構成について説明する。
【0020】
(バルブ)
図1の下側に拡大して示すように、バルブ20には、その動作を制御するコントローラ21が搭載されている。コントローラ21は、例えばICチップから構成されている。コントローラ21には、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を送信可能なUHF送信機24と、LF(Low Frequency)帯の電波を受信可能なLF受信機23と、複数の通信方式(通信方式A〜F)が記憶されるメモリ22と、タイヤ2の空気圧を検出する圧力センサ25とが接続されている。ここで、通信方式とは、周波数、フレーム長、ビットレート、データレート等から構成される方式である。コントローラ21は、メモリ22に記憶される複数の通信方式A〜Fのうち、利用する通信方式を何れかに設定する。なお、バルブ20はセンサユニットに相当する。圧力センサ25は、検出結果をコントローラ21に出力する。
【0021】
車体の左右前後の各タイヤハウスには、バルブ20にLF帯の無線信号であるトリガ信号Sstを送信可能なイニシエータ18が取り付けられている。各バルブ20にはイニシエータ18からトリガ信号Sstが送信される。LF受信機23は、トリガ信号Sstを受信して、それをコントローラ21に出力する。コントローラ21は、トリガ信号Sstを認識すると、圧力センサ25の検出結果を含むタイヤ空気圧信号Stpを生成して、それをUHF送信機24に出力する。UHF送信機24は、トリガ信号SstをUHF帯の無線信号として送信する。
(車両)
車両1には、バルブ20から送信されたタイヤ空気圧信号Stpを車体側において受信するタイヤ空気圧監視システム3の受信機(以降、TPMS受信機10と記す)が設けられている。TPMS受信機10は、自身の動作を制御する車載制御部11と、UHF帯の電波を受信可能なUHF受信機13と、複数の通信方式(通信方式A〜F)が記憶されるメモリ12とを備える。車載制御部11は、複数の通信方式A〜Fのうち、利用する通信方式を何れかに設定する。
【0022】
ここで、コントローラ21及び車載制御部11で利用される通信方式は同一のものである。コントローラ21及び車載制御部11間で通信方式が異なれば、コントローラ21又は車載制御部11は、トリガ信号Sst又はタイヤ空気圧信号Stpを正常に認識することができない。この結果、TPMS受信機10及びバルブ20間で通信を行うことができないからである。なお、TPMS受信機10は、車載装置に相当する。
【0023】
TPMS受信機10には、車内インストルメントパネルに設置されるメータ14が接続されている。また、車載制御部11には、上述した各タイヤに対応するイニシエータ18が接続されている。
【0024】
車載制御部11は、特定のタイミング毎に、各イニシエータ18を介して順にトリガ信号Sstを送信する。このトリガ信号Sstは、イニシエータ18に対応するバルブ20にのみ送信される。バルブ20は、上述のように、トリガ信号Sstを受けると、タイヤ空気圧信号Stpを送信する。
【0025】
UHF受信機13は、タイヤ空気圧信号Stpを受信して、それを車載制御部11に出力する。車載制御部11は、各バルブ20からのタイヤ空気圧信号Stpに含まれるタイヤ空気圧情報を認識する。そして、車載制御部11は、そのタイヤ空気圧情報に基づき、空気圧に異常があればその旨をメータ14にて通知する。
【0026】
ここで、車両メーカや仕向け地毎に採用される通信方式は異なる。本例では、ツール30を使用して、車両メーカ等に合わせて、TPMS受信機10及びバルブ20の通信方式を変更する。ツール30は、TPMS受信機10の接続ポート19に有線接続される。また、ツール30は、スイッチ30aを備え、そのスイッチ30aの操作に基づき、車載制御部11に通信方式の変更を要求する旨の指令信号を出力する。
【0027】
以下、TPMS受信機10及びバルブ20の通信方式を、通信方式Aから通信方式Bに変更する方法について図2のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、製造時には、例えば、TPMS受信機10及びバルブ20の通信方式は通信方式Aに設定されているとする。
【0028】
通信方式を変更するにあたって、TPMS受信機10の接続ポート19にツール30が有線接続される。図2のフローチャートは、接続ポート19にツール30が接続された旨認識されたとき開始される。
【0029】
車載制御部11は、まずツール30の認証を行う(S101)。そして、車載制御部11は、その認証が成立したとき、ツール30との通信を許可する(S102)。ツール30は、そのスイッチ30aの操作に基づき、通信方式Bへの変更を要求する旨の指令信号Sor1を車載制御部11に出力する(S103)。
【0030】
車載制御部11は、指令信号Sor1を受けると、イニシエータ18を通じて各バルブ20に順に通信方式Bへの変更を要求する旨の指令信号Sor2を送信する(S104)。なお、このとき送信される指令信号Sor2は通信方式Aが利用されている。車載制御部11は、指令信号Sor2を送信した後、メモリ12に予め記憶された通信方式A〜Fのうち、利用する通信方式を通信方式Aから通信方式Bに変更する(S105)。
【0031】
コントローラ21は、指令信号Sor2を受けると、メモリ22に予め記憶された通信方式A〜Fのうち、利用する通信方式を通信方式Aから通信方式Bに変更する(S106)。この変更は、各バルブ20において行われる。これにより、TPMS受信機10及び全てのバルブ20の通信方式の変更が完了して、図2のフローチャートが終了される。以後、TPMS受信機10及びバルブ20間で通信方式Bを利用した通信が可能となる。
【0032】
なお、その他の通信方式間で変更される場合も上記と同様である。この場合、指令信号Sor1,Sor2において変更を要求する通信方式が上記とは異なる。また、指令信号Sor1は第1の指令信号に相当し、指令信号Sor2は第2の指令信号に相当する。
【0033】
タイヤ2が交換される際には、それに伴ってバルブ20も変わる。このとき、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式が異なる場合がある。この場合には、まず、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式は、予め設定される初期状態に戻される。具体的には、新たなバルブ20が通信方式Cに設定され、TPMS受信機10が通信方式Bに設定されている場合、まず、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式を初期状態、例えば、通信方式Aとする。その後、上述のように、車両メーカなどに合わせてバルブ20及びTPMS受信機10の通信方式を変更する。
【0034】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)ツール30を通じて指令信号Sor1をTPMS受信機10に送信することで、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式が変更される。これにより、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式を車両メーカや仕向け地に合わせることができる。よって、各通信方式に対応したバルブ20及びTPMS受信機10を複数種類用意する必要がない。
【0035】
(2)ユーザは、ツール30を通じて指令信号Sor1を車載制御部11に送信するだけで、以降、車載制御部11及びコントローラ21間で通信方式の変更が実行される。このため、ツール30を複数のバルブ20との間で通信を行う手間がない。よって、より容易に通信方式を変更することが可能となる。
【0036】
(3)ツール30及びTPMS受信機10は有線で接続されているところ、ツール30からの指令信号Sor1を確実にTPMS受信機10のみに送信することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態のタイヤ空気圧監視システムは、全バルブについて通信方式が変更されたことが確認されたときにTPMS受信機10において通信方式を変更する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態のタイヤ空気圧監視システムは、図1に示す第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムとほぼ同様の構成を備えている。
【0037】
本実施形態においては、図2のフローチャートにおいて破線で示したステップS201〜S204の処理が追加される。
詳しくは、コントローラ21は、ステップS104において送信された指令信号Sor2を受けると、UHF送信機24を通じて応答信号Sreを送信する(S201)。そして、コントローラ21は通信方式を、例えば通信方式Aから通信方式Bに変更する(S106)。この応答信号Sreは、変更前の通信方式、例えば通信方式Aで送信される。車載制御部11は、指令信号Sor2の送信後(S104)、全バルブ20からの応答信号Sreを受信したか否かを判断する(S202)。このとき、車載制御部11は、通信方式を例えば通信方式Aから変更していないため、通信方式Aにて送信される応答信号Sreを認識することができる。
【0038】
車載制御部11は、全てのバルブ20から計4つの応答信号Sreを受信したとき(S202でYES)、通信方式を、例えば通信方式Aから通信方式Bに変更する(S105)。そして、車載制御部11は、ツール30に通信方式の変更が完了した旨の完了信号Sfi1を送信する(S203)。ツール30は、完了信号Sfi1を受信すると、TPMS受信機10及びバルブ20間での通信方式の変更が完了したとして、インジゲータ(図示略)を通じてその旨を表示する(S204)。これにて、当該フローチャートは終了する。
【0039】
一方、車載制御部11は、全バルブ20から計4つの応答信号Sreを受信しないとき(S202でNO)、再度、各バルブ20に指令信号Sor2を送信する(S104)。これにより、所定のバルブ20が何らかの理由により、最初の指令信号Sor2を受信できなかった場合であっても、再度、指令信号Sor2が送信されて、そのバルブ20についても通信方式の変更が行われる。
【0040】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の作用効果を奏することができる。
(4)TPMS受信機10は、全てのバルブ20からの応答信号Sreを受信したとき、自身の通信方式を変更する。一方、TPMS受信機10は、応答信号Sreの返信がないバルブ20が存在するとき、再び、指令信号Sor2を送信する。これにより、何らかの理由でバルブ20が指令信号Sor2を受信できなかった場合であっても、そのバルブ20の通信方式が変更されない事態を抑制できる。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図3及び図4を参照しつつ説明する。この実施形態のタイヤ空気圧監視システムにおいて、ツールは、バルブ及びTPMS受信機の両者との間での無線通信を通じてバルブ及びTPMS受信機の通信方式を変更する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態のタイヤ空気圧監視システムは、図1に示す第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムとほぼ同様の構成を備えている。
【0042】
図3に示すように、ツール30には、自身の動作を制御するツール制御部31が搭載されている。このツール制御部31には、スイッチ30a、メモリ32及び送受信機33が接続されている。メモリ32は、上記メモリ12,22と同様に、複数の通信方式(通信方式A〜F)が記憶されている。ツール30は、各通信方式A〜Fを利用した無線信号の送受信が可能である。
【0043】
送受信機33は、イニシエータ18からのLF帯の無線信号を受信して、それをツール制御部31に出力する。また、送受信機33は、ツール制御部31が生成した信号をLF帯の無線信号としてバルブ20に送信する。
【0044】
つぎに、TPMS受信機10、バルブ20及びツール30(正確には、車載制御部11、コントローラ21及びツール制御部31)の処理手順について図4のフローチャートを参照しつつ説明する。第1の実施形態と同様に、TPMS受信機10及びバルブ20の通信方式を、通信方式Aから通信方式Bに変更する場合について代表して説明する。その他の通信方式間で通信方式を変更する場合も同様である。
【0045】
さて、ツール制御部31は、スイッチ30aの操作に基づき、通信方式Bへの変更を要求する旨の指令信号Sor3を各バルブ20に送信する(S301)。このときの指令信号Sor3は、通信方式Aを利用して送信される。各コントローラ21は、この指令信号Sor3を受信すると、同じく通信方式Bへの変更を要求する旨の指令信号Sor4をTPMS受信機10に送信する(S302)。
【0046】
車載制御部11は、全バルブ20からの指令信号Sor4を受信するのを待って(S303でNO)、全バルブ20から計4つの指令信号Sor4を受信したとき(S303でYES)、通信方式を通信方式Aから通信方式Bに変更する(S304)。そして、車載制御部11は、通信方式の変更が完了した旨の完了信号Sfi2をツール30に送信する(S305)。
【0047】
ツール制御部31は、完了信号Sfi2を受信すると、車載制御部11において通信方式の変更が完了した旨の完了信号Sfi3を各バルブ20に送信する(S306)。このときの通信方式は変更前の通信方式Aである。コントローラ21は、完了信号Sfi3を受信したとき(S307)、通信方式を通信方式Aから通信方式Bに変更する(S308)。
【0048】
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の作用効果を奏することができる。
(5)バルブ20は、TPMS受信機10の通信方式の変更が完了したことを、完了信号Sfi3を通じて認識したとき、自身の通信方式を変更する。これにより、バルブ20の通信方式をTPMS受信機10に確実に合わせることができる。
【0049】
(6)ツール30は、バルブ20及びTPMS受信機10の両者との間での無線通信を通じて、バルブ20及びTPMS受信機10の通信方式の変更を行う。このように、無線にて通信方式の変更が可能となるため、ツール30をTPMS受信機10等に接続する手間が省ける。
【0050】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図5を参照しつつ説明する。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
図5のフローチャートにおけるステップS401〜S403においては、図4のステップS301〜S303と同じ処理が行われる。車載制御部11は、全てのバルブ20から指令信号Sor4を受けると(S403でYES)、その旨の確認信号Skaを各バルブ20に順番に送信するとともに(S404)、通信方式の変更を行う(S405)。この確認信号Skaは、変更前の通信方式にて送信される。コントローラ21は、確認信号Skaを受信したとき(S406)、通信方式を変更する(S407)。そして、コントローラ21は、完了信号Sfi4をツール30に送信する(S408)。ツール制御部31は、全バルブ20からの完了信号Sfi4を受信すると、TPMS受信機10及びバルブ20間での通信方式の変更が完了したとして、インジゲータ等を通じてその旨を表示する(S409)。
【0052】
なお、指令信号Sor3は第3の指令信号に相当し、指令信号Sor4は第4の指令信号に相当する。
以上、説明した実施形態によれば、特に、以下の作用効果を奏することができる。
【0053】
(7)各バルブ20は、TPMS受信機10からの確認信号Skaを通じてほぼ同時に通信方式が変更される。従って、ツール30と、TPMS受信機10及びツール30との間の通信が通信方式の変更の途中で中断された場合であっても、バルブ20毎の通信方式が異なってしまうことが抑制される。
【0054】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第2の実施形態においては、車載制御部11は、応答信号Sreの返信がないバルブ20が存在するとき(S202でNO)、再度、全バルブ20に指令信号Sor2を送信していた(S104)。この2回目の指令信号Sor2は、応答信号Sreの返信がないバルブ20に限って送信してもよい。ここで、車載制御部11は、各イニシエータ18を通じて順に指令信号Sor2を送信する。このため、車載制御部11は、応答信号Sreの有無に基づき何れのイニシエータ18に対応するバルブ20について通信方式の変更が行われたか、すなわち、何れのバルブ20について通信方式の変更が行われていないかを認識することができる。車載制御部11は、通信方式の変更が行われていないバルブ20に対応するイニシエータ18を通じて指令信号Sor2を再送する。本構成によれば、指令信号Sor2が無駄なく送信される。
【0055】
・第2の実施形態におけるステップS203における完了信号Sfi1の送信に係る処理は省略されてもよい。
・第1及び第2の実施形態におけるツール30及び車載制御部11の接続は有線でなく、無線であってもよい。この場合、ツール30からUHF帯の無線信号である指令信号Sor1が送信される。車載制御部11は、UHF受信機13を通じて受信した指令信号Sor1を認識する。これにより、ツール30を車載制御部11に接続する手間が省ける。この場合、ステップS101,S102が省略される。
【0056】
・第3の実施形態において、車載制御部11は全バルブ20からの指令信号Sor4を受信しないとき(S303でNO)、図4の破線で示すように、リトライ要求信号をバルブ20に送信してもよい。バルブ20のコントローラ21は、リトライ要求信号を受けると、再び指令信号Sor4を送信する(S302)。これにより、TPMS受信機10は、バルブ20からの指令信号Sor4をより確実に受けて、通信方式を変更することができる。
【0057】
・第3の実施形態におけるステップS308の通信方式の変更後、バルブ20及びTPMS受信機10間で通信方式の整合が取られているかを確認してもよい。この場合、コントローラ21は、通信方式の変更後に、その通信方式にて確認信号を送信する。車載制御部11は、確認信号を受信すると、応答信号を送信する。コントローラ21は、応答信号を受信すると、バルブ20及びTPMS受信機10間で通信方式の整合が取られている旨判断する。コントローラ21は、応答信号を受信できない場合、バルブ20及びTPMS受信機10間で通信方式の整合が取られていないとして、その旨の通知信号をツール30に送信する。ツール制御部31は、当該通知信号を受信すると、その旨をインジゲータ等を通じてユーザに通知する。これにより、ユーザは、再度、通信方式の変更を試みる等の対策を講じることができる。
【0058】
・第3の実施形態におけるステップS305〜307の処理を省略してもよい。この場合、コントローラ21は、指令信号Sor4の送信後、すぐに通信方式を変更する。本構成によれば、完了信号Sfi2,Sfi3の送受信に係る処理が低減される。
【0059】
・第3の実施形態において、ステップS305において送信される完了信号Sfi2は、変更前の通信方式で送信されてもよい。すなわち、ステップS304,S305の処理順序を逆にしてもよい。この場合、車載制御部11は、完了信号Sfi2の送信後に、通信方式を変更する。
【0060】
・上記各実施形態における指令信号Sor1〜Sor4、完了信号Sfi1〜Sfi4にIDコードを含ませてもよい。ツール30、バルブ20又はTPMS受信機10は、上記各種信号を受けたとき、その信号に含まれるIDコードの照合が成立したとき、正規の信号であるとして以降の処理を行う。これにより、セキュリティ性が向上する。
【0061】
・上記各実施形態においては、バルブ20は、トリガ信号Sstを受けたとき、タイヤ空気圧信号Stpを送信していた。しかし、バルブ20は、トリガ信号Sstを受けることなく、一定周期毎にタイヤ空気圧信号Stpを送信してもよい。本構成においても、LF受信機23及びイニシエータ18は、通信方式の変更に利用されるため省略されない。
【0062】
・上記各実施形態においては、車載制御部11及びメモリ12は、TPMS受信機10に内蔵されていたが、車載制御部11及びメモリ12はTPMS受信機10と別個に設けられていてもよい。
【0063】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜5の何れか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記センサユニットは前記車載装置からのトリガ信号に応じてタイヤの空気圧情報を含む無線信号を送信するタイヤ空気圧監視システム。
【0064】
上記構成のタイヤ空気圧監視システムにおいては、車載装置及びセンサユニット間で双方向通信が可能である。この構成を利用して外部ツールにより車載装置及びセンサユニットの通信方式を変更することができる。
【符号の説明】
【0065】
2(2a〜2d)…タイヤ、3…タイヤ空気圧監視システム、10…TPMS受信機、11…車載制御部、20…バルブ、21…コントローラ、30…ツール、31…ツール制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各タイヤに取り付けられるセンサユニット及び車載装置間での無線通信に際して第1の通信方式が利用されるとともに、前記センサユニットはタイヤの空気圧情報を含む無線信号を送信し、前記車載装置はその無線信号に基づき前記タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記センサユニット及び前記車載装置の何れか一方は、外部ツールとの間で通信可能とされ、当該通信をトリガとして前記センサユニット及び前記車載装置において利用される通信方式を前記第1の通信方式から第2の通信方式に変更するタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記外部ツールは、第2の通信方式への変更を要求する旨の第1の指令信号を前記車載装置に送信し、
前記車載装置は、前記第1の指令信号を受信すると、同第1の指令信号と同様の変更を要求する旨の第2の指令信号を前記各センサユニットに送信した後に、自身の利用する通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、
前記センサユニットは、前記第2の指令信号を受信すると、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更するタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記各センサユニットは、前記第2の指令信号を受信すると、応答信号を前記車載装置に送信したうえで、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、
前記車載装置は、前記第2の指令信号の送信後に前記全てのセンサユニットからの応答信号を受信したとき、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、前記第2の指令信号の送信後に前記全てのセンサユニットからの前記応答信号を受信しないとき、再度、前記第2の指令信号を送信するタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記外部ツールは、第2の通信方式への変更を要求する旨の第3の指令信号を前記センサユニットに送信し、
前記各センサユニットは、前記第3の指令信号を受信すると、同第3の指令信号と同様の変更を要求する旨の第4の指令信号を前記車載装置に送信した後に、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更し、
前記車載装置は、前記全てのセンサユニットからの前記第4の指令信号を受信したとき、自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更するタイヤ空気圧監視システム。
【請求項5】
請求項4に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記車載装置は、自身の通信方式の変更が完了したとき、その旨を示す完了信号を、前記外部ツールを介して若しくは直接に前記各センサユニットに送信し、
前記各センサユニットは、前記第4の指令信号を前記車載装置に送信した後であって、前記完了信号を受信したとき自身の通信方式を前記第1の通信方式から前記第2の通信方式に変更するタイヤ空気圧監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−144083(P2012−144083A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2361(P2011−2361)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】