説明

タイル状ディスプレイシステムおよびその改善方法

【課題】継ぎ目をカムフラージュするための画像形成システムおよびその改善方法を提供する。
【解決手段】離れた所から視聴した場合に視覚的な継ぎ目がカムフラージュされるように、合成画像のうちギャップに隣接する領域の1つ以上の発光特性を修正する、またはギャップの間隔に一致するパターンを合成画像中に生成する、ことの少なくとも1つによって、タイル状ディスプレイシステムにおける複数の構成可能なディスプレイデバイスにより、もしくはディスプレイデバイスおよび周辺環境との間により表示される合成画像のエッジ混合のための画像形成システムとその改善方法を提供する。発光特性は、例えば、明度および/または色彩であればよく、パターンは、例えば、ギャップの間隔と一致する格子パターンであればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、一般的に云えば、合成画像の各部分を生成するための、タイル状パターンに配置された複数のディスプレイを有するタイル状ディスプレイに関連するものであり、さらに特に云えば、継ぎ目をカムフラージュするための画像形成システムおよびその改善方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
情報を表示するために用いられる投影型ディスプレイなどの画像形成システムには、数多くの適用分野および潜在的な適用分野が存在している。そのような適用分野としては、一般的な屋内看板(例えば、ショッピングモール、アーケードなど)、交通標識(例えば、発車/出発時間など)、オフィスビルのロビーの標識、制御室、レストランの看板などがあるが、これらに制限されるものではない。
【0003】
投影型ディスプレイ産業で現在の主流であるパラダイムは、より高い解像度でより高い光出力(ルーメン)を得、かつ漸次コストを下げるという観点から、改善がなされなければならない、というものである。このパラダイムは、最低限の個数のプロジェクタを用いて、許容できる画質と明度とを有するより大きなディスプレイを開発するためには、高解像度と高出力が不可欠であるとの概念に基づいている。この現在のパラダイムは、産業界の目的によくかなってはいるが、多くの欠点もある。すなわち、高い解像度に関連する大幅なコスト高、電球/パネル設計に起因するプロジェクタ解像度の制限、重量の増加、費用の増大、および、高出力の照明に対応して必要となる冷却システムに付随してくるノイズの増大である。
【0004】
"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書は、合成画像の各部分を生成するための複数のディスプレイデバイスを有するタイル状ディスプレイシステムを説明している。各ディスプレイデバイスは、種々のサイズの多様な幾何学的形状に配置できるように、少なくとも1つの他のディスプレイと接続するための結合機構を含む。当該ディスプレイデバイスは、制御信号の分配や任意の形やサイズを有するディスプレイデバイスのアレイ上のコンテンツを自己管理する機能を有する。「アレイ」との用語は、この明細書では広義に用いられ、ディスプレイデバイスを相互接続する任意の配置を意味し、複数のディスプレイデバイスが長方形に配置されることには限定されない。
【0005】
隣接するディスプレイデバイス相互の間、もしくはディスプレイデバイスと周辺環境(例えば、壁や後ろ側の構造物など)との間に物理的な空間があるために生じるギャップは、その位置における発光の急激な変化に起因して、合成画像に視覚的な「継ぎ目」を生じさせる。この視覚的に気を散らさせるアーチファクトは、隣接するディスプレイデバイス相互の間、もしくはディスプレイデバイスと周辺環境との間の隙間を最小化することで、いくらか軽減することができる。しかし、これらのギャップ、およびこれによって生じる視覚的な継ぎ目のアーチファクトは、完全には除去できないことがよく理解されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開公報第2008/0284675号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下により詳細に説明されるように、本発明の画像形成システムとその改善方法は、離れた所から視聴した場合に視覚的な継ぎ目がカムフラージュされるように、ギャップに隣接する合成画像の領域における発光特性を変更すること、または、ギャップの間隔と一致するパターンを合成画像中に生成することの少なくとも1つによって、タイル状ディスプレイシステムの隣接するディスプレイデバイス相互間、もしくはディスプレイデバイスおよび周辺環境との間で合成画像のエッジを混合することを意図している。発光特性は、例えば、明度および/または色彩であり、パターンは、例えば、ギャップの間隔と一致する格子パターンである。
【0008】
本発明は、所定の領域にわたって光放射強度を平均化するという人間の目の知覚特性に基づいている。例えば、CRTスクリーンは低いアパーチャ比を有し、ピクセルサイズは約1mmであるが、ある程度の視聴距離があると、個々の明暗領域は識別されにくくなる。発明者らは、これと同じ原則を、隣接するディスプレイデバイス相互の間、もしくはディスプレイデバイスと周辺環境の間の継ぎ目にも適用できることに着目した。従って、以下に詳細に記載するように、継ぎ目で光が欠損しているのを補償するために、継ぎ目に隣接するディスプレイ素子の出力特性を変更する(例えば、明度をより上げる)ことができる。
【0009】
1つの実施形態において、ギャップもしくは継ぎ目は、隣接するディスプレイデバイス間のエッジに沿ってより明度の高い合成画像を作成することによってマスクもしくはカムフラージュされる。このため、解像度の限度内で、合成画像は、ギャップ中の光欠損している領域と隣接する明度の高い領域とのほぼ平均として知覚される。明度の高いエッジの厳密な構成は、合成画像のコンテンツに依存し、ランダムもしくは規則的なパターンを通して与えられる。相対的な明度は、さらにタイル状ディスプレイシステムからの視聴者の距離に依存して調整することもできる。
【0010】
他の態様と利点について、当業者は、添付の図面を参照して以下により完全に記載および請求されている詳細な構成および操作を基にすれば、十分に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の動作に関連する、複数のディスプレイデバイスを備えるタイル状ディスプレイシステムの実施例を示すブロック図
【図2】図1のタイル状ディスプレイシステムに係るディスプレイデバイス、入力モジュール、およびシステムコントローラの配置を示すブロック図
【図3】複数のディスプレイデバイスからなるタイル状ディスプレイシステムと、その隣接するディスプレイデバイス間のエッジに沿ったギャップにより作り出される視覚的な継ぎ目を示す図
【図4】図3のタイル状ディスプレイデバイスにおいて、継ぎ目をカムフラージュする方法のフローチャートを示す図
【図5】継ぎ目に隣接する領域に規則的なノイズおよび/または断続的なノイズを導入することでカムフラージュされる視覚的な継ぎ目を詳細に示す図
【図6】A,B,Cは、他の実施形態に係る隣接するディスプレイデバイス間のギャップの間隔と一致する、図1のタイル状ディスプレイシステム上に合成画像内に生成するパターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の図面を参照しつつ、好ましい実施形態の詳細な説明を下記に述べる。
【0013】
本発明に係る継ぎ目をカムフラージュするための画像形成システムおよび改善方法の実施形態を説明する前に、本発明を適用可能なタイル状ディスプレイシステムの例を説明することは有益である。そのために、"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書に記載されたタイル状ディスプレイシステムを図1に示す。このシステムは、複数のディスプレイデバイスもしくはアレイ形状に組み立てられた投影ヘッド1を備える。ケーブル5は、ディスプレイデバイス1を任意の配列で接続するために用いられる。1つの実施形態によれば、コマンドメッセージがビデオデータストリームのブランキング区間に埋め込まれている。
【0014】
当業者であれば、米国特許公開公報第2008/0284675号明細書に記載されているものだけでなく、タイル状LCD,CRT,OLED,LEDディスプレイなど、他のタイプのタイル状ディスプレイシステムにも、本発明が適用可能であることを十分に理解するであろう。そのため、ここでの「ピクセル」もしくは「複数のピクセル」との記載はすべて、そのようなタイプのタイル状ディスプレイシステムのディスプレイもしくは画像素子を含むと理解される。
【0015】
各ディスプレイデバイス1は、照明エンジンおよび電気回路を含む。電気回路は、例えば、マイクロプロセッサ、RAMフレームバッファ、および画像キャプチャ、サイズ変更、カラーマッチング、エッジブレンディングなどを提供するためのビデオプロセッシングである。ケーブル5を介して隣接するディスプレイデバイス1から受信したデータは、バッファされ、例えば、直列接続された隣のディスプレイデバイス1に再送信される。ビデオプロセッシング電気回路は、好ましくは、サブ画像キャプチャと、サイズ変更、カラーマッチング、エッジブレンディング、均一性補正、および2Dキーストーニングのためのモジュールを含むことが好ましい。また、"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書により詳細に記載されているように、色彩、明度、および画像の均一性は、ディスプレイデバイス1と、インテリジェントな明度および色彩制御との間のインテリジェントな自己アライメントを用いて達成することができる。
【0016】
少なくとも1つのシステム制御および電力供給装置7は、電力(例えば、48V DC)を供給するためにディスプレイデバイス1の1つの使用可能なポートに接続され、相互接続されたディスプレイデバイス1の構成を自動的に検出することを容易にする。典型的には、システム制御および電力供給装置7は、少なくとも1つのイーサネット、USBおよび/またはユーザインターフェース(図示せず)への赤外線ポートを含み、完全フレーム静止画像を生成する。これはすなわち、SD(Secure Digital)フラッシュカードからディスプレイのフレームバッファへ画像コンテンツを送信することである。システム制御および電力供給装置7は、同様にOSD(on-screen display)オーバーレイを実装する。OSDにより、ユーザはスクリーン上でディスプレイ設定を見たり変更したりできる。
【0017】
また、少なくとも1つの入力部9は、ディスプレイデバイス1によって表示のためのビデオおよび/または画像供給源を提供するための、ディスプレイデバイス1のうちの使用可能なポートに接続されている。好ましくは、入力部9は、デインタレース走査、スケーリング、フレームレート変換などのビデオプロセッシングを行う。
【0018】
各ディスプレイデバイス1は、隣接するディスプレイデバイス(または、1つまたは複数の入力部9もしくはシステム制御部7、これらのうちのいずれかはディスプレイデバイス1と直列接続されたチェーンの中のいずれかに接続することができる)とのみ電気通信を要求し、システム制御および電力供給装置7からの電気信号パスと、各ディスプレイデバイス1および対応するケーブル5を介して各ディスプレイデバイス1まで延びる入力部9とを備える。
【0019】
"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書を参照してより詳細に議論されているように、隣接するデバイス間で相互接続されたディスプレイデバイス1に関して、各ディスプレイデバイス1の正確な配列を得るために、様々な異なる機械的な結合機構が可能である。
【0020】
1つの実施形態によれば、ディスプレイデバイスが結合機構を有する「ブロック」の形を取ることで、各ディスプレイデバイスの各表面側の突起形状に基づいてディスプレイデバイスの位置決めや配列が可能になる。上述のように、各ディスプレイデバイスを長方形の構成で配置することは要求されないため、ディスプレイ設計に関して大幅な柔軟性がもたらされる。
【0021】
そのような各ディスプレイデバイスの前面は、内蔵スクリーンを備える。小型の背面プロジェクタ(光源、電球、光学機器および関連する電子機器を含む)が、スクリーンに画像を投影するために各ディスプレイデバイス間に備えられる。本発明の実施形態によれば、光源はLEDを用いて実装されているが、レーザや他の光源を使用してもよく、当業者にとって光源の選択と実装は周知である。
【0022】
他の実施形態によると,複数のマイクロタイルの「ブロック」を設けるよりも、複数のディスプレイデバイスを「格子」として、柱状結合機構を介して接続してもよい。そのような実施形態では、内蔵スクリーンはない。むしろ、遠隔スクリーン上に画像を投影するための各ディスプレイデバイス間に、光源、電球、光学機器および関連する電子機器を含む小型の背面プロジェクタが備えられ、これにより各ディスプレイデバイスが遠隔スクリーン上に合成画像の一部を投影する。
【0023】
図2に戻ると、"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書に説明されているディスプレイデバイス1,入力モジュール9、およびシステム制御部7が配置された電子部品を示すブロック図が示されている。各ディスプレイデバイス1,入力モジュール9、およびシステム制御部7は、ビデオおよびコマンド信号を送受信し、この信号で動作するPLD/ASIC71およびフレームバッファ73を備えるビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールを実装する。各ビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールの機能回路は同じものであるが、ディスプレイデバイス1,入力モジュール9,もしくはシステム制御部7といったその「個性」に合わせてビデオおよびコマンド信号で動作する。従って、ディスプレイデバイス1のビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、デジタルアナログ変換器(DAC)75と、DVIコネクタ79を介して関連する照明エンジンにビデオ信号を送信するDVIトランスミッタ77を備えた関連するモザイクディスプレイモジュールと通信する。同様に、各入力モジュール9は、DVIコネクタ79を介してPCなどの供給源からビデオ信号を受信するDVIレシーバ81を含み、そして各システム制御部7は、ビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールを介して他のユニットとコマンド/制御メッセージを交換するCPU83を含む。
【0024】
ビデオ信号は、入力バス85を介してビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールに入力され、ビデオ信号はそこから出力バス87を介して出力される。CPUコマンド信号は、制御バス89を介して交換される。
【0025】
本発明を適用できるタイル状ディスプレイシステムに関連してタイル状ディスプレイシステムの実施例を説明してきたが、図3〜6を参照して本発明の実施形態を説明する。また、当業者は、図1および2を参照して上述されたもの、および"CONFIGURABLE IMAGING SYSTEM"と題された米国特許公開公報第2008/0284675号明細書に記載されたものだけでなく、例えば、他のタイル状ディスプレイシステムにも本発明が適用可能であることを十分に理解するであろう。
【0026】
図3は、合成画像102を表示するためのディスプレイデバイス103a,103b,103c,103dの2×2アレイを示す。視覚的な継ぎ目101は、隣接するユニットのギャップ内に光がないことに起因する合成画像102に現れる。上述したように、継ぎ目は視聴者111にとって視覚的に見栄えが悪く、および/または気を散らさせるものである。
【0027】
第1実施形態によると,ディスプレイデバイス103のビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、図2を参照して上述したように、数学的式に基づき、継ぎ目101に隣接する領域109におけるディスプレイ素子(例えば、ピクセル)の発光特性を変更するように動作する。数学的式とは、例えば、距離110から視聴された場合に、上述した人間の目の知覚特性が、継ぎ目101および領域109の間の発光特性を混合するように作用して、領域109および継ぎ目101の間の光もしくはスペクトル強度を平均化することであり、それにより継ぎ目101がカムフラージュされるものである。例えば、ディスプレイ素子の発光が、画像102の隣接部分が継ぎ目101よりも明るい領域109の部分で増加される。画像102の部分102aが他の部分102bよりも暗い場合には、継ぎ目101の局所的な明度と領域109が隣接する画像の部分102aもしくは102bの明度を平均化するように、領域109の明度は102aの隣接部分および102bの隣接部分よりも増大する。
【0028】
明暗部分が動き、変化し、および/またはフェードインやフェードアウトするなど、画像102が動的である場合は、領域109の明度もまた、領域109の明度を平均化するための画像102の隣接部分と継ぎ目101に関連して、動的に変化する隣接する画像部分102aもしくは102bを用いて動的に制御されてもよい。
【0029】
当業者はまた、カムフラージュ効果が、継ぎ目101を生じさせるギャップのサイズおよびタイル状ディスプレイシステムからの視聴者111の距離110に依存することを理解するであろう。例えば、ディスプレイデバイス103が3m(例えば、約10フィート)離れたところから検査される場合、ディスプレイデバイス103が6m(例えば、約20フィート)離れたところから検査される場合よりも、継ぎ目101はより目立ってしまう。同様に、幅の狭い継ぎ目よりも幅の広い継ぎ目の方が、通常はより目立つ。従って、明度および/または領域109のサイズは、所定の距離110および継ぎ目101の幅に基づいて調整される。
【0030】
画像102の隣接部分の明度に関連する領域109の明度は、画像102の隣接部分の明度の約10%〜50%を上回る、任意の適切な度合いであればよいが、この値には限定されない。また、相対的な明度は、ディスプレイデバイス103のディスプレイ素子(例えば、ピクセル)の大きさに依存し得る。例えば、継ぎ目101の幅がピクセルサイズの10%である場合には、領域109の明度は少なくとも画像102の一部分よりも10%明るさが落ちてしまう。
【0031】
図4は、図3を参照して上記議論された継ぎ目101をカムフラージュする方法におけるステップを示す。まず、合成画像102が生成され、ディスプレイデバイス103a, 103b,103c,103dを介して表示される(ステップ401)。次に、発光特性(例えば、明度)が、隣接する継ぎ目101の画像102の領域もしくは各領域109内で決定され(ステップ403)、かつ継ぎ目101で求められる(ステップ405)。ついで求められた発光特性は、画像102の1つまたは複数の領域109の発光特性と継ぎ目101の発光特性との間の平均をとるなどの数学的式に基づいて、1つまたは複数の領域109において調整される(ステップ407)。1つまたは複数の領域109および継ぎ目101が、継ぎ目101をカムフラージュするために十分に混合されれば(ステップ409における"イエス")、フローは終了する(ステップ411)。そうでない場合、求められた発光特性は再度1つまたは複数の領域109で調整される(ステップ407)。
【0032】
当業者は、図4の方法は、継ぎ目が画像102の隣接領域109よりも暗くなくむしろ明るい場合に継ぎ目101をカムフラージュするのに使用されてもよいということを理解するであろう。さらに、当業者は、領域109の発光特性を調整するために、単純な平均以外の数学的な関数を用いてもよいことを理解するであろう。
【0033】
発光特性の調整(ステップ407)、および1つまたは複数の領域109と継ぎ目101とが十分に混合しているかどうかの判別は、視聴者111の手動操作によって操作されるか、または、タイル状ディスプレイシステムとビデオルーティングおよび1つまたは複数プロセッシングモジュールの間のフィードバックパスを、例えば図3における視聴者111の位置にあるカメラを介することで、自動的に実行することにより行ってもよい。
【0034】
1つまたは複数の領域109の発光特性の調整は、上述のように、明度を調整することまたは他の任意の適切な手段によって制御されてもよい。例えば、ディスプレイデバイス103のビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、1つまたは複数の領域109においてパターンを表示することで領域109の発光を変化させるように制御されることもできる。パターンは、少なくとも1つの規則的なパターン、ランダムパターン、間欠パターン、ソリッドパターン、鋸歯状パターンなどを有していてもよい。実際には、本発明の実施形態の範囲である任意の適切なパターンとは、発光特性の調整結果が、1つまたは複数の領域109および継ぎ目101が十分に混合され、継ぎ目101がカムフラージュされるものであればよい。これに代えて、領域109における明度調整は、ビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールを介してよりもむしろ光学的/機械的な手段によって制御されることも可能である。
【0035】
1つまたは複数領域109における発光特性はさらに、図5に図示されているように、例えば、規則的なノイズおよび/または断続的なノイズを導入することによって調整される。領域109のノイズは、画像102と組み合わされて、白色ドット501および/または黒色ドット502(および/またはグレードット)で表される。ノイズは、ホワイトノイズおよび/または任意の適切な色および/または任意の適切な色の組み合わせおよび/またはグレーの色調であればよい。
【0036】
代替の実施形態によれば、ディスプレイデバイス113のモザイクディスプレイモジュールは、離れた距離から視聴された場合に視覚的な継ぎ目がカムフラージュされるように、ギャップの間隔に一致したパターンを合成画像中に生成する。図6Aの実施例に示されるように、4つのディスプレイデバイス113a,113b,113cおよび113dは、隣接するディスプレイデバイスが垂直方向の継ぎ目101aおよび水平方向の継ぎ目101bによって分離されるように、2×2アレイに配列される。図6Bにおいて、ディスプレイデバイス113a,113b,113cおよび113dのビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、視覚的な継ぎ目101aをカムフラージュするために、規則的な間隔で明と暗を交互に生じさせるように並ぶ垂直ラインを生成するように制御されている。一方で図6Cにおいて、ディスプレイデバイス113a,113b,113cおよび113dのビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、合成画像の全体にわたって規則的な間隔の垂直および水平ラインを生成して、垂直および水平方向両方の継ぎ目101aおよび101bをカムフラージュするよう制御されている。上述した人間の目の平均化能力の結果、ラインの知覚能力は視角距離に伴って減少する。タイル状ディスプレイが非長方形の構成である場合には、垂直でも水平でもない視覚的な継ぎ目が生じうる。ここで説明された原則は、継ぎ目をカムフラージュするための、垂直でも水平でもないが実質的には視覚的な継ぎ目に平行な間隔のラインを生成するように適用されてもよい。
【0037】
好ましいおよび代替の実施形態に関する本記載を読んだ当業者は、変形例や他の代替の実施形態に想到するであろう。例えば、例示の実施形態は、隣接するディスプレイデバイス間の継ぎ目をカムフラージュすることを説明しているが、ここで説明している方法は、ディスプレイデバイスと壁や後ろ側の建築物などの周囲環境との間の視覚的な継ぎ目をカムフラージュすることにも適用できることはよく理解されるであろう。さらに、質のよくない/不規則なディスプレイ素子の領域をカムフラージュすることにも、同じ方法を適用してもよい。その場合、例えば、周囲の領域と低品質な/不規則なディスプレイ素子との間の明度もしくはスペクトル強度を平均化することによって、ビデオルーティングおよびプロセッシングモジュールは、低品質な/不規則なディスプレイ素子の周辺の領域におけるディスプレイ素子の発光特性を変更することができる。これにより、距離110から視聴された場合に、上述した人間の目の知覚特性が、低品質な/不規則なディスプレイ素子とその周囲の領域との間の発光特性を混合するように作用して、その結果低品質な/不規則なディスプレイ素子をカムフラージュする。
【0038】
上述した変形例や代替の実施形態はすべて、ここに添付の特許請求の範囲にあるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する複数のディスプレイデバイスにわたって1つの合成画像を表示するための画像形成システムであって、前記各ディスプレイデバイスが少なくとも1つの隣接する他のディスプレイデバイスとの間または周辺領域との間にギャップを有しているシステムにおける該ギャップによって生じる継ぎ目を改善する方法において、
合成画像のうち前記ギャップに隣接する領域における1つもしくは複数の発光特性を修正するステップ、または、前記ギャップの間隔に一致するパターンを前記合成画像中に形成するステップの少なくとも1つを含むことにより、前記ギャップにより生じる継ぎ目をカムフラージュする、ことを特徴とする継ぎ目を改善する方法。
【請求項2】
前記発光特性は、明度および色彩の少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記パターンは、前記ギャップの間隔に一致する水平および垂直なラインの格子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、連続する明ラインを生成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、断続的な明領域を生成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、前記合成画像の上に明領域パターンを重畳することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、ランダムな明暗領域を生成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、断続的な明暗領域を生成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記修正するステップは、前記ギャップに隣接する前記領域において、前記合成画像の上に明暗領域パターンを重畳することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
1つの合成画像の供給源と、
複数の幾何学的な配置に構成可能な複数のディスプレイデバイスと、
を備えた画像形成システムであって、
前記各ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの隣接する他のディスプレイデバイスとの間または周辺領域との間にギャップを有し、
各ディスプレイデバイスは、合成画像を受け取りる手段と、これに応じて前記合成画像の各部分を生成する手段と、該合成画像のうち前記ギャップに隣接する領域における1つもしくは複数の発光特性を修正する手段、または、前記ギャップの間隔に一致するパターンを前記合成画像中に形成する手段の少なくとも1つとを備えることにより、前記ギャップによって生じる継ぎ目をカムフラージュする、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
前記発光特性は、明度および色彩の少なくとも1つを含む、請求項10記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記パターンは、前記ギャップの間隔に一致する水平および垂直なラインの格子を含む、請求項10記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記修正する手段は、前記ギャップに隣接する前記領域において、連続する明ラインを生成する手段を含む、請求項10記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記修正する手段は、前記ギャップに隣接する前記領域において、断続的な明領域を生成する手段を含む、請求項10記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記修正する手段は、前記ギャップに隣接する前記領域において前記合成画像の上に明領域パターンを重畳する手段、前記ギャップに隣接する前記領域においてランダムな明暗領域を生成する手段、前記ギャップに隣接する前記領域において断続的な明暗領域を生成する手段、または前記ギャップに隣接する前記領域において前記合成画像の上に明暗領域パターンを重畳する手段のいずれか1つを含む、請求項10記載の画像形成システム。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−133858(P2011−133858A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−246594(P2010−246594)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(508145241)クリスティー デジタル システムズ ユーエスエー インコーポレイティッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Christie Digital Systems USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】10550 Camden Dr. Cypress, CA 90630 , USA
【Fターム(参考)】