説明

タッチセンサおよびタッチセンサの制御方法、並びにプログラム

【課題】少ない静電容量センサの数で、静電容量センサが配置された接触領域のうち、物体が接触または近接した位置を連続的な値により高い精度で検出する。
【解決手段】強度取得部12は、静電容量センサ21−1乃至21−4により検出された静電容量の変化の強度を、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したときの検出結果として取得する。水平方向計算部31は、第1象限と第4象限の検出結果との和より、第2象限と第3象限の検出結果との和を減算して、物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する。垂直方向計算部32は、第1象限と第2象限の検出結果との和より、第3象限と第4象限の検出結果との和を減算して、物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する。位置出力部14は、物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する。本発明は、タッチセンサに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサおよびタッチセンサの制御方法、並びにプログラムに関し、特に、少ないセンサ数で、連続的な接触位置または近接位置を高い精度で検出可能なタッチセンサおよびタッチセンサの制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スライダ方式のタッチセンサが一般に普及している。スライダ方式のタッチセンサとは、連続的に接触または近接のある位置を検出し、その移動量に対応して、例えば、画像を上下左右にスクロールさせるようにするものがある。
【0003】
より具体的には、例えば、仮想X,Y軸上に電極部Dx+,Dx−,Dy+,Dy−を配置させ、それぞれに発生する浮遊容量を検出し、電極部Dx+,Dx−の浮遊容量の差を、これと対応するx軸方向の電圧値として、電極部Dy+,Dy−の浮遊容量の差をこれと対応するY軸方向の電圧値として取り出すことで、位置を検出し、その移動量から画像をスクロールさせるものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、複数の電極の各々の信号からキャパシタンスを判断し、入力オブジェクトの位置情報を判断するものが提案されている。位置アルゴリズムとしては、2次あてはめ法、重心補間法等を適用し、極座標により位置を求める(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平08−194578号公報
【特許文献2】特開2005−522797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、x座標はx軸上に配置された2つの電極の容量のみから検出を行い、y座標はy軸上に配置された2つの電極の容量のみから検出されるため、指がタッチする位置によって、x座標もしくは、y座標の感度が極端に小さくなることがあり、さらに、常に同じ電極による検出であるため、検出精度の向上を図るのが困難であった。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、温度変化や同時押しなどにより複数のセンサが同時に同じ影響を受けた場合、タッチを検出してしまうことになり、誤動作しやすい。また、極座標および角速度を求めることができるが、タッチした指の中心からの距離(xy座標)を確認することができない。すなわち、電極の中央もしくは周囲に別のスイッチを設置した場合、そのスイッチに近い位置をタッチしたか否かを判定できず、別のアルゴリズムを追加する必要があった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特に、少ないセンサ数で、連続的な接触位置または近接位置を高い精度で検出できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面のタッチセンサは、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段と、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得手段と、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算手段と、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算手段と、前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力手段とを備える。
【0010】
前記取得手段には、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、前記検出結果の大きな検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得させるようにすることができる。
【0011】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向、または垂直方向に対する角度を計算する角度計算手段をさらに設けるようにさせることができる。
【0012】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離を計算する距離計算手段をさらに設けるようにさせることができる。
【0013】
前記出力手段により出力された前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の変化に対応して画像をスクロールさせるスクロール手段をさらに設けるようにさせることができ、前記スクロール手段には、前記距離および前記角度に基づいて、スクロール速度を変化させるようにすることができる。
【0014】
前記距離計算手段により計算された前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離が所定の範囲の大きさではない場合、エラーが発生したものとみなし、前記出力手段には、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の出力を停止させるようにすることができる。
【0015】
前記複数の検出手段は、直線状に配置されるようにすることができる。
【0016】
前記第1の検出結果を検出した前記検出手段が、前記直線状に配置された端部に配置されたもの、または、前記端部のものに隣接するものである場合、前記取得手段には、前記第1の検出結果を含む、端部から連続する4個の検出手段の検出結果を、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得させるようにすることができる。
【0017】
前記複数の検出手段は、環状に配置されるようにすることができる。
【0018】
本発明の一側面のタッチセンサの制御方法は、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段を備えるタッチセンサの制御方法であって、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得ステップと、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算ステップと、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算ステップと、前記水平方向計算ステップの処理および前記垂直方向計算ステップの処理により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力ステップとを含む。
【0019】
本発明の一側面のプログラムは、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段を備えるタッチセンサを制御するコンピュータに、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得ステップと、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算ステップと、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算ステップと、前記水平方向計算ステップの処理および前記垂直方向計算ステップの処理により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力ステップとを含む処理を実行させる。
【0020】
本発明の一側面のタッチセンサおよび前記タッチセンサの制御方法、並びにプログラムにおいては、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化が複数のセンサにより検出され、前記センサにより検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記センサの第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出したセンサに隣接するセンサの第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果のセンサに隣接する、第1の検出結果を検出したセンサではないセンサの第4の検出結果とが、前記センサの配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得され、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和が減算されて、前記第1象限乃至第4象限に配置されたセンサの中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置が計算され、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和が減算されて、前記第1象限乃至第4象限に配置されたセンサの中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置が計算され、計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置が出力される。
【0021】
本発明の一側面のタッチセンサにおける、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段とは、例えば、静電容量センサであり、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得手段とは、例えば、強度取得部であり、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算手段とは、例えば、水平方向計算部であり、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算手段とは、例えば、垂直方向計算部であり、前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力手段とは、例えば、位置出力部である。
【0022】
すなわち、4個以上に分割された連続する接触領域に配置された静電容量センサのそれぞれの検出強度が、強度取得部により取得され、最も強い強度の静電容量センサと、その静電容量センサに隣接する静電容量センサと、最も強い強度の静電容量センサに隣接する静電容量センサのうち、いずれかの静電容量センサに隣接する、最も強い強度の静電容量センサではない静電容量センサのそれぞれの静電容量からなる、4個が連続して配置される静電容量センサの検出結果を、それぞれ第1象限から第4象限に配置された静電容量センサの検出結果A乃至Dとして扱う場合、第1象限乃至第4象限をとる単位円の中心を原点としたとき、物体が接触または近接した水平方向の位置xが((A+D)−(B+C))として、垂直方向の位置yが((A+B)−(C+D))として求められる。さらに、物体が接触または近接した位置の、4個の静電容量センサの中心位置を基準とした水平方向の角度が、角度θ=arctan(x/y)として求められる。この角度に基づいて、第1象限から第4象限に配置された4個の静電容量センサの現実の配置に対応して、物体が接触または近接した位置を求められる。
【0023】
結果として、少ない静電容量センサの数で、静電容量センサが配置された連続的な接触領域のうち、物体が接触または近接した位置を高い精度で連続的な値で検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、少ない静電容量センサの数で、静電容量センサが配置された連続的な接触領域のうち、物体が接触または近接した連続的な接触位置または近接位置を高い精度で検出できるようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0026】
すなわち、本発明の一側面のタッチセンサは、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段(例えば、図1の静電容量センサ21−1乃至21−4)と、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得手段(例えば、図1の強度取得部12)と、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算手段(例えば、図1の水平方向計算部31)と、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算手段(例えば、図1の垂直方向計算部32)と、前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力手段(例えば、図1の位置出力部14)とを備える。
【0027】
前記取得手段(例えば、図1の強度取得部12)には、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、前記検出結果の大きな検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得させるようにすることができる。
【0028】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向、または垂直方向に対する角度を計算する角度計算手段(例えば、図1の角度計算部34)をさらに設けるようにさせることができる。
【0029】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離を計算する距離計算手段(例えば、図1の距離計算部33)をさらに設けるようにさせることができる。
【0030】
前記出力手段により出力された前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の変化に対応して画像をスクロールさせるスクロール手段(例えば、図1のスクロール制御部15)をさらに設けるようにさせることができ、前記スクロール手段には、前記距離および前記角度に基づいて、スクロール速度を変化させるようにすることができる。
【0031】
前記距離計算手段により計算された前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離が所定の範囲の大きさではない場合、エラーが発生したものとみなし、前記出力手段(例えば、図1の位置出力部14)には、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の出力を停止させるようにすることができる。
【0032】
前記第1の検出結果を検出した前記検出手段が、前記直線状に配置された端部に配置されたもの、または、前記端部のものに隣接するものである場合、前記取得手段(例えば、図1の強度取得部12)には、前記第1の検出結果を含む、端部から連続する4個の検出手段の検出結果を、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得させるようにすることができる。
【0033】
本発明の一側面のタッチセンサの制御方法、または、プログラムは、少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段を備えるタッチセンサの制御方法であって、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、前記検出結果の大きな検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得ステップ(例えば、図2のステップS2)と、前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算ステップ(例えば、図2のステップS3)と、前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算ステップ(例えば、図2のステップS4)と、前記水平方向計算ステップの処理および前記垂直方向計算ステップの処理により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力ステップ(例えば、図2のステップS8)とを含む。
【0034】
図1は、本発明に係るタッチセンサの実施の形態の構成例を示す図である。
【0035】
図1のタッチセンサは、略円形状の平板からなる接触部11上を時計回り、または、反時計回りに指でなぞると、その移動距離、および、速さに応じて、表示部16に表示されている画像を垂直方向、または、水平方向にスクロールさせる。
【0036】
接触部11には、静電容量センサ21−1乃至21−4が、接触部11の中心に対して同心円上で、かつ、等角度で、使用者の指によりなぞられる面の裏側に内蔵されている。接触部11は、90°ごとに領域Z1乃至Z4に区切られており、それぞれの領域が、接触部11を単位円としたときの第1象限乃至第4象限に対応するように設定されている。静電容量センサ21−1乃至21−4は、領域Z1乃至Z4のそれぞれの中央の角度、および、中心からの距離の中央近傍に配設されている。静電容量センサ21−1乃至21−4は、それぞれ物体が接触または近接することにより発生する静電容量の変化の強度を検出し、検出した静電容量の変化の強度を検出結果として強度取得部12に供給する。尚、静電容量センサ21−1乃至21−4は、それぞれ区別する必要がない場合、単に、静電容量センサ21と称するものとし、その他の構成についても同様に称するものとする。
【0037】
強度取得部12は、静電容量センサ21−1乃至21−4のそれぞれより供給されてくる静電容量の変化の強度を示す検出結果A乃至Dを取得し、位置検出部13に供給する。
【0038】
位置検出部13は、水平方向計算部31、垂直方向計算部32、距離計算部33、および角度計算部34より構成されており、強度取得部12より供給されてきた静電容量センサ21−1乃至21−4の検出結果A乃至Dに基づいて、接触部11上で指が接触または近接している位置(水平方向の位置x、垂直方向の位置y、距離r、および角度θ)を計算し、計算結果である接触部11上の指の位置の情報を位置出力部14に供給する。
【0039】
水平方向計算部31は、強度取得部12より供給されてくる静電容量センサ21−1乃至21−4の検出結果A乃至Dに基づいて、以下の式(1)で示される計算を実行することにより、接触部11上の指の位置の情報のうち、接触部11の中心位置(静電容量センサ21−1乃至21−4の配置されている中心位置)を基準とし、図中の右方向をx方向および図中の上方向をy方向とするとき、水平方向の位置xを計算する。
【0040】
x=k((A+D)−(B+C))
・・・(1)
【0041】
式(1)においては、xは、接触部11上の水平方向の位置xを表し、kは、補正係数kを表し、A乃至Dは、それぞれ静電容量センサ21−1乃至21−4の静電容量の変化の強度を示す検出結果を表している。
【0042】
垂直方向計算部32は、強度取得部12より供給されてくる静電容量センサ21−1乃至21−4の検出結果A乃至Dに基づいて、以下の式(2)で示される計算を実行することにより、接触部11上の指の位置の情報のうち、接触部11の中心位置を基準とし、図中の右方向をx方向および図中の上方向をy方向とするとき、垂直方向の位置yを計算する。
【0043】
y=k((A+B)−(C+D))
・・・(2)
【0044】
式(2)においては、yは、接触部11上の垂直方向の位置yを表し、kは、補正係数kを表し、A乃至Dは、それぞれ静電容量センサ21−1乃至21−4の静電容量の変化の強度を示す検出結果を表している。
【0045】
尚、位置x,yは、上述したように静電容量の変化の強度の偏りに基づくものであり、補正係数kが式(1),式(2)に含まれていない場合、接触部11上の指H1の位置を定性的に示すものであって正確な位置ではない値となる。実際の位置を正確に求めるには、予め位置x,yを示す静電容量の変化の強度の偏りと、実際の位置との違いを補正する必要があるため、補正係数kが設定されている。
【0046】
距離計算部33は、水平方向計算部31の計算結果である接触部11上の指の位置の水平方向の位置x、および、垂直方向計算部32の計算結果である接触部11上の指の位置の垂直方向の位置yに基づいて、以下の式(3)を計算することにより、接触部11上の中心位置から、接触部11上の指の位置までの距離rを求める
【0047】
r=√(x2+y2
・・・(3)
【0048】
角度計算部34は、水平方向計算部31の計算結果である接触部11上の指の位置の水平方向の位置x、および、垂直方向計算部32の計算結果である接触部11上の指の位置の垂直方向の位置yに基づいて、以下の式(4)を計算することにより、接触部11上の中心を通るx軸を0°とする接触部11上の指の位置までの角度θを求める
【0049】
θ=arctan(y/x)
・・・(4)
【0050】
ここで、arctanは、アークタンジェントを示す。角度計算部34は、(y/x)に対応するθの値をテーブルとして記憶している角度テーブル34aを備えており、(y/x)の値に基づいて、角度θは、角度テーブル34aより読み出される。尚、この角度θは、必ずしもx方向の軸に対する角度でなくともよく、例えば、y方向の軸に対する角度であってもよい。
【0051】
位置出力部14は、位置検出部13より供給されてくる水平方向の位置x、垂直方向の位置y、距離r、および角度θをスクロール制御部15に供給する。この際、距離rが所定の範囲の大きさであるか否かに基づいて、指の接触位置または近接位置が接触部11上であるか否かを判定し、所定の範囲の大きさでなく、指の接触位置または近接位置が接触部11上ではないとき、エラーが発生したものとみなし、位置検出部13より供給されてくる水平方向の位置x、垂直方向の位置y、距離r、および角度θのスクロール制御部15への供給を停止する。
【0052】
スクロール制御部15は、刻々と位置出力部14より供給されてくる水平方向の位置x、垂直方向の位置y、距離r、および角度θに基づいて、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成される表示部16に表示されている画像を水平方向および垂直方向にスクロールさせる。
【0053】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1のタッチセンサによるスクロール処理について説明する。
【0054】
ステップS1において、接触部11の静電容量センサ21−1乃至21−4は、それぞれ静電容量の変化の強度A乃至Dを計測し、計測結果である静電容量の変化の強度を強度取得部12に供給する。
【0055】
ステップS2において、強度取得部12は、取得した計測結果である強度A乃至Dを位置検出部13に供給する。
【0056】
ステップS3において、水平方向計算部31は、上述した式(1)を計算することにより、水平方向の位置xを求める。
【0057】
すなわち、図3で示されるように、水平方向計算部31は、第1象限および第4象限の検出結果の和から、第2象限および第3象限の検出結果の和を減算する式(1)を計算することにより、接触部11上に接触または近接する指H1による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の左右の静電容量の変化の差)を、接触部11上の指H1の位置の水平方向の位置xとして求めている。
【0058】
ステップS4において、垂直方向計算部32は、上述した式(2)を計算することにより、垂直方向の位置yを求める。
【0059】
すなわち、図3で示されるように、垂直方向計算部32は、第1象限および第2象限の検出結果の和から、第3象限および第4象限の検出結果の和を減算する式(2)を計算することにより、接触部11上に接触または近接する指H1による垂直方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の上下の静電容量の変化の差)を、接触部11上の指H1の位置の垂直方向の位置yとして求めている。
【0060】
ステップS5において、距離計算部33は、上述した式(3)を計算することにより、距離rを求める。
【0061】
すなわち、図3で示されるように、距離計算部33は、式(3)を計算することにより、接触部11上に接触または近接する指H1の位置の水平方向の位置xおよび垂直方向の位置yより、三平方の定理に基づいて、接触部11上の指H1の位置の中心からの距離rを求めている。
【0062】
ステップS6において、角度計算部34は、上述した式(4)を計算することにより、角度θを求める。
【0063】
すなわち、図3で示されるように、角度計算部34は、式(4)を計算することにより、接触部11上に接触または近接する指H1の位置の水平方向の位置xおよび垂直方向の位置yより、(y/x)の値に対応する角度θを、角度テーブル34aを参照して求める。
【0064】
尚、角度計算部34は、(y/x)の値に対応する角度θを計算することができれば、必ずしも角度テーブル34aを備える必要はなく、計算により角度θを求めるようにしてもよい。ただし、(y/x)の値に基づいた角度θの計算は、計算に係る負荷が大きいため、角度テーブル34aを設けて読み出すようにした方が、計算のコストを低減することができ、処理速度を向上させることができる。
【0065】
ステップS7において、位置検出部13は、水平方向計算部31により計算された位置x、垂直方向計算部32により計算された位置y、距離計算部33により計算された距離r、および角度計算部34により計算された角度θを位置出力部14に出力する。位置出力部14は、位置検出部13より供給されてきた位置x,y、距離r、並びに角度θに基づいて、距離rが、所定の範囲の大きさであるか否かを判定する。
【0066】
すなわち、接触部11の径Rは、予め設定されているので、距離rが接触部11の径Rよりも大きい場合、接触部11上に指H1が存在しないことになる。また、距離rが小さすぎる場合、指H1は、接触部11の中央付近に存在することになるため、接触部11上を回転するようになぞられていない可能性がある。そこで、位置出力部14は、距離rが所定の範囲の大きさ、すなわち、指H1が、接触部11からはみ出した位置にあるか、または、中央近傍に存在するか否かを判定する。
【0067】
ステップS7において、距離rが所定の範囲の大きさである、すなわち、指H1が、接触部11上にあって、回転するようになぞられていると判定された場合、ステップS8において、位置出力部14は、距離rおよび角度θをスクロール制御部15に供給する。スクロール制御部15は、直前の角度θpと供給されてきた現在の角度θcとの差分を求め、さらに、距離rの大きさに応じて表示部16の表示内容をスクロールさせ、処理は、ステップS1に戻る。
【0068】
すなわち、直前の角度θpと供給されてきた現在の角度θcとの差分(θc−θp)が、接触部11上の指H1の移動角度Δθであるので、スクロール制御部15は、移動角度Δθに対応するスクロール量の画素数分だけ画像をスクロールさせる。また、指H1が接触部11上で同一の移動角度Δθだけ移動するとき、指H1の接触部11上の移動距離ΔLは、距離rが大きいほど大きく、また、距離rが小さいほど小さい。したがって、所定時間内で移動角度Δθが同一であっても、距離rが大きいほど、移動距離ΔLも大きいため、指H1は接触部11上を素早く移動しており、逆に、距離rが小さいほど、移動距離ΔLも小さいため、指H1は接触部11上をゆっくりと移動している。そこで、スクロール制御部15は、距離rが大きいほど、スクロール速度を高速にして、距離rが小さいほど、スクロール速度を低速にしてスクロールを実行する。
【0069】
一方、ステップS7において、距離rが所定の範囲の大きさでない、すなわち、指H1が、接触部11上でないか、または、中央近傍に存在し、回転するようになぞられていない判定された場合、ステップS8の処理がスキップされて、処理は、ステップS1に戻る。すなわち、この場合、接触部11上で指H1の位置が正確に求められないので、エラーとして扱われ、このときに求められた指H1の位置の情報は、スクロールに反映されない。
【0070】
以上の処理により、4個の静電容量センサからなるタッチセンサでも、等間隔で同心円状に配置することで、接触部11上の接触位置または近接位置を示す移動角度と中心からの距離を連続的な値で正確に求めることが可能となる。結果として、正確に求められた指H1の移動角度と中心からの距離に基づいて、画面のスクロール量とスクロール速度とを同時に、正確に制御することが可能となる。
【0071】
以上においては、円盤状の接触部11に対して4個の静電容量センサから接触部11上の指の動きに対応して表示部16の表示画面をスクロールさせる例について説明してきたが、静電容量センサは、それ以上の数であっても同様の処理を実行させることが可能である。
【0072】
そこで、次に、図4を参照して、同心円状に等間隔で配設された8個の静電容量センサから接触部111上の指の動きに対応して表示部16の表示画面をスクロールさせる例について説明する。尚、図4のタッチセンサにおいて、図1のタッチセンサと同一の機能を備える構成については、同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
【0073】
図4のタッチセンサにおいて、接触部111の基本的な構成は、接触部11において静電容量センサ21−1乃至21−4に代えて、静電容量センサ21−11乃至21−18が設けられ、それぞれ第1象限の領域Z11に静電容量センサ21−11が、第1象限の領域Z12に静電容量センサ21−12が、第2象限の領域Z13に静電容量センサ21−13が、第2象限の領域Z14に静電容量センサ21−14が、第3象限の領域Z15に静電容量センサ21−15が、第3象限の領域Z16に静電容量センサ21−16が、第4象限の領域Z17に静電容量センサ21−17が、第4象限の領域Z18に静電容量センサ21−18が配設されている。尚、静電容量センサ21−11乃至21−18と静電容量センサ21−1乃至21−4は、いずれも同様のものである。
【0074】
静電容量センサ21−11乃至21−18は、それぞれ物体が接触または近接することにより発生する静電容量の変化の強度を検出し、検出した静電容量の変化の強度を検出結果として強度取得部112に供給する。
【0075】
強度取得部112は、選択部112aを制御して、静電容量センサ21−11乃至21−18のそれぞれより供給されてくる静電容量の変化の強度を示す8個の検出結果のうち、最も強い強度を検出した静電容量センサ21_maxの強度、その静電容量センサ21_maxに隣接する2個の静電容量センサ21_neの強度、および2個の静電容量センサ21_neのうち、強度の大きな静電容量センサ21_neに隣接する、静電容量センサ21_maxではない静電容量センサ21_subneの強度からなる、連続して配置されている4個の静電容量センサ21の強度を選択させ、それらを上述した検出結果A乃至Dとして位置検出部113に供給する。
【0076】
位置検出部113は、水平方向計算部131、垂直方向計算部132、距離計算部133、角度計算部134、および角度補正部135を備えている。このうち水平方向計算部131、垂直方向計算部132、距離計算部133、および角度計算部134は、水平方向計算部31、垂直方向計算部32、距離計算部33、および角度計算部34と同一の機能を備えた構成である。角度補正部135は、角度計算部134により計算される角度θを、静電容量センサ21の設置数に応じて補正して、角度θ’として求める。
【0077】
次に、図5のフローチャートを参照して、図4のタッチセンサによるスクロール処理について説明する。
【0078】
ステップS11において、接触部111の静電容量センサ21−11乃至21―18は、それぞれ静電容量の変化の強度を計測し、計測結果である静電容量の変化の強度を強度取得部112に供給する。
【0079】
ステップS12において、強度取得部112は、静電容量センサ21−11乃至21―18より供給されてくる、それぞれの静電容量の変化の強度を取得する。
【0080】
ステップS13において、強度取得部112は、選択部112aを制御して、取得した静電容量センサ21−11乃至21―18の静電容量の変化の強度のうち、最も強い強度の検出結果を検出させる。すなわち、例えば、図6で示されるように、接触部111の領域Z12上に指H2が存在するような場合、静電容量センサ21−12において検出される静電容量の変化の強度が最強の強度として検出される。そこで、図6で示されるような場合、選択部112aは、静電容量の変化の強度が最強の強度として検出されている静電容量センサ21−12(静電容量センサ21_max)の検出結果を検出する。
【0081】
ステップS14において、選択部112aは、最も強度の強い静電容量センサ21_maxに隣接する2個の静電容量センサ21_neの強度、および、静電容量センサ21_neのうち大きな強度を検出した静電容量センサ21_neに隣接する静電容量センサ21_maxではない静電容量センサ21_subneの強度を選択し、静電容量センサ21_maxの強度と共に、連続する4領域の順に、反時計回りで第1象限乃至第4象限に対応した検出結果A乃至Dとして位置検出部113に供給する。
【0082】
すなわち、図6の場合、静電容量センサ21−12が検出結果である強度が最強であるので、選択部112aは、静電容量センサ21−12の強度を静電容量センサ21_maxの強度として選択する。また、選択部112aは、静電容量センサ21−12に隣接する静電容量センサ21−11,21−13の強度をそれぞれ静電容量センサ21_neの強度として選択する。さらに、例えば、静電容量センサ21−11,21−13の検出結果のうち、静電容量センサ21−13の強度の方が強いとき、選択部112aは、静電容量センサ21−13に隣接する静電容量センサ21−12(静電容量センサ21_max)ではない、静電容量センサ21−14の強度を静電容量センサ21_subneの強度として選択する。
【0083】
結果として、選択部112aは、静電容量センサ21−11乃至21−14のそれぞれで検出される検出結果を、検出結果A乃至Dとして選択し、位置検出部113に供給する。
【0084】
すなわち、図6で示される第1象限と第2象限に存在する連続して配置されている領域Z11乃至Z14の静電容量センサ21−11乃至21−14の検出結果が、図3における第1象限乃至第4象限に存在する領域Z1乃至Z4の静電容量センサ21−1乃至21−4の検出結果と同様に扱われて、位置検出部113に供給される。
【0085】
ステップS15において、水平方向計算部131は、上述した式(1)を計算することにより、水平方向の位置xを求める。
【0086】
すなわち、水平方向計算部131は、図6の静電容量センサ21−11,21−14の検出結果の和を、あたかも図3における第1象限および第4象限の検出結果の和として扱うと共に、図6の静電容量センサ21−12,21−13の検出結果の和を、あたかも図3における第2象限および第3象限の検出結果の和として扱い、それぞれの和を減算する式(1)を計算することにより、接触部111上に接触または近接する指H2による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部111の左右の静電容量の変化の差)を、接触部11上に接触または近接する指H1による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の左右の静電容量の変化の差)であるものとして、水平方向の位置xとして求めている。
【0087】
尚、図3における指H1は、図6で示される指H2に対応させる場合、領域Z2上に存在するものとして扱われる。また、後述するが、ここでいう水平方向の位置xは、図3に対応する水平方向の位置であり、図6で示される水平方向の位置x’とは異なるものである。
【0088】
ステップS16において、垂直方向計算部132は、上述した式(2)を計算することにより、垂直方向の位置yを求める。
【0089】
すなわち、垂直方向計算部132は、図6の静電容量センサ21−11,21−12の検出結果の和を、あたかも図3における第1象限および第2象限の検出結果の和として扱うと共に、図6の静電容量センサ21−13,21−14の検出結果の和を、あたかも図3における第3象限および第4象限の検出結果の和として扱い、それぞれの和を減算する式(2)を計算することにより、接触部111上に接触または近接する指H2による垂直方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部111の上下の静電容量の変化の差)を、接触部11上に接触または近接する指H1による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の上下の静電容量の変化の差)であるものとして、垂直方向の位置yとして求めている。
【0090】
尚、後述するが、ここでいう垂直方向の位置yは、図3に対応する垂直方向の位置であり、図6で示される水平方向の位置y’とは異なるものである。
【0091】
ステップS17において、距離計算部133は、上述した式(3)を計算することにより、距離rを求める。
【0092】
すなわち、距離計算部133は、式(3)を計算することにより、図6の接触部111上に接触または近接する指H2の位置に対応する、図3の垂直方向の位置xおよび垂直方向の位置yより、三平方の定理に基づいて、接触部11上の指H1の位置の中心からの距離rを求めている。
【0093】
尚、後述するが、ここでいう距離rは、図3に対応するものであり、図6で示される距離r’とは異なるものである。
【0094】
ステップS18において、角度計算部134は、上述した式(4)を計算することにより、角度θを求める。
【0095】
すなわち、角度計算部134は、式(4)を計算することにより、図6の接触部111上に接触または近接する指H2に対応する、図3の指H1の位置の水平方向の位置xおよび垂直方向の位置yより、(y/x)の値に対応する角度θを、角度テーブル134aを参照して求める。
【0096】
尚、後述するが、ここでいう角度θは、図3に対応するものであり、図6で示される角度θ’とは異なるものである。
【0097】
ステップS19において、角度補正部135は、図3における角度θを、図6における角度θ’に補正する。すなわち、ここでは、静電容量センサ21−11乃至21−14の検出結果を、あたかも図3における第1象限乃至第4象限の検出結果のように扱っているので、ステップS18の処理で求められる角度θの範囲は、0°≦θ<360°である。しかしながら、図6においては、静電容量センサ21−11乃至21−14が配設されているのは、第1象限および第2象限であり、図6で示される角度θ’の範囲は、0°≦θ’≦180°である。すなわち、角度θは、範囲が0°≦θ’≦180°となる角度θ’を、0°≦θ<360°の範囲で表現した値であると考えることができる。そこで、角度補正部135は、以下の式(5)で示される計算により、角度θを角度θ’に補正する。
【0098】
θ’=(φ/360)×θ
・・・(5)
【0099】
式(5)において、φは、選択部112aにより選択された強度を検出している連続して配設された4個の静電容量センサ21が静電容量の変化の強度を計測する領域の存在する角度を示している。選択された強度を検出している連続して配設された4個の静電容量センサ21が静電容量の変化の強度を計測する領域の存在する角度は、静電容量センサ21の数により決定されるので、実質的に、静電容量センサ21の設置数に応じて角度θ’は補正されることになる。
【0100】
例えば、図6の場合、選択された強度を検出している連続して配設された4個の静電容量センサ21が静電容量の変化の強度を計測する領域は、領域Z11乃至Z14であるので、φは180°となる。従って、ここでは、角度補正部135は、角度θに1/2を乗じることにより、図3で示される角度θを、図6で示される角度θ’に補正する。
【0101】
ステップS20において、位置検出部113は、水平方向計算部131により計算された位置x、垂直方向計算部132により計算された位置y、距離計算部133により計算された距離r、および角度計算部134により計算された角度θを位置出力部14に出力する。位置出力部14は、位置検出部113より供給されてきた位置x,y、距離r、並びに角度θ’に基づいて、距離rが、所定の範囲の大きさであるか否かを判定する。
【0102】
すなわち、ここでは、静電容量センサ21−11乃至21−14の検出結果を、あたかも図3における第1象限乃至第4象限の検出結果のように扱っているので、ステップS17の処理で求められる距離rについては、接触部111の径R’に対応する所定値Rvを設定し、所定値Rvよりも大きい場合、接触部111上に指H2が存在しないものとみなす。また、距離rが小さすぎる場合、指H2は、接触部111の中央付近に存在することになるため、接触部111上を回転するようになぞられていない可能性があるものとみなす。そこで、位置出力部14は、距離rが所定の範囲の大きさ、すなわち、指H2が、接触部111からはみ出した位置にあるか、または、中央近傍に存在するか否かを判定する。
【0103】
ステップS20において、距離rが所定の範囲の大きさである、すなわち、指H2が、接触部111上にあって、回転するようになぞられていると判定された場合、ステップS21において、位置出力部14は、距離rおよび角度θ’をスクロール制御部15に供給する。スクロール制御部15は、直前の角度θ’pと供給されてきた現在の角度θ’cとの差分を求め、さらに、距離rの大きさに応じて表示部16の表示内容をスクロールさせ、処理は、ステップS11に戻る。
【0104】
以上の処理により、4個以上の静電容量センサからなるタッチセンサでも、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを端部以外の位置に含む連続して配置される4個の静電容量センサの検出結果を用いることにより、4個の静電容量センサからなるタッチセンサと同様に処理することが可能となり、接触部111上の接触位置または近接位置を示す移動角度と中心からの距離を連続的な値で正確に求めることが可能となる。結果として、正確に求められた指H2の移動角度と中心からの距離に基づいて、画面のスクロール量とスクロール速度とを同時に、正確に制御することが可能となる。
【0105】
以上においては、静電容量センサを同心円状に、等間隔で環状に配置する例について説明してきたが、静電容量センサを直線状に等間隔で配置することにより、上述した同心円状に等間隔で環状に配置された4個以上の静電容量センサからなるタッチセンサと同様に処理することで、接触または近接された位置を、連続的で、かつ、正確に検出することができる。
【0106】
そこで、次に、図7を参照して、直線状に等間隔で配設された8個の静電容量センサから接触部151上の指の動きに対応して表示部16の表示画面をスクロールさせる例について説明する。尚、図7のタッチセンサにおいて、図1または図4のタッチセンサと同一の機能を備える構成については、同一の符号を付しており、その説明は適宜省略するものとする。
【0107】
図7のタッチセンサにおいて、接触部151の基本的な構成は、接触部11または111における静電容量センサ21−1乃至21−4または21−11乃至21−18に代えて、静電容量センサ21−21乃至21−28が直線状に等間隔で設けられ、それぞれ領域Z21に静電容量センサ21−21が、領域Z22に静電容量センサ21−22が、領域Z23に静電容量センサ21−23が、領域Z24に静電容量センサ21−24が、領域Z25に静電容量センサ21−25が、領域Z26に静電容量センサ21−26が、領域Z27に静電容量センサ21−27が、領域Z28に静電容量センサ21−28が配設されている。これに伴い、接触部151は、直線状のプレートとして構成されており、ユーザの指は、接触部151上を図中の左右に触れながらなぞることで、スクロールを制御する。尚、静電容量センサ21−21乃至21−28と静電容量センサ21−1乃至21−4、および21−11乃至21−18は、いずれも同様のものである。
【0108】
静電容量センサ21−21乃至21−28は、それぞれ物体が接触または近接することにより発生する静電容量の変化の強度を検出し、検出した静電容量の変化の強度を検出結果として強度取得部152に供給する。
【0109】
強度取得部152は、基本的に強度取得部112と同様の構成であり、選択部152aを制御して、静電容量センサ21−21乃至21−28のそれぞれより供給されてくる静電容量の変化の強度を示す8個の検出結果のうち、最も強い強度を検出した静電容量センサ21_maxの強度、その静電容量センサ21_maxに隣接する2個の静電容量センサ21_neの強度、および2個の静電容量センサ21_neのうち、強度の大きな静電容量センサ21_neに隣接する、静電容量センサ21_maxではない静電容量センサ21_subneの強度からなる、連続して配置されている4個の静電容量センサ21の強度を選択させ、それらを上述した検出結果A乃至Dとして位置検出部153に供給する。
【0110】
位置検出部153は、水平方向計算部161、垂直方向計算部162、角度計算部163、および角度補正部164を備えている。このうち水平方向計算部161、垂直方向計算部162、および角度計算部163は、水平方向計算部31、垂直方向計算部32、および角度計算部34、または、水平方向計算部131、垂直方向計算部132、および角度計算部134と同一の機能を備えた構成である。位置計算部164は、角度計算部134により計算される角度θに基づいて、静電容量センサ21の設置間隔に応じて接触部151上の位置を求める。
【0111】
位置出力部154は、位置検出部153より供給されてくる水平方向の位置x、垂直方向の位置y、および角度θをスクロール制御部155に供給する。
【0112】
スクロール制御部155は、刻々と位置出力部14より供給されてくる水平方向の位置x、垂直方向の位置y、および角度θに基づいて、表示部16に表示されている画像を水平方向および垂直方向にスクロールさせる。
【0113】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7のタッチセンサによるスクロール処理について説明する。
【0114】
ステップS31において、接触部151の静電容量センサ21−21乃至21―28は、それぞれ静電容量の変化の強度を計測し、計測結果である静電容量の変化の強度を強度取得部152に供給する。
【0115】
ステップS32において、強度取得部152は、静電容量センサ21−21乃至21―28より供給されてくる、それぞれの静電容量の変化の強度を取得する。
【0116】
ステップS33において、強度取得部152は、選択部152aを制御して、取得した静電容量センサ21−21乃至21―28の静電容量の変化の強度のうち、最も強い強度の検出結果を検出させる。すなわち、例えば、図9で示されるように、接触部151の領域Z22上に指H3が存在するような場合、静電容量センサ21−22において検出される静電容量の変化の強度が最強の強度として検出される。そこで、図9で示されるような場合、選択部152aは、静電容量の変化の強度が最強の強度として検出されている静電容量センサ21−22(静電容量センサ21_max)の検出結果を検出する。
【0117】
ステップS34において、選択部152aは、最も強度の強い静電容量センサ21_maxに隣接する2個の静電容量センサ21_neの強度、および、静電容量センサ21_neのうち大きな強度を検出した静電容量センサ21_neに隣接する静電容量センサ21_maxではない静電容量センサ21_subneの強度を選択し、静電容量センサ21_maxの強度と共に、連続する4領域の順に、反時計回りで第1象限乃至第4象限に対応した検出結果A乃至Dとして位置検出部153に供給する。
【0118】
すなわち、図9の場合、静電容量センサ21−22が検出結果である強度が最強であるので、選択部152aは、静電容量センサ21−22の強度を静電容量センサ21_maxの強度として選択する。また、選択部152aは、静電容量センサ21−22に隣接する静電容量センサ21−21,21−23の強度をそれぞれ静電容量センサ21_neの強度として選択する。さらに、例えば、静電容量センサ21−21,21−23の検出結果のうち、静電容量センサ21−23の強度の方が強いとき、選択部152aは、静電容量センサ21−23に隣接する静電容量センサ21−22(静電容量センサ21_max)ではない、静電容量センサ21−24の強度を静電容量センサ21_subneの強度として選択する。
【0119】
結果として、選択部152aは、静電容量センサ21−21乃至21−24でそれぞれ検出される検出結果を、検出結果A乃至Dとして選択し、位置検出部153に供給する。
【0120】
すなわち、図9で示される領域Z21乃至Z24の静電容量センサ21−21乃至21−24の検出結果が、図3における第1象限乃至第4象限に存在する領域Z1乃至Z4の静電容量センサ21−1乃至21−4の検出結果と同様に扱われて、位置検出部153に供給される。
【0121】
ステップS35において、水平方向計算部161は、上述した式(1)を計算することにより、水平方向の位置xを求める。
【0122】
すなわち、水平方向計算部161は、図9の静電容量センサ21−21,21−24の検出結果の和を、あたかも図3における第1象限および第4象限の検出結果の和として扱うと共に、図9の静電容量センサ21−22,21−23の検出結果の和を、あたかも図3における第2象限および第3象限の検出結果の和として扱い、それぞれの和を減算する式(1)を計算することにより、接触部151上に接触または近接する指H3による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部151の左右の静電容量の変化の差)を、接触部11上に接触または近接する指H1による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の左右の静電容量の変化の差)であるものとして、水平方向の位置xとして求めている。
【0123】
尚、図3における指H1は、図9で示される指H3に対応させる場合、領域Z2上に存在するものとして扱われる。また、後述するが、ここでいう水平方向の位置xは、図3に対応する水平方向の位置であり、図9で示される水平方向の位置とは異なるものである。
【0124】
ステップS36において、垂直方向計算部162は、上述した式(2)を計算することにより、垂直方向の位置yを求める。
【0125】
すなわち、垂直方向計算部162は、図9の静電容量センサ21−21,21−22の検出結果の和を、あたかも図3における第1象限および第2象限の検出結果の和として扱うと共に、図9の静電容量センサ21−23,21−24の検出結果の和を、あたかも図3における第3象限および第4象限の検出結果の和として扱い、それぞれの和を減算する式(2)を計算することにより、接触部151上に接触または近接する指H3による垂直方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部151の上下の静電容量の変化の差)を、接触部11上に接触または近接する指H1による水平方向の静電容量の変化の強度の偏り(図中の接触部11の上下の静電容量の変化の差)であるものとして、垂直方向の位置yとして求めている。
【0126】
尚、後述するが、ここでいう垂直方向の位置yは、図3に対応する垂直方向の位置であり、図9で示される水平方向の位置とは異なるものである。
【0127】
ステップS37において、角度計算部163は、上述した式(4)を計算することにより、角度θを求める。
【0128】
すなわち、角度計算部163は、式(4)を計算することにより、図9の接触部151上に接触または近接する指H3に対応する、図3の指H1の位置の水平方向の位置xおよび垂直方向の位置yより、(y/x)の値に対応する角度θを、角度テーブル153aを参照して求める。
【0129】
尚、後述するが、ここでいう角度θは、図3に対応するものである。
【0130】
ステップS38において、位置計算部164は、図3における角度θを、図9における水平方向の位置として計算する。すなわち、ここでは、静電容量センサ21−21乃至21−24の検出結果を、あたかも図3における第1象限乃至第4象限の検出結果のように扱っているので、ステップS27の処理で求められる角度θの範囲は、0°≦θ<360°である。しかしながら、図9においては、静電容量センサ21−21乃至21−24が配設されているのは、領域Z21乃至Z24である。例えば、その水平方向の長さが長さPであるとすれば、角度θは、範囲が0≦Q≦Pとなる位置Qを、0°≦θ<360°の範囲で表現した値であると考えることができる。そこで、位置計算部164は、以下の式(6)で示される計算により、角度θより指H3が接触または近接している位置Qを計算する。
【0131】
Q=(P/360)×θ
・・・(6)
【0132】
式(6)において、Pは、選択部152aにより選択された強度を検出している連続して配設された4個の静電容量センサ21が静電容量の変化の強度を計測する領域の存在する長さを示している。図9の場合、選択された強度を検出している連続して配設された4個の静電容量センサ21が静電容量の変化の強度を計測する領域は、領域Z21乃至Z24の長さPとなる。従って、ここでは、位置計算部164は、角度θにP/360を乗じることにより、図3で示される角度θから、図9で示される位置Qを計算する。
【0133】
ステップS39において、位置検出部153は、水平方向計算部161により計算された位置x、垂直方向計算部162により計算された位置y、および位置計算部164により計算された位置Qを位置出力部154に出力する。位置出力部154は、位置検出部153より供給されてきた位置x,y、並びに位置Qをスクロール制御部155に供給する。スクロール制御部155は、直前の位置Qpと供給されてきた現在の位置Qcとの差分を求め、その大きさに応じて表示部16の表示内容をスクロールさせ、処理は、ステップS31に戻る。
【0134】
以上の処理により、直線状に等間隔で配置された静電容量センサからなるタッチセンサでも、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを端部、または、端部の静電容量センサに隣接する静電容量センサ以外の位置に含む連続して配設される4個の静電容量センサの検出結果を用いることにより、同心円状に、等間隔で配設された4個の静電容量センサからなるタッチセンサと同様に処理することが可能となり、接触部151上の接触位置または近接位置を連続的な値で正確に求めることが可能となる。結果として、正確に求められた指H3の位置に基づいて、画面のスクロール量を正確に制御することが可能となる。
【0135】
尚、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサが、端部の静電容量センサであるか、または、端部の静電容量センサに隣接する静電容量センサである場合、その最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを含む、端部から連続して配設される4個の静電容量センサの検出結果を用いることにより、同心円状に、等間隔で配設された4個の静電容量センサからなるタッチセンサと同様に処理することで、同様の効果が得られる。すなわち、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサが含まれていれば、連続して配設される4個の静電容量センサにより接触部上における接触位置または近接位置を求めることは可能である。
【0136】
ただし、上述したように、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを、連続して配設される4個の静電容量センサのうちの端部に選択しないように処理しているのは、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを端部としないようにした方が、接触位置、または近接位置に近い、上位4個の静電容量センサの検出結果を利用することができるので、高い精度で接触位置、または近接位置が得られるからである。従って、最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサが、端部の静電容量センサであるか、または、端部の静電容量センサに隣接する静電容量センサである場合、その最も強度の強い検出結果を示す静電容量センサを含む、端部から連続して配設される4個の静電容量センサの検出結果を用いることにより、多少精度は落ちることにはなるが、上位4個の静電容量センサの検出結果を利用することに代わりは無いため、十分な精度で接触位置または近接位置を検出することが可能である。
【0137】
また、以上の手法により求められる接触位置または近接位置は、各静電容量センサ間の相対関係のみで求められるものであり、静電容量の総変化量の大きさには影響されない。すなわち、接触または近接する指の面積の変動の影響を受けにくく、接触または近接時の出力が安定するとともに、正確な指の位置を検出することができる。
【0138】
さらに、以上においては、静電容量センサを環状に配置されたホイールセンサ、直線状に配置されたスライドセンサなど、様々なタッチセンサの場合においても、同じ演算式で対応することが可能となる。
【0139】
また、ホイールセンサの場合、指が接触または近接した位置の出力を座標として出力することも可能となるため、接触位置または近接位置に応じて、エラー判定するようにしてもよいし、タッチパネルなどで必要とされる接触位置または近接位置座標を直接出力することが可能となる。
【0140】
さらに、急激な温度変化や電圧変動、水などの付着による同時押しが生じても、4つの静電容量センサに同じ大きさの容量変動が生じることになるため、式(1)により求められる位置x,yはその影響を受けない。このため、環境の変化に対しても影響されることなく、正確な位置を検出することができる。
【0141】
また、静電容量の変化の強度が同じでない場合でも、同じ方向に変動したとき、水平方向の位置x、および垂直方向の位置yにより求められる角度θを用いるため、その影響を抑えることが可能となる。従って、位置x,yの値を使って求められる角度θは、静電容量センサ間の感度のばらつき、および静電容量の変化の強度の一律の変動に対して、影響を受けにくいので、環境の変化に影響されることなく、正確に接触位置または近接位置を検出することが可能となる。
【0142】
さらに、静電容量センサを環状に配設する場合、その演算結果として得られる距離rを接触部に対する接触(もしくは近接)または非接触(もしくは非近接)の判定基準として用いることができるので、複数の静電容量センサに同時に同等の影響があるとき、接触または近接しているものと判定させないようにすることが可能となり、結果として、正確に接触位置または近接位置を求めることが可能となる。
【0143】
また、接触部の中心に接触または近接した場合、接触位置または近接位置が中心からずれてしまうとき、検出中心が実際の中心と一致するよう、位置x,yの計測値にオフセットを加えることにより補正するようにしてもよく、このように補正することで、さらに正確に接触位置または近接位置を検出することが可能となる。
【0144】
さらに、各静電容量センサ間に感度ばらつきが発生している場合、静電容量センサ間に2倍以上の差異があるとき、感度差を小さくするため、接触または近接したときの静電容量の変化量同士を除することにより(実際には引き算を行い、何回ひくと0以下になるかを確認する)、小さい方に、その商をかけることで、感度差が2倍以下になるように補正することができる。
【0145】
また、位置x,yの計算結果が、所定の数値間の中間である場合、位置x,yの計算結果がそれらの数値間で高速で切り替わることがある。このようなときは、一定の時間はどちらかの値を保持し、変化なくもう一方の値が演算されるときのみ、もう一方の値に切り替える処理を行うことにより、位置x,yの計算結果が高速に切り替わることを防ぐことができる。
【0146】
以上の如く、本発明によれば、少ない静電容量センサの数で、静電容量センサが配置された接触領域のうち、物体が接触または近接した位置を連続的な値により高い精度で検出することが可能となる。
【0147】
ところで、上述した一連のテキスト処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0148】
図10は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0149】
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0150】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011から読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0151】
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明を適用したタッチセンサの実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】図1のタッチセンサによるスクロール処理を説明するフローチャートである。
【図3】図1のタッチセンサによるスクロール処理を説明する図である。
【図4】タッチセンサのその他の実施の形態の構成例を示す図である。
【図5】図4のタッチセンサによるスクロール処理を説明するフローチャートである。
【図6】図4のタッチセンサによるスクロール処理を説明する図である。
【図7】タッチセンサのその他の実施の形態の構成例を示す図である。
【図8】図7のタッチセンサによるスクロール処理を説明するフローチャートである。
【図9】図7のタッチセンサによるスクロール処理を説明する図である。
【図10】パーソナルコンピュータを説明する図である。
【符号の説明】
【0153】
11 接触部
12 強度取得部
13 位置検出部
14 位置出力部
15 スクロール制御部
21,21−1乃至21−4,21−11乃至21−18,S21−21乃至S21−28
31 水平方向計算部
32 垂直方向計算部
33 距離計算部
34 角度計算部
111 接触部
112 強度取得部
113 位置検出部
131 水平方向計算部
132 垂直方向計算部
133 距離計算部
134 角度計算部
135 角度補正部
151 接触部
152 強度取得部
153 位置検出部
161 水平方向計算部
162 垂直方向計算部
163 角度計算部
164 位置計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段と、
前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得手段と、
前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算手段と、
前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算手段と、
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力手段と
を備えるタッチセンサ。
【請求項2】
前記取得手段は、前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、前記検出結果の大きな検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向、または垂直方向に対する角度を計算する角度計算手段をさらに備える
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記水平方向計算手段および前記垂直方向計算手段により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置より、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離を計算する距離計算手段をさらに備える
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記出力手段により出力された前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の変化に対応して画像をスクロールさせるスクロール手段をさらに備え、
前記スクロール手段は、前記距離および前記角度に基づいて、スクロール速度を変化させる
請求項3および4に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記距離計算手段により計算された前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置から前記物体が接触または近接した位置までの距離が所定の範囲の大きさではない場合、エラーが発生したものとみなし、前記出力手段は、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置の出力を停止する
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記複数の検出手段は、直線状に配置される
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記第1の検出結果を検出した前記検出手段が、前記直線状に配置された端部に配置されたもの、または、前記端部のものに隣接するものである場合、前記取得手段は、前記第1の検出結果を含む、端部から連続する4個の検出手段の検出結果を、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する
請求項7に記載のタッチセンサ。
【請求項9】
前記複数の検出手段は、環状に配置される
請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項10】
少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段を備えるタッチセンサの制御方法において、
前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得ステップと、
前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算ステップと、
前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算ステップと、
前記水平方向計算ステップの処理および前記垂直方向計算ステップの処理により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力ステップと
を含むタッチセンサの制御方法。
【請求項11】
少なくとも4個以上に分割された連続する接触領域のそれぞれに対して物体の接触または近接による静電容量の変化を検出するセンサからなる複数の検出手段を備えるタッチセンサを制御するコンピュータに、
前記検出手段により検出された静電容量の変化が最も大きい値を検出した前記検出手段の第1の検出結果と、前記第1の検出結果を検出した検出手段に隣接する検出手段の第2および第3の検出結果と、前記第2および第3の検出結果のうち、いずれかの前記検出結果の検出手段に隣接する、第1の検出結果を検出した検出手段ではない検出手段の第4の検出結果とを、前記検出手段の配置に対応して、第1象限乃至第4象限に対して環状に配置したとき、前記第1象限乃至第4象限の検出結果として取得する取得ステップと、
前記第1象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和より、前記第2象限の検出結果と前記第3象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の水平方向の検出位置を計算する水平位置計算ステップと、
前記第1象限の検出結果と前記第2象限の検出結果との和より、前記第3象限の検出結果と前記第4象限の検出結果との和を減算して、前記第1象限乃至第4象限に配置された検出手段の中心位置を基準とした前記物体が接触または近接した位置の垂直方向の検出位置を計算する垂直位置計算ステップと、
前記水平方向計算ステップの処理および前記垂直方向計算ステップの処理により計算された、前記物体が接触または近接した位置の水平方向および垂直方向の位置を出力する出力ステップと
を含む処理を実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−168647(P2009−168647A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7629(P2008−7629)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】