タッチパネル装置、タッチパネルの表示方法、タッチパネルの表示処理プログラム、及び記録媒体
【課題】マルチウィンド形式のメッセージウィンドウを適切に表示させて操作性の向上を図る。
【解決手段】操作者に対して一時的な注意を促す程度や通常の報告を行う程度のメッセージ内容であれば、それを表示するメッセージウィンドウ41Aは所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。操作者は、その表示期間の間にタッチパネルディスプレイ1への手Hの近接と離間を何度繰り返しても、そのたびにメッセージウィンドウ41Aの表示と背景の操作ボタンの半透過状態での表示との切り替えを行うことができる。この操作ボタンの半透過表示は、メッセージウィンドウ41Aとその背景画面の操作ボタンの表示領域が重複している部分においてのみ行われ、この半透過表示された部分においても接触操作が可能となる。
【解決手段】操作者に対して一時的な注意を促す程度や通常の報告を行う程度のメッセージ内容であれば、それを表示するメッセージウィンドウ41Aは所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。操作者は、その表示期間の間にタッチパネルディスプレイ1への手Hの近接と離間を何度繰り返しても、そのたびにメッセージウィンドウ41Aの表示と背景の操作ボタンの半透過状態での表示との切り替えを行うことができる。この操作ボタンの半透過表示は、メッセージウィンドウ41Aとその背景画面の操作ボタンの表示領域が重複している部分においてのみ行われ、この半透過表示された部分においても接触操作が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上において接触による操作が可能なタッチパネル装置、当該タッチパネル装置で用いるタッチパネルの表示方法、タッチパネルの表示処理プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像や操作画面を表示するとともに、その表示領域上に指などで接触することでその接触位置を検出するタッチパネル装置を備えた情報機器が普及している。これを例えばナビゲーション装置に適用した場合、ユーザが地図画像上の特定点を接触して指示したり、また操作画面上に表示された操作ボタンに接触して指示操作できる。
【0003】
さらに近年では、利用者が操作するために指を画面に近づけた際に、これを検知し、次に表示されるべき画面に自動的に切り替えるようにした画面表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、情報機器では、いわゆるマルチウィンド形式で各種の情報を重ねて表示する形態がある。特に、機器側から操作者に対して何らかの一時的な情報をメッセージとして示す場合には、専用のメッセージウィンドウが、それまで表示されていた通常画面に重ねて表示される。そして、このようなマルチウィンド形式でのメッセージウィンドウの表示は、背景の通常画面の表示レイアウトに関係のない所定の配置で表示され、また操作者が容易に視認できるように十分な大きさで表示される。このため、背景の通常画面上に操作指示用のボタンがあっても、その上に上記メッセージウィンドウが重複して表示されることで隠されてしまい、その間に操作者は当該ボタンの視認と操作ができなくなる場合がある。
【0006】
このようなメッセージウィンドウの表示は、上記従来技術による画面の切り替えを行った場合でも関係なく同じ配置で表示され続けるものであり、当該メッセージウィンドウの表示が消えるまでの間は通常画面上のボタン操作が行えないため、操作上不便であった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、表示領域を備えた表示手段と、操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御手段と、前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御手段と、前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御手段と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項8記載の発明は、表示領域を備えた表示手段を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御工程と、前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御工程と、前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のタッチパネル装置を適用した車載ナビゲーションシステムの外観を示す図である。
【図2】車載ナビゲーション装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】通常メッセージの表示動作の一例を示す図である。
【図4】図3(c)中において操作ボタンを半透過状態で表示しているメッセージウィンドウを拡大して示した図である。
【図5】優先メッセージのメッセージウィンドウの一例を拡大して示した図である。
【図6】保留メッセージの一例の表示当初の状態を示す図である。
【図7】保留メッセージの一例の表示後に手を離間させた状態を示す図である。
【図8】保留メッセージの一例の表示後で2度目に手を近接させた状態を示す図である。
【図9】半透過状態で表示の具体的な処理について説明する図である。
【図10】CPUによって実行されるタッチパネルの表示処理方法の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】図10で示したステップS100の通常メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【図12】図10で示したステップS200の優先メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【図13】図10で示したステップS300の保留メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のタッチパネル装置を適用した車載ナビゲーション装置の外観を示す図である。なお、この図1においては、操作者の手Hとともに、車載ナビゲーション装置100の本体101だけを正面から示している。
【0013】
この図1において、車載ナビゲーション装置100の本体101は、その正面全体が操作機能部分と表示機能部分とで構成されており、具体的にはタッチパネルディスプレイ1、ハードウェアスイッチ2、及び近接センサ3が設けられている。
【0014】
この例では、本体101の正面左下方側にタッチパネルディスプレイ1が配置され、その右側に複数のハードウェアスイッチ2が配置されている。タッチパネルディスプレイ1は、所定の表示領域1cを備えた表示部1bを有している。また、この例において赤外線センサで構成する近接センサ3が本体101の正面上方側に配置されており、その下方に位置するタッチパネルディスプレイ1及びハードウェアスイッチ2の手前側の近接範囲Aを検出範囲としてその中での操作者の手Hの近接を検知可能となっている。
【0015】
図2は、本実施形態の車載ナビゲーション装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0016】
この車載ナビゲーション装置100は、CPU10、記憶部11、上記ハードウェアスイッチ2、GPSユニット12、AVプレーヤ13、上記近接センサ3、グラフィックコントローラ14、及び上記タッチパネルディスプレイ1を有している。
【0017】
CPU10は演算手段に相当し、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、車載ナビゲーション装置100全体を制御する機能を有する。
【0018】
記憶部11は、ROM11a、RAM11b、及び記憶媒体11cを有する。ROM11aは、本実施形態のタッチパネルの表示処理方法を実行するタッチパネルの表示処理プログラムを含む、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた記録媒体である。RAM11bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体11cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの情報記憶媒体である。
【0019】
ハードウェアスイッチ2は、上記図1に示したように機械的に構成されたスイッチであり、後述するタッチパネルディスプレイ1上での接触操作とは別に、任意のタイミングで操作したい機能に対応して設けられている。
【0020】
GPSユニット12は、GPSセンサ(特に図示せず)を利用して車両の現在地の測位を行うとともに予め記憶している地図情報に基づいて所定の経路探索や経路誘導を行う、車載ナビゲーション装置100の主要機能を有する。
【0021】
AVプレーヤ13は、例えばCDやDVDなどの各種記録メディアの再生や、ラジオ・テレビなどの受信・再生を行う機能を有する。
【0022】
近接センサ3は近接検知手段に相当し、上述したようにこの例では赤外線センサで構成されている。そして、近接センサ3は、タッチパネルディスプレイ1及びハードウェアスイッチ2の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知する機能を有する。また、接近センサ3は、操作者の手Hの他にも、操作の用に供するタッチペン等の接近を検出するようにしても良い。
【0023】
グラフィックコントローラ14は、CPU10の制御に基づき、ビデオRAM(図示せず)、上記GPSユニット12、及び上記AVプレーヤ13などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像を表示部1aの所定の表示領域1cに表示させる機能を有する。
【0024】
タッチパネルディスプレイ4は、上記表示部1aと接触座標検知部1bとを有している。表示部1aは表示手段に相当し、CPU10の制御によって、例えば地図データに基づく地図画像を表示したり、後述する操作ボタンを含めた操作画面の表示や、後述するメッセージウィンドウを表示する機能を有する。接触座標検知部1bは、表示部1aの表示領域1cの表面に沿って設けられた透明なスイッチである。そして、接触座標検知部1bは、例えば表示部1aの表示領域1cの表示物に応じて操作者の手Hによる接触があった場合、その接触があった旨と当該接触点の座標とを併せて検知する機能を有する。
【0025】
なお、以上の構成において、表示部1a及び接触座標検知部1bを含めたタッチパネルディスプレイ1と、CPU10と、記憶部11と、グラフィックコントローラ14と、近接センサ3とが、各請求項記載のタッチパネル装置を構成している。
【0026】
図3は、本実施形態の車載ナビゲーション装置における表示動作の一例を示す図である。まず、図3(a)に示す例では、タッチパネルディスプレイ1がAVプレーヤ13のテレビチャンネルの選択画面を表示している。図示する表示レイアウトの例では、表示領域1cの左側に上下2つのスクロールボタン21,22が配置され、逆の右側に上下4つの操作ボタン23,24,25,26が配置され、それらの間の中央に上下5つの受信局選択ボタン27,28,29,30,31が配置されている。以下において、これら通常画面(後述のようにメッセージウィンドウの割り込み表示がない状態の画面)上に配置される各ボタン21〜31を以下適宜、操作ボタンと称する。操作者が、この表示領域1c上に表示されているいずれかの操作ボタンの表面に接触することにより、タッチパネルディスプレイ1の接触座標検知部1bがこの接触点の座標位置を検知し、対応する検知信号をCPU10へ出力する。そして、CPU10は、表示部1a上でこの接触点の座標位置に対応する配置の操作ボタンが選択押下されたものとして認識し、対応する処理を実行するために操作信号を生成して出力する。
【0027】
ここで、当該車載ナビゲーション装置100の起動中においては、操作者に対して一時的に伝える必要のある情報を、所定の時間範囲を区切ってメッセージとして表示する場合がある。この場合、例えば図3(b)に示すように専用のメッセージウィンドウ41がそれまでの表示されていた通常画面に重ねられて割り込むように表示される。これは、比較的狭いタッチパネルディスプレイ1の限られた表示領域1cを有効に利用するために、いつ表示されるか分からないメッセージを表示するための専用の領域を常設しておくのではなく、必要に応じて各メッセージに対応したメッセージウィンドウを新たに重ねて表示する、いわゆるマルチウィンド形式となっている。
【0028】
このようなマルチウィンド形式でのメッセージウィンドウ41の表示は、背景の通常画面の表示レイアウトに関係のない所定の配置(図示する例では下方部)で表示され、また操作者が容易に視認できるように十分な大きさで表示される。この結果、背景に上記操作ボタン21〜31等があっても、その上を覆うような非透過状態で上記メッセージウィンドウ41が重複して表示される(各操作ボタン21〜31の少なくとも一部が隠れる)場合がある。この場合、その間に操作者は当該覆われたボタン(図示する例では「××中央放送」選択ボタン31と「操作」ボタン26)の視認と操作が極めて困難になる。また、下スクロールボタン22は、比較的広い領域が視認及び操作可能な状態で残っているが、一部は上記同様に視認及び操作不可能に覆われている。
【0029】
そこで、本実施形態の車載ナビゲーション装置100では、このような状態のタッチパネルディスプレイ1に対して操作者が接触操作する意志を示すべく手Hを近づけた際には、図3(c)に示すように、近接センサ3がこの手Hの近接を検知し、これを契機に、メッセージウィンドウ41が上記操作ボタンを覆う非透過状態から、当該覆われた操作ボタンが視認可能な半透過状態へ、切り替えられる。
【0030】
図4は、上記のようにして図3(c)中において半透過状態となっている操作ボタン22,26,31とメッセージウィンドウ41Aとの重複領域を拡大して示した図である。この図4において、メッセージウィンドウ41のうち、操作ボタン22,26,31との重複領域のみが半透過状態とされて表示されている(後述の図8参照)。またこのとき、タッチパネルディスプレイ1の上記接触座標検知部1bが、半透過状態で表示されている上記重複領域での手Hの接触を検知した場合、対応する操作信号をCPU10へ出力し、CPU10は当該操作ボタン(操作ボタン22,26,31のいずれか)が選択押下されたものとして対応する処理を実行する。つまり操作ボタンのうち半透過状態で可視化された重複領域は、(それまでの操作不能状態から)操作可能状態へと切り替わる。図示する例では、「走行中は音声のみでお楽しみ下さい。」のメッセージウィンドウ41と「××中央放送」選択ボタン31との重複領域が半透過状態で表示されているときに当該重複領域に操作者の手Hが接触したことにより、「××中央放送」選択ボタン31の押下操作が検知された状態を示している。
【0031】
<通常メッセージ処理>
そして、本実施形態では、メッセージの内容によってメッセージウィンドウの表示の挙動が相違するよう、予め設定されている。例えば、上述した「走行中は音声のみでお楽しみ下さい。」のメッセージ内容のように、操作者に対して一時的な注意を促す程度や通常の報告を行う程度の内容であれば、それを表示するメッセージウィンドウ41は所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。操作者は、その表示期間の間にタッチパネルディスプレイ1への手Hの近接と離間を何度繰り返しても、そのたびに、メッセージウィンドウ41が操作ボタンを非透過状態で覆う表示と、メッセージウィンドウ41と操作ボタンとの重複領域が半透過状態となる表示と、の切り替えを実行することができる。以下、本実施形態では、このような内容のメッセージの分類を「通常メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウの表示処理を「通常メッセージ処理」と称する。
【0032】
<優先メッセージ処理>
これに対して、例えば図5に示すように、操作者からの直接的な応答を要求する内容のメッセージの分類を「優先メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウ42の表示処理を「優先メッセージ処理」と称する。図示する例では、メッセージウィンドウ42内に「受信可能な中継局を探します。」のメッセージとともに、操作者にその探索動作の可否について選択させる「はい」ボタン43と「いいえ」ボタン44が表示されている。このように、メッセージウィンドウ自体に背景の(=メッセージウィンドウで覆われている)操作ボタンよりも優先させて接触操作させたいボタン43,44が含まれている場合や、所定のエラーや緊急事態などを報知し操作者が適切な対処を行うまで表示し続ける必要があるメッセージウィンドウの場合が優先メッセージである。これを表示する優先メッセージ処理では、近接センサ3の近接検知に関係なく、常にメッセージウィンドウが優先して表示される。すなわち、近接センサ3による操作者の手Hの近接の検知に関係なく、メッセージウィンドウ42が操作ボタン22,26,31の少なくとも一部を非透過状態で覆う表示のみが実行され、前述したようにメッセージウィンドウ42と操作ボタン22,26,31との重複領域が半透過状態となる表示に切り替えられることはない。またこの結果、上記重複領域での手Hの接触を検知した場合、CPU10は当該操作ボタン(操作ボタン43,44いずれか)が選択押下されたものとして対応する処理を実行するため、操作ボタン22,26,31のいずれかが選択押下されたものとして対応する処理は実行されない。また、操作ボタンを含まないメッセージウィンドウ(前述した所定のエラーや緊急事態などを報知し操作者が適切な対処を行うまで表示し続ける必要があるメッセージウィンドウ)を表示している場合、重複領域での手Hの接触に対応した操作ボタンが選択押下されたものとして対応する処理は実行されない。
【0033】
<保留メッセージ処理>
ところで、本実施形態では、図6に示すように、ハードウェアスイッチ2(又はタッチパネルディスプレイに表示されている各ボタン)の操作によりBGM曲の切り替えを行った場合等においても、その切り替えた曲名をメッセージウィンドウ45で表示する。このようにハードウェアスイッチ2を介した操作が行われた場合は、近接センサ3が既に操作者の手Hを検知している。しかしながらこの場合、この時点では、メッセージウィンドウ45とそれに覆われた操作ボタンとの重複領域における上記半透過状態での表示は行われず、メッセージウィンドウ45に記載されている曲名を明確に操作者が認識できるように図られる。このメッセージウィンドウ45は所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。但し、操作者が、上記消去を待たずに、図7に示すように、一度タッチパネルディスプレイ1から手Hを離した後(すなわち手Hが近接センサ3の検知対象となる上記近接範囲A外に離脱した後)、再度図8に示すように手Hを近接させる(すなわち手Hが近接センサ3の検知対象となる上記近接範囲A内に進入した)場合がある。この場合には、前述と同様、メッセージウィンドウ45とそれに覆われた操作ボタンとの重複領域において、上記半透過状態での表示が行われる。この結果、上記重複領域に存在する操作ボタンの接触操作も可能となる。本実施形態では、このような内容のメッセージを「保留メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウ45の表示処理を「保留メッセージ処理」と称する。
【0034】
以上のように、本実施形態においては、タッチパネルディスプレイ1に表示するメッセージには「通常メッセージ」「優先メッセージ」「保留メッセージ」の3種類があり、それぞれの内容は「通常メッセージウィンドウ」「優先メッセージウィンドウ」「保留メッセージウィンドウ」においてそれぞれ表示される。そして、上記各分類に基づき、上記重複領域における非透過状態から半透過状態への切り替えを実行するかしないかに関する切替優先度が設定されている。すなわち、上記図3、図4に示したような通常メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ41では、近接センサ3が手Hの近接を検知していない間は、メッセージウィンドウ41が操作ボタンを覆うような非透過状態で優先的に表示され、近接センサ3が手Hの近接を検知している間は、メッセージウィンドウ41と操作ボタンとの重複領域が半透過状態で表示されるような、切替優先度(第1優先度に相当)が設定されている。また、上記図5に示したような優先メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ42では、常にメッセージウィンドウ42が操作ボタンを覆うように優先して表示される切替優先度(第2優先度に相当)が設定されている。また、上記図6〜図8に示したような保留メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ45では、前記近接センサ3が手Hの近接を検知していない間、及び、1度目の手Hの近接検知を行った場合はメッセージウィンドウ45が操作ボタンを覆うような非透過状態で優先的に表示され、近接センサ3が2度目以降の手Hの近接検知を行った場合、メッセージウィンドウ45と操作ボタンとの重複領域が半透過状態で表示されるような、切替優先度(第3優先度に相当)が設定されている。
【0035】
なお、詳細な図示は省略するが、各メッセージと対応する切替優先度とは、互いに関連づけられた形で記憶手段としての記憶部11に記憶されている。CPU10は、各メッセージウィンドウの表示が実行されたとき、当該メッセージウィンドウに対応した切替優先度を記憶部11から取得する。そして、その取得した結果に応じて、CPU10が、上述したような重複領域における非透過状態から半透過状態への切替を実行する。
【0036】
次に、本実施形態における半透過状態による表示の具体的な処理について図9を用いて説明する。この図9において、図中の上方中央部に示すように文字「A」が記載されている背景51に対して、文字「B」が記載されている前景52が重複している場合、前景52のうち背景51との重複領域において文字「A」を半透過状態で表示させる処理としては、例えば、図9(a)に示すようないわゆるアルファブレンドによる手法と、図9(b)に示すような画素単位での交互表示による手法などを用いることができる。
【0037】
図9(a)に示すアルファブレンドの手法は、タッチパネルディスプレイ1の表示部1aがビットマップ画面に基づく表示構成であることを前提として、各画素の階調に掛けるアルファ値αを設定する。このアルファ値αは透過率に相当する値であり、0≦α≦1の範囲に設定される。そして、前景52と背景51との重複領域において、各画素における各色要素(RGBなど)の階調ごとに、背景51の階調にアルファ値αの補数を掛けた値と、前景52の階調にアルファ値αを掛けた値との和を、当該画素の新たな階調として表示する。これにより、当該画素においては、アルファ値αを透過率とした背景51と前景52との中間色で表示される。アルファ値αについては、一律に同じ値で設定してもよいし、各画素ごとに設定してもよい。
【0038】
また図9(b)に示す画素の交互表示の手法においては、前景52と背景51の重複領域において、背景51の画素と前景52との画素とをいわゆる市松模様のように交互に配置して表示する。これにより、重複領域全体をマクロで見て背景51を透過率50%で透過表示したように操作者に視認させることができる。なお、画素の交互配置については上記市松模様に限られず、所定の配置パターンを用いて背景51と前景52との画素を全体で均等かつ所定の割合で交互配置させるように透過率を調整してもよい。
【0039】
<制御内容>
図10は、前述した本実施形態のタッチパネルの表示処理プログラムに基づき、CPU10によって実行されるタッチパネルの表示処理方法の制御内容を示すフローチャートである。なお、このフローは、図3〜図8において例示したように、予め所定の操作によってCPU10の制御(ボタン表示制御手段に相当)により各種操作ボタンが表示領域1c上の所定の領域に表示された状態(ボタン表示制御工程に相当)で、上記各種のメッセージの表示のための条件が満たされた際(言い換えれば当該メッセージの表示要求が発生した際)に実行が開始される。
【0040】
図10において、ステップS5では、表示要求されたメッセージの内容に対応した所定の配置で、当該メッセージを記載したメッセージウィンドウをタッチパネルディスプレイ1に表示する。この際、既に述べたように、操作ボタンの少なくとも一部に重複する場合には当該重複領域を非透過状態(操作ボタンが操作者から見えない状態)で覆うように、メッセージウィンドウが表示される。この手順が、各請求項記載のメッセージ表示制御工程に相当するとともに、メッセージ表示制御手段として機能する。
【0041】
次にステップS10へ移り、内部変数である操作イベント番号の値を0に初期化する。
【0042】
次にステップS15へ移り、表示要求されているメッセージが上記した通常メッセージ、優先メッセージ、及び保留メッセージのいずれであるかを判定する。通常メッセージである場合にはステップS100の通常メッセージ処理を実行する。表示要求されているメッセージが優先メッセージである場合にはステップS200の優先メッセージ処理が実行される。また、表示要求されているメッセージが保留メッセージである場合にはステップS300の保留メッセージ処理を実行される。
【0043】
ステップS100、ステップS200、ステップS300が終了したら、ステップS20へ移る。ステップS20では、メッセージウィンドウが消去される。なお、このメッセージウィンドウを消去した際には、当該メッセージウィンドウに覆われていた背景を復元して表示する。
【0044】
その後、ステップS25へ移り、この時点で操作イベント番号の値が0であるか否かを判定する。操作イベント番号の値が0である場合、判定が満たされ、何ら操作イベント処理を行う必要がないものとしてそのままこのフローを終了する。一方、操作イベント暗号の値が0でない場合、判定が満たされず、次のステップS400の操作イベント処理へ移る。
【0045】
ステップS400では、操作イベント番号の値に対応する操作イベントの処理を実行する。この操作イベント処理の例としては、例えば上記図4に示した場合で選択ボタン31が押下された際にAVプレーヤ13に対して行われる「××中央放送」の選局・表示処理や、上記図5に示した場合で「はい」ボタン43が押下された際にAVプレーヤ13に対して行われる受信可能な中継局の探索処理や、又は上記図8に示した場合で「ルート検索」ボタンが押下された際にGPSユニット12に対して行われるルート検索処理などがある。このステップS400において、上記のようにしてCPU10で生成され、各部(AVプレーヤ13やGPSユニット12等)に対して出力される信号が操作信号として機能する。また、上記接触座標検知部11bと、CPU10が図11のステップS125、図12のステップS220、図13のステップS335、及び図10のステップS400とで実行する処理とが、各請求項記載の操作検知手段として機能する。
【0046】
以上のようにしてステップS400が完了すると、このフローを終了する。
【0047】
図11は、上記ステップS100の詳細手順例を示すフローチャートである。この図11において、まずステップS105で、近接センサ3がタッチパネルディスプレイ1の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知したか否かを判定する。手Hの近接を検知している場合には、判定が満たされ、ステップS110へ移る。
【0048】
次のステップS110では、メッセージウィンドウが操作ボタンと重複した領域に表示されたか(言い換えれば重複領域が生じたか)否かを判定する。重複領域が生じている場合には、ステップS110の判定が満たされ、次のステップS115へ移る。
【0049】
そして、ステップS115では、当該メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域(前述したようにこの時点ではメッセージウィンドウが覆うような非透過状態での表示となっている)を、上述した半透過処理による半透過状態での表示に切り替える。その後、ステップS120へ移る。
【0050】
また一方、上記ステップS105において、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS120へ直接移行する。同様に、上記ステップS110の判定において、メッセージウィンドウが背景のいずれの操作ボタンとも重複していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS120へ直接移行する。これらの場合、すなわち、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1から離間している場合、若しくは、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1に近接していても上記重複領域が存在していない場合には、ステップS5で行ったメッセージウィンドウの非透過状態での表示状態からの表示態様の変更は特に行われない。
【0051】
ステップS120では、表示領域1cに操作者が視認可能な状態で表示されている操作ボタン(すなわち、上記メッセージ領域との重複領域を含む)のいずれかに対し、手Hの接触による押下操作がなされたか否かを判定する。操作ボタンのいずれかが押下操作された場合には判定が満たされ、ステップS125でその押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。一方、いずれの操作ボタンも押下されていない場合、判定は満たされず、ステップS130へ移る。
【0052】
ステップS130では、現在表示されているメッセージウィンドウがその表示を開始してから所定の表示時間だけ経過したか否かを判定する。表示時間が経過した場合には、判定が満たされ、このフローを終了する。一方、表示時間がまだ経過していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS105へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0053】
以上の処理を実行することにより、基本的に表示時間が経過するまでの間メッセージウィンドウの表示が継続され、その際に操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示される。そして、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知している間だけ、上記重複領域が半透過状態で表示されて上記覆われた操作ボタンが視認可能となる。そして、半透過状態で表示された上記重複領域を含めいずれかの操作ボタンが押下された際には、対応する操作イベント処理が行われる。
【0054】
図12は、上記ステップS200の詳細手順例を示すフローチャートである。
【0055】
この図12において、まずステップS205で、当該メッセージウィンドウ内に何らかの操作ボタンが含まれるか否かを判定する。操作ボタンが含まれていない場合、判定は満たされず、ステップ210に移る。ステップS210では、メッセージウィンドウを優先表示させたまま、所定の表示時間が経過した後にこのフローを終了する。あるいは、必要に応じて、操作者が適宜の処置を行ったことが認められるまでメッセージウィンドウの優先表示を継続するようにしてもよい。
【0056】
一方、上記ステップS205の判定において、メッセージウィンドウに何らかの操作ボタンが含まれている場合、判定が満たされ、ステップS215へ移る。
【0057】
ステップS215では、メッセージに含まれている当該操作ボタンが操作者の手Hの接触により押下操作されるまでループ待機し、押下操作されたら判定が満たされてステップS220に移る。ステップS220では、上記押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。
【0058】
以上の処理を実行することにより、操作者がメッセージウィンドウ中の操作ボタンを押下する等の適宜の処置を行うまで(又は所定の表示時間が経過するまで)、メッセージウィンドウの表示が継続される。その際、メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示が行われる。すなわち、優先メッセージ処理においては、上記通常メッセージ処理のような重複領域の半透過状態での表示は行われない。
【0059】
図13は、上記ステップS300の詳細手順例を示すフローチャートである。
【0060】
この図13において、まずステップS305で、近接センサ3による検出回数に対応したフラグFの値を0に初期化する。
【0061】
次にステップS310へ移り、上記ステップS105と同様、近接センサ3がタッチパネルディスプレイ1の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知したか否かを判定する。手Hの近接を検知している場合には、判定が満たされ、ステップS315へ移る。
【0062】
ステップS315では、フラグFの値が1であるか否かを判定する。言い換えると、メッセージウィンドウの表示を開始してから一度でも操作者の手Hが上記近接範囲A外へ離脱したことがあるか否かを判定する(後述のステップS345参照)。フラグFの値が1である場合、判定が満たされ、次のステップS320へ移る。
【0063】
ステップS320では、上記ステップS110と同様、メッセージウィンドウが操作ボタンと重複した領域に表示された(言い換えれば重複領域が生じたか)か否かを判定する。重複領域が生じている場合には、ステップS320の判定が満たされ、次のステップS325へ移る。
【0064】
ステップS325では、上記ステップS115と同様、当該メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域(前述したようにこの時点ではメッセージウィンドウが覆うような非透過状態での表示となっている)を、上述した半透過処理による半透過状態での表示に切り替える。なお、このステップS325と、前述の図11のステップS115とが、各請求項記載の切替表示制御工程に相当するとともに、切替表示制御手段として機能する。その後、ステップS330に移る。
【0065】
また一方、上記ステップS310において、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知していない場合には、判定が満たされず、ステップS345でフラグFを1とした後、上記ステップS330へ移行する。同様に、上記ステップS315の判定において、F=0であった場合には、判定が満たされず、上記ステップS330へ直接移行する。さらに同様に、上記ステップS320の判定において、メッセージウィンドウが背景のいずれの操作ボタンとも重複していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS330へ直接移行する。これらの場合、すなわち、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1から離間している場合、若しくは、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1に近接していても当該近接検出が1回目の検出であるか上記重複領域が存在していない場合には、当該時点での表示状態が維持される。なお、ステップS315で判定が満たされない場合に直接ステップS330へ移行する意義は、以下の通りである。すなわち、前述の図6に示した例に沿うと、この時点ではまだ操作者がハードウェアスイッチ2を操作して再生中の曲名を表示させたばかりであるので、メッセージウィンドウ45による操作ボタン(「ルート探索」ボタン)を覆う非透過表示を優先するのである。
【0066】
ステップS330では、上記ステップS120と同様、表示領域1cに操作者が視認可能な状態で表示されている操作ボタン(すなわち、上記メッセージ領域との重複領域を含む)のいずれかに対し、手Hの接触による押下操作がなされたか否かを判定する。操作ボタンのいずれかが押下操作された場合には判定が満たされ、ステップS335でその押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。一方、いずれの操作ボタンも押下されていない場合、判定は満たされず、ステップS340へ移る。
【0067】
ステップS340では、現在表示されているメッセージウィンドウがその表示を開始してから所定の表示時間だけ経過したか否かを判定する。表示時間が経過した場合には、判定が満たされ、このフローを終了する。一方、表示時間がまだ経過していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS310へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0068】
以上の処理を実行することにより、基本的に表示時間が経過するまでの間メッセージウィンドウの表示が継続され、その際に操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示される。そして、近接センサ3が操作者の手Hの2度目以降の近接を検知している間だけ、上記重複領域が半透過状態で表示されて上記覆われた操作ボタンが視認可能となる(1回目の近接検知時には半透過状態にはならず非透過状態のままである)。そして、半透過状態で表示された上記重複領域を含めいずれかの操作ボタンが押下された際には、対応する操作イベント処理が行われる。
【0069】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、表示領域1cを備えた表示部1a(表示手段に相当)と、操作者が接触操作可能な操作ボタン21〜31等を前記表示領域1c上に表示するように、前記表示部1aを制御するボタン表示制御手段と、前記操作者に対するメッセージウィンドウ41,42,45(メッセージに相当)を前記表示領域1cに表示するように、前記表示部1aを制御するメッセージ表示制御手段と、前記表示領域1cにおいて、前記操作ボタン22,26,31の表示と前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示とが重複する場合に、前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示を、操作者が操作ボタン22,26,31を視認可能な半透過状態に切替可能な切替表示制御手段と、を有する。
【0070】
上記実施形態のタッチパネルの表示方法においては、表示領域1cを備えた表示部1a(表示手段に相当)を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、操作者が接触操作可能な操作ボタン21〜31等を前記表示領域1c上に表示するように、前記表示部1aを制御するボタン表示制御工程と、前記操作者に対するメッセージウィンドウ41,42,45(メッセージに相当)を前記表示領域1cに表示するように、前記表示部1aを制御するステップS5(メッセージ表示制御工程に相当)と、前記表示領域1cにおいて、前記操作ボタン22,26,31の表示と前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示とが重複する場合に、前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示を、操作者が操作ボタン22,26,31を視認可能な半透過状態に切替可能なステップS325及びステップS115(切替表示制御工程に相当)と、を有する。
【0071】
上記実施形態のタッチパネルの表示処理プログラムにおいては、上記タッチパネルの表示方法を、CPU10(演算手段に相当)により実行させる。
【0072】
上記実施形態のROM11a(記録媒体に相当)においては、上記タッチパネルの表示処理プログラムが、CPU(演算手段に相当)により読み取り可能に記憶されている。
【0073】
このようにすると、メッセージウィンドウに記載するメッセージの内容や、操作者による操作状況の変化に対応して、メッセージウィンドウが一旦操作ボタンを覆うように非透過表示された状態であっても、その後、覆われた操作ボタンを半透過状態で表示し可視化することが可能となり、操作上の利便性を向上することができる。
【0074】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記表示部1aから近接範囲A(所定の距離範囲に相当)への操作者の手Hの近接を検知する近接センサ3(近接検知手段に相当)をさらに有し、前記切替表示制御手段は、前記近接センサ3による近接の検知を契機として、前記非透過状態である前記重複領域を、前記半透過状態に切り替え可能である。
【0075】
このようにすると、操作者が、タッチパネルディスプレイ1の近接範囲Aに手Hをかざすだけで、容易に重複領域を半透過状態での表示に切り替え、メッセージウィンドウに覆われた操作ボタンを可視化することが可能となる。
【0076】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記表示部1aに表示された前記操作ボタン21〜31等に対する前記操作者の手Hの接触を検知し、対応する操作信号を出力する接触座標検知部1b及びCPU10をさらに有し、接触座標検知部1b及びCPU10は、前記切替表示制御手段により前記半透過状態で表示されている領域での接触を検知した場合、当該領域に位置する前記操作ボタン22,26,31に対応した前記操作信号を出力する。
【0077】
このようにすると、メッセージウィンドウと重複して半透過状態で表示された操作ボタン22,26,31に対して、(メッセージウィンドウが存在したままの)当該重複した状態でも操作を行うことができるので、確実に操作上の利便性が向上する。
【0078】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、メッセージウィンドウごとに、メッセージ内容に対応して設定された、前記切替表示制御手段による前記半透過状態への切替に関する切替優先度を記憶した記憶部11(記憶手段に相当)をさらに有し、前記切替表示制御手段は、前記メッセージ表示制御手段の制御に基づき表示された前記メッセージウィンドウ41,42,45に対応付けられた、前記記憶部11に記憶された前記切替優先度に基づき、前記非透過状態の前記半透過状態への切り替えを実行する。
【0079】
このようにすると、メッセージウィンドウ41,42,45のメッセージ内容の重要性や操作者の手Hの動作に応じて、重複領域の半透過状態への切り替えについて自由度の高い具体的な設定が可能になる。
【0080】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の検知状態では前記半透過状態への切り替えを行い、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の非検知状態では前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第1優先度を記憶している。
【0081】
このようにすると、比較的重要度の低い通常メッセージのメッセージ内容より、操作者がタッチパネルディスプレイ1に手Hを近接させた意志を優先し、重複領域に位置する操作ボタンを半透過状態で可視化して表示することができる。
【0082】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の検知の有無にかかわらず、前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第2優先度を記憶している。
【0083】
このようにすると、操作者がタッチパネルディスプレイ1に手Hを近接させるさせないに関係なく、比較的重要度の高い優先メッセージのメッセージ内容を、常に優先して表示することができる。
【0084】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の非検知状態、及び、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの第1回目の検知状態、においては、前記半透過状態への切り替えを行わず、前記第1回目の検知状態の後の、前記近接センサ3による前記非検知状態を経て、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの第2回目以降の検知状態においては、前記半透過状態への切り替えを行うようにする、第3優先度を記憶している。
【0085】
このようにすると、比較的重要度の低い内容の保留メッセージでありながら操作者の手Hが最初に近接したときまではメッセージ表示を優先しつつ、その後に操作者が再度意図的に手Hを近接させた場合にはその意志を優先して、重複領域に位置する操作ボタンを半透過状態で可視化して表示することができる。
【0086】
なお、上記図1等に示したように、上記重複領域を半透過状態へ切り替える機能を備えたON/OFFハードウェアスイッチを設け、半透過状態への切り替え機能の実行/不実行を操作者が任意に選択できるようにしてもよい。
【0087】
また、以上においては、操作者に対するメッセージが上記メッセージウィンドウ41,42,45等の形で表示され、そのメッセージウィンドウ41,42,45等が操作ボタン22,26,31等と重複して表示されたときに当該メッセージウィンドウ41,42,45等を半透過状態に切り替えられた。しかしながらこれに限られず、単に表示領域1c中にメッセージが(ウィンドウの形でなく)テキスト表示された場合にも、上記同様に、操作ボタンが視認可能なように、当該メッセージのテキストを半透過状態に切り替えるようにしてもよい。この場合も上記同様の効果を得る。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 タッチパネルディスプレイ(タッチパネル装置に相当)
1a 表示部(表示手段に相当)
1b 接触座標検知部(操作検知手段に相当)
2 ハードウェアスイッチ
3 近接センサ(タッチパネル装置、近接検知部に相当)
10 CPU(タッチパネル装置に相当)
11 記憶部(タッチパネル装置に相当)
12 GPSユニット
13 AVプレーヤ
14 グラフィックコントローラ(タッチパネル装置に相当)
41,41A 通常メッセージのメッセージウィンドウ
42 優先メッセージのメッセージウィンドウ
45,45A 保留メッセージのメッセージウィンドウ
100 車載ナビゲーション装置
A 近接範囲(所定の距離範囲に相当)
H 操作者の手
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上において接触による操作が可能なタッチパネル装置、当該タッチパネル装置で用いるタッチパネルの表示方法、タッチパネルの表示処理プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像や操作画面を表示するとともに、その表示領域上に指などで接触することでその接触位置を検出するタッチパネル装置を備えた情報機器が普及している。これを例えばナビゲーション装置に適用した場合、ユーザが地図画像上の特定点を接触して指示したり、また操作画面上に表示された操作ボタンに接触して指示操作できる。
【0003】
さらに近年では、利用者が操作するために指を画面に近づけた際に、これを検知し、次に表示されるべき画面に自動的に切り替えるようにした画面表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、情報機器では、いわゆるマルチウィンド形式で各種の情報を重ねて表示する形態がある。特に、機器側から操作者に対して何らかの一時的な情報をメッセージとして示す場合には、専用のメッセージウィンドウが、それまで表示されていた通常画面に重ねて表示される。そして、このようなマルチウィンド形式でのメッセージウィンドウの表示は、背景の通常画面の表示レイアウトに関係のない所定の配置で表示され、また操作者が容易に視認できるように十分な大きさで表示される。このため、背景の通常画面上に操作指示用のボタンがあっても、その上に上記メッセージウィンドウが重複して表示されることで隠されてしまい、その間に操作者は当該ボタンの視認と操作ができなくなる場合がある。
【0006】
このようなメッセージウィンドウの表示は、上記従来技術による画面の切り替えを行った場合でも関係なく同じ配置で表示され続けるものであり、当該メッセージウィンドウの表示が消えるまでの間は通常画面上のボタン操作が行えないため、操作上不便であった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、表示領域を備えた表示手段と、操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御手段と、前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御手段と、前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御手段と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項8記載の発明は、表示領域を備えた表示手段を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御工程と、前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御工程と、前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のタッチパネル装置を適用した車載ナビゲーションシステムの外観を示す図である。
【図2】車載ナビゲーション装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】通常メッセージの表示動作の一例を示す図である。
【図4】図3(c)中において操作ボタンを半透過状態で表示しているメッセージウィンドウを拡大して示した図である。
【図5】優先メッセージのメッセージウィンドウの一例を拡大して示した図である。
【図6】保留メッセージの一例の表示当初の状態を示す図である。
【図7】保留メッセージの一例の表示後に手を離間させた状態を示す図である。
【図8】保留メッセージの一例の表示後で2度目に手を近接させた状態を示す図である。
【図9】半透過状態で表示の具体的な処理について説明する図である。
【図10】CPUによって実行されるタッチパネルの表示処理方法の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】図10で示したステップS100の通常メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【図12】図10で示したステップS200の優先メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【図13】図10で示したステップS300の保留メッセージ処理の詳細な手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のタッチパネル装置を適用した車載ナビゲーション装置の外観を示す図である。なお、この図1においては、操作者の手Hとともに、車載ナビゲーション装置100の本体101だけを正面から示している。
【0013】
この図1において、車載ナビゲーション装置100の本体101は、その正面全体が操作機能部分と表示機能部分とで構成されており、具体的にはタッチパネルディスプレイ1、ハードウェアスイッチ2、及び近接センサ3が設けられている。
【0014】
この例では、本体101の正面左下方側にタッチパネルディスプレイ1が配置され、その右側に複数のハードウェアスイッチ2が配置されている。タッチパネルディスプレイ1は、所定の表示領域1cを備えた表示部1bを有している。また、この例において赤外線センサで構成する近接センサ3が本体101の正面上方側に配置されており、その下方に位置するタッチパネルディスプレイ1及びハードウェアスイッチ2の手前側の近接範囲Aを検出範囲としてその中での操作者の手Hの近接を検知可能となっている。
【0015】
図2は、本実施形態の車載ナビゲーション装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0016】
この車載ナビゲーション装置100は、CPU10、記憶部11、上記ハードウェアスイッチ2、GPSユニット12、AVプレーヤ13、上記近接センサ3、グラフィックコントローラ14、及び上記タッチパネルディスプレイ1を有している。
【0017】
CPU10は演算手段に相当し、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、車載ナビゲーション装置100全体を制御する機能を有する。
【0018】
記憶部11は、ROM11a、RAM11b、及び記憶媒体11cを有する。ROM11aは、本実施形態のタッチパネルの表示処理方法を実行するタッチパネルの表示処理プログラムを含む、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた記録媒体である。RAM11bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体11cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの情報記憶媒体である。
【0019】
ハードウェアスイッチ2は、上記図1に示したように機械的に構成されたスイッチであり、後述するタッチパネルディスプレイ1上での接触操作とは別に、任意のタイミングで操作したい機能に対応して設けられている。
【0020】
GPSユニット12は、GPSセンサ(特に図示せず)を利用して車両の現在地の測位を行うとともに予め記憶している地図情報に基づいて所定の経路探索や経路誘導を行う、車載ナビゲーション装置100の主要機能を有する。
【0021】
AVプレーヤ13は、例えばCDやDVDなどの各種記録メディアの再生や、ラジオ・テレビなどの受信・再生を行う機能を有する。
【0022】
近接センサ3は近接検知手段に相当し、上述したようにこの例では赤外線センサで構成されている。そして、近接センサ3は、タッチパネルディスプレイ1及びハードウェアスイッチ2の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知する機能を有する。また、接近センサ3は、操作者の手Hの他にも、操作の用に供するタッチペン等の接近を検出するようにしても良い。
【0023】
グラフィックコントローラ14は、CPU10の制御に基づき、ビデオRAM(図示せず)、上記GPSユニット12、及び上記AVプレーヤ13などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像を表示部1aの所定の表示領域1cに表示させる機能を有する。
【0024】
タッチパネルディスプレイ4は、上記表示部1aと接触座標検知部1bとを有している。表示部1aは表示手段に相当し、CPU10の制御によって、例えば地図データに基づく地図画像を表示したり、後述する操作ボタンを含めた操作画面の表示や、後述するメッセージウィンドウを表示する機能を有する。接触座標検知部1bは、表示部1aの表示領域1cの表面に沿って設けられた透明なスイッチである。そして、接触座標検知部1bは、例えば表示部1aの表示領域1cの表示物に応じて操作者の手Hによる接触があった場合、その接触があった旨と当該接触点の座標とを併せて検知する機能を有する。
【0025】
なお、以上の構成において、表示部1a及び接触座標検知部1bを含めたタッチパネルディスプレイ1と、CPU10と、記憶部11と、グラフィックコントローラ14と、近接センサ3とが、各請求項記載のタッチパネル装置を構成している。
【0026】
図3は、本実施形態の車載ナビゲーション装置における表示動作の一例を示す図である。まず、図3(a)に示す例では、タッチパネルディスプレイ1がAVプレーヤ13のテレビチャンネルの選択画面を表示している。図示する表示レイアウトの例では、表示領域1cの左側に上下2つのスクロールボタン21,22が配置され、逆の右側に上下4つの操作ボタン23,24,25,26が配置され、それらの間の中央に上下5つの受信局選択ボタン27,28,29,30,31が配置されている。以下において、これら通常画面(後述のようにメッセージウィンドウの割り込み表示がない状態の画面)上に配置される各ボタン21〜31を以下適宜、操作ボタンと称する。操作者が、この表示領域1c上に表示されているいずれかの操作ボタンの表面に接触することにより、タッチパネルディスプレイ1の接触座標検知部1bがこの接触点の座標位置を検知し、対応する検知信号をCPU10へ出力する。そして、CPU10は、表示部1a上でこの接触点の座標位置に対応する配置の操作ボタンが選択押下されたものとして認識し、対応する処理を実行するために操作信号を生成して出力する。
【0027】
ここで、当該車載ナビゲーション装置100の起動中においては、操作者に対して一時的に伝える必要のある情報を、所定の時間範囲を区切ってメッセージとして表示する場合がある。この場合、例えば図3(b)に示すように専用のメッセージウィンドウ41がそれまでの表示されていた通常画面に重ねられて割り込むように表示される。これは、比較的狭いタッチパネルディスプレイ1の限られた表示領域1cを有効に利用するために、いつ表示されるか分からないメッセージを表示するための専用の領域を常設しておくのではなく、必要に応じて各メッセージに対応したメッセージウィンドウを新たに重ねて表示する、いわゆるマルチウィンド形式となっている。
【0028】
このようなマルチウィンド形式でのメッセージウィンドウ41の表示は、背景の通常画面の表示レイアウトに関係のない所定の配置(図示する例では下方部)で表示され、また操作者が容易に視認できるように十分な大きさで表示される。この結果、背景に上記操作ボタン21〜31等があっても、その上を覆うような非透過状態で上記メッセージウィンドウ41が重複して表示される(各操作ボタン21〜31の少なくとも一部が隠れる)場合がある。この場合、その間に操作者は当該覆われたボタン(図示する例では「××中央放送」選択ボタン31と「操作」ボタン26)の視認と操作が極めて困難になる。また、下スクロールボタン22は、比較的広い領域が視認及び操作可能な状態で残っているが、一部は上記同様に視認及び操作不可能に覆われている。
【0029】
そこで、本実施形態の車載ナビゲーション装置100では、このような状態のタッチパネルディスプレイ1に対して操作者が接触操作する意志を示すべく手Hを近づけた際には、図3(c)に示すように、近接センサ3がこの手Hの近接を検知し、これを契機に、メッセージウィンドウ41が上記操作ボタンを覆う非透過状態から、当該覆われた操作ボタンが視認可能な半透過状態へ、切り替えられる。
【0030】
図4は、上記のようにして図3(c)中において半透過状態となっている操作ボタン22,26,31とメッセージウィンドウ41Aとの重複領域を拡大して示した図である。この図4において、メッセージウィンドウ41のうち、操作ボタン22,26,31との重複領域のみが半透過状態とされて表示されている(後述の図8参照)。またこのとき、タッチパネルディスプレイ1の上記接触座標検知部1bが、半透過状態で表示されている上記重複領域での手Hの接触を検知した場合、対応する操作信号をCPU10へ出力し、CPU10は当該操作ボタン(操作ボタン22,26,31のいずれか)が選択押下されたものとして対応する処理を実行する。つまり操作ボタンのうち半透過状態で可視化された重複領域は、(それまでの操作不能状態から)操作可能状態へと切り替わる。図示する例では、「走行中は音声のみでお楽しみ下さい。」のメッセージウィンドウ41と「××中央放送」選択ボタン31との重複領域が半透過状態で表示されているときに当該重複領域に操作者の手Hが接触したことにより、「××中央放送」選択ボタン31の押下操作が検知された状態を示している。
【0031】
<通常メッセージ処理>
そして、本実施形態では、メッセージの内容によってメッセージウィンドウの表示の挙動が相違するよう、予め設定されている。例えば、上述した「走行中は音声のみでお楽しみ下さい。」のメッセージ内容のように、操作者に対して一時的な注意を促す程度や通常の報告を行う程度の内容であれば、それを表示するメッセージウィンドウ41は所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。操作者は、その表示期間の間にタッチパネルディスプレイ1への手Hの近接と離間を何度繰り返しても、そのたびに、メッセージウィンドウ41が操作ボタンを非透過状態で覆う表示と、メッセージウィンドウ41と操作ボタンとの重複領域が半透過状態となる表示と、の切り替えを実行することができる。以下、本実施形態では、このような内容のメッセージの分類を「通常メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウの表示処理を「通常メッセージ処理」と称する。
【0032】
<優先メッセージ処理>
これに対して、例えば図5に示すように、操作者からの直接的な応答を要求する内容のメッセージの分類を「優先メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウ42の表示処理を「優先メッセージ処理」と称する。図示する例では、メッセージウィンドウ42内に「受信可能な中継局を探します。」のメッセージとともに、操作者にその探索動作の可否について選択させる「はい」ボタン43と「いいえ」ボタン44が表示されている。このように、メッセージウィンドウ自体に背景の(=メッセージウィンドウで覆われている)操作ボタンよりも優先させて接触操作させたいボタン43,44が含まれている場合や、所定のエラーや緊急事態などを報知し操作者が適切な対処を行うまで表示し続ける必要があるメッセージウィンドウの場合が優先メッセージである。これを表示する優先メッセージ処理では、近接センサ3の近接検知に関係なく、常にメッセージウィンドウが優先して表示される。すなわち、近接センサ3による操作者の手Hの近接の検知に関係なく、メッセージウィンドウ42が操作ボタン22,26,31の少なくとも一部を非透過状態で覆う表示のみが実行され、前述したようにメッセージウィンドウ42と操作ボタン22,26,31との重複領域が半透過状態となる表示に切り替えられることはない。またこの結果、上記重複領域での手Hの接触を検知した場合、CPU10は当該操作ボタン(操作ボタン43,44いずれか)が選択押下されたものとして対応する処理を実行するため、操作ボタン22,26,31のいずれかが選択押下されたものとして対応する処理は実行されない。また、操作ボタンを含まないメッセージウィンドウ(前述した所定のエラーや緊急事態などを報知し操作者が適切な対処を行うまで表示し続ける必要があるメッセージウィンドウ)を表示している場合、重複領域での手Hの接触に対応した操作ボタンが選択押下されたものとして対応する処理は実行されない。
【0033】
<保留メッセージ処理>
ところで、本実施形態では、図6に示すように、ハードウェアスイッチ2(又はタッチパネルディスプレイに表示されている各ボタン)の操作によりBGM曲の切り替えを行った場合等においても、その切り替えた曲名をメッセージウィンドウ45で表示する。このようにハードウェアスイッチ2を介した操作が行われた場合は、近接センサ3が既に操作者の手Hを検知している。しかしながらこの場合、この時点では、メッセージウィンドウ45とそれに覆われた操作ボタンとの重複領域における上記半透過状態での表示は行われず、メッセージウィンドウ45に記載されている曲名を明確に操作者が認識できるように図られる。このメッセージウィンドウ45は所定の表示時間の経過後に自動的に消去される。但し、操作者が、上記消去を待たずに、図7に示すように、一度タッチパネルディスプレイ1から手Hを離した後(すなわち手Hが近接センサ3の検知対象となる上記近接範囲A外に離脱した後)、再度図8に示すように手Hを近接させる(すなわち手Hが近接センサ3の検知対象となる上記近接範囲A内に進入した)場合がある。この場合には、前述と同様、メッセージウィンドウ45とそれに覆われた操作ボタンとの重複領域において、上記半透過状態での表示が行われる。この結果、上記重複領域に存在する操作ボタンの接触操作も可能となる。本実施形態では、このような内容のメッセージを「保留メッセージ」と称し、対応するメッセージウィンドウ45の表示処理を「保留メッセージ処理」と称する。
【0034】
以上のように、本実施形態においては、タッチパネルディスプレイ1に表示するメッセージには「通常メッセージ」「優先メッセージ」「保留メッセージ」の3種類があり、それぞれの内容は「通常メッセージウィンドウ」「優先メッセージウィンドウ」「保留メッセージウィンドウ」においてそれぞれ表示される。そして、上記各分類に基づき、上記重複領域における非透過状態から半透過状態への切り替えを実行するかしないかに関する切替優先度が設定されている。すなわち、上記図3、図4に示したような通常メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ41では、近接センサ3が手Hの近接を検知していない間は、メッセージウィンドウ41が操作ボタンを覆うような非透過状態で優先的に表示され、近接センサ3が手Hの近接を検知している間は、メッセージウィンドウ41と操作ボタンとの重複領域が半透過状態で表示されるような、切替優先度(第1優先度に相当)が設定されている。また、上記図5に示したような優先メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ42では、常にメッセージウィンドウ42が操作ボタンを覆うように優先して表示される切替優先度(第2優先度に相当)が設定されている。また、上記図6〜図8に示したような保留メッセージウィンドウであるメッセージウィンドウ45では、前記近接センサ3が手Hの近接を検知していない間、及び、1度目の手Hの近接検知を行った場合はメッセージウィンドウ45が操作ボタンを覆うような非透過状態で優先的に表示され、近接センサ3が2度目以降の手Hの近接検知を行った場合、メッセージウィンドウ45と操作ボタンとの重複領域が半透過状態で表示されるような、切替優先度(第3優先度に相当)が設定されている。
【0035】
なお、詳細な図示は省略するが、各メッセージと対応する切替優先度とは、互いに関連づけられた形で記憶手段としての記憶部11に記憶されている。CPU10は、各メッセージウィンドウの表示が実行されたとき、当該メッセージウィンドウに対応した切替優先度を記憶部11から取得する。そして、その取得した結果に応じて、CPU10が、上述したような重複領域における非透過状態から半透過状態への切替を実行する。
【0036】
次に、本実施形態における半透過状態による表示の具体的な処理について図9を用いて説明する。この図9において、図中の上方中央部に示すように文字「A」が記載されている背景51に対して、文字「B」が記載されている前景52が重複している場合、前景52のうち背景51との重複領域において文字「A」を半透過状態で表示させる処理としては、例えば、図9(a)に示すようないわゆるアルファブレンドによる手法と、図9(b)に示すような画素単位での交互表示による手法などを用いることができる。
【0037】
図9(a)に示すアルファブレンドの手法は、タッチパネルディスプレイ1の表示部1aがビットマップ画面に基づく表示構成であることを前提として、各画素の階調に掛けるアルファ値αを設定する。このアルファ値αは透過率に相当する値であり、0≦α≦1の範囲に設定される。そして、前景52と背景51との重複領域において、各画素における各色要素(RGBなど)の階調ごとに、背景51の階調にアルファ値αの補数を掛けた値と、前景52の階調にアルファ値αを掛けた値との和を、当該画素の新たな階調として表示する。これにより、当該画素においては、アルファ値αを透過率とした背景51と前景52との中間色で表示される。アルファ値αについては、一律に同じ値で設定してもよいし、各画素ごとに設定してもよい。
【0038】
また図9(b)に示す画素の交互表示の手法においては、前景52と背景51の重複領域において、背景51の画素と前景52との画素とをいわゆる市松模様のように交互に配置して表示する。これにより、重複領域全体をマクロで見て背景51を透過率50%で透過表示したように操作者に視認させることができる。なお、画素の交互配置については上記市松模様に限られず、所定の配置パターンを用いて背景51と前景52との画素を全体で均等かつ所定の割合で交互配置させるように透過率を調整してもよい。
【0039】
<制御内容>
図10は、前述した本実施形態のタッチパネルの表示処理プログラムに基づき、CPU10によって実行されるタッチパネルの表示処理方法の制御内容を示すフローチャートである。なお、このフローは、図3〜図8において例示したように、予め所定の操作によってCPU10の制御(ボタン表示制御手段に相当)により各種操作ボタンが表示領域1c上の所定の領域に表示された状態(ボタン表示制御工程に相当)で、上記各種のメッセージの表示のための条件が満たされた際(言い換えれば当該メッセージの表示要求が発生した際)に実行が開始される。
【0040】
図10において、ステップS5では、表示要求されたメッセージの内容に対応した所定の配置で、当該メッセージを記載したメッセージウィンドウをタッチパネルディスプレイ1に表示する。この際、既に述べたように、操作ボタンの少なくとも一部に重複する場合には当該重複領域を非透過状態(操作ボタンが操作者から見えない状態)で覆うように、メッセージウィンドウが表示される。この手順が、各請求項記載のメッセージ表示制御工程に相当するとともに、メッセージ表示制御手段として機能する。
【0041】
次にステップS10へ移り、内部変数である操作イベント番号の値を0に初期化する。
【0042】
次にステップS15へ移り、表示要求されているメッセージが上記した通常メッセージ、優先メッセージ、及び保留メッセージのいずれであるかを判定する。通常メッセージである場合にはステップS100の通常メッセージ処理を実行する。表示要求されているメッセージが優先メッセージである場合にはステップS200の優先メッセージ処理が実行される。また、表示要求されているメッセージが保留メッセージである場合にはステップS300の保留メッセージ処理を実行される。
【0043】
ステップS100、ステップS200、ステップS300が終了したら、ステップS20へ移る。ステップS20では、メッセージウィンドウが消去される。なお、このメッセージウィンドウを消去した際には、当該メッセージウィンドウに覆われていた背景を復元して表示する。
【0044】
その後、ステップS25へ移り、この時点で操作イベント番号の値が0であるか否かを判定する。操作イベント番号の値が0である場合、判定が満たされ、何ら操作イベント処理を行う必要がないものとしてそのままこのフローを終了する。一方、操作イベント暗号の値が0でない場合、判定が満たされず、次のステップS400の操作イベント処理へ移る。
【0045】
ステップS400では、操作イベント番号の値に対応する操作イベントの処理を実行する。この操作イベント処理の例としては、例えば上記図4に示した場合で選択ボタン31が押下された際にAVプレーヤ13に対して行われる「××中央放送」の選局・表示処理や、上記図5に示した場合で「はい」ボタン43が押下された際にAVプレーヤ13に対して行われる受信可能な中継局の探索処理や、又は上記図8に示した場合で「ルート検索」ボタンが押下された際にGPSユニット12に対して行われるルート検索処理などがある。このステップS400において、上記のようにしてCPU10で生成され、各部(AVプレーヤ13やGPSユニット12等)に対して出力される信号が操作信号として機能する。また、上記接触座標検知部11bと、CPU10が図11のステップS125、図12のステップS220、図13のステップS335、及び図10のステップS400とで実行する処理とが、各請求項記載の操作検知手段として機能する。
【0046】
以上のようにしてステップS400が完了すると、このフローを終了する。
【0047】
図11は、上記ステップS100の詳細手順例を示すフローチャートである。この図11において、まずステップS105で、近接センサ3がタッチパネルディスプレイ1の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知したか否かを判定する。手Hの近接を検知している場合には、判定が満たされ、ステップS110へ移る。
【0048】
次のステップS110では、メッセージウィンドウが操作ボタンと重複した領域に表示されたか(言い換えれば重複領域が生じたか)否かを判定する。重複領域が生じている場合には、ステップS110の判定が満たされ、次のステップS115へ移る。
【0049】
そして、ステップS115では、当該メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域(前述したようにこの時点ではメッセージウィンドウが覆うような非透過状態での表示となっている)を、上述した半透過処理による半透過状態での表示に切り替える。その後、ステップS120へ移る。
【0050】
また一方、上記ステップS105において、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS120へ直接移行する。同様に、上記ステップS110の判定において、メッセージウィンドウが背景のいずれの操作ボタンとも重複していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS120へ直接移行する。これらの場合、すなわち、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1から離間している場合、若しくは、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1に近接していても上記重複領域が存在していない場合には、ステップS5で行ったメッセージウィンドウの非透過状態での表示状態からの表示態様の変更は特に行われない。
【0051】
ステップS120では、表示領域1cに操作者が視認可能な状態で表示されている操作ボタン(すなわち、上記メッセージ領域との重複領域を含む)のいずれかに対し、手Hの接触による押下操作がなされたか否かを判定する。操作ボタンのいずれかが押下操作された場合には判定が満たされ、ステップS125でその押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。一方、いずれの操作ボタンも押下されていない場合、判定は満たされず、ステップS130へ移る。
【0052】
ステップS130では、現在表示されているメッセージウィンドウがその表示を開始してから所定の表示時間だけ経過したか否かを判定する。表示時間が経過した場合には、判定が満たされ、このフローを終了する。一方、表示時間がまだ経過していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS105へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0053】
以上の処理を実行することにより、基本的に表示時間が経過するまでの間メッセージウィンドウの表示が継続され、その際に操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示される。そして、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知している間だけ、上記重複領域が半透過状態で表示されて上記覆われた操作ボタンが視認可能となる。そして、半透過状態で表示された上記重複領域を含めいずれかの操作ボタンが押下された際には、対応する操作イベント処理が行われる。
【0054】
図12は、上記ステップS200の詳細手順例を示すフローチャートである。
【0055】
この図12において、まずステップS205で、当該メッセージウィンドウ内に何らかの操作ボタンが含まれるか否かを判定する。操作ボタンが含まれていない場合、判定は満たされず、ステップ210に移る。ステップS210では、メッセージウィンドウを優先表示させたまま、所定の表示時間が経過した後にこのフローを終了する。あるいは、必要に応じて、操作者が適宜の処置を行ったことが認められるまでメッセージウィンドウの優先表示を継続するようにしてもよい。
【0056】
一方、上記ステップS205の判定において、メッセージウィンドウに何らかの操作ボタンが含まれている場合、判定が満たされ、ステップS215へ移る。
【0057】
ステップS215では、メッセージに含まれている当該操作ボタンが操作者の手Hの接触により押下操作されるまでループ待機し、押下操作されたら判定が満たされてステップS220に移る。ステップS220では、上記押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。
【0058】
以上の処理を実行することにより、操作者がメッセージウィンドウ中の操作ボタンを押下する等の適宜の処置を行うまで(又は所定の表示時間が経過するまで)、メッセージウィンドウの表示が継続される。その際、メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示が行われる。すなわち、優先メッセージ処理においては、上記通常メッセージ処理のような重複領域の半透過状態での表示は行われない。
【0059】
図13は、上記ステップS300の詳細手順例を示すフローチャートである。
【0060】
この図13において、まずステップS305で、近接センサ3による検出回数に対応したフラグFの値を0に初期化する。
【0061】
次にステップS310へ移り、上記ステップS105と同様、近接センサ3がタッチパネルディスプレイ1の近接範囲A内における操作者の手Hの近接を検知したか否かを判定する。手Hの近接を検知している場合には、判定が満たされ、ステップS315へ移る。
【0062】
ステップS315では、フラグFの値が1であるか否かを判定する。言い換えると、メッセージウィンドウの表示を開始してから一度でも操作者の手Hが上記近接範囲A外へ離脱したことがあるか否かを判定する(後述のステップS345参照)。フラグFの値が1である場合、判定が満たされ、次のステップS320へ移る。
【0063】
ステップS320では、上記ステップS110と同様、メッセージウィンドウが操作ボタンと重複した領域に表示された(言い換えれば重複領域が生じたか)か否かを判定する。重複領域が生じている場合には、ステップS320の判定が満たされ、次のステップS325へ移る。
【0064】
ステップS325では、上記ステップS115と同様、当該メッセージウィンドウと操作ボタンとの重複領域(前述したようにこの時点ではメッセージウィンドウが覆うような非透過状態での表示となっている)を、上述した半透過処理による半透過状態での表示に切り替える。なお、このステップS325と、前述の図11のステップS115とが、各請求項記載の切替表示制御工程に相当するとともに、切替表示制御手段として機能する。その後、ステップS330に移る。
【0065】
また一方、上記ステップS310において、近接センサ3が操作者の手Hの近接を検知していない場合には、判定が満たされず、ステップS345でフラグFを1とした後、上記ステップS330へ移行する。同様に、上記ステップS315の判定において、F=0であった場合には、判定が満たされず、上記ステップS330へ直接移行する。さらに同様に、上記ステップS320の判定において、メッセージウィンドウが背景のいずれの操作ボタンとも重複していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS330へ直接移行する。これらの場合、すなわち、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1から離間している場合、若しくは、操作者の手Hがタッチパネルディスプレイ1に近接していても当該近接検出が1回目の検出であるか上記重複領域が存在していない場合には、当該時点での表示状態が維持される。なお、ステップS315で判定が満たされない場合に直接ステップS330へ移行する意義は、以下の通りである。すなわち、前述の図6に示した例に沿うと、この時点ではまだ操作者がハードウェアスイッチ2を操作して再生中の曲名を表示させたばかりであるので、メッセージウィンドウ45による操作ボタン(「ルート探索」ボタン)を覆う非透過表示を優先するのである。
【0066】
ステップS330では、上記ステップS120と同様、表示領域1cに操作者が視認可能な状態で表示されている操作ボタン(すなわち、上記メッセージ領域との重複領域を含む)のいずれかに対し、手Hの接触による押下操作がなされたか否かを判定する。操作ボタンのいずれかが押下操作された場合には判定が満たされ、ステップS335でその押下された操作ボタンの識別番号を操作イベント番号として代入し、このフローを終了する。一方、いずれの操作ボタンも押下されていない場合、判定は満たされず、ステップS340へ移る。
【0067】
ステップS340では、現在表示されているメッセージウィンドウがその表示を開始してから所定の表示時間だけ経過したか否かを判定する。表示時間が経過した場合には、判定が満たされ、このフローを終了する。一方、表示時間がまだ経過していない場合には、判定が満たされず、上記ステップS310へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0068】
以上の処理を実行することにより、基本的に表示時間が経過するまでの間メッセージウィンドウの表示が継続され、その際に操作ボタンとの重複領域は、操作ボタンを覆って視認できなくする非透過状態で表示される。そして、近接センサ3が操作者の手Hの2度目以降の近接を検知している間だけ、上記重複領域が半透過状態で表示されて上記覆われた操作ボタンが視認可能となる(1回目の近接検知時には半透過状態にはならず非透過状態のままである)。そして、半透過状態で表示された上記重複領域を含めいずれかの操作ボタンが押下された際には、対応する操作イベント処理が行われる。
【0069】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、表示領域1cを備えた表示部1a(表示手段に相当)と、操作者が接触操作可能な操作ボタン21〜31等を前記表示領域1c上に表示するように、前記表示部1aを制御するボタン表示制御手段と、前記操作者に対するメッセージウィンドウ41,42,45(メッセージに相当)を前記表示領域1cに表示するように、前記表示部1aを制御するメッセージ表示制御手段と、前記表示領域1cにおいて、前記操作ボタン22,26,31の表示と前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示とが重複する場合に、前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示を、操作者が操作ボタン22,26,31を視認可能な半透過状態に切替可能な切替表示制御手段と、を有する。
【0070】
上記実施形態のタッチパネルの表示方法においては、表示領域1cを備えた表示部1a(表示手段に相当)を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、操作者が接触操作可能な操作ボタン21〜31等を前記表示領域1c上に表示するように、前記表示部1aを制御するボタン表示制御工程と、前記操作者に対するメッセージウィンドウ41,42,45(メッセージに相当)を前記表示領域1cに表示するように、前記表示部1aを制御するステップS5(メッセージ表示制御工程に相当)と、前記表示領域1cにおいて、前記操作ボタン22,26,31の表示と前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示とが重複する場合に、前記メッセージウィンドウ41,42,45の表示を、操作者が操作ボタン22,26,31を視認可能な半透過状態に切替可能なステップS325及びステップS115(切替表示制御工程に相当)と、を有する。
【0071】
上記実施形態のタッチパネルの表示処理プログラムにおいては、上記タッチパネルの表示方法を、CPU10(演算手段に相当)により実行させる。
【0072】
上記実施形態のROM11a(記録媒体に相当)においては、上記タッチパネルの表示処理プログラムが、CPU(演算手段に相当)により読み取り可能に記憶されている。
【0073】
このようにすると、メッセージウィンドウに記載するメッセージの内容や、操作者による操作状況の変化に対応して、メッセージウィンドウが一旦操作ボタンを覆うように非透過表示された状態であっても、その後、覆われた操作ボタンを半透過状態で表示し可視化することが可能となり、操作上の利便性を向上することができる。
【0074】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記表示部1aから近接範囲A(所定の距離範囲に相当)への操作者の手Hの近接を検知する近接センサ3(近接検知手段に相当)をさらに有し、前記切替表示制御手段は、前記近接センサ3による近接の検知を契機として、前記非透過状態である前記重複領域を、前記半透過状態に切り替え可能である。
【0075】
このようにすると、操作者が、タッチパネルディスプレイ1の近接範囲Aに手Hをかざすだけで、容易に重複領域を半透過状態での表示に切り替え、メッセージウィンドウに覆われた操作ボタンを可視化することが可能となる。
【0076】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記表示部1aに表示された前記操作ボタン21〜31等に対する前記操作者の手Hの接触を検知し、対応する操作信号を出力する接触座標検知部1b及びCPU10をさらに有し、接触座標検知部1b及びCPU10は、前記切替表示制御手段により前記半透過状態で表示されている領域での接触を検知した場合、当該領域に位置する前記操作ボタン22,26,31に対応した前記操作信号を出力する。
【0077】
このようにすると、メッセージウィンドウと重複して半透過状態で表示された操作ボタン22,26,31に対して、(メッセージウィンドウが存在したままの)当該重複した状態でも操作を行うことができるので、確実に操作上の利便性が向上する。
【0078】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、メッセージウィンドウごとに、メッセージ内容に対応して設定された、前記切替表示制御手段による前記半透過状態への切替に関する切替優先度を記憶した記憶部11(記憶手段に相当)をさらに有し、前記切替表示制御手段は、前記メッセージ表示制御手段の制御に基づき表示された前記メッセージウィンドウ41,42,45に対応付けられた、前記記憶部11に記憶された前記切替優先度に基づき、前記非透過状態の前記半透過状態への切り替えを実行する。
【0079】
このようにすると、メッセージウィンドウ41,42,45のメッセージ内容の重要性や操作者の手Hの動作に応じて、重複領域の半透過状態への切り替えについて自由度の高い具体的な設定が可能になる。
【0080】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の検知状態では前記半透過状態への切り替えを行い、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の非検知状態では前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第1優先度を記憶している。
【0081】
このようにすると、比較的重要度の低い通常メッセージのメッセージ内容より、操作者がタッチパネルディスプレイ1に手Hを近接させた意志を優先し、重複領域に位置する操作ボタンを半透過状態で可視化して表示することができる。
【0082】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の検知の有無にかかわらず、前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第2優先度を記憶している。
【0083】
このようにすると、操作者がタッチパネルディスプレイ1に手Hを近接させるさせないに関係なく、比較的重要度の高い優先メッセージのメッセージ内容を、常に優先して表示することができる。
【0084】
上記実施形態におけるタッチパネル装置においては、上述した構成に加えてさらに、前記記憶部11は、前記切替優先度として、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの近接の非検知状態、及び、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの第1回目の検知状態、においては、前記半透過状態への切り替えを行わず、前記第1回目の検知状態の後の、前記近接センサ3による前記非検知状態を経て、前記近接センサ3による前記近接範囲Aへの第2回目以降の検知状態においては、前記半透過状態への切り替えを行うようにする、第3優先度を記憶している。
【0085】
このようにすると、比較的重要度の低い内容の保留メッセージでありながら操作者の手Hが最初に近接したときまではメッセージ表示を優先しつつ、その後に操作者が再度意図的に手Hを近接させた場合にはその意志を優先して、重複領域に位置する操作ボタンを半透過状態で可視化して表示することができる。
【0086】
なお、上記図1等に示したように、上記重複領域を半透過状態へ切り替える機能を備えたON/OFFハードウェアスイッチを設け、半透過状態への切り替え機能の実行/不実行を操作者が任意に選択できるようにしてもよい。
【0087】
また、以上においては、操作者に対するメッセージが上記メッセージウィンドウ41,42,45等の形で表示され、そのメッセージウィンドウ41,42,45等が操作ボタン22,26,31等と重複して表示されたときに当該メッセージウィンドウ41,42,45等を半透過状態に切り替えられた。しかしながらこれに限られず、単に表示領域1c中にメッセージが(ウィンドウの形でなく)テキスト表示された場合にも、上記同様に、操作ボタンが視認可能なように、当該メッセージのテキストを半透過状態に切り替えるようにしてもよい。この場合も上記同様の効果を得る。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 タッチパネルディスプレイ(タッチパネル装置に相当)
1a 表示部(表示手段に相当)
1b 接触座標検知部(操作検知手段に相当)
2 ハードウェアスイッチ
3 近接センサ(タッチパネル装置、近接検知部に相当)
10 CPU(タッチパネル装置に相当)
11 記憶部(タッチパネル装置に相当)
12 GPSユニット
13 AVプレーヤ
14 グラフィックコントローラ(タッチパネル装置に相当)
41,41A 通常メッセージのメッセージウィンドウ
42 優先メッセージのメッセージウィンドウ
45,45A 保留メッセージのメッセージウィンドウ
100 車載ナビゲーション装置
A 近接範囲(所定の距離範囲に相当)
H 操作者の手
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を備えた表示手段と、
操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御手段と、
前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御手段と、
前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御手段と、
を有する
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネル装置において、
前記表示手段から所定の距離範囲への操作者の手の近接を検知する近接検知手段をさらに有し、
前記切替表示制御手段は、
前記近接検知手段による近接の検知を契機として、前記非透過状態である前記重複領域を、前記半透過状態に切り替え可能であることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項2記載のタッチパネル装置において、
前記表示領域に表示された前記操作ボタンに対する前記操作者の手の接触を検知し、対応する操作信号を出力する操作検知手段をさらに有し、
前記操作検知手段は、
前記切替表示制御手段により前記半透過状態で表示されている領域での接触を検知した場合、当該領域に位置する前記操作ボタンに対応した前記操作信号を出力することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のタッチパネル装置において、
前記メッセージごとに、メッセージ内容に対応して設定された、前記切替表示制御手段による前記半透過状態への切替に関する切替優先度を記憶した記憶手段をさらに有し、
前記切替表示制御手段は、
前記メッセージ表示制御手段の制御に基づき表示された前記メッセージに対応付けられた、前記記憶手段に記憶された前記切替優先度に基づき、前記非透過状態の前記半透過状態への切り替えを実行する
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項4記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の検知状態では前記半透過状態への切り替えを行い、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の非検知状態では前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第1優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の検知の有無にかかわらず、前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第2優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の非検知状態、及び、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への第1回目の検知状態、においては、前記半透過状態への切り替えを行わず、前記第1回目の検知状態の後の、前記近接検知手段による前記非検知状態を経て、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への第2回目以降の検知状態においては、前記半透過状態への切り替えを行うようにする、第3優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項8】
表示領域を備えた表示手段を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、
操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御工程と、
前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御工程と、
前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御工程と、
を有する
ことを特徴とするタッチパネルの表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載のタッチパネルの表示方法を、演算手段により実行させる、ことを特徴とするタッチパネルの表示処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のタッチパネルの表示処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記憶されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
表示領域を備えた表示手段と、
操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御手段と、
前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御手段と、
前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御手段と、
を有する
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネル装置において、
前記表示手段から所定の距離範囲への操作者の手の近接を検知する近接検知手段をさらに有し、
前記切替表示制御手段は、
前記近接検知手段による近接の検知を契機として、前記非透過状態である前記重複領域を、前記半透過状態に切り替え可能であることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項2記載のタッチパネル装置において、
前記表示領域に表示された前記操作ボタンに対する前記操作者の手の接触を検知し、対応する操作信号を出力する操作検知手段をさらに有し、
前記操作検知手段は、
前記切替表示制御手段により前記半透過状態で表示されている領域での接触を検知した場合、当該領域に位置する前記操作ボタンに対応した前記操作信号を出力することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載のタッチパネル装置において、
前記メッセージごとに、メッセージ内容に対応して設定された、前記切替表示制御手段による前記半透過状態への切替に関する切替優先度を記憶した記憶手段をさらに有し、
前記切替表示制御手段は、
前記メッセージ表示制御手段の制御に基づき表示された前記メッセージに対応付けられた、前記記憶手段に記憶された前記切替優先度に基づき、前記非透過状態の前記半透過状態への切り替えを実行する
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項4記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の検知状態では前記半透過状態への切り替えを行い、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の非検知状態では前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第1優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の検知の有無にかかわらず、前記半透過状態への切り替えを行わないようにする、第2優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のタッチパネル装置において、
前記記憶手段は、
前記切替優先度として、
前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への近接の非検知状態、及び、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への第1回目の検知状態、においては、前記半透過状態への切り替えを行わず、前記第1回目の検知状態の後の、前記近接検知手段による前記非検知状態を経て、前記近接検知手段による前記所定の距離範囲への第2回目以降の検知状態においては、前記半透過状態への切り替えを行うようにする、第3優先度を記憶している
ことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項8】
表示領域を備えた表示手段を有するタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの表示方法であって、
操作者が接触操作可能な操作ボタンを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するボタン表示制御工程と、
前記操作者に対するメッセージを前記表示領域に表示するように、前記表示手段を制御するメッセージ表示制御工程と、
前記表示領域において、前記操作ボタンの表示と前記メッセージの表示とが重複する場合に、前記メッセージの表示を、操作者が前記操作ボタンを視認可能な半透過状態に切り替え可能な切替表示制御工程と、
を有する
ことを特徴とするタッチパネルの表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載のタッチパネルの表示方法を、演算手段により実行させる、ことを特徴とするタッチパネルの表示処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のタッチパネルの表示処理プログラムが、演算手段により読み取り可能に記憶されていることを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−83831(P2012−83831A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227323(P2010−227323)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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