説明

タッチパネル

【課題】タッチ側基板の撓み変形量を小さくして、タッチ側基板のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる抵抗膜型のタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチ側とその反対側の一対の基板11,12の内面それぞれに設けられた抵抗膜13,14と、その一方の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ、一方の方向に沿って前記抵抗膜13の膜面よりも予め定めた高さに突出した凸条形状に形成され、タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって他方の抵抗膜14に電気的に接触し、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させる複数のライン状接点15と、前記一対の基板11,12間の複数のライン状接点15とは異なる複数の位置にそれぞれ配置され、複数のライン状接点15と他方の抵抗膜14の前記ライン状接点15と接触する部分との間隙を予め定めた高さに規定する複数のスペーサ17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗膜型のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜型のタッチパネルは、第1の抵抗膜が形成された第1の基板と、第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置されたものであり、タッチ側の基板がその外面側からのタッチにより撓み変形し、このタッチ側基板の抵抗膜がタッチ部において前記反対側基板の抵抗膜に接触することにより、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出する。
【0003】
この抵抗膜型のタッチパネルにおいては、タッチ入力が行われないときにタッチ側基板の内面の抵抗膜がみだりに反対側基板の内面の抵抗膜に接触することが無いように、一対の基板間の間隙を複数のスペーサにより規定するか、或いは一対の基板間の間隙に絶縁性液体を封入している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−45519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の抵抗膜型タッチパネルは、タッチ側基板のタッチされた部分が一対の基板間の間隙に対応する深さに撓み変形したときに、前記タッチ側基板の内面の抵抗膜が反対側基板の内面の抵抗膜に接触して第1の抵抗膜と第2の抵抗膜とが導通するため、前記タッチ側基板の撓み変形量が大きい。
【0006】
そのため、液晶表示パネル等の表示パネルの観察側に上記従来の抵抗膜型タッチパネルを配置したタッチパネル付き表示装置は、表示パネルからの出射光が、前記タッチ側基板の撓み変形した部分において大きく屈折し、その部分の表示が歪んで見える。
【0007】
この発明は、タッチ側基板の撓み変形量を小さくして、前記タッチ側基板の撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる抵抗膜型のタッチパネルを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置され、前記第1の抵抗膜に形成された接点と前記第2の抵抗膜との電気的な接触位置を検出するタッチパネルであって、
前記第1の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ、一方の方向に沿って予め定めた高さに突出した凸条形状に形成された複数のライン状接点と、
前記複数のライン状接点とは異なる複数の位置にそれぞれ配置され、前記各ライン状接点と前記第2の抵抗膜の前記ライン状接点と対向する部分との間隙を予め定めた高さに規定する複数のスペーサと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記複数のスペーサは、所定の間隔で配置され、隣接した2つのスペーサの間に、2本以上の前記ライン状接点が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1から2の何れかに記載のタッチパネルにおいて、所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに前記スペーサが配置され、前記方形領域内にそれぞれ前記ライン状接点が所定の間隔で配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記第1の基板の前記第2の基板と対向する面上の複数の位置にそれぞれ、前記一方の方向に沿って前記ライン状接点の高さに対応した高さに突出した複数の凸条が互いに平行に設けられ、前記第1の抵抗膜は、前記複数の凸条を覆って形成され、この第1の抵抗膜の前記複数の凸条を覆う部分により前記複数のライン状接点が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記複数のライン状接点は、前記第1の抵抗膜上に形成された複数の導電性凸条からなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記第2の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ、予め定めた方向に沿って前記各ライン状接点と間隙をもって対向する高さに突出した凸条形状に形成された複数のライン状接点受けが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載のタッチパネルにおいて、前記各ライン状接点受けは、前記各ライン状接点の長さ方向に対して交差する方向に沿った凸条形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1から7の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記第1の基板と前記第2の基板は、当該第1の基板と当該第2の基板との間に配置された枠状のシール材により接合され、前記第1と第2の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に、絶縁性液体が封入されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記各ライン状接点及び前記各スペーサは、前記シール材により囲まれた領域に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、前記第1と第2の基板の少なくとも一方との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な材料であることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、タッチ側基板の撓み変形量を小さくして、前記タッチ側基板の撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】タッチパネル付き表示装置の側面図。
【図2】この発明の第1実施例を示すタッチパネルの平面図。
【図3】第1実施例のタッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図。
【図4】第1実施例のタッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図。
【図5】第1実施例のタッチパネルの複数のライン状接点と複数のスペーサの位置関係を示す図。
【図6】第1実施例のタッチパネルの断面図。
【図7】図6のVII−VII線に沿う拡大断面図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図。
【図9】図6に対応する部分のタッチ入力時の断面図。
【図10】図7に対応する部分のタッチ入力時の断面図。
【図11】タッチパネル駆動回路を示す図。
【図12】この発明の第2実施例を示すタッチパネルの一部分の断面図。
【図13】この発明の第3実施例を示すタッチパネルの一部分の断面図。
【図14】この発明の第4実施例を示すタッチパネルの一部分の断面図。
【図15】この発明の第5実施例を示すタッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図。
【図16】第5実施例のタッチパネルの複数のライン状接点と複数のライン状接点受けと複数のスペーサの位置関係を示す図。
【図17】第5実施例のタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図18】図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1に示したタッチパネル付き表示装置について説明すると、この表示装置は、画像を表示する表示パネル1と、この表示パネル1の観察側に配置された抵抗膜型のタッチパネル10とにより構成されている。
【0024】
前記表示パネル1は、例えば、図示しないバックライトから照射された光の透過を制御して画像を表示する液晶表示パネルであり、予め定めた間隙を設けて対向配置され、周縁部において枠状のシール材4を介して接合された観察側とその反対側の一対の透明基板2,3と、前記一対の基板2,3の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極(図示せず)と、前記一対の基板2,3間の間隙の前記シール材4により囲まれた領域に封入された液晶(図示せず)と、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ配置された偏光板5,6とからなっている。
【0025】
なお、この液晶表示パネルは、TN型、STN型、非ツイストのホモジニアス型、垂直配向型、ベンド配向型、強誘電性または反強誘電性液晶表示パネルのいずれでもよく、また、一対の基板の内面にそれぞれ複数の画素を形成するための電極を設けたものに限らず、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。さらに、前記表示パネル1は、液晶表示パネルに限らず、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の発光型表示パネルでもよい。
【0026】
前記タッチパネル10は、前記液晶表示パネル1の観察側に配置され、前記液晶表示パネル1の観察側偏光板5の外面に、透明な粘着材または樹脂からなる接着層7により貼付けられている。
【実施例1】
【0027】
この発明の第1の実施例のタッチパネル10は、図2〜図10のように、互いに対向させて配置されたタッチ側とその反対側の一対の透明基板11,12と、これらの基板11,12のうちの第1の基板、例えばタッチ側基板11の第2の基板(以下、反対側基板という)12と対向する内面に形成された第1の抵抗膜13と、前記反対側基板12の前記タッチ側基板11と対向する内面に形成された第2の抵抗膜14と、前記第1の抵抗膜13の複数の位置にそれぞれ、一方の方向に沿って前記第1の抵抗膜13の膜面よりも予め定めた高さに突出した凸条形状に形成され、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって他方の抵抗膜、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14に電気的に接触し、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させる複数のライン状接点15と、前記一対の基板11,12間の前記複数のライン状接点15とは異なる複数の位置にそれぞれ配置され、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14の前記ライン状接点15と接触する部分との間隙を予め定めた高さに規定する複数のスペーサ17とを備えている。
【0028】
前記一対の基板11,12のうちのタッチ側基板11は、矩形形状に形成された0.2〜0.3mmの厚さの樹脂フィルムまたはガラス板からなっており、反対側基板12は、前記タッチ側基板11と実質的に同じ大きさの矩形形状に形成され、且つその1つの縁部に、前記タッチ側基板11の外方に張出す張出部12aが一体に形成された0.5〜1.1mmの厚さのガラス板からなっている。
【0029】
なお、図では省略しているが、前記反対側基板12にソーダガラス板等を用いる場合は、この反対側基板12の内面全体に、タッチパネル内部の汚染防止と、前記抵抗膜13,14の密着性を向上させるための透明なSiO(二酸化珪素)膜を形成し、その上に前記第2の抵抗膜14を設けるのが望ましく、また、前記タッチ側基板11にソーダガラス板等を用いる場合は、このタッチ側基板11の内面全体に透明なSiO膜を形成し、その上に前記第1の抵抗膜13を設けるのが望ましい。
【0030】
このタッチパネル10は、前記一対の基板11,12の周縁部を除く矩形状領域をタッチ入力を行うためのタッチエリア34としたものであり、前記一対の基板11,12は、これらの基板11,12の周縁部の間に前記タッチエリア34を囲んで配置され、前記一対の基板11,12間の間隙を前記タッチエリア34を囲む全周にわたってシールする枠状のシール材29により接合されている。
【0031】
前記第1と第2の抵抗膜13,14はそれぞれ、前記タッチエリア34よりも大きい矩形形状に形成され、前記複数のライン状接点15は、前記タッチエリア34に対応する領域に、一方の方向、例えば前記タッチエリア34の左右方向に沿わせて、前記タッチエリア34の左右方向の幅と略同じ長さの凸条形状に形成され、密なピッチで互いに平行に設けられている。
【0032】
そして、この実施例のタッチパネル10においては、前記タッチ側基板11の内面のタッチエリア34に対応する領域の複数の位置にそれぞれ、前記一方の方向、つまり前記タッチエリア34の左右方向に沿って、前記ライン状接点15の高さに対応した高さに突出した複数の透明な凸条16を互いに平行に設け、前記第1の抵抗膜13を、前記複数の凸条16を覆って、これらの凸条16を覆う部分が他の部分よりも突出する形状に形成することにより、この第1の抵抗膜13の前記複数の凸条16を覆う部分によって前記複数のライン状接点15を形成している。
【0033】
前記複数の凸条16は、前記タッチ側基板11の内面に、感光性樹脂をスピンコートにより前記凸条16の高さに対応した厚さに塗布し、その樹脂膜を、前記複数の凸条16の平面形状及びその配置ピッチに対応したパターンの露光マスクを用いて露光処理した後に現像処理することにより形成されたものであり、これらの凸条16は、その全てが同じ高さを有している。
【0034】
なお、前記樹脂膜は、露光処理後の現像処理において、膜表面に近い側ほど長時間現像液にされるため、前記凸条16は、その基部から頂部に向かって幅が小さくなった形状に形成される。この実施例において、前記複数の凸条16は、その長さ方向に対して直交する方向の断面形状が、基部の幅が15〜30μm、高さが5〜8μmの台形状に形成された形状を有している。
【0035】
また、前記第1と第2の抵抗膜13,14はそれぞれ、プラズマCVD装置により0.05〜0.20μmの膜厚に成膜されたITO膜等の透明導電膜からなっており、これらの抵抗膜13,14のうちの前記タッチ側基板11の内面に成膜された第1の抵抗膜13の前記複数の凸条を覆う部分により前記複数のライン状接点15が形成されている。
【0036】
なお、図6〜図10では、前記複数のライン状接点15の高さを大きく誇張しているが、これらのライン状接点15の両側面の傾斜角(タッチ側基板11面に対する角度)は、実際には40°〜50°であり、したがって、第1の抵抗膜13を、前記複数の凸条16の全体を覆って均一な膜厚に成膜し、前記複数のライン状接点15を形成することができる。
【0037】
さらに、前記複数のスペーサ17は、前記第1と第2の抵抗膜13,14のいずれか一方、例えば反対側基板12の内面に設けられた前記第2の抵抗膜14上のタッチエリア34に対応する領域のうちの前記複数のライン状接点15とは異なる複数の位置に、透明な絶縁材によって、前記複数のライン状接点15の高さよりも予め定めた高さだけ高い柱状に形成されている。以下、これらのスペーサ17を柱状スペーサという。
【0038】
前記複数の柱状スペーサ17は、前記第2の抵抗膜14の上に透明なアクリル系の感光性樹脂をスピンコートにより前記柱状スペーサ17の高さに対応した厚さに塗布し、その樹脂膜を、前記複数の柱状スペーサ17の平面形状及びその配列ピッチに対応したパターンの露光マスクを用いて露光処理した後に現像処理することによりパターニングして形成されたものであり、これらの柱状スペーサ17は、その全てが同じ高さで、且つ基部から突出端に向かって径が小さくなった形状、例えば、タッチ側基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が15〜30μm、高さが7〜10μm、周面の傾斜角が40°〜50°のテーパー柱状に形成されている。
【0039】
前記各ライン状接点15及び各柱状スペーサ17は、前記タッチエリア34に対応する領域、つまり前記枠状のシール材29により囲まれた領域に、所定の間隔で配置されているとともに、隣接した2つの柱状スペーサ17,17の間に2つ以上のライン状接点15が配置されている。
【0040】
この実施例において、前記各柱状スペーサ17は、所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに配置され、前記各ライン状接点15は、少なくとも前記方形領域内に、所定の間隔で配置されている。
【0041】
なお、前記複数のライン状接点15は、予め定めた数のライン状接点15毎に1つのライン状接点15を省略した無接点領域を確保したパターンで配置されており、前記複数の柱状スペーサ17は、前記ライン状接点15を省略した複数の無接点領域にそれぞれ対応させて、前記ライン状接点15の長さ方向と平行な方向に前記複数の無接点領域のピッチと実質的に同じピッチで並べて配置されている。
【0042】
例えば図5のように、前記複数のライン状接点15は、これらのライン状接点15の長さ方向と直交する方向に、0.05mm、0.1mm、0.2mmのいずれかのピッチP1で配置され、前記ライン状接点15を省略した複数の無接点領域にそれぞれ対応させて設けられた前記複数の柱状スペーサ17は、前記ライン状接点15の長さ方向と平行な方向とそれと直交する方向とにそれぞれ2mmまたは4mmのピッチP2で配置されている。
【0043】
なお、図3及び図5〜図10では、便宜上、5本のライン状接点15毎に1つの柱状スペーサ17を配置しているが、前記複数のライン状接点15のピッチP1と前記複数の柱状スペーサ17のピッチP2とがP1=0.05mm、P2=2mmの場合は、38本のライン状接点15毎に1つの柱状スペーサ17が配置され、P1=0.2mm、P2=4mmの場合は、18本のライン状接点15毎に1つの柱状スペーサ17が配置される。
【0044】
また、前記反対側基板12の張出部12aには、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13の一方の方向、例えば前記タッチエリア34の左右方向(以下、X軸方向という)の両端と、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜14の前記一方の方向に対して直交する方向、つまり前記タッチエリア34の上下方向(以下、Y軸方向という)の両端とをそれぞれ図11に示したタッチパネル駆動回路36に接続するための複数、例えば4つの駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bが設けられている。
【0045】
さらに、前記駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bが設けられた反対側基板12の内面には、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の縁部にそれぞれ対向する複数の第1の電極23a,23bと、前記反対側基板12に設けられた前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の縁部にそれぞれ形成された複数の第2の電極24a,24bと、前記複数の第1の電極23a,23b及び前記複数の第2の電極24a,24bを前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bにそれぞれ接続するための複数の配線27a,27b,28a,28bとが設けられている。
【0046】
また、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記枠状のシール材29によるシール部に位置し、X軸方向に対して直交するY軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置する形状に形成され、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜14は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置し、前記Y軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部の近傍または前記シール部に対応する形状に形成されている。
【0047】
そして、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極23a,23bは、前記シール部に設けられており、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極24a,24bは、前記第2の抵抗膜14の上に積層されている。
【0048】
なお、この実施例のタッチパネル10は、前記第1の電極23a,23bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設け、前記第2の電極24a,24bを、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設けたものであり、前記2つの第1の電極23a,23bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて連続した帯形状に形成され、前記2つの第2の電極24a,24bは、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成されている。
【0049】
前記2つの第1の電極23a,23bと前記2つの第2の電極24a,24bは、前記シール部に対応する部分に設けられた複数(この実施例では4本)の配線27a,27b,28a,28bにより、前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bにそれぞれ接続されている。
【0050】
なお、前記第1の電極23a,23b及び第2の電極24a,24bと、前記駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bと、前記配線27a,27b,28a,28bは、前記反対側基板12上または前記第2の抵抗膜14上に、モリブデンからなる第1層と、アルミニウム系合金からなる第2層と、モリブデンからなる第3膜とを積層して成膜し、この3層の積層膜をパターニングして形成されている。
【0051】
前記一対の基板11,12は、これらの基板11,12の内面それぞれに形成された前記第1と第2の抵抗膜13,14を対向させ、且つ、前記反対側基板12の内面に設けられた複数の柱状スペーサ17の先端を、タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13に当接させ、前記タッチ側基板11の内面に設けられた複数のライン状接点15の頂部をそれぞれ、前記第2の抵抗膜14に対して、前記ライン状接点15と柱状スペーサ17との高さの差に対応した間隙を設けて対向させた状態で前記枠状のシール材29により接合されている。なお、例えば前記第1の抵抗膜13の膜面に対する複数のライン状接点15の高さが8μm、第1の抵抗膜13の膜面に対する柱状スペーサ17の高さが10μmである場合、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14との間の間隙は2μmに規定される。
【0052】
そして、前記第1の抵抗膜13の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極23a,23bとはそれぞれ、前記シール材29によるシール部において導電性部材により接続されている。
【0053】
この実施例において、前記シール部は、前記枠状のシール材29と、このシール材29中に、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極23a,23bとを接続するための導電性部材として分散された、前記一対の基板11,12間の間隙に対応する直径を有する複数の球状の導電性粒子30とからなっている。
【0054】
前記シール材29は、前記一対の基板11,12のいずれか一方の内面上に、前記反対側基板12の張出部12aが形成された側とは反対側の縁部に対応する辺部を部分的に欠落させて液体注入口31を設けた形状に印刷されており、前記一対の基板11,12は、前記複数の柱状スペーサ17をそれぞれ、タッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13に当接させることにより、これらの基板11,12間の間隙を前記複数の柱状スペーサ17により規定され、その状態で前記シール材29を硬化させることにより、前記シール材29を介して接合されている。
【0055】
そして、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部と、前記反対側基板12に前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向させて設けられた2つの第1の電極23a,23bとは、前記一対の基板11,12を前記シール材29を介して接合することにより、前記シール材29中に分散された球状の導電性粒子30のうちの前記第1の抵抗膜13と前記第1の電極23a,23bとの間に挟持された複数の前記導電性粒子30によって電気的に接続されている。
【0056】
さらに、前記一対の基板11,12間の前記シール材29により囲まれた間隙には、絶縁性液体33が封入されている。この絶縁性液体33は、密閉されたチャンバ内において、前記チャンバ内を真空状態にして前記液体注入口31を前記絶縁性液体33の浴に浸し、その状態でチャンバ内を大気圧に戻すことにより、前記チャンバ内と前記一対の基板11,12間の間隙内との圧力差によって前記絶縁性液体33を前記液体注入口31から前記一対の基板11,12間の間隙に注入することにより充填され、前記液体注入口31は、前記絶縁性液体33の充填後に封止樹脂32によって封止される。
【0057】
前記絶縁性液体33は、前記一対の基板11,12との光の屈折率の差が0.1以下の透明な液体である。すなわち、前記一対の基板11,12がそれぞれガラス板である場合、これらの基板11,12の屈折率は約1.5であり、前記絶縁性液体33は、約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有している。この絶縁性液体33は、前記一対の基板11,12の屈折率により近い屈折率、つまり約1.5の屈折率を有しているのが好ましい。
【0058】
この実施例では、前記絶縁性液体33として、常温で光学的に等方性な材料、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶(N−I点が5℃未満のネマティック液晶)を前記一対の基板11,12間の間隙に封入している。このような特性の液晶としては、具体的には、2〜3つのシクロヘキサンまたはベンゼン環と、その両端にアルキル基を有し、誘電視異方性を実質的に持たない液晶材料を用いることができる。
【0059】
前記タッチパネル10は、図9及び図10のように、前記タッチ側基板11の外面側から指先35等によってタッチ入力されるものであり、タッチ入力が行われると、前記タッチ側基板11のタッチ部に対応する部分が、その外面側からのタッチにより、前記タッチ部の周囲の複数の柱状スペーサ17,17間において、第1の抵抗膜13及び前記柱状スペーサ17,17間に位置する複数のライン状接点15とともに内面方向に撓み変形し、前記柱状スペーサ17,17間の複数のライン状接点15のうちの内面方向への撓み変形量が最も大きいライン状接点15が、その撓みの頂部、つまり前記タッチ部に対応する部分において局部的に反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14に接触し、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とがタッチ部において導通する。
【0060】
このタッチパネル10は、タッチ側とその反対側の一対の基板11,12の内面それぞれに設けられた第1と第2の抵抗膜13,14のうちの一方、例えばタッチ側11の内面に設けられた第1の抵抗膜13に、一方の方向に沿って前記第1の抵抗膜13の膜面よりも予め定めた高さに突出した凸条形状に形成され、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって他方の抵抗膜、つまり反対側12の内面に設けられた第2の抵抗膜14に電気的に接触し、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させる複数のライン状接点15を設け、前記一対の基板11,12間の前記複数のライン状接点15とは異なる複数の位置にそれぞれ配置した複数の柱状スペーサ17により、前記複数のライン状接点15と前記他方の抵抗膜14の前記ライン状接点15と接触する部分との間隙を予め定めた高さに規定しているため、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14の前記ライン状接点15と接触する部分との間のギャップΔd(図7参照)は、前記ライン状接点15と柱状スペーサ17との高さの差に対応する。
【0061】
そのため、このタッチパネル10によれば、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量を、前記一対の基板11,12間の間隙よりも充分に小さくすることができる。
【0062】
すなわち、例えば前記複数のライン状接点15の第1の抵抗膜13の膜面(ライン状接点15以外の部分の膜面)からの突出高さが3.5μm、前記複数の柱状スペーサ17の前記第1の抵抗膜13の膜面からの突出高さが4.0μmである場合、前記一対の基板11,12間の間隙(第1と第2の抵抗膜13,14間の間隙)は4.0μm、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14との間のギャップΔdは0.5μmであり、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量、つまり前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14との間のギャップΔd(0.5μm)は、前記一対の基板11,12間の間隙(4.0μm)よりも充分に小さい。
【0063】
そのため、前記タッチパネル10によれば、前記タッチ側基板11のタッチにより撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができ、したがって、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1の表示画像を、前記タッチ側基板11の撓み変形した部分においても歪みをほとんど生じさせること無く観察させることができる。
【0064】
また、前記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜13と第2の抵抗膜14とをタッチ部において導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量が小さいため、タッチ入力を僅かな押圧力で行うことができ、したがって、軽いタッチ感を得ることができる。
【0065】
さらに、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に、絶縁性液体33を封入しているため、このタッチパネル10を透過する光の基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面、つまり前記抵抗膜13,14が介在した界面での反射や屈折を小さくすることができ、したがって、前記表示パネル1の表示画像を充分な明るさで観察させることができる。
【0066】
すなわち、前記一対の基板11,12の内面にはそれぞれTIO膜等からなる抵抗膜13,14が設けられているため、前記タッチパネル10を透過する光は、タッチ側基板11と第1の抵抗膜13との界面及び反対側基板12と第2の抵抗膜14との界面と、前記第1及び第2の抵抗膜13,14と一対の基板11,12間の間隙との界面とで反射するか、或いはこれらの界面で屈折する。
【0067】
しかし、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に絶縁性液体30を封入しているため、前記間隙が屈折率が1の空気層である場合に比べて、前記第1及び第2の抵抗膜13,14と一対の基板11,12間の間隙との屈折率の差が小さい。なお、ITO膜等からなる前記抵抗膜13,14の屈折率は約1.8であり、前記絶縁性液体30の屈折率は上述したように約1.4〜1.5の範囲であるため、前記抵抗膜13,14と前記絶縁性液体30との屈折率の差は、約0.4〜0.3の範囲である。
【0068】
そのため、前記タッチパネル10は、前記基板11,12と前記絶縁性液体30の層とのそれぞれの見かけ上の界面での光の反射及び屈折が、前記間隙が屈折率が1の空気層である場合に比べて少ない。
【0069】
前記絶縁性液体30は、前記一対の基板11,12との屈折率差が0.1以下の液体が好ましく、このような屈折率の液体を封入することにより、前記基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での光の屈折を、より効果的に小さくすることができる。
【0070】
すなわち、前記一対の基板11,12それぞれの屈折率は約1.5、前記絶縁性液体30の屈折率は約1.4〜1.5の範囲、前記抵抗膜13,14の屈折率は約1.8であるため、前記タッチパネル10に一方の方向、例えば反対側基板12の外面から入射した光は、前記反対側基板12と第2の抵抗膜14との界面で、タッチパネル10の法線方向に対する角度が大きくなる方向に屈折し、前記第2の抵抗膜14と絶縁性液体30の層との界面で、前記法線方向に対する角度が小さくなる方向に屈折し、さらに、前記絶縁性液体30の層と第1の抵抗膜13との界面で、前記法線方向に対する角度が大きくなる方向に屈折し、前記第1の抵抗膜13とタッチ側基板11との界面で、前記法線方向に対する角度が小さくなる方向に屈折する。
【0071】
しかし、前記第1と第2の抵抗膜13,14はそれぞれ膜厚が0.05〜0.20μmの極く薄い膜であるため、第2の抵抗膜14と反対側基板12及び絶縁性液体30の層との2つの界面の一方における光の入射位置と他方の界面における出射位置とのずれと、第1の抵抗膜13と絶縁性液体30の層及びタッチ側基板11との2つの界面の一方における光の入射位置と他方の界面における出射位置とのずれは、いずれも無視することができる。
【0072】
したがって、前記タッチパネル10における光の入射位置と出射位置とのずれは、実質的に、一対の基板11,12と絶縁性液体30との屈折率の差に対応し、その屈折率差が0.1以下であれば、前記基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での屈折を効果的に小さくすることができる。
【0073】
前記絶縁性液体30は、常温で光学的に等方性な材料、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶が望ましく、この液晶を封入することにより、常温での基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での反射や屈折を小さくすることができる。
【0074】
なお、前記絶縁性液体33としては、前記常温で光学的に等方性な材料以外に、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質、具体的には、ブタノール、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペプンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレビンオイル等の有機の液状物質、またはシリコンオイル等の無機の液状物質を用いることができる。
【0075】
また、前記タッチ側基板11は、ガラス板に限らず樹脂フィルムでもよく、その場合はタッチ側基板11と反対側基板12との屈折率が異なるが、前記一対の基板11,12の少なくとも一方と前記絶縁性液体30との光の屈折率の差が0.1以下であれば、基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での光の屈折を、充分に小さくすることができる。
【0076】
さらに、前記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜13に設けられ、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって前記第2の抵抗膜14に電気的に接触する複数の接点が、一方の方向に沿って前記第1の抵抗膜の膜面よりも予め定めた高さに突出した凸条形状に形成されたライン状接点15であるため、個々に独立して突出する突起形状に形成されたドット状接点に比べて、耐加重性が高く、したがって、タッチ入力の繰り返しや、叩きつけるような強いタッチ入力によって前記ライン状接点15が変形したり折損したりすることは無い。
【0077】
しかも、前記ライン状接点15は、その形状が凸条形状であるため、これらのライン状接点15を形成するための前記複数の凸条16を、縞状のシンプルなパターンの露光マスクを用いて形成することができ、したがって、上記実施例のタッチパネル10は、前記ドット状接点を複数予め定めたピッチで配列させたタッチパネルに比べて、生産性の面でも有利である。
【0078】
また、上記実施例のタッチパネル10は、前記一対の基板11,12の内面それぞれに透明な第1と第2の抵抗膜13,14を設けるとともに、タッチ側基板11の内面に、複数の透明な凸条16を設け、これらの凸条16を覆って透明な第1の抵抗膜13を設けることにより、前記第1の抵抗膜13の前記複数の凸条17を覆う部分によって複数のライン状接点15を形成し、さらに前記第2の抵抗膜14の上に複数の透明な柱状スペーサ17を設けているため、例えば前記タッチ側基板11の内面に前記第1の抵抗膜13を形成し、その上に導電性金属により複数の接点を形成する場合のように、これらの接点によって透過光が遮られることは無く、したがって、前記表示パネル1の表示画像を、前記複数のライン状接点15及び柱状スペーサ17に対応する部分に影を生じさせること無く観察させることができる。
【0079】
なお、上記実施例のタッチパネル10では、反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14の上に複数の柱状スペーサ17を設けているが、前記複数の柱状スペーサ17をタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の上に設け、これらの柱状スペーサ17を前記第2の抵抗膜14に当接させて一対の基板11,12間の間隙を規定してもよい。
【0080】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11がその外面側からのタッチにより内面方向に撓み変形し、前記複数のライン状接点15のうちのタッチ部のライン状接点15が反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14に接触し、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜14とがタッチ部において導通するため、図11に示したタッチパネル駆動回路36により、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加し、前記第1の抵抗膜13に電圧を印加したときの第2の抵抗膜14の一端の電圧値と、前記第2の抵抗膜14に電圧を印加したときの前記第1の抵抗膜13の一端の電圧値とを測定することにより、これらの電圧値に基づいて、タッチ点のX軸方向とY軸方向の座標を検出することができる。
【0081】
前記タッチパネル駆動回路36は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加するための電圧印加回路37と、前記第1の抵抗膜13がタッチ側基板11の撓み変形した部分のライン状接点15を介して前記第2の抵抗膜14と導通したときに、前記電圧印加回路37上の予め定めた点と前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端または前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端との間に生じる電圧を測定する電圧測定系45と、この電圧測定系45の測定値に基づいてタッチ点の座標を検出する座標検出手段50とを備えている。
【0082】
前記電圧印加回路37は、定電圧電源38と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第1の抵抗膜接続配線39,40を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とに前記定電圧電源38の一方の極(図では−極)の電圧を選択的に供給する第1の接続切換スイッチ41と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端とにそれぞれ接続された第2の抵抗膜接続配線42,43を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端とに前記定電圧電源38の他方の極(図では+極)の電圧を選択的に供給する第2の接続切換スイッチ44とからなっている。なお、図2に示した定電圧電源38は直流電源であるが、この定電圧電源38は交番する電圧を供給する電源でもよい。
【0083】
また、前記電圧測定系45は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第3の抵抗膜接続配線46,47を介して、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の電圧を電圧測定手段49に選択的に供給する第3の接続切換スイッチ48と、前記定電圧電源38の一方の極(図では−極)と前記第3の接続切換スイッチ48との間に介在された電圧測定手段49とにより構成されている。
【0084】
前記電圧印加回路37は、図示しない制御手段により、予め設定された周期、例えば0.1秒周期で、前記第1と第2の接続切換スイッチ41,44を、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端を前記定電圧電源38に接続する側(図11の状態)と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端を前記定電圧電源38に接続する側とに切換えられ、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに前記定電圧電源38の一定値の電圧を交互に印加する。
【0085】
また、前記座標検出手段50は、前記図示しない制御手段により制御され、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段49の測定値に基づいて前記タッチ点のX軸方向の座標(以下、X座標という)を検出し、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段49の測定値に基づいて前記タッチ点のY軸方向の座標(以下、Y座標という)を検出する。
【0086】
前記電圧測定手段49の測定値に基づく前記タッチ点のX,Y座標の検出は、次のような演算により行なう。
【0087】
前記定電圧電源38の電圧値をV、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端のX座標値を0、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端のX座標値を1、前記タッチ点のX座標をx、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間の抵抗値をr、前記電圧測定手段49の内部抵抗値をRとすると、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間に前記電圧Vを印加したときの前記電圧測定手段49の測定電圧値V(x)は、
≪Rであるため、
V(x)=V(1−x)
で表すことができる。
【0088】
また、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端のY座標値を0、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端のY座標値を1、前記タッチ点のY座標をy、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間の抵抗値をrとすると、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間に前記電圧Vを印加したときの前記電圧測定手段49の測定電圧値V(y)は、
≪Rであるため、
V(y)=V(1−y)
で表すことができる。
【0089】
したがって、前記タッチ点のX座標xとY座標yは、
x=1−V(x)/V
y=1−V(y)/V
により求めることができる。
【0090】
また、上記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて、連続した帯形状に形成された2つの第1の電極23a,23bを設け、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部に、前記辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成された2つの第2の電極24a,24bを設け、これらの第1の電極23a,23b及び第2の電極24a,24bをそれぞれ配線27a,27b,28a,28bにより反対側基板12の張出部12aに設けられた駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bに接続しているため、前記タッチパネル駆動回路36によって前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、前記タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0091】
そのため、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1に複数のキーパターンを表示させ、前記タッチパネル10の前記複数のキーパターンに対応した部分を選択的にタッチするキーボード的なタッチ入力の他に、例えば、前記表示パネル1に画像を表示させ、前記タッチパネル10の任意の点をタッチすることにより、前記表示パネル1にタッチ点を中心とした拡大画像を表示させたり、前記タッチパネル10上においてタッチ点を任意の方向に移動させることにより、前記表示パネル1の表示画像をスクロールさせたりすることができる。
【0092】
なお、上記実施例では、前記第1の電極23a,23bと第2の電極24a,24bとをそれぞれ連続した帯形状に形成しているが、前記第1の電極23a,23b及び第2の電極24a,24bは、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで断続的に設けてもよく、その場合も、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜13及び第2の抵抗膜14の略全域に均等に作用させ、タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0093】
このように、前記第1の電極23a,23b及び第2の電極24a,24bを、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜14のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて断続的に設ける場合は、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の一端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の一端の辺部に対向する複数の第2の電極同士と、前記第2の抵抗膜14のY軸方向の他端の辺部に対向する複数の第2の電極同士をそれぞれ共通接続し、前記反対側基板12の張出部12aに設けられた複数の駆動回路接続端子25a,25b,26a,26bに複数の配線27a,27b,28a,28bを介して接続すればよい。
【0094】
さらに、上記実施例では、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の縁部と、これらの端部に対向させて設けられた前記複数の第1の電極23a,23bとを、前記シール材29中に分散された球状の導電性粒子30により電気的に接続しているが、前記第1の抵抗膜13のX軸方向の他端の辺部と前記複数の第1の電極23a,23bとは、そのいずれか一方の上に、前記シール材29によるシール部に対応させて柱状の導電性部材を設けることにより、この導電性部材を介して電気的に接続してもよい。
【実施例2】
【0095】
次に、図12に示したこの発明の第2の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0096】
この実施例のタッチパネル10aは、上記第1の実施例のタッチパネル10において、一対の基板11,12のいずれか一方、例えばタッチ側基板11の内面に、第1の実施例における複数の柱状スペーサ17の配置位置にそれぞれ対応させて透明な樹脂からなる複数の柱状突起18を設け、前記タッチ側基板11の内面に、第1の実施例における複数の凸条16と前記複数の柱状突起18とを覆って第1の抵抗膜13を設けることにより、この抵抗膜13の前記複数の柱状突起18を覆う部分により複数の柱状スペーサ17aを形成したものであり、この実施例では、他方の基板、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14の前記複数の柱状スペーサ17aと対応する部分にそれぞれ、前記柱状スペーサ17aの先端の面積よりも大きい孔19を設け、これらの孔19内において前記柱状スペーサ17aを反対側基板12の内面に当接させることにより、前記第1と第2の抵抗膜13,14が前記複数の柱状スペーサ17aを介して短絡することが無いようにしている。
【0097】
なお、この実施例のタッチパネル10aにおいて、前記複数の柱状スペーサ17aと前記第2の抵抗膜14とを導通させないための手段は、前記孔19に限らず、例えば前記第2の抵抗膜14の複数の柱状スペーサ17aと対応する部分の上にそれぞれ絶縁膜を設け、この絶縁膜に前記複数の柱状スペーサ17aを当接させてもよい。
【実施例3】
【0098】
次に、図13に示したこの発明の第3の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1及び第2の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0099】
この実施例のタッチパネル10bは、上記第2の実施例のタッチパネル10aにおいて、一方の基板、例えばタッチ側基板11の内面に、複数のライン状接点15を形成するための複数の凸条16と、複数の柱状スペーサ17aを形成するための複数の突起18とを、同じ高さに形成し、これらの凸条16及び突起18を覆って第1の抵抗膜13を設けることにより、この抵抗膜13の前記複数の凸条16を覆う部分からなる複数のライン状接点15と、前記抵抗膜13の前記複数の突起18を覆う部分からなる複数の柱状スペーサ17aとを同じ高さに形成し、他方の基板、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14の前記複数の柱状スペーサ17aと対応する部分の上にそれぞれ、複数のスペーサ受け絶縁層20を予め定めた厚さに設けたものであり、前記複数の柱状スペーサ17aを前記複数のスペーサ受け絶縁層20にそれぞれ当接させることにより、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14のライン状接点15と接触する部分との間隙を、前記スペーサ受け層20の厚さに対応した高さに規定している。
【0100】
この実施例のタッチパネル10bは、上記のような構成であるため、製品毎(タッチパネル毎)の複数のライン状接点15と第2の抵抗膜14との間のギャップΔdのばらつきを小さくすることができる。
【0101】
すなわち、上記第1及び第2の実施例のタッチパネル10,10aは、複数の柱状スペーサ17,17aを複数のライン状接点15の高さよりも高く形成し、これらの高さの差によって前記複数のライン状接点15と第2の抵抗膜14との間のギャップΔdを規定しているため、前記ライン状接点15の高さの誤差と、前記柱状スペーサ17,17aの高の誤差との両方が前記ギャップΔdに影響する。
【0102】
そのため、例えばライン状接点15が設計値よりも低く形成され、柱状スペーサ17が設計値よりも高く形成された製品は、前記ギャップΔdが設計値よりも大きく、タッチ側基板11を強いタッチ力で大きく撓み変形させなければならず、タッチ感が重い。
【0103】
また、ライン状接点15が設計値よりも高く形成され、柱状スペーサ17が設計値よりも低く形成された製品は、前記ギャップΔdが設計値よりも小さく、タッチ感が軽過ぎて、タッチ側基板11に軽く触れた程度でもライン状接点15が第2の抵抗膜14に接触して誤入力を生じることがある。
【0104】
それに対して、上記第3の実施例のタッチパネル10bは、複数のライン状接点15と複数の柱状スペーサ17aとを同じ高さに形成し、前記複数のライン状接点15と第2の抵抗膜14との間のギャップΔdを、前記スペーサ受け層20の厚さに対応した高さに規定しているため、前記ギャップΔdのばらつきは、前記スペーサ受け層20の厚さの誤差に対応する。
【0105】
そして、前記スペーサ受け層20は、前記ライン状接点15及び柱状スペーサ17aの高さに比べてはるかに小さい厚さに形成するため、前記スペーサ受け層20の厚さの誤差は極く僅かであり、したがって、製品毎の前記ギャップΔdのばらつきが小さく、したがって、同じタッチ感が得られる。
【0106】
なお、上記第3の実施例のタッチパネル10bにおいて、前記複数のスペーサ受け絶縁層20は、SiOにより形成しても、感光性樹脂により形成してもよいが、SiO膜は、スパッタ装置により高精度の膜厚に成膜することができるため、前記複数のスペーサ受け絶縁層20をSiOにより形成することにより、前記スペーサ受け絶縁層20の厚さの誤差、つまり製品毎の前記ギャップΔdをほとんど無くし、製品毎のタッチ感のばらつきを、より効果的に少なくすることができる。
【実施例4】
【0107】
次に、図14に示したこの発明の第4の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1〜第3の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0108】
この実施例のタッチパネル10cは、上記第3の実施例のタッチパネル10aにおいて、一対の基板11,12の内面それぞれに第1と第2の抵抗膜13,14を、その全体にわたって平坦に形成し、これらの抵抗膜13,14の一方、例えばタッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜13の上に、導電性凸条からなる複数のライン状接点15aと、導電性突起からなる複数の柱状スペーサ17bとを同じ高さに突出させて形成し、他方の基板、つまり反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜14の前記複数の柱状スペーサ17bと対応する部分の上にそれぞれ、複数のスペーサ受け絶縁層20を予め定めた厚さに設けたものである。
【0109】
この実施例のタッチパネル10cにおいて、前記複数のライン状接点15aと複数の柱状スペーサ17bは、前記第1の抵抗膜13の上に、ITO等の透明導電材の粉末を添加した透明な樹脂、または導電性高分子(例えば、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなど)等の透明な導電材料を、スピンコートによりライン状接点15a及び柱状スペーサ17bの高さに対応した厚さに塗布し、その膜をパターニングすることにより形成する。
【実施例5】
【0110】
次に、図15〜図18に示したこの発明の第5の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1〜第4の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0111】
この実施例のタッチパネル10dは、上記第1の実施例のタッチパネル10において、一方の基板、例えばタッチ側基板11の内面の第1の抵抗膜13に、その膜面よりも突出させて複数のライン状接点15を設け、他方の基板、つまり反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14の複数の位置にそれぞれ、前記第1の抵抗膜13に設けられた前記複数のライン状接点15と対向させて、予め定めた方向に沿って前記第2の抵抗膜14の膜面よりも予め定めた高さに突出した凸条形状に形成され、前記タッチ側基板11の撓み変形によって前記複数のライン状接点15と電気的に接触する複数のライン状接点受け21を設けたものである。
【0112】
この実施例において、前記複数のライン状接点15と複数のライン状接点受け21はそれぞれ、第1の実施例における複数のライン状接点15の高さの約1/2の高さに形成されている。
【0113】
なお、前記複数のライン状接点15は、前記タッチ側基板11の内面に複数の凸条16を設け、これらの凸条16を覆って第1の抵抗膜13を設けることにより、この第1の抵抗膜13の前記複数の凸条16を覆う部分によって形成され、前記複数のライン状接点受け21は、前記反対側基板12の内面に複数の凸条22を設け、これらの凸条22を覆って第2の抵抗膜14を設けることにより、この第2の抵抗膜14の前記複数の凸条22を覆う部分によって形成されている。
【0114】
そして、この実施例では、前記第1と第2の抵抗膜13,14のいずれか一方、例えば反対側基板12の内面の第2の抵抗膜14の上に、前記ライン状接点15の高さと前記ライン状接点受け21の高さとの和よりも予め定めた値だけ大きい高さに形成された透明な絶縁材からなる複数の柱状スペーサ17を設け、これらの柱状スペーサ17を前記第1の抵抗膜13に当接させることにより、前記複数のライン状接点15と前記第2の抵抗膜14の前記ライン状接点15と接触する部分、つまり前記第2の抵抗膜14にその膜面よりも突出させて設けられた前記複数のライン状接点受け21との間のギャップΔdを予め定めた高さに規定している。
【0115】
すなわち、この実施例のタッチパネル10dは、前記第1の抵抗膜13にその膜面よりも突出させて設けられたライン状接点15を、タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって、前記第2の抵抗膜14にその膜面よりも突出させて設けられたライン状接点受け21に電気的に接触させて、前記第1の抵抗膜13と前記第2の抵抗膜13とをタッチ部において導通させるようにしたものである。
【0116】
この実施例のタッチパネル10dにおいて、前記複数のライン状接点受け21は、前記複数のライン状接点15の長さ方向に対して交差する方向に沿った凸条形状に形成されている。この複数のライン状接点受け21は、前記複数のライン状接点15の長さ方向に対して実質的に直交する方向に沿った凸条形状に形成するのが好ましい。
【0117】
この実施例のタッチパネル10dは、前記第1の抵抗膜13にその膜面よりも突出させて設けられたライン状接点15を、前記タッチ側基板11の撓み変形によって、前記第2の抵抗膜14にその膜面よりも突出させて設けられたライン状接点受け21に電気的に接触させるようにしているため、前記複数のライン状接点15と複数のライン状接点受け21の高さはそれぞれ、第1の実施例における複数のライン状接点15の高さの約1/2の高さでよい。
【0118】
そして、前記複数のライン状接点15を形成するための複数の凸条16と、前記複数のライン状接点受け21を形成するための複数の凸条22はそれぞれ、前記タッチ側基板11及び反対側基板12の内面に、感光性樹脂をスピンコートにより、前記凸条16,22の高さに対応した厚さに塗布し、その樹脂膜を、前記複数の凸条16,22の平面形状及びその配置ピッチに対応したパターンの露光マスクを用いて露光処理した後に現像処理することにより形成するが、その場合、前記感光性樹脂の塗布厚は、上記第1の実施例における凸条16を形成するための感光性樹脂の塗布厚の約1/2で良いため、高精度の膜厚の樹脂膜を形成することができ、また、前記樹脂膜の膜厚が薄いため、その露光及び現像処理によるパターニング精度を高くすることができる。
【0119】
また、この実施例のタッチパネル10dは、前記複数のライン状接点15及び複数のライン状接点受け21とがそれぞれ、上記第1の実施例のライン状接点15よりも低い高さの凸条形状に形成されているため、これらのライン状接点15及びライン状接点受け21の耐加重性を、第1の実施例のライン状接点15よりもさらに高くすることができる。
【0120】
さらに、この実施例のタッチパネル10dは、前記複数のライン状接点受け21を、前記複数のライン状接点15の長さ方向に対して交差する方向(好ましくは実質的に直交する方向)に沿った凸条形状に形成しているため、一対の基板11,12の位置合わせ精度に誤差があっても、タッチ側基板11の撓み変形によってライン状接点15をライン状接点受け21に確実に接触させることができる。
【0121】
すなわち、前記複数のライン状接点受け21は、前記複数のライン状接点15の長さ方向と平行な方向に沿った凸条形状に形成しても良いが、その場合は、一対の基板11,12の位置合わせ精度の誤差によってライン状接点15とライン状接点受け21との相対位置がずれ、前記ライン状接点15がライン状接点受け21に接触しなくなることがある。
【0122】
それに対して、前記複数のライン状接点15の長さ方向と前記複数のライン状接点受け21の長さ方向とが交差していれば、一対の基板11,12の位置合わせ精度に誤差があっても、前記ライン状接点15がライン状接点受け21に接触しなくなることはない。
【0123】
なお、この第5の実施例では、前記第1と第2の抵抗膜13,14のいずれか一方(図では第2の抵抗膜14)の上に絶縁材からなる複数の柱状スペーサ17を設けているが、柱状スペーサは、上記第2〜第4の実施例のいずれかと同様に形成してもよく、また、前記複数のライン状接点15と複数のライン状接点受け21は、上記第4の実施例と同様に、第1と第2の抵抗膜13,14の上に導電性凸条を設けて形成してもよい。
【実施例6】
【0124】
なお、上記各実施例では、タッチ側基板11の内面に形成された第1の抵抗膜13に複数のライン状接点15,15aを設けているが、前記複数のライン状接点15,15aは、反対側基板12の内面に形成された第2の抵抗膜14に設けてもよい。
【0125】
また、上記各実施例では、第1と第2の抵抗膜13,14の一方に設けられた複数のライン状接点15,15aと他方の抵抗膜の前記ライン状接点15,15aと接触する部分(第5の実施例ではライン状接点受け21)との間隙を、一対の基板11,12の一方に設けられた柱状スペーサ17,17a,17bによって規定しているが、前記間隙は、一対の基板11,12間に複数の球状スペーサを挟持させて規定してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…表示パネル、10,10a,10b,10c,10d…タッチパネル、11,12…基板、13…第1の抵抗膜、14…第2の抵抗膜、15,15a…ライン状接点、16…凸条、17,17a,17b…柱状スペーサ、21…ライン状接点受け、29…シール材、33…絶縁性液体(液晶)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置され、前記第1の抵抗膜に形成された接点と前記第2の抵抗膜との電気的な接触位置を検出するタッチパネルであって、
前記第1の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ、一方の方向に沿って予め定めた高さに突出した凸条形状に形成された複数のライン状接点と、
前記複数のライン状接点とは異なる複数の位置にそれぞれ配置され、前記各ライン状接点と前記第2の抵抗膜の前記ライン状接点と対向する部分との間隙を予め定めた高さに規定する複数のスペーサと、
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記複数のスペーサは、所定の間隔で配置され、隣接した2つのスペーサの間に、2本以上の前記ライン状接点が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに前記スペーサが配置され、前記方形領域内にそれぞれ前記ライン状接点が所定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項1から2の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1の基板の前記第2の基板と対向する面上の複数の位置にそれぞれ、前記一方の方向に沿って前記ライン状接点の高さに対応した高さに突出した複数の凸条が互いに平行に設けられ、前記第1の抵抗膜は、前記複数の凸条を覆って形成され、この第1の抵抗膜の前記複数の凸条を覆う部分により前記複数のライン状接点が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記複数のライン状接点は、前記第1の抵抗膜上に形成された複数の導電性凸条からなっていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第2の抵抗膜の複数の位置にそれぞれ、予め定めた方向に沿って前記各ライン状接点と間隙をもって対向する高さに突出した凸条形状に形成された複数のライン状接点受けが設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記各ライン状接点受けは、前記各ライン状接点の長さ方向に対して交差する方向に沿った凸条形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記第1の基板と前記第2の基板は、当該第1の基板と当該第2の基板との間に配置された枠状のシール材により接合され、
前記第1と第2の基板間の前記シール材により囲まれた間隙に、絶縁性液体が封入されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記各ライン状接点及び前記各スペーサは、前記シール材により囲まれた領域に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記絶縁性液体は、前記第1と第2の基板の少なくとも一方との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な材料であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−205610(P2010−205610A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51026(P2009−51026)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】