説明

タッチパネル

【課題】各種電子機器に用いられるタッチパネルに関し、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】下基板4上面の複数のドットスペーサ9を、略円錐状の弾性材料で形成することによって、押圧操作した際、略円錐状で弾性材料製のドットスペーサ9が弾性変形し、軽く良好な感触で押圧操作が行えると共に、ドットスペーサ9を誤作動や短絡等を防ぐ所定高さに形成できるため、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電子カメラ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、液晶表示素子等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表示を見ながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の様々な機能の切換えを行うものが増えており、確実で多様な操作の行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のタッチパネルについて、図4及び図5を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図4は従来のタッチパネルの断面図、図5は同分解斜視図であり、同図において、1はフィルム状で光透過性の上基板で、下面には略帯状で酸化インジウム錫等の光透過性の複数の上導電層2が配列形成されると共に、この上導電層2端部には銀やカーボン等の複数の上電極3が設けられている。
【0006】
また、4は同じくフィルム状または薄板状で光透過性の下基板で、上面には略矩形状で酸化インジウム錫等の光透過性の下導電層5が形成されると共に、この下導電層5の左右端から外周右端に延出する、銀やカーボン等の一対の下電極6が設けられている。
【0007】
そして、下導電層5上面にはエポキシやポリエステル等の絶縁樹脂によって、直径30〜60μm前後で高さ5〜10μm前後の、略円柱状の複数のドットスペーサ7が所定間隔、例えば2〜3mm前後の間隔で形成されている。
【0008】
さらに、8は上基板1と下基板4間の外周内縁に形成された略額縁状のスペーサで、このスペーサ8の上下面または片面に塗布形成された接着剤(図示せず)によって、上基板1と下基板4の外周が貼り合わされ、上導電層2と下導電層5が所定の空隙を空けて対向するようにして、タッチパネルが構成されている。
【0009】
そして、このように構成されたタッチパネルが、液晶表示素子等の表示素子の前面に配置されて電子機器に装着されると共に、複数の上電極3と一対の下電極6が機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0010】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示に応じて、図4に示すように、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層2が下導電層5に接触する。
【0011】
そして、電子回路から一対の下電極6に電圧が印加され、この時、下導電層5に接触した上導電層2の上電極3から検出された電圧によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われる。
【0012】
つまり、タッチパネル背面の表示素子に、例えば複数のメニュー等が表示された状態で、所望のメニュー上の上基板1上面を押圧操作すると、この操作された位置を電子回路が検出し、複数のメニューの中から所望のメニューの選択等が行われるように構成されている。
【0013】
なお、このように上基板1上面を押圧操作する際、下導電層5上面に形成された複数のドットスペーサ7の高さが高ければ、上基板1を撓ませ上導電層2を下導電層5に接触させるための押圧操作力は大きくなり、低ければ操作力は小さなものとなる。
【0014】
ただし、ドットスペーサ7の高さをあまり低く形成すると、軽く良好な感触での押圧操作は可能となるが、タッチパネルが使用される周囲の温度や湿度等の条件によっては、上導電層2が下導電層5に接触し、誤作動や短絡等が生じてしまう場合がある。
【0015】
このため、ドットスペーサ7の高さをあまり低いものにすることはできず、印刷等によって絶縁樹脂製のドットスペーサ7を形成する場合、一般には上記のように、高さ5〜10μm前後の寸法に形成されているものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−310440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来のタッチパネルにおいては、ドットスペーサ7の高さを低くすると、誤作動や短絡等が生じてしまう場合があるため、軽操作力化を図ることが困難であるという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、下基板上面の複数のドットスペーサを、略円錐状の弾性材料で形成してタッチパネルを構成したものであり、押圧操作した際、略円錐状で弾性材料製のドットスペーサが弾性変形し、軽く良好な感触で押圧操作が行えると共に、ドットスペーサを誤作動や短絡等を防ぐ所定高さに形成できるため、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同部分断面図
【図4】従来のタッチパネルの断面図
【図5】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるタッチパネルの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1はポリエチレンテレフタレートやポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等の光透過性の上基板で、下面には略帯状で酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の複数の上導電層2が、スパッタ法等によって配列形成されると共に、この上導電層2端部には、銀やカーボン等の複数の上電極3が印刷等によって設けられている。
【0027】
また、4は同じくフィルム状または薄板状で光透過性の下基板で、上面には略矩形状で酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の下導電層5が、スパッタ法等によって形成されると共に、この下導電層5の左右端から外周右端に延出する、銀やカーボン等の一対の下電極6が印刷等によって設けられている。
【0028】
そして、下導電層5上面にはシリコーンやこれに硬化剤を分散した弾性材料から形成された、デュロメータ硬さA10〜35で直径30〜60μm前後、高さ5〜10μm前後の略円錐状の複数のドットスペーサ9が所定間隔、例えば2〜3mm前後の間隔で設けられている。
【0029】
さらに、8はポリエステルやエポキシ、不織布等のスペーサで、上基板1と下基板4間の外周内縁に略額縁状に形成されると共に、このスペーサ8の上下面または片面に塗布形成されたアクリルやゴム等の接着剤(図示せず)によって、上基板1と下基板4の外周が貼り合わされ、上導電層2と下導電層5が所定の空隙を空けて対向するようにして、タッチパネルが構成されている。
【0030】
なお、以上のような略円錐状の複数のドットスペーサ9が形成された下基板4を作製するには、先ず図3(a)の部分断面図に示すように、金型10の上面に所定間隔で形成された略円錐状の複数の窪部10A内に、図3(b)に示すように、シリコーン等の弾性材料9Aを充填する。
【0031】
そして、次に、図3(c)に示すように、この金型10を上下方向に反転し、下基板4上面の下導電層5上に押し付けて、弾性材料9Aを下導電層5上に転写した後、これを乾燥して、図1に示したような、複数の略円錐状のドットスペーサ9が形成された下基板4が完成する。
【0032】
また、このように構成されたタッチパネルが、液晶表示素子等の表示素子の前面に配置されて電子機器に装着されると共に、複数の上電極3と一対の下電極6が機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0033】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示に応じて、図1に示すように、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層2が下導電層5に接触する。
【0034】
そして、電子回路から一対の下電極6に電圧が印加され、この時、下導電層5に接触した上導電層2の上電極3から検出された電圧によって、押圧操作された前後方向の位置を、この上電極3が左右から何本目であるかによって、左右方向の位置を電子回路が各々検出し、機器の様々な機能の切換えが行われる。
【0035】
つまり、タッチパネル背面の表示素子に、例えば複数のメニュー等が表示された状態で、所望のメニュー上の上基板1上面を押圧操作すると、押圧された箇所の上電極3から検出された電圧によって前後方向の位置を、これが何本目かによって左右方向の位置を電子回路が検出し、複数のメニューの中から所望のメニューの選択等が行われるように構成されている。
【0036】
また、このように上基板1上面を押圧操作した際、下基板4上面の複数のドットスペーサ9が略円錐状のシリコーン等の弾性材料で形成されているため、上基板1や上導電層2下面に押圧されたドットスペーサ9が弾性変形し、軽く良好な感触で押圧操作が行えるようになっている。
【0037】
すなわち、略円錐状のドットスペーサ9上方の肉薄部が、上基板1や上導電層2下面に押されて、下方へ弾性変形することによって、容易に軽操作力化が図れ、良好な感触での押圧操作が可能なように構成されている。
【0038】
さらに、指やペン等による押圧力が除かれると、上基板1が元の状態に戻ると共に、ドットスペーサ9も弾性復帰して元の状態に戻り、上導電層2と下導電層5の所定の空隙が確保される。
【0039】
つまり、押圧操作されていない状態で、タッチパネルが使用される周囲の温度や湿度等の条件により、上基板1に多少の変形が生じた場合でも、弾性復帰した複数のドットスペーサ9によって、上導電層2と下導電層5間の所定の空隙が保たれるため、誤作動や短絡等の発生を防ぎ、確実な操作が行えるようになっている。
【0040】
このように本実施の形態によれば、下基板4上面の複数のドットスペーサ9を、略円錐状の弾性材料で形成することによって、押圧操作した際、略円錐状で弾性材料製のドットスペーサ9が弾性変形し、軽く良好な感触で押圧操作が行えると共に、ドットスペーサ9を誤作動や短絡等を防ぐ所定高さに形成できるため、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるものである。
【0041】
なお、以上の説明では、下基板4の略矩形状の下導電層5上面に複数のドットスペーサ9を形成し、この上方に上基板1下面の略帯状の上導電層2を対向させた構成について説明したが、上下を逆にして、下基板4の下導電層5を略帯状、上基板1の上導電層2を略矩形状に各々形成し、略帯状の下導電層5が設けられた下基板4上面に複数のドットスペーサ9を形成した構成としても、本発明の実施は可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0042】
さらに、上導電層2と下導電層5の両方を略矩形状に形成した構成や、あるいは、両方を互いに直交する略帯状に形成した構成等、様々なタッチパネルの構成においても本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によるタッチパネルは、軽操作力化が図れ、良好な感触で確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 上基板
2 上導電層
3 上電極
4 下基板
5 下導電層
6 下電極
8 スペーサ
9 ドットスペーサ
9A 弾性材料
10 金型
10A 窪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に上導電層が形成された光透過性の上基板と、上面に上記上導電層と所定の空隙を空けて対向する下導電層、及び複数のドットスペーサが形成された光透過性の下基板からなり、上記ドットスペーサを略円錐状の弾性材料で形成したタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−65407(P2011−65407A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215347(P2009−215347)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】