説明

タービンの冷却空気のシール

【課題】ガスタービンエンジン内部、特にタービン部の流体の漏れを防止するシール装置を提供する。
【解決手段】タービンモジュール18は、固定されたベーンの段100、102及び回転するタービンブレードの段74、76を有する。ブレードの段74、76は、ベーンの段100、102から離れて位置し、これらの間に環状のチャンバが形成される。マニフォルド126によって、加圧流体がチャンバ140に供給される。ベーンの段100、102及びブレードの段74、76の近くに配置され、またはシール結合したカバープレート180を含む外径及び内径のシール手段が、加圧流体の漏れを防止する。フローガイドバッフル146は、静止したチャンバ147及び回転チャンバ140を形成するようにチャンバを分割している。これによって、タービンモジュール18の流体の漏れを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特にエンジン内部の構成要素間の流体の漏れを防止するシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、燃焼器内部で可燃性の燃料−空気の混合気が燃焼し、かつ燃焼によるエネルギを推進力に変えることによって作動する。燃焼ガスは、燃焼器から環状ダクトを通って軸方向に後方に案内され、ダクト内部に配置された複数のタービンブレードの段に接触する。タービンブレードによって、燃焼ガスのエネルギが、エンジンの長手方向の中心軸の周囲に回転できるように配置された1つ或いは複数のディスクに伝達される。一般的なタービン部分においては、環状ダクト内部に配置された固定されたベーン及び回転するブレードの複数の交互の段が存在する。
【0003】
燃焼ガスの温度が2000F゜或いはそれ以上に達するので、いくらかのブレード及びベーンの段は、耐久性を向上させるために低温の冷却空気によって冷却される。第1の段のブレードを冷却する空気は、燃焼器を迂回して、第1の段のベーンの枠と第1の段のロータアセンブリとの間に位置した内径側キャビティに案内される。ロータアセンブリの回転力によって、冷却空気が半径方向外側に圧送されるとともに、各ブレード内部の一連の通路に圧送され、これによって要求されるタービンの冷却がもたらされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内径側キャビティの外周側の領域が、燃焼ガスを搬送する環状ダクトに隣接しているので、加圧された冷却空気の漏れを防止するためにこの領域をシールする必要がある。内径側キャビティのこの領域は、固定された第1段のベーンの枠と回転する第1段のロータアセンブリとの間の熱膨張及び遠心力による伸びの違いにより、特にシールすることが困難である。従来より、設計者は色々な成功の度合いはあるものの、内径側キャビティの外周側の領域をシールすることを試みてきた。
【0005】
このようなシールの例は、CantorとFarrandによって発明された“Anti−Rotation Feature for a Turbine Rotor Faceplate”という名称の米国特許第4,701,105号明細書に開示されている。この例においては、多段式ラビリンスシールが、内径側キャビティを概ね同じ大きさの2つの領域(内側の領域及び外側の領域)に分離している。外側の領域は、燃焼ガスを搬送する環状ダクトと流体的に結合しており、内側の領域の冷却空気が、回転するディスクとラビリンスシールとの間で圧送されてタービンブレードの中空の通路に入る。ラビリンスシールのランドは、通常、ロータの半径方向の変位が最大になる間に、ナイフエッジの歯とランドとの間が干渉しないように、あらかじめ溝が入っている。ロータアセンブリの半径方向の変位が最大になるときを考慮したラビリンスシールの設計では、ロータアセンブリの半径方向の変位が少量から中程度になる間に、流体の漏れを防止する機能が低下する。ラビリンスシールによって漏れた冷却空気は、回転するディスクによって内径側キャビティの外周側の領域を通って環状ダクトに圧送される。この圧送によって、タービンブレードの周辺でディスクの温度が上昇し、全体のタービン効率を低下させる付随の抗力が発生する。また、回転するナイフエッジによって、ガスタービンエンジンの回転質量が増加し、エンジン効率がさらに低下する。
【0006】
このようなシールの別の例は、GrantとHoytによって発明された“Free Standing Turbine Disk Sideplate Assembly”という名称の米国特許第5,310,319号明細書ならびに、ButlerとGernhardtによって発明された“Brush Seal Support and Vane Assembly Windage Cover”という名称の米国特許第5,522,698号明細書に開示されている。この例に記載しているように、ブラシシールが、内径側キャビティを2つの領域(内側の領域及び小さい外側の領域)に分離している。独立した側板アセンブリが、内側の領域と連通するディスクキャビティを画定する。内側の領域の冷却空気が、ディスクキャビティに入るとともに、回転する側板とディスクとの間で圧送されてタービンブレードの中空の通路に入る。シールの剛毛とランドとの間の接触圧力は、ロータの半径方向の変位が最大になる間に増加するとともに、この剛毛が歪んで時間とともに固まる可能性があり、ロータの変位が少量から中程度になる間における流体の漏れを防止する機能が低下する。ブラシシールによって漏れる冷却空気は、回転するディスクによって外側の領域に圧送される。この圧送によって、タービンブレードの周辺でディスクの温度が上昇し、全体のタービン効率を低下させる付随の抗力が発生する。また、独立した側板及び小型のディスクによって、ガスタービンエンジンに回転質量が加わり、エンジン効率がさらに低下する。
【0007】
いずれも2005年6月7日に出願された同時係属中の“Hammerhead Seal”という名称の米国特許出願第11/146,801号明細書、“Combined Blade Attachment”という名称の米国特許出願第11/146,798号明細書、及び“Blade Neck Fluid Seal”という名称の米国特許出願第11/146,660号明細書は、改良したシール装置の内容を開示している。これらの出願の開示は、発明の詳細を説明するために参考として示している。
【特許文献1】米国特許第4,701,105号明細書
【特許文献2】米国特許第5,310,319号明細書
【特許文献3】米国特許第5,522,698号明細書
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、固定されたベーンの段及び回転するタービンブレードの段を有するタービンエンジン部に関する。タービンブレードの段は、ベーンの段から離れて位置し、これらの間に環状のチャンバが形成される。マニフォルドによって、加圧された流体がチャンバに供給される。外径側のシール手段が、チャンバからの加圧流体の漏れを防止する。内径側のシール手段が、チャンバからの加圧流体の漏れを防止する。バッフル即ちフローガイドが、内径側のシール手段とマニフォルドとの間に半径方向に延びている。フローガイドは、静止したチャンバ部分及び少なくとも第1のブレードの段のディスクに部分的に沿っている回転チャンバ部分を形成するように、チャンバを分割している。
【0009】
種々の実施例においては、外径側のシール手段が、ディスクに取り付けられたカバープレートを備えてもよい。フローガイドは、ボルト継ぎ手によってマニフォルドもしくは内径側のシールの少なくとも一方に固定されてもよい。静止したチャンバ部分が、マニフォルド、フローガイド、及び内径側シールのランドによって区画され得る。マニフォルドを、ベーンの段に固定してもよい。回転チャンバ部分は、少なくとも部分的にディスクのウェブに沿ってもよい。
【0010】
本発明の別の態様は、タービンロータスタックの第1のディスクの上流側に取り付けられたカバープレートを有するガスタービンエンジンに関する。冷却空気の放出口は、第1のディスクに隣接する領域に冷却空気を案内するように配置される。第1のディスクは、このディスクの周囲に多数のスロットを有する。第1のブレードの段の各タービンブレードは、第1のディスクの対応するスロットに受容される内側の取り付け部分を有する。カバープレートは、第1のディスクから遠ざかろうとする動きに抗してこのカバープレートを保持するために第1のディスクに係合している第1の部分を有する。カバープレートは、第1の部分の外側に位置し、かつブレードの上流側への動きを防止するように第1のブレードの段のタービンブレードに係合している第2の部分を有する。カバープレートは、第1のステータベーンの段の内側のシール構成要素に係合するシール部分を有する。フローガイドは、冷却空気の放出口とロータに対する内側のシールとの間に延びている。
【0011】
種々の実施例においては、カバープレートが、内側の半径と周辺部の半径との間に半径方向のスパンを有する。第1のブレードの段における半径方向のスパンのハブ半径に対する比率は、0.25以下であり、より狭くは、0.20である。冷却空気の放出口は、ロータの長手方向の中心軸からの特性半径を有している。第1のブレードの段における特性半径のハブ半径に対する比率は、0.60以上であり、より狭くは、0.70以上である。この係合は、ロックリングを介してもよい。冷却空気の放出口は、接線方向オンボード噴射器でもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、タービンロータスタックの第1のディスクと第2のディスクとの間のシール装置を有するガスタービンエンジンに関する。この装置は、ステータベーンの中間の段のプラットフォーム構造体の内側に固定された回転しない第1の本体を含む。第1の本体は、少なくとも1つの磨耗性(abradable)のランドを支持している。第1のディスクは、少なくとも1つのランドにシール係合している少なくとも1つの第1のランナを支持している。第2のディスクは、少なくとも1つのランドにシール係合している少なくとも1つの第2のランナを支持している。
【0013】
種々の実施例においては、第1のディスクが、最も上流側のディスクでもよい。第1のカバープレートに複数の第1のランナが存在し、かつ第2のカバープレートに複数の第2のランナが存在してもよい。シール装置は、実質的に第1のディスクと第2のディスクとの間に長手方向の力及びトルクを伝達しなくてもよい。シール装置は、ボアなしでもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、再設計の方法を含む。例えば、ガスタービンエンジンは、基本となる構造から設計し直した構造に再設計してもよい。再設計では、カバープレートの内側のシール部分を取り除いてカバープレートの半径方向のスパンを短くし、冷却空気の放出口を外側に移動させる。再設計することによって、この放出口から空気流の通路に沿ってフローガイドをさらに追加してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1の一般的なガスタービンエンジン10の主要な部分である低圧圧縮機12、高圧圧縮機14、燃焼器16、高圧タービンモジュール18、及び低圧タービンモジュール20は、前方から後方に直列に備えられるとともに、長手方向の中心軸11の周りに配置される。作動流体22が、圧縮機12、14を通って下流側/後方に案内され、燃焼器16に入る。燃焼器16において、燃料が噴射されるとともに混合気が燃焼される。高温の燃焼ガス24は、燃焼器16を出てタービン18、20を通り、環状ダクト30のコア流路内で膨張して、推力としてエンジン10を出る。高圧圧縮機14を出る作動流体22の一部は、燃焼器16を迂回し、冷却用空気40として用いるために高圧タービンモジュール18に案内される。
【0016】
図2は、燃焼器16の下流側の端部と高圧タービンモジュール18の上流側の端部との間の境界面の詳細を示している。エンジンケース50の内部において、タービンモジュール18は、多数のディスクを備えるロータアセンブリ52を具備する。最も上流側の第1のディスク54の後に、第2のディスク56が続く。更なるディスク(図示せず)が後に続いてもよい。例示的なディスクが、内側のボア58からディスク外側の周辺部60(図3)まで延びている。ウェブ62が、ボア58と周辺部60との間に延びている。この周辺部60から半径方向内側にスロット66が延びており、円周方向に配列されている。スロット66は、ディスク54のそれぞれの上流側の面68と下流側の面70(図4)との間に長手方向または概ね長手方向に延びている。スロット66は、通常、相補的に複雑な形状であるタービンブレードの根元部分72を受容するために、複雑ないわゆるもみの木形状を有する。図4は、第1のディスク54に取り付けられた第1の段のタービンブレード74及び、第2のディスク56に取り付けられた第2の段のタービンブレード76を示している。ブレード74、76は、プラットフォーム82の根元部分80からエンジンケース50によって支持された外側の空気シールシュラウド86に近接して面している先端部84(図2)まで延びているエアフォイル78を有する。タービンブレード74、76の根元部分72(図4)は、プラットフォーム82から垂下している。例示的なエンジンにおいては、根元部分72の内側の端部88が、スロット66の内側の端部90から半径方向外側に離れて配置され、対応する通路92が生じる。
【0017】
多数のベーンの段が、ブレードの段に交互に挿入されている。図2は、燃焼器16と第1段のブレード74との間の第1段のベーン100を示している。第2段のベーン102が、第1段のブレード74と第2段のブレード76との間に示されている。例示的なベーン100、102は、内側のプラットフォーム106と外側のシュラウド108との間に延びているエアフォイル104を有する。例示的なシュラウド108が、エンジンケース50に取り付けられてもよい。各々の段のベーンを、連続する一体型の円環として形成してもよく、或いは分割された円環として形成してもよい。
【0018】
図2は、タービン冷却用の空気40の一部122を案内する接線方向オンボード噴射(TOBI)冷却装置120の詳細を示している。空気の流れ122は、燃焼器16の内側のディフューザプレナム124から案内される。冷却装置120は、放出口130で終端となる円周方向の列に並んだ導管128を有するマニフォルド126を備える。空気流122(図4)が放出口130を出ることによって、この空気流122は、2つの空気流132、133に分かれ、それぞれの空気流132、133は、ほぼ半径方向外側及び内側に拡がる。空気流132は、即座に2つの空気流134、135に分かれる。
【0019】
空気流133(図2)は、第1段のディスクにおけるウェブの前方/上流側の面142とフローガイドバッフル146の後方/下流側の面144との間のチャンバ140に案内される。フローガイドバッフル146によって、前方のチャンバ147及びマニフォルド126の内側がほぼ閉鎖(しかし、シールする必要はない)される。故に、チャンバ140、147は、フローガイドバッフル146によって分割された大型のチャンバの一部として考えてもよい。チャンバ147は、固定されたチャンバであり、このチャンバ147を区画する面は、基本的に回転しない。チャンバ140は、部分的に回転するチャンバであり、このチャンバ140を区画する面の重要な部分が、ロータ(例えば、ロータの一部)とともに回転する。例示的なフローガイドバッフル146は、接合部148(例えば、ボルト円やすべり継ぎ手)においてマニフォルド128に取り付けられた外側の部分を有する。フローガイドバッフル146(図5参照)の内側の部分は、接合部152(例えば、ボルト円やすべり継ぎ手)においてシールキャリア150に取り付けられる。例示的なシールキャリア150の前方の部分は、接合部154(例えば、ボルト円)においてマニフォルド126に取り付けられる。シールキャリア150によって、磨耗性(abradable)のシール素材(例えば、ハニカムやすべり継ぎ手)でできているランド156が支持される。ランド156は、1つ或いは複数(例えば、2つ示されている)のナイフエッジ部材つまり、第1段のディスク54に取り付けられた内側の第1の空気シール部材160のランナ158に係合する。これにより、ランド156及びランナ158によって、シール装置162が形成される。空気流133が、シールキャリア150及び内側の第1の空気シール部材160の前方のプレナム166からの圧縮空気を案内するロータ冷却流164からの漏れに対向する。また、空気流133によって、ウェブの上流側の面142に沿ってディスク54が冷却され得る。フローガイドバッフル146は、回転するディスクに抵抗する加圧空気の容量を低減し、また隣接する空気流を案内して乱流及び渦の領域が発生するのを回避ないし抑制するように機能する。これによって、層流及び付随した高い熱伝達が促されるとともに、ディスクの風損による損失が抑制される。フローガイドバッフル146の形状は、チャンバ140の向かい側の構造体(例えば、ディスク54の前面)の形状に密接に対応する。
【0020】
図4は、空気流134、135の詳細を示している。双方の空気流134、135は、カバーつまり面板状のシール部材180(以下、“カバープレート”と記載)に接触する。以下で説明するように、空気流134は、カバープレート180の周囲を流れ、空気流135は、このプレート180を通って流れる。カバープレート180は、中央の開口部における内側の端部182から外側の周辺部184まで延びている。カバープレート180の内側の本体部分186は、このプレート180を第1段のディスク54に取り付けるために機能する。取り付け部分186は、カバープレート180の内側部分188から半径方向外側に延びている。この内側部分188は、第1段のディスク54のウェブにおける前方/上流側の面142に外側に面しているフックチャネル190と協働する。この協働は、ロックリング192を介する。カバープレート180の内側部分188とフックチャネル190とが協働することによって、第1段のディスク54に対するカバープレート180の前方/上流側の動きが抑制される。
【0021】
図4の断面を見ると、カバープレート180の保持部分200が、このプレート180の本体部分186の外側の端部から枝分かれしているとともに、このプレート180の周辺部184に延びている。この周辺部184に近い後方/下流側の外周部分202は、ディスク54のスロット66(図3)に結合したタービンブレード74の前方/上流側への動きを防止するために、このブレード74の根元部分72に係合している。通常、例示的なカバープレート180は、十分な保持バイアス力を得るために応力がかかっている状態になっている。故に、カバープレート180の保持部分200は、応力及びこれに付随した歪みに最大限対応するために弓形断面になっている。また、シール部分210は、このプレート180の保持部分200の前方に枝分かれしており、1つ或いは複数のランナ212に延びている。ランナ212は、第1のベーンの段のプラットフォームに取り付けられた第1の外側の空気シール部材216によって支持された、磨耗性のシール素材のランド214にシール係合している。シール部材216はまた、ブレード74のプラットフォーム82と第1段のディスク54とが結合されたものの、ランナ220、222に係合する磨耗性のシール素材のランド218を備える(例えば、米国特許出願第11/146,798号明細書にも示されている)。
【0022】
空気流134は、この空気流134が第1のベーン段のプラットフォームと第1のブレード段との間を通ってコア流路230に入る前に、ランナ212、220、222の複合的なシール効果を受ける。空気流135は、半径方向外側にカバープレート180の開口部232(図6)を通る。開口部232は、対応したディスクの回転防止用の突起に対するカバープレートの位置決めとしても機能し得る。これにより、空気流135が、カバープレート180の保持部分200とディスク54との間を通って通路92に入る。通路92から、空気流135が、各ブレードの冷却用の通路網234を通って半径方向外側に進み、最終的にはタービンブレードのエアフォイルに沿って精細な冷却用の通路(図示せず)を通って出る。
【0023】
種々の既存の冷却空気のシール構造に対して、例示的な構造は、1つ或いは複数の利点を有する。図4は、ロータの回転軸を形成するエンジンの中心軸11に対して内側の半径RIならびに外側の半径ROを有するカバープレート180を示している。カバープレート180の半径方向のスパンは、ROとRIの差である。図4は、第1段のブレード74のプラットフォーム82の最大半径である第1段のハブ半径RH1をさらに示している。加えて、図4は、冷却空気の放出口130の特性半径RAを示している。この半径RAは、放出口130の公称半径の中心における半径や、流量平均半径などの半径でよい。図4の例示的な構造は、基本となる空気冷却装置の構造の再設計をも示している。基本の装置の再設計によって、半径RAが外周側に移動している。また、基本の装置を再設計することによって、カバープレート180の半径方向のスパン(例えば、絶対的なスパン及びスパンの比率のうちの少なくとも1つ)が短くなっている。半径RH1に対するカバープレート180の半径方向のスパンの例示的な比率は、約0.185である。この比率の例示的な範囲は、最大0.25であり、より狭くは、最大0.20である。半径RH1に対する半径RAの例示的な比率は、約0.73である。この比率の例示的な範囲は、少なくとも0.70であり、より広くは、少なくとも0.60である。
【0024】
例えば、図7は、例示的な基本となる従来技術のガスタービンエンジンの対応する部分を示している。従来技術の冷却空気の放出口500は、比較的内側に位置している。さらに、従来技術のカバープレート502は、比較的大きな半径方向のスパンを有し、TOBI導管の外側のランド508に接触するランナ506を支持している内側部分504を備えている。TOBIの放出口を出る空気流は、空気流510、512、514に分かれ、それぞれの空気流510、512、514は、空気流133、134、135にほぼ類似している。空気流512は、この空気流512が最終的に中心の流路を通る前に、ランナ506の周囲を通ってチャンバ520に入る。空気流514は、この空気流514が最終的にタービンブレードに到達する前に、カバープレート502の内側部分504とディスクのウェブとの間を通る。この図7の構成は、いくらかの非効率な点を有している。まず第1に、空気流514が、カバープレート502の内側部分504とディスクのウェブとの間を通るときに、この空気流514が加熱される点である。この加熱現象は、ディスクのウェブからの熱伝達及び遠心ポンプ効果を含む複合する要因によって生じ得る。これによって、空気流514によるタービンブレード冷却効率が低下し、所定のタービンブレードの冷却効果を得るために、より大きな流量を必要とする。同様の加熱現象が、空気流512に対して起こり得る。さらに、キャビティ520の内部で渦522が発生することによって、周辺の機器が部分的に加熱する可能性がある。高流量の冷却空気が、タービンの性能(例えば、動力、効率、及び排気組成)を損ねる可能性がある。
【0025】
例示的な図2、図4のエンジンにおいては、フローガイドバッフル146が、前方のチャンバ147(図2)を閉鎖するので、空気流133の渦によるヒートポンプ効果が最小限になる。TOBIの放出口を外側に位置させることによって、空気流135の加熱が最小限になる。これによって、より低温の空気をブレードに入れることができる。ランナ212、220、222によってもたらされたシールが、適切なエンジン性能を維持するために空気流134の流量を制限する。図7の基準に比較して、短くなったカバープレートのスパンによって、カバープレートの質量が減少する。このカバープレートの質量を、第1のディスクによって支持する必要があるので、このプレートの質量を低減することによって、第1のディスクの大きさを小型にすることができ、その結果、要求される質量も低減することができる。これによって、エンジン性能が向上し、エンジン重量等がさらに低減される。
【0026】
また、図4は、第2のベーンの段に結合した例示的なステージ間のシール装置248の詳細を示している。回転しないシール本体250は、接合部252(例えば、ボルト円)によって第2のベーンの段のプラットフォーム106の内側に固定される。シール本体250は、連続する環形または分割された環形でもよい。実施例では、シール本体250が、上流側の磨耗性のシール用のランド254及び、下流側の磨耗性のシール用のランド256、258、260、262、264を支持している。ランド254は、第1段のディスク54の下流側に取り付けられた下流側のカバープレート270のランナ266、268にシール係合するように配置される。ランド256、258、260は、第2段のディスク56の前方/上流側に取り付けられたカバープレート286のランナ280、282、284に係合するように配置される。ランド262、264は、第2段のディスク56と第2段のブレードとの結合体におけるシール部材(例えば、ブレードのプラットフォーム上もしくはその近傍)のランナ288、290に係合するように配置される。カバープレート270は、カバープレート180と同様に小さい半径方向のスパン(より小さくなければ)を有し得る。カバープレート270の半径方向のスパンの、第1段のハブ半径に対する例示的な比率は、0.143である。この比率の例示的な範囲は、最大0.25であり、より狭くは、最大0.20、さらに狭くは、最大0.16である。
【0027】
図7は、多数のランナ304が延びている第1の本体302を有する従来技術のステージ間のシール装置300を示している。第1の本体302は、構造的に第1段のディスク及び第2段のディスクに結合しており、またこれらのディスクとともに回転する。ランナ304は、対応するベーンのプラットフォームに取り付けられた回転しない第2の本体308によって支持されたランド306に係合する。第1の本体302は、隣接するディスクの周辺部の間に広がってランナ304を支持している部分310を有する。構造的な一体化のため、第1の本体302は、ウェブ314によってこの部分310に結合したボア312を有する。
【0028】
従来技術のシール装置300に対し、図4のシール装置248は、1つ或いは複数の利点を有する。実質的に、シール装置248は、構造上ディスク54、56に結合していない。例えば、伝達する力及びトルクは、ランナ−ランド間の相互作用によって伝達される極僅かな力及びトルクに過ぎない。シール装置248がディスク54、56に結合していないことによって、2つのディスクの間での機械的もしくは熱的に生じる動きや形状変化から十分に独立したものとなる。タービン回転質量及び慣性も、低減される。例えば、回転するカバープレート270、286の質量及び慣性は、第1の本体302の質量及び慣性より小さくなり、引張荷重が低減する。
【0029】
図8は、図4の第1のディスク及び第2のディスクの前方/上流側のカバープレートを無くした別の実施例を示している。TOBIの放出口350から、それぞれの冷却空気の流れ352、354、356が放出され、これらの空気流352、354、356は、空気流133、134、135にほぼ類似している。空気流352は、ブラシシール装置360に衝突するようにバッフル358と第1段のディスクのウェブとの間を通る。空気流354が、半径方向外側に流れるとともに、ハンマヘッド型シール装置362(例えば、米国特許出願第11/146,801号明細書にも開示されている)に衝突する。空気流356は、タービンブレードの空気供給通路364に直接流入する。同様に、ステージ間のシール装置380は、第2段のベーンのプラットフォーム384の内側で、かつこのプラットフォーム384に固定された回転しない第1の本体382を有する。上流側のシールサブシステム385においては、それぞれのランド386、388が、図4と同様の方法で第1のディスクに取り付けられたカバープレート394のランナ390、392をシールしている。ハンマヘッド型シール装置396によって、第2のディスクがシールされる。ハンマヘッド型シール装置362、396の各々においては、内側のランド及び外側のランドが、隣接するディスク及びブレード根元部分の組み合わせにおける1組のランナに対応するチャネルを画定するように、離れて配置されるとともに互いに面している。
【0030】
図9は、図4のタービンブレードの根元部分のシールを無くしたさらに別の実施例を示している。カバープレートのシール部分は、維持されている。ブレードの根元部分のシールは、対応するシール本体408、410内でプラットフォーム下部の環状の区画を隔離するそれぞれのバッフル400、402に置き換えられる。他のバッフルと同様に、バッフル400、402は、前方に開いたほぼC型の断面を有してもよく、また薄板によって形成されてもよい。これらのバッフルは、ファスナ、リベット、或いはすべりばめによって固定されてもよい。これらのバッフルは、実質的に非構造的(例えば、結合した固定部品に実質的に強度を加えるものではなく、単に隣接する空気流を案内するに過ぎない)であってもよい。
【0031】
本発明の実施例を示してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更が可能であることを理解できよう。例えば、既存のエンジンやエンジン構成の再生や再設計において実施する場合に、既存のエンジンや構成の細部が、特定の実施例の細部に影響を与える可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】長手方向の中心軸に沿っているガスタービンエンジンの概略の断面図。
【図2】図1のエンジンにおけるタービン冷却装置の構成要素の部分縦断面図。
【図3】タービンブレードを分解した状態で示す第1段のディスクの切り欠き斜視図。
【図4】図2の装置の拡大図。
【図5】図2の装置のフローガイドバッフルの切り欠き斜視図。
【図6】図2の装置のカバープレートの切り欠き斜視図。
【図7】従来技術の冷却装置の図。
【図8】他の実施例のタービン冷却装置の部分縦断面図。
【図9】さらに他の実施例のタービン冷却装置の部分縦断面図。
【符号の説明】
【0033】
16…燃焼器
18…タービンモジュール
50…エンジンケース
54、56…ディスク
58…ボア
62…ウェブ
72…根元部分
74、76…タービンブレード
78…エアフォイル
80…根元部分
82…プラットフォーム
84…先端部
86…空気シールシュラウド
100、102…ベーン
104…エアフォイル
106…プラットフォーム
108…シュラウド
120…冷却装置
122、133…空気流
124…ディフューザプレナム
126…マニフォルド
128…導管
130…放出口
140、147…チャンバ
142、144…面
146…フローガイドバッフル
148、152、154…接合部
150…シールキャリア
156…ランド
158…ランナ
160…空気シール部材
162…シール装置
164…ロータ冷却流
166…プレナム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されたベーンの段(100)と、
上記ベーンの段から離れて位置し、このベーンの段との間に環状のチャンバが形成される回転するブレードの段(54、74)と、
加圧された流体(122)を上記チャンバに供給するマニフォルド(126)と、
上記チャンバからの上記加圧流体の漏れを制限する外径側のシール手段(180、212、214、216、218、220、222、362)と、
上記チャンバからの上記加圧流体の漏れを制限する内径側のシール手段(156、158、360)と、
上記の内径側のシール手段と上記マニフォルドとの間に半径方向に延びており、静止したチャンバ部分(147)及び少なくとも第1のブレードの段のディスク(54)に部分的に沿っている回転チャンバ部分(140)を形成するように、上記チャンバを分割するフローガイド(146、358)と、を備えることを特徴とするタービンエンジン部(18)。
【請求項2】
上記の外径側のシール手段は、上記ディスク(54)に取り付けられたカバープレート(180)を備えることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項3】
上記フローガイド(146、358)は、ボルト継ぎ手によって上記マニフォルド(126)もしくは上記の内径側のシール手段の少なくとも一方に固定されることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項4】
上記の静止したチャンバ部分(147)は、上記マニフォルド、上記フローガイド及び、上記の内径側シール手段のランドによって区画されることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項5】
上記フローガイドは、前方に開いたほぼC型の断面であることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項6】
上記マニフォルドは、上記ベーンの段に固定されることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項7】
上記の回転チャンバ部分は、少なくとも部分的に上記ディスクのウェブ(62)に沿っていることを特徴とする請求項1に記載のタービンエンジン部(18)。
【請求項8】
タービンロータスタックアセンブリ(52)を備えるガスタービンエンジン(10)であって、
上記タービンロータスタックアセンブリ(52)は、
複数のディスク(54、56)と、
複数の上記ディスクのうちの対応するディスクによって支持された複数のブレード(74、76)の段と、
上記ブレードの段の間に挿入された複数のステータベーンの段(100、102)と、
複数の上記ディスクのうちの第1のディスクの上流側に取り付けられたカバープレート(180)と、
上記第1のディスクに隣接する領域に冷却空気を案内するように配置された冷却空気の放出口(130)と、を備え、
上記第1のディスクは、周囲に多数のスロット(66)を有し、
複数の上記ブレードの段における第1のブレードの段の上記ブレード(74)の各々は、上記スロットのうちの対応するスロットに受容される内側の取り付け部分(72)を有し、
上記カバープレート(180)は、上記第1のディスクから遠ざかろうとする動きに抗して上記カバープレートを保持するために上記第1のディスクに係合している第1の部分(188)を有し、
上記カバープレートは、上記第1の部分の外側に位置し、かつ上記ブレードの上流側への動きを防止するように上記第1のブレードの段の上記ブレードに係合している第2の部分(202)を有し、
上記カバープレートは、複数の上記ステータベーンの段における第1のステータベーンの段の内側のシール構成要素に係合するシール部分(212、220、222)を有し、
フローガイド(146)が、上記の冷却空気の放出口とロータに対する内側のシールとの間に延びていることを特徴とするガスタービンエンジン(10)。
【請求項9】
上記カバープレートは、内側の半径(RI)と周辺部の半径(RO)との間に半径方向のスパンを有し、上記第1のブレードの段における上記半径方向のスパンのハブ半径(RH1)に対する比率は、0.25以下であることを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項10】
上記カバープレートは、内側の半径(RI)と周辺部の半径(RO)との間に半径方向のスパンを有し、上記第1のブレードの段における上記半径方向のスパンのハブ半径(RH1)に対する比率は、0.20以下であることを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項11】
上記の冷却空気の放出口は、上記ロータの長手方向の中心軸(11)からの特性半径(RA)を有し、上記第1のブレードの段における上記特性半径(RA)のハブ半径(RH1)に対する比率は、0.60以上であることを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項12】
上記の冷却空気の放出口は、上記ロータの長手方向の中心軸(11)からの特性半径(RA)を有し、上記第1のブレードの段における上記特性半径(RA)のハブ半径(RH1)に対する比率は、0.70以上であることを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項13】
上記の係合は、ロックリング(192)を介することを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項14】
上記の冷却空気の放出口は、接線方向オンボード噴射器であることを特徴とする請求項8に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項15】
ガスタービンエンジン(10)であって、
複数のディスク(54、56)ならびに、複数の上記ディスクのうちの対応するディスクによって支持された複数のブレード(74、76)の段を含むタービンロータスタックと、
上記ブレードの段の間に挿入された複数のステータベーンの段(100、102)と、
上記第1のディスクに隣接する領域に冷却空気を案内するように配置された冷却空気の放出口(130、350)と、を備え、
複数のディスクにおける第1のディスクは、周囲に多数のスロット(66)を有し、
複数の上記ブレードの段における第1のブレードの段の上記ブレード(74)の各々は、上記スロットのうちの対応するスロットに受容される内側の取り付け部分(72)を有し、
半径方向外側に上記第1のブレードの段と上記第1のステータベーンの段との間を通ってコア流路(230)に案内される冷却空気の第1の流れ(134、354)及び、半径方向内側に、内側のシールに案内される冷却空気の第2の流れ(133、352)の少なくとも一方を有し、
上記ガスタービンエンジンは、上記冷却空気の第1の流れ及び第2の流れのうちの少なくとも一方の渦を抑制する手段(146、358、400)を備えることを特徴とするガスタービンエンジン(10)。
【請求項16】
上記の冷却空気の放出口(130、350)は、接線方向オンボード噴射器であることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項17】
上記の渦を抑制する手段は、上記の冷却空気の放出口の外側に位置するシールの外側に配置されることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項18】
上記の渦を抑制する手段は、環状のフローガイドを備えることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項19】
上記フローガイドは、上記第1のディスクの前方のチャンバの容量を減らし、上記第1のディスクの上流側の面の形状に類似した形状を有し、内側のシールと外側のシールとの間に位置することを特徴とする請求項18に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項20】
上記フローガイドは、該フローガイドの内側の端部及び外側の端部の一方において静止構造体に堅固に固定され、
上記内側の端部及び外側の端部の他方においては、上記フローガイドは、上記の静止構造体に結合され、或いは上記の静止構造体にすべり継ぎ手接続されることを特徴とする請求項18に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項21】
上記の渦を抑制する手段は、内側の部分及び外側の部分が静止構造体に取り付けられた非構造体である環状のフローガイドを備えることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項22】
上記の渦を抑制する手段は、ほぼC型の断面である環状のフローガイドを備えることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項23】
上記の渦を抑制する手段は、上記の冷却空気の放出口の内側及び外側に、それぞれ第1の環状のフローガイド(146)及び第2の環状のフローガイド(400)を備えることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項24】
上記タービンは、上記第1のディスクの上流側に取り付けられたカバープレートをさらに備え、
上記カバープレートは、上記第1のディスクから遠ざかろうとする動きに抗して上記カバープレートを保持するために上記第1のディスクに係合している第1の部分を有し、
上記カバープレートは、上記第1の部分の外側に位置し、かつ上記ブレードの上流側への動きを防止するように上記第1のブレードの段の上記ブレードに係合している第2の部分を有し、
上記カバープレートは、上記第1のステータベーンの段の内側のシール構成要素に係合するシール部分を有することを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項25】
ガスタービンエンジン(10)であって、
複数のディスク(54、56)ならびに、複数の上記ディスクうちの対応するディスクによって支持された複数のブレード(74、76)の段を含むタービンロータスタック(52)と、
上記ブレードの段の間に挿入された複数のステータベーンの段(100、102)と、
複数の上記ディスクのうちの第1のディスクの上流側に取り付けられたカバープレート(180)と、
上記第1のディスクに隣接する領域に冷却空気を案内するように配置された冷却空気の放出口(130)と、を備え、
上記第1のディスクは、周囲に多数のスロット(66)を有し、
複数の上記ブレードの段における第1のブレードの段の上記ブレード(74)の各々は、上記スロットのうちの対応するスロットに受容される内側の取り付け部分(72)を有し、
上記カバープレート(180)は、上記第1のディスクから遠ざかろうとする動きに抗して上記カバープレートを保持するために上記第1のディスクに係合している第1の部分(188)を有し、
上記カバープレートは、上記第1の部分の外側に位置し、かつ上記ブレードの上流側への動きを防止するように上記第1のブレードの段の上記ブレードに係合している第2の部分(202)を有し、
上記カバープレートは、複数の上記ステータベーンの段における第1のステータベーンの段の内側のシール構成要素に係合するシール部分(212、220、222)を有し、
フローガイド(146)が、上記の冷却空気の放出口とロータに対する内側のシールとの間に延びており、
上記カバープレートは、内側の半径(RI)と周辺部の半径(RO)との間に半径方向のスパンを有し、
上記第1のブレードの段における上記半径方向のスパンのハブ半径(RH1)に対する第1の比率は、0.25以下であり、
上記の冷却空気の放出口(130)は、上記ロータの長手方向の中心軸(11)からの特性半径(RA)を有し、
上記第1のブレードの段における上記特性半径(RA)の上記ハブ半径(RH1)に対する第2の比率は、0.60以上であることを特徴とするガスタービンエンジン(10)。
【請求項26】
上記第1のブレードの段における上記ブレードは、少なくとも上記冷却空気の一部を受けるように配置された冷却用の通路を有することを特徴とする請求項25に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項27】
上記第1の比率は0.20以下であり、上記第2の比率は0.70以上であることを特徴とする請求項25に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項28】
ブレード(74、76)の対応する段を支持する複数のディスク(54、56)を備えるタービンロータスタック(52)と、
上記ブレードの段の間に挿入された複数のステータベーンの段(100、102)と、を備えるガスタービンエンジン(10)であって、
複数の上記ディスクの第1のディスクと第2のディスクとの間のシール装置(248、380)は、
複数の上記ステータベーンの段におけるベーンの段(102)のプラットフォーム構造体(106、384)の内側に固定された回転しない第1の本体(250、382、410)と、
上記第1の本体によって支持された少なくとも1つの磨耗性のランド(254、256、258、260、262、264、386、388、397、398)と、
上記第1のディスクによって支持され、かつ少なくとも1つの上記ランド(254、386、388)にシール係合している少なくとも1つの第1のランナ(266、268、390、392)と、
上記第2のディスクによって支持され、かつ少なくとも1つの上記ランドにシール係合している少なくとも1つの第2のランナ(280、282、284、288、290)と、を備えることを特徴とするガスタービンエンジン(10)。
【請求項29】
上記第1のディスクは、複数の上記ディスクの最も上流側であることを特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項30】
上記第1のランナとして第1のカバープレート(270、394)に複数の上記第1のランナを備え、
上記第2のランナとして第2のカバープレート(286)に複数の上記第2のランナを備えることを特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項31】
上記シール装置は、上記第1のディスクと上記第2のディスクとの間で長手方向の力及びトルクを実質的に伝達しないことを特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項32】
上記シール装置は、ボアなしであることを特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項33】
ガスタービンエンジンは、ターボファンエンジンであることを特徴とする請求項28に記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項34】
ガスタービンエンジンの構造を、基本となる構造から設計し直した構造に再設計する方法であって、
上記の基本構造は、タービンロータスタックを有し、
上記タービンロータスタックは、
複数のディスクと、
複数の上記ディスクのうちの対応するディスクによって支持された複数のブレードの段と、
上記ブレードの段の間に挿入された複数のステータベーンの段と、
複数の上記ディスクのうちの第1のディスクの上流側に取り付けられたカバープレート(502)と、
上記第1のディスクに隣接する領域に冷却空気を案内するように配置された冷却空気の放出口(500)と、を備え、
再設計では、上記カバープレートの内側のシール部分(504)を取り除いて上記カバープレートの半径方向のスパンを短くし、上記放出口(500)を外側に移動させることを特徴とするガスタービンエンジンの構造を再設計する方法。
【請求項35】
上記の再設計によって、上記の冷却空気の放出口から少なくとも1つの空気流の通路に沿って少なくとも1つのフローガイド(146、358、400)がさらに追加されることを特徴とする請求項34に記載のガスタービンエンジンの構造を再設計する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−77983(P2007−77983A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241405(P2006−241405)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】