説明

タービン制御装置およびタービン制御装置の弁開度指令補正方法

【課題】関数発生器の弁開度/流量特性と蒸気加減弁の弁開度/流量特性とのずれにより、速度信号もしくは負荷設定値の変化にタービン出力が比例して変化しない領域が存在する。
【解決手段】蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した関数発生器により弁開度指令を出力し、タービンの速度・負荷を制御するタービン制御装置において、蒸気加減弁2の流入蒸気の圧力および温度を圧力・温度検出器15で検出し、タービン出力を出力検出器16(20)で検出し、この出力検出器により検出されたタービン出力の値を圧力・温度補正器17により補正し、蒸気流量指令と補正されたタービン出力の特性とを特性出力部18によりプロットし、出力装置により運転員に呈示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタービン制御装置に係り、特に複数の蒸気加減弁によりタービンを制御するようにしたタービン制御装置およびタービン制御装置の弁開度指令補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所におけるタービン制御装置としては、下記の特許文献1に開示されている内容をその典型例として挙げることができる。図7は、特許文献1に開示されている内容に若干の制御機能が付加された従来技術の構成図である。
【0003】
図7において、ボイラ1で発生した主蒸気は、蒸気加減弁2を経て蒸気タービン(以降、単にタービンという)3に供給され、このタービン3内で膨張仕事をしてタービン動翼に回転エネルギーを与え、発電機4を駆動し、電力Pを発生させる。また、タービン3の回転速度は速度検出器5によって検出され、その検出値SPは負帰還信号としてタービン制御装置の加算器6に入力される。
【0004】
すなわち、加算器6はタービン3の速度を設定する速度設定器7から出力された設定値と速度検出値SPとを突き合わせて偏差信号を演算し、その偏差信号を速度制御部8に出力する。速度制御部8は、偏差信号にあらかじめ定められたゲインをかけて速度制御信号として出力する。この速度制御信号は、タービン3の出力を設定するための負荷設定器9より出力された設定値と加算器10で加算されて速度負荷制御信号となり、低値選択器12に入力される。
【0005】
この低値選択器12は、この速度負荷制御信号と、タービン3の出力を制限するための負荷制限器11から出力された負荷制限値とを比較し、いずれか低い方の値を選択して出力する。この出力を蒸気流量指令値として関数発生器13に出力する。
【0006】
関数発生器13では、蒸気加減弁2の非線形な弁開度/流量特性から蒸気流量指令に対応した線形な弁開度指令値を発生し、サーボ制御部14に出力する。このサーボ制御部14は入力された弁開度指令値に応じて蒸気加減弁2の弁開度を制御し、速度負荷信号に応じた主蒸気量をタービン3に供給する。
【0007】
ところで、このような構成のタービン制御装置では、タービン3の大型化に従い、蒸気加減弁2が複数の弁の組み合わせで構成されている(例えば、特許文献2参照)。このため、それぞれの蒸気加減弁の弁開度/流量特性をあらかじめ測定しておき、その測定値に基づいた複数の関数を関数発生器13で発生させるように構成している。
【特許文献1】特開平1−125503号公報
【特許文献2】特開2004−11608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したタービン制御装置においては、関数発生器13に記憶されている弁開度/流量特性は、蒸気加減弁単体での特性であること、また、設計値もしくは理想的な状況における流量特性であるため、複数の蒸気加減弁を組み合わせた状態では、実際の弁開度/流量特性との間にずれが発生し、次のような問題を生じていた。
【0009】
本来、速度信号の変化もしくは、負荷設定値の変化に比例してタービンの出力は変化することが望ましいが、上述した弁開度/流量特性のずれにより、速度信号もしくは負荷設定値の変化にタービン出力が比例して変化しない領域が存在する。
【0010】
また、最近のタービンは、ボイラから出力される蒸気圧力を変化させて運転する変圧プラントが主であるため、実際のプラントの試運転時に、弁開度/流量特性のずれを測定し、補正することは困難であった。
【0011】
そこで本発明は、上述した課題を解決するために、プラント試運転時等に弁開度/流量特性を容易に測定する手段を提供するとともに、併せて、測定された弁開度/流量特性のずれの補正を容易に行うことのできる手段を提供するようにしたタービン制御装置およびタービン制御装置の弁開度指令補正方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した発明の目的を達成するため、請求項1に係るタービン制御装置の発明は、タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、タービン出力を検出するタービン出力検出器と、このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性との関係を表示する出力装置とを有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係るタービン制御装置の発明は、タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、 前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、タービン出力を検出するタービン出力検出器と、このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性との関係を表示する出力装置とを備え、前記関数発生器の後段に、あらかじめ設定された蒸気加減弁の弁開度/流量特性と実際の流量指令/タービン出力特性のずれを補正するための補正関数発生器を設けたことを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に係るタービン制御装置の発明は、タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、タービン出力を検出するタービン出力検出器と、このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性とを入力することにより、あらかじめ設定された蒸気加減弁の弁開度/流量特性と実際の流量指令/タービン出力特性のずれを補正するための補正関数を自動的に演算する逆関数演算部と、この逆関数演算部で求めた逆関数を随時設定できる可変補正関数発生器を前記関数発生器の後段に設けたことを特徴とする。
【0015】
またさらに、請求項6に係るタービン制御装置の弁開度指令補正方法の発明は、タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置の調整方法において、タービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度により補正し、前記蒸気流量指令と前記補正されたタービン出力との特性を求め、さらにこの特性から逆関数を求め、この逆関数により前記弁開度指令を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタービン制御装置およびタービン制御装置の弁開度指令補正方法は、蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、タービン出力を検出するタービン出力検出器と、このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を定格蒸気条件の値に補正する圧力・温度補正器と、蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性との関係を出力する出力装置とを備えるようにしたので、プラントの試運転時等に複数の蒸気加減弁の弁開度/流量特性のずれを容易に補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るタービン制御装置の実施例について、図面を参照して説明する。なお、各図を通して共通する要素については、同一符号もしくは関連符号を付けることにより、重複する説明は適宜省略する。
【0018】
(実施例1)
まず、図1を参照して本発明の実施例1について説明する。
図1において、本実施例は図7で示した従来装置に対して、次の構成要素を新たに設けたものである。すなわち、本実施例のタービン制御装置は、ボイラ1からタービン3に供給される主蒸気の圧力と温度とを検出する圧力温度検出器15と、タービン3の出力を表す第1段落圧力を検出する第1段落圧力検出器16と、これら検出器15、16で検出された主蒸気の圧力と温度を元に、タービン出力を補正する機能を備えた圧力・温度補正器17と、低値選択器12から出力された蒸気流量指令および圧力・温度補正器17で補正されたタービン出力の関係をプロットし、定格蒸気条件における蒸気流量指令/タービン出力の関係を求めて出力する特性出力部18と、この特性出力部18から出力された蒸気流量/タービン出力の関係をディスプレイモニタで表示したり、あるいは記録紙で記録するための出力装置19とを新たに設けたものである。
【0019】
次に、以上のように構成された本実施例の作用について説明する。
一般に、タービン3の出力は流入する蒸気のエネルギー量に比例する。また、蒸気加減弁2の弁開度が等しければ、タービンに流入する蒸気のエネルギー量は、流入する蒸気の圧力と温度の関数で求められる。なお、以下の説明では、本実施例の作用を簡潔に説明するために、流入する主蒸気の温度を一定と仮定し、タービン3に流入するエネルギー量は、流入する主蒸気量が一定の場合、すなわち蒸気加減弁2の弁開度が一定の場合、流入する蒸気の圧力に比例するものと近似して説明する。
【0020】
圧力検出器16は第1段落圧力FSPを基にタービン出力Ptを出力する。タービン出力Ptは、圧力・温度補正器17において、圧力温度検出器15で検出された主蒸気の圧力と温度に従い、定格蒸気圧力・定格蒸気温度ベースのタービン出力Ptcに補正される。すなわち、蒸気温度を一定と考え、定格蒸気圧力をP0、蒸気圧力をPinとすると、補正されたタービン出力Ptcは、次の(1)式
Ptc=P0/Pin×Pt …… (1)
となる。これは、同一の流量指令において、流入蒸気の圧力が定格蒸気圧力、定格蒸気温度の場合のタービン出力を示している。
【0021】
特性出力部18では、上記のようにして補正されたタービン出力と低値選択器12から出力された蒸気流量指令との関係をプロットし、定格蒸気条件における蒸気流量指令とタービン出力との関係を求めて出力する。出力装置19はこの蒸気流量指令/タービン出力特性をディスプレイモニタに表示したり、あるいは記録紙に記録することによりタービンの運転員に呈示する。
【0022】
以上述べたように、本実施例1によれば、タービンの運転蒸気条件が変わっても、定格蒸気条件における蒸気流量指令とタービン出力の関係が出力装置によって運転員にとって一目瞭然となるので、プラント試運転時に関数発生器における弁開度/流量特性のずれを容易に補正することができる。
【0023】
(実施例2)
図2を参照して本発明の実施例2について説明する。
図2において、本実施例は図1で示した実施例1のタービン3の出力を表す第1段落圧力を検出する圧力検出器16を、タービン3の出力と同等の値である発電機4の出力を検出する発電機出力検出器20に置き換えて構成したものである。その他の構成は、図1と同じである。
【0024】
次に、以上のように構成された本実施例の作用について説明する。
一般に、タービン3の出力は、流入する蒸気のエネルギー量に比例する。また、蒸気加減弁2の弁開度が等しければ、タービンに流入する蒸気のエネルギー量は、流入する蒸気の圧力と温度の関数で求められる。なお、以下の説明では、本実施例の作用を簡潔に説明するために、流入する主蒸気の温度を一定と仮定し、タービン3に流入するエネルギー量は、流入する蒸気量が一定の場合、すなわち、蒸気加減弁2の弁開度が一定の場合、流入する蒸気の圧力に比例するものと近似して説明する。
【0025】
発電機出力検出器20は発電機出力Pgを出力する。発電機出力Pgは、圧力・温度補正器17において、圧力温度検出器15で検出された主蒸気の圧力と温度に従い、定格蒸気圧力・定格蒸気温度ベースの発電機出力Pgcに補正される。すなわち、蒸気温度を一定と考え、定格蒸気圧力をP0、蒸気圧力をPinとすると、補正された発電機出力Pgcは、次の(2)式
Pgc=P0/Pin×Pg …… (2)
となる。これは、同一の流量指令において、流入蒸気の圧力が定格蒸気圧力、定格蒸気温度の場合の発電機出力を示している。発電機出力Pgは、タービン出力と同等なので、特性出力部18では、上記補正された発電機出力と低値選択器12から出力された蒸気流量指令の関係をプロットし、定格蒸気条件における蒸気流量指令とタービン出力の関係を求め、出力装置19にて、タービンの運転員に、蒸気流量指令/タービン出力特性を表示する。
【0026】
以上述べたように、本実施例2においても実施例1同様、タービンの運転蒸気条件が変わっても、定格蒸気条件における蒸気流量指令とタービン出力の関係が出力装置によって運転員にとって一目瞭然となるので、プラント試運転時に関数発生器における弁開度/流量特性のずれを容易に補正することができる。
【0027】
(実施例3)
図3を参照して本発明の実施例3について説明する。
図3において、本実施例は図1で示した実施例1の関数発生器13から出力される弁開度指令を補正して後段のサーボ制御部14に入力する補正関数発生器21を介挿するように構成したものである。その他の構成は、図1と同じである。
【0028】
次に、以上のように構成された本実施例3の作用を以下に説明する。
出力装置19に表示された蒸気流量/タービン出力特性は、本来、直線で示されるべきものであるが、関数発生器13に設定された弁開度/流量特性と、実際の蒸気加減弁2の弁開度/流量特性とには、ずれがあるために、非線形特性として出力装置19に表示される。
【0029】
そこで、出力装置19に表示された非線形特性から運転員等の人手によって逆関数を求め、この求めた逆関数を補正関数発生器21に入力して補正関数を設定する。この補正関数発生器21は、関数発生器13から出力された弁開度指令値と実際の蒸気加減弁2の弁開度/流量特性とのずれを補正した補正弁開度指令を出力し、サーボ制御部14に入力する。
【0030】
以上のように本実施例3によれば、関数発生器13に設定された弁開度/流量特性と、実際の蒸気加減弁の弁開度/流量特性とのずれをプラント試運転時等に補正関数発生器21によって補正することができるので、速度設定値もしくは負荷設定値の変化に比例したタービン出力の変化を得ることができる。
【0031】
(実施例4)
図4を参照して本発明の実施例4について説明する。
図4において、本実施例は図3で示した実施例3のタービン3の出力を表す第1段落圧力を検出する圧力検出器16を、タービン3の出力と同等の値である発電機4の出力を検出する発電機出力検出器20に置き換えて構成したものである。その他の構成は、図3と同じである。
【0032】
従って本実施例は、主要部の構成が実施例3と同じなので、実施例3と同じ作用効果を奏することができる。
【0033】
(実施例5)
図5を参照して本発明の実施例5について説明する。
図5において、本実施例5は、図3で示した実施例3のタービン制御装置の補正関数発生器21を、関数発生器13から出力される弁開度指令を補正する補正関数発生器21を随時変更できる可変補正関数発生器21Aに置き換え、さらに、出力装置19に替えて、特性出力部18から出力された蒸気流量/タービン出力の特性から、その非線形性を除去する逆関数を求める逆関数演算部22を設けるように構成したものである。
【0034】
次に、以上のように構成された実施例5の作用を説明する。
実施例3で説明したように、特性出力部18から出力された蒸気流量/タービン出力特性は、本来、直線で示されるべきものであるが、関数発生器13に設定された弁開度/流量特性と実際の蒸気加減弁2の弁開度/流量特性とには、ずれがあることから、非線形の関係となる。逆関数演算部22は、特性出力部18から入力された非線形性を除去するための逆関数を自動的に演算し、その結果を可変補正関数発生器21Aに送る。
【0035】
可変補正関数発生器21Aは入力した逆関数により非線形性の補正関数を自動的に設定し、関数発生器13から出力された弁開度指令値と実際の蒸気加減弁の弁開度/流量特性のずれを補正した補正弁開度指令をサーボ制御部14に出力する。
【0036】
以上のように本実施例5は、逆関数演算部22によって、特性出力部18から入力された非線形性を除去するための逆関数を自動的に演算し、その結果を可変補正関数発生器21Aに送るようにしたので、実施例3や実施例4のように関数発生器13から出力された弁開度指令値と実際の蒸気加減弁の弁開度/流量特性とずれを人手により補正することなく、常に速度設定値もしくは負荷設定値の変化に比例したタービン出力の変化を得ることができる。
【0037】
なお、本実施例の場合、出力装置19を設置しなくても所期の目的は達成できるが、出力装置19をそのまま残して、運転員に関数発生器13の弁開度/流量特性と、蒸気加減弁2の弁開度/流量特性とのずれを呈示するようにしてもよい。
【0038】
(実施例6)
図6を参照して本発明の実施例6について説明する。
図6において、本実施例は図5で示した実施例5のタービン3の出力を表す第1段落圧力を検出する圧力検出器16を、タービン3の出力と同値である発電機4の出力を検出する発電機出力検出器20に置き換えて構成したものである。その他の構成は、図5と同じである。
【0039】
従って本実施例は、主要部の構成が実施例5と同じなので、実施例5と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1に係るタービン制御装置の構成図。
【図2】本発明の実施例2に係るタービン制御装置の構成図。
【図3】本発明の実施例3に係るタービン制御装置の構成図。
【図4】本発明の実施例4に係るタービン制御装置の構成図。
【図5】本発明の実施例5に係るタービン制御装置の構成図。
【図6】本発明の実施例6に係るタービン制御装置の構成図。
【図7】従来技術に係るタービン制御装置の構成図。
【符号の説明】
【0041】
1…ボイラ、2…蒸気加減弁、3…タービン、4…発電機、5…速度検出器、6…加算器、7…速度設定器、8…速度制御部、9…負荷設定器、10…加算器、11…負荷制限器、12…低値選択器、13…関数発生器、14…サーボ制御部、15…圧力温度検出器、16…圧力検出器、17…圧力・温度補正器、18…特性出力部、19…出力装置、20…発電機出力検出器、21…補正関数発生器、21A…可変補正関数発生器、22…逆関数演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、
前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、
タービン出力を検出するタービン出力検出器と、
このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、
蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、
この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性との関係を表示する出力装置とを有することを特徴とするタービン制御装置。
【請求項2】
タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、
前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、
タービン出力を検出するタービン出力検出器と、
このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、
蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、
この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性との関係を表示する出力装置とを備え、
前記関数発生器の後段に、あらかじめ設定された蒸気加減弁の弁開度/流量特性と実際の流量指令/タービン出力特性のずれを補正するための補正関数発生器を設けたことを特徴とするタービン制御装置。
【請求項3】
タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置において、
前記蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度を検出する圧力・温度検出器と、
タービン出力を検出するタービン出力検出器と、
このタービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を前記圧力・温度検出器の出力により補正する圧力・温度補正器と、
蒸気流量指令とタービン出力との特性を求めて出力する特性出力部と、
この特性出力部で求めた蒸気流量指令とタービン出力特性とを入力することにより、あらかじめ設定された蒸気加減弁の弁開度/流量特性と実際の流量指令/タービン出力特性のずれを補正するための補正関数を自動的に演算する逆関数演算部と、
この逆関数演算部で求めた逆関数を随時設定できる可変補正関数発生器を前記関数発生器の後段に設けたことを特徴とするタービン制御装置。
【請求項4】
タービン出力を検出する手段として、第一段落蒸気圧力検出器を設けたことを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載のタービン制御装置。
【請求項5】
タービン出力を検出する手段として、発電機出力検出器を設けたことを特徴とする請求項2または4のいずれかに記載のタービン制御装置。
【請求項6】
タービンの速度設定値とタービン実速度との偏差に応じた速度指令を負荷設定値に加算して速度負荷制御指令を求め、この速度負荷制御指令と負荷制限値とのいずれか低い方の値を蒸気流量指令とし、この蒸気流量指令を関数発生器に入力して蒸気加減弁の弁開度/流量特性に対応した弁開度指令を出力し、この弁開度指令に基づいて蒸気加減弁を制御し、タービンの速度・負荷を制御するようにしたタービン制御装置の調整方法において、
タービン出力検出器により検出されたタービン出力の値を蒸気加減弁の流入蒸気の圧力および温度により補正し、
前記蒸気流量指令と前記補正されたタービン出力との特性を求め、さらにこの特性から逆関数を求め、この逆関数により前記弁開度指令を補正することを特徴とするタービン制御装置の弁開度指令補正方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−9732(P2006−9732A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189849(P2004−189849)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】