説明

ターボ回転機械のロータ挙動計測装置及びロータ挙動計測方法、並びにターボ回転機械

【課題】車室内における実際のロータ挙動を把握することができるターボ回転機械のロータ挙動計測装置及びロータ挙動計測方法、並びにターボ回転機械を提供する。
【解決手段】ロータ挙動計測装置1は、車室4内のロータ2の外周面に設けられた突起10と、車室4を貫通して取り付けられ、車室4内に挿入される先端側にアブレイダブル材22を有する計測棒20とを備える。計測棒20のアブレイダブル材22は、少なくともロータ挙動の計測時にロータ2の突起10に接触するように構成されている。突起10によってアブレイダブル材22に形成された傷に基づいて、ターボ回転機械の車室4内におけるロータ2の挙動が計測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、コンプレッサ等のターボ回転機械のロータ挙動計測装置及びロータ挙動計測方法、並びにターボ回転機械に関する。ここで、ロータ挙動計測装置とは、ターボ回転機械の車室内におけるロータの挙動を計測する装置をいう。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン、ガスタービン、コンプレッサ等のターボ回転機械では、運転効率の向上の観点から、車室内における回転部材(ロータや動翼)と静止部材(車室や静翼)との間隙を小さくすることが望まれる。
【0003】
ところが、運転中のターボ回転機械は、ロータはスラスト軸受を起点として熱膨張する一方で、車室は基礎への固定点(アンカー)を起点として熱膨張することから、ロータと車室との熱伸び差が生じるし、ロータと車室とを構成する材料が異なれば、両者間の熱膨張率差に起因する熱伸び差も生じる。このため、車室内における回転部材と静止部材とのロータ軸方向における間隙は、車室とロータとの熱伸び差の影響を受けることになる。
さらに、運転中のターボ回転機械は、ロータの芯ぶれ(偏心)が生じることがあり、車室内における回転部材と静止部材との径方向における間隙は、ロータの偏心(芯ぶれ)の影響を受ける。
【0004】
そこで、従来から、車室内における回転部材と静止部材との間隙を管理するために、車室とロータとの伸び差量や、ロータの芯ぶれ量(偏心量)を計測することが行われていた。
例えば、特許文献1には、蒸気タービンのロータと車室との伸び差量およびロータの偏心量を車室外(軸受の周辺)で計測する手法が記載されている。具体的には、高中圧タービンについては、車室外の軸受周辺に設けられた伸び差計及び偏心計によって伸び差量及び偏心量を常時監視する一方で、低圧タービンについては、車室外の軸受周辺に設けられた伸び差計によって伸び差量を計測するとともに、この伸び差計の検出信号から偏心量を算出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−8506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の手法では、伸び差計及び偏心計は車室外に設けられているので、車室内における実際の伸び差量及び芯ぶれ量を知ることはできない。よって、車室内のロータの挙動を知りたいときは、車室外で計測された伸び差量及び芯ぶれ量に基づいて、有限要素法(FEM)による計算等で推定するしかなく、車室内のロータの挙動を正確に把握することは困難だった。
【0007】
したがって、車室内における回転部材と静止部材との間隙について、かなり余裕度を持たせて設計せざるを得ず、結果的にターボ回転機械の運転効率の向上の障壁となっていた。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、車室内における実際のロータ挙動を把握することができるターボ回転機械のロータ挙動計測装置及びロータ挙動計測方法、並びにターボ回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るターボ回転機械のロータ挙動計測装置は、ターボ回転機械の車室内におけるロータの挙動を計測するためのロータ挙動計測装置であって、前記車室内の前記ロータの外周面に設けられた突起と、前記車室を貫通して取り付けられ、前記車室内に挿入される先端側にアブレイダブル材を有する計測棒とを備え、少なくともロータ挙動の計測時に、前記計測棒のアブレイダブル材が前記ロータの突起に接触するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
このロータ挙動計測装置によれば、ターボ回転機械の車室内に計測棒を挿入して、ロータに設けられた突起にアブレイダブル材を接触させてアブレイダブル材に形成した傷から、車室内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【0011】
なお、本明細書において、「車室内におけるロータの挙動」とは、任意の方向における車室内のロータの変位を意味し、例えば、車室に対するロータのロータ軸方向への相対的な伸び量(車室とロータとのロータ軸方向伸び差)や、車室に対するロータのロータ半径方向への相対的な伸び量(車室とロータとのロータ半径方向伸び差)や、ロータの芯ぶれ量を意味する。
また、本明細書において、「アブレイダブル材」とは、前記ロータの突起に接触させたときに容易に傷が付く快削性を備えた材料であり、例えば金属材、樹脂材、金属と樹脂との混合材などで構成することができる。
【0012】
上記ロータ挙動計測装置は、前記車室に固定され、前記計測棒が挿通されるスリーブと、前記計測棒と前記スリーブとの間を密封する第1シール部材と、前記スリーブと前記車室との間を密封する第2シール部材とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
このように、第1シール部材及び第2シール部材を用いて、計測棒とスリーブとの間およびスリーブと車室との間を密封することで、ターボ回転機械の車室内の流体が外部に漏洩したり、外部から車室内に大気が流入してしまうことを防止できる。
【0014】
上記ロータ挙動計測装置は、前記車室に先端側が挿入された前記計測棒をその軸方向に進退させて、前記計測棒のアブレイダブル材と前記ロータの突起との距離を調節する移動手段と、前記移動手段による前記計測棒の移動量を測定する移動量測定手段とをさらに備えることが好ましい。
【0015】
このように、計測棒をその軸方向に進退させる移動手段と、この移動手段による計測棒の移動量を測定する移動量測定手段とを設けることで、計測棒の移動量を正確に把握することができる。この計測棒の移動量から、車室に対するロータのロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)がないと仮定した場合におけるアブレイダブル材の傷の深さの予想値が得られる。一方、車室に対するロータのロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)が存在する場合、アブレイダブル材に実際に形成される傷の深さは上記予想値とずれる。そこで、アブレイダブル材に実際に形成される傷の深さと上記予想値との差から、車室に対するロータのロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)を求めることができる。
【0016】
上記ロータ挙動計測装置において、前記突起及びこれに対応する前記計測棒が、前記ロータの軸方向に沿って複数セット設けられていることが好ましい。
【0017】
ロータはスラスト軸受を起点として熱膨張する一方で、車室は基礎への固定点(アンカー)を起点として熱膨張するため、ロータと車室との熱伸び差に起因するロータの挙動はロータ軸方向位置によって異なる。そこで、突起及びこれに対応する計測棒を、ロータの軸方向に沿って複数セット設けることで、車室内のそれぞれの箇所におけるロータの挙動を計測することが可能となる。
【0018】
上記ロータ挙動計測装置は、複数の前記計測棒が前記ロータの周方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0019】
このように、複数の計測棒をロータの周方向に沿って設けることで、例えば、ターボ回転機械の運転開始から定格運転状態までの期間中に複数の計測棒のアブレイダブル材に順に傷を付け、これらの傷のロータ軸方向位置や深さを比較することにより、上記期間中におけるロータ挙動の経時変化を求めることができる。また、常温条件下で一つ目の計測棒のアブレイダブル材に傷を付け、ターボ回転機械の定格運転状態で二つ目の計測棒のアブレイダブル材に傷を付け、これら2つの傷のロータ軸方向位置を比較すれば、車室に対するロータの伸び差量だけでなく、伸び差方向も計測することができる。
【0020】
上記ロータ挙動測定装置において、前記突起は、ロータ軸方向に略直交する方向に沿って前記ロータの外周面上に設けられ、環状に連続するフィンであってもよい。
【0021】
このようにロータ軸方向に直交する方向に沿って連続するフィン状の突起を用いれば、突起とアブレイダブル材との位置合わせは、両者のロータ軸方向位置のみを一致させれば足りるから、計測作業を簡素化できる。
【0022】
上記ロータ挙動測定装置において、前記計測棒は、前記アブレイダブル材が設けられた先端側が交換可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
計測棒の先端側の交換により、計測棒の交換範囲を最小限にして、ランニングコストを低減することができる。
【0024】
本発明に係るターボ回転機械は、車室と、前記車室内に収納されるロータと、上述のロータ挙動計測装置とを備えることを特徴とする。
【0025】
このターボ回転機械では、上述のロータ挙動計測装置を設けたので、車室内に計測棒を挿入して、ロータに設けられた突起にアブレイダブル材を接触させてアブレイダブル材に形成した傷から、車室内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【0026】
本発明に係るロータ挙動計測方法は、ターボ回転機械の車室内におけるロータの挙動を計測するロータ挙動計測方法であって、先端側にアブレイダブル材を有する計測棒を車室内に挿入し、前記ターボ回転機械の運転中に、ロータに形成された突起に前記アブレイダブル材を接触させて、該アブレイダブル材に前記突起による計測用傷を付ける計測用傷形成ステップと、前記計測用傷のロータ軸方向位置および深さの少なくとも一方に基づいて、車室内におけるロータの挙動を計測する挙動計測ステップとを備えることを特徴とする。
【0027】
このロータ挙動計測方法によれば、ターボ回転機械の車室内に計測棒を挿入し、計測棒の先端側に設けられたアブレイダブル材をロータに設けられた突起に接触させて形成した計測用傷を利用してロータ挙動を計測するので、車室内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【0028】
上記ロータ挙動計測方法は、常温条件下において、前記ロータの前記突起に前記アブレイダブル材を接触させて、該アブレイダブル材に前記突起による基準傷を付ける基準傷形成ステップをさらに備え、前記挙動計測ステップでは、前記計測用傷と前記基準傷とのロータ軸方向位置の差から、前記車室内におけるロータの車室に対する伸び差を求めることが好ましい。
【0029】
このように、常温条件下においてアブレイダブル材に基準傷を形成しておき、アブレイダブル材の計測用傷と基準傷とのロータ軸方向位置を比較することで、車室内におけるロータの車室に対する伸び差を正確に求めることができる。
【0030】
また、上記ロータ挙動計測方法において、前記挙動計測ステップでは、前記計測用傷の深さから、前記車室内におけるロータの芯振れ量を求めてもよい。
【0031】
上記ロータ挙動計測方法において、複数の前記計測棒を前記ロータの周方向に沿って設け、前記計測用傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械の運転開始から定格運転状態に達するまでの期間において、前記ロータの突起に向けて前記複数の計測棒を順に移動させて、該複数の計測棒のアブレイダブル材にタイミングをずらして前記計測用傷を形成し、前記挙動計測ステップでは、前記複数の計測棒のアブレイダブル材にタイミングをずらして形成された前記計測用傷のロータ軸方向位置の差から、前記期間におけるロータ挙動の経時変化を求めてもよい。
【0032】
このように、ロータ周方向に設けられた複数の計測棒を用いて、運転開始から定格運転状態に達するまでの期間中に複数の計測棒のアブレイダブル材に順に計測用傷を付け、これらの計測用傷のロータ軸方向位置や深さを比較することで、上記期間中におけるロータ挙動の経時変化を計測することができる。
【0033】
上記ロータ挙動計測方法において、前記ターボ回転機械は蒸気タービンであり、前記挙動計測ステップの前に、前記車室内の真空状態を破壊し、前記計測棒を前記車室から引き抜く計測棒引抜ステップをさらに備えていてもよい。
【0034】
また上記ロータ挙動計測方法において、前記計測用傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械が回転数3000rpm又は3600rpmの定格運転中において、前記アブレイダブル材に前記計測用傷を付け、前記基準傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械が回転数1〜5rpmの常温状態において、前記アブレイダブル材に前記基準傷を付けてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ターボ回転機械の車室内に計測棒を挿入して、ロータに設けられた突起にアブレイダブル材を接触させてアブレイダブル材に形成した傷から、車室内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ロータ挙動計測装置の構成例を示す図であり、(a)はロータ挙動計測装置の全体構成を示す断面図であり、(b)は(a)においてAで示した部分の拡大図である。
【図2】ロータ挙動計測装置に用いられる計測棒の先端側の構成例を示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。
【図4】第2実施形態に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。
【図5】変形例に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。
【図6】変形例に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0038】
以下、本発明に係るロータ挙動計測装置の構成例について説明した後、このロータ挙動計測装置を用いたロータ挙動計測方法について詳述する。
【0039】
図1(a)はロータ挙動計測装置の構成例を示す断面図であり、図1(b)は図1(a)においてAで示した部分の拡大図である。また図2は、ロータ挙動計測装置に用いられる計測棒の先端側の構成例を示す断面図である。
【0040】
図1(a)及び(b)に示すように、ロータ挙動計測装置1は、主として、ターボ回転機械のロータ2の外周面に形成された突起10と、ターボ回転機械の車室4に着脱自在に取り付けられ、先端側にアブレイダブル材22を有する計測棒20とで構成される。
【0041】
突起10は、計測棒20のアブレイダブル材22に傷を付けることが可能である限り、どのような形状であってもよいが、ロータ軸方向に略直交する方向に沿って環状に連続してロータ2の外周面上に形成されたフィンを突起10として用いることが好ましい。このようにロータ軸方向に略直交する方向に沿って連続するフィン状の突起10を用いれば、突起10とアブレイダブル材22との位置合わせは、両者のロータ軸方向位置のみを一致させれば足りる。
【0042】
計測棒20は、先端側にアブレイダブル材22を有する棒状体であり、車室4への取り付け状態において、アブレイダブル材22がロータ2の突起10に対向するように、先端側が車室4内に挿入されている。なお、図1(a)には、車室4に嵌め込まれたダミーリング6に複数のダミーシール8が設けられ、計測棒20は車室4及びダミーリング6を貫通しており、計測棒20のアブレイダブル材22は隣接するダミーシール8の間に位置している例を示したが、計測棒20の取り付け態様はこの例に限定されず、車室4内における任意の箇所に計測棒20を取り付けることができる。
【0043】
また、計測棒の交換範囲を最小限にしてランニングコストを低減する観点から、計測棒20は、アブレイダブル材22が設けられた先端側を交換可能に構成することが好ましい。例えば、図2に示すように、アブレイダブル材22を有する先端部20Aを本体部20Bに螺着して計測棒20を構成しておけば、使用済みの先端部20Aを新しいものに交換することで、ロータ挙動の計測を繰り返し行うことができる。
【0044】
図1(a)に示すように、車室4への取り付け状態における計測棒20は、環状に張り出したフランジ部32を一端に有するスリーブ30に挿通されている。そして、スリーブ30のフランジ部32が車室4の外周面から突出して形成されたボス部4Aに締結部材34で締結されることによって、スリーブ30が車室4に固定されている。すなわち、計測棒20は、締結部材34によって車室4に固定されたスリーブ30に挿通されている。
【0045】
また、計測棒20とスリーブ30との間には第1シール部材36Aが設けられ、スリーブ30と車室4(図1(a)に示す例では、車室4に嵌め込まれたダミーリング6)との間には第2シール部材36Bが設けられている。このように第1シール部材36A及び第2シール部材36Bを設けて、計測棒20とスリーブ30との間およびスリーブ30と車室4(具体的にはダミーリング6)との間を密封することで、ターボ回転機械の車室4内の流体が外部に漏洩したり、外部から車室4内に大気が流入してしまうことを防止できる。
【0046】
ロータ挙動計測装置1は、計測棒20をその軸方向に進退させる移動手段40を備えることが好ましい。図1(a)に示す例では、移動手段40は、計測棒20のアブレイダブル材22とは反対側の端部に設けた雄ねじ部42と、雄ねじ部42に螺合する雌ねじが設けられた送り部材44と、送り部材44を回転させるハンドル46とで構成されている。この移動手段40を用いて、ハンドル46で送り部材44を回転させると、送り部材44の回転に伴って計測棒20がその軸方向に沿って進退するようになっている。
なお、移動手段40は、図1(a)に示す例に限られず、油圧シリンダ等の任意のアクチュエータで構成してもよい。
【0047】
また、移動手段40による計測棒20の移動量を測定する移動量測定手段50を設けることが好ましい。移動量測定手段50は、計測棒軸方向に沿った計測棒20の移動量を測定可能であれば特に限定されず、例えば図1(a)に示すように、計測棒20の端面(雄ねじ部42の端面)に測定子52が当接するように取り付けられたダイヤルゲージ54を用いることができる。
【0048】
このように、スリーブ30を挿通する計測棒20をその軸方向に進退させる移動手段40と、この移動手段40による計測棒20の移動量を測定する移動量測定手段50とを設けることで、計測棒20の移動量を正確に把握することができる。この計測棒20の移動量から、車室4に対するロータ2のロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)がないと仮定した場合におけるアブレイダブル材22の傷の深さの予想値が得られる。一方、車室4に対するロータ2のロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)が存在する場合、アブレイダブル材22に実際に形成される傷の深さは上記予想値とずれる。そこで、アブレイダブル材22に実際に形成される傷の深さと上記予想値との差から、車室4に対するロータ2のロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)を求めることができる。
【0049】
以上説明したように、ロータ挙動計測装置1は、車室4内のロータ2の外周面に設けられた突起10と、車室4を貫通して着脱自在に取り付けられ、車室4内に挿入される先端側にアブレイダブル材22を有する計測棒20とを備え、少なくともロータ挙動計測時に、計測棒20のアブレイダブル材22がロータ2の突起10に接触するように構成されている。
これにより、ターボ回転機械の車室4内に計測棒20を挿入して、ロータ2に設けられた突起10にアブレイダブル材22を接触させてアブレイダブル材22に形成した傷から、車室4内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【0050】
[第1実施形態]
次に、上記構成のロータ挙動計測装置1を用いて車室4内におけるロータ2の挙動を計測する方法の一例について説明する。図3は、本実施形態に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。
【0051】
まず、図3(a)に示すように、計測棒20を車室4内に挿入し、常温条件下において、移動手段40によって計測棒20をその軸方向に移動させ、ロータ2の突起10にアブレイダブル材22を接触させて、アブレイダブル材22に突起10による基準傷24を付ける。そして、基準傷24の形成後に、移動手段40によって計測棒20を移動させて、突起10との接触位置から計測棒20を一旦退避させておく。
【0052】
なお、ターボ回転機械のロータを例えば回転数1〜5rpmで回転させながら、アブレイダブル材22に基準傷24を付けるようにすれば、突起10が連続したフィン状でない場合であっても、突起10とアブレイダブル材22との位置合わせは、両者のロータ軸方向位置のみを一致させれば足りる。
【0053】
続いて、図3(b)に示すように、ターボ回転機械の定格運転中(回転数3000rpm又は3600rpm且つ定常状態)に、移動手段40によって計測棒20をその軸方向に移動させ、ロータ2の突起10にアブレイダブル材22を接触させて、アブレイダブル材22に突起10による計測用傷26を付ける。そして、計測用傷26の形成後に、移動手段40によって計測棒20を移動させて、突起10との接触位置から計測棒20を退避させる。
【0054】
最後に、図3(c)に示すように、ターボ回転機械を停止して計測棒20を車室4から抜き取り、アブレイダブル材22に形成された基準傷24と計測用傷26とのロータ軸方向における距離dを測定する。なお、ターボ回転機械が蒸気タービンである場合、ターボ回転機械(蒸気タービン)の停止によって車室4内は真空になるので、計測棒20の抜き取り前に、車室4内の真空状態を破壊する必要がある。
【0055】
このようにして得られた距離dは、ターボ回転機械の定格運転状態におけるロータ2と車室4とのロータ軸方向における熱伸び差量を示している。また、ロータ2と車室4との伸び差方向(ロータ2の車室4に対する相対的な熱膨張方向)は、車室4の外部に設けた従来の伸び差計の測定結果から予測可能である。したがって、上記手順により、車室4内におけるロータ2の実際の挙動(ロータ軸方向における車室4に対するロータ2の相対的な変位)を直接的に把握することができる。
【0056】
なお、図3には、アブレイダブル材22に基準傷24及び計測用傷26を形成し、これら基準傷24と計測用傷26とのロータ軸方向における距離dから、車室4内におけるロータ2の挙動を把握する例を示したが、常温状態において、アブレイダブル材22の突起10に対するロータ軸方向の相対位置が既知であれば、基準傷24の形成工程(図3(a)参照)を省略し、計測用傷26のみに基づいて車室4内におけるロータ2の挙動を把握することも可能である。
【0057】
また、ロータ2はスラスト軸受を起点として熱膨張する一方で、車室4は基礎への固定点(アンカー)を起点として熱膨張するため、ロータ2と車室4とのロータ軸方向における熱伸び差に起因するロータ2の挙動はロータ軸方向位置によって異なる。そこで、突起10及びこれに対応する計測棒20をロータ軸方向に沿って複数セット設けて、車室4内のそれぞれの箇所におけるロータ2の挙動を計測してもよい。
【0058】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のロータ挙動計測方法について説明する。本実施形態では、以下で説明するように、ロータ周方向に沿って設けた複数の計測棒20を用いて、ターボ回転機械の運転開始から定格運転状態に達するまでの期間におけるロータ挙動の経時変化を計測する。
【0059】
図4は、本実施形態に係るロータ挙動の計測方法の手順を示す図である。図4(a)に示すように、複数の計測棒20(20A,20B,20C)がロータ2の周方向に沿って略同一周線上に(略同一軸方向位置に)設けられている。なお、図4では、ロータ2の周方向に連続したフィン状の突起10を示しているが、上述のとおり、突起10の形状は連続したフィン状のものに限定されない。
【0060】
ロータ挙動の計測を開始するに当たって、まずは、図4(b)に示すように、常温条件下において、一つ目の計測棒20Aをその軸方向に移動手段40によって移動させ、ロータ2の突起10にアブレイダブル材22Aを接触させて、アブレイダブル材22Aに突起10による計測用傷26A(図4(e)参照)を付ける。
【0061】
この後、図4(c)に示すように、移動手段40によって計測棒20Aを移動させて、突起10との接触位置から計測棒20Aを退避させる。さらに、ターボ回転機械の危険速度域通過時に、二つ目の計測棒20Bをその軸方向に移動手段40によって移動させ、ロータ2の突起10にアブレイダブル材22Bを接触させて、アブレイダブル材22Bに突起10による計測用傷26B(図4(e)参照)を付ける。
【0062】
続いて、図4(d)に示すように、移動手段40によって計測棒20Bを移動させて、突起10との接触位置から計測棒20Bを退避させる。さらに、ターボ回転機械の定格運転状態(回転数3000rpm又は3600rpm且つ定常状態)において、三つ目の計測棒20Cをその軸方向に移動手段40によって移動させ、ロータ2の突起10にアブレイダブル材22Cを接触させて、アブレイダブル材22Cに突起10による計測用傷26C(図4(e)参照)を付ける。
【0063】
最後に、図4(e)に示すように、ターボ回転機械を停止して各計測棒20を車室4から抜き取り、アブレイダブル材22(22A,22B,22C)にそれぞれ形成された計測用傷26(26A,26B,26C)を比較して、運転開始から危険速度域を経て定格運転状態に達するまでの期間におけるロータ挙動の経時変化を求める。
【0064】
例えば、計測用傷26(26A,26B,26C)のロータ軸方向位置を比較すれば、運転開始から定格運転状態に達するまでの期間中における、車室4に対するロータ2のロータ軸方向への熱伸び差量および熱伸び差方向の経時変化が得られる。
【0065】
また、移動量測定手段50によって、計測用傷形成時における各計測棒20の移動量を測定し、車室4に対するロータ2のロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)がないと仮定した場合におけるアブレイダブル材22の傷の深さの予想値を求めておけば、この予想値と各々の計測用傷26(26A,26B,26C)の実際の深さとの差から、車室4に対するロータ2のロータ半径方向における相対的な変位量(熱伸び差や芯ぶれ量)を求めることができる。特に、ターボ回転機械の危険速度域では、ロータ2に振動(芯ぶれ)が発生しやすいから、常温状態から危険速度域を通過して定格運転状態に至るまでのロータ2のロータ半径方向における相対変位量の経時変化が得られれば、ロータ2の振動対策を検討する上で貴重な情報となる。
【0066】
以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態は、いずれも、先端側にアブレイダブル材22を有する計測棒20を車室4内に挿入し、ターボ回転機械の運転中に、ロータ2に形成された突起10にアブレイダブル材22を接触させて、アブレイダブル材22に突起10による計測用傷26を付け、この計測用傷26のロータ軸方向位置および深さの少なくとも一方に基づいて、車室4内におけるロータ2の挙動を計測するものである。
第1実施形態及び第2実施形態によれば、ターボ回転機械の車室4内に計測棒20を挿入し、計測棒20の先端側に設けられたアブレイダブル材22をロータ2に設けられた突起10に接触させて形成した計測用傷26を利用してロータ挙動を計測するので、車室4内における実際のロータ挙動を直接的に把握することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【0068】
例えば、ロータ2と車室4との伸び差方向(ロータ2の車室4に対する相対的な熱膨張方向)について、第1実施形態では車室4の外部に設けた伸び差計の測定結果から上記伸び差方向を予測する手法を説明し、第2実施形態ではロータ周方向に設けた複数の計測棒20のアブレイダブル材22に順に形成した計測用傷26(26A,26B,26C)のロータ軸方向位置を比較することで上記伸び差方向を求める手法を説明した。
しかし、これらの手法以外にも、突起10の形状の工夫により、ロータ2と車室4との伸び差方向を求めることも可能である。
【0069】
図5は、突起10の形状の工夫によりロータ2と車室4との伸び差方向を求めるロータ挙動計測方法の手順を示す図である。同図に示す計測手順は、突起10の形状と基準傷24及び計測用傷26の形状を除けば、第1実施形態において図3を用いて説明した計測手順と共通するから、ここでは図3に示した計測手順との相違点を中心に説明する。
【0070】
図5(a)に示すように、ロータ2に設けられた突起10は、ロータ2の外周面からの突起長さが互いに異なる一対の突起10A及び10Bからなる。基準傷24の形成工程では、突起長さの大きい突起10Aにのみアブレイダブル材22が接触するように、突起10に向かう計測棒20の移動量を少なくする。一方、計測用傷26の形成工程では、図5(b)に示すように、突起10A及び10Bの両方にアブレイダブル材22が接触するように、突起10に向かう計測棒20の移動量を多くする。最終的には、図5(c)に示すように、突起10Aのみに対応する一つの基準傷24と、突起10A及び10Bの両方に対応する一対の計測用傷26がアブレイダブル材22に形成されるので、基準傷24と計測用傷26とを明確に区別することができる。
これにより、車室4の外部に伸び差計を設けていない場合であっても、単一の計測棒20を用いてロータ2と車室4との伸び差方向を求めることも可能である。
【0071】
なお、計測用傷26の形成工程では、ターボ回転機械が運転中であるためロータ2のロータ半径方向における変位(ロータ半径方向への熱伸びや芯ぶれ)が起こりうるが、ロータ2のロータ半径方向における変位がないと仮定して計測棒20の移動量を調節しておけば、ロータ2のロータ半径方向における変位が起こっても突起10A及び10Bの両方をアブレイダブル材22に確実に接触させることができる。
また、基準傷24に比べて計測傷26を深く形成するように計測棒20の移動量を調節すれば、仮に計測用傷26の形成工程でロータ2のロータ半径方向における変位が起こったとしても、計測傷26は予想を超えて深く形成されるだけであって、基準傷24と計測傷26との傷の深さの大小関係が逆転することはない。よって、基準傷24に比べて計測傷26を確実に深く形成できるので、両者の区別を誤ることを防止できる。
【0072】
また、以下のように、ロータ2に一つの突起10しか設けられていない場合であっても、以下のようにして、突起10に向かう計測棒20の移動量(押し込み量)の調節により、ロータ2と車室4との伸び差方向を求めることも可能である。
【0073】
図6は、突起10に向かう計測棒20の移動量の調節によりロータ2と車室4との伸び差方向を求めるロータ挙動計測方法の手順を示す図である。同図に示す計測手順は、突起10に向かう計測棒20の移動量(押し込み量)を除けば、第1実施形態において図3を用いて説明した計測手順と共通するから、ここでは図3に示した計測手順との相違点を中心に説明する。
【0074】
図6(a)に示す基準傷24の計測工程に比べて、図6(b)に示す計測傷26の計測工程における計測棒20の押し込み量を大きくする。最終的には、図6(c)に示すように、浅い基準傷24と、深い計測傷26とがアブレイダブル材22に形成されるので、基準傷24と計測用傷26とを明確に区別することができる。
これにより、車室4の外部に伸び差計を設けていない場合であっても、単一の計測棒20を用いてロータ2と車室4との伸び差方向を求めることも可能である。
【0075】
なお、計測用傷26の形成工程では、ターボ回転機械が運転中であるためロータ2のロータ半径方向における変位(ロータ半径方向への熱伸びや芯ぶれ)が起こりうるが、ロータ2のロータ半径方向における変位がないと仮定して計測棒20の移動量を調節しておけば、ロータ2のロータ半径方向における変位が起こっても突起10A及び10Bの両方をアブレイダブル材22に確実に接触させることができる。
また、基準傷24に比べて計測傷26を深く形成するように計測棒20の移動量を調節すれば、仮に計測用傷26の形成工程でロータ2のロータ半径方向における変位が起こったとしても、計測傷26は予想を超えて深く形成されるだけであって、基準傷24と計測傷26との傷の深さの大小関係が逆転することはない。よって、基準傷24に比べて計測傷26を確実に深く形成できるので、両者の区別を誤ることを防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1 ロータ挙動計測装置
2 ロータ
4 車室
6 ダミーリング
8 ダミーシール
10 突起
10A 突起
10B 突起
20 計測棒
20A 先端部
20B 本体部
22 アブレイダブル材
24 基準傷
26 計測用傷
30 スリーブ
32 フランジ部
34 締結部材
36A 第1シール部材
36B 第2シール部材
40 移動手段
42 雄ねじ部
44 送り部材
46 ハンドル
50 移動量測定手段
52 測定子
54 ダイヤルゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ回転機械の車室内におけるロータの挙動を計測するためのロータ挙動計測装置であって、
前記車室内の前記ロータの外周面に設けられた突起と、
前記車室を貫通して取り付けられ、前記車室内に挿入される先端側にアブレイダブル材を有する計測棒とを備え、
少なくともロータ挙動の計測時に、前記計測棒のアブレイダブル材が前記ロータの突起に接触するように構成されたことを特徴とするロータ挙動計測装置。
【請求項2】
前記車室に固定され、前記計測棒が挿通されるスリーブと、
前記計測棒と前記スリーブとの間を密封する第1シール部材と、
前記スリーブと前記車室との間を密封する第2シール部材とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項3】
前記車室に先端側が挿入された前記計測棒をその軸方向に進退させて、前記計測棒のアブレイダブル材と前記ロータの突起との距離を調節する移動手段と、
前記移動手段による前記計測棒の移動量を測定する移動量測定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項4】
前記突起及びこれに対応する前記計測棒が、前記ロータの軸方向に沿って複数セット設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項5】
複数の前記計測棒が前記ロータの周方向に沿って設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項6】
前記突起は、ロータ軸方向に略直交する方向に沿って前記ロータの外周面上に設けられ、環状に連続するフィンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項7】
前記計測棒は、前記アブレイダブル材が設けられた先端側が交換可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のロータ挙動計測装置。
【請求項8】
車室と、前記車室内に収納されるロータと、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のロータ挙動計測装置とを備えることを特徴とするターボ回転機械。
【請求項9】
ターボ回転機械の車室内におけるロータの挙動を計測するロータ挙動計測方法であって、
先端側にアブレイダブル材を有する計測棒を車室内に挿入し、前記ターボ回転機械の運転中に、ロータに形成された突起に前記アブレイダブル材を接触させて、該アブレイダブル材に前記突起による計測用傷を付ける計測用傷形成ステップと、
前記計測用傷のロータ軸方向位置および深さの少なくとも一方に基づいて、車室内におけるロータの挙動を計測する挙動計測ステップとを備えることを特徴とするロータ挙動計測方法。
【請求項10】
常温条件下において、前記ロータの前記突起に前記アブレイダブル材を接触させて、該アブレイダブル材に前記突起による基準傷を付ける基準傷形成ステップをさらに備え、
前記挙動計測ステップでは、前記計測用傷と前記基準傷とのロータ軸方向位置の差から、前記車室内におけるロータの車室に対する伸び差を求めることを特徴とする請求項9に記載のロータ挙動計測方法。
【請求項11】
前記挙動計測ステップでは、前記計測用傷の深さから、前記車室内におけるロータの芯振れ量を求めることを特徴とする請求項9又は10に記載のロータ挙動計測方法。
【請求項12】
複数の前記計測棒を前記ロータの周方向に沿って設け、
前記計測用傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械の運転開始から定格運転状態に達するまでの期間において、前記ロータの突起に向けて前記複数の計測棒を順に移動させて、該複数の計測棒のアブレイダブル材にタイミングをずらして前記計測用傷を形成し、
前記挙動計測ステップでは、前記複数の計測棒のアブレイダブル材にタイミングをずらして形成された前記計測用傷を比較して、前記期間におけるロータ挙動の経時変化を求めることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載のロータ挙動計測方法。
【請求項13】
前記ターボ回転機械は蒸気タービンであり、
前記挙動計測ステップの前に、前記車室内の真空状態を破壊し、前記計測棒を前記車室から引き抜く計測棒引抜ステップをさらに備えることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のロータ挙動計測方法。
【請求項14】
前記計測用傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械が回転数3000rpm又は3600rpmの定格運転中において、前記アブレイダブル材に前記計測用傷を付け、
前記基準傷形成ステップでは、前記ターボ回転機械が回転数1〜5rpmの常温状態において、前記アブレイダブル材に前記基準傷を付けることを特徴とする請求項10に記載のロータ挙動計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−87655(P2012−87655A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233995(P2010−233995)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】