説明

ターボ機関に起動手段を接続する方法

【課題】高速起動モードで作動可能に設定されたターボ機関(110、115、120)などのパワープラント機関(110、115、120)を起動する方法(300)。
【解決手段】 起動システム(125、130、135)により起動されるパワープラント機関を起動する方法は、パワープラント機関の高速起動が要求されているか判定(320、365)し、この起動システムが高速起動モード作動の準備を完了しているか判定し、起動システム(125、130、135)の予備接続モードを選択し、起動システム作動シーケンスが完了しているか判定するし、起動システムが予備接続モードになっているか判定するステップ(350、355、360、363)とを含み、この高速起動モードは、パワープラント機関の起動要求を受ける前に、起動システムの作動を準備して、パワープラント機関の起動時間全体を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してパワープラント機関の高速起動運転に関し、より詳細には高速起動モードで作動するパワープラント機関の起動時間を低減するための起動システムを構成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2008年12月10日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/331824号(米国特許公開2009−0145104A1、2009年6月11日公開)に関連する。「高速起動」とは、運転員がパワープラント機関の起動を開始してから一定時間内に排出量規制遵守作動の可能な仕事をすることがパワープラント機関に求められる作動モードと考えることができる。エネルギー要求の変動は、パワープラント機関をいつ作動させるか決定するうえでの主要な要因である。パワープラント機関は、要求が十分に大きくなり作動が必要になるまで、通常はアイドリングしている。要求によって作動が必要になると、パワープラント機関は要求されたエネルギー(電力、機械的トルク、蒸気など)を送り出す前に起動工程を実行する。
【0003】
ピーキングまたは単純サイクルのプラントは、高速起動を行い、その後、長期間にわたってより効率的なエネルギー発生に切り替えられる。さらに、本出願の現在の譲受人であるGeneral Electric Companyは、それだけには限らないが、「Method and Apparatus for Starting Up Combined Cycle Power Systems」と題する米国特許出願公開第27113562(A1)号明細書などに開示されたものなど、複合サイクル(CC)パワープラント(CCPP)の資産を有する。さらに、「Damper」と題する米国特許第04207864号、「Startup Attemperator」と題する米国特許第04208882号、「Apparatus and Method for Controlling Steam Turbine Operating Conditions During Starting and Loading」と題する米国特許第04598551号を有する。また、「Steam Turbine Split Forward Flow」と題する米国特許第05361585号、「Method of Effecting Start−up of a Cold Steam Turbine System in a Combined Cycle Plant」と題する米国特許第05412936号、「System for Controlling Clearance Between Blade Tips and a Surrounding Casing in Rotating Machinery」と題する米国特許第06626635号も有する。本発明の譲受人に譲渡されたこれらの特許および特許出願を参照することによって、本発明の範囲、および高速起動技術をさらに理解することが可能になる。
【0004】
上述したそれぞれの技術は、そのパワープラント構成要素を起動する起動システムを必要とする。負荷転流型インバータ(LCI)は、多くのパワープラントで使用される起動システムの形式である。LCIは、電気的に発電機を電動機に変換するものであり、起動工程の間はその電動機がターボ機関の回転子を回転させるのに必要な機械的トルクを供給する。
【0005】
現在は、運転員が起動シーケンスを開始するまで、LCIは付勢されておらずターボ機関から切断されている。この工程で運転員は、LCIが付勢され、関連する構成要素(スイッチ、ブレーカ、等)が正常位置に移動するまで待つ必要がある。さらに、複数の起動システムと複数のターボ機関を有するパワープラントサイトでは、運転員は所望のターボ機関を起動するために所望のLCIを手動で選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/347,384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、高速起動モードで作動するように設定されたパワープラント機関を起動する、改善された方法が求められている。このシステムは、従来知られているシステムと比べ、より効率的で起動時間を短縮すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、パワープラント機関を高速起動運転モードで起動する方法において、パワープラント機関を起動するように構成された起動システムを用意するステップと、パワープラント機関の高速起動が要求されているか判定するステップと、起動システムが高速起動モードの作動準備を完了しているか判定するステップと、起動システムの予備接続モードを選択するステップと、起動システム作動シーケンスが完了しているか判定するステップと、起動システムが予備接続モードになっているか判定するステップとを含み、高速起動モードは、パワープラント機関の起動要求を受ける前に、起動システムの作動を準備して、パワープラント機関の起動時間全体を短縮する、方法である。
【0009】
本発明の代替実施形態は、パワープラントの少なくとも1つの構成要素で高速起動を実行するための起動システムを使用する方法において、パワープラントを用意するステップであって、パワープラントが複数のターボ機関、およびそれぞれのターボ機関を起動するように構成された起動システムを含む、ステップと、複数の切断スイッチを含む相互接続バスを用意するステップであって、相互接続バスは複数のターボ機関の1つを起動システムと電気的に結合する、ステップと、高速起動が要求されているか判定するステップと、起動システムが高速起動モード運転の準備ができているか判定するステップと、起動システムの予備接続モードを選択するステップと、起動システム作動シーケンスが終了しているか判定するステップであって、起動システム作動シーケンスは起動システムを相互接続バスに電気的に接続する、ステップと、起動システムが予備接続モードに入っているか判定するステップとを含み、高速起動モードは、パワープラント機関の起動要求を受ける前に、起動システムの作動を準備して、パワープラント機関の起動時間全体を短縮する、方法を提供する。
【0010】
本発明の別の代替実施形態は、パワープラントの少なくとも1つの構成要素の高速起動を実行するように構成されたシステムを提供するものであり、本システムは、複数のターボ機関、および複数のターボ機関のそれぞれを起動する起動システムを含むパワープラントと、複数のターボ機関のそれぞれを起動システムに電気的に接続し、複数の切断スイッチを含む相互接続バスと、制御システムとを含み、この制御システムは、高速起動が要求されているか判定するステップと、起動システムが高速起動モード運転の準備ができているか判定するステップと、起動システムの予備接続モードを選択するステップと、起動システム作動シーケンスが終了しているか判定するステップであって、起動システム作動シーケンスは起動システムを相互接続バスに電気的に接続する、ステップと、起動システムが予備接続モードに入っているか判定するステップとを実行するように構成され、高速起動モードは、所望のターボ機関の起動要求を受ける前に、起動システムの作動を準備して、ターボ機関の起動時間全体を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態が作動する環境を示す概略図である。
【図2】ターボ機関を起動させるためにLCIを使用する既知の方法を示すブロック図である。
【図3A】本発明の一実施形態による、ターボ機関を起動する方法を示すブロック図である。
【図3B】本発明の一実施形態による、ターボ機関を起動する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これまで検討したように「高速起動」とは、パワープラント機関の一作動モードと考えてよい。一般にこのモードでは、パワープラント機関は、当該パワープラント機関の起動を開始してから一定時間内に、排出量を遵守しながら仕事をする必要がある。本明細書で使われる「高速起動」(Fast Start)という用語は、本発明の範囲内にあるそのような全てのモードと均等物とを含むことを意図している。
【0013】
本発明は、上述したパワープラント機関に関連する起動時間を短縮する技術的効果を有する。本発明の一実施形態は、それだけには限らないが、高速起動モードで作動するように設定されたターボ機関などのパワープラント機関の起動方法を提供する。ターボ機関は、それだけには限らないが蒸気タービン、高負荷ガスタービン、航空機転用ガスタービンなどを含む。本発明の方法の一実施形態は、ターボ機関に関連する起動システムを制御するための新しい考え方を提供する。本発明の一実施形態は、複数のターボ機関を有するパワープラント、および少なくとも1つのLCIシステムを含む複数の起動手段を有する起動システムに適用可能である。ここに、本発明の一実施形態は、所望のターボ機関と所望の起動手段を準備し結合する、手動工程を削除する。
【0014】
実施形態の詳細例を本明細書に開示する。しかし、本明細書に開示する特定の構造的および機能的な詳細は、実施形態の例を説明することを目的とするための単なる代表例である。しかし、実施形態の例は多くの代替の形態によって実施することが可能であるから、本明細書に示した実施形態のみに限定されると解釈すべきでない。
【0015】
したがって実施形態の例は様々な改変および代替形が可能であるが、それらの実施形態は例示することを目的として図面に示し、本明細書で詳細に説明することとする。しかし、実施形態の例を開示された特定の形に限定する意図はなく、それとは逆に、実施形態の例は、実施形態の例の範囲に含まれる全ての改変物、均等物、および代替物を包括するものであることを理解すべきである。
【0016】
様々な要素を説明するために本明細書で、第1、第2、等の用語が使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語はある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、実施形態の例の範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と名付けることが可能であり、同様に第2の要素は第1の要素と名付けることが可能である。本明細書で使用されるとき、「および/または」(「and/or」)という用語は、列挙された関連項目のうちの1つまたは複数の項目の任意の全ての組合せを含む。
【0017】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、実施形態の例を限定することを意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形「1つの」(「a」、「an」、および「the」)は、文脈でそうでないと明確に指示しない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、本明細書で「備える」(「comprise」)、「備えている」(「comprising」)、「含む」(「include」)、および/または「含んでいる」(「including」)という用語が使用される場合、述べられた特性、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を示すが、1つまたは複数の他の特性、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことを理解されたい。
【0018】
いくつかの代替実施形態において、述べられた機能/行為が、図に述べられた順序と違って行われてよいことにも留意されたい。例えば、2つの引き続く図を、内包する機能/作動に従って、実質的に同時に実行し、または時には逆の順序で実行することが可能である。本発明の実施形態は、複数のパワープラント機関を備えるパワープラントと、複数の起動機関を備える起動システムとを参照して記述されるが、本発明の適用は、この形式のパワープラント構成に限定されない。本発明の実施形態は、単一のパワープラント機関と単一の起動手段を備えるシステムに適用可能である。本発明の実施形態は、複数のパワープラント機関と単一の起動手段を備えるシステムに適用可能である。本発明の実施形態は、単一のパワープラント機関と複数の起動手段を備えるシステムに適用可能である。
【0019】
ここで図を参照すると、いくつかの図を通して様々な参照番号が同様の部品を表す。図1は、本発明の一実施形態が作動する環境を示す概略図である。図1は、複数のターボ機関110、115、120を含むパワープラントサイト100を示す。それぞれのターボ機関110、115、120は、起動手段125、130、135を備える起動システムと電気的に結合される。検討したように、起動手段の少なくとも1つはLCIシステムなどであってよい。
【0020】
パワープラントサイト100の運転員は、作動開始前にターボ機関110、115、120のうちの1つと、起動手段125、130、135のうちの1つを選択する。次に運転員は、指定したターボ機関110、115、120を、指定した起動手段125、130、135と、相互接続バス140を介して電気的に接続する。ここで、それだけには限らないが、ターボ機関切断スイッチ145、155、165のうちの1つ、起動手段切断スイッチ150、160、170のうちの1つ、およびタイスイッチ180、190のうちの1つなど、様々なスイッチギア(そのうちの一部は図示されていない)が接続される。タイスイッチ180、190は、複数のターボ機関110、115、120と、起動手段125、130、135とを同時に作動させることを可能にする。この接続工程によって、起動運転中に、指定された起動手段125、130、135が指定されたターボ機関110、115、120を作動できるようにする。知られているように、この工程は主に手動であり、時間のかかる工程である。
【0021】
本発明は、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として、実現されることが理解されよう。したがって、本発明は全体としてハードウェアの実施形態、全体としてソフトウェアの実施形態(ファームウェア、駐在ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの特性を混合した実施形態の形を取ってよく、本明細書では全て全体として、「回路」、「モジュール」、または「システム」と称される。さらに本発明は、コンピュータで使用可能な記憶媒体上で、その媒体に実装されたコンピュータで使用可能なプログラムコードを有する、コンピュータプログラム製品の形を取る。本明細書に使用される用語、「ソフトウェア」と「ファームウェア」は置き換え可能であり、プロセッサで実行するために、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、メモリ内に記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリの形式は例示のためのみであり、したがってコンピュータプログラムを記憶するために使用可能なメモリの形式を限定するものではない。
【0022】
コンピュータで読取り可能な任意の適切な媒体が使用する。コンピュータで使用可能な媒体または読取り可能な媒体は、それだけには限らないが、例えば電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒体であってよい。より具体的なコンピュータで読取り可能な媒体の例(非網羅的なリスト)には次のものが含まれよう。すなわち1つまたは複数の配線を有する電気的接続、携帯用コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去およびプログラム可能読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯用コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶デバイス、例えばインターネットもしくはイントラネットをサポートする伝送媒体、または磁気的記憶デバイスである。プログラムは、例えば紙または他の媒体を光学的スキャンすることにより、電子的に取り込み可能であれば、次にコンパイルされ、解釈され、または必要であれば別途適切な方法で処理され、そして次にコンピュータメモリに記憶されるので、コンピュータで使用可能なまたはコンピュータで読取り可能な媒体としては、プログラムが印刷された紙またはその他の適切な媒体であってもよいことに留意されたい。本文書の文脈において、コンピュータで使用可能な媒体またはコンピュータで読取り可能な媒体は、命令を実行するシステム、装置もしくはデバイスによって使用され、またはこれらと関連する、プログラムを格納、記憶、通信、伝搬または伝送できる任意の媒体であってよい。
【0023】
本明細書で使用されるプロセッサという用語は、中央演算処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書で説明する機能を実行可能な他の任意の回路またはプロセッサを意味する。
【0024】
本発明による動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(商標)7、Smalltalk、またはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語で書かれてよい。しかし本発明による動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、「C」プログラミング言語、またはそれと同様の言語などの、従来の手続き型プログラミング言語で書かれてもよい。プログラムコードは、全体がユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして一部がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上でおよび一部がリモートコンピュータ上で、または全体がリモートコンピュータ上で、実行されてよい。後者のシナリオにおいて、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を介してユーザのコンピュータに接続可能であり、あるいは外部のコンピュータに接続することも(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用しインターネットを通して)可能である。
【0025】
本発明を、フローチャートによる例示、および/または方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のブロック図を参照し、本発明の実施形態に従って以下に説明する。フローチャートの例示および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャートの例示および/またはブロック図の中のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実行されることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータのプロセッサまたはその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックの中で規定された機能/行為を実現するための手段を生成するように、共通目的コンピュータ、専用目的コンピュータ、またはマシーンを作製するその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに供給される。
【0026】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータで読取り可能なメモリに格納されてもよく、コンピュータで読取り可能なメモリに格納された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つのまたは複数のブロックの中に規定された機能/行為を実行する命令手段を含むメーカの製品を作製するような特定の方法で機能するように、コンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置に命令する。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能データ処理装置にロードされてもよく、一連の動作ステップがコンピュータまたはその他のプログラム可能装置で実行されるようにして、コンピュータまたはその他のプログラム可能装置の上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックの中で規定された機能/行為を実行するステップを生成するように、コンピュータで実行される処理を行うようにする。
【0027】
再び図を参照すると、図2は指定したターボ機関を起動するために複数のLCIを備えた起動システムを使用する既知の方法200を示すブロック図である。ステップ205で、ターボ機関は、それだけには限らないが、ギアを回転し続けている状態(on turning gear)などの起動を必要とする動作状態にある。ここでターボ機関の運転員は出力要求を待ってよい。
【0028】
ステップ210で、方法200はターボ機関を作動するか決定する。ここでエネルギー要求を受け取る。運転員がターボ機関を起動することを望むならば、方法200はステップ215に進み、そうでない場合、方法200はステップ205に戻る。
【0029】
ステップ215で、方法200は起動手段が作動準備完了であるか判定する。ここで、それだけには限らないが例えば運転員が、発電機およびLCIが作動準備完了であるか判定する。起動手段が作動準備完了であれば、方法200は次にステップ225に進む。そうでない場合、方法200はステップ220に進む。
【0030】
ステップ220で、方法200は起動手段に関する問題点を運転員に通知する。この通知は、警報、通知、もしくはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。このステップの後、方法200はステップ205に戻る。
【0031】
ステップ225で、方法200はターボ機関が作動準備完了か判定する。ここで、方法200は、それだけには限らないが「起動準備完了」の指示などの信号を待っていることがある。ターボ機関が作動準備完了しているならば、方法200はステップ235に進む。そうでない場合、方法200はステップ230に進む。
【0032】
ステップ230で、方法200はターボ機関に関する問題点を運転員に通知する。この通知は、警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。このステップの後、方法200はステップ205に戻る。
【0033】
ステップ235で、方法200はターボ機関の起動を開始する。ここで運転員は、ターボ機関の作動を制御する制御システムに統合されたGUIから「起動」を選択する。
【0034】
ステップ240で、方法200は運転員が指定されたLCIをターボ機関と接続したか判定する。図1に関連して検討したように、この工程は手動工程であることがあり、その場合運転員は起動手段、ターボ機関、および接続バス(など)を構成しなければならない。LCIとターボ機関が接続されると、次に方法200はステップ250に進む、そうでない場合、方法200はステップ245に進む。
【0035】
ステップ245で、方法200は、ターボ機関が指定されたLCIとの1つまたは複数の構成上の問題のために起動できないことを運転員に通知する。この通知は、警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。このステップの後、方法200はステップ205に戻る。
【0036】
ステップ250で、ターボ機関は通常起動シーケンスを開始する。ここでLCIは、このシステムの起動を実行するために必要とされるトルクを、ターボ機関の1つまたは複数の回転子に加える。
【0037】
図3A、3B、およびこれらを一括して図3は、本発明の一実施形態に基づいてターボ機関を起動する方法300を示すブロック図である。図3は事実上、複数のLCIを備えた起動システムを使用して指定されたターボ機関を起動する方法300を示すブロック図である。しかしこれまで検討したように、本発明の実施形態は種々のパワープラント機関と起動システムを含むパワープラントシステム(など)に適用可能である。
【0038】
ステップ305で、ターボ機関は、それだけには限らないがオンターニングギアなどの起動を必要とする動作状態にある。ここで、ターボ機関の運転員はエネルギー要求を待ってよい。
【0039】
これまで検討したように、本発明の実施形態は、所望のターボ機関を所望の起動手段と結合する、ステップを低減し、または手動ステップを除去する。本発明の実施形態は、起動手段が必要とする初期化時間を低減する。
【0040】
ステップ310で、方法300は作動用のターボ機関とLCIが選択されているか判定する。例えば、それだけには限らないが図1と類似の構成を有するパワープラントにおいて、方法300は、作動する特定のターボ機関と特定の起動手段を、運転員が選択しているか判定する。ここで本発明の一実施形態は、運転員が、どのターボ機関と起動手段を作動することにするかを選択できるGUIを提供する。特定のターボ機関と起動手段が選択されていれば、方法300はステップ320に進む。そうでない場合、方法300はステップ315に進む。
【0041】
ステップ315で、方法300はターボ機関と起動手段を選択する必要があることを運転員に通知する。ここで、この通知は警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。このステップの後、方法300はステップ310に戻る。
【0042】
ステップ320で、方法300はLCIを高速起動待機モードに構成すべきか決定する。この構成モードは、ターボ機関の起動を開始する前に、実質的にLCIをターボ機関に予備接続するものであり、図2で説明した既知の工程とは異なる。運転員がLCIを高速起動待機モードに入れることを望むならば、方法300はステップ325に進む。そうでない場合、方法300はステップ305に戻るか、または運転員は図2で説明したのと同様の方法でLCIを使用してよい。
【0043】
ステップ325で、方法300は、それだけには限らないがLCIなどの起動手段が作動準備完了であるか判定する。ここで、例えば、それだけには限らないがLCIを検査して作動準備状態を判定する。起動手段が作動準備完了であるならば、方法300は330に進む。そうでない場合、方法300はステップ345に進む。
【0044】
ステップ330で、起動手段の予備接続モードが選択される。本発明の一実施形態において、方法300はこのモードを自動的に選択する。本発明の代替の一実施形態において、方法300は運転員にこのモードを選択することを促す。この代替の実施形態は、予見可能な将来にエネルギー要求が生じる場合に有効である。
【0045】
ステップ335で、方法300は起動手段が接続シーケンスを完了したか判定する。このシーケンスは、スイッチ、サーキットブレーカなどの切断していた関連装置を稼動状態および/または閉にすることによって、LCIを付勢する工程と考えることができる。これによってLCIは発電機を連結し同期することができる。接続シーケンスが完了すると、方法300はステップ350に進む。そうでない場合、方法300はステップ340に進む。
【0046】
ステップ340で方法300は、ステップ335の接続シーケンスを完了するのを阻害する接続問題を運転員に通知する。ここで、この通知は警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。このステップの後、方法300はステップ345に進む。
【0047】
ステップ345で方法300は、それだけには限らないが、LCIなどの起動手段に対して、高速起動構成モードを実行不可なことがある。図3に示すように、本発明の一実施形態において、ステップ325、335、および355は、方法300を通して行われるシステム検査を表示する。これらの検査は一般に、起動手段が高速起動構成モードで作動するように構成されているか、および/または作動準備完了されているか、を検証するのに役立つ。本発明の一実施形態において方法300は、高速起動構成モードが実行不可となっていることを運転員に通知する。ここで、この通知は警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。本発明の別の代替実施形態ではステップ345の後、方法300はステップ305に戻る。
【0048】
ステップ350で、起動手段は予備接続モードに入っていると考えられる。この状態はLCIが付勢されたモードであると考えられる。ここで、LCIは、ターボ機関への接続およびターボ機関起動の準備を完了している。
【0049】
ステップ355で、方法300は、起動手段が予備接続モードに入ってから、少なくとも1つの故障が生じたか判定する。ここで方法300は、故障が生じたか継続して判定する。故障が生じなかった場合は、方法300はステップ365に進む。そうでない場合、方法300はステップ360に進む。
【0050】
ステップ360で、方法300は運転員に故障を通知する。ここで、この通知は警報、通知、もしくはGUI上の1つまたは複数の画像の形式、またはそれだけには限らないが電子的、物理的、音響的、もしくはこれらの組合せなど他の形式のメッセージであってよい。その後、方法300は、前に説明したステップ345に進む。
【0051】
方法300のステップ363で、ターボ機関は高速起動待機モードに入っていてよい。ここで方法300は運転員にこの現在のモードを通知する。
【0052】
ステップ365で方法300は、運転員がターボ機関の高速起動を望むか、決定する。本発明の一実施形態において、運転員は高速起動のアイコンなどをGUIから選択する。高速起動が選択されると、方法300はステップ375に進む。そうでない場合、方法300はステップ370に進む。
【0053】
ステップ375で、方法300はターボ機関の高速起動を開始する。ここで起動手段は図1に関して説明したように、ターボ機関への電気的接続とソフトウェア許可が、切断スイッチ、サーキットブレーカ、ブール論理通信などを通して確立された後、短時間で迅速に起動工程を開始する。
【0054】
ステップ370で方法300は、運転員がターボ機関の通常起動を望むか決定する。本発明の一実施形態において、運転員は通常起動のアイコンなどをGUIから選択する。通常起動が選択されると方法300はステップ380に進む。そうでない場合、方法300は、ターボ機関起動の要求があるまでステップ350に進む。
【0055】
ステップ380で、ターボ機関の通常起動を開始する。ここで起動手段は、図1に関して説明したように、切断スイッチ、サーキットブレーカ、ブール論理通信などを通して、ターボ機関への電気的接続とソフトウェア許可が確立された後、短時間で起動工程を開始する。
【0056】
検討したように、本発明の実施形態は、ターボ機関を接続し、付勢し、および起動するために必要な時間を著しく短縮する。さらに本発明の実施形態によって、複数のターボ機関および起動手段を有するパワープラントサイトにおいて、それらを選択する工程を部分的に自動化する。
【0057】
当業者は、いくつかの例示的実施形態に関して上記で説明した態様および構成についての多数の変更をさらに選択的に適用して、本発明の他の可能な実施形態を形成することを理解するであろう。本発明のあらゆる可能な繰返しを詳細に示すこと、または検討することはしなかったが当業者はさらに、添付のまたは他のいくつかの特許請求の範囲に包含される全ての組合せおよび可能な実施形態は、本応用例の一部であるとみなされることを理解するであろう。さらに当業者は、上述した本発明のいくつかの例示的実施形態の説明から、その改良、変更、および改変することに気付くであろう。当分野の技術におけるそのような改良、変更、および改変もやはり、添付する特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、上述した事項は本願で説明された実施形態のみに関するものであり、本明細書に添付する特許請求の範囲およびその均等物で規定される、本願の趣旨や範囲から逸脱することなく、多数の変更と改変をすることが可能であることは明らかであると考えるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100 サイト
110 ターボ機関1
115 ターボ機関2
120 ターボ機関3
125 起動手段1
130 起動手段2
135 起動手段3
140 相互接続バス
145 ターボ機関切断スイッチ1
150 起動手段切断スイッチ1
155 ターボ機関切断スイッチ2
160 起動手段切断スイッチ2
165 ターボ機関切断スイッチ3
170 起動手段切断スイッチ3
180 タイスイッチ
190 タイスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワープラント機関を高速起動運転モードで起動する方法(300)において、
パワープラント機関(110、115、120)を起動するように構成された起動システム(125、130、135)を用意するステップと、
前記パワープラント機関(110、115、120)の高速起動が要求されているか判定するステップ(320、365)と、
前記起動システム(125、130、135)が高速起動モード作動の準備を完了しているか判定するステップ(325)と、
前記起動システム(125、130、135)の予備接続モードを選択するステップ(335、350)と、
起動システム作動シーケンスが完了しているか判定するステップ(335)と、
前記起動システム(125、130、135)が前記予備接続モードになっているか判定するステップ(350、355、360、363)とを含み、
前記高速起動モードは、前記パワープラント機関(110、115、120)の起動要求を受ける前に、前記起動システム(125、130、135)の作動を準備して、前記パワープラント機関(110、115、120)の起動時間全体を短縮することを特徴とする起動方法(300)。
【請求項2】
前記パワープラント機関(110、115、120)は少なくとも1つのターボ機関(110、115、120)を含むことを特徴とする請求項1記載の方法(300)。
【請求項3】
前記起動システムは複数の起動構成要素(125、130、135)を含み、前記複数の起動構成要素の少なくとも1つは負荷転流型インバータ(LCI)を含むことを特徴とする請求項1記載の方法(300)。
【請求項4】
前記起動システムの作動シーケンスが完了していない場合は、前記高速起動モードを実行不可とするステップ(325、345)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法(300)。
【請求項5】
前記起動システムが前記予備接続モードに入る前記ステップの後で、少なくとも1つの故障が発生したか判定するステップ(355、360)をさらに含むことを特徴とする請求項4記載の方法(300)。
【請求項6】
少なくとも1つの故障が発生した場合には前記高速起動モードを実行不可とするステップ(360、345)をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の方法(300)。
【請求項7】
前記パワープラント機関(110、115、120)は複数のターボ機関(110、115、120)を含むことを特徴とする請求項3記載の方法(300)。
【請求項8】
高速起動運転のために、所望の起動構成要素(125、130、135)と、前記複数のターボ機関(110、115、120)のうちの所望のターボ機関(110、115、120)とを、選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7記載の方法(300)。
【請求項9】
前記所望のターボ機関の高速起動運転を選択するステップ(365)をさらに含むことを特徴とする請求項8記載の方法(300)。
【請求項10】
パワープラントの少なくとも1つの構成要素で高速起動を実行するための起動システムを使用する方法(300)において、
パワープラントを用意するステップであって、前記パワープラントが複数のターボ機関(110、115、120)、およびそれぞれの前記ターボ機関(110、115、120)を起動するように構成された起動システム(125、130、135)を含む、ステップと、
複数の切断スイッチ(145、150、155、160、165、170)を含む相互接続バス(140)を用意するステップであって、前記相互接続バス(140)は前記複数のターボ機関(110、115、120)の1つを前記起動システム(125、130、135)と電気的に結合する、ステップと、
高速起動が要求されているか判定するステップ(365)と、
前記起動システムが高速起動モード運転の準備ができているか判定するステップ(320)と、
前記起動システムの予備接続モードを選択するステップ(330)と、
起動システム作動シーケンスが終了しているか判定するステップ(335)であって、前記起動システム作動シーケンスは前記起動システム(125、130、135)を前記相互接続バス(140)に電気的に接続する、ステップと、
前記起動システム(125、130、135)が前記予備接続モードに入っているか判定するステップ(350)とを含み、
前記高速起動モードは、前記パワープラント機関(110、115、120)の起動要求を受ける前に、前記起動システム(125、130、135)の作動を準備して、前記パワープラント機関(110、115、120)の起動時間全体を短縮する、方法(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−132956(P2011−132956A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281200(P2010−281200)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】