説明

ダイヤモンド含有複合材料からなる摩耗部材

本発明は、ダイヤモンド含有複合材料からなる摩耗部材、およびこの摩耗部材を製造するための方法に関する。摩耗部材は、40〜90容積%のダイヤモンド結晶粒と、0.001〜12容積%の、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Sc、Yおよびランタノイド元素からなる群から選ばれる1種または複数の元素から形成された炭化物相と、7〜49容積%の、1400℃未満の液相線温度を有する金属合金または金属間化合物合金とを含み、ここで前記金属合金または金属間化合物合金が溶解した形態または析出した形態の1種または複数の炭化物形成性元素を含み且つ室温において250HVより高い硬度を有するものである、ダイヤモンド含有複合材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド含有複合材料からなる摩耗部材、およびこの摩耗部材を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「摩耗部材」という用語は、高い摩耗応力に曝される構成要素を意味する。応力に応じて、広い範囲の材料、たとえば焼入鋼、高速度工具鋼、ステライト、超硬合金および超硬材料などが使用される。耐摩耗性に対する要求がますます大きくなってきていることから、ダイヤモンド含有複合材料または材料複合物に対する関心が高まっている。
【0003】
そのため、米国特許第4,124,401号明細書には、多結晶ダイヤモンド材料の記載があり、その中では、個々のダイヤモンド結晶粒が、炭化ケイ素および金属炭化物または金属ケイ化物によってつなぎ合わされている。米国特許第4,124,401号明細書による材料は、硬度が極めて高いが、機械加工して成形物とするには、非常に複雑な方法によらなければならない。
【0004】
欧州特許第0,116,403号明細書には、80〜90容積%のダイヤモンドと、10〜20容積%のNi含有またはSi含有相とからなり、ここでNiはNiまたはケイ化Niとして存在し、SiはSi、SiCまたはケイ化Niとして存在している、ダイヤモンド含有複合材料が開示されている。ダイヤモンド結晶粒の間には、それ以上の相成分は存在していない。個々のダイヤモンド結晶粒の間で充分な結合を得るためには、1,400℃を超える焼結温度が必要となる。常圧条件下ではそのような温度ではダイヤモンドがもはや安定ではないので、したがって、圧力/温度曲線からは、ダイヤモンドの分解を避けるためには、高圧が必要である。この目的を達するために必要なプラントは、高価なものとなる。さらに、このようにして製造されたダイヤモンド複合材料は、破壊靱性が極めて低く、そして機械加工性にも劣る。
【0005】
ダイヤモンド/炭化ケイ素複合材料を製造するための方法は、国際公開第99/12866号パンフレットに記載されている。その製造においては、ケイ素またはケイ素合金を用いてダイヤモンド骨格への溶浸を起こさせる。ケイ素の融点が高く、そのために高い溶浸温度となるので、ダイヤモンドがかなりの程度でグラファイト、あるいはさらに炭化ケイ素に転化される。極めて脆いために、この材料の機械的な加工は非常に重大な問題を引き起こし、複雑なものとなる。
【0006】
米国特許第4,902,652号明細書には、焼結されたダイヤモンド材料を製造するための方法が記載されている。この場合、第4a族、第5a族および第6a族の遷移金属からなる群から選ばれる元素、ホウ素およびケイ素を、物理的コーティング法の手段を用いて、ダイヤモンド粉末の上に析出させる。次いで、そのコーティングされたダイヤモンド結晶粒を、固相焼結プロセスの手段により互いに結合させる。得られる製品が、高い空孔度、低い破壊靱性および貧弱な加工性を有する、という欠点がある。
【0007】
米国特許第5,045,972号明細書には複合材料の記載があり、そこでは、1〜50μmの大きさを有するダイヤモンド結晶粒に加えて、アルミニウム、マグネシウム、銅、銀またはそれらの合金からなる金属マトリックスが存在している。この場合、その金属マトリックスのダイヤモンド結晶粒への結合性が極めて不十分であって、そのために、結果として、機械的な一体性が充分な程度には得られないという欠点がある。さらに、米国特許第5,008,737号明細書から得られる情報のようにして、たとえば3μm未満の結晶粒度を有する、より細かいダイヤモンド粉末を使用しても、ダイヤモンド/金属の結合には改良がみられない。
【0008】
米国特許第5,783,316号明細書に記載の方法においては、W、Zr、Re、Crまたはチタンを用いてダイヤモンド結晶粒をコーティングし、次いでそのコーティングされた結晶粒を圧密化し、得られる多孔質の物体を、たとえばCu、AgまたはCu/Ag融解物を用いて、溶浸する。そのコーティングコストが高く、そして耐摩耗性が不十分なために、この方法で製造した複合材料の使用分野には限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、ダイヤモンド含有複合材料からなり、高い耐摩耗性を有し、充分な成形加工性を有しているので比較的低コストで製造することが可能な摩耗部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の摩耗部材によって達成される。ダイヤモンド部分、炭化物相および超硬の金属合金または金属間化合物合金が存在するので、本発明による摩耗部材は、優れた耐摩耗性を有している。「金属合金」という用語は、金属構造成分に加えて、さらに金属間化合物、半金属またはセラミック構造成分が含まれていてもよい、単一相または多相材料を意味する。「金属間化合物合金」という用語は、主として金属間化合物相からなる材料を意味する。
【0011】
延性のある、金属相または金属間化合物相成分が存在するので、ダイヤモンド含有複合材料の破壊靱性と、これに基づく技術的な性質たとえば機械的加工性との両方を、充分な程度で得ることができる。ダイヤモンド結晶粒と金属/金属間化合物合金との間の結合強度が高いと、それらの間に形成される炭化物相により破壊靱性が向上するという効果が得られる。好適な炭化物形成性元素は、周期律表の第IIIb、IVb、VbおよびVIb族の遷移元素、ランタノイド元素、BおよびSiである。放射性元素および極端に高価な元素を除外すると、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Sc、Yおよびランタノイド元素などが残る。上述の元素の二つまたはそれ以上からなる複合炭化物もまた、ダイヤモンド結晶粒と金属/金属間化合物合金との間における良好な結合をもたらす。この場合、その炭化物相は、炭化物形成性元素とダイヤモンドとの反応により生じているのが好ましい。良好な結合を得るためには、その炭化物相の厚みがナノメートルの領域であるか、あるいは被覆率が60パーセントを超えていれば充分である。この文脈における「被覆率(degree of covering)」という用語は、炭化物相によって覆われたダイヤモンド結晶粒表面の割合を意味する。それらの前提に立てば、これは、0.001%を超える炭化物相の容積含量に相当する。12容積%という上限を超えると、その破壊靱性が極限値以下となり、コスト的に効果のある機械加工性がもはや得られなくなる。
【0012】
1種または複数の炭化物形成性元素もまた、金属/金属間化合物合金の中に溶解されているか、または分離した形で存在していて、単独または他の合金元素と共に、金属/金属間化合物合金を強固にする。ダイヤモンド含有複合材料における耐摩耗性を充分なものにするためには、室温における金属/金属間化合物合金の最小硬度は、250HVより大、好ましくは400HVより大に設定しなければならない。炭化物形成性元素の選択は、金属/金属間化合物合金のマトリックス金属、製造プロセス、およびその摩耗部材の形状寸法に依存する。強い炭化物を形成するもの、たとえばTi、Zr、Hf、Cr、Mo、VおよびWは、溶浸プロセスの際に表面近くに厚い炭化物層を形成し、その結果、炭化物形成性元素の欠損層が局所的に生じたり、その溶浸プロセスが妨害されたりする。したがって、それらの元素はより小型の摩耗部材を製造するのに適している。より大型の摩耗部材は、炭化物形成性元素としてSi、B、YおよびLaを使用して製造するのが好都合である。これらの元素は、比較的弱い炭化物を形成するものである。したがって、形成される炭化物層は比較的に薄いものとなる。Siを用いた試験から明らかになったことであるが、ダイヤモンド結晶粒の表面上でのSi/C富化は、それが数原子層の厚みであってさえも、金属合金のダイヤモンド結晶粒へのしっかりした結合を与えるには充分である。
【0013】
金属合金に適したマトリックス金属は、Al、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、PbおよびSnであるが、これらの内、最初の六つの元素が特に適している。炭化物形成性元素および任意成分としての他の合金元素を、金属合金の中に溶解させるか、またはたとえば析出物または金属間化合物の相成分の形態でそれに組み入れる。この場合、その合金組成物は、その液相線温度が1,400℃未満、そしてその固相線温度が好ましくは1,200℃未満となるように選択される。このことによって、相応の低い加工温度、たとえば溶浸温度または熱間圧縮温度を有するようにすることが可能となる。それによって、グラファイト/ダイヤモンドの圧力/温度相曲線に従って、1キロバール未満、好ましくは50バール未満の比較的低いガス圧の下で加工を実施することが可能となる。従来からの多結晶ダイヤモンド(PCD)に比較して、このことは、製造コストを大幅に低下させることを意味する。
【0014】
室温硬度が250HVを超える、好ましくは400HVを超えるようにするためには、慣用される強度増強メカニズム、特に固溶体や析出硬化を採用してもよい。この文脈において特に適しているものとしては、たとえばAl−Mg−Si−Cu、Al−Cu−Ti、Al−Si−CuおよびAl−Si−Mgなどの析出硬化Al合金、過共晶Al−Si合金、熱処理可能なCu合金、および、これに、Siと、さらにCrおよび/またはZrを添加した好適な合金、過共晶Ag−Si合金ならびにFe、CoおよびNi合金などが挙げられるが、それらの液相線温度または固相線温度は、Siおよび/またはBを添加することによって、請求項1に規定された数値にまで低下される。
【0015】
ダイヤモンド含量が40容積%であっても、優れた耐摩耗性を得ることができる。ダイヤモンド含量90容積%という上限は、コスト的に可能な製造という障壁からくるものである。さらに、ダイヤモンド含量が高くなった場合には、そのダイヤモンド複合材料の充分な破壊靱性がもはや確保できなくなる可能性がある。ダイヤモンド、炭化物、および金属相の含量を変化させることにより、耐摩耗性、機械加工性およびコストの面での要求を最も幅広く満足させる特注の摩耗部材を製造することが可能となる。
【0016】
さらに他の構造成分も、その含量が5容積%を超えない限り、これらの特性を損なうことはなく、使用することができる。その上、そのような構造成分、たとえば少割合の非晶質炭素を完全に除去するには、多くの場合、製造過程において比較的高いコストを費やすことが必要である。
【0017】
炭化物相および金属/金属間化合物合金の特に好適な含量は、それぞれ、約0.1〜10容積%および約10〜30容積%である。試験の結果からは、ダイヤモンド粉末は広い結晶粒サイズ範囲で加工することが可能であることが判った。天然ダイヤモンドに加えて、よりコスト的に有利な合成ダイヤモンドを加工することも可能である。一般的に入手可能なコーティングしたダイヤモンドのタイプを用いても、良好な加工結果が得られている。その結果として、それぞれのケースにおいて最もコスト的に有利なタイプを採用することができる。20〜200μmの結晶粒度を有するダイヤモンド粉末を使用すれば、特に好都合な耐摩耗性を得ることができる。
【0018】
第一の分布の最大値が7〜60μmであり、第二の分布の最大値が80〜260μmであるような、バイモーダルな結晶粒度分布を有するダイヤモンド粉末を使用することによって、高いダイヤモンド充填密度、従って高い容積含量を達成することが可能となる。
【0019】
摩耗部材は、極めて多様な使用可能分野を有していることが判っている。ウォータージェットノズル、ドリルビットインサート、のこぎり刃、ドリルチップの場合には、初期に優れた結果が得られることが可能となった。本発明による材料は、特にCu、AlまたはAgをベースとする金属相を使用した場合、その熱伝導率が優れているために、その摩耗応力が熱の発生を伴っているような用途においても特に好適である。航空機、鉄道車両、自動車およびオートバイなどのためのブレーキディスクなどが挙げられるが、これらは単にいくつかの例として挙げたものである。
【0020】
製造のためには、極めて多様な方法を用いることができる。したがって、炭化物形成性元素を用いてコーティングしたダイヤモンド粉末を、加熱加圧下で金属粉末と共に圧縮することができる。これは、たとえば加熱プレス法または熱間等方加熱プレス法で起こさせるのがよい。溶浸法が特に有利であることが判明した。この場合には、前駆体または中間材料を製造するが、それらにはダイヤモンド粉末に加えてバインダーがさらに含まれていてもよい。この場合において特に有利なのは、温度の作用を受けて高度に熱分解するバインダーである。好適なバインダー含量は約1〜20重量%である。ダイヤモンド粉末とバインダーとは、慣用されるミキサーまたはミルの中で混ぜ合わせる。その後で成形を実施するが、それは、型の中に注入するか、または圧力を用いて、たとえば加圧によるかもしくは金属粉末射出成形することによって、実施してもよい。次いで、その中間材料を、そのバインダーが少なくとも部分的に熱分解するような温度に加熱する。しかしながら、バインダーの熱分解は、溶浸プロセスの際の加熱の間に起こさせてもよい。その溶浸プロセスは、圧力をかけずに実施しても、あるいは圧力を用いて実施してもよい。後者は、焼結HIPプラント内で、またはスクイズキャスティングの手段を用いて実施してもよい。組成を選択するためには、それぞれの溶浸合金(多孔質体の中に溶浸する合金)の液相線温度が1,400℃以下、より有利には1,200℃以下であるという事実を考慮にいれておく必要があるが、その理由は、そうしないと分解するダイヤモンドの割合が高くなりすぎるからである。溶浸のためには共晶組成を有する溶浸物が、特に好適である。
【0021】
製造例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0022】
実施例1
90μmの平均結晶粒度を有する合成ダイヤモンド粉末を、マトリックス加圧法(matrix pressing)の手段により200MPaの圧力で加圧して、35mm×35mm×5mmの寸法を有する板とした。その板の細孔分率は約20容積%であった。
【0023】
次いでその板を、先行するプロセスにおいてすでに融解させ、その液相線温度および固相線温度を熱分析の手段により測定済の、溶浸合金を用いて被覆した。その溶浸合金の組成を表1に示す。その多孔質ダイヤモンド体と溶浸合金をまず、真空下において、焼結HIPプラントにおいて、それぞれの溶浸合金の液相線温度よりも70℃高い温度に加熱した。10分の保持時間が経過してから、40バールのアルゴンガス圧をかけた。さらに5分間保持してから、加熱を停止し、大量のアルゴンガスを流し続けることにより試料を室温にまで冷却してから、それぞれの非変動温度の200℃で1時間さらなる加熱処理にかけた。検討した条件変化のすべてにおいて、ダイヤモンド結晶粒を包み込む炭化物相の生成が起きた。
【0024】
本発明によるダイヤモンド複合材料を、サンドブラスト試験にかけて、2重量%のCo含量を有する超硬合金と比較した。対照の超硬金属と比較した侵食比を表1に示す。
【0025】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
40〜90容積%のダイヤモンド結晶粒と、0.001〜12容積%の、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Sc、Yおよびランタノイド元素からなる群から選ばれる1種または複数の元素から形成された炭化物相と、7〜49容積%の、1400℃未満の液相線温度を有する金属合金または金属間化合物合金とを含み、ここで前記金属合金または金属間化合物合金が溶解した形態または析出した形態の1種または複数の炭化物形成性元素を含み且つ室温において250HVより高い硬度を有するものである、ダイヤモンド含有複合材料からなる摩耗部材。
【請求項2】
ダイヤモンド結晶粒の表面が炭化物相によって少なくとも60%包み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の摩耗部材。
【請求項3】
金属合金または金属間化合物合金が1,200℃未満の固相線温度を有することを特徴とする請求項1または2に記載の摩耗部材。
【請求項4】
炭化物相に対する金属合金または金属間化合物合金の容積比が4よりも大であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項5】
炭化物相がSiにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項6】
炭化物相がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群から選ばれる1種または複数の元素により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項7】
炭化物相が、少なくとも部分的に、ダイヤモンド炭素との反応により形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項8】
金属合金または金属間化合物合金がFe、Co、Ni、Cu、Ag、ZnおよびAlからなる群から選ばれる元素を、50重量%を超えて、含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項9】
金属合金がSiおよび/またはTiを含む熱処理可能なAl合金であることを特徴とする請求項8に記載の摩耗部材。
【請求項10】
金属合金が過共晶Al−Si合金であることを特徴とする請求項8に記載の摩耗部材。
【請求項11】
金属合金がZr、Crおよび/またはSiを含む熱処理可能なCu合金であることを特徴とする請求項8に記載の摩耗部材。
【請求項12】
金属合金または金属間化合物合金が400HVを超える硬度を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項13】
金属合金または金属間化合物合金が1,200℃未満の液相線温度を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項14】
さらなる相の分率が5容積%よりも低いことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項15】
ダイヤモンド結晶粒の平均粒度が20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項16】
ダイヤモンド結晶粒の粒度がバイモーダルな分布を有し、第一の分布の最大値が7〜60μmであり第二の分布の最大値が80〜260μmであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項17】
複合材料が60〜80容積%のダイヤモンド結晶粒、1〜10容積%の炭化物相および10〜30容積%の金属合金を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項18】
研磨ウォータージェット切断プラントのためのノズルまたは混合管として使用するための請求項1〜17のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項19】
ドリル工具のためのドリルビットインサートまたはドリルチップとして使用するための請求項1〜18のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項20】
ブレーキディスクとして使用するための請求項1〜19のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項21】
研削ホイールとして使用するための請求項1〜20のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項22】
のこぎり刃として使用するための請求項1〜21のいずれか1項に記載の摩耗部材。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の摩耗部材を製造するための方法であって、少なくとも以下のプロセス工程を含むことを特徴とする方法。
・20〜200μmの平均結晶粒度を有するダイヤモンド結晶粒と、場合によっては金属相および/またはバインダーとを含み、前記ダイヤモンドの分率が、成形工程後の中間体材料の全容積を基準にして40〜90%である中間体材料を無加圧成形または加圧成形する工程;
・前記中間体材料と、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Pb、SnまたはAl並びにSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Sc、Yおよびランタノイド元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金化用元素をベースとする溶浸合金とを、溶浸合金の液相線温度よりは高いが、1,450℃よりは低い温度に、無加圧下または加圧下に加熱して、前記溶浸合金による前記中間体材料の溶浸を起こさせ、前記中間体材料の細孔空隙の少なくとも97%に充填させる工程。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の摩耗部材を製造するための方法であって、少なくとも以下のプロセス工程を含むことを特徴とする方法。
・20〜200μmの平均結晶粒度を有するダイヤモンド結晶粒と、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Pb、SnまたはAl並びにSi、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Sc、Yおよびランタノイド元素の群から選択される少なくとも1種の合金化用元素をベースとする溶浸合金と、からなる中間体材料をミキシングまたはミリングする工程;
・前記中間体材料を用いて加熱プレスのダイに充填し、温度T(500℃<T<1,200℃)に加熱し、前記中間体材料を熱間圧縮する工程。
【請求項25】
前記溶浸合金が共晶組成または近共晶組成を有することを特徴とする請求項23または24に記載の方法。

【公表番号】特表2008−502794(P2008−502794A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513592(P2007−513592)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000184
【国際公開番号】WO2005/118901
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500005837)セラティチット オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (13)
【Fターム(参考)】