ダンパー装置
本発明発明は、支持要素(3)に当接可能かつこの支持要素によって支持可能なラム(2)を備える、特に家具の可動部品のための、ダンパー装置に関する。支持要素(3)は、ラム(2)に対して相対的に配置および/または移動することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を加えることができかつ支持要素上で支持可能なラムを備える、特に家具の可動部品のための、ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において公知のダンパーは様々な種類があり、例えば、家具の可動部品用のものがある。これらは、直線ダンパー、回転ダンパーの両方として設計することができる。これらは、通常、経路依存の減衰関数(path−dependent damping function)を有する。このことは、減衰の程度が、ラムがどの程度押されるかまたは引かれるかに依ることを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術において、このラムが支持要素に最初からすでに永続的に連結されていない場合、このラムは、減衰動作の開始時に支持要素に接触する。この減衰動作の過程は、次に、ダンパーそれ自体の特性ならびにダンパーと支持要素の幾何学的配置によって決定される。
【0004】
本発明の目的は、更に、一般的なタイプのダンパー装置の減衰関数に影響することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明による、支持要素がラムに対する位置において移動可能または摺動可能であるという事実によって達成される。減衰工程の開始、過程、および終了は、移動可能または摺動可能な支持要素によって付加的に影響され得る。経路依存の減衰関数を備えるダンパーが用いられる場合、このダンパー装置が取り付けられる家具の可動部品の互いに対する位置の関数としての瞬間的な減衰値に自動的に影響する。
【0006】
ラムは、家具、取り付け要素、多関節レバー等の部品に到達する前に、このラムに割り当てられた支持要素の支持表面に当接することが一般的に望ましい。これにより、ダンパーはより早い段階で効果を奏する。更に、このラムを、支持要素無しで押圧するよりも速くダンパー内に押し込むこともできる。よって、通常、支持要素の支持領域が、−少なくとも動的な減衰工程の間−ラムと取り付け要素の間に配置され、多関節レバー、家具部品等がその後ろに配置される。しかしながら、これは、ダンパーの起動を遅くしてストローク等を減少するために、支持要素を凹設して構成することによっても可能となる。
【0007】
基本的に、この場合、2つの異なる態様がある。一つは、支持要素をダンパー装置の動きによって第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間で可動である構成である。この実施例において、支持要素は、ダンパー装置が作動している間、毎回同じ様に自動的に動き、使用されるダンパーの減衰関数が常に同じように影響される。この態様は、製造されたダンパーの減衰関数を特殊な用途のために変更する場合に特に有益である。
【0008】
しかしながら、本発明の態様の2つめのグループにおいて、ダンパー装置は、支持要素をラムに対して様々な位置で固定する調整手段、好ましくは調整ネジを備えて構成されている。この支持要素は、調整手段によって様々な位置に固定することができ、結果として、好ましくは手動の調整が可能となる。これは、例えば本発明によるダンパー装置を備えるヒンジにおいて、結合調整ネジおよび/もしくは深さ調整ネジによってなされるダンパーの減衰経路の変更を逆転し、一定の減衰関数を確実にするために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
更に、本発明の特徴は、以下に記載した幾つかの実施例を用いて説明される。
【0010】
図1〜3の実施例は、発明的な一ダンパー装置を示しており、取り付け要素としてヒンジアーム5とヒンジカップ6とを備える家具用ヒンジに一体化されている。この実施例において、ダンパー1はヒンジカップ6上に配置されている。このダンパーは、ラム2を備えており、これは、好ましくは経路依存の減衰関数を伴い、内方および外方に移動する。従来技術において知られているように、図示されたヒンジ1のヒンジアーム5は、フック留め手段12およびスナップクロージャ13を介してベースプレート11上に留められている。結合調整ネジ15および深さ調整手段10は、当該技術分野で知られるように、ヒンジカップとヒンジアームとの間の相対位置を調整するために提供されている。ヒンジアーム5とヒンジカップ6は、多関節軸7上に配置された多関節レバー8および8’によって結合されている。本発明によると、可動の支持要素3が提供されている。この実施例において、支持要素3は、ヒンジアーム5上、つまりヒンジの2つの取り付け要素の一つに枢動可能に取り付けられている。加えて、結合レバー9も、ヒンジアーム5に枢動可能に取り付けられている。この実施例において、結合レバー9は、外側の多関節レバー8’に一体化されている。しかしながら、多関節のレバー8,8’に加えて、別のレバーとして設計されてもよい。
【0011】
図2は、この発明的な装置を図3から直線AAに沿った断面図であって、ヒンジカップ6およびヒンジアーム5が展開した位置にて示されている。図1に示される位置に移動する場合、結合レバー9は、アーム5に対して枢動する。結果、この結合レバー9は、支持要素3を図2に示される位置から図1に示される位置に移動させる。このいわゆる閉じる動作の間に、ラム2は支持要素3に接触する。この接触は、支持要素3を引き上げることによって、従来技術で知られているようなラム2がヒンジアーム5に直接当たる場合よりも早く起る。よって、ラム2がより早く押圧されてダンパー1のシリンダー内により深く押し込まれ、結果として、特に経路依存の減衰関数を備えるダンパーにおいて、取り付け要素間の所定の入射角に割り当てられる減衰値が増加する。この実施例において、結合レバー9は基本的にZ形であるが、ダンパー装置の幾何学的配置に依って、他の任意の形状であってもよい。第1の実施例において、結合レバー9が多関節レバー8’の動きを支持要素3の動きに変換するように配置されており、一方、図4および5に記載の第2の実施例では、支持要素3自体が多関節レバー8’に一体化される発明的な装置を有する。或いは、この支持要素3は、ヒンジアーム5に枢動可能に取り付けられていてもよく、この場合、支持要素3は、多関節レバー8、8’に一体化されること無く、ヒンジカップ6によって作動される(この実施例は、図示されていない)。この支持要素3の形態および適用可能であるならば結合レバー9の支持要素3の形態は、それぞれの実施例において、ラム2がヒンジカップ6とヒンジアーム5の間の枢動角で、いつ、どの程度ダンパー1に押し込まれるかを決定し、結果として、角度に依存する減衰関数に影響する。
【0012】
図6〜8に記載の第3実施例において、ダンパー1の筐体20がヒンジアーム5に固定されている。支持要素3は、少なくとも一つの多関節レバー8を覆っており、中空輪郭の形状の横断面を有するカバーを形成している。これは、多関節レバー8の一つに軸16で枢動可能に配置されている。この実施例において、第2の取り付け要素6は、ヒンジカップとして設計されてはおらず、例えばガラスドアによくあるように、平らなジョイント面21を有する取り付け要素として設計されている。図6は、いわゆる閉位置における実施例を示しており、ここではドア22は閉じられている。図7は、中間位置を示しており、ダンパーが支持要素3の支持領域19にちょうど接触したところであり、これによりこのダンパーが作動される。図8は、ドアが開いた状態の開位置を示している。この実施例において枢動可能に配置された支持要素3は、この支持要素3を支持するように機能する制御輪郭17を有する。ここで示された態様において、制御輪郭17は、取り付け要素6に形成されたガイド輪郭18に当接する。輪郭17および18の両方は、その形状において少なくとも部分的に凸状である。凸状部23および24の形状は、ドア22と側壁25の間の所望の閉角度で支持要素3を枢動するためにラム2が支持領域19に接触するように選択される。輪郭17および18を対応するように設計することによって、ダンパー1の減衰特性が最適に利用され、最大可能ダンピングストロークを実現することができることも保証される。当業者には、所望の減衰特性を最適なものにするために、輪郭17および18の形状を各ダンパーおよび各ヒンジに採用することができることは自明である。他の実施例において示されるように、支持要素3は、最適な減衰特性を達成するために、変形しなくてはならない取り付け要素または多関節レバーではなく、支持要素3自体を所望の仕様に従って自由に設計することができるという利点がある。開閉時には、輪郭17と18、およびラム2と支持要素3の両方が互いに摺動する。しかしながら、遊合の代わりに、固定された回転結合であってもよい。2つの輪郭17および18の代わりに、対応して設計された制御輪郭17を一つのみ提供することも可能である。これは、取り付け要素、多関節レバーまたは通常設計の家具部品に当接する。これとは別に、ガイド輪郭18の対応する凸状または膨出する設計によって、平滑な非凸状の制御輪郭17を提供することも可能である。それは、最終的に決定的な要因が、付加的な構造部材の形態に設計することができる支持要素3と、支持領域19との相互作用から起こる動きであるからである。
【0013】
支持要素の不必要な動きまたはがたつきを防ぐために、例えば、支持要素3に連結されており好ましくは取り付け要素6の方向に常に付勢する弓形のバネによって、支持要素に加圧することができる構成としてもよい。
【0014】
他の実施例における場合と同様、ダンパーを他方の取り付け要素に固定することは、図6〜8に示される実施例においても可能である。図6〜8の変形例において、ダンパー1の筐体20がヒンジカップとしても機能する第2の取り付け要素6に配置されてもよい。制御輪郭17がガイド輪郭18状のヒンジアームの側部に当接する。
【0015】
図9〜12は、支持要素3の位置が調整手段4によって手動で調整可能である実施例を示す。従って、支持要素3は、取り付け要素(ヒンジアームとヒンジカップ)間で相対的に動く間、一旦セットされた位置に固定されたままである。支持要素3は、軸16に軸着され、ヒンジアーム5に対して枢動する。調整手段4は、例えば、単純な調整ネジとして設計することができる。しかしながら、図示された実施例において、調整手段4は、結合調整手段15を備える一つの構造単位で実現されている。このために、ネジ4は、異なるネジ山のピッチを有する2つの領域4’および4”を備える。調整手段4および支持要素3の調整によって、深さ調整手段および結合調整手段によって変更された2つの取り付け要素5と6の間の相対的な位置を、これらの深さ調整手段10および/または結合調整手段15によって調整される前のダンパーの減衰関数と同じ減衰関数となるように等しくすることが可能となる。よって、ヒンジカップ6のヒンジアーム5に対する位置とは独立して、少なくとも所定の範囲内に減衰関数を調整することが可能となる。この一例が、図11および12に示されている。図11において、結合調整ネジ4の対応する調整によって、ヒンジアーム5の上縁は、ベースプレート11に対して9度の角度となっている。ヒンジアーム5の上縁と支持要素3との間の角度は3度に設定されている。ベースプレート11とヒンジアーム5の上縁との間の角度が5度に減少されている場合(図12を参照)、連結された調整手段4は、支持要素3をヒンジの上縁に対してその角度が1度になるように自動的に下げる。この結果は、いずれの場合においても、ラム2は(取り付け要素は互いに同じ角度で)、支持要素3に接触し、ダンパー1のシリンダー内深くに押し込まれる。よって同じ減衰関数が両方の配置において実現される。
【0016】
個々の実施例が示すように、対応して設計された支持要素を用いることによって、従来技術において知られるダンパーのために、最適な減衰経路が実現される。多関節レバーが、閉じる動作の最後の20度において僅かに動くのみである装置またはヒンジタイプにおいて特に有利であって、結果として、十分な減衰経路が発明的な支持要素無しで実現される。
【0017】
発明的なダンパー装置が、ヒンジに一体化されている実施例において示されているが、本発明において、ヒンジから取り外し可能なダンパー装置を設計することも可能である。ヒンジにおいて、ダンパー1および支持要素3を、取り付け要素5および6の両方に配置することができる。当然、発明的なダンパー装置はヒンジアームおよびヒンジカップを備えるヒンジにのみ組み合せられるだけではなく、他のヒンジとも組み合わすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による第1実施例。
【図2】本発明による第1実施例。
【図3】本発明による第1実施例。
【図4】本発明による第2実施例。
【図5】本発明による第2実施例。
【図6】本発明による第3実施例。
【図7】本発明による第3実施例。
【図8】本発明による第3実施例。
【図9】本発明による第4実施例。
【図10】本発明による第4実施例。
【図11】本発明による第4実施例。
【図12】本発明による第4実施例。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を加えることができかつ支持要素上で支持可能なラムを備える、特に家具の可動部品のための、ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において公知のダンパーは様々な種類があり、例えば、家具の可動部品用のものがある。これらは、直線ダンパー、回転ダンパーの両方として設計することができる。これらは、通常、経路依存の減衰関数(path−dependent damping function)を有する。このことは、減衰の程度が、ラムがどの程度押されるかまたは引かれるかに依ることを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術において、このラムが支持要素に最初からすでに永続的に連結されていない場合、このラムは、減衰動作の開始時に支持要素に接触する。この減衰動作の過程は、次に、ダンパーそれ自体の特性ならびにダンパーと支持要素の幾何学的配置によって決定される。
【0004】
本発明の目的は、更に、一般的なタイプのダンパー装置の減衰関数に影響することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明による、支持要素がラムに対する位置において移動可能または摺動可能であるという事実によって達成される。減衰工程の開始、過程、および終了は、移動可能または摺動可能な支持要素によって付加的に影響され得る。経路依存の減衰関数を備えるダンパーが用いられる場合、このダンパー装置が取り付けられる家具の可動部品の互いに対する位置の関数としての瞬間的な減衰値に自動的に影響する。
【0006】
ラムは、家具、取り付け要素、多関節レバー等の部品に到達する前に、このラムに割り当てられた支持要素の支持表面に当接することが一般的に望ましい。これにより、ダンパーはより早い段階で効果を奏する。更に、このラムを、支持要素無しで押圧するよりも速くダンパー内に押し込むこともできる。よって、通常、支持要素の支持領域が、−少なくとも動的な減衰工程の間−ラムと取り付け要素の間に配置され、多関節レバー、家具部品等がその後ろに配置される。しかしながら、これは、ダンパーの起動を遅くしてストローク等を減少するために、支持要素を凹設して構成することによっても可能となる。
【0007】
基本的に、この場合、2つの異なる態様がある。一つは、支持要素をダンパー装置の動きによって第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間で可動である構成である。この実施例において、支持要素は、ダンパー装置が作動している間、毎回同じ様に自動的に動き、使用されるダンパーの減衰関数が常に同じように影響される。この態様は、製造されたダンパーの減衰関数を特殊な用途のために変更する場合に特に有益である。
【0008】
しかしながら、本発明の態様の2つめのグループにおいて、ダンパー装置は、支持要素をラムに対して様々な位置で固定する調整手段、好ましくは調整ネジを備えて構成されている。この支持要素は、調整手段によって様々な位置に固定することができ、結果として、好ましくは手動の調整が可能となる。これは、例えば本発明によるダンパー装置を備えるヒンジにおいて、結合調整ネジおよび/もしくは深さ調整ネジによってなされるダンパーの減衰経路の変更を逆転し、一定の減衰関数を確実にするために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
更に、本発明の特徴は、以下に記載した幾つかの実施例を用いて説明される。
【0010】
図1〜3の実施例は、発明的な一ダンパー装置を示しており、取り付け要素としてヒンジアーム5とヒンジカップ6とを備える家具用ヒンジに一体化されている。この実施例において、ダンパー1はヒンジカップ6上に配置されている。このダンパーは、ラム2を備えており、これは、好ましくは経路依存の減衰関数を伴い、内方および外方に移動する。従来技術において知られているように、図示されたヒンジ1のヒンジアーム5は、フック留め手段12およびスナップクロージャ13を介してベースプレート11上に留められている。結合調整ネジ15および深さ調整手段10は、当該技術分野で知られるように、ヒンジカップとヒンジアームとの間の相対位置を調整するために提供されている。ヒンジアーム5とヒンジカップ6は、多関節軸7上に配置された多関節レバー8および8’によって結合されている。本発明によると、可動の支持要素3が提供されている。この実施例において、支持要素3は、ヒンジアーム5上、つまりヒンジの2つの取り付け要素の一つに枢動可能に取り付けられている。加えて、結合レバー9も、ヒンジアーム5に枢動可能に取り付けられている。この実施例において、結合レバー9は、外側の多関節レバー8’に一体化されている。しかしながら、多関節のレバー8,8’に加えて、別のレバーとして設計されてもよい。
【0011】
図2は、この発明的な装置を図3から直線AAに沿った断面図であって、ヒンジカップ6およびヒンジアーム5が展開した位置にて示されている。図1に示される位置に移動する場合、結合レバー9は、アーム5に対して枢動する。結果、この結合レバー9は、支持要素3を図2に示される位置から図1に示される位置に移動させる。このいわゆる閉じる動作の間に、ラム2は支持要素3に接触する。この接触は、支持要素3を引き上げることによって、従来技術で知られているようなラム2がヒンジアーム5に直接当たる場合よりも早く起る。よって、ラム2がより早く押圧されてダンパー1のシリンダー内により深く押し込まれ、結果として、特に経路依存の減衰関数を備えるダンパーにおいて、取り付け要素間の所定の入射角に割り当てられる減衰値が増加する。この実施例において、結合レバー9は基本的にZ形であるが、ダンパー装置の幾何学的配置に依って、他の任意の形状であってもよい。第1の実施例において、結合レバー9が多関節レバー8’の動きを支持要素3の動きに変換するように配置されており、一方、図4および5に記載の第2の実施例では、支持要素3自体が多関節レバー8’に一体化される発明的な装置を有する。或いは、この支持要素3は、ヒンジアーム5に枢動可能に取り付けられていてもよく、この場合、支持要素3は、多関節レバー8、8’に一体化されること無く、ヒンジカップ6によって作動される(この実施例は、図示されていない)。この支持要素3の形態および適用可能であるならば結合レバー9の支持要素3の形態は、それぞれの実施例において、ラム2がヒンジカップ6とヒンジアーム5の間の枢動角で、いつ、どの程度ダンパー1に押し込まれるかを決定し、結果として、角度に依存する減衰関数に影響する。
【0012】
図6〜8に記載の第3実施例において、ダンパー1の筐体20がヒンジアーム5に固定されている。支持要素3は、少なくとも一つの多関節レバー8を覆っており、中空輪郭の形状の横断面を有するカバーを形成している。これは、多関節レバー8の一つに軸16で枢動可能に配置されている。この実施例において、第2の取り付け要素6は、ヒンジカップとして設計されてはおらず、例えばガラスドアによくあるように、平らなジョイント面21を有する取り付け要素として設計されている。図6は、いわゆる閉位置における実施例を示しており、ここではドア22は閉じられている。図7は、中間位置を示しており、ダンパーが支持要素3の支持領域19にちょうど接触したところであり、これによりこのダンパーが作動される。図8は、ドアが開いた状態の開位置を示している。この実施例において枢動可能に配置された支持要素3は、この支持要素3を支持するように機能する制御輪郭17を有する。ここで示された態様において、制御輪郭17は、取り付け要素6に形成されたガイド輪郭18に当接する。輪郭17および18の両方は、その形状において少なくとも部分的に凸状である。凸状部23および24の形状は、ドア22と側壁25の間の所望の閉角度で支持要素3を枢動するためにラム2が支持領域19に接触するように選択される。輪郭17および18を対応するように設計することによって、ダンパー1の減衰特性が最適に利用され、最大可能ダンピングストロークを実現することができることも保証される。当業者には、所望の減衰特性を最適なものにするために、輪郭17および18の形状を各ダンパーおよび各ヒンジに採用することができることは自明である。他の実施例において示されるように、支持要素3は、最適な減衰特性を達成するために、変形しなくてはならない取り付け要素または多関節レバーではなく、支持要素3自体を所望の仕様に従って自由に設計することができるという利点がある。開閉時には、輪郭17と18、およびラム2と支持要素3の両方が互いに摺動する。しかしながら、遊合の代わりに、固定された回転結合であってもよい。2つの輪郭17および18の代わりに、対応して設計された制御輪郭17を一つのみ提供することも可能である。これは、取り付け要素、多関節レバーまたは通常設計の家具部品に当接する。これとは別に、ガイド輪郭18の対応する凸状または膨出する設計によって、平滑な非凸状の制御輪郭17を提供することも可能である。それは、最終的に決定的な要因が、付加的な構造部材の形態に設計することができる支持要素3と、支持領域19との相互作用から起こる動きであるからである。
【0013】
支持要素の不必要な動きまたはがたつきを防ぐために、例えば、支持要素3に連結されており好ましくは取り付け要素6の方向に常に付勢する弓形のバネによって、支持要素に加圧することができる構成としてもよい。
【0014】
他の実施例における場合と同様、ダンパーを他方の取り付け要素に固定することは、図6〜8に示される実施例においても可能である。図6〜8の変形例において、ダンパー1の筐体20がヒンジカップとしても機能する第2の取り付け要素6に配置されてもよい。制御輪郭17がガイド輪郭18状のヒンジアームの側部に当接する。
【0015】
図9〜12は、支持要素3の位置が調整手段4によって手動で調整可能である実施例を示す。従って、支持要素3は、取り付け要素(ヒンジアームとヒンジカップ)間で相対的に動く間、一旦セットされた位置に固定されたままである。支持要素3は、軸16に軸着され、ヒンジアーム5に対して枢動する。調整手段4は、例えば、単純な調整ネジとして設計することができる。しかしながら、図示された実施例において、調整手段4は、結合調整手段15を備える一つの構造単位で実現されている。このために、ネジ4は、異なるネジ山のピッチを有する2つの領域4’および4”を備える。調整手段4および支持要素3の調整によって、深さ調整手段および結合調整手段によって変更された2つの取り付け要素5と6の間の相対的な位置を、これらの深さ調整手段10および/または結合調整手段15によって調整される前のダンパーの減衰関数と同じ減衰関数となるように等しくすることが可能となる。よって、ヒンジカップ6のヒンジアーム5に対する位置とは独立して、少なくとも所定の範囲内に減衰関数を調整することが可能となる。この一例が、図11および12に示されている。図11において、結合調整ネジ4の対応する調整によって、ヒンジアーム5の上縁は、ベースプレート11に対して9度の角度となっている。ヒンジアーム5の上縁と支持要素3との間の角度は3度に設定されている。ベースプレート11とヒンジアーム5の上縁との間の角度が5度に減少されている場合(図12を参照)、連結された調整手段4は、支持要素3をヒンジの上縁に対してその角度が1度になるように自動的に下げる。この結果は、いずれの場合においても、ラム2は(取り付け要素は互いに同じ角度で)、支持要素3に接触し、ダンパー1のシリンダー内深くに押し込まれる。よって同じ減衰関数が両方の配置において実現される。
【0016】
個々の実施例が示すように、対応して設計された支持要素を用いることによって、従来技術において知られるダンパーのために、最適な減衰経路が実現される。多関節レバーが、閉じる動作の最後の20度において僅かに動くのみである装置またはヒンジタイプにおいて特に有利であって、結果として、十分な減衰経路が発明的な支持要素無しで実現される。
【0017】
発明的なダンパー装置が、ヒンジに一体化されている実施例において示されているが、本発明において、ヒンジから取り外し可能なダンパー装置を設計することも可能である。ヒンジにおいて、ダンパー1および支持要素3を、取り付け要素5および6の両方に配置することができる。当然、発明的なダンパー装置はヒンジアームおよびヒンジカップを備えるヒンジにのみ組み合せられるだけではなく、他のヒンジとも組み合わすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による第1実施例。
【図2】本発明による第1実施例。
【図3】本発明による第1実施例。
【図4】本発明による第2実施例。
【図5】本発明による第2実施例。
【図6】本発明による第3実施例。
【図7】本発明による第3実施例。
【図8】本発明による第3実施例。
【図9】本発明による第4実施例。
【図10】本発明による第4実施例。
【図11】本発明による第4実施例。
【図12】本発明による第4実施例。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力をかけることができ、かつ支持要素上で支持可能なラムを備えるダンパーを有する、特に家具の可動部品用の、ダンパー装置であって、前記支持要素(3)は、ラム(2)に対してその位置を移動可能または摺動可能であることを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
支持要素(3)は、ダンパー装置の動きによって、第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間で可動であることを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項3】
ラム(2)は支持要素(3)に沿って摺動するように支持可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のダンパー装置。
【請求項4】
支持要素(3)は、軸(16)を中心として回転可能であるように取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項5】
支持要素(3)は、例えば家具部品上にある支持要素(3)を好ましくは摺動支持するための制御輪郭(17)を有しており、前記支持要素(3)は、前記制御輪郭(17)による支持によって移動可能または摺動可能、好ましくは枢動可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項6】
ダンパー装置は、支持要素(3)を好ましくは摺動支持するために家具部品上に配置することができるガイド輪郭(18)を備えており、前記ガイド輪郭(18)上での支持要素(3)の支持により、前記支持要素(3)は、移動可能または摺動可能、好ましくは枢動可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項7】
制御輪郭(17)は、ガイド輪郭(18)上で支持可能であることを特徴とする請求項5または6に記載のダンパー装置。
【請求項8】
制御輪郭(17)および/またはガイド輪郭(18)は、少なくとも一部が膨出するように設計されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項9】
ダンパー装置は、調整手段(4)、好ましくは調整ネジを備えており、これにより支持要素(3)をラム(2)に対して様々な位置に固定することができることを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項10】
ダンパーは、第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間の移動において、その最大可能ダンピングストロークを実現するように設計されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1に記載のダンパー装置を備える、特に家具の可動部品用の、ヒンジ。
【請求項12】
第1の取り付け要素、特にヒンジアームと、第2の取り付け要素、特にヒンジカップが少なくとも一つの多関節軸によって連結されているヒンジであって、ダンパー(1)と、第1の支持要素(3)は異なる取り付け要素(5、6)にそれぞれ配置もしくは結合されているか、ダンパー(1)が取り付け要素(5、6)の一つに配置もしくは結合されておりかつ支持要素(3)がヒンジの多関節レバー(8)に配置もしくは結合されていることを特徴と請求項11に記載のするヒンジ。
【請求項13】
多関節レバーを備えるヒンジであって、ヒンジの動きを支持要素(3)の動きに変換するように配置された結合レバー(9)を備えることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項14】
結合レバー(9)は、多関節レバー(8’)に一体化されていることを特徴とする請求項13に記載のヒンジ。
【請求項15】
結合レバー(9)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられており、かつ他方の取り付け要素(6)上に支持可能であることを特徴とする請求項13に記載のヒンジ。
【請求項16】
結合レバー(9)は、基本的にZ形であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1に記載のヒンジ。
【請求項17】
支持要素(3’)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1に記載のヒンジ。
【請求項18】
支持要素(3)は、多関節レバー(8)に一体化されていることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項19】
支持要素(3)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられており、かつ他方の取り付け要素(6)上に支持可能であることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項20】
少なくとも一つの休止位置において2つの取り付け要素(5,6)の相対位置を互い調整するための深さ調整手段(10)および/もしくは結合調整手段(15)と、支持要素(3”)をラム(2)に対して様々な位置に固定することができる調整手段(4)、好ましくは調整ネジ、とを備えており、前記支持要素(3)の調整手段(4)は、前記深さ調整手段(10)および/もしくは結合調整手段(15)によってなされた位置変更を等しくすることができることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項1】
圧力をかけることができ、かつ支持要素上で支持可能なラムを備えるダンパーを有する、特に家具の可動部品用の、ダンパー装置であって、前記支持要素(3)は、ラム(2)に対してその位置を移動可能または摺動可能であることを特徴とするダンパー装置。
【請求項2】
支持要素(3)は、ダンパー装置の動きによって、第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間で可動であることを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項3】
ラム(2)は支持要素(3)に沿って摺動するように支持可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のダンパー装置。
【請求項4】
支持要素(3)は、軸(16)を中心として回転可能であるように取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項5】
支持要素(3)は、例えば家具部品上にある支持要素(3)を好ましくは摺動支持するための制御輪郭(17)を有しており、前記支持要素(3)は、前記制御輪郭(17)による支持によって移動可能または摺動可能、好ましくは枢動可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項6】
ダンパー装置は、支持要素(3)を好ましくは摺動支持するために家具部品上に配置することができるガイド輪郭(18)を備えており、前記ガイド輪郭(18)上での支持要素(3)の支持により、前記支持要素(3)は、移動可能または摺動可能、好ましくは枢動可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項7】
制御輪郭(17)は、ガイド輪郭(18)上で支持可能であることを特徴とする請求項5または6に記載のダンパー装置。
【請求項8】
制御輪郭(17)および/またはガイド輪郭(18)は、少なくとも一部が膨出するように設計されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項9】
ダンパー装置は、調整手段(4)、好ましくは調整ネジを備えており、これにより支持要素(3)をラム(2)に対して様々な位置に固定することができることを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項10】
ダンパーは、第1の端位置と少なくとも一つの第2の端位置との間の移動において、その最大可能ダンピングストロークを実現するように設計されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載のダンパー装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1に記載のダンパー装置を備える、特に家具の可動部品用の、ヒンジ。
【請求項12】
第1の取り付け要素、特にヒンジアームと、第2の取り付け要素、特にヒンジカップが少なくとも一つの多関節軸によって連結されているヒンジであって、ダンパー(1)と、第1の支持要素(3)は異なる取り付け要素(5、6)にそれぞれ配置もしくは結合されているか、ダンパー(1)が取り付け要素(5、6)の一つに配置もしくは結合されておりかつ支持要素(3)がヒンジの多関節レバー(8)に配置もしくは結合されていることを特徴と請求項11に記載のするヒンジ。
【請求項13】
多関節レバーを備えるヒンジであって、ヒンジの動きを支持要素(3)の動きに変換するように配置された結合レバー(9)を備えることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項14】
結合レバー(9)は、多関節レバー(8’)に一体化されていることを特徴とする請求項13に記載のヒンジ。
【請求項15】
結合レバー(9)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられており、かつ他方の取り付け要素(6)上に支持可能であることを特徴とする請求項13に記載のヒンジ。
【請求項16】
結合レバー(9)は、基本的にZ形であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1に記載のヒンジ。
【請求項17】
支持要素(3’)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1に記載のヒンジ。
【請求項18】
支持要素(3)は、多関節レバー(8)に一体化されていることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項19】
支持要素(3)は、一方の取り付け要素(5)に枢動可能に取り付けられており、かつ他方の取り付け要素(6)上に支持可能であることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【請求項20】
少なくとも一つの休止位置において2つの取り付け要素(5,6)の相対位置を互い調整するための深さ調整手段(10)および/もしくは結合調整手段(15)と、支持要素(3”)をラム(2)に対して様々な位置に固定することができる調整手段(4)、好ましくは調整ネジ、とを備えており、前記支持要素(3)の調整手段(4)は、前記深さ調整手段(10)および/もしくは結合調整手段(15)によってなされた位置変更を等しくすることができることを特徴とする請求項11または12に記載のヒンジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−517227(P2008−517227A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537060(P2007−537060)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000306
【国際公開番号】WO2006/042344
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(597140501)ジュリウス ブルム ゲゼルシャフト エム.ビー.エイチ. (122)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000306
【国際公開番号】WO2006/042344
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(597140501)ジュリウス ブルム ゲゼルシャフト エム.ビー.エイチ. (122)
【Fターム(参考)】
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