説明

ダンパ及びそれを用いた自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構

【課題】強風、不用意な大きな人の力によって回転部材に突発的に大きな回転力が付与されても、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができ、しかも、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも適用できるダンパ及びそれを用いた自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構を提供すること。
【解決手段】ダンパ1は、収容体2と、収容体2に対して軸心3を中心としてA方向に相対的に回転自在な軸部材4と、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転に抵抗力を与えるべく、収容体2内に配されていると共にシリコーンオイル等の油、粘性体又は粘弾性体等からなる流動体5と、流動体5により収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転に与えられる抵抗力を収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転の途中で一時的に増加させる抵抗力増加手段6とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア、回転窓、複写機等の原稿台カバー等の往復回転する回転部材のヒンジ機構に用いて好適なダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパとしては、ゴム、コイルばね、空気、粘性体等を用いたものが知られており、斯かるダンパは、回転エネルギを吸収して回転部材の回転に適宜の減衰を与え、衝撃を和らげるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】:特許3434770号掲載公報
【特許文献2】:特開2003−130115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多くのダンパは、回転部材の回転においていずれの回転角でも一定の抵抗力(減衰力)を与えるようになっているために、強風、不用意な大きな人の力によって回転部材に突発的に大きな回転力が付与されると、この大きな回転力に抗しきれずに勢いよく回転部材が回転されてストッパ等への激突を生じさせることになる。斯かる大きな回転力の付与を予定して大きな回転抵抗力が生じるようにダンパを構成すると、必要な場合における回転部材の回転が困難となって大きな力でもってしか回転部材を回転できなくなり操作性が極めて悪くなる。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、強風、不用意な大きな人の力によって回転部材に突発的に大きな回転力が付与されても、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができ、しかも、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも適用できるダンパ及びそれを用いた自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のダンパは、収容体と、この収容体に対して相対的に回転自在な軸部材と、収容体に対する軸部材の相対的な回転に抵抗力を与えるべく、収容体内に収容された流動体と、流動体により収容体に対する軸部材の相対的な回転に与えられる抵抗力を収容体に対する軸部材の相対的な回転の途中で一時的に増加させる抵抗力増加手段とを具備している。
【0007】
本発明のダンパによれば、軸部材の相対的な回転の途中で抵抗力が一時的に増加するようになっているために、強風、不用意な大きな人の力による回転部材の回転を途中で阻止でき、しかも、抵抗力の増加が一時的であるために、抵抗力の増加が生じない範囲では回転部材を小さい回転力で回転できる一方、無意識による回転部材への大きな回転力の付与に警告を与えることができ、而して、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができる。
【0008】
本発明のダンパは、例えば自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構に用いられてサイドドアの開閉を緩衝するのであるが、この場合、軸部材がサイドドアの開閉と共に車体に対して回転されるようにヒンジ機構に設置しても、これに代えて、収容体がサイドドアの開閉と共に車体に対して回転されるようにヒンジ機構に設置してもよく、したがって、本発明において軸部材の相対的な回転とは、収容体に対しての回転であって、収容体が回転される一方、軸部材が回転しないように固定される場合をも含むのである。
【0009】
本発明において抵抗力増加手段は、収容体に対する軸部材の相対的な回転において収容体内の二室間で流動体を流動させる通路の通路径を収容体に対する軸部材の相対的な回転角に応じて減少させて抵抗力を増加させるようになっていても、これに代えて又はこれと共に、収容体に対する軸部材の相対的な回転において収容体内の二室間で流動体を流動させる通路を有しており、収容体に対する軸部材の相対的な回転において二室の流動体収容容積の増減率を増加させて抵抗力を増加させるようになっていてもよい。
【0010】
本発明のダンパにおいて、収容体は、流動体を収容する中空部を有すると共に内周面に雌ねじが形成された筒部を具備しており、軸部材は、筒部の中空部を二室に区画すると共に筒部の内周面の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有した区画部を具備しており、抵抗力増加手段は、雌ねじ部に部分的なねじ欠缺部を形成するように軸方向に延びていると共に筒部の内周面に設けられた内周面溝部と、雄ねじ部に部分的なねじ欠缺部を形成するように軸方向に延びていると共に区画部の外周面に設けられた外周面溝部とを具備しており、内周面溝部は、その軸方向の一端部で二室のうちの一方の室に連通しており、外周面溝部は、その軸方向の一端部で二室のうちの他方の室に連通していると共に収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも一つの回転領域で内周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも一つの回転領域以外の回転領域で内周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっていてもよく、この場合、抵抗力増加手段は、回転方向に関して離間した少なくとも二つの回転領域の夫々に配された内周面溝部を具備しており、外周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも二つの回転領域の夫々で対応の内周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも二つの回転領域間の回転領域を含むと共に当該少なくとも二つの回転領域以外の回転領域で内周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっていても、これに代えて、抵抗力増加手段は、回転方向に関して離間した少なくとも二つの回転領域の夫々に配された外周面溝部を具備しており、内周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも二つの回転領域の夫々で対応の外周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも二つの回転領域間の回転領域を含むと共に当該少なくとも二つの回転領域以外の回転領域で外周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっていてもよく、好ましくは、前者の場合では、外周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転方向における内周面溝部の幅よりも狭い幅を有しており、後者の場合では、内周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転方向における外周面溝部の幅よりも狭い幅を有しており、斯かるダンパによれば、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも適用できる。
【0011】
本発明のダンパにおいて、収容体は、筒部の軸方向の一方の端部に固着された一方の蓋部と、筒部の軸方向の他方の端部に固着された他方の蓋部とを具備しており、軸部材は、一方の蓋部を貫通していると共に区画部に固着された一方の軸部と、他方の蓋部を貫通していると共に区画部に固着された他方の軸部とを具備していてもよい。
【0012】
本発明のダンパにおいて、収容体は、流動体を収容する中空部を有すると共に内周面に軸方向に延びた凹所又は突起を有する筒部を具備しており、軸部材は、中空部を貫通して収容体に相対的に回転自在に支持されており、抵抗力増加手段は、筒部の中空部を二室に区画すると共に軸部材を囲繞するように軸方向に移動自在に軸部材に装着された可動部材と、軸部材の外周面に設けられている案内溝と、一方では可動部材に係止されていると共に他方では案内溝に移動自在に配されている係合部材とを具備しており、可動部材は、外周面に筒部の凹所又は突起に軸方向に移動自在に嵌合されている突起又は凹所を有しており、案内溝は、軸方向に対して所与の小さい傾斜角をもった小傾斜角案内溝部と、この小傾斜角案内溝部に連続していると共に軸方向に対して小傾斜角案内溝部の傾斜角よりも大きな傾斜角をもった大傾斜角案内溝部とを少なくとも具備してもよく、この場合、係合部材は、可動部材に回転自在に係止されている球体を具備しているとよく、斯かるダンパでも、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも適用できる。
【0013】
流動体は、シリコーンオイル等の油、粘性体又は粘弾性体を含んでいるとよく、特に、60から320以下の可塑度を有するシリコーン系の未加硫ゴムを含んでいるとよい。
【0014】
本発明に係る自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構は、上記のいずれかの態様のダンパを具備していると共に自動車の回転式のドアを回転自在に支持するヒンジ機構であり、ここで,収容体は、回転ドア及び自動車の車体のうちの一方に固定されており、軸部材は、回転ドア及び自動車の車体のうちの他方に固定されている。
【0015】
本発明の自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構によれば、ダンパが軸部材の相対的な回転の途中で抵抗力が一時的に増加するようになっているために、強風、不用意な大きな人の力によるドアの回転を途中で阻止でき、しかも、抵抗力の増加が一時的であるために、抵抗力の増加が生じない範囲ではドアを小さい回転力で回転できる一方、無意識によるドアへの大きな回転力の付与に警告を与えることができ、而して、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができる。
【0016】
本発明の自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構においては、軸部材がサイドドアの開閉と共に車体に対して回転されるようにしても、これに代えて、収容体がサイドドアの開閉と共に車体に対して回転されるようにしてもよく、したがって、本発明の自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構において軸部材の相対的な回転とは、収容体に対しての回転であって、収容体が回転される一方、軸部材が回転しないように固定される場合をも含むのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、強風、不用意な大きな人の力によって回転部材に突発的に大きな回転力が付与されても、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができ、しかも、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも適用できるダンパ及びそれを用いた自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の好ましい一例の断面説明図である。
【図2】図2は、図1に示す例の一部を切り欠いた背面からの断面説明図である。
【図3】図3は、図1に示す例のIII−III線矢視断面説明図である。
【図4】図4は、図1に示す例の動作説明図である。
【図5】図5は、図1に示す例の動作説明図である。
【図6】図6は、図1に示す例の動作説明図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態の好ましい他の例の断面説明図である。
【図8】図8は、図7に示す例のVIII−VIII線矢視断面説明図である。
【図9】図9は、図7に示す例の案内溝の展開図である。
【図10】図10は、図7に示す例の動作説明図である。
【図11】図11は、図1に示す例をヒンジ機構に用いた説明図である。
【図12】図12は、図12のヒンジ機構の平面説明図である。
【図13】図13は、図12のヒンジ機構の動作説明図である。
【図14】図14は、図7に示す例をヒンジ機構に用いた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0020】
図1から図3において、本例のダンパ1は、収容体2と、収容体2に対して軸心3を中心としてA方向に相対的に回転自在な軸部材4と、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転に抵抗力を与えるべく、収容体2内に配されていると共にシリコーンオイル等の油、粘性体又は粘弾性体等からなる流動体5と、流動体5により収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転に与えられる抵抗力を収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転の途中で一時的に増加させる抵抗力増加手段6とを具備している。
【0021】
略六角円筒状の外周面10を有した収容体2は、流動体5を収容する円柱状の中空部11を有すると共に円筒状の内周面12に雌ねじ13が形成された筒部14と、筒部14の軸方向、即ちB方向の一方の端部15に螺合部16を介して固着された筒状の蓋部17と、筒部14のB方向の他方の端部18に螺合部19を介して固着された筒状の蓋部20とを具備している。
【0022】
軸部材4は、筒部14の中空部11を二室25及び26に区画すると共に筒部14の内周面12の雌ねじ部13に螺合する雄ねじ部27を円筒状の外周面28に有した円柱状の区画部29と、蓋部17を貫通していると共に区画部29に固着された軸部30と、蓋部20を貫通していると共に区画部29に固着された円柱状の軸部31とを一体的に具備しており、軸部30は、区画部29に固着されていると共に区画部29よりも小径の円柱部32と、円柱部32に一体形成されている六角柱部33とを一体的に具備している。
【0023】
円柱部32と蓋部17との間には、流動体5の漏洩を防止する環状のシール部材35と、軸部材4のA方向の相対的な滑らかな回転に加えて収容体2に対する軸部材4のB方向の相対的な滑らかな移動を確保する鍔付きブッシュ36とが配されており、区画部29よりも小径の軸部31と蓋部20との間には、流動体5の漏洩を防止する環状のシール部材37と、軸部材4のA方向の相対的な滑らかな回転に加えて収容体2に対する軸部材4のB方向の相対的な滑らかな移動を確保する鍔付きブッシュ38とが配されており、筒部14と蓋部17及び20との間には、流動体5の漏洩を防止する環状のシール部材39が夫々配されている。
【0024】
抵抗力増加手段6は、雌ねじ部13にA方向に関して離間した二つの部分的なねじ欠缺部41及び42を形成するようにB方向に延びていると共に筒部14の内周面12に設けられた二つの内周面溝部43及び44と、雄ねじ部27に部分的なねじ欠缺部45を形成するようにB方向に延びていると共に区画部29の外周面28に設けられた外周面溝部46とを具備しており、内周面溝部43及び44の夫々は、そのB方向の一端部で室25に連通しており、外周面溝部46は、そのB方向の一端部で室26に連通していると共に収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転における二つの回転領域α1及びα2で対応の内周面溝部43及び44の他端部に他端部で対面して連通する一方、二つの回転領域α1及びα2間の回転領域α3を含むと共に二つの回転領域α1及びα2以外の回転領域で内周面溝部43及び44の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっている。
【0025】
A方向に関して離間した二つの回転領域α1及びα2の夫々に配された内周面溝部43及び44において、内周面溝部43は、回転領域α1に相当する中心角をもったA方向の幅を有しており、A方向において回転領域α3に相当する中心角をもって内周面溝部43から離間した内周面溝部44は、回転領域α2に相当する中心角をもったA方向の幅を有しており、外周面溝部46は、内周面溝部43及び44のA方向の幅よりも小さいA方向の幅を有しており、而して、外周面溝部46は、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転における回転角度に関して内周面溝部43及び44の夫々よりも狭い角度範囲を有している。
【0026】
回転領域α3に相当する内周面溝部43と内周面溝部44とのA方向の離間幅は、内周面溝部43及び44のA方向の幅と同じ又は大きくしてもよいが、自動車のサイドドアのヒンジ機構にダンパ1を用いる場合には、通常のサイドドアの開閉では斯かる回転領域α3での抵抗力の増大が気にならない程度に内周面溝部43及び44のA方向の幅よりも小さくしてもよい。
【0027】
以上のダンパ1は、例えば収容体2が自動車の車体側に固定される一方、軸部材4の六角柱部33が自動車の回転式のサイドドア側に固定されるようにして自動車のサイドドアのヒンジ機構に用いられるが、この場合、ダンパ1は、サイドドアの閉鎖状態で、外周面溝部46が図4に示すように回転領域α1外であって当該回転領域α1の近傍に位置するようにしてヒンジ機構に取り付けられる。この状態で、サイドドアの初期開放で軸部材4がA方向に回転されると、螺合する雄ねじ部27と雌ねじ13とにより、室25の容積が拡大される一方、室26の容積が縮小されるように軸部材4がB方向に移動され、室26の流動体5が雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなると共に小さい通路径をもった通路を介して室25に流動し、この流動における比較的大きな抵抗がサイドドアの初期開放で軸部材4に与えられる。
【0028】
サイドドアの初期開放後のこの比較的大きな抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、外周面溝部46が図5に示すように回転領域α1に位置すると、外周面溝部46の他端部が内周面溝部43の他端部に対面して連通される結果、容積が縮小される室26の流動体5が雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路に加えて互いに他端部で連通する外周面溝部46と内周面溝部43とからなる追加の通路を介して室25に流動し、この流動における減少された抵抗がサイドドアの初期開放に続く開放で軸部材4に与えられる。
【0029】
斯かる減少された低い抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、外周面溝部46が図3に示すように回転領域α3に位置すると、内周面溝部43の他端部への外周面溝部46の他端部の対面連通が解除される結果、容積が縮小される室26の流動体5が再び雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路のみを介して室25に流動し、この流動における増大された比較的大きな抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材4に与えられる。このように抵抗力増加手段6は、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転において、流動体5を収容する収容体2内の二室25及び26間で流動体5を流動させる通路として雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路と、この通路に加えて互いに他端部で連通する外周面溝部46と内周面溝部43とからなる追加の通路とを有しており、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転角に応じて通路の通路径を減少させて、即ち、雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路の通路径と互いに他端部で連通する外周面溝部46と内周面溝部43とからなる追加の通路の通路径との合計通路径から雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路の通路径のみに減少させて軸部材4に与える抵抗力を増加させるようになっている。
【0030】
増大された抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、外周面溝部46が図6に示すように回転領域α2に位置すると、回転領域α1に位置した場合と同様に、外周面溝部46の他端部が内周面溝部44の他端部に対面して連通される結果、容積が更に縮小される室26の流動体5が雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路に加えて互いに他端部で連通する外周面溝部46と内周面溝部44とからなる追加の通路を介して室25に流動し、この流動における減少された抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材4に与えられる。
【0031】
最後に外周面溝部46が回転領域α2外であって当該回転領域α2の近傍に位置すると、回転領域α3に位置した場合と同様に、内周面溝部44の他端部への外周面溝部46の他端部の対面連通が解除される結果、容積が縮小される室26の流動体5が再び雌ねじ部13と雄ねじ部27との間の隙間からなる通路のみを介して室25に流動し、この流動における増大された抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材4に与えられる。この状態で、サイドドアの開放に対してストッパが働いてそれ以上のサイドドアの開放方向の回転が阻止される。
【0032】
サイドドアの閉鎖の場合にはダンパ1は上記と逆の動作を行い、サイドドアの閉鎖に対して外周面溝部46が回転領域α2外であって当該回転領域α2の近傍に位置する際には比較的大きな抵抗、外周面溝部46が回転領域α2に位置する際には減少された抵抗、外周面溝部46が回転領域α3に位置する際には比較的大きな増大された抵抗、外周面溝部46が回転領域α1に位置する際には減少された抵抗、そして外周面溝部46が回転領域α1外であって当該回転領域α1の近傍に位置する際には比較的大きな増大された抵抗を夫々与える。サイドドアの閉鎖において、外周面溝部46が回転領域α1外であって当該回転領域α1の近傍に位置すると、サイドドアの閉鎖に対してストッパが働いてそれ以上のサイドドアの閉鎖方向の回転が阻止される。
【0033】
斯かるダンパ1によれば、軸部材4の相対的なA方向の回転の途中である回転領域α3で抵抗力が一時的に増加するようになっているために、強風、不用意な大きな人の力によるサイドドアの回転を途中で阻止でき、しかも、抵抗力の増加が一時的であるために、抵抗力の増加が生じない範囲である回転領域α1及びα2ではサイドドアを小さい回転力で回転できる一方、無意識によるサイドドアへの大きな回転力の付与に警告を与えることができ、而して、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができ、加えて、収容体2内に抵抗力増加手段6が配されているために、小型にできて自動車の前席用のサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも問題なく適用できる。
【0034】
ダンパ1では、二つの内周面溝部43及び44を筒部14の内周面12に設けたが、これに代えて、内周面溝部43及び44と同様な二つの外周面溝部を区画部29の外周面28に設ける一方、外周面溝部46と同様な内周面溝部を筒部14の内周面12に設けてもよい。
【0035】
また上記のダンパ1の抵抗力増加手段6は、収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転において、流動体5を収容する収容体2内の二室25及び26間で流動体5を流動させる通路の通路径を収容体2に対する軸部材4の相対的なA方向の回転角に応じて減少させて抵抗力を増加させるようになっているが、これに代えて、図7から図9に示すダンパ51のように、収容体52に対する軸部材53の相対的な軸心3を中心とするA方向の回転において二室54及び55の流動体収容容積の増減率を増加させて抵抗力を増加させるようにしてもよい。
【0036】
即ち、図7から図9に示すダンパ51は、収容体52と、収容体52に対して相対的に軸心3を中心としてA方向に回転自在な軸部材53と、収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転に抵抗力を与えるべく、収容体52内に配された流動体5と、流動体5により収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転に与えられる抵抗力を収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転の途中で一時的に増加させる抵抗力増加手段56とを具備している。
【0037】
略八角円筒状の外周面60を有した収容体52は、流動体5を収容する段付き円柱状の中空部61を有すると共に環状のストッパ面62付きの筒状の内周面63を有した筒部64と、筒部64の軸方向、即ちB方向の一方の端部65に螺合部66を介して固着された筒状の蓋部67と、筒部64のB方向の他方の端部68に螺合部69を介して固着された有底筒状の蓋部70とを具備している。
【0038】
筒部64の内周面63は、ストッパ面62を間にして配された大径の内周面部71と小径の内周面部72とを有しており、内周面部72は、B方向に延びると共にA方向において等間隔に配された複数個の断面円弧状の凹所73を有している。
【0039】
軸部材53は、中空部61を貫通した円柱状の大径軸部75と、大径軸部75の一方の端面に固着されていると共に蓋部67を貫通している円柱状の小径軸部76と、大径軸部75の他方の端面に固着されている円柱状の小径軸部77と、小径軸部76に固着された六角柱部78とを一体的に具備している。
【0040】
小径軸部76と蓋部67との間には、流動体5の漏洩を防止する環状のシール部材35と、軸部材53のA方向の相対的な滑らかな回転を確保する鍔付きブッシュ36とが配されており、小径軸部77と蓋部70との間には、軸部材53のA方向の相対的な滑らかな回転を確保する鍔付きブッシュ38が配されており、大径軸部75の一方の環状端面と鍔付きブッシュ36の鍔部との間及び大径軸部75の他方の環状端面と鍔付きブッシュ38の鍔部との間にはワッシャ79が夫々配されており、筒部64と蓋部67及び70との間には、流動体5の漏洩を防止する環状のシール部材39が夫々配されている。
【0041】
軸部材53は、小径軸部76で鍔付きブッシュ36を介して蓋部67に、小径軸部77で鍔付きブッシュ38を介して蓋部70に夫々相対的にA方向に回転自在に支持されている一方、収容体52に対して相対的にB方向に移動できないようになっている。
【0042】
抵抗力増加手段56は、筒部64の中空部61を二室54及び55に区画すると共に軸部材53の大径軸部75を囲繞してB方向に移動自在に軸部材53の大径軸部75に装着された可動部材81と、軸部材53の大径軸部75の外周面82に設けられている案内溝83と、一方では可動部材81に係止されていると共に他方では案内溝83に移動自在に配されている係合部材84と、収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転における可動部材81のB方向の移動で流動体5を収容する収容体52内の二室54及び55間で流動体5を流動させる通路85とを具備している。
【0043】
可動部材81は、円筒部86と、円筒部86の一端部に一体的に形成されていると共にストッパ面62に当接する円環状の鍔部87と、円筒部86の外周面88に筒部64の凹所73の夫々にB方向に移動自在に嵌合されている複数の突起89とを有している。可動部材81は、複数の突起89の凹所73の夫々への嵌合により収容体52に対して相対的にA方向に回転できないようになっている。
【0044】
鍔部87は、筒部64の内周面部71にB方向に移動自在に接触する外周面90と、外周面90に設けられた溝91とを有しており、鍔部87とストッパ面62とで形成される環状空間92は、溝91を介して室55に連通されている。
【0045】
案内溝83は、B方向に対して所与の傾斜角β1をもった二つの大傾斜角案内溝部95及び96と、大傾斜角案内溝部95及び96に夫々連続していると共にB方向に対して大傾斜角案内溝部95及び96の傾斜角β1よりも小さな傾斜角β2をもった三つの小傾斜角案内溝部97、98及び99とを具備している。
【0046】
係合部材84は、円筒部86に嵌着されている球体保持部材101と、一方では球体保持部材101に回転自在に保持されて円筒部86に係止されていると共に他方では案内溝83に移動自在且つ回転自在に配されている鋼球からなる球体102とを具備している。
【0047】
係合部材84は、軸部材53の収容体52に対する相対的なA方向の回転で球体102が案内溝83に沿って案内されてB方向に移動されることにより、このB方向の移動を可動部材81に伝達して案内溝83の形状の対応したB方向の移動を可動部材81に生起させるようになっている。
【0048】
一端では室54に他端では室55に連通した通路85は、大径軸部75の外周面82と円筒部86の円筒状の内周面105との間の環状隙間106からなる。通路85は、環状隙間106に代えて又はこれと共に、円筒部86に穿孔された貫通孔を具備していてもよい。
【0049】
以上のダンパ51は、ダンパ1と同様に例えば収容体52が自動車の車体側に固定される一方、軸部材53の六角柱部78が自動車のサイドドア側に固定されるようにして自動車のサイドドアのヒンジ機構に用いられるが、この場合、ダンパ51は、サイドドアの閉鎖状態で、球体102が小傾斜角案内溝部97に位置するようしてヒンジ機構に取り付けられる。この状態で、サイドドアの開放で軸部材53がA方向に回転されると、傾斜角β2をもった小傾斜角案内溝部97に案内される球体102により、可動部材81がB方向に比較的高速で移動されて室54の容積が拡大される一方、室55の容積が縮小される結果、室55の流動体5が通路85を介して室54に流動し、この流動における比較的大きな抵抗がサイドドアの初期開放で軸部材53に与えられる。
【0050】
サイドドアの初期開放後のこの比較的大きな抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、球体102が傾斜角β1をもった大傾斜角案内溝部95に位置すると、可動部材81がB方向に比較的低速で移動されて室54の容積が拡大される一方、室55の容積が縮小される結果、容積が縮小される室55の流動体5が通路85を介して室54に流動し、この流動における減少された抵抗がサイドドアの初期開放に続く開放で軸部材53に与えられる。
【0051】
斯かる減少された低い抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、球体102が傾斜角β2をもった小傾斜角案内溝部98に位置すると、可動部材81がB方向に再び比較的高速で移動されて室54の容積が拡大される一方、室55の容積が縮小される結果、室55の流動体5が通路85を介して室54に流動し、この流動における比較的大きな抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材53に与えられる。このように抵抗力増加手段56は、収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転において、軸部材53の単位回転当りの可動部材81のB方向の移動量を増加、換言すれば、収容体52に対する軸部材53の相対的なA方向の回転において二室54及び55の流動体収容容積の増減率を増加させて抵抗力を増加させるようになっている。
【0052】
増大された抵抗に抗して更にサイドドアが開放のために回転されて、球体102が傾斜角β1をもった大傾斜角案内溝部96に位置すると、可動部材81がB方向に比較的低速で移動されて室54の容積が拡大される一方、室55の容積が縮小される結果、容積が縮小される室55の流動体5が通路85を介して室54に流動し、この流動における減少された抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材53に与えられる。
【0053】
最後に図9に示すように球体102が傾斜角β2をもった小傾斜角案内溝部99に位置すると、可動部材81がB方向に再び比較的高速で移動されて室54の容積が拡大される一方、室55の容積が縮小される結果、室55の流動体5が通路85を介して室54に流動し、この流動における比較的大きな抵抗がサイドドアの更なる開放で軸部材53に与えられる。この状態で、サイドドアの開放に対してストッパが働いてそれ以上のサイドドアの開放方向の回転が阻止される。
【0054】
サイドドアの閉鎖の場合にはダンパ51は上記と逆の動作を行い、サイドドアの閉鎖に対して球体102が小傾斜角案内溝部99に位置する際には比較的大きな抵抗、球体102が大傾斜角案内溝部96に位置する際には減少された抵抗、球体102が小傾斜角案内溝部98に位置する際には比較的大きな増大された抵抗、球体102が大傾斜角案内溝部95に位置する際には減少された抵抗、そして球体102が小傾斜角案内溝部97に位置する際には比較的大きな増大された抵抗を夫々与える。サイドドアの閉鎖において、球体102が小傾斜角案内溝部97に位置すると、サイドドアの閉鎖に対してストッパが働いてそれ以上のサイドドアの閉鎖方向の回転が阻止される。
【0055】
斯かるダンパ51でも、軸部材4の相対的なA方向の回転の途中である球体102が小傾斜角案内溝部98に位置する際に抵抗力が一時的に増加するようになっているために、強風、不用意な大きな人の力によるサイドドアの回転を途中で阻止でき、しかも、抵抗力の増加が一時的であるために、抵抗力の増加が生じない範囲である球体102が大傾斜角案内溝部95及び96に位置する際にはサイドドアを小さい回転力で回転でき、無意識によるサイドドアへの大きな回転力の付与に警告を与えることができ、而して、ストッパ等への激突を回避できる上に、操作性をも向上させることができ、加えて、収容体2内に抵抗力増加手段56が配されているために、小型にできて自動車の回転式にサイドドアのヒンジ機構周りの狭い空間にも問題なく適用できる。
【0056】
ところで、自動車の回転式のドアを回転自在に支持するヒンジ機構へのダンパ1及び51の具体的な適用を例示すると、図11から図13は、ダンパ1をヒンジ機構110に適用した一つの例であって、ヒンジ機構110は、車体111に取り付けられる車体側取り付け部材112と、サイドドア113に取り付けられるドア側取り付け部材114と、ダンパ1とを具備している。
【0057】
車体側取り付け部材112は、貫通孔115を有していると共に貫通孔115を通るボルト等により車体111に固着される取り付け板部116と、取り付け板部116に一体的に設けられていると共に互いに対向した一対の支持板部117及び118と、支持板部118の貫通孔119において支持板部118に固着されている軸受部材120とを具備しており、支持板部117は、軸部材4の六角柱部33が貫通する貫通孔121を有していると共に貫通孔121において六角柱部33をB方向に移動自在であってA方向に回転不動に支持しており、軸受部材120は、軸部材4の軸部31をB方向に移動自在に支持している筒部122を具備しており、支持板部117には、蓋部17がA方向に回転自在に接触しており、支持板部118には、蓋部20が同じくA方向に回転自在に接触している。
【0058】
ドア側取り付け部材114は、貫通孔125を有していると共に貫通孔125を通るボルト等によりサイドドア113に固着される取り付け板部126と、取り付け板部126に一体的に設けられていると共に互いに対向した一対の支持板部127及び128とを具備しており、一対の支持板部127及び128の夫々は、蓋部17及び20間の筒部14が貫通する略六角形の貫通孔129を有していると共に貫通孔129において筒部14にA方向及びB方向に不動になるように嵌合固着されている。
【0059】
ダンパ1を具備した斯かるヒンジ機構110は、車体111とサイドドア113との回転自在な連結のために通常少なくとも一対設けられる(図14参照)のであるが、ヒンジ機構110では、サイドドア113が閉鎖されている状態(図11及び図13に示す状態)からサイドドア113が開放される場合及びサイドドア113が開放されている状態(図12に示す状態)からサイドドア113が閉鎖される場合には、サイドドア113の開閉と共にドア側取り付け部材114を介して筒部14が軸部材4に対してA方向に回転される結果、ダンパ1により上述の通りの作用をサイドドア113に与えるようになる。サイドドア113の開閉においては、軸部材4は、A方向に回転されることなくB方向に移動(上下動)されることになる。
【0060】
以上はヒンジ機構110にダンパ1を用いた一つの例であるが、ダンパ51を用いた図14に示すようなヒンジ機構130であってもよく、ヒンジ機構130は、車体111に取り付けられる車体側取り付け部材132と、サイドドア113に取り付けられるドア側取り付け部材134と、ダンパ51とを具備している。
【0061】
車体側取り付け部材132は、貫通孔135を有していると共に貫通孔135を通るボルト等により車体111に固着される取り付け板部136と、取り付け板部136に一体的に設けられていると共に互いに対向した一対の支持板部137及び138と、支持板部137及び138の貫通孔139を貫通していると共に貫通孔139において支持板部118及び138に溶接等によりA方向及びB方向に不動に固着されている軸連結部材140とを具備しており、軸連結部材140は、抜け止防止用の鍔部141と、鍔部141に一体的に設けられていると共に貫通孔139を貫通している円柱部142と、抜け止防止用であって円柱部142に一体的に設けられており、しかも、六角凹所143を有すると共に六角凹所143に軸部材53の六角柱部78が嵌合されている軸受容部144とを具備している。
【0062】
ドア側取り付け部材134は、貫通孔145を有していると共に貫通孔145を通るボルト等によりサイドドア113に固着される取り付け板部146と、取り付け板部146に一体的に設けられていると共に互いに対向した一対の支持板部147及び148とを具備しており、一対の支持板部147及び148は、筒部64にA方向及びB方向に不動になるように溶接等により固着されている。
【0063】
ダンパ51を具備した斯かるヒンジ機構130は、図14に示すように車体111とサイドドア113との回転自在な連結のために通常少なくとも一対設けられる。ヒンジ機構130では、サイドドア113が閉鎖されている状態からサイドドア113が開放される場合及びサイドドア113が開放されている状態(図14に示す状態)からサイドドア113が閉鎖される場合には、サイドドア113の開閉と共にドア側取り付け部材134を介して筒部64が軸部材53に対してA方向に回転される結果、ダンパ51により上述の通りの作用をサイドドア113に与えるようになる。
【0064】
ヒンジ機構110及び130のいずれにおいても、ダンパ1及び51をサイドドア113を車体111に対して回転自在に連結する軸ピンとして用いたが、本発明では斯かる例に限定されないのであって、サイドドア113を車体111に対して回転自在に連結するヒンジ機構とは別にダンパ1及び51を用いてサイドドア113の開閉に対して上記のような作用を与えるようにしてもよく、またヒンジ機構は、車体111とサイドドア113との回転自在な連結のために通常少なくとも一対設けられるのであるが、夫々のヒンジ機構にダンパ1又は51を具備したヒンジ機構とする必要はなく、一つのヒンジ機構のみにダンパ1又は51を用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ダンパ
2 収容体
3 軸心
4 軸部材
5 流動体
6 抵抗力増加手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容体と、この収容体に対して相対的に回転自在な軸部材と、収容体に対する軸部材の相対的な回転に抵抗力を与えるべく、収容体内に収容された流動体と、流動体により収容体に対する軸部材の相対的な回転に与えられる抵抗力を収容体に対する軸部材の相対的な回転の途中で一時的に増加させる抵抗力増加手段とを具備しているダンパ。
【請求項2】
抵抗力増加手段は、収容体に対する軸部材の相対的な回転において収容体内の二室間で流動体を流動させる通路の通路径を収容体に対する軸部材の相対的な回転角に応じて減少させて抵抗力を増加させるようになっている請求項1に記載のダンパ。
【請求項3】
収容体は、流動体を収容する中空部を有すると共に内周面に雌ねじが形成された筒部を具備しており、軸部材は、筒部の中空部を二室に区画すると共に筒部の内周面の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有した区画部を具備しており、抵抗力増加手段は、雌ねじ部に部分的なねじ欠缺部を形成するように軸方向に延びていると共に筒部の内周面に設けられた内周面溝部と、雄ねじ部に部分的なねじ欠缺部を形成するように軸方向に延びていると共に区画部の外周面に設けられた外周面溝部とを具備しており、内周面溝部は、その軸方向の一端部で二室のうちの一方の室に連通しており、外周面溝部は、その軸方向の一端部で二室のうちの他方の室に連通していると共に収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも一つの回転領域で内周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも一つの回転領域以外の回転領域で内周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっている請求項1又は2に記載のダンパ。
【請求項4】
抵抗力増加手段は、回転方向に関して離間した少なくとも二つの回転領域の夫々に配された内周面溝部を具備しており、外周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも二つの回転領域の夫々で対応の内周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも二つの回転領域間の回転領域を含むと共に当該少なくとも二つの回転領域以外の回転領域で内周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっている請求項3に記載のダンパ。
【請求項5】
外周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転方向における内周面溝部の幅よりも狭い幅を有している請求項3又は4に記載のダンパ。
【請求項6】
抵抗力増加手段は、回転方向に関して離間した少なくとも二つの回転領域の夫々に配された外周面溝部を具備しており、内周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転における少なくとも二つの回転領域の夫々で対応の外周面溝部の他端部に他端部で対面して連通する一方、当該少なくとも二つの回転領域間の回転領域を含むと共に当該少なくとも二つの回転領域以外の回転領域で外周面溝部の他端部への他端部の対面連通が解除されるようになっている請求項3に記載のダンパ。
【請求項7】
内周面溝部は、収容体に対する軸部材の相対的な回転方向における外周面溝部の幅よりも狭い幅を有している請求項3又は6に記載のダンパ。
【請求項8】
収容体は、筒部の軸方向の一方の端部に固着された一方の蓋部と、筒部の軸方向の他方の端部に固着された他方の蓋部とを具備しており、軸部材は、一方の蓋部を貫通していると共に区画部に固着された一方の軸部と、他方の蓋部を貫通していると共に区画部に固着された他方の軸部とを具備している請求項3から7のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項9】
抵抗力増加手段は、収容体に対する軸部材の相対的な回転において収容体内の二室間で流動体を流動させる通路を有しており、収容体に対する軸部材の相対的な回転において二室の流動体収容容積の増減率を増加させて抵抗力を増加させるようになっている請求項1に記載のダンパ。
【請求項10】
収容体は、流動体を収容する中空部を有すると共に内周面に軸方向に延びた凹所又は突起を有する筒部を具備しており、軸部材は、中空部を貫通して収容体に相対的に回転自在に支持されており、抵抗力増加手段は、筒部の中空部を二室に区画すると共に軸部材を囲繞するように軸方向に移動自在に軸部材に装着された可動部材と、軸部材の外周面に設けられている案内溝と、一方では可動部材に係止されていると共に他方では案内溝に移動自在に配されている係合部材とを具備しており、可動部材は、外周面に筒部の凹所又は突起に軸方向に移動自在に嵌合されている突起又は凹所を有しており、案内溝は、軸方向に対して所与の小さい傾斜角をもった小傾斜角案内溝部と、この小傾斜角案内溝部に連続していると共に軸方向に対して小傾斜角案内溝部の傾斜角よりも大きな傾斜角をもった大傾斜角案内溝部とを少なくとも具備している請求項1又は9に記載のダンパ。
【請求項11】
係合部材は、可動部材に回転自在に係止されている球体を具備している請求項10に記載のダンパ。
【請求項12】
流動体は、シリコーンオイル等の油、粘性体又は粘弾性体を含んでいる請求項1から11のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のダンパを具備していると共に自動車の回転式のドアを回転自在に支持するヒンジ機構であって、収容体は、回転ドア及び自動車の車体のうちの一方に固定されており、軸部材は、回転ドア及び自動車の車体のうちの他方に固定されている自動車ドア用ダンパ付きヒンジ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−91114(P2010−91114A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4471(P2010−4471)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【分割の表示】特願2004−249374(P2004−249374)の分割
【原出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】