説明

チェーンゲート用チェーン視認具

【課題】 極めて簡単な構造で、かつ、ランニングコストが不要で経済的であるチェーンゲート用チェーン視認具を提供する。
【解決手段】 チェーンゲート用チェーン視認具10は、円筒状の筒体30と、この筒体30の外表面に貼付された再起性反射の反射フィルム40と、筒体30の両端部に固定されたキャップ部材50とで構成されている。筒体30の外径はチェーン収納溝の横幅より小さく形成されている。キャップ部材50は、一対のキャップ片51を組み合わせて形成されている。筒体30の内部にチェーン21が挿通される。チェーン21はキャップ片51により挟持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンゲートに用いるチェーン視認具であり、さらに詳しくは、夜間、車による接触事故を防止するために、チェーンを明確に視認できるようにしたチェーンゲート用チェーン視認具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場や敷地の出入口には、チェーンゲートが用いられることがあり、このチェーンゲートの代表的なものとしては、出入口の両端に支柱を設けるとともに、これらの支柱間にチェーンを架設し、支柱の内部においてチェーンを巻取り又は巻戻すことによりチェーンを上下動させるものである(例えば、特許文献1、2参照。)。また、支柱自体を上下動させることにより、支柱に架設したチェーンを上下動させるチェーンゲートもある(特許文献3参照。)。さらに、立設した支柱間にチェーンを掛け渡すだけの簡易なものもある。
【0003】
ところで、このようなチェーンゲートは、駐車場の閉鎖時において、チェーンを上昇させて車の進入を防止するものであるが、夜間においては、チェーンの視認性が悪く、誤って車を接触させる事故が発生する場合があった。
【0004】
そこで、このようなチェーンの視認性の悪さからくる事故を防止するために、チェーンの視認性を向上させる技術が提案されている。例えば、支柱に照明装置を設け、この照明装置をチェーンの開閉状態に連鎖して自動的にON/OFFするガレージ用門扉が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
【特許文献1】実開昭51−135437号公報
【特許文献2】実開昭60−107115号公報
【特許文献3】特開平9−328727号公報
【特許文献4】特開平10−159469号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した支柱に照明装置を設けたガレージ用門扉においては、照明装置を設けなければならないので、支柱の構造が複雑になり高価となるものであった。また、夜間中電力を消費することからランニングコストが高くなるものであり、特に、巾の広い出入口に設置する際は、光度の大きい照明装置を用いなければならないので問題であった。
【0007】
本発明は、以上の問題点を解決し、極めて簡単な構造で、かつ、ランニングコストが不要で経済的であるチェーンゲート用チェーン視認具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係るチェーンゲート用チェーン視認具は、チェーンゲートのチェーンを挿通する筒体と、該筒体に設けられた光により視認させる視認部と、該筒体をチェーンに固定する固定部材とを具備することを特徴として構成されている。
【0009】
請求項2に係るチェーンゲート用チェーン視認具は、請求項1記載のチェーンゲート用チェーン視認具において、固定部材が、前記筒体の両端部に着脱自在に設けられるキャップ部材であり、該キャップ部材は、一対の分割されたキャップ片からなり、両キャップ片でチェーンを挟持することによりキャップ部材を介して筒体をチェーンに固定することを特徴として構成されている。
【0010】
請求項3に係るチェーンゲート用チェーン視認具は、請求項2記載のチェーンゲート用チェーン視認具において、キャップ部材の外径が、筒体の外径より大きく形成されていることを特徴として構成されている。
【0011】
請求項4に係るチェーンゲート用チェーン視認具は、請求項2又は3記載のチェーンゲート用チェーン視認具において、筒体及びキャップ部材の外径が、チェーン収納溝の横幅より小さく形成されていることを特徴として構成されている。
【0012】
請求項5に係る請求項2又は3記載のチェーンゲート用チェーン視認具は、請求項2、3又は4記載のチェーンゲート用チェーン視認具において、キャップ部材が、弾性部材で形成されていることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項6に係るチェーンゲート用チェーン視認具は、請求項1、2、3、4又は5記載のチェーンゲート用チェーン視認具において、視認部が、再起性反射の反射体で形成されていることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、チェーンを筒体に挿通することにより筒体をチェーンに取付け、固定部材により筒体をチェーンに固定する。したがって、筒体はチェーンの長手方向に移動することなく、取り付けた位置を維持することができる。筒体に設けた光により視認させる視認部は光を発するので、夜間において、チェーンを確実に視認することができる。すなわち、視認部として反射材を用いた場合は、車のヘッドライトからの光を視認部が反射することにより光を発し、発光材を用いた場合は、視認部自体が光を発するものである。また、チェーンの一部は筒体が覆う状態となっているので、チェーンを下降させた際、チェーンの路面に衝突する部分が少なくなるので、チェーンの路面との干渉音を小さくすることが出来る。
【0015】
請求項2に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、固定部材が筒体に着脱自在に設けられるキャップ部材からなっているので、適宜好ましい色彩を選択することができる。したがって、チェーンゲートの設置箇所に対応した最適の視認性及び意匠性を確保することが出来る。また、キャップ部材は、一対の分割されたキャップ片からなり、両キャップ片でチェーンを挟持することによりキャップ部材を介して筒体をチェーンに固定するので、簡単な作業で筒体をチェーンに固定することができる。
【0016】
請求項3に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、キャップ部材の外径が、筒体の外径より大きく形成されているので、チェーンを下降させた際、筒体が路面に直接接触することが無い。したがって、筒体及び視認部に擦り傷が発生することが無いととともに、筒体が路面に衝突しないので、路面への衝突音が小さいものである。
【0017】
請求項4に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、筒体及びキャップ部材の外径が、チェーン収納溝の横幅より小さく形成されているので、チェーンをチェーン収納溝に確実に収納することが出来る。
【0018】
請求項5に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、キャップ部材が弾性部材で形成されているので、キャップ部材がチェーンを挟持した際、十分な圧力を持ってチェーンを挟持できる構造にすることが出来る。さらに、キャップ部材の路面への衝突を緩和するので、衝突音を小さく出来るとともに、キャップ部材及び筒体、視認部の破損を防止することが出来る。
【0019】
請求項6に係るチェーンゲート用チェーン視認具によれば、視認部が再起性反射の反射体で形成されているので、ヘッドライトで照らされた際、運転者に反射してチェーンを確実に視認させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のチェーンゲート用チェーン視認具において、筒体は、内部にチェーンが挿通されてチェーンに取り付けるものであり、その材質、寸法、形状は特に限定されないが、筒体の外径は、チェーン収納溝の横幅より小さく形成することが好ましい。通常、チェーンゲートにおいては、チェーン収納溝が形成されているので、筒体の外径をチェーン収納溝の横幅より小さく形成することにより、既設のチェーンゲートに使用した場合であってもチェーンを収納することが出来、その結果、チェーンがタイヤで踏まれるのを防止することが出来る。
【0021】
筒体には光により視認させる視認部が設けられている。光による視認の態様としては、ヘッドライト等の光を反射することにより光を発する反射材を用いた態様と、自ら光を発する発光材を用いた態様とがあり、反射材としては、再起性反射の反射材等があり、発光材としては、蓄光剤、蛍光剤を用いた発光材がある。これらの反射材、発光材を筒体に視認部として設けるには、フィルム、シート状に形成したものを筒体の表面に貼付したり、筒体の表面に塗布したり、筒体の表面層を加工したりすることにより行うことが出来る。フィルムを貼付する態様の場合は、加工が簡単で、また、簡単に交換できる。さらに、反射材として、再起性反射のものを用いれば、運転者が反射光を確実に視認することが出来る。視認部は、筒体の全表面であっても、その一部であってもよく、また、昼間の視認性を向上させるために、視認性の良い色彩にすることが好ましい。
【0022】
固定部材は、筒体をチェーンに固定し、チェーンの長手方向への移動を防止するものである。固定手段は特に限定されず、チェーンに固定できる手段であればよい。例えば、筒体の両端部に着脱自在に設けたキャップ部材で固定することができ、このキャップ部材は、一対の略半円状をしたキャップ片からなり、両キャップ片でチェーンを挟持することによりキャップ部材を介して筒体をチェーンに固定するものである。
【0023】
キャップ部材は、筒体の外径より大きい外径に形成することが好ましい。外径を大きく形成することにより、チェーンを下降させた際、キャップが路面(通常、チェーン収納溝の底面)に当接することにより、筒体が路面に直接接触することが無い。したがって、筒体表面が路面と擦れて擦り傷が発生することが無いとともに、筒体が路面に衝突しないので、路面への衝突音が小さいものである。また、チェーン収納溝の横幅より小さい外径に形成することが好ましい。外径を小さく形成することにより、筒体の場合と同様に、既設のチェーンゲートに使用した場合であってもチェーンを収納することが出来る。
【0024】
キャップ部材の材質は特に限定されないが、弾性部材で形成することが好ましい。弾性部材で形成することにより、キャップ部材がチェーンを挟持した際、十分な圧力を持ってチェーンを挟持できる構造にすることが出来る。さらに、キャップ部材の路面への衝突を緩和するので、衝突音を小さく出来るとともに、キャップ部材及び筒体の破損を防止することが出来る。また、チェーンが路面と衝突した際の干渉音を小さくすることが出来る。すなわち、筒体によりチェーンを覆っているとともに、筒体はキャップにより直接路面に接触しないので、従来に比べてチェーンの路面に接触する長さが短くなり、その結果、チェーンの干渉音の低減化を図ることが出来る。弾性部材としては、各種ゴム(EPDM等)を用いることが出来る。
【0025】
本願発明によるチェーンゲート用チェーン視認具は、従来公知のチェーンゲートに用いることができ、チェーン大きさ、長さ等に対応して、使用個数、寸法等を適宜変更するものである。
【0026】
本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0027】
図1はチェーンゲート用チェーン視認具をチェーンに取付けた状態の正面図、図2は同右側面図、図3は同左側面図、図4は同平面図、図5は図3中A−A線断面図、図6は図1中B−B線断面図、図7はチェーンゲート用チェーン視認具に用いるキャップ部材のキャップ片の正面図、図8は同背面図、図9は同平面図である。
【0028】
図1〜図6において、符号10はチェーンゲート用チェーン視認具で、このチェーンゲート用チェーン視認具10には、チェーンゲート20のチェーン21が挿通している。チェーンゲート用チェーン視認具10は、円筒状の筒体30と、この筒体30の外表面に貼付された視認部としての再起性反射の反射フィルム40と、筒体30の両端部に固定されたキャップ部材50とで構成されている。筒体30の内面には、対向する部位の長手方向に亘って螺子孔31が形成されており、この螺子孔31にはキャップ部材50を取付けるための螺子が螺着される。また、筒体30の外径は、後述するチェーン収納溝の横幅より小さく形成されており、例えば、チェーン収納溝の横幅が50mmの場合、25mm程度に形成されており、また、長さは500mm程度に形成されている。
【0029】
キャップ部材50は、図7〜図9に示すような一対のキャップ片51を組み合わせて形成されており、このキャップ片51は、筒体30の端面に当接する略半円状の板部52と、この板部52の円弧状周縁において立ち上がって形成された係合部53とが形成されており、この係合部53は筒体30の端部の外表面に密接するものである。板部52の直線状周縁には、チェーン21の外径と略一致する内径を有する半円状のチェーン用係止孔54が2個形成されている。また、板部52に貫通して螺子用貫通孔55が形成されるとともに、板部52の裏側(筒体30に取付けた際、内側となり露出しない側、図9中、上側)には、チェーン21の動きを規制する係止突起56が形成されており、螺子用貫通孔55と係止突起56とは、略線対称の部位に位置している。
【0030】
キャップ部材50は、上述したキャップ片51を一対、その直線状周縁同士を当接するように組み合わせて構成する。すなわち、図2及び図3に示すように、一対のキャップ片51aとキャップ片51bを、チェーン用係止孔54aとチェーン用係止孔54bとが一致してチェーン21を挟持した状態で筒体30の端部に被嵌し、螺子57を螺子用貫通孔55を介して筒体30の螺子孔31に螺着している。したがって、チェーン21はチェーン用係止孔54a、54bで挟持された状態となっているので、動きが規制されている。
【0031】
また、この時、キャップ部材50の内面側においては、図6に示すように、螺子孔31と対向するように係止突起56があるので、チェーン21の周囲において略同心円状に螺子孔31と係止突起56とが配置されている。したがって、チェーン21は、螺子孔31と係止突起56とにより回動が規制されている。
【0032】
以上のようなチェーンゲート用チェーン視認具10をチェーン21を取付けるには、まず、筒体30をチェーン21の所定位置に配置し、一対のキャップ片51を、チェーン用係止孔54でチェーン21を挟持しつつ筒体30の端部に被せた後、螺子57を螺子孔31に螺着して終了する。
【0033】
次に、チェーンゲート用チェーン視認具10をチェーンゲート20に使用した態様について、図10〜図12を参照して説明する。図10はチェーンゲートを上昇させた状態の図、図11はチェーンゲートを下降させた状態の図、図12はチェーンゲートを下降させた際のチェーン収納溝おける拡大図である。
【0034】
図10及び図11において、チェーンゲート20は、駐車場の出入口の両端において、内部にチェーンの昇降装置が内蔵された支柱22が設けられており、この支柱22間にチェーン21が架設されている。また、支柱22間の路面において、チェーン21を収納するためのチェーン収納溝23が形成されている。
【0035】
このようなチェーンゲート20において、チェーン21の数箇所にチェーンゲート用チェーン視認具10を取付ける。すると、チェーン21の上昇時においては、チェーンゲート用チェーン視認具10により、チェーン21の略全長に亘って確実に視認することができる。また、チェーン21の下降時においては、チェーン21はチェーン収納溝23に収納されることとなるが、この時、図12に示すように、キャップ部材50がチェーン収納溝23の底面に当接するので、反射フィルム40に傷が付くことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具をチェーンに取付けた状態の正面図
【図2】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具をチェーンに取付けた状態の右側面図
【図3】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具をチェーンに取付けた状態の左側面図
【図4】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具をチェーンに取付けた状態の平面図
【図5】図3中A−A線断面図
【図6】図1中B−B線断面図
【図7】チェーンゲート用チェーン視認具に用いるキャップ部材のキャップ片の正面図
【図8】チェーンゲート用チェーン視認具に用いるキャップ部材のキャップ片の背面図
【図9】チェーンゲート用チェーン視認具に用いるキャップ部材のキャップ片の平面図
【図10】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具を使用したチェーンゲートを下降させた状態の図
【図11】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具を使用したチェーンゲートを下降させた状態の図
【図12】本発明によるチェーンゲート用チェーン視認具を使用したチェーンゲートを下降させた際のチェーン収納溝おける拡大図
【符号の説明】
【0037】
10 チェーンゲート用チェーン視認具
20 チェーンゲート
21 チェーン
22 支柱
23 チェーン収納溝
30 筒体
31 螺子孔
40 反射フィルム
50 キャップ部材
51 キャップ片
54 チェーン用係止孔
55 螺子用貫通孔
56 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンゲートのチェーンを挿通する筒体と、該筒体に設けられた光により視認させる視認部と、該筒体をチェーンに固定する固定部材とを具備することを特徴とするチェーンゲート用チェーン視認具。
【請求項2】
前記固定部材が、前記筒体の両端部に着脱自在に設けられるキャップ部材であり、該キャップ部材は、一対の分割されたキャップ片からなり、両キャップ片でチェーンを挟持することによりキャップ部材を介して筒体をチェーンに固定することを特徴とする請求項1記載のチェーンゲート用チェーン視認具。
【請求項3】
前記キャップ部材の外径が、筒体の外径より大きく形成されていることを特徴とする請求項2記載のチェーンゲート用チェーン視認具。
【請求項4】
前記筒体及びキャップ部材の外径が、チェーン収納溝の横幅より小さく形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載のチェーンゲート用チェーン視認具。
【請求項5】
前記キャップ部材が、弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項2、3又は4記載のチェーンゲート用チェーン視認具。
【請求項6】
前記視認部が、再帰性反射の反射体で形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のチェーンゲート用チェーン視認具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−180000(P2009−180000A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19687(P2008−19687)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】