説明

チオール含有フレグランスおよびフレーバー物質

本発明の一つの態様は、式(I)で表される化合物を提供するが、ここでRは水素またはアセチル基であり、Rは炭素数1〜3の直鎖または分岐状アルキル基である。本発明のまた別な態様は、少なくとも一つの式(I)の化合物を含むフレーバーまたはフレグランス組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、フレグランスおよびフレーバー組成物において使用するためのチオール含有化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成フレグランスおよびフレーバー成分を調製することおよびそれらを消費者製品において使用することについては、常に関心が持たれている。チオールは従来から、強い不快な香気を伴うとされてきたが、いくつかのケースでは、フレーバーおよびフレグランス組成物のいずれにおいても、フルーティなノートを付与することができる。
【0003】
フレーバーおよび/またはフレグランスにおいて使用するための具体的なチオール物質が開示されている。特許文献1には、3−メルカプトブタン酸エチルがフレーバーおよびフレグランス物質として開示されている。この化合物はクロトン酸エチルと硫化水素ナトリウムとからジスルフィドダイマーを調製し、次いでそれを還元して遊離のチオールとすることで得られる。
【0004】
特許文献2には、2−メチル−2−プロペン酸エステルにチオ酢酸を付加させることによって、3−メルカプト−2−メチルプロピオン酸エチルおよび3−アセチルチオ−2−メチルプロピオン酸エチルを合成することが記載されている。非特許文献1には、チオ酢酸をクロトン酸エチルに付加させてから、脱保護して、遊離のチオールとすることが記載されている。また、非特許文献2では、チオ酢酸をクロトン酸メチルに付加させている。保護されたチオールによって各種のブテン酸メチルに付加させることは、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5(フェニルチオ付加)、および非特許文献6(2−メチルブテン酸メチルへのヘキシルチオ付加)に記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、ヘキサン酸の3−メルカプトエチルエステルが開示されている。特許文献4には、フレーバー物質としての4−(チオアセトキシ)ブタン酸エチルが開示されている。特許文献5では、フレーバーおよび/またはフレグランス物質として使用するための、各種の2−スルファニル−2−メチルプロピオン酸エチルが記載されている。特許文献6には、フレグランス物質合成の中間体として、チグリン酸メチルにベンジルメルカプタンを付加させて、3−ベンジルメルカプト−2−メチルブタン酸メチルを生成させることが記載されている。特許文献7には、2−メチル−3−フェニルスルフィニルブタン酸メチルの調製法が記載されている。
【0006】
特許文献8には、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチルの開示があり、このものは医薬中間体であるとの記載がある。また、遊離酸の遊離チオール、3−メルカプト−2−メチルブタン酸(キラル)も合成中間体として記載されている。特許文献9には、医薬品の合成における、3−メルカプト基で置換されたカルボン酸が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,878,366号明細書
【特許文献2】米国特許第5,565,473号明細書
【特許文献3】米国特許第7,105,194号明細書
【特許文献4】米国特許第6,899,911号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/232747号明細書
【特許文献6】米国特許第6,610,346号明細書
【特許文献7】特開平03−074351号公報
【特許文献8】国際公開第2005/082346号
【特許文献9】米国特許第7,071,175号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nielsen and Madsen,Tetrahedron Asym.,1994,403〜410
【非特許文献2】Hutchinson et al.,J.Med.Chem.,1994,1153〜1164
【非特許文献3】Miyata et al.,JOC,1991,6556〜6564
【非特許文献4】Miyata et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.,I,1993,2861〜2862
【非特許文献5】Nishimura et al.,JOC,2002,431〜434
【非特許文献6】Lee et al.,Syn.Commun.,1996,2189〜2196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
依然として、ユニークなフレグランスおよびフレーバー組成物が必要とされ、求められている。フレグランスおよびフレーバー組成物のための成分、特にチオール含有化合物を調製するための、より効率的な合成方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
チグリン酸アルキル(たとえば、チグリン酸エチル)にチオールを付加させると、2−メチル基−3−チオール基を有するブタン酸アルキル化合物(たとえば、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル)が生成することが見出されている。このタイプの化合物は、有用な官能的性質を与え、一般的には、ヒトの嗅覚および/または味覚受容器細胞が知覚した場合に、快適さをもたらす。それらのエステルおよびチオ酢酸エステル類似体のいくつかの誘導体もまた興味ある嗅覚および/または味覚特性をもつ新規な物質であることが見出された。したがって、それらの化合物を含むユニークなフレグランスおよびフレーバー組成物が提供される。
【0011】
本発明の一つの特徴は、式(I)で表される化合物が提供される:
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rは、水素またはアセチル基であり、Rは、炭素数1〜3の直鎖または分岐状アルキル基である。またRがアセチル基であり、かつRがメチル基である化合物を除外する。]
【0014】
本発明のまた別な特徴としては、式(I)の少なくとも一つの化合物を含むフレーバーまたはフレグランス組成物(Rがアセチル基であり、かつRがメチル基である式(I)の化合物も含む)が提供される。そのフレーバーまたはフレグランス組成物を市販の商品に添加すると、その市販最終製品が消費されるときに、その味や香りを増幅させたり、改良することができる。
【0015】
ある実施態様においては、その化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される。またある実施態様においては、その化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される。さらにまたある実施態様においては、その化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書で使用する「フレグランス組成物」という用語は、1種または複数のフレグランス成分(いかなる形態のものであってもよい)、および1種または複数の溶媒または香料原料を含む混合物を指している。当業者には公知のように、フレグランス組成物には、1種または複数のフレグランス成分(たとえば、香料原料)が含まれていて、それが添加された組成物(たとえば、家庭用洗剤、パヒューム、またはその他の市販の商品)に香気を与えるようになっている。一つの具体例としては、そのフレグランス組成物には、2種以上のフレグランス成分が含まれていて、それらがまとまって、また加えられた溶媒と組み合わさり、意図された香気、例えば快適な「トロピカル」ノートを与える。
【0017】
一般的な用語では、「香料原料」は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酢酸エステル、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素系もしくは硫黄系のヘテロ環状化合物、および天然もしくは合成由来の精油など種々のタイプの化合物に属していて、通常の技量を有する当業の調香師には公知である。それらの成分の多くのものは、次のような参考文献に列記されている:S.アークタンダー(S.Arctander)『パヒューム・アンド・フレーバー・ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)』(1969,米国・ニュージャージー州・モントクレア(Montclair, New Jersy,USA)、またはその新しい版(それらそれぞれを、参照することにより本明細書に取り入れたものとする)。
【0018】
本明細書で使用する「フレーバー組成物」という用語は、経口投与および経口消費に適した溶媒と組み合わせたときに、所望のテイストを与えるような1種または複数の化合物(たとえば、香料原料)を含む組成物を指している。フレーバー組成物中に通常含まれるフレーバー付与香料原料の例は、S.アークタンダー(S.Arctander)『パヒューム・アンド・フレーバー・ケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)』(1969,米国・ニュージャージー州・モントクレア(Montclair, New Jersy,USA)に列記されている。フレーバー業界の当業者ならば、その一般的な知識に基づき、フレーバリングされる製品および所望のテイストの性質に応じて、それらを選択することができる。
【0019】
本明細書で使用する「消費者製品」または「最終製品」という用語は、市場に出された動向に従って、消費者によって直ぐに使用できるような形態になっている組成物を指している。消費者製品において使用するのに適当な溶媒は、その最終製品の他の成分と組み合わせたときに、意図されている消費用途にとって不適切な消費者製品とはならないようにした溶媒である。
【0020】
上述の化合物はいずれも、フレグランスまたはフレーバー組成物の中に加えることができる。一つの実施態様においては、上述の化合物のいずれであっても、フレグランス組成物の中に加えられる。別な実施態様においては、上述の化合物のいずれであっても、フレーバー組成物の中に加えられる。
【0021】
本発明の化合物は、合成的に調製することができる。一つの実施態様においては、本発明の化合物は、チオ酢酸をα,β−不飽和エステルに対してマイケル型の付加反応をさせ、次いで、そのチオ酢酸エステルを加水分解して、遊離のチオールとすることによって調製される。本発明の一つの実施態様においては、1モルのα,β−不飽和エステルを、1モルのチオ酢酸と共に3日間加熱還流させて、チオ酢酸エステル中間体を製造する。次いでそのチオ酢酸エステル中間体を、適切なアルコール中で過剰量の5%HClと共に加熱環流させて、チオ酢酸エステルから遊離のチオールへと加水分解させる。本発明における出発物質として使用されるα,β−不飽和エステル、すなわち2−メチル−2−ブテン酸エチル(チグリン酸エチル)、2−メチル−2−ブテン酸メチル(チグリン酸メチル)、および2−メチル−2−ブテン酸イソプロピル(チグリン酸イソプロピル)は、フレーバーおよびフレグランス産業の当業者ならば、市販品から入手することが可能である。食品グレードのチグリン酸エステル出発物質は、たとえば、ミズーリ州セントルイス(St.Loiuis,Missouri)のシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)(SAFC)から入手することができる。
【0022】
本発明の上記合成方法は、米国特許第6,878,366号明細書に記載されている方法よりも好ましい。その理由は、本発明の方法では、ジスルフィドの生成量を、避けられないかもしれないが、抑制するからである。
【0023】
本発明の方法のまた別な利点は、Rがアセチル基であり、Rが炭素数1から3の直鎖または分岐状アルキル基である、式(I)の化合物が生成することである。このタイプの化合物は、それ自体で、快適なフレグランスおよびテイストを消費者製品に付与することができる。
【0024】
本出願の1種または複数の化合物は、単独または他の共存成分との組合せで、フレグランスおよびフレーバー組成物、溶媒、媒体などの中に採用することができる。そのような化合物の使用は、フレグランス産業の中の広く各種の製品に適用することが可能であるが、そのような製品としてはたとえば以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):ロウソク;エアフレッシュナー;パヒューム;コロン;パーソナルケア製品たとえば、セッケン、デオドラント、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、およびシェービングローション;化粧料たとえば、ローションおよび化粧クリーム;さらには洗剤;ファブリックケア製品および家庭用洗剤/クリーニング剤。そのような化合物の使用は、フレーバー産業の中の広く各種の製品に適用することが可能であるが、そのような製品としてはたとえば以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):食料品たとえば、焼き菓子、乳製品、デザートなど;飲料たとえば、ジュース、ソーダ水、茶飲料、フレーバーウォーター、フルーツベースの「スムージー(smoothy)」飲料、ミルクベースの飲料など;菓子類たとえば、スイーツ、ハードキャンディ、ガム;ならびにゼリー状物、スナック、デザート、医薬品、オーラルケア製品など。
【0025】
本発明の化合物が、各種の製品にパヒューム付与またはフレーバー付与するための有用な成分であるので、本発明は、パヒューム類中またはフレーバー中で有利に採用しうる、本発明の化合物の種々の形態すべてにも関する。そのような形態には、式(I)の化合物およびパヒューム類中またはフレーバー組成物中で一般的に使用される溶媒を含むか、それらからなる(たとえば、それらから実質的になる)物質組成物が含まれる。パヒューム類の中で使用されるそのような溶媒の例は、当業者には公知であり、たとえば以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシ)−1−エタノール、クエン酸エチル、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくはその他のテルペン、イソパラフィンたとえば、イソパール(Isopar)(登録商標)(テキサス州ヒューストン(Houston,TX)のエクソンモービル・ケミカルズ(ExxonMobil Chemicals)製)の商標で知られているもの、ならびにグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルたとえば、ダウアノール(Dowanol)(登録商標)(ミシガン州ミッドランド(Midland,MI)のダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)製)の商標で知られているもの。フレーバーの中で一般的に使用される溶媒の例もまた当業者には公知であり、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、エタノール、植物油、およびテルペンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0026】
本発明の化合物は、フレグランス組成物に対して、フルーティ、ジューシー、トロピカル、スイートなノートを付与できるので、特に価値が高い。たとえば、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルは、フレグランス組成物にグアバ/マンゴー特性を付与するために使用することができる。フレグランス用途においては、式(I)の化合物の典型的な濃度は、そのフレグランス化合物を組み入れた組成物の全重量を基準にして、0.01ppm〜1重量%またはそれ以上のオーダーである。当業者であれば、所望のフレグランス/フレーバーおよび強度を与えるためには、本発明の化合物を所望のレベルで採用することができるであろう。一般的に言って、本発明の化合物は強烈な拡散性を有しているために、典型的にはかなり希釈して、比較的少量で使用することになるであろう。
【0027】
本発明によるパヒューム性組成物は、各種の共存成分および溶媒の単純な混合物の形態であってもよいし、あるいは、エマルションまたはマイクロエマルションのような2相系の形態であってもよい。そのような系は、当業者には周知である。
【0028】
先にも説明したように、本発明の化合物を含むことが可能な適切なパヒューム化最終製品としては、以下のようなものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):1)ロウソク、エアフレッシュナー、パヒュームおよびコロン、2)パーソナルケア製品たとえば、セッケン、デオドラント、シャンプー、コンディショナー、シャワージェルおよびシェービングローション;3)化粧料たとえば、ローションおよび化粧クリーム;さらには4)洗剤、ファブリックケア製品、および家庭用クレンザー/クリーニング剤。いくつかの最終製品中に存在させてもよい溶媒によっては、化合物が早々に分解してしまうのを防止することが必要となることもありうるが、それにはたとえば、カプセル化、安定剤の共存、または当業者に周知の他の方法などが挙げられる。
【0029】
本発明の化合物はたとえば以下のものに添加することができる:1)フレグランス製品;パヒューム;オードパヒューム;オードトワレ;オーデコロンなど;スキンケア化粧料、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリームおよびオイル、乳液、化粧水、化粧溶液、パック剤、メイクアップリムーバーなど;2)メイクアップ化粧料、ファンデーション、フェースパウダー、プレストパウダー、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、アイブローペンシル、アイパック剤、マニキュア液、マニキュアリムーバーなど;3)ヘアケア化粧料、ポマード、ブリリアンティン、セッティングローション、ヘアスティック、ヘアソリッド、ヘアオイル、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアスプレー、育毛剤、ヘアダイなど;4)日焼け化粧料、サンタン製品、サンスクリーン製品など;5)薬用化粧料、制汗剤、アフターシェーブローションおよびゲル、パーマネントウェーブローション、薬用セッケン、薬用シャンプー、薬用スキンケア製品など;6)ヘアケア製品、シャンプー、リンス、シャンプー含有リンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパックなど;7)セッケンとして、化粧セッケン、浴用セッケン、パヒューム化セッケン、透明セッケン、合成セッケンなど;8)ボディ洗浄セッケン、ボディセッケン、ボディシャンプー、手洗いセッケンなど;9)入浴、入浴剤(たとえば、バスソルト、バスタブレット、バスリキッドなど)、発泡バス(バブルバスなど)、バスオイル(たとえば、バスパヒューム、バスカプセルなど)、ミルクバス、バスゲル、バスキューブなど;10)洗剤、衣料用ヘビーデューティ洗剤、衣料用ライトデューティ洗剤、液状洗剤、クリーニングセッケン、コンパクト洗剤、粉セッケンなど;11)柔軟仕上げ剤、柔軟剤、家具ケア製品など;およびデオドラント、芳香物質など;12)防虫剤、殺虫剤など;13)オーラルケア製品たとえば、練り歯磨き、口内清浄剤、うがい薬、トローチ、チューインガムなど;ならびに14)医薬品製品、湿布薬、外用スキンケア医薬品たとえば化粧クリーム、内用投与薬剤など。
【0030】
さらに、本発明の化合物は、それらの各種の形態で、共存成分または補助剤と組み合わせて、たとえば、フレーバー付与した組成物、食品または飲料にテイストを付与するために、組成物またはフレーバー化製品の中に組み入れることもできる。したがって、本発明の化合物を、いかなる形態であるとしても、フレーバー付与成分として使用することは、本発明のもう一つの目的であり、本発明の化合物を含むフレーバー組成物でも同様である。
【0031】
一つの実施態様においては、フレーバー組成物の中に組み入れるための化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルから選択される。一つの実施態様においては、フレーバー組成物の中に組み入れるための化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチルおよび3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルの群から選択される。一つの実施態様においては、フレーバー組成物の中に組み入れる化合物から、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルが除外される。
【0032】
本発明によるフレーバー組成物は、フレーバー付与成分の単純な混合物の形態であっても、あるいはたとえば、固体マトリックスの中にフレーバー付与組成物が閉じ込められたカプセル化された形態であってもよい。当該固体マトリックスは成壁性で可塑化性の物質たとえば、モノ−、ジ−もしくはトリ−サッカライド、天然または変性デンプン、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチンを含んでいてもよい。特に有用なマトリックス物質の例としては、たとえば以下のものが挙げられる:スクロース、グルコース、ラクトース、レブロース、フルクトース、マルトース、リボース、ブドウ糖、イソマルト、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ペンタトール、アラビノース、ペントース、キシロース、ガラクトース、マルトデキストリン、デキストリン、化学的に変性したデンプン、水素化加水分解デンプン、スクシニル化または加水分解デンプン、寒天、カラゲナン、アラビアゴム(gum arabic、gum accacia)、トラガカント、アルギネート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、誘導体、ゼラチン、寒天、アルギネート、およびそれらの混合物。カプセル化は当業者には周知であり、たとえば、たとえばスプレー乾燥法、凝集法もしくは押出法のような技術、またはコアセルベーション法および複合コアセルベーション法のようなコーティングカプセル化法を使用して実施するのがよい。
【0033】
本発明の化合物は、トロピカル、ベリーおよび野菜のノートを付与したり、さらにはフレーバー成分にクリーム状を与えたりすることが可能であるので、特に価値が高い。具体的には、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルは、フレーバー組成物にグアバ特性を付与するために使用することができる。フレーバー用途では、式(I)の化合物の典型的な濃度は、0.1ppb〜100ppmのオーダーであり、適用濃度を、0.001ppm〜0.01ppmの範囲にまで低下させるのが好ましい。本発明の化合物は、約0.005ppmの濃度で、パイナップル、グアバ、グレープフルーツおよびその他のトロピカルフルーツのフレーバーを高めることが見出された。当業者であれば、所望のフレーバーおよび強度を与えるためには、前記化合物を所望のレベルで採用することができるであろう。その化合物が、濃縮されたフレーバーおよびフレーバー組成物において使用される場合には、もっと高い濃度を採用してもよい。
【0034】
一つの実施態様においては、本発明の化合物が、チューインガムおよび風船ガムならびに菓子類(たとえば、ハードキャンディもしくはソフトキャンディ、または薬用ドロップ(lozenge))に含まれるか、または使用される。チューインガム組成物には、典型的には、1種または複数のガムベースおよびその他の標準的な成分たとえば、フレーバー付与剤、軟化剤、甘味料などが含まれている。チューインガム組成物において使用するためのフレーバー付与剤は周知であり、たとえば、柑橘油、ハッカ油、スペアミント油、ウィンターグリーン油、天然メントール、シナモン、ジンジャーなどの天然フレーバー;たとえば、メントール、カルボン、リモネン、ケイ皮アルデヒド、リナロオール、ゲラニオール、エチル酪酸エステルなどの人工フレーバーが挙げられる。当業者には公知であるように、チューインガム組成物中で使用される成分として甘味料を含んでよく、甘味料としては天然および人工であっても、また有糖および無糖であってもよい。甘味料は典型的には、チューインガム組成物の中に、チューインガム組成物の全重量を基準にして、約20%〜80重量%、好ましくは約30%〜60重量%の量で存在させる。無糖の甘味料としては、ソルビトール、マニホールド、キシリトール、水素化加水分解デンプン、マリトールなどの糖アルコールが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。高強度甘味料たとえば、スクラロース、アスパルテーム、ネオテイム(neotame)、アセスルフェイム(acesulfame)塩などを使用する場合には、それらは典型的には、約1.0重量%までの量で存在させる。
【0035】
また別な実施態様においては、本発明の化合物が、オーラルパーソナルケア製品(たとえばうがい液または練り歯磨き)の中に含まれる。たとえば、うがい液は、本発明の化合物を含むフレーバー組成物(たとえば、フレーバーカクテル)(液体状または固体状)を、たとえばメントールのようなフレーバーおよび界面活性剤をさらに含む溶媒(たとえば、水)の中に溶解させて、得られた溶液を、たとえばエリスリトール水溶液と混合することにより調製することができる。
【0036】
本発明の一つの実施態様においては、本発明の化合物を、治療活性薬剤(たとえば、薬物)を含む医薬品の剤形(たとえば、錠剤、カプセル、ドロップまたは薬用ドロップ)に直接的または間接的に添加する。たとえば、本発明の一つの実施態様は、1種または複数の本発明の化合物を含み、場合によってはさらにメントールまたは喉頭痛、咳そうまたはその他の上気道疾患の治療のためのその他の薬物を含む、咳止めドロップまたは薬用ドロップを提供する。
【0037】
本発明の化合物の1種または複数はさらに、たとえば以下のものを調製するための組成物に添加することもできる:1)炭酸入りまたは炭酸抜きのフルーツ飲料、炭酸入りコーラ飲料、ワインクーラー、フルーツリカー(fruit liquor)、コーディアル、ミルク飲料、スムージー飲料、フレーバーウォーター、トロピカルアルコール性「バージン」カクテル(たとえば、マルガリータ、ピーニャコラーダまたは濃縮「ラムランナー」)、および飲料のための粉体(たとえば、粉末スポーツ飲料または「水分補給(hydrating)」飲料);2)冷凍菓子たとえば、アイスクリーム、シャーベット、アイスキャンディ、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、タッフィー、チョコレート、およびシュガーレスキャンディ;3)デザートたとえば、ゼリーおよびプリン;4)菓子たとえば、ケーキ、クッキー、チューインガム、および風船ガム;5)香辛料、スパイスおよびシーズニング、ドライシリアル、オートミール、およびグラノーラクッキー;6)アルコール性飲料、エネルギー飲料、ジュース、茶飲料、コーヒー、サルサソース、およびゲルビーズ(gel beads);7)口臭のためのフィルム片、およびオーラルパーソナルケア製品;8)ゼラチンキャンディ、ペクチンキャンディ、デンプンキャンディ、薬用ドロップ、咳止めドロップ、喉用薬用ドロップ、喉用スプレー、および練り歯磨き。
【0038】
本発明の化合物はさらに、たとえば以下のものに添加してもよい;1)和菓子たとえば、饅頭(buns with bean−jam filling)、羊羹(bars of sweet jelied bean paste)、およびみたらし団子(sweet jellied pounded rice);2)ジャム;キャンディ;3)パン;4)飲料たとえば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶(persimmon leaf tea)、カモミール茶、クマザサ茶(Sasa veitchii tea)、桑の葉茶(mulberry leaf tea)、ドクダミ茶(Houttuynia cordata tea)、プーアル茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、エスプレッソ、ホットエスプレッソ、コールドエスプレッソ、エスプレッソおよび/またはコーヒーをミルクと混合して得られるコーヒー製品、水またはその他の飲用に適した液体(たとえば、ラッテ、カフェオレ、カフェモカ)、およびココア;5)スープたとえば、和風風味スープ(Japanese flavor soup)、洋風風味スープ、および中華風風味スープ;6)調味料;7)各種インスタント飲料および食品;8)各種スナック食品、ならびに9)その他の飲食用調合物。
【実施例】
【0039】
以下に示す実施例の手段を用いて本出願をさらに説明するが、そこでの略語は、当業者が通常用いる意味を有している。温度は、摂氏(℃)で示し;NMRスペクトルデータは、CDCl中で、500MHzの装置を用いて、Hおよび13Cについて記録した。ケミカルシフト(chemical displacement)は標準のTMSからのppmで示し、J−カップリング定数は、Hzの単位で表している。
【0040】
このような実施例を使用しているのは、説明のためだけであって、いかなる点においても、本発明の範囲および意味合い、または例示されたいかなる項目も限定するものではない。同様にして、本発明は本明細書に記載されたいかなる具体的な好ましい実施態様に限定されるものでもない。実際のところ当業者が本明細書を読めば本発明の各種の修正および変法は明らかであろう。したがって本発明は、添付された特許請求項の条項ならびにそれらの特許請求項が権利を主張している等価物の全範囲のみに限定されるものである。
【0041】
実施例1:3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルの合成
チグリン酸エチル(10g)(コネチカット州ダンベリー(Danbury、CT)のベドウキアン・リサーチ・インコーポレーテッド(Bedoukian Research Inc.)製)とチオ酢酸(5.9g)とを、150℃で3日間加熱還流させた。未転換の出発物質を蒸留した(7T、35℃)。蒸留されなかった、粘度の高い赤色の油状物を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中2%酢酸エチル)にかけ、溶媒を濃縮すると、透明な油状物(6.4g、40%)が立体異性体の混合物として得られた。
オドア(DPG中1000ppm):調理したタマネギ、トロピカルフルーツ。
GC/MS(EI):m/z(%)204(4)、161(78)、129(19)、115(30)、102(24)、56(32)、43(100)。
HNMR(CDCl):δ 4.08〜4.17(m,2H)、3.84〜3.93(m,1H)、2.59〜2.76(m,1H)、2.30(s,3H)、1.17〜1.33(m,9H))。
13CNMR(CDCl):δ 194.9、174.0、60.6、44.8、30.7、19.4、18.5、14.6、14.2。
【0042】
実施例2:3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルの合成
カラムクロマトグラフィーにかける前の実施例1の粗製物(約9g)を、10mLのエタノールおよび数滴の10MのHCl(エタノール中)と共に12時間加熱還流させた。蒸留(8.5T、75℃)によって、遊離のチオールが、透明な油状物(3.7g、52%)として、そして立体異性体の混合物として得られた。
オドア(DPG中1ppm):グアバ、マンゴー、エキゾチックフルーティノート、ジューシー、スイート、トロピカル、および熟れた臭い。
GC/MS(EI):m/z(%)162(34)、134(2)、129(34)、89(52)、74(77)、56(100)。
HNMR(CDCl);δ 4.08〜4.17(m,2H)、3.14〜3.31(m,1H)、2.46〜2.58(m,1H)、1.67 and 1.50(2d,J=7.79Hz,ジアステレオマーの1H混合)、1.17〜1.35(m,9H)。
13CNMR(CDCl)(ジアステレオマー混合物):δ 174.6、60.9、60.6、48.8、47.7、37.8、23.6、21.9、14.3、13.5。
【0043】
実施例3:3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチルの合成
反応条件は実施例1と同様であったが、ただし出発成分としてチグリン酸メチル(ミズーリ州セントルイス(St.Loiuis,Missouri)のシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)製)を使用した。
収率:35%。
オドア(DPG中100ppm):フルーティ、硫黄臭、グリーン、脂肪、タマネギ。
GC/MS(EI):m/z(%)190(4)、160(1)、147(60)、115(31)、88(36)、83(12)、73(2)、59(36)、56(21)、43(100)。
HNMR(CDCl):δ 3.83〜3.93(m,1H)、3.67(異性体の2s混合,3H)、2.62〜2.78(m,1H)、2.29(s,3H)、1.26〜1.32(異性体の2d混合,J=6.83Hz,3H)、1.16〜1.20(異性体の2d混合,J=7.33Hz,3H)。
13CNMR(CDCl):δ 194.9、174.5、52.0、44.7、41.7、30.7、19.3、14.6。
【0044】
実施例4:3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチルの合成
反応条件は実施例2と同様であったが、ただし出発成分として実施例3の反応生成物を、溶媒としてメタノールを使用した。
収率:44%。
オドア(DPG中1ppm):タマネギ、グリーン野菜、桃、トロピカルフルーツ、金属臭。
GC/MS(EI):m/z(%)148(46)、115(25)、88(100)、61(64)、59(100)。
HNMR(CDCl):δ 3.69(異性体のs混合,3H)、3.13〜3.30(m,1H)、2.48〜2.58(m,1H)、1.66 and 1.51(2d,J=7.34Hz,ジアステレオマーの1H混合)、1.31〜1.34(異性体の2d混合,J=6.87Hz,3H)、1.18〜1.27(異性体の2d混合,J=6.87Hz,3H)。
13CNMR(CDCl)(ジアステレオマー混合物):δ 175.0、51.9、51.6、48.7、47.6、37.7、37.1、23.5、21.9、14.3、13.5。
【0045】
実施例5:3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸イソプロピルの合成
反応条件は実施例1と同様であったが、ただし出発成分としてチグリン酸イソプロピル(ミズーリ州セントルイス(St.Loiuis,Missouri)のシグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)製)を使用した。
収率:65%。
オドア(DPG中100ppm):過熟フルーツ、グリーン、脂肪、オレンジ、スパークリング。
GC/MS(EI):m/z(%)218(5)、175(98)、133(32)、83(31)、56(49)、43(100)。
HNMR(CDCl):δ 4.96〜5.04(m,1H)、3.84〜3.89(m,1H)、2.56〜2.70(m,1H)、2.30(s,3H)、1.28〜1.33(異性体の2d混合,J=6.87Hz,3H)、1.16〜1.25(m,9H))。
13CNMR(CDCl):δ 195.0、173.5、68.0、44.9、41.6、30.7、21.8、19.5、14.6。
【0046】
実施例6:3−メルカプト−2−メチルブタン酸イソプロピルの合成
反応条件は実施例2と同様であったが、ただし出発成分として実施例5の反応生成物を、溶媒としてイソプロピルアルコールを使用した。
収率:37%。
オドア(DPG中1ppm):エキゾチックフルーツ、スイート、硫黄臭、脂肪、フローラル、かすかにバラ様。
GC/MS(EI):m/z(%)176(48)、143(14)、134(72)、117(51)、89(91)、61(93)、56(100)。
HNMR(CDCl):δ 4.98〜5.05(m,1H)、3.14〜3.30(m,1H)、2.42〜2.53(m,1H)、1.67 and 1.49(2d,J=7.33Hz,ジアステレオマーの1H混合)、1.31〜1.35(m,3H)、1.17〜1.25(m,9H)。
13CNMR(CDCl)(ジアステレオマー混合物):δ 174.2、68.3、67.6、48.8、47.9、37.8、23.6、21.8、14.2、13.5。
【0047】
実施例7:フレグランス組成物
グアバ、フルーティノートを有する下記のフレグランス組成物を調製した。合計して1000部の量を基準にしている。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例8:フレーバー組成物
以下の成分(百分率基準)からなるグアバフレーバーを調製した。
【0050】
【表2】

【0051】
実施例9:チューインガム組成物
以下に示す成分から、フレーバーを付与したチューインガムを調製することができる。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例10:チュウイーキャンディ(chewy candy)組成物
以下に示す成分から、チュウイーキャンディを調製することができる。
【0054】
【表4】

【0055】
実施例11:プレストキャンディ(Pressed Candy)組成物
以下に示す成分から、プレストキャンディを調製することができる。
【0056】
【表5】

【0057】
実施例12:ハードキャンディ組成物
以下に示す成分から、ハードキャンディを調製することができる。
【0058】
【表6】

【0059】
実施例13:チューインガム組成物
以下に示す成分から、ストローベリーライムフレーバーを有するフレーバー化チューインガムを調製することができる。
【0060】
【表7】

【0061】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様によって、その範囲が限定されるものではない。実際のところ、本明細書に記載されたものに加えて、各種の本発明の修正は、上述の記述および添付の図面から、当業者には自明であろう。そのような修正は、本願発明の範囲内に入るであろうと考えられる。
【0062】
さらに、すべての数値はおおよそのものであって、説明のために与えられたものであることも理解されたい。
【0063】
特許、特許出願、公刊物、製品説明文書、およびプロトコールが、本出願全体に引用されているが、それらそれぞれの開示は、そのすべてを、すべての目的のために、参考として引用し本明細書に組み入れるものとする。
【0064】
本出願は、2008年10月10日出願の米国特許仮出願第61/104,389号の利益を主張するものであって、該出願を参照することによりそのすべてを本明細書に取り入れたものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物。
【化1】

[式中、Rは水素またはアセチル基であり、Rは炭素数1〜3の直鎖または分岐状アルキル基であるが、ただし、Rがアセチル基の場合には、Rはメチル基ではない。]
【請求項2】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
消費者製品へ添加するためのフレグランスまたはフレーバー組成物であって、下記式(I)で表される化合物
【化2】

[式中、Rは水素またはアセチル基であり、Rは炭素数1〜3の直鎖または分岐状アルキル基である]を、前記消費者製品にフレグランスまたはフレーバーを付与するのに有効な量で添加することを含む、組成物。
【請求項5】
消費者製品において使用するのに適した溶媒をさら含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、ヒトの皮膚に局所的に塗布するのに適しており、前記組成物が、フレグランス組成物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール、クエン酸エチル、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、テルペン、イソパラフィン、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、またはそれらの組合せからなる群より選択され、そして前記組成物が、フレグランス組成物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶媒が、ヒトに経口投与するのに適したものであり、そして前記組成物が、フレーバー組成物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶媒が、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、エタノール、植物油、およびテルペンからなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項4に記載の組成物を含む、消費者製品。
【請求項13】
ロウソク、エアケア製品、パヒューム、コロン、セッケン、パーソナルケア製品、洗剤、ファブリックケア製品、および家庭用クリーニング製品からなる群より選択される、請求項12に記載の消費者製品。
【請求項14】
エアケア製品、パヒューム、およびコロンからなる群より選択される、請求項12に記載の消費者製品。
【請求項15】
飲料、飲料のための粉体または半冷凍/冷凍濃縮物、キャンディ、シュガーレスキャンディ、チョコレート、チューインガム、風船ガム、香辛料、スパイス、シーズニング、ドライシリアル、オートミール、グラノーラクッキー、アルコール系飲料、エネルギー飲料、ジュース、茶飲料、コーヒー、サルサソース、ゲルビーズ、口臭のためのフィルム片、薬用ドロップ、咳止めドロップ、喉用薬用ドロップ、喉用スプレー、練り歯磨き、および口洗液からなる群より選択される、請求項12に記載の消費者製品。
【請求項16】
飲料、チューインガム、および風船ガムからなる群より選択される、請求項15に記載の消費者製品。
【請求項17】
市販の商品にフレーバーまたはフレグランスを付与する方法であって、前記消費者製品に、下記式(I)で表される化合物
【化3】

[式中、Rは水素またはアセチル基であり、Rは炭素数1〜3の直鎖または分岐状アルキル基である]を含むフレーバーまたはフレグランス組成物を、前記消費者製品にフレグランスまたはフレーバーを付与するのに有効な量で添加することを含む、方法。
【請求項18】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチル、および3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチル、3−メルカプト−2−メチルブタン酸メチル、3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸メチルおよび3−アセチルチオ−2−メチルブタン酸エチルからなる群より選択される化合物と、ヒトの皮膚に局所的に塗布するのに適した溶媒とを含む、コロンまたはパヒューム。
【請求項21】
前記化合物が、3−メルカプト−2−メチルブタン酸エチルである、請求項20に記載のコロンまたはパヒューム。

【公表番号】特表2012−505255(P2012−505255A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531251(P2011−531251)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/060469
【国際公開番号】WO2010/042938
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】