説明

チゲサイクリンの精製法

チゲサイクリンなどのテトラサイクリンを調製および精製する方法を開示する。また、該方法によって調製されたチゲサイクリン組成物などのテトラサイクリン組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号第60/685,626号(2005年5月27日出願)の利益を主張し、その内容は、出典明示により本明細書の一部とされる。
本明細書において、式1:
【化1】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法が開示される。
【0002】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rは−NRであり、ここに、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。例えば、チゲサイクリンである。チゲサイクリンは、(9−(t−ブチル−グリシルアミド)−ミノサイクリン,TBA−MINO)、(4S,4aS,5aR,12aS)−9−[2−(tert−ブチルアミノ)アセトアミド]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミドであり、ここに、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。チゲサイクリンは、グリシルサイクリン抗生物質であり、半合成テトラサイクリン、ミノサイクリンの類似体である。チゲサイクリンは、ミノサイクリンの9−t−ブチルグリシルアミド誘導体であり、下記の構造式で示されるとおりである。
【化2】

チゲサイクリン
【背景技術】
【0003】
チゲサイクリンは、抗生物質耐性の出現に対する世界中の脅威に応答して開発された。チゲサイクリンは、イン・ビトロおよびイン・ビボの両方における幅広いスペクトルの抗菌活性を拡大した。テトラサイクリン抗生物質のようなグリシルサイクリン抗生物質は、細菌中の蛋白質翻訳を阻害することによって作用する。
【0004】
チゲサイクリンは、テトラサイクリンファミリーの既知の抗生物質であり、ミノサイクリンの化学類似体である。それは、薬剤耐性細菌に対する治療として用いることができ、他の抗生物質が働かなかった場所で作用することが示された。例えば、それは、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(enterococci)に対して(D.J. Beidenbach et. al., Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 40:173-177 (2001); H.W. Boucher et. al., Antimicrobial Agents & Chemotherapy 44:2225-2229 (2000); P.A. Bradford Clin. Microbiol. Newslett. 26:163-168 (2004); D. Milatovic et. al., Antimicrob. Agents Chemother. 47:400-404 (2003); R. Patel et. al., Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 38:177-179 (2000); P.J. Petersen et. al., Antimicrob. Agents Chemother. 46:2595-2601 (2002); and P.J. Petersen et. al., Antimicrob. Agents Chemother. 43:738-744(1999))、およびテトラサイクリン耐性の2つの主要な形態、すなわち、排出およびリボソーム保護のいずれかを有する生物に対して(C. Betriu et. al., Antimicrob. Agents Chemother. 48:323-325 (2004); T. Hirata et. al. Antimicrob. Agents Chemother. 48:2179-2184 (2004); and P.J. Petersen et. al., Antimicrob. Agents Chemother. 43:738-744(1999))活性である。
【0005】
チゲサイクリンは、グラム陰性およびグラム陽性病原菌、嫌気菌、ならびにスタフィロコッカス・アウレウスのメチシリン感受性およびメチシリン耐性の両方の株(MSSAおよびMRSA)によって引き起こされうる多くの細菌感染、例えば、複雑な腹内感染(cIAI)、複雑な皮膚および皮膚構造感染(cSSSI)、市中肺炎(CAP)、および院内肺炎(HAP)適応症の治療において使用されうる。さらに、チゲサイクリンは、TetMおよびTetK耐性決定因子を有する細菌によって引き起こされる温血動物における細菌感染を治療または抑制するために使用されうる。また、チゲサイクリンは、骨および関節感染、カテーテル関連好中球減少症、産婦人科の感染の治療、または他の耐性病原菌、例えば、VRE、ESBL、腸内菌、急速増殖性マイコバクテリウムなどの治療に用いられうる。
【0006】
チゲサイクリンは、エピマー化によって分解しうるといういくつかの欠点を有する。エピマー化は、一般にテトラサイクリン類における既知の分解経路であるが、分解速度はそのテトラサイクリンによって異なる。比較的に、テトラサイクリンのエピマー化速度は、例えば、弱酸性条件および/または軽度に上昇させた温度下であっても、早い。テトラサイクリンの文献は、科学者がテトラサイクリン類のエピマー形成を最小限にする試みに用いた数種類の方法を報告している。いくつかの方法において、テトラサイクリンとカルシウム、マグネシウム、亜鉛またはアルミニウム金属との塩の形成が非水性溶液中、塩基性pHで行った場合、エピマー形成を制限する(Gordon, P.N, Stephens Jr, C.R., Noseworthy, M. M., Teare, F.W., U.K. Patent No. 901,107)。他の方法(Tobkes,米国特許第4,038,315号)において、金属錯体の形成が酸性pHで行われ、次いで、該薬剤の安定な固体形態が調製される。
【0007】
チゲサイクリンは、たった一つの点において、構造的にそのエピマーとは異なる。
【化3】

【0008】
チゲサイクリンにおいて、第4炭素におけるN−ジメチル基は、上記式Iに示されるように隣接する水素に対してシスであり、一方、そのエピマー(すなわち、C−エピマー)において、それらは、式IIにおいて示されるように互いにトランスである。チゲサイクリンエピマーは無毒であると考えられるが、ある条件下において、チゲサイクリンの抗菌力を失うことがあり、故に、望まれない分解産物である。さらに、チゲサイクリンを大規模に合成する場合、エピマー化の量が拡大する可能性がある。
【0009】
エピマー形成を減少させるための他の方法には、製造過程の間のpHを約0.6以上に維持すること;ギ酸塩、酢酸塩、リン酸塩またはボロン酸塩などの弱酸のコンジュゲートとの接触を避けること;および水ベースの溶液を包含する水分との接触を避けることがある。水分からの保護に関しては、NoseworthyおよびSpiegel(米国特許第3,026,248号)、およびNashおよびHaeger(米国特許第3,219,529号)が薬物安定性を改善するために、非水性ビヒクル中においてテトラサイクリン類似体を処方することを提唱した。しかしながら、これらの開示に包含されるビヒクルのほとんどは、非経口使用よりも局所的使用に適する。テトラサイクリンエピマー化は、また、温度依存性であることが知られており、それ故、低温でのテトラサイクリンの製造および貯蔵もまた、エピマー形成の速度を減少させることができる(Yuen, P.H., Sokoloski, T.D., J. Pharm. Sci. 66: 1648-1650, 1977; Pawelczyk, E., Matlak, B, Pol. J. Pharmacol. Pharm. 34: 409-421, 1982)。これらの方法のいくつかは、チゲサイクリンを用いて試みられたが、さらなる分解物(degradant)を導入しないで、エピマー形成および酸化的分解の両方を減少させることに成功したものはない。例えば、金属錯体化は、一般に塩基性pHにおいて、エピマー形成または分解のいずれにもほとんど影響しないことが分かった。
【0010】
リン酸、酢酸およびクエン酸バッファーの使用は溶液状態の安定性を改善するが、凍結乾燥状態におけるチゲサイクリンの分解を加速するようである。しかしながら、バッファーを用いなくても、エピマー化は、ミノサイクリンなどの他のテトラサイクリン類よりもチゲサイクリンで深刻な問題である。
【0011】
−エピマー以外の不純物には、酸化副産物がある。これらの副産物のいくつかは、アミノフェノールである該分子のD環の酸化によって得られる。式3の化合物(下記スキームI参照)は、C−11およびC−12a位置において容易に酸化されることができる。非溶媒を用いる沈殿による式3の化合物の単離は、酸化副産物および金属塩が生成物と共沈殿し、その結果、非常に低い純度をもたらすという問題を有することがある。式3の化合物の核の酸化および分解は、塩基性反応条件下でより著しく、大規模操作では、処理時間が典型的には長く、化合物がより長時間塩基に接触するので、もっと著しい可能性がある。
【0012】
さらに、分解産物は、スキームの異なる合成段階の各々の間に得られ、これらの分解産物から必要な化合物を分離するのは面倒である。例えば、シリカゲル上のクロマトグラフィーや分取HPLCなどの従来の精製技術は、これらの化合物のキレート化性質のために、これらの化合物を容易に精製するのに使用することができない。いくつかのテトラサイクリンは、EDTAなどの封鎖剤を含有する緩衝化固定相で飽和させた珪藻土製のカラムを用いる分配クロマトグラフィーによって精製されたが、これらの技術には、非常に低い分離率、再現性およびキャパシティーという欠点がある。これらの欠点は、大規模合成を妨げる可能性がある。HPLCもまた、精製に用いられたが、HPLCカラム上での種々の成分の十分な分離には、移動相中におけるイオン対合剤の存在が必要となる。最終産物を移動相中の封鎖剤およびイオン対合剤から分離するのは困難である。
【0013】
小規模では、沈殿によって得られた不純な化合物を分取逆相HPLCによって精製することもできるが、逆相液体クロマトグラフィーによる精製は、キログラム量の物質を扱う場合には効果的ではなく、費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、式1で示される少なくとも1つの化合物を以前に達成されたよりも精製された形態で得ることに対する必要性が依然としてある。また、精製のためのクロマトグラフィーの使用を最小限にするために、新規な合成に対する必要性も依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書において、一般に下記のスキームIに示されるような、チゲサイクリンなどのテトラサイクリン類を製造するための方法が開示される。
【化4】

スキームI
【0016】
およびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である。
【0017】
式2の化合物は、また、ミノサイクリンまたはミノサイクリン誘導体としても知られている。式2の化合物と少なくとも1つのニトロ化剤との反応により、−NO置換基がもたらされ、式3の化合物が形成される。式3における−NO置換基は、次いで、例えば水素化によって、アミノに還元されて式4の化合物が形成される。最終的に、式4の化合物のアシル化が式1の化合物をもたらす。
【0018】
本明細書において、式1の化合物を製造するための反応、例えば、ニトロ化、還元およびアシル化反応を実施するための方法が開示される。また、式1の化合物を精製するための方法が開示される。
【0019】
本明細書中に開示される方法は、所望の生産物を形成することができ、同時に、最終産物中に存在する少なくとも1つの不純物、例えば、エピマー形成、出発試薬の存在および酸化副産物の量を減少させる。かかる不純物減少は、合成の少なくとも1つの段階で、すなわち、ニトロ化、還元およびアシル化反応のいずれか1つの間に達成されることができる。本明細書中に開示される方法は、また、最終産物の適当な純度を伴う大規模合成を容易にすることができる。
【0020】
図面
図1は、チゲサイクリンを調製するための例示的スキームを示す。
【0021】
図2は、チゲサイクリンを調製するための例示的スキームを示す。
【0022】
図3は、チゲサイクリン調製するための例示的スキームを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
定義
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別に明記しないかぎり、複数の対象を包含することに留意されたい。かくして、例えば、「化合物」を含有する組成物は、2以上の化合物の混合物を包含する。また、「または」なる語は、一般に、別に明記しないかぎり、「および/または」を包含する意味で使用されることに留意されたい。
【0024】
「チゲサイクリン」なる語は、本明細書中で使用される場合、遊離塩基形態および塩形態、例えば、いずれかの医薬上許容される塩、エナンチオマー、およびエピマーの形態のチゲサイクリンを包含する。チゲサイクリンは、本明細書中で使用される場合、当該分野で既知の方法にしたがって処方されうる。
【0025】
「化合物」なる語は、本明細書中で使用される場合、中性化合物(例えば、遊離塩基)、およびその塩形態(例えば、医薬上許容される塩)をいう。化合物は無水形態、または水和物として、または溶媒和物として存在することができる。化合物は、立体異性体(例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマー)として存在していてもよく、また、エナンチオマー、ラセミ混合物、ジアステレオマー、およびその混合物として単離されることができる。固体形態の化合物は、種々の結晶形態およびアモルファス形態において存在することができる。
【0026】
「医薬上許容される」なる語は、本明細書中で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応あるいは妥当なリスク/効果比に見合った他の問題または合併症を伴うことなく、患者の組織と接触させて用いるのに適当な化合物、材料、組成物および/または投与形をいう。
【0027】
「シクロアルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、3〜6個の環メンバーを有する飽和炭素環系をいう。
【0028】
「複素環」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1個の窒素環メンバーを含有し、かつ、各環に3〜6個の環メンバーを有する単環式複素環基であって、各環が飽和されており、別に置換されていないものをいう。
【0029】
ニトロ化
1の具体例は、式1:
【化5】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法を開示する。
【0030】
1の具体例は、ニトロ化産物を単離しないニトロ化反応を開示する。したがって、1の具体例において、該方法は、
(a)少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化6】

の少なくとも1つの化合物またはその塩とを反応させて、中間体を含む反応混合物を調製し、次いで
(b)さらに、中間体を反応させて式1の少なくとも1つの化合物を生成することを特徴とする。
【0031】
1の具体例において、中間体は、反応混合物から単離されない。
【0032】
式2の少なくとも1つの化合物は、遊離塩基または塩として提供されることができる。1の具体例において、式2の少なくとも1つの化合物は、塩である。「塩」なる語は、本明細書中で使用される場合、遊離塩基を適当な酸と反応させることによって、イン・シトゥで、または別に調製されうる。例示的な塩には、限定するものではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、システイン酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、サルフェート、およびクロロベンゼンスルホン酸塩がある。別の具体例において、塩は、アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩から選択することができる。1の具体例において、式2の少なくとも1つの化合物は、塩酸塩または硫酸塩として提供される。
【0033】
「ニトロ化剤」なる語は、本明細書中で使用される場合、−NO置換基を化合物に付加するか、または現存する置換基を−NO置換基に変換することのできる試薬をいう。例示的ニトロ化剤には、硝酸および硝酸塩、例えば、アルカリ金属塩、例えば、KNOがある。ニトロ化剤が硝酸である場合、該硝酸は、少なくとも80%の濃度、例えば、85%、88%、90%、95%、99%または100%の濃度を有することができる。
【0034】
ニトロ化剤は、当業者によって適当であると考えられるいずれかの溶媒中において、式2の少なくとも1つの化合物と反応することができる。1の具体例において、該反応は、硫酸および/または硫酸塩の存在下で実施される。1の具体例において、使用される硫酸は、濃硫酸、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%または95%濃度の硫酸である。
【0035】
1の具体例において、少なくとも1つのニトロ化剤は、式2の少なくとも1つの化合物に対して、モル過剰で提供される。適当なモル過剰は、当業者によって決定されることができ、限定するものではないが、少なくとも1.05程度の値、例えば、1.05〜1.75当量のモル過剰、例えば、1.05〜1.5のモル過剰、または1.05〜1.25、または1.05〜1.1当量のモル過剰を包含することができる。別の具体例において、モル過剰は、1.05、1.1、1.2、1.3または1.4当量である。
【0036】
1の具体例において、少なくとも1つのニトロ化剤を一定時間をかけて添加することによって、少なくとも1つのニトロ化剤を式2の少なくとも1つの化合物と反応させる。当業者は、ニトロ化剤の全量を添加するための時間を反応条件が最適なるように決定することができる。例えば、ニトロ化試薬の添加は、例えば、HPLCによってモニターして、使用される少なくとも1つのニトロ化剤の量を調節することができる。1の具体例において、少なくとも1つのニトロ化剤の全量は、少なくとも1時間、例えば、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも24時間、または1時間〜1週間、1時間〜48時間、1時間〜24時間、または1時間〜12時間かけて添加される。
【0037】
少なくとも1つのニトロ化剤は、連続的に添加することができる。
【0038】
1の具体例において、ニトロ化剤は、式2の少なくとも1つの化合物と、0〜25℃、例えば、5〜15℃、5〜10℃、または10〜15℃の温度で反応させることができる。
【0039】
「中間体」なる語は、本明細書中で使用される場合、出発物質と最終産物との間に中間体産物として形成される化合物をいう。1の具体例において、中間体は、式2の少なくとも1つの化合物のニトロ化の生産物である。例えば、中間体は、式3:
【化7】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩であることができる。
【0040】
中間体は、遊離塩基または塩、例えば、本明細書中に開示される塩のいずれかとして存在することができる。1の具体例において、中間体は硫酸塩である。
【0041】
1の具体例において、中間体は、反応混合物から単離されない。「反応混合物」なる語は、本明細書中で使用される場合、試薬間の化学反応の少なくとも1つの生産物、ならびに副産物、例えば、不純物(望ましくない立体化学を有する化合物を包含する)、溶媒、およびいずれかの残存試薬、例えば、出発物質を含む溶液またはスラリーをいう。1の具体例において、中間体は、ニトロ化の生産物であり、反応混合物中に存在し、該反応混合物はまた、出発試薬(例えば、ニトロ化剤および/または式2の少なくとも1つの化合物)、副産物(例えば、式2または式3のC−エピマー)を含有することができる。1の具体例において、反応混合物はスラリーであり、ここに、スラリーは、少なくとも1つの固体および少なくとも1つの液体(例えば、水、酸または溶媒)を含む組成物、例えば、固体の懸濁液または分散液であることができる。
【0042】
1の具体例において、ニトロ化反応は、中間体を生成し、同時に、少量の対応するC−エピマーを生じる。例えば、中間体が式3の少なくとも1つの化合物である場合、ニトロ化は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した場合、10%未満の量におけるC−エピマーの形成をもたらす。別の具体例において、C−エピマーは、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満または0.5%未満の量で存在する。
【0043】
各段階、すなわち、ニトロ化、還元およびアシル化のHPLCパラメーターは、実施例セクションに記載する。
【0044】
1の具体例において、ニトロ化は、出発物質、すなわち、式2の少なくとも1つの化合物の量が少量になるように行われる。1の具体例において、式2の少なくとも1つの化合物は、ニトロ化産物中、HPLCで測定した場合、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満または0.5%未満の量で存在する。
【0045】
1の具体例において、ニトロ化は、大規模に行うことができる。1の具体例において、「大規模」とは、少なくとも1gの式2の化合物の使用をいい、例えば、少なくとも2g、少なくとも5g、少なくとも10g、少なくとも25g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも5kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kg、または少なくとも100kgの使用をいう。
【0046】
1の具体例において、還元により、式4:
【化8】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩が生成される。
【0047】
1の具体例において、(b)におけるさらなる反応は、中間体の還元を含む。別の具体例において、該方法は、さらに、還元中間体のアシル化を含む。
【0048】
本明細書に開示される別の具体例は、式1:
【化9】

[式中、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rは−NRであり、ここに、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つのニトロ化剤を式2:
【化10】

の少なくとも1つの化合物またはその塩と反応させて、中間体を含む反応混合物を調製し、次いで
(b)さらに、該中間体を反応させて式1の少なくとも1つの化合物を生成することを特徴とする方法である。
【0049】
1の具体例において、中間体は反応混合物から単離しない。
【0050】
1の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物はチゲサイクリンである。
【0051】
本明細書中に開示される別の具体例は、式1:
【化11】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化12】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩とを反応させて、スラリーを調製し、
(b)さらに、該スラリーを反応させて、式1の少なくとも1つの化合物を生成することを特徴とする方法である。
【0052】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rは−NRであり、ここに、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。別の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物はチゲサイクリンである。
【0053】
本明細書中に開示される別の具体例は、式3:
【化13】

[式中、Rは、−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに飽和および分枝鎖(C−C)アルキルから選択される]
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩の製法であって、
少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化14】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を5〜15℃で反応させることを特徴とする方法である。
【0054】
本明細書中に開示される別の具体例は、式1:
【化15】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化16】

の少なくとも1つの化合物またはその塩を反応させて中間体を含む反応混合物を調製し、次いで
(b)さらに、該中間体を反応させて式1の少なくとも1つの化合物を生成させ、ここに、(a)の反応を5〜15℃で行うことを特徴とする方法である。
【0055】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。
【0056】
還元
1の具体例は、式4:
【化17】

[式中、R=−NR、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択される]
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩の製法であって、
少なくとも1つの還元剤を、少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化18】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩との反応から調製された中間体を含む反応混合物、例えば、反応混合物スラリーとを合わせることを特徴とする方法を開示する。
【0057】
1の具体例において、該方法は、「ワン・ポット」プロセスを表し、ここに、ニトロ化および還元工程は、ニトロ化反応混合物からニトロ化産物を単離することなく行われる。
【0058】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。
【0059】
「還元剤」なる語は、本明細書中で使用される場合、化合物に水素を付加する化学剤をいう。1の具体例において、還元剤は水素である。還元は、水素雰囲気下、当業者によって決定される適当な圧力で行うことができる。1の具体例において、水素は、1〜75psi、例えば、1〜50psi、または1〜40psiの圧力で提供される。
【0060】
別の具体例において、還元剤は、少なくとも1つの触媒の存在下に提供される。例示的触媒は、限定するものではないが、希少土類金属酸化物、第VIII族金属含有触媒、および第VIII属金属含有触媒の塩を包含する。第VIII族金属含有触媒の例は、パラジウム、例えば、炭素上のパラジウムである。
【0061】
触媒が炭素上のパラジウムである場合、1の具体例において、触媒は、少なくとも1つのニトロ化剤との反応前に存在する式2で示される少なくとも1つの化合物の量に対し、0.1〜1部の量で存在する。
【0062】
1の具体例において、中間体は、式3の少なくとも1つの化合物である。1の具体例において、式3の化合物において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。
【0063】
当業者は、還元反応に適当な溶媒を決定することができる。1の具体例において、合わせる前に、例えば、還元の前に、反応混合物を少なくとも1つの(C−C)アルコールを含む溶媒と合わせる。少なくとも1つの(C−C)アルコールは、例えば、メタノールおよびエタノールから選択することができる。
【0064】
当業者は、還元反応に適当な温度を決定することができる。1の具体例において、0℃〜50℃、例えば、20℃〜40℃、または26℃〜28℃で合わせる、例えば、還元を行う。
【0065】
1の具体例において、合わせた後、例えば、還元後、得られる反応混合物を(C−C)分枝鎖アルコールおよび(C−C)炭化水素を含む溶媒系に加える、または該溶媒系と合わせる。1の具体例において、(C−C)分枝鎖アルコールは、イソプロパノールである。1の具体例において、(C−C)炭化水素は、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンから選択される。
【0066】
1の具体例において、合わせた後、例えば、還元後、0℃〜50℃、例えば、0℃〜10℃で、得られる反応混合物を溶媒系に加える。
【0067】
1の具体例において、該方法は、さらに、式4の少なくとも1つの化合物を固体として、または固体組成物として単離することを含む。1の具体例において、式4の少なくとも1つの化合物は、塩、例えば、本明細書中に記載される塩のいずれかとして沈殿または単離される。
【0068】
1の具体例において、該固体組成物は、式4のC−エピマーを高速液体クロマトグラフィーによって測定した場合、10%未満量で含む。別の具体例において、該C−エピマーは、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満または0.5%未満の量で存在する。
【0069】
1の具体例において、該固体組成物は、式2の少なくとも1つの化合物を高速液体クロマトグラフィーによって測定した場合、2%未満、例えば、1%未満、または0.5%未満の量で含む。
【0070】
1の具体例において、還元は大規模に実施することができる。1の具体例において、「大規模」なる語は、式2の少なくとも1つの化合物の少なくとも1gの使用、例えば、少なくとも2g、少なくとも5g、少なくとも10g、少なくとも25g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも5kg、少なくとも10kg、少なくとも25kg、少なくとも50kgまたは少なくとも100kgの使用をいう。
【0071】
本明細書中に開示される別の具体例は、式1:
【化19】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つの還元剤を、少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化20】

の少なくとも1つの化合物またはその塩との反応から調製される中間体を含む反応混合物、例えば、反応混合物スラリーと合わせて、第2の中間体を生成し、次いで
(b)さらに、反応混合物中の第2の中間体を反応させて、式1の少なくとも1つの化合物を調製する方法である。
【0072】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。
【0073】
1の具体例において、中間体は、式3の少なくとも1つの化合物またはその塩であり、第2の中間体は、式4:
【化21】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩である。
【0074】
1の具体例において、(b)におけるさらなる反応は、第2の中間体のアシル化を含む。1の具体例において、アシル化前に、第2の中間体を塩として沈殿または単離することができる。
【0075】
本明細書中に開示される別の具体例は、式4:
【化22】

[式中、R=−NR、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択される]
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩の製法であって、
式3:
【化23】

の中間体またはその塩を還元することを特徴とする方法である。
【0076】
1の具体例において、式3の中間体は、反応混合物スラリー中に存在していてもよい。
【0077】
1の具体例において、還元は、少なくとも1つの還元剤を反応混合物と合わせることを特徴とする。
【0078】
本明細書中に開示される別の具体例は、式1:
【化24】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化25】

の少なくとも1つの化合物またはその塩とを反応させて反応混合物を調製し、
(b)反応混合物からいずれの固体も単離または沈殿することなく、少なくとも1つの還元剤を反応混合物と合わせて中間体を調製し、次いで
(c)式1の少なくとも1つの化合物を該中間体から調製する
ことを特徴とする方法である。
【0079】
本明細書中に開示される別の具体例は、式1:
【化26】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
(a)少なくとも1つの第VIII族金属含有触媒を水素の存在下、少なくとも1つのニトロ化剤と式2:
【化27】

の少なくとも1つの化合物またはその塩との反応から調製された反応混合物、例えば、反応混合物スラリーと合わせることを特徴とする方法である。
【0080】
1の具体例において、少なくとも1つの第VIII族金属含有触媒は、少なくとも1つのニトロ化剤との反応前に存在する式2のの少なくとも1つの化合物の量に対して、0.1部〜1部の量で存在する。
【0081】
本明細書中に開示される別の具体例は、式4:
【化28】

[式中、Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択される]
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を含む組成物であって、ここに、式4のC−エピマーが高速液体クロマトグラフィーによって測定した場合、10%未満の量で存在する組成物である。
【0082】
1の具体例において、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1である。
【0083】
アシル化
本発明の1の具体例は、式1:
【化29】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキル、例えば、(C−C)シクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環、例えば、5員環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
式4:
【化30】

で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させることを特徴とする方法を提供する。1の具体例において、反応媒体は、水性媒体、および試薬塩基の不在下での少なくとも1つの塩基性溶媒から選択されうる。
【0084】
1の具体例において、式Iの化合物の製法は、チゲサイクリン:
【化31】

チゲサイクリン
またはその医薬上許容される塩の製法である。
【0085】
1の具体例において、変数nは1であり、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、RおよびRは各々、メチルである。別の具体例において、変数nは1であり、RおよびRはNと一緒になって、ピロリジニル基を形成し、RおよびRは各々、メチルである。式4の少なくとも1つの化合物の塩は、ハロゲン化塩、例えば、塩酸塩であってもよい。
【0086】
反応媒体は、極性非プロトン性溶媒またはその溶媒混合物であってもよい。1の具体例において、極性非プロトン性溶媒は、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、塩化メチレン、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、およびその混合物から選択される。別の具体例において、極性非プロトン性溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、およびその混合物から選択される。少なくとも1つの塩基性溶媒は、アセトニトリルおよびN,N’−ジメチルプロピレン尿素の混合物であってもよい。別の具体例において、少なくとも1つの塩基性溶媒は、水およびN,N’−ジメチルプロピレン尿素の混合物であってもよい。さらなる具体例において、少なくとも1つの塩基性溶媒は、N,N’−ジメチルプロピレン尿素である。
【0087】
反応媒体は、水性媒体であってもよい。さらなる具体例において、塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒は、塩基の不在下においける水である。別の具体例において、反応媒体は、試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒であってもよい。塩基性溶媒は、部分的または完全にプロトンを受容することのできる溶媒である。試薬塩基とは、式4の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つのアミノアシル化合物と同時または続いて反応の開始時に加えられ、部分的または完全にプロトンを受容することのできる塩基をいう。試薬塩基はまた、反応の間に加えられる塩基も示す。
【0088】
少なくとも1つのアミノアシル化合物は、アミノアシルハロゲン化物、アミノアシル無水物、および混合したアミノアシル無水物から選択されうる。1の具体例において、アミノアシル化合物は、式6:
【化32】

[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;nは、1−4であり;Qは、フッ化物、臭化物、塩化物およびヨウ化物から選択されるハロゲンである]
で示される少なくとも1つのアミノアシルハロゲン化物である。
【0089】
さらなる具体例において、Qは塩化物である。式6の化合物の塩は、ハロゲン化塩から選択されうる。ハロゲン化塩は、ハロゲンアニオン、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、およびヨウ化水素酸塩との相互作用から形成されるいずれかの塩をいう。1の具体例において、ハロゲン化塩は、塩酸塩である。
【0090】
式6の少なくとも1つのアミノアシルハロゲン化物は、
A)式7:
【化33】

で示される少なくとも1つのエステルまたはその塩を少なくとも1つのアミン、RNH(ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Xは、臭化物、塩化物、フッ化物およびヨウ化物から選択されるハロゲンであり;Aは−ORであり、ここに、Rは、直鎖または分枝鎖(C−C)アルキルおよびアリールアルキル、例えば、アリール(C−C)アルキル、(例えば、アリールはフェニルである)から選択され;nは1−4である]
と反応させて、少なくとも1つのカルボン酸を調製し;次いで、
B)少なくとも1つのカルボン酸を少なくとも1つの塩素化剤と反応させて、式6の少なくとも1つのアミノアシル化合物またはその塩を得る
ことを特徴とする方法によって得てもよい。
【0091】
1の具体例において、RおよびRは、各々、t−ブチルであってもよい。別の具体例において、RおよびRは、Nと一緒になって複素環、例えば、ピロリジンを形成してもよく、Rは、アリールアルキル−、例えば、ベンジルであってもよい。別の具体例において、nは1である。さらなる具体例において、Xは臭化物である。
【0092】
別の具体例において、式7の少なくとも1つのエステルは、塩酸塩である。式7のエステルと比べて過剰なアミンRNHを反応中に存在させて、少なくとも1つのカルボン酸を調製してもよい。1の具体例において、少なくとも1つの塩素化剤は、塩化チオニルであってもよい。別の具体例において、少なくとも1つのカルボン酸と少なくとも1つの塩素化剤の反応は、触媒量のジメチルホルムアミドの添加を含む。少なくとも1つのカルボン酸に対して過剰な塩素化剤を反応中に存在させて、式6の少なくとも1つのアミノアシル化合物を得てもよい。Rがアリールアルキル−である場合、式7の少なくとも1つの化合物のアリールアルキル−は、少なくとも1つのアミンとの反応後、水素化によって切断して少なくとも1つのカルボン酸を得てもよい。
【0093】
少なくとも1つのカルボン酸と塩素化剤の反応は、55℃〜85℃、例えば、80℃〜85℃、さらには、例えば、55℃で行ってもよい。1の具体例において、塩素化剤の付加的な量を反応に加えて完了させ、例えば、4%未満のレベルのカルボン酸を達成する。少なくとも1つのカルボン酸と少なくとも1つの塩素化剤の反応後、得られる懸濁をろ過して、塩、例えば、t−ブチルアミン塩酸塩を除去してもよい。式6のアミノアシルハロゲン化物は、HCl塩として単離してもよく、または無機酸、例えば、塩酸と反応させてアミノアシルハロゲン化物塩を調製してもよい。
【0094】
別の具体例において、式6の少なくとも1つのアミノアシルハロゲン化物は、式8:
【化34】

[式中、Rは、直鎖または分枝鎖(C−C)アルキルから選択され、nは1〜4である]で示される少なくとも1つのカルボン酸またはその塩と少なくとも1つの塩素化剤とを反応させて、式6の少なくとも1つのアミノアシルハロゲン化物またはその塩を得ることを特徴とする方法によって得られる。
【0095】
別の具体例において、式8の少なくとも1つのカルボン酸は、ハロゲン化物塩、例えば、塩酸塩である。式8の少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの塩素化剤を反応させるための時間は、1〜50時間、例えば、2〜45時間、さらには、例えば、1〜3時間であってもよい。式8の少なくとも1つのカルボン酸は、150ミクロン未満、例えば、110ミクロン未満、さらには、例えば、50〜100ミクロンの粒径を有していてもよい。所定の粒径を有する式8の化合物は、該化合物を粉砕することによって得られうる。
【0096】
式4の少なくとも1つの化合物と少なくとも1つのアミノアシル化合物との反応は、0℃〜30℃、例えば、20℃〜25℃、例えば、10℃〜17℃、例えば、0℃〜6℃、さらには、例えば、2℃〜8℃で行ってもよい。反応時間は、1時間〜24時間、例えば、0.5時間〜4時間、さらには、例えば、2時間〜8時間であってもよい。式4の化合物量に対して過剰なアミノアシル化合物を反応に用いてもよい。1の具体例において、過剰は、式4の少なくとも1つの化合物1当量に対して、アミノアシル化合物3当量であってもよい。別の具体例において、式4の少なくとも1つの化合物に対する水性媒体の比率は、6:1w/wまたは5:1容量であってもよい。1の具体例において、アミノアシル化合物は、水性媒体中における式4の少なくとも1つの化合物の溶液に加えられるか、または該溶液と合わせる。
【0097】
1の具体例において、反応媒体が水性媒体である場合、水性媒体のpHは、4〜9、例えば、5〜7.5、例えば、6.3〜6.7、例えば、7.0〜7.5、さらには、例えば、6.5、またさらには、例えば、7.2に調整してもよい。pH調整の前に水を加えてもよい。pH調整は、限定するものではないが、水酸化アンモニウムを包含する塩基の添加を含んでいてもよい。水酸化アンモニウムの濃度は、25%〜30%であってもよい。別の具体例において、酸、例えば、塩酸を用いてpHを調整してもよい。pH調整の間、反応媒体は、−5℃〜25℃、例えば、5℃〜8℃、さらには、例えば、0℃〜5℃にあればよい。
【0098】
pH調整後、少なくとも1つの有機溶媒または溶媒混合物を水性媒体に加えてもよい。1の具体例において、少なくとも1つの有機溶媒または溶媒混合物は、メタノールおよび塩化メチレンを含んでいてもよい。メタノールの濃度は、5%〜30%、限定するものではないが、20%または30%であってもよい。別の具体例において、少なくとも1つの有機溶媒または溶媒混合物は、テトラヒドロフランを含む。混合物の温度は、15℃〜25℃であってもよい。
【0099】
1の具体例において、水性媒体は、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒の混合物で抽出されてもよい。1の具体例において、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒は塩化メチレンを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒はメタノールを含む。別の具体例において、水性媒体は、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒、例えば、塩化メチレンで抽出される。抽出は、−5℃〜25℃、さらには例えば、0℃〜5℃で行ってもよい。さらなる具体例において、各抽出後、水性媒体のpHを7.0〜7.5、例えば、7.2に調整する。抽出過程は、例えば、最高で10回、繰り返してもよい。
【0100】
1の具体例において、合わせた有機抽出物を乾燥剤、例えば、硫酸ナトリウムで処理してもよい。有機抽出物は、また、炭、例えば、Norit CA−1で処理してもよい。固体をろ過によって除去して、溶液を得る。1の具体例において、該溶液を濃縮して、式1の化合物を得てもよい。
【0101】
該反応から得られた式1の化合物は、少なくとも1つの有機溶媒または溶媒混合物中で結晶化してもよい。1の具体例において、有機溶媒混合物は、メタノールおよび塩化メチレンを含む。結晶化は、例えば、−15℃〜155℃、例えば、0℃〜15℃、さらには例えば、2℃〜5℃で起こりうる。
【0102】
別の具体例において、抽出後、得られた少なくとも1つの極性プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒の有機混合物を濃縮してスラリーを得、ろ過して、式1の少なくとも1つの化合物を得てもよい。濃縮およびろ過は、例えば、0℃〜5℃で行ってもよい。
【0103】
式1の化合物の製法は、5g以上の式4のアミン、例えば、10g以上、例えば、50g以上、例えば、100g以上、例えば、500g以上、例えば、1kg以上、さらには例えば、10kg以上を用いて行ってもよい。
【0104】
1の具体例は、限定するものではないが、式1の化合物、式4の化合物、式6の化合物、式7の化合物、式8の化合物およびその塩を包含する本明細書に記載の方法のいずれかによって調製された化合物を開示する。別の具体例は、本明細書に記載の方法のいずれかによって調製された化合物を含む組成物を開示する。該組成物は、さらに、医薬上許容される担体を含んでいてもよい。
【0105】
1の具体例において、該組成物は、式1:
【化35】

式1
[式中、nは1であり、RおよびRはNと一緒になって、t−ブチル基を形成し、RおよびRは各々、メチルである]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩を含んでいてもよい。別の具体例において、該組成物は、式1:
【化36】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩、および0.5%未満の式1の少なくとも1つの化合物のC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を含んでいてもよい。
【0106】
さらなる具体例において、該組成物は、チゲサイクリン:
【化37】

チゲサイクリン
またはその医薬上許容される塩、および0.5%未満のチゲサイクリンのC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を含んでいてもよい。
【0107】
1の具体例において、本明細書中に記載される方法のいずれかによって調製された式1の化合物は、高速液体クロマトグラフィーによって測定された場合、10.0%未満の不純物、例えば、5%未満の不純物、例えば、2%未満の不純物、さらに例えば、1−1.4%の不純物を含有する。さらなる具体例において、式1の化合物は、C−エピマーを高速液体クロマトグラフィーによって測定された場合、1.0%未満の量で含有し、例えば、0.5%未満のC−エピマー、さらには例えば、0.2%未満のC−エピマーを含有する。1の具体例において、式1の化合物は、高速液体クロマトグラフィーによって測定された場合、1%未満のミノサイクリン、例えば、0.6%未満のミノサイクリンを含有する。別の具体例において、式1の化合物は、5%未満のジクロロメタン、例えば、2−3%のジクロロメタンを含有する。
【0108】
該開示の1の具体例は、式1:
【化38】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
A)少なくとも1つのニトロ化剤を式2:
【化39】

式2
の少なくとも1つの化合物またはその塩と反応させて、式3:
【化40】

式3
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物スラリーを調製し、
B)少なくとも1つの還元剤を反応混合物スラリーと合わせて、式4:
【化41】

式4
の少なくとも1つの化合物またはその塩を調製し、次いで
C)式4の少なくとも1つの化合物を水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させる
ことを特徴とする方法を包含する。
【0109】
該方法によって調製される式1の化合物は、チゲサイクリンであってもよい。
【0110】
本発明の開示の別の具体例は、式1:
【化42】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
A)少なくとも1つの還元剤を式3:
【化43】

式3
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物スラリーと合わせて、式4:
【化44】

式4
の少なくとも1つの化合物またはその塩を調製し、
B)式4の少なくとも1つの化合物を水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させる
ことを特徴とする方法を包含する。
【0111】
別の具体例において、上記の方法によって調製された式1の化合物はチゲサイクリンであってもよい。
【0112】
精製
本発明の開示の1の具体例は、式1:
【化45】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の精製法であって、
A)式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
B)該第1混合物を少なくとも1つの一定時間、例えば、15分〜2時間、0℃〜40℃で混合し、次いで
C)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする方法を提供する。
【0113】
本明細書中で使用される場合、「得る」なる語は、化合物を限定するものではないが、90%以上、95%、96%、97%、98%および99%を包含する有用な純度で単離することをいう。純度は、高圧液体クロマトグラフィーによって測定されうる。
【0114】
1の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物の精製法は、
A)式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
B)該第1混合物を一定時間、30℃〜40℃で混合し、
C)該第1混合物を15℃〜25℃に冷却し、該混合物を第2の一定時間、混合することなく静置させ、
D)該第1混合物を0℃〜6℃に冷却し、該混合物を第3の一定時間、混合することなく静置させ、
E)式1の少なくとも1つの化合物を得る
工程を含む。
【0115】
1の具体例において、該方法は、nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである式1の少なくとも1つの化合物を包含しうる。別の具体例は、nが1であり、RおよびRがNと一緒になってピロリジニル基を形成し、RおよびRが各々、メチルである式1の少なくとも1つの化合物を包含する。少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせる式1の少なくとも1つの化合物は、固体、スラリー、懸濁液および溶液から選択される形態で提供されうる。
【0116】
1の具体例において、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒は、アセトン、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、および酢酸エチルから選択されうる。さらなる具体例において、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒は、アセトンおよび塩化メチレンから選択されうる。別の具体例において、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびt−ブタノールから選択されうる。さらなる具体例において、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒は、メタノールであってもよい。
【0117】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒の組み合わせは、アセトンおよびメタノールを包含しうる。別の具体例は、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒塩化メチレン、および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒メタノールの組み合わせを提供する。さらなる具体例において、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒の組み合わせは、酢酸メチルおよびメタノールを包含しうる。式1の化合物は、例えば、等容量の少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせてもよい。
【0118】
1の具体例において、第1混合物は、例えば、30分〜2時間の第1一定時間、15℃〜25℃で混合し、次いで、30分〜2時間の第2一定時間、0℃〜2℃で混合してもよい。1の具体例において、第1一定時間および第2一定時間は、各々、1時間である。別の具体例において、該方法は、第1混合物を少なくとも30分〜2時間の一定時間、15℃〜25℃で混合し、次いで、第1混合物をろ過して固体を得ることを含んでいてもよい。該方法は、さらに、該固体を、例えば等容量の、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と、30分〜2時間の第1一定期間、15℃〜25℃で合わせ、次いで、ろ過して第2の固体を得ることを含んでいてもよい。さらなる具体例において、これら合わせる工程およびろ過する工程は、2〜15回繰り返してもよい。
【0119】
式1の化合物の精製法は、さらに、第1混合物から固体を得、固体を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒都合わせて第2混合物を得ることを含んでいてもよい。第2混合物は、さらに、メタノールおよび塩化メチレンを1:5〜1:15 メタノール:塩化メチレンの容量比で含んでいてもよい。1の具体例において、第2混合物を30℃〜36℃で混合し、次いで、ろ過して、溶液を得てもよい。さらなる具体例において、該溶液中における極性プロトン性溶媒の濃度は、5%以下に下げてもよく、該溶液を例えば0℃〜6℃にて、一定時間、例えば、30分〜2時間混合した後、ろ過してもよい。
【0120】
1の具体例において、第1混合物の混合は、10〜20分間、例えば、15分間行ってもよい。1の具体例において、第1混合物の15℃〜25℃への冷却および該混合物の混合することのない静置は、30分〜3時間、例えば、1時間〜2時間の第2一定時間行ってもよい。第1混合物は、さらに、0℃〜6℃に冷却し、30分〜2時間の第3一定時間、例えば、1時間混合することなく静置してもよい。
【0121】
式1の化合物を得る工程は、本明細書に記載のいずれかの混合物を、パイロジェン減少フィルターおよび浄化フィルターから選択される少なくとも1つのフィルターによってろ過することを包含しうる。
【0122】
本明細書に開示されるように、混合は、機械的混合装置、例えば、スターラーまたはアジテーターを用いて行ってもよい。混合は、また、溶媒系中における式1の化合物の溶解性によって達成されうる。温度上昇は溶解性を上げうる。
【0123】
1の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせようとするとき、式1の少なくとも1つの化合物は、その医薬上許容される塩の形態で用いてもよい。式1の少なくとも1つの化合物が本発明の方法の生成物として得られる場合、式1の少なくとも1つの化合物は、その医薬上許容される塩の形態で回収されうる。
【0124】
別の具体例において、式1の化合物が本発明の方法によって得られる場合、該化合物は、酸の付加によってその医薬上許容される塩に変換されうる。
【0125】
1の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物は、[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[[(t−ブチルアミノ)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド、例えば、医薬上許容される塩、例えば、HCl塩であってもよい。別の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物は、[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[[(ピロリジニル)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド、例えば、医薬上許容される塩、例えば、HCl塩であってもよい。
【0126】
式1の少なくとも1つの化合物の精製法は、
A)チゲサイクリンを少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
B)該第1混合物を少なくとも1つの一定時間、例えば、15分〜2時間、0℃〜40℃で混合し、次いで
C)チゲサイクリンを得る
ことを特徴とするチゲサイクリンの精製法であってもよい。
【0127】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせられるチゲサイクリンは、固体、スラリー、懸濁液および溶液から選択される形態で提供されてもよい。1の具体例において、該方法から得られたチゲサイクリンは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された場合、1%未満のチゲサイクリンのC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を含有しうる。
【0128】
該方法によって得られた式1の少なくとも1つの化合物は、HPLCによって測定した場合、3.0%未満の不純物、例えば、1.0%未満の不純物、例えば、0.7%未満の不純物を含有しうる。別の具体例において、式1の少なくとも1つの化合物は、HPLCによって測定した場合、2%未満の式1の化合物のC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を含有していてもよく、例えば、1%未満のC−4エピマー、例えば、0.5%未満のC−4 エピマーを含有していてもよい。
【0129】
該方法は、5g以上の式1の少なくとも1つの化合物、例えば、50g以上、例えば、100g以上、例えば、500g以上、例えば、1kg以上、さらには例えば、10kg以上で行ってもよい。
【0130】
1の具体例は、限定するものではないが、式1の化合物およびチゲサイクリンを包含する、本明細書中に記載の方法のいずれかによって調製された化合物を開示する。別の具体例は、本明細書中に記載される方法のいずれかによって調製された化合物を含む組成物を包含する。該組成物は、さらに、医薬上許容される担体を含んでいてもよい。
【0131】
1の具体例において、該組成物は、式1:
【化46】

式1
[式中、nは1であり、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、RおよびRは各々、メチルである]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩を含んでいてもよい。
【0132】
該開示の1の具体例は、式1:
【化47】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
A)少なくとも1つのニトロ化剤を式2:
【化48】

式2
の少なくとも1つの化合物またはその塩と反応させて中間体、例えば、式3:
【化49】

式3
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物、例えば、反応混合物スラリーを調製し、
B)少なくとも1つの還元剤を反応混合物スラリーと合わせて、第2の中間体、例えば、式4:
【化50】

式4
の少なくとも1つの化合物またはその塩を調製し、次いで
C)第2の中間体を反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする方法を包含する。1の具体例において、反応媒体は、水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される。さらなる工程は、例えば、
D)式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
E)第1混合物を少なくとも1つの一定時間、例えば、15分〜2時間、ある温度で、例えば、0℃〜40℃で混合し、
F)式1の少なくとも1つの化合物を得る
工程の少なくとも1つを含んでいてもよい。1の具体例において、開示される方法の中間体のいずれかを単離または沈殿させてもよい。別の具体例において、開示される方法のいずれかの2以上の工程は、「ワン・ポット」法である。
【0133】
該開示の別の具体例は、式1:
【化51】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
A)少なくとも1つの還元剤を、式3:
【化52】

式3
の少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物、例えば、反応混合物スラリーと反応させて、少なくとも1つの中間体、例えば、式4:
【化53】

式4
の化合物またはその塩を調製し、
B)中間体を水性媒体から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1の化合物を得る
ことを特徴とする方法を包含する。1の具体例において、反応媒体は、試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択されてもよい。付加的な工程は、例えば、
C)式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
D)第1混合物を少なくとも1つの一定時間、例えば、15分〜2時間、ある温度で、例えば、0℃〜40℃で混合し、
E)式1の少なくとも1つの化合物を得る
工程の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0134】
該開示のさらなる具体例は、式1:
【化54】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素、ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは、1−4である]
で示される式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法であって、
A)式4:
【化55】

式4
の少なくとも1つの化合物またはその塩を反応媒体中、例えば、水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1の化合物を得る
ことを特徴とする方法を包含する。付加的な工程は、例えば、
B)式1の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせて、第1混合物を得、
C)第1混合物を少なくとも1つの一定時間、例えば、15分〜2時間、ある温度で、例えば、0℃〜40℃で混合し、
D)式1の少なくとも1つの化合物を得る
工程の少なくとも1つを包含しうる。
【0135】
式1の化合物を調製するために開示されるこれらの方法のいずれも、nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである式1の化合物の製法でありうる。
【0136】
医薬組成物
「医薬組成物」なる語は、本明細書中で使用される場合、医療組成物をいう。医薬組成物は、少なくとも1つの医薬上許容される担体を含有していてもよい。
【0137】
「医薬上許容される賦形剤」なる語は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で提供される化合物の投与に適当な医薬担体またはビヒクルをいい、特定の投与様式に適当であることが当業者に知られているいずれかの担体を包含する。例えば、非経口、皮内、皮下または局所的塗布に用いられる溶液または懸濁液は、滅菌希釈剤(例えば、注射用水、セーライン溶液、固定油など);天然植物性油(例えば、ゴマ油、ココナツ油、落花生油、綿実油など);合成脂肪性ビヒクル(例えば、他の合成溶媒を包含する、オレイン酸エチル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールなど);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン類など);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウムなど);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);バッファー(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩など);および/または等張調整剤(例えば、塩化ナトリウム、デキストロースなど);またはその混合物を包含することができる。さらなる例示により、静脈内投与の場合、適当な担体は、生理学的セーライン、リン酸緩衝化セーライン(PBS)、および増粘剤および可溶化剤、例えば、グルコースを含有する溶液、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど、およびその混合物を包含する。
【0138】
非限定的例示により、チゲサイクリンは、1以上の医薬上許容される賦形剤と合わせてもよく、錠剤、カプセル、分散性粉末、顆粒、または懸濁液(例えば、約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する)、シロップ(例えば、約10〜50%の糖を含有する)およびエリキシル(例えば、約20〜50%のエタノールを含有する)などの形態で経口投与されてもよく、または約0.05〜5%の懸濁化剤を等張性媒体中に含有する滅菌注射溶液または懸濁液の形態で非経口投与されてもよい。かかる製剤は、例えば、約25〜90%の活性成分を通常約5重量%〜60重量%の担体と共に含有していてもよい。他の処方は、米国特許第5,494,903号および第5,529,990号において考察されており、これらは出典明示により本明細書の一部とされる。
【0139】
「医薬上許容される塩」なる語は、本発明の開示において、化合物の酸付加塩または塩基付加塩をいう。医薬上許容される塩は、親化合物の活性を維持し、かつ、投与された対象において、その投与に関連して、いずれの有害または望ましくない効果をもたらさないいずれかの塩である。医薬上許容される塩は、金属錯体ならびに無機酸および有機酸の両方の塩を包含する。医薬上許容される塩は、アルミニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガンおよび錯塩などの金属塩を包含する。医薬上許容される塩は、酢酸、アスパラギン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アキセチル(axetil)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、重硫酸、重酒石酸、酪酸、エデト酸カルシウム、カムシル酸(camsylic)、カルボン酸、クロロ安息香酸、シレキセチル(cilexetil)、クエン酸、エデト酸、エジシル酸(edisylic)、エストリック(estolic)酸、エシル(esyl)酸、エシリック(esylic)酸、ギ酸、フマル酸、グルセプト(gluceptic)酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキサミン酸、ヘキシルレソルシノイック(hexylresorcinoic)酸、ヒドラバミック(hydrabamic)酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硝酸、メチル硫酸、粘液酸、ムコン酸、ナプシリック(napsylic)酸、硝酸、シュウ酸、p−ノトロメタンスルホン酸、パモ(pamoic)酸、パントテン酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、フタル酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、スルホン酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル(teoclic)酸、トルエンスルホン酸等を包含する。医薬上許容される塩は、限定するものではないが、システインを包含するアミノ酸から誘導されうる。他の許容される塩は、例えば、Stahl et al., Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Wiley-VCH; 1st edition (June 15, 2002)に見出すことができる。
【0140】
該例示以外にも、別記する場合、本明細書および特許請求の範囲において使用される全ての数は、全ての場合において、「約」なる語によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、本発明の開示によって得ようとする所望の特性によって変化しうる近似値である。最低限でも、均等論の適用を特許請求の範囲にまで限定しようとするものではなく、各数値パラメーターは、有効数字および通常の四捨五入法の見地から、解釈されるべきである。
【0141】
本発明の開示の幅広い範囲を示している数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、本質的に、必然的に各測定試験に見出される標準偏差に由来するある程度の誤差を含んでいる。
【0142】
下記の実施例は、本発明を非限定的に説明するためのものである。
【実施例】
【0143】
ミノサイクリンは、米国特許第3,226,436号に記載の方法を用いて調製された。
【0144】
HPLC分析は、下記の条件下で行った。
【表1】

【0145】
比較例1:9−ニトロミノサイクリンの調製
該実施例は、ミノサイクリンのニトロ化を記載し、ここに、ニトロ化生成物は単離された。
【0146】
13.44gのミノサイクリンp−クロロベンゼンスルホン酸塩(すなわち、[4S−(4アルファ,12aアルファ)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミドp−クロロベンゼンスルホン酸塩)をゆっくりと、攪拌しながら、50mLの濃硫酸に加えた。該溶液を0−15℃に冷却した。硝酸(90%,0.6mL)をゆっくりと加え、HPLCによって測定した場合に反応が完了するまで、該溶液を0−15℃で1−2時間攪拌した。中間体9−ニトロミノサイクリン硫酸塩(すなわち、[4S−(4アルファ,12aアルファ)−9−ニトロ]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド硫酸塩)を含有する該溶液を攪拌しながら、300gの氷および水に20分かけて加えた。温度を0−8℃に維持しながら、28%水性水酸化アンモニウムを用いてクエンチのpHを5.0〜5.5に調整した。沈殿をろ過し、水(2x10mL)で洗浄した。固体を窒素流下、真空乾燥させて、粗9−ニトロミノサイクリン硫酸塩を得た(9g)。
【0147】
HPLCによる分析(面積%)は、C4−エピマー含量1.5%を伴う純度90%を示した。MS(FAB):m/z503(M+H),502(M+)。生成物を水性溶液から、その等電点での沈殿によって単離した。該粗硫酸塩のモル収率は、45%であった。
【0148】
下記の表1は、他のニトロ化プロセスのデータを示す。
【表2】

【0149】
9−ニトロミノサイクリンの単離が多量の不純物をもたらしたことが分かる。
【0150】
比較例2:9−ニトロミノサイクリンの調製
該実施例は、ミノサイクリンのニトロ化を記載し、ここに、ニトロ化生成物は単離された。
【0151】
2Lの多口ガラスフラスコに、機械的スターラー、熱電対、液体添加チューブ、窒素ラインおよび30%(wt)苛性(caustic)スクラバーへのガス吹き出し口を取り付けた。該フラスコに硫酸66°Be(1,507g,819mL,15モル)を充填した。該溶液を0〜2℃に冷却した。ミノサイクリン・HCl(92.7%強度,311g,0.58モル)を攪拌しながら0〜14℃にて、0.7時間かけて該硫酸に加えた。添加後、該混合物を0℃で0.5時間攪拌して黄色溶液を得た。硝酸(95.9%硝酸塩含量,48g,32mL,0.73モル,1.25モル当量)を、混合物を0〜2℃に維持しながら、3時間かけて加えた。該混合物を0℃で0.3時間攪拌した(暗赤色/黒色溶液)。HPLCによる分析(面積%)は、0%ミノサイクリン、75.6%9−ニトロミノサイクリン、8.2%最大単一不純物(LSI)を示した。ミノサイクリンまでの相対的保持時間(RRT)=2.08
【0152】
22Lの多口ガラスフラスコに、機械的スターラー、熱電対、および窒素保護を有するコンデンサーを取り付けた。該フラスコに、6,704g(8,540mL)のイソプロパノール(IPA)および1,026g(1,500mL)のヘプタンを充填した。該溶液をついで、0〜5℃に冷却した。該9−ニトロミノサイクリン反応混合物を0〜39℃にて、2時間かけて22−Lのフラスコに移して、黄色スラリーを得た。該スラリー温度を2時間、34〜39℃に維持し、次いで、20〜34℃に冷却し、20〜34℃で14.6時間攪拌した。
【0153】
イソプロパノール3,028g(3,857mL)およびヘプタン660g(965mL)の溶液を調製し、20〜25℃で維持した(4:1,IPA:ヘプタン(容量基準))。該スラリーを30cm径のブフナー漏斗にて、#1 Whatmanろ紙を用いて、真空下および窒素保護下でろ過した。得られた湿潤ケークを、機械的スターラーおよび窒素保護を備え付けた4−Lのガラス三角フラスコに移した。該ケークを、1,608mLの調製したIPA/ヘプタン溶液を23〜26℃で0.5時間加えることによってスラリー化した。
【0154】
該スラリーを再び、上記のとおりにろ過した。湿潤ケークを上記のとおり、さらに2回再スラリー化した(全部で3回再スラリー化)。最後のろ過後、ケークを真空下、窒素保護下で0.2時間維持した。生成物を23〜11mmHgの真空下、40℃で48時間、乾燥減量(LOD,80℃,1時間,>49mmHg真空)値が1.54になるまで乾燥させた。得られた9−ニトロミノサイクリン硫酸塩の重量は、380.10gであり、HPLC強度=76.3%(二硫酸塩として)、全不純物=34.6%、最も大量の単一不純物(LSI)9.46%(RRT=0.94)であった。ミノサイクリン/HClからの収率=86%。生成物および出発物質の強度に対して補正された収率は、71%であった。
【0155】
9−ニトロミノサイクリン化合物の単離が大きな割合で不純物を有する生成物をもたらしたことが分かる。
【0156】
実施例1
下記の表2は、比較例2に概説された手法を用いて行ったニトロ化実験を概説する。ここに、下記の変数が変更された:硝酸添加時間、反応温度、硝酸のモル当量(ミノサイクリンHClに相対的)、および攪拌速度。本明細書に開示される方法にしたがって、これらの反応のいずれも、クエンチせず、または生成物を単離するような後処理もしなかった。使用された唯一の分析ツールは、HPLC分析であった。
【表3】

容器サイズのために、浴温度のみをこれらの反応においてモニターした。
反応は、最初のミノサイクリン濃度50wt%であった。
攪拌は、全ての他の実験と比べて勢い良く行った。
HNOは、HSO中における50wt%として添加した。
【0157】
種々の条件を試みたにもかかわらず、開始ミノサイクリンの量が10%未満の量で存在し、ある条件下で実質的に除去されたことが分かる。
【0158】
実施例2
ニトロ化反応、反応クエンチ、およびニトロ化反応の後処理を変更した実験も行った。該実験は、比較例2に概説される手法を用いて、下記の変数を変更して行った:硝酸添加時間、反応温度、硝酸のモル当量(ミノサイクリンHClに相対的)、クエンチの温度、クエンチ溶液の組成、反応混合物のクエンチ溶液への添加時間、および単離ケークの洗浄法。下記表3にデータを示す。使用された唯一の分析ツールは、HPLC分析であった。
【表4】

容器サイズのために、浴温度のみをこれらの反応においてモニターした。
IPAをクエンチとして用いた場合、次いで、ヘプタンを加えて、最初のクエンチ混合物の組成を得た。
洗浄法1:湿潤ケークをフィルター上で4:1 IPA:ヘプタン(容量)を用いて洗浄した。洗浄法2:湿潤ケークを4:1 IPA:ヘプタン(容量)で3回スラリー化した。洗浄法#2は、洗浄法#1より20%多い洗浄溶液を用いた。
収率は、生成物および最初の材料の強度に対して補正する。
クエンチは、0℃で開始して、すぐに、34℃に加熱し、クエンチの残りの間、34℃で維持した。
【0159】
表3のデータから、収率が少なくとも50%であったことが分かる。
【0160】
実施例3
該実施例は、ニトロ化工程に必要とされる硝酸の量(当量)を変更した結果を示す。硝酸は、89.5%で滴定され、したがって、補正した量を用いた。
【0161】
3回試験を行った。試験1は、1.25当量の硝酸を用い、試験2は、1.09当量を用い、試験3は、1.00当量の硝酸を用いた。
【0162】
試験1のHPLC完了試験は、ミノサイクリンのシグナルを示さなかったが、試験2の完了試験は、2.5%の未反応出発物質を示した。どちらの反応も水素化し、次いで、SLP手法を用いて、アミノミノサイクリン塩酸塩に変換した。
【0163】
水素化産物1(試験1由来)は、ミノサイクリン含量0.37%、強度=83.0%、全不純物=3.20%、単一不純物=0.52%、エピマー含量=1.1%を示した。
【0164】
水素化産物2(試験2由来)は、ミノサイクリン含量1.6%、強度=84.2%、全不純物=4.00%、単一不純物=0.35%、エピマー含量=1.0%を示した。
【0165】
試験3:強度=83.0%;全不純物=5.0%;単一不純物=2.7%;エピマー含量=1.1%
【0166】
還元
HPLC分析は、下記の条件下で行った。
【表5】

【0167】
実施例1
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離されなかった。
【0168】
10.1gのミノサイクリンp−クロロベンゼンスルホン酸塩をゆっくりと、攪拌しながら、27mLの濃硫酸に加えた。該溶液を0〜2℃に冷却した。硝酸(0.6mL,90%)をゆっくりと加え、HPLCによって測定した場合に反応が完了するまで、該溶液を0〜2℃で1〜2時間攪拌した。ニトロ化完了後、温度を10〜15℃以下に維持しながら、中間体9−ニトロミノサイクリン硫酸塩を含有する該溶液を攪拌しながら、150mLのイソプロパノールおよび1200mLのメタノールに加えた。該溶液を26〜28℃にて、40psiで3時間、炭素上の10%Pd触媒(50%湿潤)の存在下で水素化した。水素化完了後、触媒をろ去し、溶液をゆっくりと、0〜5℃で攪拌しながら、250mLイソプロパノール中に注ぎ入れた。固体(3.4g)をろ過した。HPLCによる粗純度(面積%)は、90%であった。C−エピマーは、0.9%の量で存在していた。MS(FAB):m/z473(M+H),472 (M+)
【0169】
実施例2
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離されなかった。
【0170】
84.3gのミノサイクリンp−クロロベンゼンスルホン酸塩をゆっくりと、攪拌しながら、368gの濃硫酸に加えた。該溶液を10〜15℃に冷却した。硝酸(6.0mL,発煙)をゆっくりと加えた。HPLCによって測定した場合に反応が完了するまで、該溶液を10〜15℃で1〜2時間攪拌した。ニトロ化完了後、温度を10〜15℃以下に維持しながら、中間体9−ニトロミノサイクリン硫酸塩を含有する該溶液を攪拌しながら、0.3kgのメタノールに加えた。該溶液を26〜28℃にて、50psiで2〜3時間、炭素上の10%Pd触媒(50%湿潤)の存在下で水素化した。水素化完了後、触媒をろ去し、溶液をゆっくりと、0〜5℃で攪拌しながら、0.6kgイソプロパノールおよび0.3kgのn−ヘプタン中に注ぎ入れた。
【0171】
該湿潤固体を0〜5℃にて、100gの水中に溶解した。該混合物を攪拌し、有機相を分離し、廃棄した。水相に、14.4gの濃HClを加えた。該溶液のpHを水酸化アンモニウムで4.0±0.2に調整した。100mgの亜硫酸ナトリウムを加え、該溶液を100mgの9−アミノミノサイクリンを種晶として加えた。該混合物を0〜5℃で4時間攪拌し、生成物をろ過し、乾燥させて固体を得た(28.5g)。HPLCによる純度(面積%)は、96.5%であり、0.9%のC4−エピマーを伴った。MS(FAB):m/z473(M+H),472(M+)。収率:54.2%。
【0172】
比較例1
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離された。
【0173】
52.0kgのミノサイクリン・HCl(92.4%強度)を0〜15℃にて、300ガロン容器中における4.8部(251kg)の硫酸66°Beに加え、攪拌してHClを除去した。7.48kgの発煙硝酸100%(95.9%硝酸塩含量,1.26当量)を3時間20分かけて加えた。
【0174】
HPLC分析は、>1%ミノサイクリン残留を示した。したがって、0.31kgの発煙硝酸100%(95.5%硝酸塩含量,0.05当量)を加えた。HPLC分析は、まだ、>1%ミノサイクリン残留を示した。さらに0.74kgの発煙硝酸100%(95.5%硝酸塩含量,0.12当量)を加えた。HPLC試験をもう一度行い、>1%ミノサイクリン残留を示し、さらに1.11kgの発煙硝酸100%(95.5%硝酸塩含量,0.19当量)を加えた後、<1%ミノサイクリン残留を示した。
【0175】
ニトロ化反応混合物を0〜36℃にて、21.5部IPA/3.3部ヘプタン(1120kg IPA/171kgヘプタン)の溶液に加えた。該スラリーをろ過し(長いろ過時間)、IPA/ヘプタン 4:1で洗浄し、NMT40℃にて、NMT6%のLODになるまで乾燥させて、還元反応に用いるための硫酸塩を得た(70.9kg,97%粗収率)。
【0176】
実施例3
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離されなかった。
【0177】
25.0kgのミノサイクリン・HCl(94.4%強度)を5〜15℃にて、100ガロン容器中における7.3部(183kg)の硫酸66°Beに加え、攪拌してHClを除去した。2.5015kgの硝酸85%(86.6%硝酸塩含量,1.25当量)を9〜15℃にて、78分かけて該容器に加えた。
【0178】
HPLC分析は、>1%ミノサイクリン残留を示した。さらに0.261kgの硝酸85%(86.6%硝酸塩含量,0.13当量)を加えた。HPLCがもう一度>1%ミノサイクリン残留を示したので、さらに0.261kgの硝酸85%(86.6%硝酸塩含量,0.13当量)を加えた。HPLC分析はまだ、>1%ミノサイクリン残留を示したので、さらに0.174kgの硝酸85%(86.6%硝酸塩含量,0.09当量)を加え、その後、反応は1.7%ミノサイクリン出発物質でプラトーに達したようであった。
【0179】
ニトロ化反応混合物を−20〜10℃にて、4.2部(106kg)メタノールに加えた。該クエンチしたバッチを4〜10℃に調整し、そのまま還元反応に用いた。
【0180】
比較例2
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離された。
【0181】
104kgのミノサイクリン・HCl(90.3%強度)を0〜10℃にて、300ガロン容器中における4.8部(502kg)の硫酸66°Beに加え、攪拌してHClを除去した。15.2kgの発煙硝酸(100.4%,1.25当量)を0〜6℃、100rpmにて、3時間かけて加えた。HPLC試験が>1%ミノサイクリン残留を示したので、さらに0.69kgの発煙硝酸(100.4%,0.06当量)を加え、その後、ミノサイクリン<1%を示した。ニトロ化反応混合物を0〜36℃にて、21.5部IPA/3.3部ヘプタン溶液に加えた。
【0182】
該スラリーをろ過し(長いろ過時間)、IPA/ヘプタン 4:1で洗浄し、40℃以下にて6%以下のLODになるまで乾燥させて、還元反応に用いるための硫酸塩を得た(140kg,95%粗収率)。
【0183】
実施例4
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離されなかった。
【0184】
104kgのミノサイクリン・HCl(90%強度)を5〜15℃にて、7.3部(763kg)の硫酸66°Beに加え、攪拌してHClを除去した。14.9kgの発煙硝酸(100%,1.25当量)を5〜15℃、120rpmにて、1時間かけて加えた。HPLC分析が>1%ミノサイクリン残留を示したので、さらに0.69kgの発煙硝酸(100%,0.06当量)を加え、その後、ミノサイクリン<1%を示した。
【0185】
ニトロ化反応混合物を−10〜−20℃にて、4.2部(440kg)メタノールに加えた。該クエンチしたバッチを4〜10℃に調整し、そのまま還元反応に用いた。
【0186】
比較例3
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離された。溶媒/試薬の割合は、ニトロ化反応前のミノサイクリンの最初の充填量に相対的に表す。
【0187】
比較例4の9−ニトロミノサイクリン硫酸塩反応混合物を、バッチ温度を0〜36℃に維持しながら、2240kg(21.5部)イソプロパノールおよび342kg(3.3部)ヘプタン中に、1時間かけてクエンチした。得られたスラリーを30〜36℃で2時間攪拌し、次いで、冷却し、19〜25℃で1時間攪拌した。スラリーの半分をろ過し、3x205kgのIPA/ヘプタン(4:1)v/vで洗浄し、40℃以下にて6%以下のLODになるまで乾燥させた。ろ過および乾燥に16日かけ(これらの日数のうち7日間、該湿潤ケークは、計画的な運休停止の間、窒素下で放置された)、硫酸塩を得た(58kg)。残りの半分のスラリーは、ろ過に利用するまで、ドラム缶に入れ、冷蔵した。12日間冷蔵し、次いで、容器に戻し、0〜6℃で2日間攪拌し、次いで、19〜25℃に調整し、ろ過し、3x205kgのIPA/ヘプタン(4:1)v/vで洗浄し、40℃以下にて6%以下のLODになるまで乾燥させた。ろ過および乾燥に6日間かけ、硫酸塩を得た(82kg)。
【0188】
9−ニトロミノサイクリン硫酸塩の両サブロットを672kg(6.5部)のメタノールおよび8.4kg(0.08部)の注射用水(USP)中に、19〜25℃にて溶解し、70psig水素ガスおよび2.74kg(0.026部)の炭素上のパラジウム(10%(w/w)湿潤)を用いて、9−アミノミノサイクリン硫酸塩に還元した。水素化反応に10.5時間かけ、その結果、出発物質は検出できなかった。
【0189】
9−アミノミノサイクリン硫酸塩反応混合物をろ過して触媒を除去し、1660kg(16部)IPA/710(6.8部)ヘプタン溶液中に、0〜27℃で1時間かけてクエンチした。反応混合物を19〜25℃に調整し、1時間攪拌した。
【0190】
9−アミノミノサイクリン硫酸塩スラリーをNutscheフィルター上でろ過し、2x162kg(各1.5部)のIPA/ヘプタン(4:1)v/vで洗浄し、40℃にて、4%未満のLODになるまで乾燥させた。ろ過、洗浄および乾燥に10日かけ、9−アミノミノサイクリン硫酸塩を得た(94.0kg)。ろ過後、母液中に固体が観察された。これらをろ過し、113kgのIPA/ヘプタン(4:1)v/vで洗浄し、40℃にて、4%未満のLODになるまで乾燥させた。24.1kgを回収し、別のロットとして維持した。9−アミノミノサイクリン硫酸塩のミノサイクリンからの全粗収率は、84%であった。
【0191】
乾燥させた9−アミノミノサイクリン硫酸塩の94.0kg「第1収穫」および0.084kg(0.0008部)亜硫酸ナトリウムを538kg(5.17部)の注射用水(USP)に溶解し、0〜6℃に冷却した。9−アミノミノサイクリン硫酸塩溶液のpHを1.1+/−0.1にするには、最初のpHが1.16だったので、0kgの塩酸、20°Beが必要とされた。48.3kg(0.46部)の塩酸試薬を該9−アミノミノサイクリン溶液に加え、9−アミノミノサイクリンHClを調製した。56kg(0.54部)の水酸化アンモニウム、28%および4.0kg(0.039部)の塩酸試薬を該溶液に加えて、バッチpH4.0+/−0.2を得た。
【0192】
次いで、pHを4.0+/−0.2に維持しながら、該バッチを0〜6℃で90分間攪拌した。最終pHは、4.05pH単位であった。該バッチをNutscheフィルター上でろ過し、予め2〜8℃に冷却した2x33kg(各0.3部)の注射用水(pHを4.0に調整)で洗浄し、次いで、2x26.1kg(0.25部)のアセトン(予め2〜8℃に冷却)で洗浄し、40℃以下にて、水分が7.0%以下になるまで乾燥させた。43.2kgの9−アミノミノサイクリンHClを単離し、ミノサイクリンHClからの収率は40%であった。
【0193】
乾燥させた9−アミノミノサイクリン硫酸塩の24.1kg「第2収穫」の塩変換による処理は、比例量の試薬を用いる上記の4つのパラグラフに記載された方法と同様に行った。付加的な9.9kgの9−アミノミノサイクリンHClを回収し、9.2%のさらなる収率増加が示された。両方の収量を包含する全バッチ収率は、53.1%であった。
【0194】
実施例5
該実施例は、水素化反応を記載し、ここに、9−ニトロミノサイクリン中間体は単離されなかった。溶媒/試薬の割合は、ニトロ化反応前のミノサイクリンの最初の充填量に相対的に表す。
【0195】
実施例7の9−ニトロミノサイクリン硫酸塩反応混合物を、バッチ温度を−20〜−10℃に維持し、攪拌速度を130RPMに維持しながら、440kg(4.2部)のメタノール中に90分かけて加えた。
【0196】
該クエンチしたバッチを4〜10℃に調整し、50psig水素ガスおよび52kg(0.5部)の炭素上のパラジウム(10%(w/w)湿潤)を用いて、9−アミノミノサイクリン硫酸塩に還元した。水素化反応に5時間かけ、その結果、出発物質は検出できなかった。9−アミノミノサイクリン硫酸塩反応混合物をろ過して触媒を除去し、1241kg(12部)IPA/537kg(5.2部)ヘプタン溶液中に、17〜23℃で30分かけてクエンチした。得られた反応混合物を次いで、−18〜−12℃に冷却し、1時間攪拌した。
【0197】
得られた9−アミノミノサイクリン硫酸塩スラリーをNutscheフィルター上で2部分に分けてろ過し、予め0〜6℃に冷却した3.6部のIPA/ヘプタン(2:1)v/vおよび506kg(4.9部)の冷却したヘプタンで洗浄した。ろ過および洗浄に両方の部分で99時間かけた(フィルターのサイズ限界のため、2部分に分けてろ過した)。9−アミノミノサイクリン硫酸塩湿潤ケークを150kg(1.4部)の注射用水(USP)に0〜6℃で溶解し上層の有機層を廃棄物として分離した。
【0198】
25.7kg(0.3部)の塩酸、20°Beを0〜6℃にて該9−アミノミノサイクリン硫酸塩溶液に加えて、9−アミノミノサイクリンHClに変換した。水酸化アンモニウム28%を反応混合物に加えて、バッチpH4.0+/−0.2を得た。これには、49.5kg(0.48部)必要であった。0.15kgの亜硫酸ナトリウム(0.0014部)を反応混合物に加えた。
【0199】
バッチに、5gの9−アミノミノサイクリンHClを種晶として加え、水酸化アンモニウム28%(0.05部必要であった)を用いてpH4.0+/−0.2を維持しながら、3時間攪拌した。該バッチをNutscheフィルター上でろ過し、予め2〜8℃に冷却した注射用水(pH4.0に調整)1部で洗浄し、次いで、イソプロパノール(予め2〜8℃に冷却)0.2部で洗浄し、50℃以下にて、10.0%以下のLODおよび8.0%以下の水分量になるまで乾燥させた。
【0200】
63.1kgの9−アミノミノサイクリンHClを単離し、ミノサイクリンHClからの収率は59%であった。
【0201】
下記の表4は、比較データを示す。
【表6】

サイクル時間は、ミノサイクリン・HClから9−アミノミノサイクリンHClまでである。
第1および第2収穫を合わせた収率
過程中に起こった7日間の運転停止を含まず、第2収穫を処理するための時間を含む。
【0202】
表4は、単離しない反応混合物の水素化が少量の不純物およびC−エピマーと共に生成物をもたらすことを示す。
【0203】
アシル化
下記の条件下でHPLC分析を行った。
【表7】

【0204】
実施例1
N−t−ブチルグリシン塩酸塩
t−ブチルアミン(1.57L)およびトルエン(1.35L)の混合物に、45〜50℃にて、ブロモ酢酸t−ブチル(420mL)を加える。該混合物を50〜60℃で1時間攪拌し、1時間かけて温度を75℃に上昇させる。75℃で2時間後、該混合物を−12±3℃に冷却し、1時間静置させる。固体をろ過によって収集し、ろ液を蒸留(30〜40℃,25〜35mmHg)によって825mL容量まで濃縮する。得られた濃縮物を20〜25℃に冷却し、6N HCl(1.45kg)を加える。3時間後、相を分離し、水相を蒸留(30〜40℃,25〜35mmHg)によって590mL容量まで濃縮する。イソプロパノール(2.4L)を加え、混合物を蒸留(15〜20℃,10〜20mmHg)によって990mL容量まで濃縮する。得られるスラリーを30分かけて−12±3℃に冷却し、1時間静置する。固体をろ過によって収集し、i−PrOHで洗浄し、24時間乾燥させて(45±3℃,10mmHg)、所望の生成物を得る(407.9g,86%)。
【0205】
実施例2
N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩
粉砕したN−t−ブチルグリシン塩酸塩(250.0g)、トルエン(1.14L)およびDMF(7.1g)の混合物に、20分かけて塩化チオニル(143mL)を加える。該混合物を80〜85℃にし、攪拌しながら3時間加熱する。20℃に冷却後、固体をN下でろ過によって収集し、トルエンで洗浄し、16時間乾燥させて(40℃,10mmHg)、所望の生成物を得る(260.4g,93.8%)。HPLCによる純度(面積%):98.12%。
【0206】
実施例3
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン・HCl(140.0g)および冷(0〜4℃)水(840mL)の混合物に、攪拌しながら、N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(154.0g)を15分かけて加える。該混合物を0〜4℃で1〜3時間攪拌する。温度を0〜10℃に維持しながら、水酸化アンモニウム(126g,30%)を加えてpHを7.2にする。メタノール(930mL)およびCHCl(840mL)を加え、水酸化アンモニウム(13.5g,30%)の添加によってpHを7.2に維持しながら、該混合物を20〜25℃で1時間攪拌する。相を分離し、固体を有機層と合わせる。水層をCHCl(1x840mL,3x420mL)で抽出し、各抽出の間、混合物のpHを7.2に調整する。合わせた有機層に、メタノール(200mL)を加えて、溶液を得る。該溶液を水(2x140mL)で洗浄し、次いで、攪拌しながら、硫酸ナトリウム(140g)で30分間乾燥させる。混合物をろ過し、ろ液を蒸留(20℃,15〜25mmHg)によって425mL容量まで濃縮する。該混合物にCHCl(1.4L)を加え、蒸留を2回繰り返す。得られる懸濁液を0〜2℃に冷却し、1時間攪拌する。固体をろ過によって収集し、0〜5℃のCHCl(2x150mL)で洗浄し、24時間乾燥させて(65〜70℃,10mmHg)、所望の生成物を得る(120.0g,75%)。HPLCによる純度(面積%):98.9%およびC−4エピマー0.12%。
【0207】
実施例3A
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン・HCl(100.0g)および冷(0〜4℃)水(600mL)の混合物に、攪拌しながら、N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(110.0g)を50分かけて加えた。該混合物を0〜4℃で1.5時間よく攪拌した。温度を0〜5℃に維持しながら、水酸化アンモニウム(112g,28%)を加えてpHを7.2にした。塩化メチレン(600mL)、次いでメタノール(440mL)を加え、水酸化アンモニウム(10.0g,28%)の添加によってpHを7.2に維持しながら、混合物を0〜5℃で30分間攪拌した。該混合物を20〜25℃に15分かけて加温した。メタノール(244mL)を加え、相を分離した。水層をCHCl(1x600mL,3x300mL)で抽出し、各抽出の間、混合物のpHを7.2に調整した。合わせた有機層に、メタノール(144mL)を加えて溶液を得た。該溶液を水(2x100mL)で洗浄し、次いで、攪拌しながら、硫酸ナトリウム(100g)で30分間乾燥させた。混合物をろ過し、ろ液を蒸留(20℃,80〜120mmHg)によって400mL容量まで濃縮した。該混合物にCHCl(1.0L)を加え、蒸留を2回繰り返した。得られた懸濁液を0〜2℃に冷却し、1時間攪拌した。固体をろ過によって収集し、0〜5℃のCHCl(2x110mL)で洗浄し、乾燥させて(65〜70℃,20mmHgで18時間、次いで、3〜5mmHgで16時間)、所望の生成物を得た(82.4g,71.7%)。HPLCによる純度(面積%):98.5%およびC−4エピマー0.28%。
【0208】
実施例4
N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩
t−ブチルアミン(88g)を300mLのトルエン中に溶解した。該混合物を45〜50℃に加熱し、温度を50〜60℃に維持しながら、117.5gのブロモ酢酸t−ブチルを1時間かけて加えた。該混合物を75℃に2時間加熱した。次いで、反応混合物を12〜15℃に冷却し、1時間攪拌した。固体をろ過し、冷トルエンで洗浄した。t−ブチルアミン臭化水素酸塩である該固体を廃棄した。ろ液を10〜12℃に冷却し、HClガスを0.5時間通気した。該混合物を10〜12℃で3時間攪拌し、次いで、生成物をろ過によって収集し、冷トルエンで洗浄した。生成物を真空下、40〜50℃で乾燥させて、N−t−ブチルグリシン塩酸塩(107g)を得た。MS:m/z187(M+)
【0209】
上記のように調製された物質由来のN−t−ブチルグリシン塩酸塩(7g)を35mLのトルエンに加えた。塩化チオニル(11.6mL)を加え、スラリーを75〜80℃で1時間加熱した。該懸濁液を20℃に冷却し、固体をろ過によって収集し、2X15mLのトルエンで洗浄した。得られた混合物を真空下、40℃で乾燥させて、生成物を得(4.4g、65%収率)、それを水分から保護し、すぐに次工程に用いる。
【0210】
実施例5
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン(10.00g)を0〜5℃の水60mLに徐々に加えた。温度を0〜5℃に維持しながら、t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(10.98g)を徐々に加えた。40〜60分間攪拌後、温度を0〜5℃に維持しながら、30%水酸化アンモニウムを反応混合物に滴下してpHを7.2に調整した。該溶液に、83mLのメタノールを加え、次いで、60mLの塩化メチレンを加えた。15分間攪拌後、相を分離した。水相を、各抽出前にpH7.2に調整して、4X40mLの塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層に、10mLメタノールを加え、該溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、該溶液を濃縮して懸濁液を得た(正味重量51g)。該懸濁液を5〜10℃で1時間攪拌し、次いで、ろ過した。該固体を2X10mLの冷塩化メチレンで洗浄し、次いで、乾燥させて生成物を得た(8.80g、76.8%収率)。HPLCによる純度(面積%):98.4%およびC−4エピマー0.1%。MS(FAB):m/z586(M+H);585(M+)。
【0211】
実施例6
N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩
t−ブチルアミン(1.5kg)を1.35Lのトルエン中に溶解した。該混合物を45〜50℃に加熱し、温度を50〜60℃に維持しながら、548gのブロモ酢酸t−ブチルを1時間かけて加えた。該混合物を75℃で3時間加熱した。次いで、反応混合物を12〜15℃に冷却し、1時間攪拌した。固体をろ過し、冷トルエンで洗浄した。t−ブチルアミン臭化水素酸塩である該固体を廃棄した。溶媒を蒸留することによって、ろ液を〜800mLに濃縮した。濃縮物を25℃に冷却し、900mLの6N HClを混合物に加えた。20〜25℃で3時間攪拌後、相を分離した。有機層を廃棄し、水相を600mL容量まで濃縮した。イソプロパノール(2.4L)を濃縮物に加えた。該スラリーを−12〜−9℃に冷却し、0.5時間維持した。生成物をろ過によって収集し、冷イソプロパノールで洗浄し、次いで、真空下、40〜50℃で乾燥させて、固体を得た(408g)。NMRによる純度>95%。MS:m/z187(M+)。
【0212】
上記のように調製された物質由来のN−t−ブチルグリシン塩酸塩(250g)を1.3Lのトルエンおよび7.5mLのDMFに加えた。塩化チオニル(143mL)を加え、スラリーを80〜85℃で3〜4時間加熱した。該懸濁液を20℃に冷却し、固体をろ過によって収集し、2X250mLのトルエンで洗浄した。固体を真空下、40℃で乾燥させて、生成物を得た(260g、82%収率)。HPLCによる純度(面積%):98.2%。
【0213】
実施例7
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン(140.0g)を0〜4℃の水840mLに徐々に加えた。温度を0〜4℃に維持しながら、t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(154g)を、よく攪拌しながら、15分かけて加えた。該溶液を1〜3時間攪拌した。温度を0〜10℃に維持しながら、混合物のpHを30%水酸化アンモニウムで7.2±0.2に調整した。該溶液に、メタノール(930mL)および塩化メチレン(840mL)を加え、次いで、20〜25℃で1時間攪拌した。相を分離した。水相を、3X600mLの塩化メチレンで抽出し、有機相を合わせ、乾燥させ、約500mL容量まで濃縮した。得られた懸濁液を0〜2℃に1時間冷却した。固体をろ過し、乾燥させて生成物を得た(120g、75%収率)。HPLCによる純度(面積%):98%、C−4エピマー0.1%。MS(FAB):m/z586(M+H);585(M
【0214】
実施例8
ピロリジニル酢酸塩酸塩
ピロリジン(14.2g)を40mLのメチルt−ブチルエーテル中に溶解した。該溶液を0〜−5℃に冷却した。ブロモ酢酸ベンジル(22.9g)を攪拌しながら滴下した。濃厚な白色スラリーを0〜5℃で0.5時間攪拌した。固体をろ過し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄した。ろ液を濃縮して、酢酸ピロリジニルベンジルを得た(21.3g)。該ベンジルエステル(21.0g)を200mLのメタノール中に溶解し、4.0gの10%Pd/C触媒(50%湿潤)を加えた。該溶液を40psiで6時間水素化した。触媒をろ去し、メタノールで洗浄した。ろ液を濃縮して、ピロリジニル酢酸を無色油として得た(11.8g)。15.8gのピロリジニル酢酸を15mLのメチル−t−ブチルエーテル中でスラリー化した。アセトニトリル(15mL)を加え、懸濁液を0〜5℃に冷却した。エーテル性HCl(120mL,1.0M)を攪拌しながら加えた。得られた白色沈殿をろ過し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、ピロリジニル酢酸塩酸塩を得た(15g)。GC/MSによる純度(面積%):98%。MS:m/z129(M+)。
【0215】
実施例9
[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[(ピロリジニル)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド
ピロリジニル酢酸(7.7g)を7mLのアセトニトリル中に懸濁した。0〜5℃に冷却後、5.3mLの塩化チオニルを攪拌しながらゆっくりと加えた。該懸濁液を55℃に加熱した。該暗色溶液を55℃で0.5時間維持し、次いで、室温に冷却して、ピロリジニルアセチルクロリド塩酸塩を得た。上記の実施例4に記載のように調製された9−アミノミノサイクリン塩酸塩(5.0g)を5.0mLの水中に懸濁した。該懸濁液を−15℃に冷却した。該懸濁液に、温度を22℃以下に維持しながら、上記のように調製されたピロリジニルアセチルクロリド塩酸塩の溶液を滴下した。暗色反応混合物を22〜25℃で3時間攪拌した。水(2mL)を混合物に加え、30%水酸化アンモニウムでpHを6.5±0.2に調整した。該溶液を6X15mLのCHClで抽出した。有機抽出物をプールし、40℃で濃縮した。無水エタノール(10mL)を濃縮物に加え、スラリーを5〜7℃で1時間攪拌した。固体をろ過し、真空下、40℃で乾燥させて生成物を得た(3.5g)。HPLCによる純度(面積%):98.7%、C−4エピマー0.4%。MS(FAB):m/z586(M+H);585(M)。
【0216】
実施例10
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン(4.0g)を10mLのアセトニトリルおよび5mLのDMPUに10〜15℃で徐々に加えた。t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(4.4g)を、温度を10〜15℃に維持しながら徐々に加えた。2時間攪拌後、温度を10〜17℃に維持しながら、10mLのMeOHおよび17mLの水をゆっくりと反応混合物に加えた。温度を5〜8℃に維持しながら、水酸化アンモニウム(30%)を反応混合物に滴下して、pHを7.2に調整した。該溶液に、塩化メチレン(15mL)を加えた。15分間攪拌後、相を分離した。水相を、各抽出前にpHを7.2に調整して、2X20mLの塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相に、700mgのNorit CA−1(炭)および10gの硫酸ナトリウムを加え、次いで、混合物をろ過した。ケークを2X20mLの塩化メチレンで洗浄した。該溶液を濃縮し、得られた懸濁液を5〜8℃で16時間攪拌した。ろ過後、固体を2X10mLの冷塩化メチレンで洗浄し、次いで、乾燥させて、生成物を得た(2.3g、50%収率)。HPLCによる純度(面積%):95.2%、C−4エピマー:0.5%。MS(FAB):m/z586(M+H);585(M)。
【0217】
実施例11〜19
チゲサイクリン
実施例11〜19は、下記に示される溶媒変更を用いて、実施例10の手法にしたがった。
【表8】

純度は、HPLC面積によって評価された。sm=出発物質9−アミノミノサイクリン
反応混合物をイソプロパノール−酢酸エチルでクエンチし、次いで、水とCHClの間に分配した。有機相を濃縮し、次いで、トルエンで希釈した後、生成物を単離した。
【0218】
実施例20
N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩
機械的スターラー、熱電対、30%(wt)苛性スクラバーへの窒素ラインを有するコンデンサー、および250mL均圧添加漏斗を備えた5Lの多口フラスコに、粉砕したN−t−ブチルグリシン塩酸塩(436g,2.60モル,d(0.5)=103μm)、トルエン(1,958g,2,263mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(13.6g,14.4mL,0.19モル)を加えた。250−mL添加漏斗を用いて、塩化チオニル(405g,248mL,3.40モル)を20〜23℃で33分かけてオフホワイト色スラリーに加えた。該スラリーをゆっくりと、1時間かけて80℃に加熱し、次いで、80℃で3時間攪拌した。3時間後、薄層クロマトグラフィーによって反応が完了した(<2%出発物質)。黄色−オレンジ色懸濁液を32分かけて20℃に冷却し、次いで、15〜20℃で32分間攪拌した。#42 Whatmanろ紙を用いる15cmのブフナー漏斗上で、固体を真空ろ過によって収集した。ケークを20〜25℃にて、トルエンで3回(272g,314mL各洗浄)洗浄した。該湿潤ケークを窒素保護下で20分間、吸引を用いて乾燥させた。次いで、生成物をオーブン中、23mmHgおよび38℃の真空下で21.2時間乾燥させて、乾燥減量1.23%を得た。得られたt−ブチルアミノアセチルクロリドHClの重量=462g、GC強度=91.0%、IR同定=陽性。t−ブチルアミノ酢酸HClからの収率=96%。生成物および出発物質の強度に対して補正した収率=87%。
【0219】
実施例21
N−t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩
機械的スターラー、熱電対、25%(wt)苛性スクラバーへの窒素ラインを有するコンデンサー、および250mL均圧添加漏斗を備えた5Lの多口フラスコに、粉砕したN−t−ブチルグリシン塩酸塩(450g,2.68モル,d(0.5)=664μm)、トルエン(2,863g,3,310mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(15g,15mL,0.21モル)を加えた。250mLの添加漏斗を用いて、塩化チオニル(422g,259mL,3.54モル)を19〜22℃で19分かけて白色スラリーに加えた。該スラリーをゆっくりと、7.1時間かけて79℃に加熱し、次いで、79〜82℃で44時間攪拌した。反応を3時間後にチェックし、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって不完全であることが分かった。さらに26mL(42g、0.35モル)の塩化チオニルを加えた。全部で27時間後、反応はまだTLCによって不完全であり、さらに26mL(42g、0.35モル)の塩化チオニルを加えた。全部で44時間後、79〜82℃にて、TLCによって反応が完了したことが分かった(<4%出発t−ブチルアミノ酢酸HCl)。焦げ茶色懸濁液を17分かけて25℃に冷却し、次いで、21〜25℃で37分間攪拌した。2Lの粗い焼結ガラス漏斗上で、固体を真空ろ過によって収集した。ケークを20〜25℃にて、トルエンで6回(282g,325mL各洗浄)洗浄した。該湿潤ケークを窒素保護下で16分間、吸引を用いて乾燥させた。次いで、生成物をオーブン中、23mmHgおよび38℃の真空下で26.1時間乾燥させて、乾燥減量0.75%を得た。得られたt−ブチルアミノアセチルクロリドHClの重量=395g、GC強度=89.5%、IR同定=陽性。t−ブチルアミノ酢酸HClからの収率=79%。生成物および出発物質の強度に対して補正した収率=71%。
【0220】
実施例22
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリンHCl(43.0kg)を258kg(6.0部)の注射用水中に0〜6℃で溶解した。N−t−ブチルグリシン酸クロリドHCl(47.3kg,1.1部,3.01当量)をバッチ溶液にゆっくりと加え、同時に、バッチ温度を0〜6℃に維持した。反応混合物を1時間攪拌し、0.2%の出発物質を有することが分かった(さらなるN−t−ブチルグリシン酸クロリドHClは必要ない)。次いで、32kg(0.7部)の水酸化アンモニウム28%および2kgの試薬塩酸(行きすぎた時に再調整するため)を用いて、GAR−936反応混合物をpH7.2+/−0.2に調整した。最初のpHは0.42に等しく、最後のpHは7.34に等しかった。塩化メチレン(342kg,8部)および148kg(3.4部)のメタノールを反応混合物に0〜7℃で加えた。pHが7.09の場合、調製は必要なかった。バッチを19〜25℃に加温した。メタノール(83kg,1.9部)を加え、下層の有機相を分離した。次いで、水酸化アンモニウム28%でpHを7.2+/−0.2に維持しながら、1x342kg(8部)および3x172kg(4部)の塩化メチレンを用いて、水相に残っている生成物を有機相中に抽出した。メタノール(49kg,1.14部)を得られた塩化メチレン/メタノール溶液に加え、それを2x43kg(1部)の注射用水で洗浄した後、43kg(1部)の硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、3回の真空蒸留を行って(第2および第3の蒸留の前に568kg(13.2部)の塩化メチレンを追加した)、メタノールを除去した。母液中におけるメタノールの残留レベルは、0.21%であった。バッチをろ過し、2x60kg(1.4部)の予め冷却した(0〜6℃)塩化メチレンで洗浄した。得られた粗物質は乾燥させずに、湿潤ケークとして単離し(72.5kg,乾燥減量から計算された乾燥重量38.2kg)、9−アミノミノサイクリンHClから77%収率を得た。湿潤ケーク分析結果:ミノサイクリン=1.26%、単一の最大不純物=0.37%、C−4エピマー=0.50%。
【0221】
実施例23
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリンHCl(61.0kg)を258kg(6.0部)の注射用水中に0〜6℃で溶解した。N−t−ブチルグリシン酸クロリドHCl(67.1kg,1.1部,3.01当量)をバッチ溶液にゆっくりと加え、同時に、バッチ温度を0〜6℃に維持した。反応混合物を3.5時間攪拌し、0.13%の出発物質を有することが分かった(さらなるN−t−ブチルグリシン酸クロリドHClは必要ない)。次いで、45kg(0.7部)の水酸化アンモニウム28%を用いて、反応混合物をpH7.2+/−0.2に調整した。最初のpHは0.82に等しく、最後のpHは7.07に等しかった。塩化メチレン(485kg,8部)および210kg(3.4部)のメタノールを反応混合物に0〜6℃で加えた。pHはまだ範囲(7.04)にあったので、調整は必要なかった。バッチを19〜25℃に加温した。メタノール(118kg,1.9部)を加え、下層の有機相を分離した。次いで、水酸化アンモニウム28%でpHを7.2+/−0.2に維持しながら、1x485kg(8部)および3x244kg(4部)の塩化メチレンを用いて、水相に残っている生成物を有機相中に抽出した。メタノール(70kg,1.14部)を得られた塩化メチレン/メタノール溶液に加え、次いで、それを2x61kg(1部)の注射用水で洗浄した後、61kg(1部)の硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、3回の真空蒸留を行って(第2および第3の蒸留の前に805kg(13.2部)の塩化メチレンを追加した)、メタノールを除去した。母液中におけるメタノールの残留レベルは、0.05%であった。バッチをろ過し、2x85kg(1.4部)の予め冷却した(0〜6℃)塩化メチレンで洗浄した。得られた粗物質は乾燥させずに、湿潤ケークとして単離し(103kg,乾燥減量から計算された乾燥重量53.4kg)、9−アミノミノサイクリンHClから76%収率を得た。
【0222】
比較例24
チゲサイクリン一塩酸塩
実施例24A:9−クロロアセトアミドミノサイクリン
機械的スターラー、熱電対および1Lの添加漏斗を備えた3Lの丸底フラスコ中、塩化メチレン(1.3L)を0〜2℃に冷却した。再結晶化された9−アミノミノサイクリン塩酸塩(400g)を攪拌しながら徐々に加えた。温度を0〜2℃に維持しながら、トリエチルアミン(428mL)を10分かけて加えた。反応混合物を10分間攪拌し、次いで、−22℃に冷却した。次いで、540mlの塩化メチレン中における280gの無水クロロ酢酸の溶液を、温度が5℃を超えないような速度で加えた。さらに132mlの塩化メチレンを用いて添加漏斗をリンスした。無水物添加開始の15分後、反応混合物をHPLCによってアッセイした。存在する出発物質の量が2%未満になったとき、反応を680mLの0.05M重炭酸ナトリウム溶液でクエンチした。混合物を15分間攪拌し、次いで、5Lの分離漏斗に移した。相を分離させた。塩化メチレン相を分離し、さらに680mLの0.05M重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。洗浄した塩化メチレン溶液をn−ヘプタンおよびイソプロパノールの10:1混合液17L(15.4Lのn−ヘプタンおよび1.54Lのイソプロパノール)中に滴下した。スラリーを5分間攪拌し、次いで、10分間静置させた。上清をデカントし、沈殿を粗多孔性ガラス漏斗(fritted-funnel)でろ過した。固体を2Lの10:1 n−ヘプタン:イソプロパノールで洗浄した。固体を真空下、40℃で乾燥させて、粗生成物を得た(550g)。
【0223】
実施例24B:チゲサイクリン
粗9−クロロアセトアミドミノサイクリン(100g)を室温(25〜28℃)でゆっくりと、十分に攪拌しながら、スターラーおよび熱電対を備えた1Lの二口丸底フラスコ中における500mLのt−ブチルアミンに加えた。ヨウ化ナトリウム(10g)を加え、反応混合物を室温で7.5時間攪拌した。反応をHPLCによってモニターし、<2%の出発物質が残存する場合、100mlのメタノールを加え、溶媒をロータリーエバポレーターにおいて40℃で除去した。残渣に、420mLのメタノールおよび680mLの水を加えた。該溶液を0〜2℃に冷却し、濃HCl(91ml)でpH7.2に調整して、反応混合物容量1300mLを得た。水で6.5Lに希釈し、濃HCl(12mL)でpHを4.0〜4.2に調整した。洗浄Amberchrom(登録商標)(CG161cd)(860g)を該溶液に加え、混合物を30分間攪拌し、pHを4.0〜4.2に調整した。該樹脂をろ過し、使用した水溶液をHPLCによって生成物についてアッセイし、4〜8℃で保存した。該樹脂を水中における20%メタノール4.8L(4Lメタノール+16L水)中でスラリー化した。該懸濁液を15分間攪拌し、pHを4.0〜4.2に調整した。該樹脂をろ過し、ろ液を生成物についてアッセイした。該樹脂の抽出を、水中における20%メタノール4.8Lで3回以上繰り返した。上記の樹脂抽出物および使用した水溶液の全てをプールし、30%水酸化アンモニウムでpHを7.0〜7.2に調整した。該水溶液を6X2.8Lの塩化メチレンで抽出し、抽出の間にpHを7.0〜7.2に調整した。プールした塩化メチレン抽出物を250gの無水硫酸ナトリウムでろ過し、500mLに濃縮し、0〜3℃に冷却した。生成物の結晶化後、スラリーを0〜3℃で1時間攪拌した。固体をろ過し、2X50mLの冷塩化メチレンで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させて、固体を得た(26g)。
【0224】
実施例24C:チゲサイクリン一塩酸塩
チゲサイクリン(49g,0.084モル)を攪拌しながら、500mLの注射用水中に徐々に溶解させた。該溶液を中程度の多孔性漏斗でろ過し、420mLの注射用水で洗浄した。該溶液を0〜2℃に冷却し、温度を0〜2℃に維持しながら5.6mLの濃HClを滴下した。最初のpHは8.0であり、最後のpHは6.0であった。試料を−30℃で冷凍し、−15℃で凍結乾燥することによって、溶液を凍結乾燥させた。貯蔵温度を21℃に2時間上昇させた。得られた固体(49.6g)を破砕し、4〜5℃で保存した。
元素分析:C(52.92%理論値,51.75%実測値);H(6.73%理論値,6.75%実測値);N(10.65%理論値,10.32%実測値);Cl(5.4%理論値,5.5%実測値)
【0225】
比較例25
チゲサイクリン一塩酸塩
実施例25A:9−クロロアセトアミドミノサイクリン
塩化メチレン(325mL)を−5〜0℃に冷却し、9−アミノミノサイクリン塩酸塩(100g)を10分かけて徐々に加えた。温度を−10〜−5℃に維持しながら、トリエチルアミン(77.6g)を加えた。97%無水クロロ酢酸(70g)の塩化メチレン(133mL)中溶液を20〜25℃で攪拌することによって調製し、混合物温度を−10〜−2℃に維持しながら、45分で反応混合物に加えた。該無水クロロ酢酸溶液を含有するフラスコを31mLの塩化メチレンでリンスし、該リンス液を反応混合物に加えた。30分間攪拌後、反応をHPLCによってアッセイして、反応が完了したかを決定した。反応混合物を0〜5℃に維持しながら、水性重炭酸ナトリウム(185mL,0.05M)を30分かけて加えた。10分間攪拌後、層を分離し、硫酸ナトリウム(15g)を有機層に加えた。混合物を0〜5℃で15分間攪拌し、ろ過した。得られたケークを塩化メチレン(2x38mL)でリンスし、合わせたろ液を4.19Lの10:1 ヘプタン:イソプロパノール中に20分かけて加え、次いで、ろ過フラスコを15mLの塩化メチレンでリンスした。得られた懸濁液を20〜25℃で15分間攪拌し、次いでろ過した。ケークを680mLの10:1 ヘプタン:イソプロパノールでリンスし、37〜40℃(5〜10mmHg)で24時間乾燥させた。HPLCによる純度(面積%):78.1。
【0226】
実施例25B:チゲサイクリン
スターラー、熱電対およびコンデンサーを備え付けた2Lの多口丸底フラスコ中、0〜10℃にて、9−クロロアセトアミドミノサイクリン(100g)を勢い良く攪拌しながら483mLのt−ブチルアミンに加えた。ヨウ化ナトリウム(16g)を加え、反応混合物を33〜38℃で4時間攪拌した。反応混合物を完了についてHPLCによってアッセイし、次いで、5〜10℃に冷却した。メタノール(300mL)を10分かけて加え、次いで、反応溶液を蒸留(10−17℃,68mmHg)により350mLに濃縮した。さらにメタノール(600mL)を濃縮物に加え、混合物を蒸留によって350mLに濃縮した。反応温度を30℃以下に維持しながら、メタノール(46mL)および冷水(565mL)を加えた。該溶液を0〜5℃に冷却し、100mLのHCl20°Beを用いてpHを4.0に調整した。該溶液を、500mLの水でリンスした5Lの多口フラスコに移し、次いで、1Lの水で希釈した。0〜5℃で1時間攪拌後、洗浄したAmberchrom(CG161)樹脂を加え、得られた懸濁液を20〜25℃で30分間攪拌した。該懸濁液をろ過し、得られた湿潤ケークを340mLの5:1 水:メタノール溶液に加えた。ろ液を取りよけた。20〜25℃で30分間攪拌後、懸濁液をろ過し、得られた湿潤ケークを第2の340mLの5:1 水:メタノール溶液に加えた。該第2のろ液を取りよけた。該懸濁液をろ過し、得られた湿潤ケークを第3の340mLの5:1 水:メタノール溶液に加えた。ろ過後、第3のろ液を第1および第2のろ液と合わせ、0〜5℃に冷却した。11mLの28%水酸化アンモニウムを用いてpHを7.0に調整した。該溶液を必要に応じてpHを7.0に調整しながら、0〜5℃で16時間攪拌し、次いで、必要に応じてpHを7.0に調整しながら、22〜25℃で1時間攪拌した。該水溶液を塩化メチレン(5X980mL)で抽出し、各抽出のためにpHを7.0に調整した。合わせた有機相を分離漏斗に移し、水層を分離した。有機層を100gの硫酸ナトリウムと合わせ、20〜25℃で1時間攪拌した。該懸濁液をセライトパッドでろ過し、ケークを250mLの塩化メチレンでリンスした。ろ液を蒸留(−5〜5℃,150mmHg)により150mLに濃縮し、次いで、0〜5℃に1時間冷却した。得られた懸濁液をろ過し、ケークを0〜5℃の塩化メチレン(2x30mL)で洗浄した。該湿潤ケークを塩化メチレン(335mL)およびメタノール(37mL)中、26〜32℃で、溶液が得られるまで攪拌した。該溶液をセライトでろ過し、セライトを塩化メチレン(2x15mL)でリンスし、蒸留(−5〜5℃,150mmHg)により54mLに濃縮した。該濃縮手法は2回繰り返し、最初に335mLの塩化メチレンを加え、容量を55〜70mLに減らし、次いで、254mLの塩化メチレンを加え、容量を90〜105mLに減らした。得られた懸濁液を0〜5℃で1時間攪拌し、次いで、ろ過し、−10℃の塩化メチレン(2x25mL)で洗浄した。固体を35〜40℃で16時間乾燥させ、次いで、45〜50℃で27時間乾燥させた。HPLCによる純度(面積%):97.7%,C−4エピマー1.23%。
洗浄したAmberchrom(CG161)樹脂は、183gのろ過し、ホモジナイズしたAmberchrom(CG161)樹脂を340mLの5:1水:メタノール溶液に加えることによって調製された。22〜25℃で1時間攪拌後、該懸濁液をろ過して湿潤ケークを得、それを吸引乾燥させた。該湿潤ケークを340mLの5:1水:メタノール溶液中、20℃で1時間攪拌し、次いで、ろ過した。該工程を1回以上繰り返して、洗浄した樹脂を得た。
【0227】
精製
実施例1
チゲサイクリン
粗チゲサイクリン(110.0g)および酢酸メチル(1.65L)の混合物を攪拌し、30〜35℃に加熱し、メタノール(550mL)を15分かけて加えた。30〜35℃で維持した後、該温かい溶液を滴虫土(36g)でろ過し、ケークを酢酸メチル(2x106g)で洗浄した。ろ液を蒸留(20℃,150mmHg)により550mLに濃縮した。酢酸メチル(1.1L)を加え、得られた懸濁液を蒸留(20℃,150mmHg)により550mLに濃縮した。該工程を繰り返し、次いで、濃縮物を0〜4℃に1時間冷却した。得られた固体をろ過によって収集し、0〜5℃の酢酸メチル(2x150mL)で洗浄した。固体を真空下(65〜70℃,10mmHg)で100時間乾燥させて、所望の生成物を得た(98.0g、89.1%収率)。HPLCによる純度(面積%):98.8%およびC−4エピマー0.55%。
【0228】
実施例2
チゲサイクリン
9−アミノミノサイクリン・HCl(140.0g)を0〜4℃の水840mLに徐々に加えた。温度を0〜4℃に維持しながら、t−ブチルグリシン酸クロリド塩酸塩(154g)を15分かけてよく攪拌しながら加えた。該溶液を1〜3時間攪拌した。温度を0〜10℃に維持しながら、該混合物のpHを30%水酸化アンモニウムで7.2±0.2に調整した。メタノール(930mL)および840mLの塩化メチレンを該溶液に加え、それを20〜25℃で1時間攪拌した。相を分離した。水相を3X600mLの塩化メチレンで抽出し、有機相を合わせ、乾燥させ、約500mL容量に濃縮した。得られた懸濁液を0〜2℃に1時間冷却した。固体をろ過し、乾燥させて、生成物を得た(120g、75%収率)。HPLCによる純度(面積%):98%、C−4エピマー0.1%。MS(FAB):m/z586(M+H);585(M)。
【0229】
実施例3
チゲサイクリン
実施例2に記載のように調製されたチゲサイクリン(15.00g)を113mLのアセトンおよび113mLのメタノールに加えた。該懸濁液を20〜25℃で1時間攪拌し、次いで0〜2℃に冷却した。1時間攪拌後、該懸濁液をろ過し、洗浄して、生成物を得た(12.55g、83.7%収率)。HPLCによる純度(面積%)>99%、C−4エピマー0.4%。
【0230】
実施例4
チゲサイクリン
実施例2に記載のように調製されたチゲサイクリン(105g)を800mLのアセトンおよび800mLのメタノールに加えた。該懸濁液を攪拌し、30〜35℃に15分間加熱した後、20〜25℃に冷却した。20〜25℃で1時間維持後、該懸濁液を0〜4℃に冷却し、1時間維持した。固体をろ過し、洗浄し、乾燥させて、生成物を得た(83g、79%収率)。HPLCによる純度(面積%)>99%、C−4エピマー0.4%。
【0231】
実施例5
チゲサイクリン
機械的スターラーおよび窒素保護を備え付けた1Lの多口フラスコに、94.3gの湿潤粗チゲサイクリン、メタノール(305g,386mL)およびアセトン(291g,368mL)を加えた。該混合物を16〜23℃で4時間攪拌した。該スラリーを、#1 Whatmanろ紙を用いて9cmのブフナー漏斗でろ過した。湿潤ケークを20〜25℃にて、メタノール(87g,110mL)で洗浄した。該湿潤ケークを吸引および窒素保護を用いて0.1時間乾燥させた。該湿潤ケーク(75.3g)を1Lの多口フラスコに戻し、メタノール(233g,295mL)およびアセトン(244g,309mL)の溶液を加えた。該スラリーを15〜20℃で5.5時間攪拌した。スラリーを#1 Whatmanろ紙を用いて9cmのブフナー漏斗でろ過した。湿潤ケークを18〜24℃にてメタノール(70g,88mL)で洗浄した。該湿潤ケークを吸引および窒素保護を用いて0.1時間乾燥させた。該湿潤ケーク(59.0g)を1Lの多口フラスコに戻し、メタノール(195g,247mL)およびアセトン(187g,236mL)の溶液を加えた。該スラリーを18〜24℃で3時間攪拌した。該スラリーを#1 Whatmanろ紙を用いて9cmのブフナー漏斗でろ過した。湿潤ケークを20〜25℃にてメタノール(55g,70mL)で洗浄した。該湿潤ケークを吸引および窒素保護を用いて0.1時間乾燥させた。該湿潤ケーク(48.9g)を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のサンプルとした(全不純物=0.62%,ミノサイクリン=0.17%,C−4エピマー=0.35%,最大の他の単一不純物=0.05%)。
粗チゲサイクリンは、供給元Interchemから入手したミノサイクリン・HClから調製された。
【0232】
該湿潤ケーク(48.9g)を、真空蒸留セットを備えた2Lの多口フラスコに移した。該湿潤ケークに、メタノール(90g,114mL)およびジクロロメタン(1,023g,772mL)のプレミックス溶液を加えた。該スラリーを15〜20℃にて攪拌して、赤色溶液を得た。該溶液を13〜17℃にて、330mmHgの真空下、0.8時間かけて160mLに蒸留して、オレンジ色スラリーを得た。該2Lフラスコ中に、ジクロロメタン(818g,617mL)を加え、スラリーを6〜13℃にて、817mmHgの真空下、0.7時間かけて183mLに再蒸留した。ジクロロメタン(635g,479mL)を加え、スラリーを6〜7℃にて、817mmHgの真空下、0.6時間かけて183mLに再蒸留した。得られたオレンジ色スラリーを0〜5℃に冷却し、攪拌しながら0〜5℃で2時間維持した。該スラリーを#1 Whatmanろ紙を用いて7cmのブフナー漏斗でろ過した。湿潤ケークを0℃にて、69g(52mL)のジクロロメタンで2回洗浄した。該湿潤ケークを窒素保護下で5分間、吸引乾燥させた。該湿潤ケーク(48.7g)の試料をHPLC分析に付した(全不純物=0.49%,ミノサイクリン=0.12%,C−4エピマー=0.32%,他の不純物=0%)。次いで、該湿潤ケークを25℃にて、<10mmHgの真空下、ジクロロメタンレベル2.2%まで57.5時間乾燥させて、チゲサイクリンを得た(32.3g、34.2%収率)。
【0233】
供給元HovioneおよびNippon Kayakuから入手したミノサイクリン・HClから調製された粗チゲサイクリンを用いて、該手法にしたがった。ミノサイクリン・HCl出発物質の各供給源を用いる上記方法から得られたチゲサイクリン中に存在する不純物の比較を、表1および2に示す。これらの表は、該方法が高収率のチゲサイクリンを少量の不純物と共に提供することを示す。
【表9】

【表10】

1.無水物、溶媒不含を基準とする。
2.エピマーを除く。
3.C−4エピマーおよびミノサイクリンを除く最大の単一不純物(LSI)。GAR−936に対する相対的保持時間(RRT)
4.brl:報告する限界未満(below reporting limit),HPLCの場合、0.05%未満。
5.0.0005%のbrl。
6.0.0003%のbrl。
7.0.0030%のbrl(単一試料)。
8.2ppmのbrl。
9.63ppmのbrl。
10.出発物質および生成物の強度に対して補正した。
【0234】
実施例6
チゲサイクリン
粗チゲサイクリン湿潤ケーク(72.5kg,乾燥重量38.2kg)を191kg(5部)のアセトンおよび191kg(5部)のメタノール中で攪拌し、スラリー化した。次いで、該スラリーを30〜36℃に加温し、すぐに19〜25℃に冷却し、19〜25℃で2時間維持した。次いで、該スラリーを0〜6℃に冷却し、0〜6℃で1時間維持した。ろ過および2x34kg(0.9部)のアセトン/メタノール(1:1)で洗浄後、湿潤ケークをミノサイクリン(0.23%)、9−アミノミノサイクリン(0%)、およびC−4エピマー以外の最大の単一不純物(0.09%)について試験した。C−4エピマー含量は1.12%であった。該分析データに基づいて、追加の再スラリー化は実施しなかった。湿潤ケークに、440kg(11.5部)の塩化メチレンおよび39.3kg(1.0部)のメタノールを加え、該混合物を30〜36℃に加熱して溶解させた。該バッチ溶液を0.3ミクロンのパイロジェン減少フィルターおよび0.2ミクロンの浄化フィルターでろ過した。次いで、真空蒸留を3回行ってメタノールを除去した。第2および第3回目の蒸留の前に、塩化メチレン(各々、440kgおよび339kg)を追加した。残留メタノールレベルは0.3%であった。該バッチを0〜6℃に冷却し、1時間攪拌した。該バッチをろ過し、2x42.1kg(1.1部)の予め冷却した(−13〜−7℃)塩化メチレンで洗浄し、60℃以下にて、乾燥減量<2.5%まで乾燥させた。該物質を粉砕して、チゲサイクリンを得た(22.3kg、58%収率)。HPLCによる純度(面積%):98.2%,C−4エピマー:1.55%,ミノサイクリン0.1%,9−アミノミノサイクリン0%,単一の最大の他の不純物=0.08%。
乾燥減量データから算出された乾燥重量。
【0235】
実施例7
チゲサイクリン
粗チゲサイクリン湿潤ケーク(103.5kg,乾燥重量53.4kg)を191kg(5.1部)のアセトンおよび191kg(5.1部)のメタノール中で攪拌し、スラリー化した。次いで、該スラリーを30〜36℃に加温し、すぐに19〜25℃に冷却し、19〜25℃で2時間維持した。次いで、該スラリーを0〜6℃に冷却し、0〜6℃で1時間維持した。ろ過および2x34kg(0.9部)のアセトン/メタノール(1:1)で洗浄後、湿潤ケークをミノサイクリン(0.12%)、9−アミノミノサイクリン(0%)、およびC−4エピマー以外の最大の単一不純物(0.13%)について試験した。C−4エピマー含量は0.37%であった。該分析データに基づいて、追加の再スラリー化は実施しなかった。湿潤ケークに、440kg(11.7部)の塩化メチレンおよび55.7kg(1.0部)のメタノールを加え、該混合物を30〜36℃に加熱して溶解させた。該バッチ溶液を0.3ミクロンのパイロジェン減少フィルターおよび0.2ミクロンの浄化フィルターでろ過した。次いで、真空蒸留を3回行ってメタノールを除去した。第2および第3回目の蒸留の前に、塩化メチレン(各々、624kgおよび481kg)を追加した。残留メタノールレベルは1.07%であった。該バッチを0〜6℃に冷却し、1時間攪拌した。該バッチをろ過し、3x59.7kg(各1.1部)の予め冷却した(−13〜−7℃)塩化メチレンで洗浄し、60℃以下にて乾燥減量<2.5%まで乾燥させた。該物質を粉砕して、チゲサイクリンを第1収穫として得た(31.7kg)。晶析装置中の残留生成物からなる第2収穫がさらに2.5kgを提供された。両方の収穫物は、粗チゲサイクリンからの64%収率を示す。
乾燥減量データから算出された乾燥重量。
【0236】
本発明を本発明の具体例およびその非限定的な実施例の考察によって記載したが、当業者ならば、本明細書および特許請求の範囲を読んで、本発明の意図される範囲内にある他の具体例およびバリエーションを想像することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、単に本発明の範囲を理解させ、明らかにするだけである。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】チゲサイクリンを調製するための例示的スキームを示す。
【図2】チゲサイクリンを調製するための例示的スキームを示す。
【図3】チゲサイクリン調製するための例示的スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)式1:
【化1】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
B)15分〜2時間の少なくとも1つの一定時間、0℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、次いで
C)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の精製法。
【請求項2】
A)式1:
【化2】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
B)一定時間、30℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、
C)第1の混合物を15℃〜25℃に冷却し、混合することなく第2の一定時間静置し、
D)第1の混合物を0℃〜6℃に冷却し、混合することなく第3の一定時間静置し、次いで、
E)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の精製法。
【請求項3】
nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである請求項1記載の精製法。
【請求項4】
nが1であり、RおよびRがNと一緒になってピロリジニル基を形成し、RおよびRが各々、メチルである請求項1記載の精製法。
【請求項5】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせられる式1の少なくとも1つの化合物が固体、スラリー、懸濁液および溶液から選択される形態で提供される請求項1、3または4記載の精製法。
【請求項6】
該精製法から得られた式1の少なくとも1つの化合物が式1の化合物のC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を1%未満含有する請求項1、3、4または5記載の精製法。
【請求項7】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒がアセトン、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレンおよび酢酸エチルから選択される請求項1、3、4、5または6記載の精製法。
【請求項8】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒がアセトンおよび塩化メチレンから選択される請求項7記載の精製法。
【請求項9】
少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブタノールから選択される請求項1、3、4、5、6、7または8記載の精製法。
【請求項10】
少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールである請求項9記載の精製法。
【請求項11】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒がアセトンを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールを含む請求項1、3、4、5または6記載の精製法。
【請求項12】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒が塩化メチレンを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールを含む請求項1、3、4、5または6記載の精製法。
【請求項13】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒が酢酸メチルを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールを含む請求項1、3、4、5または6記載の精製法。
【請求項14】
式1の化合物を等容量の少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせる請求項1および3〜13のいずれか1項記載の精製法。
【請求項15】
第1の混合物を30分〜2時間の第1の一定時間、15℃〜25℃で混合し、次いで、30分〜2時間の第2の一定時間、0℃〜2℃で混合する請求項1および3〜14のいずれか1項記載の精製法。
【請求項16】
第1の一定時間および第2の一定時間が各々、1時間である請求項15記載の精製法。
【請求項17】
少なくとも1つの一定時間が30分〜2時間であり、温度が15℃〜25℃であり、さらに、混合後に第1の混合物をろ過して固体を得ることを含む、請求項1および3〜14のいずれか1項記載の精製法。
【請求項18】
さらに、
A)固体を等容量の少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と、30分〜2時間の第1の一定時間、15℃〜25℃で合わせ、次いで、
B)ろ過して、第2の固体を得る
工程を含む請求項17記載の精製法。
【請求項19】
AおよびBを2〜15回繰り返す請求項18記載の精製法。
【請求項20】
さらに、第1の混合物から固体を得、次いで、該固体を少なくとも1つの極性プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒と合わせて、組み合わせを得ることを含む、請求項1および3〜14のいずれか1項記載の精製法。
【請求項21】
組み合わせがメタノールおよび塩化メチレンをメタノール:塩化メチレン容量比 1:5〜1:15で含む請求項20記載の精製法。
【請求項22】
さらに、第2の混合物を30℃〜36℃で混合し、次いで、ろ過して、溶液を得ることを含む請求項20記載の精製法。
【請求項23】
さらに、溶液中における極性プロトン性溶媒の濃度を5%以下に下げ、0℃〜6℃で30分〜2時間混合した後、ろ過することを含む請求項22記載の精製法。
【請求項24】
一定時間が10〜20分である請求項2記載の精製法。
【請求項25】
一定時間が15分である請求項24記載の精製法。
【請求項26】
第2の一定時間が30分〜3時間である請求項2、24または25記載の精製法。
【請求項27】
第2の一定時間が1時間〜2時間である請求項26記載の精製法。
【請求項28】
第3の一定時間が30分〜2時間である請求項2および24〜27のいずれか1項記載の精製法。
【請求項29】
第3の一定時間が1時間である請求項28記載の精製法。
【請求項30】
式1の化合物が[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[[(t−ブチルアミノ)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミドまたはその医薬上許容される塩である請求項1記載の精製法。
【請求項31】
式1の化合物が[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[[(ピロリジニル)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミドまたはその医薬上許容される塩である請求項1記載の精製法。
【請求項32】
A)チゲサイクリン:
【化3】

チゲサイクリン
を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
B)15分〜2時間の少なくとも1つの一定時間、0℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、次いで
C)チゲサイクリンを得る
ことを特徴とするチゲサイクリンまたはその医薬上許容される塩の精製法。
【請求項33】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせられるチゲサイクリンが固体、スラリー、懸濁液および溶液から選択される形態で提供される請求項32記載の精製法。
【請求項34】
該精製法から得られたチゲサイクリンが式1の化合物のC−4エピマーまたはその医薬上許容される塩を1%未満含有する請求項32または33記載の精製法。
【請求項35】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒がアセトンを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールを含む請求項32、33または34記載の精製法。
【請求項36】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒が塩化メチレンを含み、少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノールを含む請求項32、33または34記載の精製法。
【請求項37】
請求項1記載の精製法によって調製された化合物。
【請求項38】
請求項1記載の少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項39】
さらに少なくとも1つの医薬上許容される担体を含む請求項38記載の組成物。
【請求項40】
請求項1記載の少なくとも1つの化合物が式1:
【化4】

式1
[式中、nは1であり、Rは水素であり、Rはt−ブチルであり、RおよびRは各々、メチルである]
で示される少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩である請求項38記載の組成物。
【請求項41】
A)少なくとも1つのニトロ化剤と、式2:
【化5】

式2
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩とを反応させて、式3:
【化6】

式3
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物スラリーを調製し、
B)少なくとも1つの還元剤と該反応混合物スラリーとを合わせて、式4:
【化7】

式4
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を調製し、
C)式4の少なくとも1つの化合物を水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1:
【化8】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される少なくとも1つの化合物を得、
D)式1で示される少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
E)15分〜2時間の少なくとも1つの一定時間、0℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、次いで、
F)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法。
【請求項42】
A)少なくとも1つの還元剤と、式3:
【化9】

式3
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を含む反応混合物スラリーとを合わせて、式4:
【化10】

式4
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を調製し、
B)式4の少なくとも1つの化合物を水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1:
【化11】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される化合物を得、
C)式1で示される少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
D)15分〜2時間の少なくとも1つの一定時間、0℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、次いで、
E)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法。
【請求項43】
A)式4:
【化12】

式4
で示される少なくとも1つの化合物またはその塩を水性媒体、および試薬塩基の不在下における少なくとも1つの塩基性溶媒から選択される反応媒体中、少なくとも1つのアミノアシル化合物と反応させて、式1:
【化13】

式1
[式中、RおよびRは、各々独立して、水素、直鎖および分枝鎖(C−C)アルキル、およびシクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、Nと一緒になって、複素環を形成し;Rは−NRであり、ここに、RおよびRは、各々独立して、水素ならびに直鎖および分枝鎖(C−C)アルキルから選択され;およびnは1−4である]
で示される化合物を得、
B)式1で示される少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒および少なくとも1つの極性プロトン性溶媒と合わせ、
C)15分〜2時間の少なくとも1つの一定時間、0℃〜40℃で混合して第1の混合物を得、次いで、
D)式1の少なくとも1つの化合物を得る
ことを特徴とする式1の少なくとも1つの化合物またはその医薬上許容される塩の製法。
【請求項44】
nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである請求項41記載の製法。
【請求項45】
nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである請求項42記載の製法。
【請求項46】
nが1であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RおよびRが各々、メチルである請求項43記載の製法。
【請求項47】
式1の化合物が[4S−(4α,12aα)]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−9−[[(t−ブチルアミノ)アセチル]アミノ]−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセン−カルボキサミド塩酸塩である請求項30記載の精製法。
【請求項48】
チゲサイクリンがチゲサイクリン塩酸塩である請求項32記載の精製法。
【請求項49】
少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒がアセトン、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレンおよび酢酸エチルから選択される請求項2、および24〜29のいずれか1項記載の精製法。
【請求項50】
少なくとも1つの極性プロトン性溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブタノールから選択される請求項2、24〜29および49のいずれか1項記載の精製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−545702(P2008−545702A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513713(P2008−513713)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020270
【国際公開番号】WO2006/130431
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】