説明

チップマウンタ用パーツフィーダ

【課題】マウンタにパーツフィーダを装着するときに、誤装着を防止してその装着作業をより容易且つ迅速に行えるパーツフィーダを提供する。
【解決手段】このパーツフィーダは、表示部58、制御部54および電源部56を有し、制御部54は、チップマウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに、チップマウンタから予め得られた当該パーツフィーダ自身の装着位置の情報に基づいて、自身の装着位置を表示部58に表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子部品を搭載する電子部品実装装置(以下、「チップマウンタ」という)に搭載部品を供給する電動式部品供給装置(以下、「パーツフィーダ」という)に係り、特に、この種のチップマウンタにパーツフィーダを装着するときに、その装着作業をより容易且つ迅速に行う上で好適なパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のチップマウンタには、吸着ノズルを有する部品搭載ヘッドが装備されるとともに、搭載部品供給用の複数のパーツフィーダが装着されるようになっている。そして、チップマウンタの所定の場所に位置決めされた基板に対し、部品搭載ヘッドが、各パーツフィーダから吸着ノズルで電子部品を吸着し、基板上の所定の位置への電子部品の搭載と部品吸着とを繰返し行ない、予めプログラムされた位置に全ての電子部品が搭載された後に、基板が搬出されるようになっている。
【0003】
この種のマウンタにパーツフィーダを装着する場合は、上記複数のパーツフィーダ(例えば60個)を交換台車にセットして、これを一括して移送してマウンタへ装着する。このとき、生産プログラムに記憶されている電子部品の種類、各パーツフィーダの装着位置の情報と、実際に搭載部品をセットしたパーツフィーダの装着位置の情報とは、互いに一致している必要がある。そのため、オペレータは、生産プログラムの記憶内容を確認し、該当する電子部品がセットされているパーツフィーダを、ポジションラベルの表示に従って所定の位置に装着している。
【0004】
ここで、従来のこの種の電動式のパーツフィーダでは、その電源が、装着されるマウンタから供給されていたため、マウンタからパーツフィーダを取り外した状態では、パーツフィーダの表示部への表示を含めて自立した動作を行うことができなかった。そこで、例えば特許文献1には、電動式のパーツフィーダにおいて、パーツフィーダ自身にも電源部を備えることにより、外部から電源供給を受けていない状態においても、パーツフィーダ自身の状態等をオペレータに報知可能とする技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、電動式のパーツフィーダにおいて、パーツフィーダ自身に表示部を備え、その表示部に、部品の残数や、種々のエラー表示(例えば、装着場所エラーや吸着エラー)を可能とし、これにより、オペレータによるパーツフィーダの装着作業性等を向上させ得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−347351号公報
【特許文献2】特開2007−242757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1ないし2記載の技術が採用されたパーツフィーダを用いた場合においても、基板の生産中に、パーツフィーダにセットされた電子部品が消費されたときは、オペレータは、生産プログラムの記憶内容を確認し、マウンタ若しくは交換台車からパーツフィーダを一度取り外してから部品補充作業を行い、再び、マウンタの所定位置に電動式パーツフィーダをセットする、という作業自体に変りはない。そのため、パーツフィーダに、仮に特許文献1記載の技術を採用した場合であっても、ユーザは、マウンタの生産プログラム等から電動式パーツフィーダの再装着位置の確認が依然として必要である。
【0007】
また、例えば、マウンタや交換台車に、電動式パーツフィーダの再装着位置を促す表示灯や表示部等を設けた場合であっても、複数のパーツフィーダに対して同時に着脱作業を実施した場合には、やはり各パーツフィーダの装着位置の特定が困難になってしまうため、誤装着を防止し、装着作業をより容易且つ迅速に行う上では不十分である。
また、例えば特許文献2に記載の技術のように、パーツフィーダの装着後において、パーツフィーダに自身の装着状態のエラー表示が可能であっても、これは誤装着後の事後通知にすぎない。そのため、結局、事前に本来装着されるべき位置が判然としていなければ、誤装着を防止する上で不十分であり、パーツフィーダの装着作業をより容易且つ迅速に行う上では未だ改善の余地が残される。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、基板上に電子部品を搭載するマウンタに搭載部品を供給するパーツフィーダにおいて、マウンタにパーツフィーダを装着するときに、誤装着を防止してその装着作業をより容易且つ迅速に行えるパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上に電子部品を搭載するチップマウンタに用いられ、搭載する部品を前記チップマウンタに供給するパーツフィーダであって、前記チップマウンタに対する自身の装着位置を表示する装着位置表示手段を備え、当該装着位置表示手段は、表示部と、該表示部に前記装着位置を表示させる制御部と、前記チップマウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに前記表示部および制御部をチップマウンタとは独立して駆動可能な電源部とを有し、前記制御部は、前記チップマウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに、前記チップマウンタから予め得られた当該パーツフィーダ自身の装着位置の情報に基づいて、自身の装着位置を前記表示部に表示することを特徴としている。
【0010】
本発明に係るパーツフィーダによれば、装着位置表示手段を備えており、この装着位置表示手段は、表示部、制御部および電源部を有し、電源部は、マウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに前記表示部および制御部をマウンタとは独立して駆動可能なので、マウンタから当該パーツフィーダを取り外した場合でも、独立して内部制御を継続して表示部に表示をすることができる。
【0011】
そして、この制御部は、マウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに、マウンタから予め得られた当該パーツフィーダ自身の装着位置の情報に基づいて、自身の装着位置を前記表示部に表示するので、仮に多数のパーツフィーダを同時に着脱して搭載用部品の補充作業を行う場合であっても、オペレータは、個々のパーツフィーダのマウンタへのセット位置を間違いなく確認しつつ、マウンタに各パーツフィーダを装着することができる。そのため、誤装着を防止してその装着作業をより容易且つ迅速に行うことができる。
【0012】
ここで、例えば、前記制御部が、電子部品の補充のために前記チップマウンタから当該パーツフィーダ自身が取り外されたと認識した場合にのみ、前記表示部に前記装着位置を表示することは好ましい。このような構成であれば、多数のパーツフィーダが併設されていても、必要最小限の表示のみがなされるので、オペレータによる装着位置の確認が必要最小限となり作業の効率化を一層向上させる上で好適である。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明に係るパーツフィーダによれば、マウンタにパーツフィーダを装着するときに、誤装着を防止してその装着作業をより容易且つ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るパーツフィーダが装着されるチップマウンタの一実施形態を説明する斜視図である。
【図2】パーツフィーダを交換台車にセットして、これを一括して移送してチップマウンタへ装着する例を説明する図であり、同図は交換台車の斜視図を示している。
【図3】パーツフィーダを交換台車にセットして、これを一括して移送してチップマウンタへ装着する例を説明する図であり、同図は、図2での要部(C部)におけるパーツフィーダを含む拡大図であり、パーツフィーダを着脱する際のイメージを示している。
【図4】パーツフィーダを交換台車にセットして、これを一括して移送してチップマウンタへ装着する例を説明する図であり、同図は、図3のパーツフィーダの表示部での表示の一例を示す平面図である。
【図5】図3に示すパーツフィーダの制御基板の構成を説明するブロック図である。
【図6】パーツフィーダを含むチップマウンタのシステムによるパーツフィーダ装着位置表示処理全体を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、このチップマウンタ1は、図示の下側に、電子部品(不図示)を供給する複数(例えば60個)の電動式部品供給装置としてパーツフィーダ2および部品認識カメラ3が配設されている。また、図示の略中央部には、基板Kの搬入および搬出をする基板搬送装置10が左右方向に延在され、この基板搬送装置10上に基板Kが載置されるようになっている。また、この基板搬送装置10の上方には部品搭載ヘッド6が配置されている。部品搭載ヘッド6には、搭載する電子部品を吸着する吸着ノズル4と、基板K上の基板マークおよび電子部品を撮像可能な基板認識カメラ5とが付設されている。
【0016】
また、この部品搭載ヘッド6は、吸着ノズル4を垂直方向(Z軸方向)に昇降可能に移動させるZ軸移動機構26を備えるとともに、吸着ノズル4を、ノズル軸(吸着軸)を中心に回転させるθ軸移動機構20を備えている。また、筐体内には装置全体を制御する制御装置30を備えて構成されている。そして、部品搭載ヘッド6は、吸着ノズル4および基板認識カメラ5と共にX軸移動機構22およびY軸移動機構24によってX軸およびY軸方向に移動されるようになっている。
【0017】
次に、上記パーツフィーダ2を交換台車にセットして、これを一括して移送してマウンタ1へ装着する際の作業方法について説明する。
図2〜図4に、このマウンタに用いられるパーツフィーダにおいて、複数のパーツフィーダを交換台車にセットして、これを一括して移送してマウンタへ装着する際の作業方法を示す。なお、各図において、符号41は交換台車、43はパーツフィーダ2の取付け位置を示すポジションラベル、44はマウンタ本体の制御装置30に保存される生産プログラムのイメージである。ここで、この生産プログラム44には、電子部品の種類、各パーツフィーダ2の装着位置等の情報が予め記憶されている。
【0018】
マウンタ1が基板Kへの部品搭載作業を行う場合には、生産プログラム44に記憶されている電子部品の種類、各パーツフィーダ2の装着位置の情報と、実際に電子部品をセットしたパーツフィーダ2の装着位置の情報が、互いに一致している必要がある。そのため、オペレータは、生産プログラム44の記憶内容を確認し、該当する電子部品がセットされているパーツフィーダ2を、図3に示すポジションラベル43の表示に従って所定の位置に装着している。なお、上記装着作業は、交換台車41へのパーツフィーダ2の装着作業の例であるが、マウンタ1本体にパーツフィーダ2を直接装着する場合も同様の作業を行う。
【0019】
しかし、例えば60個もの多数のパーツフィーダ2を同時に着脱した場合には、オペレータは、ポジションラベル43の表示に従うのみでは、取り外された多数のパーツフィーダ2の個々を装着すべき位置をマウンタ1本体側のポジションラベル43の表示に合わせることが困難となる。そこで、本実施形態のパーツフィーダ2においては、フィーダ2自身が、マウンタ1本体側のポジションラベル43の表示に合わせた自身の装着位置を個々の表示部に表示するようになっている。
【0020】
次に、上記パーツフィーダ2について説明する。なお、以下説明する制御基板の構成およびパーツフィーダ装着位置表示処理以外の構成については従来同様なのでその図示および説明は省略する。
図5に示すように、このパーツフィーダ2の制御基板50は、所定の制御プログラムに基づいて演算およびフィーダ2のシステム全体を制御するCPU(制御部)54と、所定領域にあらかじめCPU54の制御プログラム等を格納するとともに、読み出したデータやCPU54の演算過程で必要な演算結果を格納するメモリ55と、パーツフィーダ2の送り機構を駆動させるモータドライバ62と、パーツフィーダ2の各センサ57、表示部58および操作スイッチ59、並びに入力コネクタ60を含む装置に対してデータの入出力を媒介するインターフェース52とを備えて構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバスで相互にかつデータ授受可能に接続されている。上記入力コネクタ60は、マウンタ1との通信線が、通信部61を介してCPU54に接続され、マウンタ1との通信が可能であり、また、マウンタ1側からの電源がモータドライバ62および電圧検出部51に供給されるように接続される。
【0021】
そして、制御基板50側の電圧検出部51では制御電圧を検出し、これに続くDC−DCコンバータ53は、切換部63を介して電源部56およびCPU54に接続され、このパーツフィーダ2の制御電源を生成し、切換部63は、その生成された制御電源と自身電源部56のバッテリ電源とを切換える。また、電源部56は、外部電源より生成された制御電源を蓄える。この電源部56は単純な充電可能な電池等を用いることができるようになっている。なお、DC−DCコンバータ53は、マウンタ1等の外部から制御電源が供給されているときには使用されないことがある。
そして、このパーツフィーダ2のCPU54は、メモリ55に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って以下の装着位置表示処理を実行するようになっている。
【0022】
次に、この装着位置表示処理について図6を参照しつつ詳しく説明する。なお、同図に示す一連の処理フローは、このマウンタ1のシステムにおける装着位置表示処理のフロー全体を示すものであり、同図において、マウンタ1本体(制御装置30)側の処理については符号に添え字mを付して示す。また、説明の便宜でオペレータの作業を合わせて図示しているが、これについては符号に添え字uを付して示し、これら以外の処理はパーツフィーダ2のCPU54で実行される装着位置表示処理に対応している。
【0023】
図6に示すように、このパーツフィーダ2が装着されたマウンタ1において基板生産に係る処理が実行されると、まず、ステップS1mに移行して生産プログラム44がロードされ、続くステップS2mでは、パーツフィーダ2がマウンタ1に接続されているときには、マウンタ1から各パーツフィーダ2への電源供給がされるとともに、基板生産に関わる情報や各パーツフィーダ2の設定情報が上記通信部61を介して送受信される。なお、基板生産に関する情報には、各パーツフィーダ2の装着位置情報、部品送り指示情報、各パーツフィーダ2に取り付けられている搭載用部品の有無の情報等が含まれる。
【0024】
続くステップS3mでは、通信部61を介して送受信された情報の通知が正常か否かが判定され、正常であればステップS4mに移行し、そうでなければステップS2mに処理を戻す。ステップS4mでは、通常行われる処理同様に基板生産がなされる。続くステップS5mでは、基板生産中に部品切れエラーが発生したか否かが判定され、いずれかのパーツフィーダ2に部品切れが発生していればステップS6mに移行し、そうでないときはステップS4mの基板生産が続行される。ステップS6mでは、オペレータの監視するディスプレイ等の操作画面にエラー発生が通知されるとともに、部品切れエラーが発生したパーツフィーダ2にもエラー発生が通知される。
【0025】
ステップS6mでのエラー発生の通知を受けた対応するパーツフィーダ2は、ステップS1において、自身の部品切れを認識する。また、オペレータは、ディスプレイ等の操作画面の監視や警報等によりエラー発生を知り、これにより、部品切れエラーが発生した対応するパーツフィーダ2に部品を補充するためにその取り外しや所定の補充作業を行う(ステップS1u)。
【0026】
そして、部品切れエラーが発生した対応するパーツフィーダ2(以下、該当パーツフィーダ2という)においては、ステップS1でのエラー発生が通知の認識により、パーツフィーダ2のCPU54において装着位置表示処理が実行される。該当パーツフィーダ2で装着位置表示処理が実行されると、ステップS2に移行して、オペレータにより自身の取り外し作業が行なわれたか否かを監視する。この監視は、マウンタ1からの電源供給の有無を電圧検出部51が入力電位の低下を検出することにより判断し、マウンタ1からの電源供給が遮断されたならばステップS3に移行し、そうでないときはステップS2で待機する。
【0027】
ステップS3では、電位の低下情報がCPU54に通知されるとともに、CPU54の駆動電源が、図5に示す切換え部63で電源部56に切替えられる。また、このとき、CPU54は、オペレータにより自身の取り外し作業が行なわれたとの認識をする。続くステップS4では、交換台車41を用いた部品取付け作業用電源の供給の有無を監視し、交換台車41側から電源供給があれば、ステップS5に移行し、そうでないときはステップS4で待機する。
【0028】
ステップS5では、オペレータにより自身への部品補充作業が開始されたとの認識をする。続くステップS6では、マウンタ1本体側からの通知の有無を監視する。そして、マウンタ1本体側からの通知があれば、該当パーツフィーダ2自身へのオペレータによる部品補充が不要であったとの認識をし、ステップS15に移行して基板生産が再開されるまでそのまま待機する。
【0029】
一方、マウンタ1本体側からの通知がなければ、該当パーツフィーダ2自身への部品補充がなされたとの認識をする。つまり、ステップS7に移行して、部品補充の有無を確認し、補充がされたならばステップS8に移行して交換台車41を用いた部品取付け作業用電源の供給の有無を監視し、電源供給が切断されたときには、ステップS9に移行し、そうでないときにはステップS8で待機する。
【0030】
ステップS9では、マウンタ1本体への装着位置の確認がなされ、マウンタ1本体の押し下げスイッチ(不図示)の押し下げの有無が監視される。そして、押し下げスイッチの押し下げがされたときには、ステップS10に移行し、そうでないときには、ステップS9で待機する。そして、ステップS10では、マウンタ1本体への所定の装着位置を、予め本体側から取得した位置情報に基づいて自身の表示部58に表示する処理を実行する。
【0031】
オペレータは、この表示部58の確認により該当パーツフィーダ2をマウンタ1本体へ装着すべき位置に装着する(ステップS2u)。このように、上記一連のパーツフィーダ装着位置表示処理により、オペレータは、該当パーツフィーダ2の表示部58を見ることで、その該当パーツフィーダ2が、部品補充がされているか否かを容易に判断できるとともに、例えば、図4に表示部58の平面図を示すように、該当パーツフィーダ2をマウンタ1本体へ装着すべき位置(同図の例では「25」番の位置)を容易に知ることができる。なお、この装着すべき位置を表示させる場合は、同図に示す操作SW(スイッチ)の押し下げ操作により表示される(ステップS10)。
【0032】
さらに、該当パーツフィーダ2側では、ステップS10に続いてステップS11に移行し、オペレータによるマウンタ1本体への装着の有無を監視する。この監視は、上記ステップS2同様に、マウンタ1からの電源供給の有無を見て判断し、マウンタ1からの電源供給が開始されたならばステップS12に移行し、そうでないときはステップS11で待機する。ステップS12では、マウンタ1からの電源供給によりマウンタ1本体への自身の装着がなされたとの認識をし、ステップS13に移行してマウンタ1本体からの通知を監視する。そして、通知があればステップS14に移行し、そうでないときはステップS15に移行する。
【0033】
ステップS14では、マウンタ1本体からの通知の確認により、部品補充に係る全ての作業が正常に行われたとの認識をし、該当パーツフィーダ2での一連の装着位置表示処理を終了し、該当パーツフィーダ2内での処理を通常の基板生産時の処理に復帰させる。一方、マウンタ1本体においては、上記ステップS6mからステップS7mに移行しており、ステップS7mでは、部品切れエラーが解除されたか否かを判断する。そして、上記装着された該当パーツフィーダ2との通信により、部品切れエラーが解除されていればステップS8mに移行し、そうでないときはステップS7mで待機する。ステップS8mでは、再び、基板生産が再開される。なお、上記課題を解決する手段に記載の装着位置表示手段は、本実施形態においては、上記CPU54および電源部56を含む制御基板50、表示部58並びにCPU54で実行される装着位置表示処理(ステップS1〜S15)が対応する。
【0034】
次に、上記マウンタ1による基板への部品搭載(生産)中に、パーツフィーダ2に取付けられている搭載用部品が消尽した場合のパーツフィーダ2の動作、およびその作用効果について説明する。
今、マウンタ1による基板への部品搭載(生産)中に(ステップS1m〜S4m)、マウンタ1が、自身に装着されている複数のパーツフィーダ2のいずれかの搭載用の電子部品が消尽したとの判断をすると(ステップS5m)、マウンタ1は、対応するパーツフィーダ2に対して『部品切れ』になったことを通信により伝達し(ステップS6m)、これにより、パーツフィーダ2はそれを認識する(ステップS1)。また、これと同時にマウンタ1はオペレータに対し、搭載部品が消費したことを操作画面上に表示する等の通知をして、オペレータにパーツフィーダ2への搭載部品の補充を促す(ステップS6m)。これにより、オペレータは、パーツフィーダ2への搭載用部品補充のためにマウンタ1から対応するパーツフィーダ2を取り外す(ステップS1u)。このとき、パーツフィーダ2は、以下の動作を行い、マウンタ1側から電源供給を受けない状態であっても、マウンタ1への装着位置をパーツフィーダ2自身に表示する。
【0035】
まず、搭載用部品補充のためにマウンタ1からパーツフィーダ2が取り外されると、マウンタ1からの電源供給が切断される(ステップS2)。これに伴い、パーツフィーダ2内の電圧検出部51では入力電位の低下を検出して、その情報をCPU54に通知するとともに、CPU54の駆動電源が切換え部63で電源部56に切替えられる。さらに、CPU54では、マウンタ1からの基板生産中であり且つ部品切れであるとの情報と、マウンタ1からの電源供給が切断された(入力電位が低下した)情報と、通信部61を介したマウンタとの通信が途絶えているとの情報とに基づいて、自らが搭載用部品補充のためにマウンタ1から取り外されたことを認識する(ステップS3)。
【0036】
これにより、対応するパーツフィーダ2のCPU54では、オペレータの部品補充の作業を随時監視し(ステップS4〜S9)、搭載用の電子部品の補充のためにマウンタ1から当該パーツフィーダ2自身が取り外されたと認識した場合にのみ(ステップS9)、自身の表示部58に自らがマウンタに装着されるべき位置を表示する(ステップS10)。一方、それ以外の状況では表示部58への装着位置の表示は行わない(ステップS6、S15)。
【0037】
以降、オペレータの部品補充後、オペレータによる、対応するパーツフィーダ2のマウンタ1への再装着により(ステップS2u)、マウンタ1からの電源供給が再開され且つ通信部61を介したマウンタ1との通信が正常に行える状態となるまで(あるいはオペレータの操作スイッチ59の操作により、表示部58の表示の強制的なクリアが行われるまで)、パーツフィーダ2自らがマウンタ1に装着されるべき位置が表示される(ステップS11〜S14)。そして、マウンタ1は、オペレータによるマウンタ1への再装着により、対応するパーツフィーダ2の部品補充が確認されたら(ステップS7m)、基板への部品搭載(生産)を再開する(ステップS8m)。
【0038】
したがって、このパーツフィーダ2が装備されたマウンタ1のシステム並びにこのパーツフィーダ2によれば、基板生産中の搭載用部品の補充作業で、パーツフィーダ2自らがマウンタ1に装着されるべき位置を表示部58に表示することができるため、生産プログラム44等によるオペレータの装着位置の確認が不必要となり作業の効率化を図ることができる。
【0039】
また、このパーツフィーダ2およびこれが装備されたマウンタ1のシステムによれば、パーツフィーダ2自身が装着位置を自身の表示部58に表示することができるので、仮に多数のパーツフィーダ2を同時に着脱して搭載用部品の補充作業を行った場合であっても、オペレータは、個々のパーツフィーダ2のマウンタ1へのセット位置を間違いなく確認しつつ、マウンタ1に各パーツフィーダ2を確実に装着することができる。そのため、誤装着を防止して、装着作業をより容易且つ迅速に行うことができる。
【0040】
また、このパーツフィーダ2およびこれが装備されたマウンタ1のシステムによれば、対応するパーツフィーダ2のCPU54は、電子部品の補充のためにマウンタ1から当該パーツフィーダ2自身が取り外されたとの認識をした場合にのみ、表示部58に装着位置を表示するので、例えば60個もの多数のパーツフィーダ2が併設されていても、必要最小限の表示のみがなされる。そのため、オペレータによる装着位置の確認が必要最小限となり作業の効率化を向上させる上で好適である。
【0041】
また、このパーツフィーダ2およびこれが装備されたマウンタ1のシステムは、マウンタ1側に装着位置を指示する機構を別途に設けた場合に比べ、既存の制御回路等を利用して実現することが可能なので、同システムを安価に提供することができる。
なお、本発明に係るパーツフィーダが装備されたマウンタシステム並びにパーツフィーダは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。例えば、表示部58に装着位置を表示するパーツフィーダは、全てのパーツフィーダとしてもよい。しかし、例えば60個もの多数のパーツフィーダ2が同時に表示されると、オペレータによる装着位置の確認の上で認識が行い難い場合もあるため、上記実施形態の例のように、電子部品の補充のためにマウンタ1から当該パーツフィーダ2自身が取り外されたとの認識をした場合にのみ、表示部58に装着位置を表示することは好ましい。
【符号の説明】
【0042】
1 チップマウンタ
2 パーツフィーダ
3 部品認識カメラ
4 吸着ノズル
5 基板認識カメラ
6 部品搭載ヘッド
10 基板搬送装置
20 θ軸移動機構
22 X軸移動機構
24 Y軸移動機構
26 Z軸移動機構
30 制御装置
41 交換台車
43 ポジションラベル
44 生産プログラム
50 制御基板
51 電圧検出部
52 インターフェース
53 DC−DCコンバータ
54 CPU(制御部)
55 メモリ
56 電源部
57 センサ
58 表示部
59 操作スイッチ
60 入力コネクタ
61 通信部
62 モータドライバ
63 切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電子部品を搭載するチップマウンタに用いられ、搭載する電子部品を前記チップマウンタに供給するパーツフィーダであって、
前記チップマウンタに対する自身の装着位置を表示する装着位置表示手段を備え、当該装着位置表示手段は、表示部と、該表示部に前記装着位置を表示させる制御部と、前記チップマウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに前記表示部および制御部をチップマウンタとは独立して駆動可能な電源部とを有し、
前記制御部は、前記チップマウンタからの外部電源の供給が遮断されたときに、前記チップマウンタから予め得られた当該パーツフィーダ自身の装着位置の情報に基づいて、自身の装着位置を前記表示部に表示することを特徴とするチップマウンタ用パーツフィーダ。
【請求項2】
前記制御部は、電子部品の補充のために前記チップマウンタから当該パーツフィーダ自身が取り外されたと認識した場合にのみ、前記表示部に前記装着位置を表示することを特徴とする請求項1に記載のチップマウンタ用パーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−44639(P2011−44639A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192972(P2009−192972)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】