説明

チャンバー用内部トレイ

本発明は、チャンバーの内部に配置される内部トレイにおいて、共通する水平面内に配置され、端部においてチャンバーの壁に固定されている複数の平行な梁(1)と、前記梁の間で梁に支持されるとともに、梁間の空間を完全に覆う、列状に隣接する矩形の板(2)とを備えている。本発明は、板を梁(1)上に支持するための板(2)の支持端部(3)は、実質的に直角をなす2つの折曲部により下方へ折り曲げられ、梁(1)に直交する板(2)の各端部(4)は、雌部(4a)または雄部(4b)を形成するように折り曲げられ、それぞれ隣接する板の折曲端部に形成された雄部(4b)または雌部(4a)に嵌込可能となっていることを特徴とする。本発明はまた、このようなトレイを含むチャンバーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接、ねじ、または締め付けボルトが必要なく、組立てや分解を速やかに行なうことができる新規なタイプの、とりわけ円筒形状からなるチャンバー内の内部設置物に関する。
【0002】
また本発明は、とりわけ、好ましくは下降流で作用する気液混合物が供給される固定触媒床を有する化学反応器用の分配トレイに関する。
【背景技術】
【0003】
本願は、以下の詳細な説明に述べられるとおりであるが、本発明の内部構造は、化学、石油産業、または他の領域において、例えば分離台またはトレイを導入することが必要とされるあらゆる種類の大型チャンバーに導入することができ、孔部が設けられていても設けられていなくても良く、例えば液体を分離したり、あるいは様々なタイプの充填材または梱包材を支持するためのトレイとして役立つものである。
【0004】
固定触媒床を有する化学反応器内において、気相と液相とからなる混合下降流が横切ることにより、「分配トレイ」とよばれる孔部の設けられた実質的に水平なトレイによって、気相内における前記液相の良好な分散と、反応帯を構成する触媒床の全面上における混合物の均一な分配とを一般に得ることができる。この目的のため、一般にこれらのトレイは1枚の板、または並置され、溶接され、ねじ止めされ、またはボルト止めされた複数の板の組により形成され、この全体領域は一般に円筒からなる反応器の断面領域と実質的に同一である。各板は、それぞれ底部に1つ以上の穴部またはスリット部を有する垂直な円筒壁(本技術分野でライザーとよばれる)により囲まれた多数の孔部を有している。ライザーを有するこれらの分配トレイは以下のような原理により作用する。加圧した状態で反応器の最上部に導入された気体がライザーに囲まれた孔部を通過する。また同様にして反応器の最上部に導入された液体は、ライザーの堰き止め作用により自由に流れることができず、板上に保持される。ライザーの底部において、液体は、穴部の高さと同じレベルまで上昇し、その中を通ってライザーの開口部へ流れ、そこで良好な水滴として分散されて気体の流れによって推進される。
【0005】
とりわけ、例えば原油蒸留塔等の蒸留塔内で気体液体間の作用領域を増加するための要素として用いられるトレイ内において、キャップまたは円形もしくは揺り椅子形状からなる弁が、上述したライザーに置き換えられても良い。さらに、本技術分野で見られるのは開孔した下降管トレイであり、その中で、気体は、前記トレイの活性領域を形成する板内に分散して設けられた単純な孔部内を通過する。
【0006】
本発明は、液相を保持し、混合し、または分散するための様々なタイプの要素に関するものではなく、反応器内のトレイを構成する板を組立てて固定するシステムに関する。この組立て固定システムは、後述するように、結果的に特定のタイプの板または用途に限定されず、取付けられるあらゆるタイプのトレイに適しており、また必要に応じてあらゆるタイプのチャンバー内において迅速に分解することもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本技術分野において様々な化学反応器用の分配トレイが、例えばFR2,745,202、EP1,147,809、US3,524,731、またはUS5,882,610において提案されかつ記載されている。これらのトレイのうちいくつかは、自立構造の1枚板タイプであり、また工場で反応器内部に設置される。他のものは、互いに固定された複数の要素からなり、またUS5,192,465またはUS6,267,359に示されるように、ねじまたはボルトにより梁を保持するようになっている。このようなねじまたはボルトによるシステムには多くの欠点があり、特に分配トレイの領域が約10平方メートル程度の大きさになるときには、とりわけねじまたはボルトを調達するコストが高いという欠点がある。この固定システムに関する更なる欠点は、組立て、またとりわけ反応器内でそれを分解する場合、例えば触媒床を更新する場合、部分的であるか全体であるかに関わらず、時間がかかるとともに難しい。さらに、このような作業をする人は、防護服により潜在的に有毒な廃棄物蒸気から保護される必要があるが、これによりレンチやねじ回しのような工具を取扱う際の機動性や敏捷性が著しく制限される。取扱作業に時間がかかることおよび難しいことに関するこのような全ての欠点は、反応器の停止時間が延びることを究極的には意味し、これは営業利益にとっては不利である。
【0008】
さらに、触媒床表面において気液混合物の平穏な処理および均一な分配を保証するため、分配トレイは平坦かつ水平であるとともに、その多数の要素間の接合部ができる限り緊密でなければならない。
【0009】
分配トレイの構造を改良するとともに反応器内へ設置することを促進しようとする研究の過程において、本出願人は、頑丈で、構成する板間の接合部が緊密であるとともに、組立てもしくは分解が容易な新しいタイプのトレイを開発した。このトレイは板の組合体からなり、そのうちいくつかの端部に雄部または雌部が設けられ、これは隣接する板の対応する雄部または雌部にそれぞれ嵌込可能であり、これによりねじまたはボルトを必要とせずに、互いに近接して並べて固定された板の列を形成することができる。反応器内において、この板の列はこのような特定な用途のために孔部が設けられる必要があり、端部が反応器壁に固定された梁により支持され、ねじまたはボルトではないシステムにより連結される。
【0010】
これにより、本発明による板組立体および固定システムは、部分的であるか全体であるかに関わらず、非常に迅速に分解することができ、また分配トレイの再組み立てが非常に早く、マンホールのサイズを顧客の要求に応じて設定でき、隣接する板間の接合部を完全に密閉することができる。さらに、板は2つの平行な端部のみを介して梁上に設置されているが、本発明によるそこへの固定と、板を互いに嵌め込むために示されるシステムとにより、迅速に位置決めすることができ、また、反応器の使用中に生じやすい突然の圧力変化(ハンマー)を引き起こす可能性があるあらゆる望ましくない移動を防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明は、後述するように「内部トレイ」とも呼ばれるチャンバー内の内部構造体に係り、共通する水平面内に配置され、端部においてチャンバー壁に固定されている複数の平行な梁と、梁の間で梁に支持されるとともに、梁間の空間を完全に覆う、列状に隣接する矩形の板とを備え、
板を梁上に載置するための板の支持端部は、実質的に直角をなす2つの折曲部により下方へ折り曲げられ、
梁に直交する板の各端部は、雌部または雄部を形成するように折り曲げられ、それぞれ隣接する板の折曲端部に形成された雄部または雌部に嵌込可能となっていることを特徴とするトレイに関する。
【0012】
したがって、本発明の内部トレイを形成する各矩形板は、2つの組立端部および矩形板を支持梁上に載置する2つの支持端部を有している。
【0013】
さらに、本発明によるトレイの各矩形板は、各板は、複数の孔部を有し、好ましくは各孔部は、底部に1つ以上の穴部またはスリット部を有する垂直な円筒壁(ライザー)によって囲まれることが好ましい。
【0014】
板を支持する梁は、本発明によるトレイを形成する矩形板の支持端部を支持するため、垂直部分と2つの水平部分とからなる逆T字形状部分を有する断面を有することが好ましい。
【0015】
組立端部は、雄形式の端部(=雄部から形成される端部)または雌形式の端部(=雌部から形成される端部)からなっていてもよく、各板は、2つの雄端部、または2つの雌端部、あるいは1つの雄端部および1つの雌端部を有していても良く、これらの2つの組立端部は互いに平行であるとともに支持梁に対して直交する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態において、板の端部に、端部の1つの下方折曲部、好ましくは1つの下方直角折曲部により雄部が形成されている。この雄端部は、単純な構造であるとともに製作が容易であり、対応する雌形式の端部に嵌め込むものであり、これは、下方折曲部とこれに続く上方折曲部とにより形成されるとともに、その頂点がV字状またはU字状に形成されることが好ましい。板の組立接合部における適切な密着を確保するため、雄端部の折曲部の幅は、雌端部のV字構造またはU字構造の深さと略同一である。
【0017】
このため開孔板の列は、単純に雄端部を雌端部に挿入することにより、チャンバー内で組立てられても良い。
【0018】
このように各矩形板は、雄または雌からなる2つの組立端部と、板の列を支持梁上に載置する2つの端部とを有している。本発明の好ましい実施の形態において、端部の折曲部は、開孔板の角部において互いに溶着され、これにより板の剛性を有利に増強することができる。
【0019】
組立接合部におけるトレイの適切な密閉度を確保するため、一つの板の雌部とこれに隣接する板の雄部との間の接触面にシール材が設けられていることが好ましい。これらのシール材は、良好な耐熱性と、例えば炭化水素溶剤等からなる反応媒体に対する良好な耐薬品性とを有していなければならない。炭化水素溶剤を使用する際の好ましいシール材料として、セラミック繊維または炭素繊維が挙げられる。このような繊維は織布、編地、または不織布の形状からなることが好ましい。このような布形状により、組立端部の全長にわたり、とりわけ容易、柔軟、かつ均一に使用することができる。
【0020】
本発明の分配トレイ用のシール材として使用に適するこのようなセラミック繊維布または炭素繊維布は、例えばシリテクス(Silitex)社のVRT750またはベカルト(Bekaert)社のベキサーモ(商標)NP350がそれぞれ既知であるとともに利用可能である。
【0021】
上述した理由により、上記形式のシール材は、支持梁とその上に載置される端部の折曲部との間の接触面にも設けられていることが好ましい。本発明のとりわけ好ましい実施の形態において、支持梁の2つの水平な分岐の上側は、その全幅および全長に沿ってセラミック繊維または炭素繊維の織物構造が設けられている。この織物構造は、梁の垂直部分の表面の全部上または一部上、とりわけ開孔板の端部の接触部分上に延びていても良い。
【0022】
本発明による板の列を支持する梁の垂直部分は、各列の板の並びを停止させる部材としての役割を果たすのみならず、ねじまたはボルトを用いることなく板を梁に対して動かないように固定する役割を果たしても良い。このようにねじまたはボルトを用いることなく板を固定するため、梁の垂直部分は、少なくとも梁の長さの一部において、梁によって形成される水平面より突出している必要がある。
【0023】
隣接する板により形成される水平面から突出する垂直部分内において、支持梁は、ねじまたはボルト以外の固定手段を挿入するための開口部または案内部を有し、これにより板は梁の垂直部分上で固定される。このような固定手段は、例えばピンまたはキーである。とりわけ好ましい固定システムは、添付図面を参照して、以下により詳細に記載される。
【0024】
原則として、本発明による分配トレイを形成する開孔板は、人間の荷重に対して塑性変形が生じない程度に十分堅固な、いかなる材料から製造されていても良い。またこの材料は、反応媒体に対する良好な薬品耐性を有する必要がある。最後に、この材料は、板の端部を折曲げられるように、好ましくは熱間または冷間変形が可能でなければならない。本発明の好ましい実施の形態において、開孔板はステンレス鋼からなり、とりわけSS321という商品名の鋼鉄からなっている。
【0025】
板の厚さは、板の材料および板の大きさによる機械的特性に依存することは明らかである。この厚さは板の変形抵抗が十分に付与される程度でなければならないが、ある上限値を超えてはならず、すなわちその端部を折り曲げるのが困難となりすぎず、人が板を運搬する際に重すぎない程度である。本出願人は、良好な変形抵抗と良好な折り曲げ加工性の両方を有する板を製造するためには、その厚さは1mm乃至10mmであり、好ましくは3mm乃至5mmであることが一般的に適当であることを見出した。
【0026】
本発明による板の厚さは、その端部が折り曲げられていない既知の板の厚さより薄くても良い。実際、場合によっては角部で互いに溶接された4つの折曲端部が存在することにより、板の剛性を大幅に高めることができる。
【0027】
上述した矩形の開孔板は、反応器内に導入された後に列状に組立てられる。この組立ては、分配トレイの1つまたは複数の端部から、すなわち反応器壁側から開始されることが好ましい。反応器が円筒形状を有する場合、すなわち一般的な場合、壁に隣接する開孔板は明らかに矩形ではなく、曲線状の端部を有している。この曲線状の端部は、反応壁に固定された支持リング上に載置される。分配トレイの外周が適切に密着することを保証するため、支持リングと周辺の板の曲線端部との間に上述したようなタイプのシール材が設けられることが推奨される。
【0028】
上に示したように、矩形の開孔板は各々2つの対向する端部を有し、この端部に雄部または雌部が形成されている。本発明による分配トレイの要素を構成する開孔トレイは、2つの雄部を有していても良く、2つの雌部を有していても良く、あるいは1つの雄部と1つの雌部を有していても良い。
【0029】
本発明による分配トレイの第1の実施の形態によれば、矩形の開孔板の列は、それぞれ雄部のような形状からなる折曲端部と、雌部のような形状からなる折曲端部とを有する同一の板から構成されている。この実施の形態において、各板の雌端部は、隣接する板の雄端部が上方から雌端部内に嵌合されることにより封止されている。
【0030】
したがって、例えば分配トレイ内にマンホールを形成する空間を空けるため列の中間にある1つの板を除去するには、まず隣接する板の雄端部を持上げることにより雌端部の嵌合を解除する必要がある。この作業を1人で行なうことは困難であろう。
【0031】
この問題は、本発明による分配トレイの他の実施の形態により解決され、この実施の形態において、矩形の開孔板の列は、2つの雄部形状のような折曲端部を有する板と2つの雌部形状の折曲端部を有する板との両方を有し、これら2つのタイプの板が交互に配置されている。この実施の形態は、まず隣接する1番目の板を持上げることなく、2つの雄端部を有する板をいずれも取り除くことができるという利点を有する。しかしながら、隣接する2つの板を取り除く必要がある場合、2番目の板の1つの雄端部が3番目の板の雌端部により妨害されるため、上述した問題は解決されない。
【0032】
3番目に、本発明による組立体のとりわけ好ましい形態において、所望の複数の板を列から取り除くことができ、この際まず隣接する板を持上げる必要がない。この実施の形態において、矩形の開孔板の列は、2つの雄部のような形状の折曲端部を有する1つの板と、この板のいずれかの側に配置され、雄部形状の折曲端部と雌部形状の折曲端部とを有するいくつかの他の板とから構成されている。このような列は、列の2つの端部において開始され、それぞれ新しい板の雄端部を既に挿入された板の雌端部に嵌め込むことにより組立てられ、かつ2つの雄端部を有する板を挿入することにより終結する。このような列内にマンホールを開口するためには、まず2つの雄端部を有する板を取り除き、必要に応じてこれに続いて、複数の隣接する板をその隣の板に妨害されることなく取り除く。
【0033】
本発明は、単に上述したようなトレイに限らず、このようなトレイを有するチャンバーに関する。トレイを形成する1つ、複数、または全ての板が、同種または異種の流体相を通過させる孔部を有している場合、トレイは分配トレイとしての役割を果たす。このような分配トレイを有する本発明によるチャンバーは、好ましくは反応器であり、例えば気液並流の下降流で作用する固定触媒床を有する化学反応器である。他の実施の形態において、本発明による分配トレイを有するチャンバーは蒸留塔である。この場合、板の孔部にバルブが設けられていることが好ましい。
【0034】
本発明について添付の図面を参照して以下説明するが、これに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明による分配トレイを示し、分配トレイは、同一平面上に互いに平行に配置されるとともに、いくつかの連続する板2を支持する4つの梁1を有する。梁1は、既知の固定手段11により支持リング(図示せず)に固定され、そして支持リングは、反応器の壁10に固定されている。
【0036】
全ての板2は、このうち反応器壁10に接触するものを除いて、矩形形状からなっている。各矩形板2は、矩形板2を梁1上に載置する2つの端部3と、梁1および端部3に直交するとともに、後の図面で詳しく説明する方法により互いに嵌め込まれた2つの端部4とを有している。各板は、矩形であるか否かによらず、互いに等間隔に配置されたいくつかの孔部12を有している。これらの孔部12は、反応器の上部から導入された液相と気相とを混合させるとともに、この気液混合流を下方にある触媒床の全面上に分配するように構成され、また孔部12は、後述する図5により詳述されるように、通常、液体を保持するライザーにより囲まれている。
【0037】
円筒形状からなる反応器の壁10に当接する開孔板は、この壁10の湾曲部に完全に一致する円弧形状の端部を有する。矩形板2および非矩形板は接合され、またこれらが載置された梁1とともに反応器の断面全体を覆い、これにより、この目的のために設けられる孔部12のみを通過する液相を良好に保持することができる。
【0038】
図2は、本発明による分配トレイの要素を形成する矩形板2の折曲端部の特定構造を詳細に示している。図面を単純化するため、この図の板については、図1に示す孔部12無しに示されている。
【0039】
各板は、シート状の金属から作成され、板を梁上に載置する2つの平行な端部3を有している。各端部3は、その全長に沿って延びる2つの直角折曲部により形成され、すなわち各端部3は、垂直部分3cを構成する第1下方直角折曲部3aと、これに続いて設けられ、板中央を向くとともに板2の主平面と平行な水平部分3dを構成する第2折曲部3bと、から形成される。この水平部分3dは、梁1の2つの水平分岐6のうち1つの上に載置され、一方、垂直部分3cは、梁1の垂直分岐5により支持されている。
【0040】
各板2は、更に端部3に直交する2つの組立端部4を有する。これらの組立端部は、雌端部4aまたは雄端部4bに一致している。雄端部4bは、1つの下方へ向く直角な折曲部から形成されている。雌端部4aは、1つの下方へ向く直角な折曲部とこれに続く上向きの丸い折曲部とにより形成され、これにより狭いU字構造が形成される。2つの板2は、このうち一方の雄端部4bの垂直部分を、単純に他方の雌端部4aにより形成されたU字形状部に挿入することにより組立てられる。
【0041】
上述した特定の端部折曲げ方式は、板の角部の接続線13に沿って端部3を端部4に溶接するのに適しており、これにより各板の剛性を大幅に増加することができる。
【0042】
図3は、本発明の好ましい実施の形態による、組立てられた板の列を示す断面図である。2つの雄端部4bを有する板2aが列の中央に配置されている。2つの雄端部4bのそれぞれは、「混合された」すなわち1つの雄端部4bと1つの雌端部4aとを有する、隣接する板2bの雌端部4aに挿入される。上に説明したように、この板の組立方式により、その中心から、すなわち板2aから列を容易かつ迅速に分解することができる。
【0043】
図4aは、図3における板の列の、2つの板の組立接合部の拡大図である。テープ形状のシール材9は、好ましくはセラミック繊維または炭素繊維からなり、板の雌部4aと雄部4bとの間に配置されている。図4bにおいて、シール材9は、図4aのように1つのテープから構成されているのではなく、複数の平行な細片から構成されている。図4cは、接合部の雄部4bおよび雌部4aの間に挿入されたテープ形状からなるシール材9を示しており、雄部4bおよび雌部4aとの間の直接的な当接は一切ない。図4dに示す別の実施の形態によれば、シール材9は、円形断面の細片形状からなり、雄部の底部であって雌部4aがその上を通過する部分に配置され、これにより上記図面に示すように、これら2つの対応する部分間の直接的な当接が一切ないようになっている。
【0044】
最後に、図5は、矩形の開孔板を本発明による分配トレイの梁1に固定する方式を示している。
【0045】
この図において、梁1の垂直部分5は板2により形成される水平面から突出している。この突出部分内に、キーのような既知の固定手段8を挿入するための開口部7または案内部が設けられている。このキー8は、傾斜した上端部を有しているため、例えばハンマーを用いて開口部7内に押し込まれ、開口部7内を封鎖する。好ましい実施の形態において、このキー8は、最も長い垂直端が溶接された2つの板から形成されている。キー8の「鼻(狭い非溶接端)」における2つの板の間隔により、それが開口部7内に挿入された後、キー8および板2を効果的に緊結することができる。
【0046】
シール材9は、板の端部3と梁1との間に挿入される。このシール材9は、好ましくはセラミック繊維または炭素繊維の織物または編物からなり、これら2つの要素間の接触面を完全に覆う。
【0047】
またこの図は、板2内で孔部12(図示せず)を囲むライザー14を示している。それ自体は知られているように、反応器上部から導入された気体は、このライザー14を通過して下方に流れ、ライザー14の底部に設けられた開口部15を通過してその経路に流れ込んだ液体と混入する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明による分配トレイを示す上面図。
【図2】図2は、雄端部を雌端部内に嵌め込んで組立てられた2つの板を下方から見た斜視図。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施の形態による、組立てられた板の列を示す断面図。
【図4】図4a、図4b、図4c、および図4dのそれぞれは、トレイの2つの板間の接合部における、様々な異なるシール材を示す詳細図。
【図5】図5は、キーにより支持梁に固定された開孔板の上方からの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に配置される内部トレイにおいて、
共通する水平面内に配置され、端部においてチャンバー壁に固定されている複数の平行な梁(1)と、
前記梁の間で前記梁に支持されるとともに、前記梁間の空間を完全に覆う、列状に隣接する矩形の板(2)とを備え、
前記板を前記梁(1)上に載置するための前記板(2)の支持端部(3)は、実質的に直角をなす2つの折曲部により下方へ折り曲げられ、
前記梁(1)と直交する前記板(2)の各端部(4)は、雌部(4a)または雄部(4b)を形成するように折り曲げられ、それぞれ隣接する板の折曲端部に形成された雄部(4b)または雌部(4a)に嵌込可能となっていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
各前記板(2)は、複数の孔部を有し、好ましくは各前記孔部は、底部に1つ以上の穴部またはスリット部を有する垂直な円筒壁(ライザー)によって囲まれることを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記梁(1)は、前記トレイを形成する前記矩形板の前記支持端部(3)を支持するため、垂直部分(5)と2つの水平部分(6)とからなる逆T字形状部分を有する断面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のトレイ。
【請求項4】
前記梁(1)の前記垂直部分(5)は、前記板(2)により形成される水平面から少なくとも部分的に突出することを特徴とする請求項3に記載のトレイ。
【請求項5】
前記梁(1)は、前記板(2)により形成される水平面から突出する前記垂直部分(5)と、前記板(2)を前記梁の前記水平部分(6)上に固定するための固定手段(8)を挿入する開口部(7)とを有していることを特徴とする請求項4に記載のトレイ。
【請求項6】
前記固定手段(8)は、ピンまたはキーであることを特徴とする請求項5に記載のトレイ。
【請求項7】
前記開孔板(2)の前記端部(4)に、前記端部(4)の1つの下方折曲部、好ましくは1つの下方直角折曲部により雄部(4b)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトレイ。
【請求項8】
前記開孔板(2)の前記端部(4)に、下方折曲部とこれに続く上方折曲部とにより雌部(4a)が形成され、その頂点がV字状またはU字状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のトレイ。
【請求項9】
前記端部の前記折曲部は、前記開孔板(2)の角部において互いに溶着されていることを特徴とする請求項7または8に記載のトレイ。
【請求項10】
前記板(2)は、鋼鉄、好ましくはステンレス、とりわけSS321という商品名の鋼鉄のような、硬い材料からなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトレイ。
【請求項11】
前記板は、1mm乃至10mmの厚さ、好ましくは3mm乃至5mmの厚さを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトレイ。
【請求項12】
一つの板の前記雌部(4a)とこれに隣接する板の前記雄部(4b)との間の接触面、および/または、前記梁(1)と、前記板の前記端部(3)の折曲部との間の接触面に、シール材(9)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトレイ。
【請求項13】
前記シール材は、セラミック繊維または炭素繊維から製造されることを特徴とする請求項12に記載のトレイ。
【請求項14】
板(2)の列は、それぞれ雄部(4b)形状の折曲端部と、雌部(4a)形状の折曲端部とを有する同一の板から構成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトレイ。
【請求項15】
板(2)の列は、2つの雄部(4b)形状の折曲端部を有する板と、2つの雌部(4a)形状の折曲端部を有する板とが交互に配置されることにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトレイ。
【請求項16】
板(2)の列は、2つの雄部(4b)形状の折曲端部を有する1つの板と、この板のいずれかの側に配置され、雄部(4b)形状の折曲端部と雌部(4a)形状の折曲端部とを有するいくつかの他の板とから構成されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトレイ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のトレイを備えたチャンバー。
【請求項18】
請求項2乃至16のいずれかに記載のトレイを備えたチャンバーであって、反応器、好ましくは気液並流の下降流で作用する固定触媒床を有する化学反応器であることを特徴とするチャンバー。
【請求項19】
請求項2乃至16のいずれかに記載のトレイを備えたチャンバーであって、蒸留塔であることを特徴とするチャンバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−522804(P2008−522804A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544945(P2007−544945)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003070
【国際公開番号】WO2006/061516
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(505036674)トータル・フランス (39)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL FRANCE
【Fターム(参考)】