説明

チューブシール方法及びチューブシール装置

【課題】本発明は、シール不良が生じないようにしたチューブシール不良の検出方法及びチューブシール装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、チューブ容器の開口部が外挿される中空のヘッド部と、ヘッド部の内部側にホットエアーを送り込む噴出器と、ヘッド部の外側に介挿されるチューブ容器の開口部外周を取り囲む環状の冷却器とを具備し、ヘッド部の底部外周に吹出孔が複数形成されてなる加熱装置を用い、ホットエアーにより半溶融状態としたチューブ容器の開口部を引き続きシール装置によりチューブシールする場合、ヘッド部に外挿されてホットエアーによりチューブ容器の開口部内周側を溶融状態とし、開口部外周側を冷却器において冷却した状態において、チューブ容器のヘッド部直下の外面温度を赤外線放射温度計により計測し、この結果に基づいてチューブシール不良を把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブの開口端部を熱溶融した後、圧着してチューブシールを行う場合に、チューブシール不良を生じないようにすることができるチューブシール不良の検出方法及びチューブシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックチューブやラミネートチューブなどのチューブに内容物を充填した後、チューブ開口端部を熱溶融し、圧着することによりシールする工程において、従来の充填装置ではチューブの熱溶融状態を瞬時に判断する手段が無いため、チューブ端部を圧着シールした後、チューブに荷重をかけて漏れ検査を実施する必要があった。
【0003】
この種のチューブシールの漏れ検査において、全数検査を行なうと生産品全数を品質保証できる反面、多大な人手を要し、全数検査のための検査工程を生産工程の中にインラインに組み込み、大量処理可能な圧縮強度検査機を導入する必要がある。しかし、製品チューブに荷重を印加して全数検査すると、チューブシール不良を生じていた製品の検査時に、内容物がチューブのシール部分から吹き出して周囲に飛散する問題があり、この吹き出した内容物が周囲の生産ラインの汚染を引き起こすおそれがある。また、シール後のチューブに荷重をかけて検査を行う手法では、荷重の作用の仕方によっては正常なシール状態のチューブをも破壊するおそれがあり、検査工程で不良品を生み出してしまうおそれもあった。
【0004】
そこで従来から、容器のヒートシール状態を検査する方法及び検査装置として、ヒートシール部のシール幅方向に沿う各点の温度を赤外線放射表面温度計により非接触で検出し、検出温度の推移に基づいてシールラインの運転条件を制御する方法が知られている。(特許文献1参照)また、同様な装置を用いてヒートシール部のシール幅方向に沿う各点の温度を赤外線放射表面温度計により非接触で検出し、検出温度分布を予め定めた良品の適正温度分布から所定値以上異なる場合に不良と判断する検査方法が知られている。(特許文献2参照)
これらの特許文献1、2に記載の検査方法及び検査装置においてより詳細には、回転テーブルの外周部にシールベッドを複数備えた回転型のシール機を用い、金属箔と樹脂層をラミネートしてなるチューブ容器を起立状態で個々のシールヘッドに近接させ、シールヘッドに備えた2枚の金属板でチューブ容器の開口端部を挟み付け、シールヘッドに内蔵した誘導コイルを介してチューブ容器開口端の金属箔に渦電流を生じさせて電磁誘導加熱することによりチューブ容器の開口端を溶融させ、同時に2枚の金属板で圧着することでヒートシールする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平6−144415号公報
【特許文献2】特開平6−144416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの特許文献1、2に記載された検査方法は、シール機の出側に赤外線放射表面温度計を配設し、シール機でシールが完了された後にシールヘッドから解放された状態のチューブ容器のヒートシール部分をその幅方向に走査して温度を計測する方式であり、この際に検出した温度分布を予め測定しておいた良品チューブの温度分布と比較して良不良を判定する方法である。
しかし従来の特許文献1、2に記載の検査方法では、ヒートシール後に不良を検出して高周波電源による電流値、電圧値を制御してヒートシール時の条件を調整する方式であるため、高周波電源による電流値、電圧値を制御して適正な値に調整している間に不良品を生み出してしまうおそれがある。また、特許文献1、2に記載の技術は金属箔をラミネートしたタイプのチューブのヒートシールに適用することを前提とした技術であり、樹脂製チューブの製造ラインを想定した技術ではなかった。
【0006】
本発明者らは、樹脂製のチューブをヒートシールする装置として、加熱したホットエアーを利用してヒートシール前のチューブの開口部内面側を加熱して溶融状態とし、引き続きこの開口部を圧着シールしてヒートシールする装置を採用している。
本発明者らが使用しているヒートシール装置は、ヒートシール前のチューブの開口部を収容する筒形の加熱ヘッドと、この加熱ヘッドの内部にチューブ開口部内面溶融用のホットエアーを供給するための噴出器と、前記加熱ヘッドの底部周面に形成されてホットエアーをチューブの開口部側に噴出させるための噴出孔と、チューブの開口部を加熱した後にホットエアーを排出するための排気路を備えた構成とされている。
本発明者らは上述の構成のヒートシール装置を利用し、チューブ容器の開口部のヒートシールを行っているが、前述のホットエアーを利用してヒートシールを行った際、ホットエアーの温度制御、ホットエアーの風量、排気時の流速や風量などが要因となって、ヒートシール不良を生じることがあるが、この場合のシートシール不良を解決するための手段が望まれていた。
【0007】
本発明は、ホットエアーを用いてチューブの開口部内面側を溶融させてヒートシールを行い、チューブのヒートシールを行う場合において、ヒートシール不良が生じないようにしたチューブシール不良の検出方法及びチューブシール装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明のチューブシール方法は、ヒートシール前のチューブ容器の開口部が外挿される中空のヘッド部と、該ヘッド部に接続されてヘッド部の内部側にホットエアーを送り込む噴出器と、前記ヘッド部の底部周辺を囲んで配置され、前記ヘッド部の外側に介挿されるチューブ容器の開口部外周を取り囲む環状の冷却器とを具備し、前記ヘッド部の底部外周にホットエアーの吹出孔が複数形成されて前記ヘッド部に外挿されるチューブ容器の開口部内面にホットエアーを噴出自在に構成され、前記ヘッド部の周囲に前記チューブ容器の開口部内面を加熱した後のホットエアーを排気する排気路が形成されてなる加熱装置を用い、前記ホットエアーにより溶融状態としたチューブ容器の開口部を引き続きシール装置により加圧シールすることでチューブシールする場合のチューブシール不良の検出方法であって、前記ヘッド部に外挿されてホットエアーによりチューブ容器の開口部内周側を溶融状態とし、開口部外周側を前記冷却器において冷却した状態において、チューブ容器の前記冷却器直下の外面温度を温度計測手段により計測し、この外面温度測定結果に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明のチューブシール不良の検出方法は、前記ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果から、良品チューブが得られた際の条件範囲を求め、これらの条件範囲に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とする。
(3)本発明のチューブシール不良の検出方法は、請求項2に記載のヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果に加え、前記冷却器用の冷媒温度と冷媒流量を管理し、これらの条件範囲に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とする。
【0010】
(4)本発明のチューブシール不良の検出方法は、前記ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果と、前記冷却器用の冷媒温度管理結果と、冷媒流量の管理結果に基づき、設定した上限と下限の範囲から外れた場合に警報を出すことを特徴とする。
【0011】
(5)本発明のチューブシール装置は、ヒートシール前のチューブ容器の開口部が外挿される中空のヘッド部と、該ヘッド部に接続されてヘッド部の内部側にホットエアーを送り込む噴出器と、前記ヘッド部の底部周辺を囲んで配置され、前記ヘッド部の外側に介挿されるチューブ容器の開口部外周を取り囲む環状の冷却器とを具備し、前記ヘッド部の底部外周にホットエアーの吹出孔が複数形成されて前記ヘッド部に外挿されるチューブ容器の開口部内面にホットエアーを噴出自在に構成され、前記ヘッド部の周囲に前記チューブ容器の開口部内面を加熱した後のホットエアーを排気する排気路が形成されてなる加熱装置と、前記ホットエアーにより溶融状態としたチューブの開口部を加圧シールするシール装置とを具備したチューブシール装置であって、前記ヘッド部に外挿されてホットエアーにより加熱状態とされたチューブの冷却器直下の外面温度を計測する温度計測手段と、前記ホットエアーの温度を調整する管理装置とを具備したことを特徴とする。
(6)本発明のチューブシール装置は、前記管理装置が、前記ヘッド部に供給するホットエアーの温度管理に加え、前記ヘッド部に対するホットエアーの風量を制御可能であることを特徴とする。
(7)本発明のチューブシール装置は、前記管理装置が、前記冷却器に対する冷媒供給量と冷媒温度を制御可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチューブシール不良の検出方法は、チューブ容器の開口部をヘッド部と冷却器の間に挿入し、開口部内周面側をホットエアーで加熱溶融すると同時に開口部外周面側を冷却器で冷却した後、シール装置により圧着することでチューブシールする場合、チューブ容器の開口部をヘッド部と冷却器の間に挿入した時点における冷却器直下のチューブ容器外面の温度を温度測定手段により計測し、この計測値に基づいてチューブシール不良を把握するので、実際にチューブシールするためにホットエアーで加熱し溶融した状態のチューブ容器の状態をリアルタイムで把握することができるので、正確なチューブシール状態の管理ができる。
また、チューブ容器のシールを行う開口部側から離れた温度計測ポイントであっても、冷却器直下の位置であるならば、ホットエアーで加熱し溶融した開口部の温度状態を正確に反映していることを試験により確認できているので、接着不良に伴うシール不良、溶けすぎに伴うシール不良を確実に把握することができ、チューブシール不良状態の管理を正確に行うことができる。
【0013】
本発明において、ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果に加え、ホットエアーの温度管理結果と、ホットエアーの風量管理結果から、良品チューブが得られた際の条件範囲を求め、これらの条件範囲に基づいてチューブシール不良を把握するならば、より確実なチューブシール状態管理ができる。特に、ホットエアーの温度管理と風量管理がチューブ容器開口部の溶融状態に与える影響が大きいので、有効な管理ができる。
本発明において、冷媒温度と冷媒流量を管理するならば、チューブシール状態管理に加えてチューブシール部分を切断する場合の仕上がりなどのカット性を良好にすることができる。
【0014】
本発明において、管理結果に基づき、設定した上限と下限に挟まれる範囲から外れた場合に警報を出すことで、チューブシール不良状態をリアルタイムで正確に把握することが可能となり、警報に応じて直ちに不良品を排除するか装置運転を停止するか、などの対策を講じることでチューブシール不良対応ができるので、高速で大量生産している製造現場において、特に有効な管理方法とすることができ、不良品の発生を極力抑制することができる。
【0015】
本発明のチューブシール装置によれば、接着不良に伴うシール不良、溶けすぎに伴うシール不良を防止することができ、良好なチューブシール状態としたチューブ容器を製造することができる。
そして、本発明のチューブシール装置により、ホットエアー温度管理に加えて、冷媒供給量と冷媒温度の管理を行いながらチューブ容器を製造するならば、シール不良を生じていない、チューブシール後の切断形状の良好なチューブ容器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下に説明する各実施形態に制限されるものではない。
図1は本発明に係るチューブシール装置の一実施形態を備えた充填ラインの一例を示すもので、この例の充填ラインAは、歯磨き剤などの内容物をチューブ容器に充填するとともに充填後のチューブ容器の開口部をヒートシールするための製造ラインとして構成されている。
充填ラインAの中央にはレーストラック形状のテーブル1が設置され、このテーブル1の周囲に多数設置された筒形のチューブ保持具2が個々に起立した整列状態でテーブル1の円周方向に水平移動自在に設けられている。これらのチューブ保持具2は、テーブル1の周面に沿って設けられた図示略の搬送機構によりテーブル1の周囲を周回移動するように構成されている。
これら複数のチューブ保持具2には空の状態の歯磨きチューブなどの未シールのチューブ容器3がそれらの注出口側を下に向け、それらの未シール状態の開口部3aを上に向けて開口された状態で保持されている。従って図1に示す如く複数のチューブ保持具2に円筒形状のチューブ容器3が上下逆の状態で保持されたまま充填ラインAを移動し、この充填ラインAにおいて歯磨き剤の充填と開口部3aのエンドシール、刻印、端部カットなどを行うようになっている。
【0017】
図1におけるテーブル1の後部側にはその右側から順に歯磨き剤などの内容物の充填機5と加熱装置(ホットエアー装置)6とシール装置7とカッター装置8とがこの順に設置されている。
図1の充填機5は注入筒5Aを具備してなり、注入筒5Aの下方を通過移動するチューブ容器3の開口部3aに対し、歯磨き剤などの粘度の高い液状の内容物を注入筒5Aの先端側から必要量充填できるように構成されている。
図1に示す充填機5は一対左右に隣接して設けられ、それら充填機5、5の左側には同じく一対の加熱装置6、6が隣接して設置され、これらによりチューブ容器3の開口部3aを加熱して部分的に溶融できるように構成され、加熱装置6の左側には相互に隣接して一対のシール装置7が設置され、先に溶融されたチューブ容器3の開口部3aをエンドシールすることができるように構成され、これらのシール装置7、7の左側に少し距離をあけてカッター装置8、8が設置されている。なお、本形態においてこれらの装置が2基ずつ対になって設けられているのは、2本のチューブ容器3をセットと考えて同時充填、溶着、シールして高速運転するためであるが、これらの装置が対になっている必要はなく、1基ずつ設けられていても良く、3基以上セットになって設けられていてもその設置個数は問わない。
【0018】
図2は加熱装置(ホットエアー装置)6の内部構造の一例を示すもので、内部に流路が複数形成されている上部側ブロック10及び下部側ブロック11と、下部側ブロック11の中央内部側に配置された筒形ブロック状の冷却器12と、冷却器12の内側にその下部を配置するとともにその上部を前記上部側ブロック10の内部側にまで延出させた有底筒形のヘッド部13と、その上に配置された噴出器16と、噴出器16の周囲を取り囲む筒形の隔壁部材18とを具備して構成されている。
前記上部側ブロック10と下部側ブロック11はいずれも中空構造とされ、下部側ブロック11の内部中央部に冷却器12が取り付けられ、冷却器12の内部側から上方にかけて筒形のヘッド部13が配置され、ヘッド部13の上部側が上部側ブロック13の底部側中空部に嵌め込まれると共に、上部側ブロック13の中央部に噴出器16が配置されている。
【0019】
前記冷却器12はその中央部に前述のチューブ容器3の開口部3aを緊密に内挿自在な内周壁12aを有する筒状に形成され、その外周面部分に周溝12bが形成され、この周溝12bが下部側ブロック11の内周壁に囲まれて冷媒流路12cを構成している。そして、上部側ブロック10の一側を上下に貫通するように形成された流入路10aと、この流入路10aに連通するように下部側ブロック11に形成されて前述の冷媒流路12cに連通された流入路11aが形成されるとともに、上部側ブロック10の他側を上下に貫通するように形成された流出路10bと、この流出路10bに連通するように下部側ブロック11に形成されて前述の冷媒流路12cに連通された流出路11bが形成されている。
これらの構成により、上部側ブロック10の流入路10aから冷却水などの冷媒を流入させて流入路11aと冷媒流路12cを通過させた後、流出路11b、10bを介し排出することで、冷却器12を強制冷却することができるとともに、この冷却器12の内側に内挿したチューブ容器3の開口部3aの外周面を冷却できるように構成されている。
【0020】
次に、前記ヘッド部13はその底部13a側を冷却器12の内側に配置し、その上部13b側を冷却器12よりも上方の上部側ブロック10の内周壁10dに嵌合し、その上部13bよりも若干下方に一体形成された鍔板13cを上部側ブロック10と下部側ブロック11との間に挟み込んだ状態でブロック10、11に一体化して設けられている。
ヘッド部13の底部外周面にはチューブ容器3の開口部3aの挿入を容易とするためにテーパ面13dが形成され、底部13aは下窄まり状に形成されるとともに、テーパ面13dの若干上方のヘッド部外周面にはその周回りに複数の吹出孔13eが形成され、これら吹出孔13eの形成部分よりも若干上方に周段部13fが形成されている。
前記ヘッド部13の底部外周面は、上述のチューブ容器3の開口部3aの内側に若干の間隙をあけて内挿自在な外径とされ、チューブ容器3の開口部3aをヘッド部13の底部13dに挿入した状態においてチューブ容器3の開口部3aの上縁部分の内側に、先の複数の吹出孔13eが対向配置するように構成されている。
【0021】
また、ヘッド部13の底部13aをチューブ容器3の開口部3aに内挿した状態において、ヘッド部13の外周面とチューブ容器3の開口部の内周面との間に若干の間隙が形成されるので、この間隙が空気の流路になるとともに、ヘッド部13の更に上方側においてはヘッド部13の外周面と冷却器12の内周壁12aとの間に空気の排出路が形成され、これらの排出路は冷却器12の上方側に形成されている下部側ブロック11の内部空間11dに連通され、更にヘッド部13の鍔板13cを貫通した通気口13gを介して上部側ブロック10に形成された排気路10dに連通されている。
【0022】
上部側ブロック10においてヘッド部13を嵌合した部分の上側には上部側ブロック10の中空部の内側に周囲からせり出すようにフランジ壁10eが形成され、このフランジ壁10eの中央上部側に筒形の噴出器16が設置され、このフランジ壁10eの中央に形成された透孔10fを介して噴出器16の底部中央の噴射口がヘッド部13の上端開口に望ませられている。
前記噴出器16には加熱ヒータと送風機と流量調整弁が付設されており、噴出器16の底部中央の噴射口から所望の温度(例えば、300℃〜400℃程度)に加熱した温風を所望の風量(流量調整弁により風量調整可能)で送り出すことができるように構成されている。
【0023】
前記フランジ壁10eにはフランジ壁10eを上下に貫通する排気路10dがフランジ壁10dの周回りに複数形成されている。また、これら排気路10dの周囲側に位置して前述の噴出器16を取り囲むように円筒状の隔壁部材18が配置され、前記排気路10dはいずれも噴出器16の外側であって、隔壁部材18の内側の空間に連通されている。
以上の構成により、噴出器16からヘッド部13の内部側に噴出した温風をヘッド部13の吹出孔13eを介して外側に噴出させ、更に冷却器12とヘッド部13との間隙を通過させて冷却器12の上方の空間部11dに導出させ、次いで上部側ブロック10に複数形成した排気路10dを介して隔壁部材18の内部側空間に排出できるように構成されている。なお、図面では略しているが、隔壁部材18の上部側に吸引ブロアを接続して排気路10dを介して強制排気する再の排気量を調整できるように構成されている。
【0024】
次に、図3に示す如くテーブル1の上であって、加熱装置6に隣接する位置に、ハウジングケース20により支持された状態で赤外線放射型温度計(非接触放射温度計:温度検出手段)21が設置されている。この赤外線放射温度計21は、被測定物の赤外線放射エネルギー量を検知し、その表面温度を測定する装置である。この赤外線放射温度計21における検知部の設置位置は、図3に示す如く、加熱装置6の下方に搬送されてきたチューブ容器3について、その開口部3aを図2に示す如くヘッド部13に内挿して開口部3aを冷却器12の内側に配置した状態において、冷却器12の直下に露出しているチューブ容器3の外周面位置Pとする。この外周面位置Pは冷却器12の直下20mmの位置とする。この外周面位置Pは冷却器12の底から離れすぎると開口部3aの溶融温度の影響から遠くなり、溶融温度が反映されなくなるので、冷却器12の直下15mm以上、25mm以内が望ましい。
この例の赤外線放射温度計21は、赤外線検出部を上下左右方向に走査することで先の位置のチューブ容器3の外周面の温度を上下左右方向に20点以上(10msec間隔で)計測できる能力を有するものが好ましい。なお、この20点以上計測温度データの内、最高温度を後述するデータ記録装置に記録保持することにする。
【0025】
なお、この例において赤外線放射温度計21は、図3に示す如くテーブル1上に設置された板状の基台21Aと、この基台21Aに立設された支持板21Bと、この支持板21Bの上部側に接続板21Cを介して横向きに支持された取付筒21Dとからなる支持具21Eにより支持され、取付筒21Dの内部に赤外線放射温度計21が取り付けられて収容されている。
支持具21Eにおいて基台21Aには、スリット状の位置決め孔21aが形成され、これを貫通したボルトとこれに螺合するナットなどの緊結具21dによりこれらの水平方向スライド位置決めを行い、赤外線放射温度計21とチューブ容器3との水平方向の相対位置決めを行うことができるようになっている。また、支持板21Bと接続板21Cにもスリット状の位置決め孔21fが上下向きに形成され、これを貫通したボルトとそれに螺合するナットなどの緊結具21gにより支持板21Bと接続板21Cとの上下方向スライド位置を調整し、赤外線放射温度計21高さ位置を調整できるように構成されている。
この構成の支持具21Eによって赤外線放射温度計21の照射位置を正確に規定できるように構成されている。
【0026】
次に、シール装置7は底部側に加圧クランプ部を有して成る。そして、先の加熱装置6の下方においてチューブ保持具2下部にある図示略のカム機構などの上下移動装置がチューブ保持具2及びチューブ容器3を押し上げ、チューブ容器3の開口部3aを加熱し、その内周側を溶融させた後、上下移動装置が下降すると、チューブ保持具2がチューブ容器3をシール装置7側に移動させる。その後、シール装置7がその加圧クランプ部にてチューブ容器3の開口部3aを挟んで圧着するので、チューブ容器3の開口部3aをエンドシールすることでチューブシールができるようになっている。
【0027】
図4に前記加熱装置6とシール装置7とカッター装置8に内蔵されている冷却プレス23を含めた冷却水循環系のフローを示す。
図4に示す循環系フローにおいては、加熱装置6を2基、シール装置7を2基設置し、それらに加えてカッター装置8の冷却水も一括して1つのタンク25から供給循環する配管系の一例として構成している。
この形態の配管系は、タンク25から供給管26を介し、供給管26から分岐させた分岐配管27により加熱装置6、6とシール装置7、7とカッター装置8とそれに付設された冷却プレス23に冷却水を供給し、加熱装置6、6を通過後の冷媒が通過する戻管28に流量センサ29と温度センサ30を組み込み、シール装置7、7を通過後の冷媒が通過する戻管31に流量センサ29と温度センサ30を組み込み、戻管28、31を連結した戻管32を介して冷却水をタンク25に戻す基本配管系として構成されている。また、分岐配管27はカッター装置8とそれに付設した冷却プレス装置23に冷却水を供給できるように接続され、冷却プレス装置23を通過した冷媒を戻管35を介してタンク25に戻すことができるように構成されている。
更に、供給管26にはタンク25側から順にポンプ36、圧力計37、遮断バルブ38、ストレーナー39、レギュレター40が組み込まれている。また、タンク25にはその内部に収容した冷却水を循環冷却するための冷却器41とポンプ42が配管43に組み込まれて接続されている。
図4に示す配管系の構成により、加熱装置6、6、シール装置7、7、カッター装置8、冷却プレス23を個別に冷媒として用いる冷却水により循環冷却することができるように構成されている。
【0028】
次に、本実施形態に適用される加熱装置6にはその他にも各種のセンサが付設されている。まず、図1に示す如く加熱装置6の上部にホットエアー供給のために設けられたエアー供給管6Aに風量センサ6Bが組み込まれ、加熱装置6の側部に排気ホットエアー計測用の温度センサ6Cが組み込まれ、加熱装置6の内部に設けた熱電対などの温度センサ6Dにより噴出器16からヘッド部13側に噴出するホットエアーの温度を計測できるように構成されている。
【0029】
図5は各種センサから得られる情報をデータ収集してヒートシール不良状況発生の有無を管理するための管理装置の構成と各センサの接続状態を示す。
本実施形態において、温度センサ6Dが計測するホットエアー温度と、風量センサ6Bが計測するホットエアーの風量と、温度センサ6Cが計測する排気側ホットエアーの温度と、温度センサ30が計測する冷却水温度と、流量センサ29が計測する冷却水流量と、赤外線放射温度計21が計測するチューブ容器3の側面の表面温度(10msec間隔20点)の各データをプログラマブルロジックコントローラ(PLC:シーケンサ(三菱電機商品名))45を介してデータ収集装置46に取り込み、データ収集装置46に内蔵した通信機、これらから離れた位置に設けた通信機47を介してデータ処理用のマスタコンピュータ(中央制御装置)48に記録し、これらの情報を管理することで上述の種々の情報を一元管理できるように構成されている。なお、図5において符号49は、パンク検査装置からのパンク発生時信号をプログラマブルロジックコントローラ45に入力する系統を示す。
また、チューブ容器3の側面を10msec間隔でデータ取りすると、データ量が膨大になるので、データ取得のタイミングをバリカム装置で絞り、チューブ容器1本あたり20データとして管理することが好ましい。絞り込みの方法としては、チューブ保持具2の上下動により、加熱装置6にチューブ容器3が挿入されるが、チューブ保持具2を駆動するカム装置にカムの回転角度を検出する角度検出センサ(バリカム装置)を設け、この回転角度に応じて20点のデータを取得する。例えば、後述の図10に示す頂点部のデータを20点取り込むことで20点のデータを検出することができる。
この20点のデータ注出時においてチューブ容器3はチューブ保持具2の上下移動に応じて上下方向に移動しているので、チューブ容器3の1点のみではなく、上下左右方向に20点データ取りすることになるので、測定点は上述の如く冷却器の直下から15〜25mmの範囲であれば測定できる最高温度に振れは生じることがない。
なお、図5では図1に示す充填ラインAに対し、同等の機能を有する他の充填ラインB、C、Dについても同様のデータ管理を行うための全体管理システムとして、他の充填ラインB、C、Dについても併記し、マスタコンピュータ(中央制御装置)48が各充填ラインA、B、C、Dの情報を統括的に一元管理できるように構成しているが、本発明ではこれらの充填ライン全体を一元管理しても充填ラインの個々を管理しても特に問わない。
【0030】
図1に示す充填ラインAにあっては、チューブ容器3の開口部3aを介して充填装置5が練り歯磨きなどの内容物を充填した後、チューブ容器3がチューブ保持具2によって加熱装置6側に搬送される。
加熱装置6の下方にチューブ容器3の開口部3aを移動させたならば、図示略の上下移動装置によりチューブ保持具2を上昇させると、チューブ容器3の開口部3aが図2に示す如く冷却器12の内側に挿入される。また、同時にチューブ容器3の開口部3aはヘッド部13の底部13aに対し外挿した状態となる。
この状態で噴出器16から所定温度、例えば310℃〜380℃に温度調整したホットエアーをヘッド部13に向けて吹き出す。これにより、ホットエアーはヘッド部13の吹出孔13eから外部に放射状に噴出するが、吹出孔13eの外部にはチューブ容器3の開口部3aの内周面が望ませられているので、この開口部3aの内面側をホットエアーで溶融させることになる。また、開口部3aの外周面は冷却器12により強制冷却されるので、溶融することがない。
更に、前述のチューブ容器3の加熱開始と同時に赤外線放射温度計21にて加熱装置6の冷却器12の直下に露出しているチューブ容器3の外周面(図2、図3に示す状態において冷却器12の直下に露出しているチューブ容器3の側面の中央側)を上下左右方向に走査し、その表面温度を計測する。
【0031】
チューブ容器3の開口部3aを溶融させた後のホットエアーは冷却器12の上方の内部空間11dに出てから複数の排気路10dを通過して隔壁部材18の内部空間に至り図示略のブロアにより吸引されて強制排気される。
また、タンク25から図4に示す配管系を経由して冷却器12に供給された冷却水はタンク25との間を循環しながら冷却器12を常時強制冷却する。これにより冷却器12を介してチューブ容器3の開口部3aを冷却し、その外周面を必要以上に過熱しないようになっている。
【0032】
規定時間、例えば、数分の1秒間、チューブ容器3の開口部3aを加熱してホットエアーによりチューブ容器3の開口部3aの内周側を溶融させたならば、加熱装置6が上昇してチューブ容器3の開口部3aを開放するので、チューブ容器3はシール装置7側に移動する。
ここで先に加熱したチューブ容器3がシール装置7側に移動すると同時に、加熱容器6の下側には次の未シール状態のチューブ容器3が移動してくるので、加熱装置6は再度同じ動作を繰り返し、次の未シール状態のチューブ容器3の開口部3aをホットエアーにより加熱し溶融させる。
【0033】
その加熱溶融動作の間の温度計測結果の一例を図10に示す。図10では加熱装置6が上下移動して最初のチューブ容器3の開口部3aを加熱した後、次のチューブ容器3が移動してきて再度上下移動した加熱装置6がチューブ容器3の開口部3aの加熱を開始するまでの1ショットを約0.8秒サイクルとした場合の温度計測結果の一例を示すが、応答速度10mSの20点計測により図10の状態の繰り返し温度サイクルを計測することができる。
【0034】
この際に計測した最高温度をチューブ容器3の溶融時の加熱温度として管理指標に採用することができる。この最高温度が後述する試験例に示す如く例えば83℃を下回らないようにデータ処理コンピュータ48にて監視し、この最高温度が83℃を下回る場合にデータ処理コンピュータ48が警告を出すようにする。また、先の最高温度が83℃を下回った場合、充填ラインAのチューブ保持具2におけるチューブ保持状態を解除できる構成とし、充填ラインAの外部に不良品のチューブ容器3を放出できる機構などを設けて、不良品をリアルタイムで除外する構成としても良い。
なお、この83℃とは、チューブ容器3の開口部3aの内周面側をホットエアーにより加熱し溶融させる場合、望ましい耐圧強度を得るためには、温度センサ6Dが計測するホットエアーの温度を310℃以上、400℃以下の範囲にすることが好ましいが、この好ましい範囲の下限の温度310℃のホットエアーにて加熱した場合、赤外線放射温度計21により冷却器12直下のチューブ容器3の側面を温度計測した場合の温度に相当する。従って、チューブ容器3の外側面を温度計測した場合の温度指標として、83℃を下限とする。
【0035】
また、先の管理指標としてのホットエアーの温度が低下して310℃を下回るように低下しそうな場合に、データ処理コンピュータ48が指令を出して噴出器16からヘッド部13に吹き出すホットエアーの温度を上昇させるように温度制御しても良い。
即ち、チューブ容器3の開口部3aに吹き付けるためのホットエアーの温度が310℃を下回ると、後述する試験の如くチューブ容器の耐圧強度の低下が見られるので、ホットエアーの温度を直接測定することでこの温度を管理指標とすることができる。
なお、ホットエアーの温度管理が適正であっても、チューブ容器3の外表面を測定する赤外線放射温度計21の測定結果が目的の範囲から外れる場合、逆に、赤外線放射温度計21の測定結果が目的の範囲内であっても、ホットエアーの温度が適正範囲から外れる場合も考えられるので、より精度の高い管理状態を求めるためには、チューブ容器3の外面温度測定結果とホットエアーの温度測定結果の両方を管理し、把握することが望ましい。
【0036】
次に、本実施形態の充填ラインAにおいて、赤外線放射温度計21によるチューブ容器3の外面温度管理とホットエアーの温度管理の他に、以下に説明する管理を行い、管理精度を向上させることが望ましい。
まず、前述の各センサのうち、ホットエアーの排気温度を温度センサ6Cで測定し、冷却器12に送る冷却水の温度を温度センサ30で測定し、冷却水流量を流量センサ29で測定する。これらホットエアーの排気温度、冷却水温度、冷却水量を個々に測定し、これらの測定結果を管理指標とすることもできる。
ただし、これらの測定数値を指標とする際、シール後のチューブ容器3の耐圧強度を主に考慮した場合、前述のチューブ容器3の外面温度測定結果とホットエアーの温度測定結果よりはチューブシールに対する影響が小さい。よってこれらの指標を対応させて管理する場合は、これらの影響を加味して管理することが望ましい。
【0037】
これらの管理指標の中で、ホットエアーの風量の下限値を220L/min、上限値を380L/minとすることができる。また、冷却器12の出口側の冷却水温度の下限値5℃、上限値45℃、同冷却水流量の下限値1.6L/minと設定することができる。
なお、これらの全ての指標を用いてチューブシール不良を厳格に管理する場合、前述の全ての管理項目に厳格な範囲を設けて管理することが望ましい。
その場合の管理条件の一例として例えば、ホットエアーの温度の下限値を360℃、上限値を380℃と設定し、ホットエアー風量の下限値を280L/min、チューブ容器の外表面温度を赤外線放射温度計により走査測定した場合の最高温度の下限値を85℃、上限値を110℃、冷却器12の出口側の冷却水温度の下限値5℃、上限値30℃、同冷却水流量の下限値3.5L/minと設定することで、厳格な管理ができる。
また、冷却器12の出口側の冷却水温度の管理は、チューブ容器3のシール後の耐圧強度には影響が少ないが、シール後においてシール部分の一部をカットして製品化する場合のカット性には影響があるので、管理することがより好ましい。
【0038】
加熱装置6により規定の温度に加熱されて開口部3aの内周面側を溶融させたチューブ容器3は、加熱装置6を上昇させた後、チューブ支持具2によってシール装置7側に搬送されるので、シール装置7において開口部3aを加圧プレスして開口部内周面の溶融部分を接合し、シールしてチューブのエンドシールを完了する。
エンドシールを完了したチューブ容器3は次にカッタ装置8によりエンドシール部分を一部切断して規定の形状に仕上げられ、引き続き冷却プレス装置23によりプレスされて冷却され、図1に示す完成品Hが得られる。
以上説明の如き充填ラインAにおいて製造された完成品Hにあっては、高速で大量生産していても、厳格にホットエアーの温度管理、風量管理、冷却水管理等がなされた状態で生産されるので、エンドシール部分にシール不良が生じていない良品を生産することができる。
【0039】
なお、本実施形態では練り歯磨を充填するラインに本発明を適用した例について説明したが、樹脂製のチューブの底部をエンドシールして生産する他のチューブ容器、例えば練り食品収納用チューブ容器、練り調味料の収納用チューブ容器、その他粘性の高い内容物を収納して使用するチューブ容器一般に広く本発明を適用できるのは勿論である。
【実施例】
【0040】
図1に示す充填ラインにおいて、歯磨きチューブ容器(クリニカライオン:ライオン(株)製:チューブ素材(ポリエチレン製多層ラミネートチューブ、肉厚0.36mm)の充填ラインに本発明装置と方法を適用し、実証試験を行った。この試験に用いた赤外線放射温度計は、キーエンス社製FT−H20型の赤外線放射型非接触温度計(応答速度10mS)を用い、加熱装置に内蔵されている冷却器の下端から10mm下の位置、チューブ容器開口端からは20mm下方位置のチューブ容器側面を温度測定ポイントとした。
まず、チューブ容器の開口部に噴出器から吹き付けるホットエアーの温度を380℃、ホットエアー流量320L/minとする標準条件から、ホットエアーの温度を340℃、320℃、300℃と変更した時のチューブ容器外表面温度の計測を行った。また、各温度にてチューブ容器のエンドシールを行って得られたチューブ容器において、耐圧強度(kgf)を測定した。ここでの耐圧強度とは、エンドシール後に水平面に設置した歯磨きチューブ容器についてチューブ容器を上下から挟む方向に板材により荷重を印加した場合、チューブ容器のエンドシール部分が破れて歯磨き剤が飛び出した際の荷重を示す。それらの測定結果を図6に示す。
【0041】
図6に示す結果から、ホットエアー温度を300℃に設定し、赤外線放射温度計の測定ポイントでの温度が83℃となった時点において耐圧強度が著しく低下しており、この結果から、ホットエアーの設定温度は310℃〜380℃の範囲で調整することで満足な耐圧強度のエンドシール部分を有するチューブ容器を製造できることが明らかとなった。換言すると、加熱装置直下のポイントにおけるチューブ容器の表面温度の測定と把握であっても、ホットエアーによるチューブ容器のエンドシール部分の状況を確実に反映させて把握できることが判った。
【0042】
次に、図1に示す充填ラインにおいて、ホットエアーの風量とチューブ容器表面温度、耐圧強度を測定した結果を図7に示す。この場合のホットエアーの設定温度は340℃とした。標準条件のホットエアー流量320L/minの条件に対し、370、270、215L/minの条件においてそれぞれチューブ容器のエンドシールを行った結果、ホットエアー流量215L/minとした場合にチューブ表面温度が83℃以下となり、耐圧強度が大きく低下することを確認できた。
【0043】
次に、図6に示すホットエアー温度と図7に示すホットエアー流量のチューブ耐圧強度に与える影響を纏めて図8に示す如くプロットしたところ、ほぼ同じ傾向が見られたので、加熱装置直下において赤外線放射温度計によりチューブ容器表面の温度を計測した場合、エンドシール部分の良否の判定にホットエアー温度とホットエアー流量の値をそれぞれ把握し、所定の範囲から外れないように制御することがエンドシール不良を防止できる上で有効であることが明らかとなった。
【0044】
次に、加熱装置に組み込まれている冷却器に対して供給されて排出された場合の冷却水の温度が20℃〜44℃の範囲で変化した場合(冷却水出口温度20℃の場合、設定温度8.5℃、冷却水出口温度36℃の場合、設定温度25℃)と、冷却水流量について、3.8L/minから1.6L/minとした場合のチューブ耐圧強度の測定を行った。その結果を図9に示す。
図9に示す結果から、冷却水温度と冷却水流量に関し、チューブ表面温度に対して影響は少ないことが判明した。
以上の結果から、ホットエアー温度とホットエアー流量と冷却水量と冷却水の温度について設定する場合、冷却水温度と冷却水量は少なくとも図9に示す範囲に管理しておけば、チューブ容器の耐圧強度に悪影響は生じないが、ホットエアー温度については310℃〜380℃の範囲に厳格に管理する必要があり、ホットエアー風量は250〜380L/minの範囲に厳格に管理する必要があることが判明した。従って、管理指標としてホットエアー温度とホットエアー流量を重視して管理することが好ましい。
【0045】
図10は、チューブ容器の移動、加熱装置の上下移動、チューブ容器の開口部を加熱装置の冷却器に内挿する動作、先のチューブ容器の開口部を加熱後、チューブ容器を次工程に搬送した後、次のチューブ容器が移動してきて再度加熱装置により、チューブ容器の開口部の加熱を開始するまでの1ショットを約0.8秒サイクル(図10に符号Nで示す間隔)とした場合の温度計測結果の一例を示す。なお、図10において符号Lで示す間隔の部分が加熱装置を上下移動させる際の温度変化、符号Mで示す間隔の部分が次のチューブ容器が移動してくる間の温度変化を示す。
この例の赤外線放射温度計の応答速度10mSの20点計測により図10に示す状態の繰り返し温度サイクルを計測することができた。即ち、装置稼働の初回分を除いた繰り返し計測において全く同じ温度変化を測定することができているので、繰り返しの計測を行っても正確に測定できることを確認できた。
【0046】
これらの各管理項目のうち、ホットエアー温度の設定を370℃として、その下限値を360℃、上限値を380℃に管理し、ホットエアー風量の下限値設定を280L/minに設定し、チューブ容器表面温度の下限値を85℃、上限値を110℃に設定し、冷却水出口温度を下限値5℃、上限値30℃に設定し、冷却水流量の下限値を3.5L/minに設定して図1に示す充填ライン(1分間に75本処理)を37日間運転し、それらの管理項目において上限値を超えるか、下限値を下回った場合にデータ処理コンピュータが警告を発するように設定して管理した。
また、図1に示す充填ラインを一日8時間運転した場合、1日ごとの各数値の最大値と最小値を記録し、それらの標準偏差σを記録するとともに、CV値(標準偏差と平均の比)を記録した。
【0047】
その結果、37日間の運転において、ホットエアー温度において最大値の差異6℃、最小値の差異3℃、CV=0.17〜0.26の範囲を得られ、殆ど振れのない±10℃の範囲を越えない制御状態を得ることができ、ホットエアー流量のCV=1.0〜1.6の範囲、チューブ容器表面温度CV=1.4〜1.7の範囲を確保することができた。この結果、チューブ容器表面温度の上限を超えたサンプルが1回/3日程度で充填停止後に発生したが、これらサンプルのエンドシール部分の耐圧試験を行った結果、耐圧強度の面で問題は生じなかった。
従って前記の管理項目を厳格に運用すると充填ラインでの不良品発生率を極めて低いものとすることができることが判明した。
【0048】
次に、加熱装置の冷却器に供給する冷却水の温度とチューブ容器のエンドシール部分のカット性について試験した。カット性とは、△印がカット面を手指で触った際、ざらつきが認められる状態で悪く、×印はカット面に髭状の溶解した樹脂が1本でも観察された場合を判断手法とした指標により評価した。その結果を以下の表1に示す。
【0049】
「表1」
冷却水入口温度 冷却水出口温度 冷却水流量 エンドシールカット後の外観
(℃) (℃) (L/min)
8.5 20.6 3.8 ○
15 26.5 3.8 ○
25 36.2 3.8 ○
25 39.0 2.4 △
25 43.1 1.6 ×
外観検査において△はカット面状態悪く、×は髭状の溶解した樹脂が見られた。
*実施例装置では室温以上の冷却水の温度調節ができなかったので、
25℃以上の場合は流量を少なくして模擬試験とした。
【0050】
表1と先に示した試験結果から、冷却器に供給する冷却水温度は、エンドシールの耐圧強度に悪影響が少ないが、カッター装置がエンドシール部分をカットする場合の仕上がりに影響を与えることが判明した。この結果から鑑み、冷却器から出る場合の冷却水温度を39℃以下に抑制することがカット性の観点からは好ましく、冷却水温度を38℃以下に抑制することがより良好なカット性を得るために重要なことが判明した。
よって、前述の管理項目において、耐圧強度が良好なエンドシールを得る上に、カット面の良好な仕上がり状態を求める場合は、チューブ容器表面温度管理と、ホットエアー温度管理と、ホットエアー流量管理に加え、冷却水出口温度管理を行うことが有効である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は本発明に係るチューブシール装置とチューブシール不良の検出方法が適用される充填ラインの一例を示す構成図。
【図2】図2は同チューブシール装置に備えられた加熱装置を示す断面図。
【図3】図3は同チューブシール装置に備えられた温度検出手段を示す構成図。
【図4】図4は同チューブシール装置を備えた充填ライン全体の冷媒配管系を示す略図。
【図5】図5は同チューブシール装置を備えた充填ライン全体の情報管理装置の構成を示す略図。
【図6】図6は同チューブシール装置に備えられているホットエアー温度制御を行った場合のチューブ容器表面温度測定結果と、加重強度の試験結果を示す図。
【図7】図7は同チューブシール装置に備えられているホットエアー風量制御を行った場合のチューブ容器表面温度測定結果と、耐圧強度の試験結果を示す図。
【図8】図8はチューブ容器表面温度と耐圧強度の相関性を示す図。
【図9】図9はチューブ容器の冷却水量と冷却水出口温度を変更した場合のチューブ容器表面温度測定結果
【図10】図10は赤外線放射温度計により計測したチューブ容器表面温度測定結果を示す斜視図。
【符号の説明】
【0052】
1…充填ライン、2…チューブ保持具、3…チューブ容器、3a…開口部、5…充填機、6…加熱装置、7…シール装置、8…カッター装置、10…上部側ブロック、10d…排気路、11…下部側ブロック、12…冷却器、12a…内周壁、12c…冷媒流路、13…ヘッド部、13a…底部、13e…吹出孔、16…噴出器、21…温度計測手段(赤外線放射温度計)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール前のチューブ容器の開口部が外挿される中空のヘッド部と、該ヘッド部に接続されてヘッド部の内部側にホットエアーを送り込む噴出器と、前記ヘッド部の底部周辺を囲んで配置され、前記ヘッド部の外側に介挿されるチューブ容器の開口部外周を取り囲む環状の冷却器とを具備し、前記ヘッド部の底部外周にホットエアーの吹出孔が複数形成されて前記ヘッド部に外挿されるチューブ容器の開口部内面にホットエアーを噴出自在に構成され、前記ヘッド部の周囲に前記チューブ容器の開口部内面を加熱した後のホットエアーを排気する排気路が形成されてなる加熱装置を用い、
前記ホットエアーにより溶融状態としたチューブ容器の開口部を引き続きシール装置により加圧シールすることでチューブシールする場合のチューブシール不良の検出方法であって、
前記ヘッド部に外挿されてホットエアーによりチューブ容器の開口部内周側を溶融状態とし、開口部外周側を前記冷却器において冷却した状態において、チューブ容器の前記冷却器直下の外面温度を温度計測手段により計測し、この外面温度測定結果に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とするチューブシール不良の検出方法。
【請求項2】
前記ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果から、良品チューブが得られた際の条件範囲を求め、これらの条件範囲に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とする請求項1に記載のチューブシール不良の検出方法。
【請求項3】
前記ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果に加え、前記冷却器用の冷媒温度と冷媒流量を管理し、これらの条件範囲に基づいてチューブシール不良を把握することを特徴とする請求項2に記載のチューブシール不良の検出方法。
【請求項4】
前記ヘッド部直下のチューブ容器の外面温度管理結果と、前記ホットエアーの温度管理結果と、前記ホットエアーの風量管理結果と、前記チューブ容器の高さ位置管理結果と、前記冷却器用の冷媒温度管理結果と、冷媒流量の管理結果に基づき、設定した上限と下限で挟まれる範囲から外れた場合に警報を出すことを特徴とする請求項3に記載のチューブシール不良の検出方法。
【請求項5】
ヒートシール前のチューブ容器の開口部が外挿される中空のヘッド部と、該ヘッド部に接続されてヘッド部の内部側にホットエアーを送り込む噴出器と、前記ヘッド部の底部周辺を囲んで配置され、前記ヘッド部の外側に介挿されるチューブ容器の開口部外周を取り囲む環状の冷却器とを具備し、前記ヘッド部の底部外周にホットエアーの吹出孔が複数形成されて前記ヘッド部に外挿されるチューブ容器の開口部内面にホットエアーを噴出自在に構成され、前記ヘッド部の周囲に前記チューブ容器の開口部内面を加熱した後のホットエアーを排気する排気路が形成されてなる加熱装置と、
前記ホットエアーにより半溶融状態としたチューブの開口部を加圧シールするシール装置とを具備したチューブシール装置であって、
前記ヘッド部に外挿されてホットエアーにより加熱状態とされたチューブの冷却器直下の外面温度を計測する温度計測手段と、前記ホットエアーの温度を調整する管理装置とを具備したことを特徴とするチューブシール装置。
【請求項6】
前記管理装置が、前記ヘッド部に供給するホットエアーの温度管理に加え、前記ヘッド部に対するホットエアーの風量を制御可能であることを特徴とする請求項4に記載のチューブシール装置。
【請求項7】
前記管理装置が、前記冷却器に対する冷媒供給量と冷媒温度を制御可能であることを特徴とする請求項5に記載のチューブシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−190785(P2009−190785A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36481(P2008−36481)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】