説明

チューブ溶断溶着装置

【課題】各部品の寸法精度をそれほど高めることなく、また、各部品の組み付けを厳密に管理しなくても、チューブの端部とウエハの翼部との位置合わせを容易に、かつ、正確に行えるようにする。
【解決手段】キャリッジ14は、駆動力が伝達される本体ブロック40と、ウエハ13を、チューブ100,102の中心線に交差して延びる姿勢となるように保持するウエハ保持部材41と、ウエハ保持部材41を本体ブロック40に対し上下方向に変位可能にフローティング状態で支持する板バネ42とを備えている。装置本体におけるウエハ保持部材41の下方には、ウエハ保持部材41の高さを調整するための高さ調整機構55が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1本の樹脂製チューブを溶断して2つの封止端を作るチューブ溶断、及び2本の樹脂製チューブのそれぞれの端部を溶融して端部同士を接続するチューブ溶着を行うためのチューブ溶断溶着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、チューブ溶断やチューブ溶着をする場合に、特許文献1、2に開示されている装置が用いられることがある。特許文献1、2のものは、いずれも、チューブを保持するためのチューブホルダと、チューブの溶融温度まで加熱される金属板からなるウエハと、ウエハを保持して移動させるキャリッジとを備えている。ウエハには、厚み方向両側へそれぞれ突出する翼部が設けられている。
【0003】
そして、チューブを溶断する際には、チューブをチューブホルダに保持した後、加熱状態のウエハをキャリッジにより移動させてチューブに押し当てて溶断する。溶断後、2本になったチューブのそれぞれの端部にウエハの翼部を挿入して各チューブの端部を開口よりも深い部分まで溶融させ、その後、翼部をチューブの端部から抜き、端部を封止状態で冷却して封止端を作る。
【0004】
また、2本のチューブを接続する際には、各チューブをチューブホルダに保持した後、加熱状態のウエハの各翼部を各チューブの端部に挿入し、各チューブの端部を開口よりも深い部分まで溶融させ、その後、翼部をチューブの端部から抜き、チューブの端部同士を圧接して全周を溶着する。
【0005】
このようにチューブの溶断及び溶着時にウエハの翼部をチューブの端部に挿入することで、チューブの端部開口よりも深いところまで広い範囲を加熱溶融させることができるので、溶断時には強固で確実な封止が可能となり、また、溶着時には強固で確実な接続が可能となる。
【0006】
さらに、チューブの溶断及び溶着時に非常に高温のウエハを用いることで、加熱滅菌効果を得て、雑菌等がチューブ内に侵入するのを防止できるので、特に医療分野で有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−197986号公報
【特許文献2】特許第3179566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の装置では、上述した効果を得るためには、ウエハの翼部をチューブの端部に確実に挿入することが前提となる。例えば、ウエハの翼部とチューブの端部とが上下にずれていると翼部をチューブの端部に狙い通りに挿入できなくなることが考えられる。
【0009】
これを回避するためには、装置を構成する各部品の寸法精度を現状よりも大幅に高め、しかも、各部品の組み付けを高精度に、かつ、厳密に管理して行わなければならず、コストが高騰してしまう。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の各部品の寸法精度をそれほど高めることなく、また、各部品の組み付けを厳密に管理しなくても、チューブの端部とウエハの翼部との位置合わせを容易に、かつ、正確に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明では、ウエハを保持するウエハ保持部材をキャリッジの本体部に対してフローティング支持しておき、ウエハ保持部材の高さ調整を行えるようにした。
【0012】
第1の発明は、厚み方向両側へ突出する翼部を有するウエハを用いて樹脂製チューブを溶断及び溶着するように構成されたチューブ溶断溶着装置において、互いに水平方向に並んで配置され、上記チューブを所定高さで保持する第1及び第2チューブホルダと、上記第1及び第2チューブホルダを互いに接離する方向に移動させるチューブホルダ駆動手段と、上記ウエハを加熱して上記チューブの溶融温度以上とするための加熱手段と、上記ウエハを保持するキャリッジと、上記キャリッジを上記チューブホルダの並び方向に交差する方向に水平移動させることによって上記ウエハを上記チューブホルダ間へ移動させるように構成されたキャリッジ駆動手段と、上記チューブホルダ、上記チューブホルダ駆動手段及び上記キャリッジ駆動手段が取り付けられる装置本体とを備え、上記キャリッジは、上記キャリッジ駆動手段に連結して駆動力が伝達される本体部と、上記ウエハを、上記チューブの中心線に交差して延びる姿勢となるように保持するウエハ保持部材と、上記ウエハ保持部材を上記本体部に対し上下方向に変位可能にフローティング状態で支持する支持部材とを備え、上記装置本体における上記ウエハ保持部材の下方には、該ウエハ保持部材の高さを調整するための高さ調整機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、例えば、各部品の寸法公差範囲内でのばらつきや、組み付け公差範囲内でのばらつきに起因して、ウエハの翼部の高さと、第1及び第2チューブホルダに保持されているチューブの高さとがずれている場合に、高さ調整機構によってウエハ保持部材の高さ調整を行うことでウエハの高さが変更される。これにより、各部品の寸法精度をそれほど高めることなく、また、各部品の組み付けを厳密に管理しなくても、ウエハの翼部の高さを、チューブホルダに保持されているチューブの高さと一致させることが可能になる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記支持部材は、弾性体であることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、ウエハ保持部材をキャリッジの本体部に対して弾性支持できるので、ウエハ保持部材の高さ調整を高さ調整機構の操作のみで簡単に行えるようになる。
【0016】
第3の発明は、第2の発明において、上記弾性体は、板バネであり、上記板バネの端部側が上記キャリッジの本体部に固定され、上記ウエハ保持部材は該板バネの中間部に固定されていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、ウエハ保持部材の高さを調整する場合には、板バネが撓み変形することによってウエハ保持部材の変位が許容されるので、キャリッジをコンパクトにまとめながら、ウエハ保持部材の上下方向の変位を許容することが可能になる。
【0018】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、上記高さ調整機構は、上下方向に移動して上記キャリッジのウエハ保持部材を上下方向に変位させるための調整ピンを備え、上記調整ピンは、上記第1及び第2チューブホルダに設定されたチューブ保持部の直下方に配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、キャリッジのウエハ保持部材がキャリッジ駆動手段により駆動されてチューブホルダのチューブ保持部に対応する所まで移動すると、調整ピンによりウエハ保持部材が上下方向に変位してウエハの翼部の高さがチューブホルダに保持されているチューブの高さと一致するようになる。つまり、ウエハの翼部の高さと、チューブの高さとを一致させる必要がある所(チューブホルダのチューブ保持部に対応する所)で両者を確実に一致させることが可能になる。
【0020】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、上記キャリッジのウエハ保持部材には、上記高さ調整機構が下方から接する接触面を有する当接部材が結合され、上記接触面におけるキャリッジの移動方向の外縁部には、該接触面から離れるに従って上に位置するように傾斜する傾斜面が連なっていることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、キャリッジをキャリッジ駆動手段により移動させていくと、高さ調整機構が初めに傾斜面に接触することになる。高さ調整機構が傾斜面に接触している間は、ウエハ保持部材の高さが徐々に変化していき、やがて高さ調整機構が接触面に接触すると、ウエハの翼部の高さと、チューブの高さとが一致するようになる。従って、ウエハ保持部材の高さをスムーズに変えることが可能になる。
【0022】
第6の発明は、第3から5のいずれか1つの発明において、上記キャリッジの本体部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔に上記ウエハ保持部材が挿入され、上記板バネは、上記本体部の貫通孔の下端開口を覆うように該本体部の下面に取り付けられ、上記板バネの下面には、上記高さ調整機構が接する当接部材が設けられ、上記当接部材の外形状は、上記貫通孔の下端開口よりも小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、高さ調整機構が当接部材に接することによって板バネが上下方向に撓み変形し、ウエハ保持部材がキャリッジの本体部の貫通孔に沿って上下方向に変位することになる。このとき、当接部材の外形状が貫通孔の下端開口よりも小さいので、ウエハ保持部材が上方向に変位する際に当接部材がキャリッジの本体部に干渉しなくなる。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明によれば、ウエハを保持するウエハ保持部材をキャリッジの本体部に対してフローティング支持しておき、装置本体におけるウエハ保持部材の下方に、ウエハ保持部材の高さを調整するための高さ調整機構を設けたので、各部品の寸法精度をそれほど高めることなく、また、各部品の組み付けを厳密に管理しなくても、低コストでウエハの翼部の高さとチューブの高さとを一致させることができ、強固で確実なチューブの封止や接続を行うことができる。
【0025】
第2の発明によれば、ウエハ保持部材をキャリッジの本体部に対して弾性支持したので、ウエハ保持部材の高さ調整を簡単に行うことができる。
【0026】
第3の発明によれば、弾性体を板バネにしたことで、ウエハ保持部材の上下方向の変位を許容する構造をコンパクトに得ることができる。
【0027】
第4の発明によれば、調整ピンを第1及び第2チューブホルダに設定されたチューブ保持部の直下方に配置したので、ウエハの翼部の高さとチューブの高さとを確実に一致させることができる。
【0028】
第5の発明によれば、キャリッジのウエハ保持部材に高さ調整機構が接する接触面を有する当接部材を結合させ、接触面におけるキャリッジの移動方向の外縁部に傾斜面が連なっているので、ウエハ保持部材の高さをスムーズに変化させることができる。
【0029】
第6の発明によれば、キャリッジの本体部に形成した貫通孔にウエハ保持部材を挿入して板バネで支持する場合に、板バネの下面に高さ調整機構が接する当接部材を設け、この当接部材の外形状を貫通孔の下端開口よりも小さく設定したので、ウエハ保持部材を上方へ変位させる際に当接部材がキャリッジの本体部に干渉しなくなり、高さ調整を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態にかかるチューブ溶断溶着装置の使用状態を説明する図である。
【図2】チューブ溶断溶着装置の斜視図である。
【図3】チューブ溶断溶着装置のブロック図である。
【図4】チューブ溶断溶着装置を底面側から見た斜視図である。
【図5】ウエハの斜視図である。
【図6】ウエハの側面図である。
【図7】ウエハの平面図である。
【図8】キャリッジを下から見た斜視図である。
【図9】キャリッジが高さ調整機構まで移動した場合における図4のIX−IX線に相当する断面図である。
【図10】ウエハを保持したキャリッジの平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10のXII−XII線断面図である。
【図13】キャリッジの底面図である。
【図14】チューブの溶着時にチューブの端部をウエハの翼部に対向させた状態を示す図10相当図である。
【図15】チューブの端部にウエハの翼部を挿入した状態を示す図10相当図である。
【図16】チューブの端部の溶融部分の一部を除去している状態を示す図10相当図である。
【図17】チューブの端部を溶融している状態を示す図10相当図である。
【図18】チューブの端部同士を突き合わせた状態を示す図10相当図である。
【図19】チューブを溶断している状態を示す図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
図1は、本発明の実施形態にかかるチューブ溶断溶着装置1の使用状態を示すものである。チューブ溶断溶着装置1は、CAPD患者の腹部に埋め込まれた腹部側チューブ100と、透析液を収容するバッグ101a,101bから延びるバッグ側チューブ102とを接続する際、及びそれらチューブ100,102を切断する際に用いられるものである。
【0033】
腹部側チューブ100には、ストッパ103と、ローラークランプ104とが設けられている。バッグ側チューブ102の基端側は2つのチューブ102a,102bに分岐されており、チューブ102aは排液用バッグ101aに接続され、チューブ102bは透析液バッグ101bに接続されている。チューブ102aには、排液側クランプ106が設けられている。チューブ102bには、ストッパ107及び注液側クランプ108が設けられている。腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102は、加熱により溶融する周知の樹脂材で構成されている。
【0034】
図2に示すように、チューブ溶断溶着装置1は、左側チューブホルダ(第1チューブホルダ)10と、右側チューブホルダ(第2チューブホルダ)11と、チューブホルダ駆動モータ(チューブホルダ駆動手段)12と、ウエハ13(図5に示す)と、ウエハ13を保持するキャリッジ14(図4に示す)と、キャリッジ14を駆動するキャリッジ駆動機構(キャリッジ駆動手段)15(図4に示す)と、ウエハ13を加熱するためのウエハ加熱ヒータ(加熱手段)16と、制御部17と、これらを収容する装置本体18とを備えている。
【0035】
装置本体18は、略直方体の箱状部材18aと、箱状部材18aの上方を覆うカバー18bとを備えている。カバー18bは、箱状部材18aの長手方向の端部に対して回動可能に支持されている。
【0036】
尚、各図に示すように、チューブ溶断溶着装置1の左側とは、使用時にチューブ100,102をセットする際に使用者から見て左となる側をいい、また、チューブ溶断溶着装置1の右側とは、同様に右となる側をいい、また、チューブ溶断溶着装置1の手前側とは、同様に手前となる側をいい、また、チューブ溶断溶着装置1の奥側とは、同様に奥となる側をいうものとする。
【0037】
左側チューブホルダ10は、箱状部材18aの左側に配置され、右側チューブホルダ11は、箱状部材18aの右側に配置されている。すなわち、左側チューブホルダ10と右側チューブホルダ11は、互いに水平方向に並んでいる。
【0038】
左側チューブホルダ10は、腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102との一方を保持し、左側チューブホルダ10は、他方を保持する。この実施形態の説明では、仮想線で示すように、左側チューブホルダ10で腹部側チューブ100を保持し、左側チューブホルダ10でバッグ側チューブ102を保持する場合について説明するが、その反対であってもよい。
【0039】
左側チューブホルダ10は、ベース部20と、チューブ100,102を押さえるための押さえカバー21とを備えている。ベース部20は、箱状部材18aに対して左右方向にのみ移動可能にスライドレール等を介して取り付けられている。ベース部20の上面には、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102が嵌る溝部(チューブ保持部)20aが形成されている。溝部20aは、ベース部20の左右方向に真っ直ぐに延びており、ベース部20の左右両側面に開放されている。チューブ100,102は、その中心線が溝部20aの延びる方向と一致した状態で該溝部20aに挿入されて保持される。
【0040】
溝部20aの右端部の幅は、他の部分に比べて広くなっている。腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102を接続する際に溝部20aの右端部にチューブ100,102の封止部分を嵌めるためである。すなわち、接続前のチューブ100,102の端部は、径方向に押し潰されたまま溶着されて封止されているので、端部のみが幅広な形状となっており、この封止端部の形状に対応するように溝部20aを形成している。
【0041】
押さえカバー21は、ベース部20上面の全体を覆う形状とされている。押さえカバー21の奥側部分がベース部20の奥側部分に対して左右方向に延びる支軸21aを介して回動可能に取り付けられている。押さえカバー21は、図示しないが支軸21a周りに上方に回動するとベース部20の上面を開放した状態になり、一方、図2に示すように開放状態から下に回動するとベース部20の上面を覆った状態になる。押さえカバー21は、ベース部20の上面を覆った状態でロック機構23によりロックされて開放方向(上方向)に回動しないようになっている。このロック機構23は、使用者が容易に解除できるようになっている。
【0042】
押さえカバー21は、ベース部20の上面を覆った状態にあるときにチューブ100,102の端部を溝部20aの底面と共に径方向(上下方向)に押し潰して閉塞状態とするようになっている。
【0043】
右側チューブホルダ11は、左側チューブホルダ10と左右対称構造とされており、ベース部23と、押さえカバー24と、ストッパ25とを備えている。ベース部23には溝部23aが形成され、押さえカバー24には支軸24aが設けられている。溝部23aの左端部は、該溝部23aの他の部分に比べて広くなっている。右側チューブホルダ11の溝部23aの延長線と、左側チューブホルダ10の溝部20aの延長線とは、高さ方向及び奥行き方向の両方向で略一致するようになっている。
【0044】
図3に示すチューブホルダ駆動モータ12は、左側及び右側チューブホルダ10,11を左右方向に移動させるためのものであり、周知のサーボモータで構成されている。チューブホルダ駆動モータ12は、制御部17に接続されており、制御部17から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0045】
チューブホルダ駆動モータ12の出力軸の回転は周知の動力変換機構(例えばラックアンドピニオン機構)によって左右方向の直線運動に変換されて左側チューブホルダ10及び右側チューブホルダ11に伝達されるようになっている。左側チューブホルダ10及び右側チューブホルダ11は、チューブホルダ駆動モータ12が回転すると、同時に同じ量だけ左右方向に移動する。このとき、左側チューブホルダ10が左側へ移動すれば、右側チューブホルダ11は右側へ移動し、一方、左側チューブホルダ10が右側へ移動すれば、右側チューブホルダ11は左側へ移動するようになっている。つまり、左側チューブホルダ10及び右側チューブホルダ11は、共通のチューブホルダ駆動モータ12により駆動されて互いに接離する方向に移動する。これにより、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102の端部を互いに接離する方向に移動させることが可能になる。
【0046】
図5〜図7に示すように、ウエハ13は、無酸素銅の板材で構成されており、側面視で左右方向に長い略矩形状とされている。ウエハ13の厚みは、約0.5mmに設定されている。
【0047】
ウエハ13は、略鉛直に延びる姿勢でチューブ溶断溶着装置1に着脱可能に取り付けられる。ウエハ13の上部の長手方向中間部には、厚み方向両側へそれぞれ延出する翼部30,30が形成されている。図7に示すように、翼部30,30の延出長さBは、ウエハ13の本体部分の表面から1mm程度に設定されている。また、翼部30,30の幅Wは、チューブ100,102の封止端部の幅Cよりも若干狭く設定されている。
【0048】
図5及び図6に示すように、ウエハ13の上部における翼部30,30よりも長手方向一側の仮想線31で囲んだ部分は、チューブ100,102を切断するための切断部とされている。切断部31は、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0049】
ウエハ13の上部における翼部30,30よりも長手方向他側の部分には、厚み方向両側へそれぞれ膨出する膨出部32,32が形成されている。膨出部32,32と翼部30,30とは、ウエハ13の長手方向に間隔をあけて配置されている。
【0050】
図7に示すように、膨出部32,32の膨出寸法Dは、ウエハ13の本体部分の表面から1mm〜2mm程度に設定されている。膨出部32,32におけるウエハ13の長手方向一側は開放されている。膨出部32,32は、詳細は後述するが、接続前のチューブ100,102の端部の溶融部分における一部をすくい取って除去するためものである。
【0051】
図5及び図6に示すように、ウエハ13の上部における膨出部32,32よりも長手方向他側の仮想線33で囲んだ部分は、チューブ100,102を溶融するための溶融部とされている。溶融部33は、ウエハ13の両面にそれぞれ設けられており、鉛直方向に略平坦に延びている。
【0052】
上記翼部30,30、切断部31、膨出部32,32及び溶融部33,33は、同一高さに配置されている。また、ウエハ13における切断部31の下方には、係合孔34が形成されている。
【0053】
図8及び図9に示すように、キャリッジ14は、本体ブロック(本体部)40と、ウエハ保持部材41と、板バネ42と、下部ブロック(当接部材)45とを備えている。本体ブロック40は、左右方向に長いアルミニウム合金製の部材からなるものである。本体ブロック40の左側には、手前側から奥側へ向けて略水平に貫通する断面円形のガイド孔40aが形成されている。図4に示すように、ガイド孔40aには、後述するキャリッジ駆動機構15のガイド棒50が挿通するようになっている。
【0054】
図8及び図9に示すように、本体ブロック40の右側には、手前側から奥側へ向けて略水平に貫通する軸挿通孔40bが形成されている。軸挿通孔40bの内部には、ナットすべりネジ装置が設けられている。ナットすべりネジ装置の具体例としては、例えば、ボールスクリュー装置が挙げられる。
【0055】
図4に示すように、軸挿通孔40bには、後述するキャリッジ駆動機構15のネジ棒51が挿入される。また、本体ブロック40の下面には、ガイド孔40aと軸挿通孔40bとの間に対応する部分に手間側から奥側へ向けて延びる幅広の溝40cが形成されている。
【0056】
図10〜図12に示すように、本体ブロック40のガイド孔40aと軸挿通孔40bとの間には、上下方向に貫通する貫通孔40dが形成されている。貫通孔40dの下端は、溝40cの内面に開口している。 ウエハ保持部材41は、例えばポリイミド等の樹脂材をブロック状に成形してなるものである。ウエハ保持部材41は、本体ブロック40の貫通孔40dに挿入されるようになっており、挿入状態で貫通孔40dの内面に沿って上下方向に変位可能となっている。
【0057】
ウエハ保持部材41の上面には、ウエハ13の下部が嵌るウエハ嵌入溝41aが形成されている。ウエハ嵌入溝41aは、手間側から奥側へ向けて延びており、従って、ウエハ13は、略鉛直で、かつ、手前から奥側へ延びる姿勢でウエハ保持部材41に保持されることになる。
【0058】
ウエハ保持部材41には、ウエハ13の係合孔34に挿入されて該係合孔34に係合する係合爪(図示せず)が内蔵されている。係合爪は、例えばアクチュエータ等によって動作し、ウエハ13に係脱自在となっている。係合爪をウエハ13から離脱させることでウエハ13を交換できるようになっている。
【0059】
板バネ42は、略矩形状に成形された金属バネ材からなるものである。板バネ42は、本体ブロック40の溝40c内において貫通孔40dの下端開口を覆うように略水平に配置されている。
【0060】
板バネ42の4つの角部近傍には、図8及び図13に示すネジAが挿通する外側ネジ挿通孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。これら外側ネジ挿通孔にネジAを挿通して本体ブロック40に形成されたネジ孔(図示せず)に螺合させることによって板バネ42の端部側が本体ブロック40に締結固定されている。この状態で、板バネ42は、その手前側と奥側との間の中間部が貫通孔40d内に臨むことになり、その中間部が上下方向に弾性変形するようになっている。
【0061】
板バネ42の手前側と奥側との中間部には、ネジBが挿通する内側ネジ挿通孔(図示せず)が形成されている。図11に示すように、板バネ42の中間部の上面には、ウエハ保持部材41が載置されており、ウエハ保持部材41の下面と板バネ42の上面とは接している。
【0062】
また、板バネ42の中間部の下面には、上記下部ブロック45が取り付けられている。下部ブロック45は、厚肉板状に成形されている。下部ブロック45の4つの角部近傍には、板バネ42の内側ネジ挿通孔と一致するネジ挿通孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。ネジBを下部ブロック45のネジ挿通孔及び板バネ42のネジ挿通孔に挿入してウエハ保持部材41に形成されたネジ孔(図示せず)に螺合させることによってウエハ保持部材41及び下部ブロック45が板バネ42に固定される。つまり、ウエハ保持部材41及び下部ブロック45は、共通のネジBによって板バネ42に固定されており、これによって下部ブロック45がウエハ保持部材41に結合した状態となっている。
【0063】
ウエハ保持部材41は、上記のように上下方向に弾性変形する板バネ42を介して本体ブロック40に固定されているので、本体ブロック40に対してはフローティング状態となっており、上下方向に変位可能である。本発明の支持部材は、板バネ42で構成されている。
【0064】
尚、フローティング状態とは、ウエハ保持部材41が本体ブロック40に対して剛結合されておらず、上下方向の外力が作用した際に上下方向の相対変位を許容する状態のことである。
【0065】
図8に示すように、下部ブロック45の下面における中央部には、略水平に延びる水平面(接触面)45cが形成されている。下部ブロック45の下面における水平面45cよりも手前側には、手前側傾斜面45dが連なっている。手前側傾斜面45dは水平面45cから離れて手前側に行くほど上に位置するように傾斜している。また、下部ブロック45の下面における水平面45cよりも奥側には、奥側傾斜面45eが連なっている。奥側傾斜面45eは水平面45cから離れて奥側に行くほど上に位置するように傾斜している。
【0066】
図4に示すように、キャリッジ駆動機構15は、ガイド棒50と、ネジ棒51と、ネジ棒51を回転させるキャリッジ駆動モータ52とを備えている。ガイド棒50は、箱状部材18a内の左側に配置されて手前側から奥側へ向けて略水平に延びている。ガイド棒50の両端部は箱状部材18aに固定されている。ネジ棒51は、ガイド棒50と略平行に延びており、両端は箱状部材18aに対して軸周りに回転可能に支持されている。キャリッジ駆動モータ52は、正逆回転可能なサーボモータであり、制御部17により制御されて任意のタイミングで停止するようになっている。
【0067】
キャリッジ14の本体ブロック40の軸挿通孔40bにネジ棒51を挿通してナットすべりネジ装置に螺合させることによって本体ブロック40とネジ棒51とが連結状態となり、ネジ棒51を回転させることによってキャリッジ駆動モータ52の回転力が本体ブロック40に伝達されてキャリッジ14が手前側及び奥側へ直線移動する。
【0068】
箱状部材18aの下端部には、ウエハ保持部材41の高さを調整するための高さ調整機構55が設けられている。高さ調整機構55は、左側及び右側チューブホルダ10,11の溝部20a,23aの直下方に配置されており、左右方向に延びるプレート56と、一対の調整ピン57,57と、ロックナット53,53とを備えている。
【0069】
プレート56は、箱状部材18aの左右両側壁を連結するように左右方向に略水平に延びており、左右方向両端部が箱状部材18aの左右両側壁部に固定されている。プレート56の左右方向中間部には、上下方向に貫通するネジ孔56a,56a(図9にのみ示す)が左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。同図に示すように、ネジ孔56a,56aは、キャリッジ14の下部ブロック45の直下方に位置するようになっている。
【0070】
調整ピン57は、円柱状をなしている。調整ピン57の外周面にはプレート56のネジ孔56aに螺合するネジ山が形成されている。調整ピン57は、上下方向に延びる姿勢とされてネジ孔56aに螺合するようになっており、調整ピン57を回転させることで調整ピン57の上端の高さを変えることが可能である。ロックナット53は、各調整ピン57におけるプレート56よりも下に突出した部分に螺合している。ロックナット53をプレート56側に締め付けていくことで調整ピン57の回転をロックすることが可能になっている。
【0071】
図2に示すように、ウエハ加熱ヒータ16は、箱状部材18aの内部においてチューブホルダ10,11よりも手前側に位置している。ウエハ加熱ヒータ16は、例えば電熱線等のように電流を流すことによって発熱する発熱体を備えている。ウエハ加熱ヒータ16は、ウエハ13の温度をチューブ100,102の溶融温度以上(例えば300℃程度)に加熱できる能力を有している。ウエハ加熱ヒータ16は制御部17に接続されており、制御部17から出力される制御信号に基づいて作動するようになっている。
【0072】
ウエハ加熱ヒータ16には、ウエハ13が挿入されるウエハ挿入スリット16aが形成されている。ウエハ挿入スリット16aは、箱状部材18aの奥行き方向に延びている。ウエハ13は、切断部31が奥側に位置するようにウエハ挿入スリット16aに挿入されてキャリッジ14のウエハ保持部材41で保持されるようになっている。
【0073】
箱状部材18aの上面には、操作パネル部18cが設けられている。操作パネル部18cには、操作ボタン46が設けられている。操作ボタン46は制御部17に接続されている。操作ボタン46は本チューブ溶断溶着装置1の動作を開始する際に操作するためのものである。
【0074】
制御部17は、チューブホルダ駆動モータ12、ウエハ加熱ヒータ16及びキャリッジ駆動機構15を制御するように構成されている。制御部17は、周知のマイクロコンピュータで構成することができる。
【0075】
制御部17は、腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接続するチューブ溶着制御と、腹部側チューブ100又はバッグ側チューブ102を溶断するチューブ溶断制御との両方を行うことができるように構成されている。チューブ溶着制御とチューブ溶断制御とは、操作ボタン46の操作により、使用者が任意に切り替え選択できるようになっている。
【0076】
チューブ溶着制御では、端部が封止されている腹部側チューブ100及びバッグ側チューブ102を接続するのであるが、まず、キャリッジ14を箱状部材18aの手前側へ向けて移動させてウエハ13の係合孔34にキャリッジ14の係合爪(図示せず)を係合させてウエハ13をキャリッジ14で把持する。そして、キャリッジ14を奥側へ向けて移動させ、ウエハ13をウエハ加熱ヒータ16の内部に配置し、ウエハ加熱ヒータ16を作動させてウエハ13を加熱する。このとき、左側及び右側チューブホルダ10,11はチューブ100,102の封止端部が互いに離れるように位置付けておく。
【0077】
その後、キャリッジ駆動機構15を作動させてウエハ13の翼部30,30をチューブ100,102の端部と対向させる(図14に仮想線で示す)。
【0078】
そして、チューブホルダ駆動モータ12を作動させて、図15に示すように、左側及び右側チューブホルダ10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100,102の封止端部を翼部30,30に押し付ける。翼部30,30は加熱されているので、チューブ100,102の封止端部を溶融させ、チューブ100,102の端部から内部に入り込む。これにより、チューブ100,102の端部の広い範囲が溶融する。
【0079】
しかる後、左側及び右側チューブホルダ10,11を移動させずに、ウエハ13を箱状部材18aの奥側に移動させる。ウエハ13を奥側に移動させていくと、図16に示すように、膨出部32,32の開放部分がチューブ100,102の封止端部に接触する。この封止端部は溶融しているので、膨出部32,32の開放部分によって溶融部分の一部が掻き取られて除去される。
【0080】
その後、ウエハ13を箱状部材18aの奥側に更に移動させていき、ウエハ13の溶融部33,33をチューブ100,102の端部に対向させる。そして、左側及び右側チューブホルダ10,11を互いに接近する方向に移動させ、図17に示すように、チューブ100,102の端部をウエハ13の溶融部33,33に接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の端部が十分に溶融する程度の時間である。
【0081】
次いで、ウエハ13を箱状部材18aの奥側に移動させていき、ウエハ13をチューブ100,102の端部の間から抜く。そして、左側及び右側チューブホルダ10,11を互いに接近する方向に移動させ、図18に示すように、チューブ100,102の端部同士を接触させ、そのまま所定時間保持する。この所定時間は、チューブ100,102の端部が冷却されて固化するのに要する時間である。以上がチューブ溶着制御である。
【0082】
一方、チューブ溶断制御では、まず、ウエハ13を箱状部材18a内の奥側へ移動させてウエハ加熱ヒータ16によってウエハ13を加熱する。
【0083】
その後、左側及び右側チューブホルダ10,11を互いに離れる方向に移動させながら、図19に示すように、ウエハ13を箱状部材18aの奥側に移動させて切断部31をチューブ100に押し付ける。切断部31は加熱されているので、チューブ100が溶断される。
【0084】
その後、キャリッジ駆動機構15を作動させてウエハ13を箱状部材18aの奥側へ移動させて、図14に示すように翼部30,30をチューブ100の切断端部と対向させる。
【0085】
しかる後、チューブホルダ駆動モータ12を作動させて、図15に示すように、左側及び右側チューブホルダ10,11を互いに接近する方向に移動させ、チューブ100の切断端部を翼部30,30に押し付ける。翼部30,30が加熱されているので、チューブ100,102の端部の広い範囲が溶融する。
【0086】
次いで、ウエハ13を箱状部材18aの奥側に移動させる。ウエハ13を奥側に移動させていくと、膨出部32,32の開放部分がチューブ100の切断端部に接触する。この切断端部は溶融しているので、その溶融部分の一部が膨出部32,32の開放部分によって掻き取られて除去される。残った溶融部分は冷却して固化し、これにより、チューブ100の切断端部が封止される。
【0087】
上記したように、チューブ溶着制御及びチューブ溶断制御では、ウエハ13の翼部30,30をチューブ100,102の端部に挿入するようにしている。このときに翼部30,30の高さとチューブ100,102の端部の高さとがずれていると、翼部30,30を狙い通りにチューブ100,102の端部に挿入できず、チューブ100,102の端部を十分に溶融できない恐れがある。
【0088】
本実施形態では、高さ調整機構55を用いてウエハ13の翼部30,30とチューブ100,102の端部との高さを一致させることができるようになっている。すなわち、本実施形態では、予め、ウエハ13の翼部30,30の方がチューブ100,102の端部よりも低くなるように、各部品の組み付け位置を設定している。そして、高さ調整機構55の調整ピン57,57が上方に移動するように該調整ピン57,57を回転させる。すると、調整ピン57,57の上端部の高さが高くなり、図9に示すように、調整ピン57,57がキャリッジ14の下部ブロック45の水平面45cに接触した際に下部ブロック45に対して上方向に力を作用させることになる。この調整ピン57,57からの力により、板バネ42が上に弾性変形してウエハ保持部材41が上に変位する。このとき、調整ピン57,57は、下部ブロック45の水平面45cに接触する前に傾斜面45d,45eに接触することになり、調整ピン57,57が傾斜面45d,45eに接触している間は、その傾斜度合いに対応してウエハ保持部材41は徐々に上に変位していくことになる。
【0089】
上記のようにしてウエハ13の翼部30,30を高くしてチューブ100,102の端部と一致させることができる。尚、図9に示す状態で、仮に、ウエハ13の翼部30,30の方がチューブ100,102の端部よりも高い場合には、調整ピン57,57を下方に移動させればよい。
【0090】
ウエハ保持部材41の高さ調整が終了したら、ロックナット53,53をプレート56に接する方向に締め込む。これにより、調整ピン57,57が不意に動くことはない。
【0091】
ウエハ保持部材41の高さ調整は、例えばチューブ溶断溶着装置1の工場出荷時に行えば、その後、ユーザーによる調整は不要である。また、ウエハ保持部材41の高さ調整をチューブ溶断溶着装置1のメンテナンス時に行うようにしてもよい。
【0092】
調整ピン57,57はネジ機構によって上下方向に移動させるようにしているので、高さは無段階に設定できる。よって、微妙な高さ調整も可能である。
【0093】
また、調整ピン57,57は左右方向に離れているので、ウエハ保持部材41に対して上方への力を左右両側から付与することができる。これにより、ウエハ保持部材41の姿勢を安定させることができる。
【0094】
以上説明したように、この実施形態にかかるチューブ溶断溶着装置1によれば、例えば、各部品の寸法公差範囲内でのばらつきや、組み付け公差範囲内でのばらつきに起因して、ウエハ13の翼部30,30の高さと、チューブ100,102の高さとがずれている場合に、高さ調整機構55によって両者の高さを一致させることができる。これにより、各部品の寸法精度をそれほど高めることなく、また、各部品の組み付けを厳密に管理しなくても、低コストでウエハ13の翼部30,30の高さとチューブ100,102の高さとを一致させることができ、強固で確実なチューブ100,102の封止や接続を行うことができる。
【0095】
また、ウエハ保持部材41をキャリッジ14の本体ブロック40に対して弾性支持したので、ウエハ保持部材41の高さ調整を、高さ調整機構55の操作のみで簡単に行うことができる。
【0096】
また、板バネ42でウエハ保持部材41を弾性支持にしたことで、ウエハ保持部材41の上下方向の変位を許容する構造をコンパクトに得ることができる。
【0097】
また、調整ピン57を、チューブホルダ10,11の溝部20a,23aの直下方に配置したので、ウエハ13の翼部30,30の高さとチューブ100,102の高さとを確実に一致させることができる。
【0098】
また、キャリッジ14に、高さ調整機構55が接する水平面45cを設け、水平面45cにおけるキャリッジ14の移動方向の外縁部に傾斜面45d,45eが連なっているので、ウエハ保持部材41の高さをスムーズに変化させることができる。
【0099】
また、板バネ42の下面に、高さ調整機構55が接する下部ブロック45を設け、この下部ブロック45の外形状を本体ブロック40の貫通孔40dの下端開口よりも小さく設定したので、ウエハ保持部材41を上方へ変位させる際に下部ブロック45がキャリッジ14の本体ブロック40に干渉しなくなり、高さ調整を確実に行うことができる。
【0100】
本発明は、CAPD患者の腹部側チューブ100とバッグ側チューブ102とを接合する場合以外にも、加熱により溶融する各種チューブを接合する場合に用いることができる。
【0101】
上記実施形態では、調整ピン57,57を2本設けているが、これに限らず、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、調整ピン57,57の形状は円柱状に限られるものではなく、任意の形状に設定することができる。
【0102】
また、調整ピン57,57の上端部には、例えば鋼球のような転動部材を取り付けるようにしてもよい。これにより、調整ピン57,57と下部ブロック45との間の摩擦力を低減することができる。
【0103】
また、上記実施形態では、キャリッジ14のウエハ保持部材41に下部ブロック45を結合して高さ調整機構55の調整ピン57,57を下部ブロック45に接触させるようにしているが、これに限らず、例えばウエハ保持部材41を、板バネ42を貫通するように形成して該板バネ42の下面よりも下方へ突出させ、この突出部分に調整ピン57,57を接触させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上説明したように、本発明にかかるチューブ溶断溶着装置は、例えば、CAPD患者のバッグ側チューブと腹部側チューブとを接続する場合や、該チューブを切断する場合に用いることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 チューブ溶断溶着装置
10 左側チューブホルダ(第1チューブホルダ)
11 右側チューブホルダ(第2チューブホルダ)
12 チューブホルダ駆動モータ(チューブホルダ駆動手段)
13 ウエハ
14 キャリッジ
15 キャリッジ駆動機構(キャリッジ駆動手段)
16 ウエハ加熱ヒータ(加熱手段)
18 装置本体
30 翼部
40 本体ブロック(本体部)
41 ウエハ保持部材
42 板バネ(支持部材)
45 下部ブロック(当接部材)
45c 水平面(接触面)
45d 手前側傾斜面
45e 奥側傾斜面
55 高さ調整機構
57 調整ピン
100 腹部側チューブ
102 バッグ側チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向両側へ突出する翼部を有するウエハを用いて樹脂製チューブを溶断及び溶着するように構成されたチューブ溶断溶着装置において、
互いに水平方向に並んで配置され、上記チューブを所定高さで保持する第1及び第2チューブホルダと、
上記第1及び第2チューブホルダを互いに接離する方向に移動させるチューブホルダ駆動手段と、
上記ウエハを加熱して上記チューブの溶融温度以上とするための加熱手段と、
上記ウエハを保持するキャリッジと、
上記キャリッジを上記チューブホルダの並び方向に交差する方向に水平移動させることによって上記ウエハを上記チューブホルダ間へ移動させるように構成されたキャリッジ駆動手段と、
上記チューブホルダ、上記チューブホルダ駆動手段及び上記キャリッジ駆動手段が取り付けられる装置本体とを備え、
上記キャリッジは、上記キャリッジ駆動手段に連結して駆動力が伝達される本体部と、上記ウエハを、上記チューブの中心線に交差して延びる姿勢となるように保持するウエハ保持部材と、上記ウエハ保持部材を上記本体部に対し上下方向に変位可能にフローティング状態で支持する支持部材とを備え、
上記装置本体における上記ウエハ保持部材の下方には、該ウエハ保持部材の高さを調整するための高さ調整機構が設けられていることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブ溶断溶着装置において、
上記支持部材は、弾性体であることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。
【請求項3】
請求項2に記載のチューブ溶断溶着装置において、
上記弾性体は、板バネであり、
上記板バネの端部側が上記キャリッジの本体部に固定され、上記ウエハ保持部材は該板バネの中間部に固定されていることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のチューブ溶断溶着装置において、
上記高さ調整機構は、上下方向に移動して上記キャリッジのウエハ保持部材を上下方向に変位させるための調整ピンを備え、
上記調整ピンは、上記第1及び第2チューブホルダに設定されたチューブ保持部の直下方に配置されていることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のチューブ溶断溶着装置において、
上記キャリッジのウエハ保持部材には、上記高さ調整機構が下方から接する接触面を有する当接部材が結合され、
上記接触面におけるキャリッジの移動方向の外縁部には、該接触面から離れるに従って上に位置するように傾斜する傾斜面が連なっていることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1つに記載のチューブ溶断溶着装置において、
上記キャリッジの本体部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔に上記ウエハ保持部材が挿入され、
上記板バネは、上記本体部の貫通孔の下端開口を覆うように該本体部の下面に取り付けられ、
上記板バネの下面には、上記高さ調整機構が接する当接部材が設けられ、
上記当接部材の外形状は、上記貫通孔の下端開口よりも小さく設定されていることを特徴とするチューブ溶断溶着装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−240275(P2012−240275A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111525(P2011−111525)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】