説明

チロシナーゼ阻害剤としてのジフェニルメタン誘導体の使用

本発明は、式1の化合物、または式1の化合物を1以上含む物質の混合物の新規の使用に関する。


1
前記化合物は、皮膚および髪の褐色化を予防する、老人性しみへの対処のための、および、食品の所望しない褐変の防止のための物質として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チロシナーゼ阻害剤としての、下記の式1のジフェニルメタン誘導体の使用に関する。


(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。
この式において、置換基 OH、R1、R4およびR5は、各ケースにおいて、(図示するように、)関係する芳香環上の任意の位置(環の間のブリッジとの関係でオルト、メタまたはパラ)を取り得る。
【背景技術】
【0002】
化粧品産業の分野においては、皮膚および髪をライトニングする物質や老人性しみに対処するための物質に対する要望が存在する。この関係において、皮膚および髪をライトニングする化粧品や老人性しみに対処するための化粧品は、特に皮膚/髪の色の濃い人々が多く住むアジア各国において重要な役割を果たすが、そのような化粧用処理のための物質は、中欧地域および米国においても重要性が増してきている。
人間の皮膚および髪の色は、基本的にメラニン細胞の数、メラニン濃度、およびメラニン生合成の強度によって決定され、ここでは、一方では個人の遺伝的構成などの内因子、そしてもう一方では特に紫外線への暴露の強度および頻度などの外因子が、皮膚および髪の色に大きな影響を及ぼす。
【0003】
スキンライトニング活性を有する化合物は、通常、メラニンの代謝または異化に作用する。一般に褐色または黒色であるメラニン色素は、皮膚のメラニン細胞で形成され、メラニン生成細胞内に移送され、そして皮膚または髪の着色を起こさせる。哺乳動物においては、褐色-黒色のユーメラニンは主にヒドロキシ-置換芳香族アミノ酸(例えばL-チロシンおよびL-DOPA)から生成され、そして黄色から赤色のフェオメラニンは含硫黄分子から付加的に生成される(Cosmetics & Toiletries 1996, 111 (5), 43-51)。L-チロシンから出発して、銅含有鍵酵素チロシナーゼによってL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)が生成され、そのL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンは次にチロシナーゼによってドーパクロムに変換される。ドーパクロムは、様々な酵素によって触媒されるいくつかの工程によって酸化されてメラニンになる。
【0004】
スキンライトニング剤は様々な理由のために使用される:ヒトの皮膚の中のメラニン生成細胞が何らかの理由で均等に分布していない場合には、周辺の皮膚よりも明るいもしくは暗い色素しみが生成される。この問題の解消するために、少なくとも部分的にそのような色素しみを目立たなくするのを助けるライトニング剤が使用される。加えて、多くの人において、彼等の生まれながらの暗い皮膚の色をライトニングする、または皮膚の色素沈着を防止する必要がある。この目的のために、信頼性および効果の高い皮膚および髪のライトニング剤が必要である。多くの皮膚および髪のライトニング剤は、強かれ弱かれ効力を有するチロシナーゼ阻害剤を含む。しかしながら、これは皮膚および髪のライトニングのために可能な1つの手段でしかない。
時には、紫外線吸収物質もまた、紫外線により誘導される皮膚色素沈着の増加に対する予防のために使用される。しかしながら、これは純粋に物理的起源の効果であり、したがって、紫外線が存在しない場合であっても検出可能なスキンライトニング剤の細胞内メラニン形成に対する生物学的作用とは異なる。具体的には、UVフィルタによっては紫外線に誘導される皮膚の褐色化しか予防することができず、これは、メラニン生合成に作用する生物学的に活性なスキンライトナーが、皮膚のライトニングをももたらすことができるのとは対照的である。
【0005】
ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体(例えばアルブチンなど)、ビタミンC、アスコルビン酸の誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビルなど)、コウジ酸およびコウジ酸の誘導体(例えばコウジ酸ジパルミタートなど)が、特に市販の皮膚および髪のライトニング剤に使用されている。
最も頻繁に使用される皮膚および髪のライトニング剤の1つはヒドロキノンである。しかしながら、この物質はメラニン生成細胞に対する細胞毒性を有し、皮膚において刺激物質として作用する。したがって、例えばヨーロッパ、日本および南アフリカでは、そのような調製物は化粧品用途に許可されなくなった。さらには、ヒドロキノンは非常に酸化されやすく、化粧品調合物内における安定化には困難が伴う。
皮膚に対するビタミンCおよびアスコルビン酸誘導体の作用は十分なものではない。さらには、それらはチロシナーゼ阻害剤として直接作用するのではなく、メラニン生合成における着色した中間体を削減する。
コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-4-ピラノン)は、チロシナーゼの銅原子をキレートすることによってこの酵素の触媒作用を阻害するチロシナーゼ阻害剤である。これは市販の皮膚および髪のライトニング剤に使用されているものの、高感作性を有し得、接触アレルギーを引き起こす。
【発明の開示】
【0006】
したがって、皮膚および髪のライトニング作用を有する、および/または老人性しみに有効な新規物質の探索において、そのねらいは、ほぼ一般的に、酵素チロシナーゼを可能な限り低い濃度で阻害する物質を発見することである。さらには、化粧品および/または医薬製品に使用されるこれらの物質は、可能な限り低い濃度で高い活性を有することに加えて、さらに、
- 毒物学的に許容され、
- 皮膚に容易に受け入れられ、そして特に感作性でなくかつ刺激性でなく、
-(特に慣習の化粧品および/または医薬調合物内で)安定であり、
- 好ましくは無臭であり、
- 安価に生産可能(即ち、標準的な方法を使用して、および/または、標準的な前駆物質から出発して生産し得る)
でなくてはならないことも考慮されなくてはならない。
【0007】
物質の化学構造と、その生物学的活性および安定性との間には明らかな相関関係がないため、当業者にとって前記の特性の1つ以上を十分な程度に有する適切な(活性)物質を捜索することは困難となる。さらには、潜在的活性化合物のスキンライトニング効果、毒物学的許容性、皮膚耐性および/または安定性の間には予想可能な関係は存在しない。さらには、活性物質を実用に使用するための特別な必要条件は、化粧品において付随の成分として慣習的に使用される化学物質および光に対する安定性である。
したがって、(上記の一般的要件に基づいて)本発明の主目的は、(a) 良好なスキンライトニング効果(即ち、例えば、特定の無細胞または細胞内in vitro試験系、ここでヒトin vivo環境へのよりよい移転のため細胞内in vitro試験系が好ましい、における強力なチロシナーゼ阻害作用)を有し、(b) 高純度の形態に調製することが可能であり、(c) 皮膚科学的および毒物学的に許容されるものであり、そして、(d) 加えて、光の作用に対して良好な安定性を示す、活性物質を同定することである。出願人自身の研究によって、式1のジフェニルメタン誘導体がこれらの目的を達成し、したがってチロシナーゼ阻害物質として優先的に使用し得ることが示された。
これに関連して、本発明において使用し得るジフェニルメタン誘導体(例えば、後に詳細に説明するスチリルレゾルシノール(式4;CARN:85-27-8; 4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼン)など)は、文献より知られる方法に従って何の問題もなく調製し得る。活性試験を実施するために、式1のジフェニルメタン誘導体を、文献(例えばT. Yamamura et al. (Bull. Chem. Soc. Jpn. Vol. 68, S.2955-2960; 1995)より知られる方法に従って、フリーデル・クラフツアルキル化によって調製した。
【0008】


【0009】
出願人自身の研究によって、式1のジフェニルメタン誘導体、そしてここでは特に式4のスチリルレゾルシノールが、特に食品産業において褐変防止剤として使用されるヘキシルレゾルシノールと比較して、より強力なチロシナーゼ阻害活性を有することが示された(後述の実施例1、表2:スチリルレゾルシノール(式4)および4-ヘキシルレゾルシノールの比較: CARN: 136-77-6を参照されたい)。加えて、式1の化合物、そしてここでは特にスチリルレゾルシノール(式4)が、既知の皮膚および髪のライトニング活性化合物であるコウジ酸と比較して、より強力なチロシナーゼ阻害活性を有するという事実は特に驚くべきことであり、その結果として、それらは著しく低い(したがって毒物学的および皮膚科学的に許容される)濃度で化粧品製品に使用され得る;スチリルレゾルシノールのチロシナーゼ阻害作用は、コウジ酸のそれと比較して約215倍も強力である。
【0010】
出願人による、文献より知られる方法に従って調製された合成スチリルレゾルシノール(式3;CARN:85-27-8; 4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼン)の活性試験は例えば、式1の化合物(ジフェニルメタン誘導体)、そして式1の化合物を1以上含む物質混合物(各ケースの R1 から R5 の基は前述した意味を有する)までもが、強力なチロシナーゼ阻害作用を有し、したがってスキンライトニング剤として、および老人性しみに対処するための物質としての使用に著しく適していることを支持する。この関係において、それらは光に対する安定性が高いため、化粧品製品などにおけるスキンライトナーとして、既知のスキンライトニング活性化合物(例えばヒドロキノン、アルブチンまたはアスコルビン酸など)の代替物として、または該化合物への補助物質としての使用に著しく適している。式4の化合物、そして式1の化合物(OH 基が互いに対してメタ- またはパラ- 位にあるもの)までもが、酸素に対して非常に安定である。
【0011】
チロシナーゼの阻害は通常は化粧上の理由のために行われるが、例外的なケースではさらに治療的な特徴を有し得る。さらには、式1の化合物は、食品産業またはアロマ産業においても褐変防止添加剤として使用し得る;これについては以下を参照されたい。
式1の化合物は、特に皮膚および髪のライトニングのための物質として、または老人性しみに対処するための物質として使用される限りでは、原則として溶液、クリーム、ローション、ゲル、スプレーなどの形態で外用される。
この関係における重要な応用分野は、(式1の化合物が存在する点を除いて)従来の組成物のものである化粧品、特に皮膚科学的および/またはケラチン科学的調合物であり、それは、化粧品、特に皮膚科学的および/またはケラチン科学的な日焼け止め、皮膚および/もしくは髪のトリートメント、ケアもしくは洗浄、または装飾化粧におけるメイクアップ製品として役立つ。これに対応して、そのような調合物は、その組成に従って、例えばスキンプロテクションクリーム、クレンジングミルク、クレンジングソープ、日焼け止めローション、栄養クリーム、デイクリームもしくはナイトクリーム、デオドラント、発汗抑制剤、シャンプー、ヘアケア剤、ヘアコンディショナーまたはヘアカラーリング剤として使用し得、そしてこの関係では、それは好ましくはエマルジョン、ローション、ミルク、クリーム、水分散(hydrodispersion)ゲル、バルム、スプレー、フォーム、液体石鹸、固体石鹸、髪-ロールオンスティックまたはメイクアップの形態にある。
【0012】
さらには、本発明のジフェニルメタン誘導体は食物にも使用し得る。ここにおける特に好ましい製品類は、特に、その自然に含むフェノール化合物に起因して加工時に内生ポリフェノールオキシダーゼの影響で自然な褐色反応が起こるような食物である。これらとしては、特に、果実および野菜製品(特にリンゴ、ナシまたはジャガイモ)または甲殻類(特にカニ、テナガエビまたはエビ)であり、この関連において、このリストは当然のことながら完全なものとみなされるべきではなく、所望に応じて拡張し得る。
【0013】
調合物(特に外用される調合物)における式1のジフェニルメタン誘導体の濃度は、好ましくは0.0001から20%(m/m)の範囲、選択的には0.001から5%(m/m)の範囲、そして特に選択的には0.01から1%(m/m)の範囲にある。これらの調合物において、チロシナーゼ阻害活性物質は、(a) 予防的に、または(b) 必要時に、使用し得る。
例えば毎日使用される活性化合物の量の濃度は、被験者の生理学的状態およびその個人に特有のパラメーター(例えば年齢または体重など)によって異なる。式1のジフェニルメタン誘導体は、それ単独で、混合物として、またはさらなるチロシナーゼ阻害物質と組み合わせて使用し得る。
【0014】
式1の化合物(R1からR5は上に示した意味を有し、かつ、上述した内容はR1からR5の好ましい意味に関しても適用される)はさらに、化粧用物質および芳香組成物(香水組成物)の成分として使用してもよく、例えば、芳香を発する(例えば化粧品の)最終生成物にチロシナーゼ阻害作用をもたらすことができる。特に好ましい芳香組成物は、(a) 知覚的(sensory)作用を有する量の芳香物質、(b) チロシナーゼ阻害作用を有する量の、1以上の式1の化合物(式中、R1からR5は前述の意味を有し得る)を含み、そして必要により(c) 1以上の賦形剤および/または添加剤を含んでもよい。化粧品の最終生成物における香水の含有量は多くの場合約1%(m/m)の領域であるため、式1の化合物を含む香水は、好ましくは約5から50%(m/m)の、1以上の式1の化合物を含む。式1の物質がそれ自身微臭性または完全に無臭であるということは、特に有利であることが示された。なぜなら、この特徴は、この化合物が芳香組成物において使用されることを可能とするからである。
【0015】
化粧的および/または治療的スキンライトニング、並びに老人性しみの処理(対処)のための好ましい方法においては、本発明の共同的活性を有する混合物が使用される濃度もまた0.0001から20%(m/m)の範囲、好ましくは0.001から5%(m/m)の範囲、そして特に選択的には0.01から1%(m/m)の範囲内である(それぞれは、前記混合物を含む化粧品または医薬生成物の総質量を基準とする)。
これに関連して、式1のジフェニルメタン誘導体は、(a) 予防的に、または(b) 必要時に、使用し得る。
【0016】
本明細書の文脈において、異なって置換されたフェニル基を有し、かつ同時に、R2とR3が異なる式1の誘導体である場合における、ジフェニルメタン誘導体という用語は、純粋なS-体鏡像異性体、R-体鏡像異性体、並びに、S-体およびR-体鏡像異性体の任意の混合物をも包含することを指摘する。商業的理由のために、これらのケースにおいて、スキンライトニングおよび/または老人性しみの対処のために、特定のジフェニルメタン誘導体のラセミ混合物を使用することは、これらの混合物は合成によって特に容易に得られるために特に有利であることは事実であるが、しかしながら、純粋な鏡像異性体またはこれらの鏡像異性体の非ラセミ混合物もまた本発明の目的に適している。
【0017】
本発明において使用される式1のジフェニルメタン誘導体は、従来からの化粧品または皮膚科学的調合物(例えば、特にポンプスプレー、エアロゾルスプレー、クリーム、軟膏、チンキ、ローション、ネイルケア製品(例えばネイルワニス、ネイルワニス除去剤、ネイルバルサム)など)に、困難なく含ませることができる。これに関連して、さらには、本発明に使用される式1のジフェニルメタン誘導体をさらなる活性化合物(例えば皮膚および髪のライトニング作用を有するか、または老人性しみに対して作用を有するたの物質)と組み合わせることが可能、そして場合によっては有利でもある。この関係において、式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品および/または皮膚科学的/ケラチン科学的調合物は、さもなければ慣習的な組成物のものであってもよく、皮膚科学的またはケラチン科学的トリートメントという意味、またはケアコスメティックという意味における皮膚および/または髪のトリートメントとして役立つ。しかしながら、それらはまた、装飾化粧品におけるメイクアップ製品においても使用し得る。
【0018】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物は、スキンライトニング作用を有するさらなる活性化合物を含んでもよい。この関係において、本発明においては、化粧品および/または皮膚科学的用途に適したもしくは慣習的なすべてのスキンライトニング活性化合物を使用し得る。この点で有利なライトニング活性化合物は、コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-4-ピラノン)、コウジ酸誘導体(例えばコウジ酸ジパルミタート)、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、レゾルシノール、含硫黄分子(例えばグルタチオンもしくはシステイン)、アルファ-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)およびその誘導体、シクロアルカノン、メチレンジオキシフェニルアルコール、ビニル- およびエチル-グアイアコール、酸化窒素合成の阻害剤、例えばL-ニトロアルギニンおよびその誘導体、2,7-ジニトロインダゾールまたはチオシトルリン、金属キレート剤(例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体)、フラボノイド、レチノイド、豆乳、セリンプロテアーゼ阻害剤またはリポ酸、あるいは皮膚および髪のライトニングのための他の合成または天然活性化合物であり、ここで後者は植物からの抽出物(例えば、クマコケモモ抽出物、イネ抽出物、甘草根抽出物またはそこからエンリッチされた成分(例えばグラブリジンまたはリコチャルコン(licochalkon)A)、アルトカルプス(artocarpus)抽出物、ギシギシおよびチョウトウコウ種からの抽出物、マツ種(マツ)からの抽出物およびブドウ種からの抽出物など)またはそこからエンリッチされたスチルベン誘導体の形態で使用することも可能である。
【0019】
多くのケースにおいて、式1のジフェニルメタン誘導体は保存料と組み合わせて使用し得る。好ましくは、以下のような保存料がここでは選択される:安息香酸、そのエステルおよび塩、プロピオン酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、2,4-ヘキサン酸(ソルビン酸)およびその塩、ホルムアルデヒドおよびパラホルムアルデヒド、2-ヒドロキシビフェニルエーテルおよびその塩、2-亜鉛スルフィドピリジン-N-オキシド、無機亜硫酸塩および重亜硫酸塩、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、クロロブタノラム(chlorobutanolum)、4-エチル水銀-(II)5-アミノ-1,3-ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)、その塩およびエステル、デヒドロ酢酸、ギ酸、1,6-ビス(4-アミジノ-2-ブロモフェノキシ)-n-ヘキサンおよびその塩、エチル水銀-(II)-チオサリチル酸のナトリウム塩、フェニル水銀およびその塩、10-ウンデシレン酸およびその塩、5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチル-ヘキサヒドロピリミジン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、4-クロロ-m-クレゾール、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、1,1'-メチレン-ビス(3-(1-ヒドロキシメチル-2,4-ジオキソイミダゾリジン-5-イル)尿素)、ポリ-(ヘキサメチレンジグアニド)ヒドロクロリド、2-フェノキシエタノール、ヘキサメチレンテトラミン、1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニア-アダマンタンクロリド、1(4-クロルフェノキシ)-1(1H-イミダゾル-1-イル)-3,3-ジメチル-2-ブタノン、1,3-ビス-(ヒドロキシ-メチル)-5,5-ジメチル-2,4-イミダゾリジンジオン、ベンジルアルコール、オクトピロックス、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、2,2'-メチレン-ビス(6-ブロモ-4-クロロ-フェノール)、ブロモ-クロロフェン、5-クロロ-2-メチル-3(2H)-イソチアゾリノンおよび2-メチル-3(2H)イソチアゾリノンと塩化マグネシウムおよび硝酸マグネシウムとの混合物、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2-クロルアセトアミド、クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、1-フェノキシ-プロパン-2-オール、N-アルキル(C12-C22)トリメチル-アンモニウム・ブロミドおよびクロリド、4,4-ジメチル-1,3-オキサゾリジン、N-ヒドロキシメチル-N-(1,3-ジ(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-yl)-N'-ヒドロキシ-メチル尿素、1,6-ビス(4-アミジノ-フェノキシ)-n-ヘキサンおよびその誘導体、グルタルアルデヒド 5-エチル-1-アザ-3,7-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、3-(4-クロルフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、ハイアミン、アルキル-(C8-C18)-ジメチル-ベンジル-アンモニウムクロリド、アルキル-(C8-C18)-ジメチル-ベンジルアンモニウムブロミド、アルキル-(C8-C18)-ジメチル-ベンジルアンモニウムサッカリナート、ベンジルヘミホルマール、3-ヨード-2-プロピニル-ブチルカルバマート、ヒドロキシメチル-アミノ酢酸ナトリウムまたはヒドロキシメチル-アミノ酢酸ナトリウム。
【0020】
様々なケースにおいて、式1のジフェニルメタン誘導体を、動物生体上もしくは内部の望ましくない微生物の成長を抑制するために主に使用される物質と組み合わせて使用することもまた、有利となり得る。従来の保存料に加えて、これに関して言及に値するさらなる活性化合物は、従来の抗生物質の大きな群に加えて、特に、化粧品に適した生成物質、例えば、トリクロサン、クリンバゾール、オクトキシグリセロール、オクトピロックス(1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)-ピリドン, 2-アミノエタノール)、キトサン、ファルネソール、モノラウリン酸グリセロールまたはこれらの物質の組み合わせであり、これらは、特に、脇の臭い、足の臭いまたはフケに対して使用される。
【0021】
加えて、式1のジフェニルメタン誘導体はまた、体臭を制御するために、発汗抑制活性化合物(発汗抑制剤)と組み合わせて特に有利に使用し得る。発汗抑制活性化合物は、特に、アルミニウム塩(例えば塩化アルミニウム、塩化水酸化ナトリウム(aluminium chlorohydrate)、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム)である。しかしながら、これに加えて、亜鉛、マグネシウムおよびジルコニウム化合物の使用もまた有利であり得る。基本的にアルミニウム塩、そして、幾分か低い程度で、アルミニウム/ジルコニウム塩の組み合わせが、化粧品および皮膚科学的発汗抑制剤に使用するための価値を証明した。より皮膚に受け入れられ易いが、効果が若干劣る部分的中和塩酸アルミニウムもまた言及に値する。アルミニウム塩に加えて、例えば以下のようなさらなる物質もまた使用し得る:a) 汗腺の表面収縮を引き起こすタンパク質-沈殿物質(例えば、特にホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、天然および合成なめし剤、さらにはトリクロロ酢酸)、b) 末梢神経経路の阻害によって汗腺の交感神経供給を遮断する局所麻酔薬(特に、例えばリドカイン、プリロカインまたはそのような物質の混合物の希釈溶液)、c) 発汗の抑制に加えて、悪臭吸収剤としても機能するX、AまたはY型のゼオライト、および、d) 多汗症(病理学的に増えた発汗)の場合にも使用されるボツリヌス毒素(細菌クロストリジウム・ボツリナムの毒素)、その作用は発汗に関係する伝達物質アセチルコリンの放出の不可逆的阻害に基づく。
【0022】
いくつかのケースでは、(金属)キレート剤との組み合わせもまた有利であり得る。この関係において、好ましく使用される(金属)キレート剤は、特に、α-ヒドロキシ脂肪酸、フィチン酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸(例えば、特に、クエン酸、乳酸およびリンゴ酸)、さらにはフミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジンまたはEDTA、EGTAおよびその誘導体である。
【0023】
使用に関して、化粧品および/または皮膚科学的に活性な式1のジフェニルメタン誘導体は、適切な量で、そして化粧品および皮膚科学的製品について慣習的な方法で、皮膚および/または髪に外用される。この関係において、本発明の混合物を含んで日焼け止め剤として作用する化粧品および皮膚科学的調合物は、特定の利点をもたらす。有利には、これらの調合物は少なくとも1つのUVAフィルタおよび/または少なくとも1つのUVBフィルタおよび/または少なくとも1つの無機顔料を含む。この関係において、前記調合物は、例えば日焼け止め調合物に慣習的に使用されるような様々な形態であり得る。従って、それらは、例えば、溶液、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型のエマルジョンまたは複合エマルジョン(例えば水中油中水(W/O/W)型のもの)、ゲル、水分散体(hydrodispersion)、固形棒、あるいはさらにはエアロゾルであり得る。
【0024】
前述のように、式1のジフェニルメタン誘導体を含む調合物は紫外線を吸収する物質と組み合わせて特に有利に使用し得、そのフィルター物質の合計量は、調合物の全重量を基準として例えば0.01%(m/m)から40%(m/m)、好ましくは0.1%から10%(m/m)、特に1.0から5.0%(m/m)であり、これにより髪および/または皮膚を紫外線から保護する化粧品調合物を可能とする。有利には、これらの調合物は少なくとも1つのUVAフィルタおよび/または少なくとも1つのUVBフィルタおよび/または少なくとも1つの無機顔料を含み、これにより少なくとも2より高い(好ましくは5より高い)の防護係数が達成される。この関係において、これらの本発明の調合物は、例えば日焼け止め調合物に慣習的に使用されるような様々な形態にあり得る。したがって、これらは、例えば、溶液、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型のエマルジョンまたは複合エマルジョン(例えば水中油中水(W/O/W)型のもの)、ゲル、水分散体、固形棒、あるいはさらにはエアロゾルであり得る。
【0025】
本発明の調合物がUVBフィルタ物質を含む場合、それらは油溶性または水溶性であり得る。有利な油溶性UVBフィルタは、例えば:3-ベンジリデンカンファー誘導体、好ましくは3-(4-メチルベンジリデン)カンファー、3-ベンジリデンカンファー;4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2-エチルヘキシル 4-(ジメチルアミノ)-ベンゾアート、アミル 4-(ジメチルアミノ)ベンゾアート、経皮酸のエステル、好ましくは2-エチルヘキシル 4-メトキシシンナマート、イソペンチル 4-メトキシシンナマート;サリチル酸のエステル、好ましくは 2-エチルヘキシルサリチラート、4-イソプロピルベンジルサリチラート、サリチル酸ホモメンチル、ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2, 2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ(2-エチルヘキシル) 4-メトキシベンザルマロナート、2,4,6-トリアニリロ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンである。有利な水溶性UVBフィルタは、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸の塩、例えばそのナトリウム、カリウムまたはトリエタノールアンモニウム塩、およびスルホン酸そのもの;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン-メチル)スルホン酸およびその塩、さらには1,4-ジ(2-オキソ-10-スルホ-3-ボルニリデンメチル)-ベンゼンおよびその塩(対応する10-スルファト化合物、例えば対応するナトリウム、カリウムまたはトリエタノールアンモニウム塩)そしてさらにベンゼン-1,4-ジ(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル-10-スルホン酸である。
【0026】
式1のジフェニルメタン誘導体と組み合わせて使用し得る前記UVBフィルタの上記リストは、当然のことながら、限定的であると解釈すべきではない。化粧品調合物に慣習的に含まれるようなUVAフィルタを採用することもまた有利であり得る。これらの物質は、好ましくはジベンゾイルメタンの誘導体、特に 1-(4'-tert.-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオンおよび1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオンである。
【0027】
化粧品調合物においては、式1のジフェニルメタン誘導体は、そのような調合物に慣習的に使用されるような化粧品補助剤と有利に組み合わせてもよく、即ち、例えば:抗酸化剤;香油;消泡剤;着色料;着色効果を有する顔料;増粘剤;界面活性剤;乳化剤;可塑化物質;湿潤剤および/または保湿物質;脂、油、ワックス;化粧品調合物の他の従来からの構成成分(例えばアルコール、ポリオール、ポリマー、気泡安定剤);電解質、有機溶剤またはシリコーン誘導体と組み合わせてもよい。
【0028】
皮膚の外用予防的または化粧処理のための式1のジフェニルメタン誘導体を含む調合物においては、処理物質の濃度が高いことが通常有利である。好ましい実施態様によれば、この組成物は1以上の動物および/または植物性の処理油(例えばオリーブ油、ヒマワリ油、精製ダイズ油、ヤシ油、ゴマ油、ナタネ油、アーモンド油、ルリヂサ油、月見草油、ココナッツ油、シアバター、ホホバ油、マッコウ鯨油、牛脂、牛脚油およびラード)を含み、そしてまた必要によりさらなる処理構成成分(例えば8-30個の炭素原子を有する脂肪アルコール)を含んでもよい。ここで、脂肪アルコールは、飽和もしくは不飽和、そして直鎖もしくは分岐鎖であり得る。例えば、デカノール、デセノール、オクタノール、オクテノール、ドデカノール、ドデセノール、オクタジエノール、デカジエノール、ドデカジエノール、オレイルアルコール、リシノールアルコール、エルカアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキジルアルコール、カプリルアルコール、カプリン(capric)アルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコールおよびベヘニルアルコール、さらにはそのゲルベアルコールを使用し得、この関係において、さらなる構造的化学的に関連したアルコールによってこのリストを実質的に任意に拡張することが可能である。脂肪アルコールは好ましくは天然脂肪酸由来であり、通常、対応する脂肪酸のエステルから還元によって調製される。さらには、天然に存在する脂および油脂から還元によって形成される脂肪アルコール画分、例えば牛脂、ピーナッツ油、コルザ油、綿実油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヤシ核油、アマニ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ナタネ油、ゴマ油、ココアバターおよびココア脂などを使用し得る。
【0029】
加えて、式1のジフェニルメタン誘導体と好ましく組み合わせ得る処理用物質はまた、以下を含み得る:
- セラミド、ここでセラミドはN-アシルスフィンゴシン(スフィンゴシンの脂肪酸アミド)またはそのような脂質の合成類縁体(いわゆる擬似セラミド)であると理解され、角質層の水分保持能力を明らかに向上させる、
- リン脂質、例えばダイズレシチン、卵レシチンおよびケファリン、
- ワセリン、パラフィンおよびシリコーン油;後者は、特に、ジアルキル- および アルキルアリール-シロキサン(ジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン)、さらにはそのアルコキシル化および四級化誘導体を含む。
【0030】
動物および/または植物性の加水分解化タンパク質もまた、式1のジフェニルメタン誘導体に有利に加え得る。この点に関しては、特にエラスチン、コラーゲン、ケラチン、乳タンパク質、ダイズタンパク質、オオムギタンパク質、エンドウタンパク質、アーモンドタンパク質およびコムギタンパク質画分または対応する加水分解化タンパク質であるが、その脂肪酸との縮合生成物、そしてまた四級化加水分解化タンパク質が有利であり、植物性加水分解化タンパク質が好ましい。
【0031】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品または皮膚科学的調合物が溶液またはローションである範囲では、使用される溶媒は、有利には以下であり得る:
- 水または水性溶液;
- 脂肪油、油脂、ワックスおよび他の天然および合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と炭素数の少ないアルコール(例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのエステル、または、脂肪アルコールと、炭素数の少ない非環式カルボン酸(alkanoic acid)もしくは脂肪酸とのエステル;
- 炭素数の少ないアルコール、ジオールまたはポリオール、さらにはそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類縁生成物。特に、上記溶媒の混合物が使用される。
アルコール性溶媒の場合には、水がさらなる構成成分であり得る。
【0032】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はさらに酸化防止剤を含み得、化粧品および/もしくは皮膚科学的用途に適したもしくは慣習的なすべての酸化防止剤を使用することが可能である。有利には、前記抗酸化剤は、以下からなる群より選択される:アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド(例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン)およびその誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコピン)およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びにそのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル およびグリセリル・エステル)そしてさらにはその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、そしてさらに極めて少ない耐量のスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-チオニンスルホキシミン)、そしてさらに(金属)キレート剤、例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えばγ-リノレイン酸、リノレイン酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよびその誘導体(例えばビタミン酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよびその誘導体(パルミチン酸ビタミンA))、そしてさらにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアシン酸(nordihydroguaiacic acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)、そしてさらに前記活性化合物の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)。
【0033】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物は、有利にはビタミンおよびビタミン前駆体もまた含んでもよく、化粧品および/もしくは皮膚科学的用途に適したもしくは慣習的なすべてのビタミンおよびビタミン前駆体を使用するとが可能である。ここでは、特に、ビタミンおよびビタミン前駆体、例えばトコフェロール、ビタミンA、ニコチン酸およびニコチンアミド、B 複合体のさらなるビタミン、特にビオチン、および、ビタミンC、パントテニルアルコールおよびその誘導体、特にパントテニルアルコールのエステルおよびエーテル、そしてさらに陽イオン的に(cationically)得られたパントテニルアルコールの誘導体、例えば、トリ酢酸パントテニルアルコール、パントテニルアルコール、モノエチルエーテルおよびそのモノ酢酸、そしてさらに陽イオンパントテニルアルコール誘導体について言及し得る。
【0034】
有利なことに式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はまた、抗炎症活性化合物、および/または、発赤および/もしくは痒みを緩和する活性化合物を含み得る。この関係において、化粧品および/もしくは皮膚科学的用途に適したもしくは慣習的な、すべての抗炎症活性化合物および発赤および/もしくは痒みを緩和する活性化合物を使用し得る。有利なことには、使用される抗炎症活性化合物および発赤および/もしくは痒みを緩和する活性化合物は、コルチコステロイド型のステロイド性抗炎症物質、例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、メチルプレドニゾロンまたはコルチゾンであり、さらなるステロイド性抗炎症剤を追加することによってこのリストを拡張することが可能である。非ステロイド性抗炎症剤もまた使用し得る。例として、オキシカム系、例えばピロキシカムまたはテノキシカム;サリチラート、例えばアスピリン、ジサルシド(Disalcid)、ソルプリン(Solprin)またはフェンドサール;酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スンリンダク、トルメチン、またはクリンダナク(clindanac);フェナマート、例えばメフェナミック、メクロフェナミック(meclofenamic)、フルフェナミック(flufenamic)またはニフルミック(niflumic);プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、または、ピラゾール、例えばフェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾンまたはアザプロパゾンをここで言及し得る。また別には、天然の、抗炎症活性化合物および発赤および/もしくは痒みを緩和する活性化合物を使用し得る。植物抽出物、特別な高度に活性な植物抽出画分、そしてさらには植物抽出物から単離された高度に純粋な活性物質を使用し得る。カモミール、アロエベラ、コンミフォラ種、アカネ種、ヤナギ、ヤナギラン、オオムギからの抽出物、画分および活性物質、並びに、例えば、特に、ビサボロール、アピゲニン-7-グルコシド、ボスウェリア酸、フィトステロール、グリシルリジン、グラブリジンまたはリコチャルコン(licochalkon)Aなどの純物質が特に好ましい。式1のジフェニルメタン誘導体を含む調合物はまた、2以上の抗炎症活性化合物の混合物を含み得る。
【0035】
ビサボロール、ボスウェリア酸、並びに、オオムギおよびエキナセアからの抽出物および単離高純度活性化合物が本発明における使用に特に好ましく、α-ビサボロール、およびオオムギからの抽出物および単離高純度活性化合物が特に好ましい。
調合物における抗炎症物質(1以上の化合物)の量は、調合物の全重量を基準として、好ましくは0.0001から20%(m/m)、特に選択的には0.0001-10%(m/m)、特に0.001-5%(m/m)である。
【0036】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はまた、有利には湿潤剤を含み得る。使用される湿潤剤は、例えば以下の物質である:乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチンまたはヒアルロン酸、アジピン酸ジアシル、石油ゼリー、エクトイン、ウロカニン酸、レシチン、パンテオール(pantheol)、フィタントリオール、リコピン、藻類抽出物、セラミド、コレステロール、糖脂質、キトサン、硫酸コンドロイチン、ポリアミノ酸および糖、ラノリン、ラノリンエステル、アミノ酸、アルファ-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)およびその誘導体、糖(例えばイノシトール)、アルファ-ヒドロキシ脂肪酸、フィトステロール、トリテルペン酸(例えばベツリン酸またはウルソール酸)、藻類抽出物。
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はまた、有利にはモノ-、ジ- およびオリゴ-サッカライド、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、フルクトースおよびラクトースを含み得る。
【0037】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はまた、有利なことには植物抽出物を含み得、それは通常植物体全体の抽出によって調製されるが、個別のケースでは植物の花および/または葉、木部または根単独からも調製される。使用し得る植物抽出物に関して、Industrieverband Korperpflegemittel und Waschmittel e.V. (IKW), Frankfurtによる出版のLeitfaden zur Inhaltsstoffdeklaration kosmetischer Mittel (Guide to the Declaration of Constituents of Cosmetic Agents)第3版の第44頁から始まる表に列挙される抽出物について、特にここで引用する。アロエ、マンサク、藻類、オークバーク、ウィローハーブ、イラクサ、オドリコソウ、ホップ、カモミール、ノコギリソウ、アルニカ、キンセンカ、ゴボウ、スギナ、サンザシ、シナノキの花、アーモンド、松葉、セイヨウトチノキ、ヒャクダン、ネズノキ、ココナッツ、マンゴー、アプリコット、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、リンゴ、緑茶、グレープフルーツ種子、コムギ、オートムギ、オオムギ、セージ、タイム、バジル、ローズマリー、カバノキ、アオイ、タネツケバナ、ウィローバーク、レストハロー、フキタンポポ、アルテア、ジンセンおよびジンジャールートからの抽出物が特に有利である。これらのうち、アロエベラ、カモミール、藻類、ローズマリー、キンセンカ、ジンセン、キュウリ、セージ、イラクサ、オドリコソウ、シナノキの花、アルニカおよびマンサクからの抽出物が特に好ましい。2以上の植物抽出物の混合物を使用してもよい。前記植物抽出物の調製に使用し得る抽出剤は、特に、水、アルコールおよびその混合物であり得る。アルコールのうち、低級アルコール(例えばエタノールおよびイソプロパノール)、さらには多価アルコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール)がこの関係において好ましく、そして具体的には、単独抽出剤として、そして水との混合物での両方である。植物抽出物は、純粋な形態で、または希釈した形態で使用し得る。
【0038】
式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品調合物はまた、特に結晶または微結晶の固体(例えば無機微顔料)を調合物に組み込む場合には、陰イオン、陽イオン、非イオンおよび/または両性界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、有機、非極性物質を水に溶解させることができる両親媒性物質である。この関係において、界面活性剤分子の親水性部分は通常、極性官能基(例えば-COO-、-OSO32-、SO3-)であり、一方で疎水性部分は基本的に非極性の炭化水素基である。界面活性剤は一般に、その分子の親水性部分の性質および電荷に従って分類される。ここでは以下の4つのグループに分類し得る:
陰イオン界面活性剤、
陽イオン界面活性剤、
両性界面活性剤、および
非イオン界面活性剤。
【0039】
陰イオン界面活性剤は通常、官能基として、カルボキシル基、硫酸基またはスルホン基を含む。水性溶液内では、それらは酸性または中性メディウム内で負電荷の有機イオンを形成する。陽イオン界面活性剤は、実質的に専ら第四級アンモニウム基の存在によって特徴付けられる。水性溶液内では、それらは酸性または中性メディウム内で正電荷の有機イオンを形成する。両性界面活性剤は陰イオン基および陽イオン基の両方を含み、従って、pH値によって水性溶液内で陰イオンまたは陽イオン界面活性剤のように振舞う。それらは強酸性メディウム内では正電荷を持ち、そしてアルカリ性メディウム内では負電荷を持つ。一方で、中性pHの領域では、それらは両性イオン性である。ポリエーテル鎖は非イオン界面活性剤の典型である。非イオン界面活性剤は水性メディウム内でイオンを形成しない。
【0040】
A. 陰イオン界面活性剤
有利に使用し得る陰イオン界面活性剤は、
- アシルグルタミン酸塩、例えばアシルグルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ジ-TEA-パルミトイルおよびカプリル/カプリングルタミン酸ナトリウム、
- アシルペプチド、例えばパルミトイル-加水分解乳タンパク質、ココイル-加水分解ダイズタンパク質ナトリウムおよびココイル-加水分解コラーゲンナトリウム/カリウム、
- サルコシン酸塩、例えばミリストイルサルコシン、ラウロイルサルコシンTEA、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムおよびココイルサルコシン酸ナトリウム、
- タウリン酸塩、例えばラウロイルタウリン酸ナトリウムおよびメチルココイルタウリン酸ナトリウム、
- アシル乳酸塩、ラウロイル乳酸塩、カプロイル乳酸塩、
- アラニン酸塩、
などのアシルアミノ酸(およびその塩)、
- 例えば、ラウリン酸、ステアリン酸アルミニウム、アルカノール酸(alkanolate)マグネシウムおよびウンデシレン酸亜鉛、
- エステル-カルボン酸、例えばステアロイル乳酸カルシウム、ラウレス-6 クエン酸塩およびPEG-4 ラウラミドカルボン酸ナトリウム、
- エーテル-カルボン酸、例えばラウレス-13 カルボン酸ナトリウムおよびPEG-6 コカミドカルボン酸ナトリウム、
などのカルボン酸および誘導体、
【0041】
オレス-10 リン酸DEAおよびジラウレス-4 リン酸塩などのリン酸エステルおよび塩、
- アシルイセチオン酸塩、例えばココイル-イセチオン酸ナトリウム/アンモニウム、
- アルキルアリールスルホン酸塩、
- アルキルスルホン酸塩、例えばココナッツモノグリセリド硫酸ナトリウム、C12-14 オレフィン-スルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムおよびPEG-3コカミド硫酸マグネシウム、
- スルホコハク酸塩、例えばスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウレス-スルホコハク酸ジナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウムおよびスルホコハク酸ウンデシレナミドMEAジナトリウム、
などのスルホン酸および塩、
並びに、
- 硫酸アルキルエーテル、例えばラウレス硫酸ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、MIPA、TIPA、ミレス硫酸ナトリウムおよびC12-13パレス硫酸ナトリウム、
- アルキル硫酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アンモニウムおよびTEA、
などの硫酸エステルである。
【0042】
B. 陽イオン界面活性剤
有利に使用し得る陽イオン界面活性剤は、
- アルキルアミン、
- アルキルイミダゾール、
- エトキシル化アミンおよび
- 第四級界面活性剤
RNH2CH2CH2COO- (pH=7)
RNHCH2CH2COO- B+ (pH=12) B+ = 任意の陽イオン(例えばNa+)、
- エステルクアット(esterquat)、である。
【0043】
第四級界面活性剤は、4つのアルキルまたはアリール基に共有結合しているN原子を少なくとも1つ含む。これによって、pH値に関係無く正電荷につながる。アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタインおよびアルキルアミドプロピル-ヒドロキシサルファイン(hydroxysulfaine)が有利である。使用される陽イオン界面活性剤はさらに、第四級アンモニウム化合物を含む群、特に、ベンジルトリアルキル-アンモニウムクロリドもしくはブロミド(例えばベンジルジメチルステアリル-アンモニウムクロリドなど)、さらにはアルキルトリアルキルアンモニウム塩(例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリドもしくはブロミド、アルキルジメチルヒドロキシ-エチルアンモニウムクロリドもしくはブロミド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドもしくはブロミド、アルキルアミドエチル-トリメチル-アンモニウムエーテルスルファート)、アルキルピリジニウム塩(例えばラウリル-もしくはセチル-ピリミジニウムクロリド)、イミダゾリン誘導体および陽イオン性化合物(例えばアミンオキシド(例えばアルキルジメチルアミンオキシドまたはアルキルアミノエチルジメチルアミンオキシド))から好ましくは選択し得る。セチルトリメチル-アンモニウム塩を特に有利に使用し得る。
【0044】
C. 両性界面活性剤
有利に使用し得る両性界面活性剤は、
- アシル-/ジアルキルエチレンジアミン、例えばアシルアンホ酢酸ナトリウム、アシルアンホジプロピオン酸ジナトリウム、アリキルアンホジ酢酸ジナトリウム、アシルアンホヒドロキシ-プロピルスルホン酸ナトリウム、アシルアンホ-ジ酢酸ジナトリウムおよびアシルアンホプロピオン酸ナトリウム、
- N-アルキルアミノ酸、例えばアミノプロピルアルキルグルタミド、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミドジプロピオン酸ナトリウムおよびラウロアンホカルボキシグリシン酸ナトリウム、
である。
【0045】
D. 非イオン界面活性剤
有利に使用し得る非イオン界面活性剤は、
- アルコール、
- コカミド MEA/ DEA/ MIPAなどのアルカノールアミド、
- ココアミドプロピルアミンオキシドなどのアミンオキシド、
- カルボン酸と、エチレンオキシド、グリセロール、ソルビタンまたは他のアルコールとのエステル化によって形成されたエステル、
- エーテル、例えばエトキシル化/プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化エステル、エトキシル化/プロポキシル化グリセロールエステル、エトキシル化/プロポキシル化コレステロール、エトキシル化/プロポキシル化トリグリセリドエステル、エトキシル化/プロポキシル化ラノリン、エトキシル化/プロポキシル化ポリシロキサン、プロポキシル化POEエーテルおよびアルキルポリグリコシド、例えばラウリルグリコシド、デシルグリコシドおよびココグリコシド、
- スクロースエステルおよびエーテル、
- ポリグリセロールエステル、ジグリセロールエステル、モノグリセロールエステル、
- メチルグルコースエステル、ヒドロキシ酸のエステル、
である。
【0046】
陰イオンおよび/または両性界面活性剤と、1以上の非イオン界面活性剤との組み合わせの使用もまた有利である。界面活性物質は、式1のジフェニルメタン誘導体を含む本発明の調合物の中に、調合物の全重量を基準として1〜98%(m/m)の濃度で存在し得る。
【0047】
本発明の式1のジフェニルメタン誘導体を含む化粧品または皮膚科学的調合物はまた、エマルジョンの形態にあってもよい。
油相は、有利には以下の物質の群から選択し得る:
- ミネラルオイル、ミネラルワックス、
- 脂肪油、油脂、ワックスおよび他の天然および合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と、炭素数の少ないアルコール(例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのエステル、または、脂肪アルコールと、炭素数の少ない非環式カルボン酸(alkanoic acid)もしくは脂肪酸とのエステル;
- 安息香酸アルキル;
- ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油およびそれらの混合形態。
【0048】
有利には、(a) 炭素原子3〜30個の鎖長の、飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸と、炭素原子3〜30個の鎖長の、飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールとのエステル、(b) 芳香族カルボン酸と、炭素原子3〜30個の鎖長の、飽和および/または不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールとのエステル、を使用し得る。好ましいエステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、並びにそのようなエステルの合成、半合成および天然混合物(例えばホホバ油)である。
【0049】
さらには、油相は、分岐鎖および/または直鎖の炭化水素およびワックスを含む群、シリコーン油、ジアルキルエーテル、飽和もしくは不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルコールを含む群、さらには、脂肪酸トリグリセリド、特に、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和もしくは不飽和、分岐鎖および/または直鎖のアルカンカルボン酸のトリグリセリドエステル、から有利に選択し得る。脂肪酸トリグリセリドは、合成、半合成および天然油(例えばオリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、ナタネ油、アーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、ヤシ核油および同類の他のもの)からなる群より有利に選択し得る。このような油およびワックス成分の任意の混合物もまた有利に使用し得る。いくつかのケースでは、ワックス(例えばパルミチン酸セチル)を、油相の唯一の脂質成分として使用することも有利である;有利には、油相は、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ヤシ脂肪酸2-エチルヘキシル、安息香酸C12-15-アルキル、カプリル-カプリン酸トリグリセリドおよびジカプリリルエーテルからなる群より選択される。安息香酸C12-15-アルキルとイソステアリン酸2-エチルヘキシルとの混合物、安息香酸C12-15-アルキルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物、並びに、安息香酸C12-15-アルキル、イソステアリン酸2-エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物が特に有利である。炭化水素のパラフィン油、スクアランおよびスクアレンもまた有利に使用し得る。有利には、油相は、環状もしくは線形のシリコーン油をさらに含んでもよいし、または全体がそのような油で構成されていてもよいが、しかしながら、シリコーン油に加えて他の油相成分の付加的な含有物を使用することが好ましい。シクロメチコン(例えばデカメチルシクロペンタシロキサン)をシリコーン油として有利に使用し得る。しかしながら、他のシリコーン油(例えばウンデカメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチル-フェニルシロキサン))もまた有利に使用し得る。さらには、シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物およびシクロメチコンとイソステアリン酸2-エチルヘキシルとの混合物が特に有利である。
【0050】
式1のジフェニルメタン誘導体を含み、かつエマルジョンの形態にある調合物の水相は、有利には以下を含み得る:炭素数の少ないアルコール、ジオールまたはポリオールさらにはそのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類縁生成物、さらには、炭素数の少ないアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2-プロパンジオール、グリセロール)、さらには、特に、1以上の増粘剤(この増粘剤は有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ポリサッカライドおよびその誘導体(例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース)を含む群より、そして特に有利にはポリアクリラート(好ましくはいわゆるカルボポール(例えばタイプ980、981、1382、2984、5984のカルボポール、各ケースで単独でまたは組み合わせて)を含む群から選択されるポリアクリラート)を含む群より選択される)。
【0051】
本発明の、式1のジフェニルメタン誘導体を含み、かつエマルジョンの形態にある調合物は、有利には1以上の乳化剤を含む。有利には、O/W 乳化剤は、ポリエトキシル化もしくはポリプロポキシル化された、または、ポリエトキシル化およびポリプロポキシル化された生成物を含む群、例えば以下から選択し得る:
- 脂肪アルコールエトキシラート、
- エトキシル化ウールワックスアルコール、
- 一般式 R-O-(-CH2-CH2-O-)n-R'のポリエチレングリコールエーテル、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-Hの脂肪酸エトキシラート、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-R'のエーテル化脂肪酸エトキシラート、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-C(O)-R'のエステル化脂肪酸エトキシラート、
- ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、
- エトキシル化ソルビタンエステル、
- コレステロールエトキシラート、
- エトキシル化トリグリセリド、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-OOHのアルキルエーテルカルボン酸(nは5から30の数字を表す)、
- ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
- 一般式 R-O-(-CH2-CH2-O-)n-SO3-Hのアルキルエーテルスルファート、
【0052】
- 一般式 R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-Hの脂肪アルコールプロポキシラート、
- 一般式 R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-R'のポリプロピレングリコールエステル、
- プロポキシル化ウールワックスアルコール、
- R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-R'のエステル化脂肪酸プロポキシラート、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-C(O)-R'のエステル化脂肪酸プロポキシラート、
- 一般式 R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-Hの脂肪酸プロポキシラート、
- ポリプロピレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、
- プロポキシル化ソルビタンエステル、
- コレステロールプロポキシラート、
- プロポキシル化トリグリセリド、
- 一般式 R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-CH2-COOHのアルキルエーテルカルボン酸、
- アルキルエーテルスルファートおよび酸(これらの硫酸塩は一般式 R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-SO3-Hに基づく)、
- 一般式 R-O-Xn-Ym-Hの脂肪アルコールエトキシラート/プロポキシラート、
- 一般式 R-O-Xn-Ym-R'のポリプロピレングリコールエーテル、
- 一般式 R-COO-Xn-Ym-R'のエステル化脂肪酸プロポキシラート、
- 一般式 R-COO-Xn-Ym-Hの脂肪酸エトキシラート/プロポキシラート。
【0053】
本発明によれば、使用されるポリエトキシル化もしくはポリプロポキシル化された、または、ポリエトキシル化およびポリプロポキシル化されたO/W 乳化剤は、該O/W 乳化剤が飽和基 R を R'を含む範囲では、HLB値が11-18である、非常に特別に有利にはHLB値が14.5-15.5である物質を含む群より、特に有利には選択される。前記O/W 乳化剤が不飽和基 R および/または R'を含む場合、あるいはイソアルキル誘導体がある場合には、そのような乳化剤の好ましいHLB値はより低いまたはより高い値も取り得る。
【0054】
脂肪アルコールエトキシラートは、エトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)を含む群より選択することが有利である。以下が特に好ましい:
ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス-20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス-12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス-20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス-13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス-14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス-15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス-16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス-17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス-18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス-19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス-20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス-13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス-14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス-15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス-16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス-17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス-18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス-19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス-20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス-12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス-13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス-14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス-15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス-12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス-13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス-14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス-15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス-16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス-17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス-18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス-19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス-20)。
【0055】
脂肪酸エトキシラートは以下の群より選択することがさらに有利である:
ステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(12)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(13)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(15)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(16)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(17)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(18)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(19)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、オレイン酸ポリエチレングリコール(12)、オレイン酸ポリエチレングリコール(13)、オレイン酸ポリエチレングリコール(14)、オレイン酸ポリエチレングリコール(15)、オレイン酸ポリエチレングリコール(16)、オレイン酸ポリエチレングリコール(17)、オレイン酸ポリエチレングリコール(18)、オレイン酸ポリエチレングリコール(19)、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)。
【0056】
有利には、ラウレス-11-カルボン酸ナトリウムを、エトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩として使用し得る。ラウレス1-4硫酸ナトリウムを、硫酸アルキルエーテルとして有利に使用し得る。ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルを、エトキシル化コレステロール誘導体として有利に使用し得る。ポリエチレングリコール(25)ダイズステロールもまた有用であると証明された。
ポリエチレングリコール(60)月見草グリセリドを、エトキシル化トリグリセリドとして有利に使用し得る。
【0057】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルは、ラウリン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(21)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(22)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(23)グリセリル、カプリン酸/カプリル酸ポリエチレングリコール(6)グリセリル、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、オレイン酸/ヤシ脂肪酸ポリエチレングリコール(18)グリセリルを含む群から選択することがさらに有利である。
ソルビタンエステルを、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタンを含む群から選択することもまた有利である。
【0058】
有利なW/O 乳化剤として以下を使用し得る:8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルコールのモノグリセロールエーテル、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルコールのジグリセロールエーテル、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、並びに、炭素原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長の、飽和および/もしくは不飽和、分岐鎖および/もしくは直鎖のアルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0059】
特に有利なW/O 乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス-2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルである。
本発明の好ましい実施態様およびさらなる態様は、特許請求の範囲および以下の実施例に見られる。
【0060】
実施例1:
スチリルレゾルシノール(4)のチロシナーゼ阻害作用を調べるための実験
式1のジフェニルメタン誘導体(R1-5はそれぞれ前述した意味を持ち得る)が、スキンライトニングのため、および老人性しみの対処のための物質としての使用に非常に優れているという発見は、以下の実験の結果であり、前記実験は3T3繊維肉腫細胞またはB16Vマウス黒色腫細胞上で実施された。
【0061】
A.(細胞毒性測定)
3T3繊維肉腫細胞またはB16Vマウス黒色腫細胞を、1x104個/ウェル(3T3)または2x104個/ウェル(B16V)の濃度で、96-ウェルマイクロタイタープレートに分注した。10%ウシ胎仔血清でエンリッチしたDMEM培地(3T3細胞)またはRPMI培地(B16V細胞)の中で、37℃、5%CO2で24時間培養した後、吸引により培地を除去した。5%ウシ胎仔血清でエンリッチした新鮮な培地に溶解した様々な濃度のテスト物質を加え、プレートをさらに48時間培養した。0.01mM、0.1mM、1mMおよび10mMの濃度でSDSを標準として使用して、並行インキュベーションを行った。インキュベーションの後、吸引により培地を除去し、細胞をMTT(臭化3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]2,5-ジフェニルテトラゾリウム)と共に2時間インキュベートした。酢酸で酸性化したDMSO中のSDSで色素を抽出(10分)した後、570nmにおける吸収(A)を測定した。
対照、ブランクおよびサンプルの平均値および標準偏差を計算した。対照およびサンプルの平均値から、ブランクの平均値を引いた。細胞の生存率を、対照(100%)に対するパーセンテージで示した:
生存率(%)=(試験化合物の吸収/対照の吸収)x 100
【0062】
表1:細胞毒性(MTT/LDHアッセイ, 3T3繊維芽細胞およびB16V マウス黒色腫細胞) - スチリルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノールおよびコウジ酸のIC50値およびIC20

【0063】
細胞毒物学的実験は、スチリルレゾルシノールの毒性は比較的低く、特に同じく食品化学で使用される4-ヘキシルレゾルシノールの細胞毒性とほぼ同じくらいであることを示す。
【0064】
B: コウジ酸および4-ヘキシルレゾルシノールと比較したスチリルレゾルシノール(4)のIC50
スチリルレゾルシノール(4)、コウジ酸および4-ヘキシルレゾルシノールのIC50値を、以下に説明し、かつ表2に要約した一般的な試験条件に従って測定した。
試験方法:B16Vマウス黒色腫細胞を、5x103個/ウェルの濃度で、96-ウェルマイクロタイタープレートに分注した。10%ウシ胎仔血清でエンリッチしたRPMI培地の中で、37℃、5%CO2で24時間培養した後、様々な濃度の試験物質および10nMのα-MSH(α-メラニン細胞刺激ホルモン)を加えて、さらに96時間インキュベートした。使用した試験物質の最高濃度は、細胞毒物学的アッセイからの特定のIC20値の値の0.1倍に相当する。0.01mM、0.1mMおよび1mMの濃度でコウジ酸を標準として使用して並行インキュベーションを行った。インキュベーションの後、SDSおよびNaOH(最終濃度:それぞれ1mMおよび1M)を培養培地に加え、3時間後に400nmにおける吸収(A)を測定した。
試験物質およびコウジ酸の存在下における色素沈着の抑制を、以下の式に従って計算した:
色素沈着の抑制(%)= 100- [(試験化合物の吸収/対照の吸収)x 100]
IC50は試験化合物の希釈系列における色素沈着の抑制(%)から計算される。IC50は、色素沈着が50%抑制されたときの試験物質の濃度である。
【0065】
表2:ライトニング効果(B16Vマウス黒色腫細胞)- スチリルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノールおよびコウジ酸のIC50

【0066】
表2に示に示されるように、スチリルレゾルシノールは、低濃度でチロシナーゼ活性を著しく阻害し、従って皮膚および髪のライトニングのため、および老人性しみへの対処のため物質としての使用に非常に適している。皮膚および髪のライトニングのため、および老人性しみの制御のための化粧品製品にすでに頻繁に使用されていながら毒物学的に完全には許容されない活性物質であるコウジ酸と比較して、本発明のスチリルレゾルシノール(式4)は約215倍を超える活性を有する。4-ヘキシルレゾルシノールと比較しても、スチリルレゾルシノール(式4)はなお2倍以上の効果を示す。従って、4-ヘキシルレゾルシノールの効果もまた、コウジ酸と比較して約87倍大きい。
【0067】
上述した実験は、式1のジフェニルメタン誘導体(R1からR5は上に示した意味を有し、かつ、上述した内容はR1からR5の好ましい意味に関しても適用される)は、チロシナーゼを大幅に阻害することを明確に示し、従ってこれらは、皮膚および髪のライトニング剤としての、老人性しみへの対処のための、および/または、食品化学における褐変防止剤としての使用に非常に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚および/もしくは髪のライトニングのためおよび/または老人性しみの対処のためのチロシナーゼ阻害剤として、並びに/あるいは食品産業における褐変防止剤としての、式1の化合物、または式1の化合物を1以上含む物質の混合物の使用。


(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。)
【請求項2】
皮膚および/もしくは髪のライトニングのためおよび/または老人性しみの対処のためのチロシナーゼ阻害剤として、並びに/あるいは食品産業における褐変防止剤としての、スチリルレゾルシノールの使用。
【請求項3】
以下を含む芳香組成物:
(a) 知覚的効果を有する量の芳香物質、
(b) チロシナーゼ阻害作用を有する量の、1以上の式1の化合物。


(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。)
【請求項4】
以下を含む化粧品組成物:
- (a)皮膚および/もしくは(b)髪の、ケアおよび/もしくは洗浄のための、1以上の化合物、および、
- チロシナーゼ阻害作用を有する量の、1以上の式1の化合物。



(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。)
【請求項5】
以下を含む日焼け止め調合物:
- 日焼け止め調合物の防護係数が2より高くなるような、効果的な量のUVフィルタ、および、
- チロシナーゼ阻害作用を有する量の、1以上の式1の化合物。


(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。)
【請求項6】
(a)皮膚および髪の褐色化を予防する、(b)老人性しみへの対処のための、および/または(c)食物の所望しない褐変の防止のための、薬剤を調製するための、式1の化合物、または式1の化合物を1以上含む物質の混合物の使用。


(式中、
R1 は、
- 水素、
- メチル、
- 2-4個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンであり、
R2 は、
- 水素、
- メチルまたは
- 2-5個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
R3 は、
-メチルまたは
-2-5 個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキルであり、
そして
R4 と R5 は、互いに独立に、
- 水素、
- メチル、
- 2-5 個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和のアルキル、
- OH または
- ハロゲンである。)

【公表番号】特表2006−526005(P2006−526005A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508305(P2006−508305)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050896
【国際公開番号】WO2004/105736
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591278585)ジムリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディットゲゼルシャフト  (14)
【Fターム(参考)】