説明

ツインクラッチ装置

【課題】第1クラッチアウタを有する多板式の第1クラッチと、第1クラッチアウタとともに回転する第2クラッチアウタを有して第1クラッチと同軸に配置される多板式の第2クラッチとを備えるツインクラッチ装置において、部品点数および組付け工数の低減を図るとともに小型化を可能として一対のクラッチアウタを相対回転不能に連結する。
【解決手段】第1クラッチアウタ36は、円筒部36aの一端に環状板部36bが一体に連設されて成り、円筒部36aには、第1クラッチ34が備える複数枚のクラッチディスク44を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチディスク用係合溝61と、第2クラッチアウタ37の外周を相対回転不能に係合せしめるようにして各クラッチディスク用係合溝61間に配置される複数のクラッチアウタ用係合溝62とがそれぞれ設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒部を有するとともに動力源からの動力伝達によって回転する第1クラッチアウタを有する多板式の第1クラッチと、第1クラッチアウタとともに回転する第2クラッチアウタを有して第1クラッチと同軸に配置される多板式の第2クラッチとを備えるツインクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1および第2クラッチのクラッチアウタをボルトで同軸に連結するようにしたツインクラッチ装置が、たとえば特許文献1によって既に知られている。
【特許文献1】特開昭61−153023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1で開示されたツインクラッチ装置のように、ボルトによって両クラッチアウタを締結する構造では、ボルトインジェクタ締結のためにクラッチアウタの外周直径が大きくなってしまい、ツインクラッチ装置の大型化を招くだけでなく、部品点数の増大および組付け工数の増大を招くことになる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数および組付け工数の低減を図るとともに小型化を可能として一対のクラッチアウタを相対回転不能に連結し得るようにしたツインクラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、円筒部を有するとともに動力源からの動力伝達によって回転する第1クラッチアウタを有する多板式の第1クラッチと、第1クラッチアウタとともに回転する第2クラッチアウタを有して第1クラッチと同軸に配置される多板式の第2クラッチとを備えるツインクラッチ装置において、第2クラッチの半径方向外方に配置される第1クラッチアウタは、前記円筒部の一端に環状板部が一体に連設されて成り、前記円筒部には、第1クラッチが備える複数枚のクラッチディスクの外周を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチディスク用係合溝と、第2クラッチアウタの外周を相対回転不能に係合せしめるようにして前記各クラッチディスク用係合溝間に配置される複数のクラッチアウタ用係合溝とがそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、第2クラッチアウタは、第1クラッチが備える第1クラッチインナを前記環状板部との間に挟む位置に配置され、第2クラッチアウタの外周に軸方向外方から当接、係合する止め輪が第1クラッチアウタに装着されることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記クラッチディスク用係合溝および前記ラッチアウタ用係合溝の軸方向長さが相互に異なって設定されることを特徴とする。
【0008】
さらに請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記クラッチディスク用係合溝および前記ラッチアウタ用係合溝が、前記環状板部とは反対側で前記円筒部の他端に開口しつつ周方向に等間隔をあけて前記円筒部に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、第1クラッチアウタの円筒部に、第1クラッチが備える複数のクラッチディスクの外周が相対回転不能に係合されるとともに、第2クラッチアウタの外周が相対回転不能に係合されるので、第1および第2クラッチアウタを相対回転不能に連結するにあたり、第1および第2クラッチアウタの外周直径が大きくなることを回避してツインクラッチ装置の小型化を図ることが可能となり、しかも部品点数を少なくすることができるとともに、組付け工数を低減して組付けを容易とすることができる。
【0010】
また請求項2記載の発明によれば、第1クラッチアウタに対する第2クラッチアウタの軸方向外方側への移動を簡単な構成で阻止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、複数のクラッチディスクおよび第2クラッチアウタの第1クラッチアウタへの誤組付けを容易に防止することができ、これによっても組付けが容易となる。
【0012】
さらに請求項4記載の発明によれば、複数のクラッチディスクおよび第2クラッチアウタの第1クラッチアウタへの組付けをより容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図9は本発明の一実施例を示すものであり、図1はツインクラッチ式歯車変速機の概略構成を示す図、図2はツインクラッチ装置の縦断面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3の4−4線断面図、図5は第1クラッチアウタの切欠き斜視図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7はカムシャフトの回動位置およびリフタの変位量を対比させて示す図、図8はシフトアップ時の変速特性を示す図、図9はシフトダウン時の変速特性を示す図である。
【0015】
先ず図1において、たとえば自動二輪車に搭載される多気筒エンジンが備える複数のピストン11,11…は図示しないクランクケースに回転自在に支承されるクランク軸12に共通に連接されており、このクランク軸12の回転動力は、一次減速装置13およびダンパゴム14を介してツインクラッチ装置15に入力される。一方、前記クランクケース内には、選択的に確立可能な奇数変速段たとえば第1および第3変速段用歯車列G1,G3を有する奇数変速段用歯車変速機構16と、選択的に確立可能な偶数変速段たとえば第2および第4変速段用歯車列G2,G4を有する偶数変速段用歯車変速機構17とが収納されており、前記クランク軸12から一次減速装置13およびダンパゴム14…を介して伝達される動力の前記奇数変速段用歯車変速機構16および偶数変速段用歯車変速機構17への伝達および伝達遮断が前記ツインクラッチ装置15で切換えられる。
【0016】
前記クランクケースには、前記クランク軸12と平行な軸線を有する円筒状の第1メインシャフト18と、軸方向相対位置を一定としつつ相対回転を可能として第1メインシャフト18を同軸に貫通する第2メインシャフト19と、第1および第2メインシャフト18,19と平行な軸線を有するカウンタシャフト30とが回転自在に支承される。而して前記偶数変速段用歯車変速機構17は第1メインシャフト18およびカウンタシャフト30間に設けられ、前記奇数変速段用歯車変速機構16は第2メインシャフト19および前記カウンタシャフト30間に設けられ、前記クランクケースを回転自在に貫通した前記カウンタシャフト30の端部には、図示しない後輪に動力を伝達するためのチェーンが巻き掛けられるようにして駆動スプロケット31が固定される。
【0017】
第2変速段用歯車列G2は、第1メインシャフト18に一体に設けられる第2速用駆動歯車25と、前記カウンタシャフト30に相対回転自在に支承されて第2速用駆動歯車25に噛合する第2速用被動歯車26とから成り、第4変速段用歯車列G4は、第1メインシャフト18に固定される第4速用駆動歯車27と、前記カウンタシャフト30に相対回転自在に支承されて第4速用駆動歯車27に噛合する第4速用被動歯車28とから成る。また第2および第4速用被動歯車26,28間でカウンタシャフト30には、第1シフタ29がスプライン結合されており、第2シフタ29の軸方向移動により、第2および第4速用被動歯車26,28をカウンタシャフト30に対して自由に回転させる状態(ニュートラル状態)と、第2および第4速用被動歯車26,28のいずれかをカウンタシャフト30に相対回転不能に結合して第2変速段用歯車列G2および第4変速段用歯車列G4のいずれかを確立する状態とを切換可能である。
【0018】
第1変速段用歯車列G1は、第2メインシャフト19に一体に設けられる第1速用駆動歯車20と、前記カウンタシャフト30に相対回転自在に支承されて第1速用駆動歯車20に噛合する第1速用被動歯車21とから成り、第3変速段用歯車列G3は、第2メインシャフト19に固定される第3速用駆動歯車22と、前記カウンタシャフト30に相対回転自在に支承されて第3速用駆動歯車22に噛合する第3速用被動歯車23とから成る。また第1および第3速用被動歯車21,23間でカウンタシャフト30には第2シフタ24がスプライン結合されており、第1シフタ24の軸方向移動により、第1および第3速用被動歯車21,23をカウンタシャフト30に対して自由に回転させる状態(ニュートラル状態)と、第1および第3速用被動歯車21,23のいずれかをカウンタシャフト30に相対回転不能に結合して第1変速段用歯車列G1および第3変速段用歯車列G3のいずれかを確立する状態とを切換可能である。
【0019】
図2および図3を併せて参照して、ツインクラッチ装置15は、前記一次減速装置13から伝達される動力で回転する第1クラッチアウタ36を有するとともにクランクシャフト12から偶数変速段用歯車変速機構17への動力伝達および遮断を切換える多板式の第1クラッチ34と、第1クラッチアウタ36とともに回転する第2クラッチアウタ37を有して第1クラッチ34の半径方向内方に同軸に配置されるとともにクランクシャフト12から奇数変速段用歯車変速機構16への動力伝達および遮断を切換える多板式の第2クラッチ35とを備えるものであり、第1クラッチアウタ36は、円筒部36aの一端に環状板部36bが一体に連設されて有底円筒状に形成される。
【0020】
一次減速装置13は、前記クランク軸12に一体に設けられる駆動歯車38と、第2メインシャフト19に相対回転可能に支承されて駆動歯車38に噛合する被動歯車39とから成る。また第1クラッチアウタ36における環状板部36bの周方向複数箇所には連結ボス36c…が一体に突設されており、それらの連結ボス36c…は被動歯車39に設けられた保持孔40…に挿入されたダンパゴム14…を貫通し、環状板部36bとは反対側で被動歯車39に当接する保持板41が、連結ボス39c…を貫通するリベット42…で連結ボス36c…の端面に締結される。すなわちクランク軸12からの動力は一次減速装置13およびダンパゴム14…を介して第1クラッチアウタ36に入力されることになる。
【0021】
第1クラッチ34は、上述の第1クラッチアウタ36と、第1クラッチアウタ36の円筒部36aで同軸に囲繞される円筒部43aを有する第1クラッチインナ43と、第1クラッチアウタ36の円筒部36aに相対回転不能に係合される複数枚の第1クラッチディスク44…と、第1クラッチインナ43の前記円筒部43aに相対回転不能に係合されるとともに第1クラッチディスク44…と交互に重なって配置される複数枚の第1クラッチプレート45…と、交互に重なって配置される第1クラッチディスク44…および第1クラッチプレート45…に前記環状板部36bとは反対側から対向する環状の第1受圧板部43bと、交互に重なって配置される第1クラッチディスク44…および第1クラッチプレート45…に前記環状板部36b側から対向する環状の第1プレッシャプレート46と、第1クラッチディスク44…および第1クラッチプレート45…を第1受圧板部43bとの間に挟圧する側に第1プレッシャプレート46を付勢するばね力を発揮する第1クラッチスプリング47とを備える。
【0022】
第1受圧板部43bは、第1クラッチインナ43における円筒部43aの外端から半径方向外方に一体に張出して環状に形成される。また第1クラッチインナ43は、前記円筒部43aの内端から半径方向内方に一体に張り出す環状の連結板部43cを有しており、この連結板部43cの内周が第2メインシャフト19に軸方向相対移動を不能とするとともに相対回転を不能として連結される。
【0023】
第1プレッシャプレート46は、第1クラッチインナ43における円筒部43aに相対回転を不能としつつ軸方向相対移動を可能として支承されるものであり、複数枚の皿ばねを重合して構成される第1クラッチスプリング47の外周が、環状の第1スプリングシート48を介して第1プレッシャプレート47に当接される。また前記円筒部43aの内端部外周に装着される止め輪49に、第1クラッチスプリング47の内周が環状の第1リテーナ50を介して当接、支持される。
【0024】
図4を併せて参照して、第2クラッチ35は、第1クラッチ34における第1クラッチインナ36の円筒部36aで同軸に囲繞される円筒部37aを有して第1クラッチアウタ36とともに回転する第2クラッチアウタ37と、第2クラッチアウタ37の円筒部37aで同軸に囲繞される円筒部53aを有する第2クラッチインナ53と、第2クラッチアウタ37の円筒部37aに相対回転不能に係合される複数枚の第2クラッチディスク54…と、第2クラッチインナ53の前記円筒部53aに相対回転不能に係合されるとともに第1クラッチディスク54…と交互に重なって配置される複数枚の第2クラッチプレート55…と、交互に重なって配置される第2クラッチディスク54…および第2クラッチプレート55…に第1クラッチアウタ36の前記環状板部36bとは反対側から対向する環状の第2受圧板部53bと、交互に重なって配置される第2クラッチディスク54…および第2クラッチプレート55…に前記環状板部36b側から対向する環状の第2プレッシャプレート56と、第2クラッチディスク54…および第2クラッチプレート55…を第2受圧板部53bとの間に挟圧する側に第2プレッシャプレート56を付勢するばね力を発揮する第2クラッチスプリング57とを備える。
【0025】
第2クラッチアウタ37は、その円筒部37aの外端から半径方向外方に張出す環状の外側連結板部37bと、前記円筒部37aの軸方向中間部から半径方向内方に張出す環状の内側連結板部37cとを一体に有する。而して外側連結板部37bは、第1クラッチインナ43が第1クラッチアウタ36の環状板部36bと外側連結板部37b間に配置されるようにして第1クラッチインナ43を外方から覆うものであり、前記円筒部37aの外端に一体に連設され、この連結板部37bの外周が第1クラッチアウタ36における円筒部36aに相対回転不能に係合される。また内側連結板部37cの内周は、第2メインシャフト19から突出した第1メインシャフト18の端部に、軸方向相対移動を不能とするとともに相対回転を不能として連結される。
【0026】
さらに図5を併せて参照して、第1クラッチアウタ36の前記円筒部36aには、第1クラッチにおける複数枚の第1クラッチディスク54…の外周を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチディスク用係合溝61,61…が、環状板部36bとは反対側で円筒部36aの他端に開口しつつ周方向に等間隔をあけて設けられるとともに、第2クラッチアウタ37における外側連結板部37bの外周を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチアウタ用係合溝62,62…が、前記各クラッチディスク用係合溝61,61…間に配置されるとともに前記円筒部36aの他端に開口しつつ周方向等間隔にそれぞれ設けられ、各クラッチディスク用係合溝61,61…は、前記円筒部36aの外周面にも開口する。
【0027】
しかも第2クラッチアウタ37は、後述のスラストベアリング68によって軸方向内方側への移動が阻止されるものであり、第2クラッチアウタ37の外側連結板部37bの外周に軸方向外方から当接、係合する止め輪63が第1クラッチアウタ36の円筒部36aに装着される。
【0028】
而して第1クラッチディスク44…の外周には各クラッチディスク用係合溝61,61…に係合する係合突部44a…が突設され、第2クラッチアウタ37における外側連結板部37bの外周には、各クラッチアウタ用係合溝62,62…に係合する係合突部37d…が突設されるのであるが、前記クラッチディスク用係合溝61,61…および前記クラッチアウタ用係合溝62,62…の軸方向長さは相互に異なって設定されるものであり、この実施例では、第2クラッチアウタ37の連結板部37bが第1クラッチディスク44よりも軸方向外方に配置されるものであるので、クラッチディスク用係合溝61,61…の軸方向長さがクラッチアウタ用係合溝62,62…の軸方向長さよりも大きく設定される。
【0029】
第1クラッチスプリング47のばね力で接続状態を維持する第1クラッチ34に、第1クラッチスプリング47のばね力に抗して遮断側に駆動する制御力を及ぼすための複数たとえば3つの第1リフタピン65…が、第1クラッチ34の回転軸線と平行な軸線を有するとともに第1クラッチインナ43における円筒部43aの周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所を軸方向移動自在に貫通し、それらの第1リフタピン65…の一端は、第1クラッチ34の第1プレッシャプレート46に、第1プレッシャプレート46を第1クラッチスプリング47のばね力に抗して押圧することを可能として当接される。
【0030】
第2クラッチスプリング57のばね力で接続状態を維持する第2クラッチ35に、第2クラッチスプリング57のばね力に抗して遮断側に駆動する制御力を及ぼすための複数たとえば3つの第2リフタピン66…が、第2クラッチ35の回転軸線と平行な軸線を有するとともに第2クラッチインナ53における円筒部53aの周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所を軸方向移動自在に貫通し、それらの第2リフタピン66…の一端は、第2クラッチ35の第2プレッシャプレート56に、第2プレッシャプレート56を第2クラッチスプリング57のばね力に抗して押圧することを可能として当接される。
【0031】
また第1クラッチインナ43を第1クラッチアウタ36の環状板部36bとの間に挟んで第2クラッチ35の一部を構成する第2クラッチアウタ37における外側連結板部37bの周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所を、第1および第2クラッチ34,35の回転軸線と平行な軸線を有する駆動ピン67…が軸方向移動自在に貫通するものであり、それらの駆動ピン67…の一端は、第1リフタピン65…の一端に、環状のスラストベアリング68を介して連接される。
【0032】
また第1および第2クラッチ34,35の軸線に直交する平面内での前記スラストベアリング68の移動を阻止すべく、前記外側連結板部37bにはスラストベアリング68を収容、保持する環状凹部69が形成される。
【0033】
第2リフタピン66…の他端および前記駆動ピン67…の他端には、第1および第2クラッチ34,35の回転軸線と直交する軸線まわりに回動可能であるカムシャフト70と、そのカムシャフト70を回動するようにしてカムシャフト70に連結されるアクチュエータ71とを有するクラッチ断・接制御手段72が、カムシャフト70の回動位置に応じて第2リフタピン66…および前記駆動ピン67…を相互に独立して押圧駆動すべく連動、連結される。
【0034】
前記カムシャフト70は、図示しないクランクケースに結合されるカバー73で回動自在に支承されるものであり、このカムシャフト70および前記カバー73間には戻しばね74が設けられる。
【0035】
図6を併せて参照して、前記カムシャフト70には、軸方向に間隔をあけて配置される一対の第1カム75,75と、両第1カム75…間の中央部に配置される第2カム76とが一体に設けられており、カムシャフト70は、第2カム76が第1および第2メインシャフト18,19の軸線延長線上に位置するようにして前記カバー73に支承される。
【0036】
駆動ピン67…の他端は、環状の第1リフタ77に共通に連結されており、第1カム75,75に一端部を摺接させるようにして円筒状に形成される第1リフタ78に第1カムフォロワ77が第1レリーズベアリング79を介して連結される。また第2リフタピン66…の他端は、第1リフタ77で同軸に囲繞される環状の第2リフタ80に共通に連結され、第2カム76に一端を摺接させるようにして第1リフタ78に摺動可能に嵌合される第2リフタ81に第2カムフォロワ80が第2レリーズベアリング82を介して連結される。
【0037】
図2に注目して、アクチュエータ71は、単一の電動モータ85と、該電動モータ85の出力を減速して前記カムシャフト70に伝達する減速機構86で構成されるものであり、カムシャフト70と平行な回転を有する電動モータ85は、前記減速機機86を収容するようにしてクランクケースに支持される減速機構ケース87に取付けられる。而して減速機構ケース87は一対のケース半体88,89が相互に結合されて成るものであり、電動モータ85は、その出力軸90を減速機構ケース87内に突入させるようにして一方のケース半体88に取付けられる。
【0038】
前記減速機構86は、減速機構ケース87内で前記電動モータ85の出力軸90およびカムシャフト70間に設けられるものであり、前記出力軸90に一体に形成されるピニオン93と、出力軸90およびカムシャフト70と平行な軸線を有して変速機構ケース87に回転自在に支承される第1中間軸91に一体に設けられて前記ピニオン93に噛合する第1中間歯車94と、第1中間軸91に一体に設けられる第2中間歯車95と、出力軸90およびカムシャフト70と平行な軸線を有して変速機構ケース87に回転自在に支承される第2中間軸92に一体に設けられて第2中間歯車95に噛合する第3中間歯車96と、第2中間軸92に一体に設けられる第4中間歯車97と、カムシャフト70に固定されて第4中間歯車97に噛合する被動歯車98とから成る。
【0039】
また減速機構ケース87には、前記カムシャフト70の端部に同軸に連結されるポテンショメータ99が取付けられており、このポテンショメータ99によりカムシャフト70の回動角が検出される。
【0040】
ところで第1カム75…および第2カム76は、相互間にたとえば90度の位相差を有してカムシャフト70に設けられるものであり、アクチュエータ71は、第1カム75…および第2カム76が図7で示すよにカムシャフト70を回動駆動するものであり、そのカムシャフト70の回動に応じて、偶数変速段用歯車変速機構17への動力伝達の断・接を切換える第1クラッチ34に対応した第1リフタ78のリフト量が図7の破線で示すように変化し、奇数変速段用歯車変速機構16への動力伝達の断・接を切換える第2クラッチ35に対応した第2リフタ81のリフト量が図7の実線で示すように変化する。
【0041】
すなわちアクチュエータ71は、第1および第2クラッチ34,35のいずれか一方を接続するとともに他方を遮断する状態、ならびに第1および第2クラッチ34,35をともに接続する状態を切換えるようにしてカムシャフト70を回動駆動することになる。
【0042】
前記アクチュエータ71の作動の基本は、通常の運転状態では、第1および第2クラッチ34,35の一方を接続状態にするとともに他方を遮断状態とするものであり、それにより偶数変速段用歯車変速機構17および奇数変速段用歯車変速機構16の一方によって偶数変速段および奇数変速段の一方の歯車列による変速状態を得るのであるが、偶数変速段用歯車変速機構17および奇数変速段用歯車変速機構16では、前記通常状態からの変速切換時には、第1〜第4速用歯車列G1〜G4のうち変速方向で次に続く次変速段の歯車列を、両クラッチ34,35のうち前記次変速段の歯車列に対応したクラッチが遮断した状態で予め確立するように第1および第2シフタ29,24の一方を作動せしめるものであり、その後で両クラッチ34,35の断・接が前記アクチュエータ71の作動によって切換えられる。
【0043】
たとえば第1変速段から第2変速段に変速する際には、奇数変速段用歯車変速機構16の第1速歯車列G1を確立するとともに第2クラッチ35を接続状態として第1変速段の変速比を得ている状態で、偶数変速段用歯車列17の第2速用歯車列G2を第1クラッチ34を遮断した状態で確立しておき、その後で第2クラッチ35を遮断するとともに第1クラッチ34を接続することになる。
【0044】
ところで偶数変速段間もしくは奇数変速段間での変速切換実行時に、偶数変速段用歯車変速機構17および奇数変速段用歯車変速機構16のうち歯車列の確立切換対象である歯車変速機構に対応したクラッチを遮断状態のままとすると、歯車列の確立切換が完了する直前までは歯車列の確立切換を実行する前の回転数で当該歯車変速機構の入力側である第1メインシャフト18もしくは第2メインシャフト19が回転するのに対して、歯車列の確立切換が完了すると第1メインシャフト18もしくは第2メインシャフト19の回転数が大きく変化することになり変速ショックが生じることになる。
【0045】
たとえば第1速変速段から第3速変速段へのシフトアップ時に、奇数変速段用歯車変速機構16において第1速歯車列G1の確立状態から第3速歯車列G3の確立状態へと第2シフタ24を作動せしめる際に、第2クラッチ35を遮断状態のままとしておくと、クランク軸12、第1メインシャフト18および第2メインシャフト19の回転数は図8(a)で示すように変化する。すなわち第2クラッチ35を接続するとともに第1クラッチ34を遮断し、奇数変速段用歯車変速機構16において第1速歯車列G1を確立し、偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2を確立して第1変速段の変速比を得ている状態での時刻t1 で、第2クラッチ35を遮断するとともに第1クラッチ34を接続すると、第2メインシャフト19は時刻t1 以前と同じ回転数で回転しており、その状態の時刻t2 で、奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3を確立すると、第2メインシャフト19の回転数はΔNaだけ減少側に大きく変化して変速ショックが大きくなってしまう。
【0046】
また第3速変速段から第1速変速段へのシフトダウン時に、奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3の確立状態から第1速歯車列G1の確立状態へと第2シフタ24を作動せしめる際に、第2クラッチ35を遮断状態のままとしておくと、クランク軸12、第1メインシャフト18および第2メインシャフト19の回転数は図9(a)で示すように変化する。すなわち奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3を確立するとともに偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2を確立し、第1クラッチ34を接続するとともに第2クラッチ35を遮断することで第2変速段の変速比を得ている状態での時刻t3 で、奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3から第1速歯車列G1に確立状態を切換えを開始し、さらにその後の時刻t4 で第2クラッチ35を接続するとともに第1クラッチ34を遮断するようにすると、第3速歯車列G3から第1速歯車列G1への確立状態を切換える時刻t3 で第2メインシャフト19の回転数はΔNaだけ増加側に大きく変化し、変速ショックが大きくなる。
【0047】
そこで偶数変速段間もしくは奇数変速段間での変速切換を実行するにあたっては、前記偶数変速段用歯車変速機構17および前記奇数変速段用歯車変速機構16の一方が歯車列の確立切換途中でニュートラル状態となったときに、前記偶数変速段用歯車変速機構17および前記奇数変速段用歯車変速機構16のうち歯車列の確立切換対象である歯車変速機構に対応するクラッチを、遮断状態から短時間だけ一時的に接続状態として再び遮断した後に、前記歯車列の確立切換終了後に遮断状態から接続状態に切換える変速制御が行われる。
【0048】
それにより、たとえば第1速変速段から第3速変速段へのシフトアップ時に、奇数変速段用歯車変速機構16において第1速歯車列G1の確立状態から第3速歯車列G3の確立状態へと第2シフタ24を作動せしめる際に、奇数変速段用歯車変速機構16のニュートラル状態で第2クラッチ35を短時間だけ一時的に接続状態としたときのクランク軸12、第1メインシャフト18および第2メインシャフト19の回転数は図8(b)で示すように変化する。すなわち第2クラッチ35を接続するとともに第1クラッチ34を遮断し、奇数変速段用歯車変速機構16において第1速歯車列G1を確立し、偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2を確立して第1変速段の変速比を得ている状態での時刻t1 で、第2クラッチ35を遮断するとともに第1クラッチ34を接続した後、奇数変速段用歯車変速機構16が第1速歯車列G1から第3速歯車列G3の確立切換途中のニュートラル状態にある時刻t12で、第2クラッチ35を短時間だけ一時的に接続状態とする(すなわち第1および第2クラッチ34,35をともに短時間だけ一時的に接続状態とする)と、その際、第1クラッチ34は接続状態にあって偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2が確立しているので、第2メインシャフト19は第1メインシャフト18の回転数と同じレベルまで低下することになり、さらに時刻t2 で第3速歯車列G3を確立したときの第2メインシャフト19の回転数変化量は比較的小さな値ΔNb(<ΔNa)となり、変速ショックを緩和することが可能となる。
【0049】
また、たとえば第3速変速段から第1速変速段へのシフトダウン時に、奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3の確立状態から第1速歯車列G1の確立状態へと第2シフタ24を作動せしめる際に、奇数変速段用歯車変速機構16のニュートラル状態で第2クラッチ35を短時間だけ一時的に接続状態としたときのクランク軸12、第1メインシャフト18および第2メインシャフト19の回転数は図9(b)で示すように変化する。すなわち奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3を確立するとともに偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2を確立し、第1クラッチ34を接続するとともに第2クラッチ35を遮断することで第2変速段の変速比を得ている状態にあって、奇数変速段用歯車変速機構16において第3速歯車列G3から第1速歯車列G1に確立状態を切換える際のニュートラル状態にある時刻t3 で、第2クラッチ35を短時間だけ一時的に接続する(すなわち第1および第2クラッチ34,35をともに短時間だけ一時的に接続状態とする)と、その際、第1クラッチ34は接続状態にあって偶数変速段用歯車変速機構17の第2速歯車列G2が確立しているので、第2メインシャフト19は第1メインシャフト18の回転数と同じレベルまで増大することになり、その後の時刻t34で第1速歯車列G1が確立したときの第2メインシャフト19の回転数変化量は比較的小さな値ΔNb(<ΔNa)となり、変速ショックを緩和することが可能となる。
【0050】
次にこの実施例の作用について説明すると、円筒部36aの一端に環状板部36bが一体に連設されて成る第1クラッチアウタ36を有する第1クラッチ34と、第1クラッチ34の半径方向内方に同軸に配置される第2クラッチ35とを備えるツインクラッチ装置15において、第1および第2クラッチ34,35がそれぞれ備える第1および第2クラッチインナ43,53の前記環状板部36b側の端部には、第1および第2クラッチ34,35の断・接状態を切り換えるリング状の第1および第2プレッシャプレート46,56が軸方向に作動可能にそれぞれ支承されるとともにそれらのプレッシャプレート46,56を接続側に付勢する第1および第2クラッチスプリング47,57がそれぞれ配設されており、第1および第2クラッチ34,35の回転軸線と平行な軸線を有して前記両クラッチインナ43,53を軸方向移動自在にそれぞれ貫通する第1および第2リフタピン65,66の一端が、前記プレッシャプレート46,56を前記クラッチスプリング47,57のばね付勢力に抗して押圧することを可能として前記プレッシャプレート46,56にそれぞれ当接されており、第1および第2クラッチ34,35の回転軸線と平行な軸線を有して第2クラッチアウタ37の外側連結板部37bを軸方向移動自在に貫通する駆動ピン67の一端が、前記両リフタピン65,66のうち第1クラッチインナ43を貫通する第1リフタピン65の他端にスラストベアリング68を介して連接されている。
【0051】
したがって第1および第2クラッチインナ43,53をそれぞれ貫通する第1および第2リフタピン65,66に外力を作用せしめて軸方向に押圧することにより、第1および第2クラッチ34,35を遮断状態とすることができる。しかも第1クラッチインナ43は第1クラッチアウタ36の環状板部36bおよび第2クラッチアウタ37の外側連結板部37b間に配置され、第2クラッチアウタ37は第1クラッチインナ43との相対回転が可能ではあるが、前記外側連結板部37bを軸方向移動自在に貫通する駆動ピン67の一端が第1クラッチインナ43を貫通する第1リフタピン65の他端にスラストベアリング68を介して連接されるので、第1クラッチインナ43および第2クラッチアウタ37の相対回転にかかわらず、第1リフタピン65を軸方向に駆動することが可能であり、第1リフタピン65および駆動ピン67間にスラストベアリング68を介在せしめた簡単な構成により、第1クラッチインナ43を有する第1クラッチ34を、外力の作用によって遮断状態とすることができる。
【0052】
しかも第1および第2リフタピン65,66の作動方向および駆動方向が同じであるので、第1および第2クラッチ34,35を断・接駆動するためのクラッチ断・接制御手段72の構成を簡略化することができる。
【0053】
また第1および第2クラッチスプリング47,57と、第1および第2プレッシャプレート46,57との間に環状のスプリングシート48,58がそれぞれ介装されるので、第1および第2クラッチスプリング47,57のばね力をプレッシャプレート46,56の全周にわたって均等に作用せしめ、第1および第2クラッチ34,35の確実な断・接切換を得ることができる。
【0054】
さらに第2リフタピン66および駆動ピン67の他端には、第1および第2クラッチ34,35の回転軸線と直交する軸線まわりに回動可能であるとともに第1および第2クラッチ34,35に個別に対応した第1および第2カム75…,76が設けられるカムシャフト70を有するクラッチ断・接制御手段72が、カムシャフト70の回動位置に応じて第2リフタピン66および駆動ピン67を相互に独立して押圧駆動すべく連動、連結されるので、第1および第2クラッチ34,35に共通なクラッチ断・接制御手段72を用いて、相互に独立して第1および第2クラッチ34,35の断・接切換を行うことができ、第1および第2クラッチ34,35に断・接を切換えるための外力を作用せしめる構造が簡略化される。
【0055】
また前記カムシャフト70は単一のアクチュエータ71で回動駆動されるものであり、カムシャフト70を回動駆動するアクチュエータ71が1つですむので、部品点数の低減を図るとともに構造を単純化することができ、しかもコストの低減および小型化を図ることが可能となる。
【0056】
さらにアクチュエータ71は、単一の電動モータ85と、該電動モータ85の出力を減速してカムシャフト70に伝達する減速機構86とで構成されるので、アクチュエータ71を軽量かつコンパクトに構成することができる。
【0057】
ところで第1クラッチ34の第1クラッチアウタ35が備える円筒部36aには、複数枚の第1クラッチディスク44…の外周を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチディスク用係合溝61…と、第2クラッチアウタ35が備える第2クラッチアウタ37の外周を相対回転不能に係合せしめるようにして前記各クラッチディスク用係合溝61…間に配置される複数のクラッチアウタ用係合溝62…とがそれぞれ設けられている。
【0058】
すなわち第1クラッチアウタ36の円筒部36aに、第1クラッチディスク44…の外周が相対回転不能に係合されるとともに、第2クラッチアウタ37の外周が相対回転不能に係合されることになり、第1および第2クラッチアウタ36,37を相対回転不能に連結するにあたり、第1および第2クラッチアウタ36,37の外周直径が大きくなることを回避してツインクラッチ装置15の小型化を図ることが可能となり、しかも部品点数を少なくすることができるとともに、組付け工数を低減して組付けを容易とすることができる。
【0059】
また第2クラッチアウタ37は、第1クラッチ34が備える第1クラッチインナ43を前記環状板部36bとの間に挟む位置に配置されており、第2クラッチアウタ37の外周に軸方向外方から当接、係合する止め輪63が前記円筒部36aに装着されるので、第1クラッチアウタ36に対する第2クラッチアウタ37の軸方向外方への移動を簡単な構成で阻止することができる。
【0060】
さらにクラッチディスク用係合溝61…およびラッチアウタ用係合溝62…の軸方向長さが相互に異なって設定されるので、第1クラッチディスク44…および第2クラッチアウタ37の第1クラッチアウタ36への誤組付けを容易に防止することができ、これによっても組付けが容易となる。
【0061】
しかも複数のクラッチディスク用係合溝61…および複数のクラッチアウタ用係合溝62…とが、第1クラッチアウタ36の環状板部36bとは反対側で円筒部36aの他端に開口しつつ周方向に等間隔をあけて設けられるので、第1クラッチアウタ36への複数枚の第1クラッチディスク44…および第2クラッチアウタ37の組付けがより容易となる。
【0062】
また通常運転状態にあっては、第1および第2クラッチ34,35の一方を接続するとともに他方を遮断して、偶数変速段および奇数変速段の一方の歯車列による変速状態を得るようにしているので、通常の運転状態でのフリクションロスを抑えることが可能である。
【0063】
また通常運転状態から変速比を変化させるための変速切換を実行するにあたって、複数変速段の歯車列G1〜G4のうち変速方向で次に続く次変速段の歯車列を、当該歯車列に対応したクラッチが遮断した状態で予め確立しておき、前記両クラッチ34,35の断・接を切換えるので、両クラッチ34,35の断・接切換による変速制御を容易とするとともに変速応答性を高めることができる。
【0064】
さらに偶数変速段間もしくは奇数変速段間での変速切換を実行するにあたっては、偶数変速段用歯車変速機構17および奇数変速段用歯車変速機構16の一方が歯車列の確立切換途中でニュートラル状態となったときに、偶数変速段用歯車変速機構17および奇数変速段用歯車変速機構16のうち歯車列の確立切換対象である歯車変速機構に対応するクラッチを、遮断状態から短時間だけ一時的に接続状態として再度遮断した後に、前記歯車列の確立切換終了後に遮断状態から接続状態に切換えるので、上述の図8(b)および図9(b)に関連して説明したように、歯車列の確立切換が完了する際の変速ショックを緩和することができる。
【0065】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ツインクラッチ式歯車変速機の概略構成を示す図である。
【図2】ツインクラッチ装置の縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】第1クラッチアウタの切欠き斜視図である。
【図6】図3の6−6線拡大断面図である。
【図7】カムシャフトの回動位置およびリフタの変位量を対比させて示す図である。
【図8】シフトアップ時の変速特性を示す図である。
【図9】シフトダウン時の変速特性を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
15・・・ツインクラッチ装置
34・・・第1クラッチ
35・・・第2クラッチ
36・・・第1クラッチアウタ
36a・・・円筒部
36b・・・環状板部
37・・・第2クラッチアウタ
44・・・クラッチディスク
61・・・クラッチディスク用係合溝
62・・・クラッチアウタ用係合溝
63・・・止め輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部(36a)を有するとともに動力源からの動力伝達によって回転する第1クラッチアウタ(36)を有する多板式の第1クラッチ(34)と、第1クラッチアウタ(36)とともに回転する第2クラッチアウタ(37)を有して第1クラッチ(34)と同軸に配置される多板式の第2クラッチ(35)とを備えるツインクラッチ装置において、第2クラッチ(35)の半径方向外方に配置される第1クラッチアウタ(36)は、前記円筒部(36a)の一端に環状板部(36b)が一体に連設されて成り、前記円筒部(36a)には、第1クラッチ(34)が備える複数枚のクラッチディスク(44)の外周を相対回転不能に係合せしめる複数のクラッチディスク用係合溝(61)と、第2クラッチアウタ(37)の外周を相対回転不能に係合せしめるようにして前記各クラッチディスク用係合溝(61)間に配置される複数のクラッチアウタ用係合溝(62)とがそれぞれ設けられることを特徴とするツインクラッチ装置。
【請求項2】
第2クラッチアウタ(37)は、第1クラッチ(34)が備える第1クラッチインナ(43)を前記環状板部(36b)との間に挟む位置に配置され、第2クラッチアウタ(37)の外周に軸方向外方から当接、係合する止め輪(63)が第1クラッチアウタ(36)の前記円筒部(36a)に装着されることを特徴とする請求項1記載のツインクラッチ装置。
【請求項3】
前記クラッチディスク用係合溝(61)および前記ラッチアウタ用係合溝(62)の軸方向長さが相互に異なって設定されることを特徴とする請求項1または2記載のツインクラッチ装置。
【請求項4】
前記クラッチディスク用係合溝(61)および前記ラッチアウタ用係合溝(62)が、前記環状板部(36b)とは反対側で前記円筒部(36a)の他端に開口しつつ周方向に等間隔をあけて前記円筒部(36a)に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のツインクラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−177909(P2007−177909A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377453(P2005−377453)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】