説明

テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグ、テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグを含む組成物、及び同一のものを使用する方法

Δ9−THCプロドラッグ、Δ9−THCプロドラッグの製造方法、Δ9−THCプロドラッグを含む製剤、及びΔ9−THCの使用方法が本明細書に記載されている。本明細書に記載された一つの実施形態は、疾患及び/又は障害を処置及び予防するためのΔ9−THCプロドラッグの経皮投与に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年11月30日に出願された米国仮出願番号第60/991,555号、及び2008年3月18日に出願された米国仮出願番号第61/037,568号の利益を請求し、そしてそれらは参照により本明細書において援用される。
【0002】
技術分野
医薬用途、例えば哺乳動物への経皮送達に好適である、医薬として活性のある薬剤、医薬として活性のある薬剤の経皮送達のための組成物、並びに疾患及び障害の処置におけるかかる組成物の使用が本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0003】
背景
疼痛は、最も頻繁に報告されている症状であり、そしてそれは臨床医が直面する一般的な臨床問題である。米国の数百万の人々は、多くの近年の報告によると、慢性的に処置不十分であるか又は適切に処置されていない深刻な疼痛に苦しんでいる。同様に、数百万の人々はまた、深刻な悪心、及び/又は頻繁な嘔吐に苦しんでいる。さらに、ひどく頻繁に、慢性的であり、処置不十分又はおさまらない疼痛に苦しんでいる多くの患者がまた、食欲不振、悪心、及び/又は頻繁な嘔吐に苦しんでおり、その結果患者は、疼痛に対する有効な治療用量の経口薬を服薬することができず、それにより疼痛を悪化させている。
【0004】
鎮痛をもたらし、悪心及び嘔吐を緩和し、そして食欲を刺激する、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(Δ9−THC)を含むカンナビノイドの臨床的有用性は、十分に認識されている。
【0005】
「消耗症候群」は、活動性感染なしに、又は体重減少の任意の他の同定可能な原因なしに、個体が10%超の体重が失われる臨床的症候群であると一般的に説明される。消耗症候群において例示される体重減少は、吸収不良、下痢、食物摂取の減少、又は代謝の変化に起因し得る。消耗症候群は、多くの疾病及び疾患に副次的に存在し得るが、それは高頻度で合併性症状として、化学療法に対して、及びヒト免疫不全ウィルス感染に対して(別名HIV消耗)続発的に発症する。カンナビノイド、例えばΔ9−THCは、限定されないが、HIV消耗及び化学療法誘発性消耗を含む消耗症候群の処置及び軽減において効果的である。実際この症状を処置するために、Δ9−THCは現在、経口投与において利用され、マリノル(Marinol(登録商標))という商品名で売られている。
【0006】
拒食症は、食欲の低下した感覚である。深刻な場合において、拒食症の個体は、臨床的に著しい体重減少を経験し得る。拒食症は、深刻な欝病、癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、認知症、上腸間膜動脈症候群、及び慢性腎不全を含む多くの障害に対する二次的症状として発症し得る。拒食症はまた、特定の薬剤、特に覚せい剤及び麻薬、例えばコカイン及びヘロインの使用に起因し得る。神経性無食欲症は、拒食症の特定のタイプであり、精神疾患であり、摂食障害と説明され、低体重及び身体イメージの歪みによって特徴付けられ、体重増加に対して強迫観念的なおそれを伴う。Δ9−THCの投与は、神経性無食欲症を患う個体、及び別の診断又は薬剤使用のいずれかに続発する拒食症を患う個体を含めて、臨床的に著しい体重減少をもたらす、拒食症を患う個体の食欲を増大させ得る。
【0007】
多くのパーセンテージの米国の人々は、アルコール使用障害(「AUD」)の診断基準を満たす。過剰量のアルコール消費は、疾患を処置する能力に直接的に影響を及ぼす、複雑な多くの薬理効果をもたらす。これらの効果は、脳に直接的に影響を及ぼし、そして進行性の神経変性、実行機能の低下、及び離脱により誘発される悪影響につながる依存症を含む。Δ9−THC及びΔ9−THCプロドラッグを含むカンナビノイドは、神経防護作用、抗不安及び抗けいれん効果を有し、そしてそれは、AUDを患うヒトにおけるさらなる脳への損傷を防止するために有効であり得、同時に再発頻度を減少させることが知られている。
【0008】
ジストニアは、多くの既知の原因を有する神経学的運動障害であり、体のよじれ及び連続的運動又は異常な姿勢を引き起こす、無意識での継続的筋肉収縮によって特徴付けられる。カンナビノイドは、この疾患を特徴付ける筋肉収縮症状の減少を示した。
【0009】
多くの疾患の病因病理は、個体の免疫系によって引き起こされる炎症性過程に関連する。炎症は:(1)外傷、例えば閉鎖性頭部外傷に続発する脳腫脹に対する他の好適な免疫応答;(2)例えばアレルギー反応又は皮膚炎を引き起こす、過活動的な免疫応答;又は(3)例えば特定の形態の多発性硬化症、炎症性腸疾患、及び関節炎を引き起こす、不適な自己免疫応答に起因する。炎症原因の根底をなすことに関係なく、免疫系を制御し、そして炎症応答を減少させることは、これらの状況下において治療的に望ましい。カンナビノイドは、免疫応答において種々のステップを制御することが示され、そして特定の炎症性障害、例えば皮膚炎及び乾癬の処置において幾らかの臨床的利益を示す。
【0010】
関節リウマチは、米国人口の約0.5〜1%が患っており、そして一般的に2000万人超のアメリカ人が患っている自己免疫疾患である。関節リウマチに関連する疼痛は通常、無力化され得ない。カンナビノイド、例えばΔ9−THCは、関節リウマチ、並びに他の自己免疫疾患、例えば炎症性大腸炎、多発性硬化症、及び全身性エリテマトーデスに続発する関節痛の補助的治療として有用であることが見出された。
【0011】
大麻の慢性乱用者は、依存症を発症し得、そして当該薬物の使用の中断を試みるときに離脱症状を経験する。総括すると、大麻依存症及び離脱症状は、本明細書において大麻使用障害(cannabis use disorder)のことである。Δ9−THCを含むカンナビノイドは、大麻使用障害の処置において有用であることが当業者に既知である。
【0012】
上で説明した治療的利益に加えて、カンナビノイド、例えばΔ9−THC、及びΔ9−THCのプロドラッグは、限定されないが、抗炎症効果、抗けいれん効果、抗精神病効果、抗酸化効果、精神防護効果、マリファナ乱用に対する置換療法、及び免疫調節効果を含む、種々の薬理学的利益を提供する。
【0013】
治療的利益を考慮すると、Δ9−THCが全身に送達されて治療的な有効量を達成する組成物を開発することが有利であろう。残念ながら、他のカンナビノイドと同様に、Δ9−THCは、経口投与後にヒトの消化管から吸収されるときにかなりの初回通過代謝を受ける。さらに、患者が悪心及び嘔吐を患うときに、当該患者は経口投薬を避けるか、又は経口投与量が胃腸管中に、治療用量を達するために十分な時間残存しないために、任意のΔ9−THC含有製造物の経口バイオアベイラビリティはさらに減少する。さらにその高い疎水性のために、Δ9−THCは、膜、例えば哺乳動物、例えばヒトの皮膚を通じて十分に吸収されない。したがって、治療的に有効な量のΔ9−THCの、かかる治療を必要とする哺乳動物への妥当な期間内かつ好適な表面領域における経皮投与の成功は、実質的に制限されている。
【0014】
したがって、先の観点において、一つ以上の病状、例えば疼痛、悪心、又は食欲刺激の処置のために、哺乳動物の消化管からの吸収に依存せず、かつ消化管からの吸収における初回通過代謝を受けない投与経路によって、それを必要とする哺乳動物へ治療的に有効な量のΔ9−THCを送達することが所望である。Δ9−THCの全身送達のための一つのかかる投与経路は、経皮である。
【0015】
残念ながら、その高い疎水性のために、Δ9−THCは、膜、例えば哺乳動物、例えばヒトの皮膚を通じて十分に吸収されない。したがって、治療的に有効な量のΔ9−THCの、かかる治療を必要とする哺乳動物への妥当な期間内かつ好適な表面領域における経皮投与の成功は、実質的に制限されている。
【発明の概要】
【0016】
多くの哺乳動物、例えばヒト及びテンジクネズミの上皮及び真皮は、角質層を通過する活性医薬品を代謝することができる酵素を含む。哺乳動物、例えばヒトの皮膚で起こる当該代謝過程は、医薬として有効な量のΔ9−THCを、それを必要とする哺乳動物へ送達するために利用され得る。哺乳動物、例えばヒトへ経皮投与され、その結果、皮膚での代謝に起因する代謝産物が、病状、例えば疼痛、悪心、又は食欲刺激の処置のために全身的に利用可能なΔ9−THCである、Δ9−THCのプロドラッグが本明細書に記載されている。それを必要とする哺乳動物への経皮送達に好適であるΔ9−THCプロドラッグを含む組成物、及びΔ9−THCプロドラッグを使用する方法がまた、本明細書に記載されている。
【0017】
したがって、経皮送達可能なΔ9−THCのプロドラッグ、Δ9−THCのプロドラッグを含む経皮送達に好適である組成物、及びΔ9−THCのプロドラッグを使用する方法が開発され、それにより生じる代謝産物が、治療的に有効な量で哺乳動物に全身的に利用可能であるΔ9−THCであるならば、当技術分野において著しい進歩が生じる。
【0018】
さらに、医薬組成物は、経口、口腔、舌下、注射、直腸、膣及び鼻腔内投与を含む他の手段によって全身的に投与され得る。哺乳動物、例えばヒトにおいて起こる代謝過程はまた、医薬として有効な量のΔ9−THCを、それを必要とする哺乳動物の体循環へ送達するために利用され得る。哺乳動物、例えばヒトへ投与され得、その結果皮膚中の代謝に起因する代謝産物が、病状、例えば疼痛、悪心又は食欲刺激の治療のために利用されるΔ9−THCである、Δ9−THCのプロドラッグが、本明細書に記載されている。それを必要とする哺乳動物への送達に好適であるΔ9−THCプロドラッグを含む組成物、及びΔ9−THCプロドラッグを使用する方法がまた、本明細書に記載されている。
【0019】
したがって、経口、口腔、舌下、注射、局所、濾胞、経鼻、眼球、直腸、又は膣送達を行うことができる、Δ9−THCのプロドラッグ;経口、口腔、舌下、注射、局所、濾胞、経鼻、眼球、直腸、又は膣送達に好適である、Δ9−THCのプロドラッグを含む組成物;及びΔ9−THCのプロドラッグを使用する方法であって、それにより生じる代謝産物が、治療的に有効な量で哺乳動物に全身的に利用可能なΔ9−THCである前記方法を開発することができるならば、当技術分野において著しい進歩が起こるだろう。
【0020】
上で説明された、全身的に投与されるΔ9−THCの利益に加えて、Δ9−THCを含むカンナビノイドは、局所投与によって、局部的な利益を有することが見出された。例えば、局所投与されたカンナビノイドは、皮膚表面近辺で生じる疼痛及び、ヘルペス後神経痛、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内疼痛及び潰瘍、会陰切開術後の疼痛、乾癬、そう痒症、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性疱疹状皮膚炎(bullous dermatitis herpetiformis)、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、深刻な多形性紅斑(例えばスティーブンス・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、及び乾癬性関節炎に関連する疼痛を含む、他の疾患症状の緩和に有用であることが見出された。さらに、局所投与されたカンナビノイドは、疼痛、及び他の深部組織に関連する疾患症状、例えば、限定されないが、糖尿病性神経障害に関連する末梢性神経因性疼痛、強直性脊椎炎、ライター症候群、痛風、軟骨石灰化症、月経困難症に続発する関節痛、線維筋痛、筋骨格系疼痛、神経病性術後合併症、多発性筋炎,急性非特異的腱滑膜炎,滑液包炎,上顆炎、外傷後変形性関節症、変性性関節炎、滑膜炎、及び若年性関節リウマチを含む末梢性神経因性疼痛を緩和するために有用であることが見出された。カンナビノイドが、疼痛、及び末梢性神経因性疼痛深部組織に関連する他の疾患状態を処置するために局所的に投与されるとき、カンナビノイドを全身的に同時投与することが有用であり得る。
【0021】
これらの局部的利益を達成するために、Δ9−THC又はそのプロドラッグは、角質層を通り抜けるが、全身的に吸収されないことが有利である。かかる場合において、Δ9−THCは、皮膚中及び/又は毛包皮脂腺単位(pilosebaceous unit)に凝縮し、したがってその局所効果を最大化する。当該局所効果は、潜在的な治療的利益を増大させるのみならず、患者中に循環する活性化合物の量が最小化されるために、カンナビノイド関連性の副作用の頻度及び深刻度を軽減する。Δ9−THCは、皮膚の外見及び/又は水和を改善するだろう活性部位を有するプロドラッグへと組みこまれ得る。
【0022】
したがって、局所送達が可能であり、皮膚の外層を通り抜けるが、血液循環中へは吸収されないΔ9−THCプロドラッグ;Δ9−THCのプロドラッグを含む局所送達のために好適である組成物、及びΔ9−THCのプロドラッグを使用する方法であって、それにより生じる代謝産物が、治療的に有効な量で哺乳動物の投与部位において利用可能であるが全身的に吸収されない前記方法の開発により、当技術分野において著しい進歩が生じるだろう。
【0023】
概要
Δ9−THCのプロドラッグ、Δ9−THCのプロドラッグの製造方法、Δ9−THCのプロドラッグを含む組成物、及びΔ9−THCのプロドラッグを使用する方法が本明細書において記載されている。
【0024】
他の実施形態、対象、特徴、及び利点は、以下の発明の詳細な説明中で説明することとし、そして一部においては、特許請求の範囲の記載から明らかであるか、または当該記載の実施により理解される。これらの対象及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲中で特に指摘された方法及び組成物によって理解されかつ実現されるであろう。前述の概要は、本明細書において開示された幾つかの実施形態の簡潔かつ一般的な大意であると理解され、そしてそれは読者の利益及び便宜のためのみに提供され、そして本発明の均等物の範囲をいかなる方法によっても限定することを意図しておらず、そして添付の特許請求の範囲は適法に権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、PG:エタノール:H2Oが2.36:1.18:1であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00120(n=3)、ALL00121(n=2)、及びALL00123(n=3)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図2】図2は、ゲル製剤を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00121(n=2)、及びALL00123(n=3)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図3】図3は、pH5.5のPG:エタノール:H2Oが2.36:1.18:1であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00122(n=2)、及びALL00124(n=2)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図4】図4は、pH5.5のPG:エタノール:H2Oが2.36:1.18:1であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=3)、ALL00124(n=2)、及びALL00125(n=3)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図5】図5は、ゲル製剤を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=3)、ALL00153(n=3)、及びALL00154(n=1)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図6】図6は、PG:H2O:IPMが90:8:2であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00117(n=3)、ALL00118(n=3)、及びALL00126(n=2)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図7】図7は、PG:H2O:IPMが90:8:2であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=1)、ALL00129(n=3)、及びALL00138(n=2)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図8】図8は、PG:H2O:IPMが90:8:2であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00127(n=3)、ALL00134(n=3)、及びALL00144(n=2)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図9】図9は、PG:H2O:IPMが90:8:2であるドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、及びALL00153(n=3)の代表的な浸透プロファイルのプロットであり、ここで「n」は、試験した試料の数である。
【図10】図10は、Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグの、LogP値の表である。LogP値は、水/オクタノール分配係数を意味し、そしてChemSketch version 10.02(Advanced Chemistry Development;Toronto,Ontario,Canada)によって計算される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、種々の形態において具体化され得るが、幾つかの実施形態の以下の記載は、本開示が特許請求の範囲の対象の例示として考えられるべきであり、そして説明された特定の実施形態に当該特許請求の範囲を限定することを意図するものではないという理解を持ってなされる。本開示を通じて使用される表題は、便宜のためのみに提供され、そして当該特許請求の範囲を限定するものであるとは決して解釈されるべきではない。任意の表題の下で説明された実施形態は、任意の他の表題の下で説明された実施形態と共に組み合わされ得る。
【0027】
本明細書に記載される化合物は、医薬上許容されるΔ9−THCのプロドラッグを含む。本明細書において記載される一つの実施形態は、経皮投与に好適であり、そしてΔ9−THCへと代謝される、医薬上許容されるΔ9−THCのプロドラッグを含む。さらなる実施形態は、任意の投与経路に好適である、医薬上許容されるΔ9−THCを含む。医薬上許容されるΔ9−THCのプロドラッグは、哺乳動物への投与のための任意の好適な形態、例えば遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、水和物、無水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、誘導体などの形態で存在し得、ただし、当該遊離塩基、塩、エステル、水和物、無水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、又は任意の他の薬理学的に好適な誘導体が、治療的に活性であるか、或いは体内又は体外においてΔ9−THCの治療的に活性な形態へと変換されることを条件とする。
【0028】
本明細書に記載された組成物は、少なくとも一つの医薬上許容されるΔ9−THCのプロドラッグを含む。当該医薬上許容されるΔ9−THCのプロドラッグは、哺乳動物への投与のための任意の形態で、例えば、遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、水和物、無水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形、誘導体などの形態で存在し得、ただし、当該遊離塩基、塩、エステル、水和物、無水和物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、又は任意の他の薬理学的に好適な誘導体が、治療的に活性であるか、或いは体内又は体外においてΔ9−THCの治療的に活性な形態へと変換されることを条件とする。
【0029】
本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCのプロドラッグの、経皮、経口、口腔、舌下、注射、濾胞、局所、経鼻、眼球、直腸、又は膣内投与に好適であるものを含む。本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCのプロドラッグの経皮投与のためのビヒクル又は担体を場合により含み、そして溶媒、増粘剤、浸透促進剤、湿潤剤、滑剤、軟化剤、不快な臭気、芳香を遮断又は中和するために添加される物質、並びに当該組成物の外見及び質感を改善するために添加される物質を場合により含む。
【0030】
本明細書において使用される用語、プロドラッグは、当該化合物を摂取した哺乳動物の代謝過程を通じて、又は体内で、医薬的効果を有する活性形態への化学変換が進行する化合物のことである。
【0031】
一つの実施形態において、実例となるΔ9−THCのプロドラッグは、式(I):
【0032】
【化1】

【0033】
[式中、
1は、生物分解性リンカー(例えば、エステル、酸素化されたエステル、オキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、コハク酸モノエステル、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステル、アミノエステル、環状アミノエステル、アシル化されたアミノエステル、カーボネート、酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、ヒドロキシカルボニルアルキルカーボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサカルバメート、ペグ化されたカルバメート、ヒドロキシル化されたカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたカルバメート、ヒドロキシカルボニルアルキルカルバメート、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート又は他の好適な生物分解性連結構造)を含み、そしてさらに、吸収及び代謝、例えば経皮吸収及び代謝の速度及び程度を制御するために選択され得る部分をさらに含む]
の化合物を含む。R1の幾つかの選択肢が本明細書に開示されている。式Iの化合物の遊離酸、遊離塩基、塩、エステル、水和体、無水物、アミド、エナンチオマー、異性体、互変異性体、多形又はそれらの誘導体がまた、本明細書に含まれる。
【0034】
本開示において意図されるさらなる実施形態は、限定されないが、国際公開第2007044215号、国際公開第2007035945号、米国特許出願公開第2007066657号明細書、国際公開第2007026215号、国際公開第2007020502号、国際公開第2007017264号、国際公開第2007009720号、米国特許出願公開第2007004772号明細書、米国特許出願公開第2006287324号明細書、米国特許出願公開第2006287323号明細書、米国特許出願公開第2006287342号明細書、米国特許出願公開第2006287341号明細書、米国特許出願公開第2006089378号明細書、米国特許出願公開第2006079556号明細書、米国特許出願公開第2005143441号明細書、米国特許第7109216号明細書、米国特許出願公開第2004235854号明細書、米国特許出願公開第2005267161号明細書、米国特許出願公開第2005054659号明細書、米国特許出願公開第2007099990号明細書、米国特許出願公開第2006122229号明細書、米国特許出願公開第2006122230号明細書、米国特許出願公開第2004077650号明細書、米国特許第6974810号明細書、米国特許出願公開第2004248944号明細書、米国特許第6977266号明細書、及び米国特許出願公開第2006052411号明細書、並びに米国特許出願番号第10/032,163号明細書に記載されたものを含む。
【0035】
「医薬上許容される塩」又は「塩」は、哺乳動物への投与のために好適であるΔ9−THCプロドラッグの塩を含み、そしてギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、ベータ−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸から調製されるものである。医薬上許容される塩の以下のリストは、網羅的なものを意味せず、当業者が、Δ9−THC及びΔ9−THCのプロドラッグの他の医薬上許容される塩が調製され得ると理解するように、実例を挙げているにすぎない。
【0036】
一つの実施形態において、酸付加塩は、遊離塩基と好適な酸との反応に関する従来の方法を使用して、遊離塩基体から調製される。酸付加塩を調製するために好適な酸は、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など、及び無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの両方を含む。有機酸及び無機酸の以下のリストは、網羅的なものを意味せず、当業者が、Δ9−THC及びΔ9−THCのプロドラッグの他の医薬上許容される塩を調製するために、他の酸を使用し得ると理解するように、実例を挙げているにすぎない。他の実施形態において、酸付加塩は、好適な塩基を用いて処理することによって、遊離塩基へと再度変換される。さらに他の実施形態において、塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩である。
【0037】
一つの実施形態において、R1はエステルである。Δ9−THCエステルの製造は、Δ9−THCの分子構造内に存在するヒドロキシル基を官能基化することに関する。別の実施形態において、R1のエステルは酸素化されている。別の実施形態において、R1はオキサエステルである、酸素化されたエステルである。別の実施形態において、R1はペグ化されたオキサエステルである。さらなる実施形態において、R1は、1個のエチレングリコール繰り返し単位、2個のエチレングリコール繰り返し単位、3個のエチレングリコール繰り返し単位、4個のエチレングリコール繰り返し単位、5個のエチレングリコール繰り返し単位、6個のエチレングリコール繰り返し単位、7個のエチレングリコール繰り返し単位、8個のエチレングリコール繰り返し単位、9個のエチレングリコール繰り返し単位、10個のエチレングリコール繰り返し単位、11個のエチレングリコール繰り返し単位、12個のエチレングリコール繰り返し単位、13個のエチレングリコール繰り返し単位、14個のエチレングリコール繰り返し単位、及び15個のエチレングリコール繰り返し単位を有し得る、ペグ化されたオキサエステルである。さらなる実施形態において、R1は、ヒドロキシル化されたエステルである。さらなる実施形態において、R1は、分岐したヒドロキシル化されたエステルである。さらなる実施形態において、R1はアルキルエステルである。さらなる実施形態において、R1は、1個のアルキル炭素、2個のアルキル炭素、3個のアルキル炭素、4個のアルキル炭素、5個のアルキル炭素、6個のアルキル炭素、7個のアルキル炭素、8個のアルキル炭素、9個のアルキル炭素、10個のアルキル炭素、11個のアルキル炭素、12個のアルキル炭素、13個のアルキル炭素、14個のアルキル炭素、及び15個のアルキル炭素を有するアルキルエステルである。
【0038】
他の実施形態において、R1は、1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有するアミノエステルである。別の実施形態において、R1は、アミノアルキルエステルである。別の実施形態において、R1は、環状アミノエステルである。さらなる実施形態において、R1は、1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有し、並びに1個のアルキル炭素、2個のアルキル炭素、3個のアルキル炭素、4個のアルキル炭素、5個のアルキル炭素、6個のアルキル炭素、7個のアルキル炭素、8個のアルキル炭素、9個のアルキル炭素、10個のアルキル炭素、11個のアルキル炭素、12個のアルキル炭素、13個のアルキル炭素、14個のアルキル炭素、及び15個のアルキル炭素を有するアミノアルキルエステルである。別の実施形態において、R1は、アシル化されたアミノエステルである。さらなる実施形態において、R1は、コハク酸モノエステルである。さらなる実施形態において、R1は、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステルである。
【0039】
一つの実施形態において、R1はカルバメートである。Δ9−THCカルバメートの製造は、Δ9−THCの分子構造中に存在するヒドロキシル基を官能基化することに関する。さらなる実施形態において、R1はアルキルカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は、1個のアルキル炭素、2個のアルキル炭素、3個のアルキル炭素、4個のアルキル炭素、5個のアルキル炭素、6個のアルキル炭素、7個のアルキル炭素、8個のアルキル炭素、9個のアルキル炭素、10個のアルキル炭素、11個のアルキル炭素、12個のアルキル炭素、13個のアルキル炭素、14個のアルキル炭素、及び15個のアルキル炭素を有するアルキルカルバメートである。他の実施形態において、R1は、1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有するアミノカルバメートである。別の実施形態において、R1はアルキルアミノカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は、1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有し、並びに独立して、1個のアルキル炭素、2個のアルキル炭素、3個のアルキル炭素、4個のアルキル炭素、5個のアルキル炭素、6個のアルキル炭素、7個のアルキル炭素、8個のアルキル炭素、9個のアルキル炭素、10個のアルキル炭素、11個のアルキル炭素、12個のアルキル炭素、13個のアルキル炭素、14個のアルキル炭素、及び15個のアルキル炭素を有するアルキルアミノカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は環状アルキルアミノカルバメートである。別の実施形態において、R1は、酸素化されたカルバメートである。別の実施形態において、R1は、オキサカルバメートである、酸素化されたカルバメートである。別の実施形態において、R1は、ペグ化されたオキサカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は、1個のエチレングリコール繰り返し単位、2個のエチレングリコール繰り返し単位、3個のエチレングリコール繰り返し単位、4個のエチレングリコール繰り返し単位、5個のエチレングリコール繰り返し単位、6個のエチレングリコール繰り返し単位、7個のエチレングリコール繰り返し単位、8個のエチレングリコール繰り返し単位、9個のエチレングリコール繰り返し単位、10個のエチレングリコール繰り返し単位、11個のエチレングリコール繰り返し単位、12個のエチレングリコール繰り返し単位、13個のエチレングリコール繰り返し単位、14個のエチレングリコール繰り返し単位、及び15個のエチレングリコール繰り返し単位を有し得る、ペグ化されたオキサカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は、ヒドロキシル化されたカルバメートである。さらなる実施形態において、R1は、分岐したヒドロキシル化されたカルバメートである。別の実施形態において、R1はヒドロキシカルボニルカルバメートである。
【0040】
一つの実施形態において、R1はカーボネートである。Δ9−THCカーボネートの製造は、Δ9−THCの分子構造中に存在するヒドロキシル基を官能基化することに関する。別の実施形態において、R1のカーボネートは酸素化される。別の実施形態において、R1はオキサカーボネートである、酸素化されたカーボネートである。別の実施形態において、R1はペグ化されたオキサカーボネートである。さらなる実施形態において、R1は、1個のエチレングリコール繰り返し単位、2個のエチレングリコール繰り返し単位、3個のエチレングリコール繰り返し単位、4個のエチレングリコール繰り返し単位、5個のエチレングリコール繰り返し単位、6個のエチレングリコール繰り返し単位、7個のエチレングリコール繰り返し単位、8個のエチレングリコール繰り返し単位、9個のエチレングリコール繰り返し単位、10個のエチレングリコール繰り返し単位、11個のエチレングリコール繰り返し単位、12個のエチレングリコール繰り返し単位、13個のエチレングリコール繰り返し単位、14個のエチレングリコール繰り返し単位、及び15個のエチレングリコール繰り返し単位を有し得る、ペグ化されたオキサカーボネートである。さらなる実施形態において、R1はヒドロキシル化されたカーボネートである。さらなる実施形態において、R1はヒドロキシル化されたカーボネートである。さらなる実施形態において、R1は分岐したヒドロキシル化されたカーボネートである。別の実施形態において、R1はヒドロキシカルボニルカーボネートである。他の実施形態において、R1は1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有するアミノカーボネートである。別の実施形態において、R1は、アルキルアミノカーボネートである。さらなる実施形態において、R1は、1個のアミノ基、2個のアミノ基、3個のアミノ基、4個のアミノ基、及び5個のアミノ基を有し、並びに独立して、1個のアルキル炭素、2個のアルキル炭素、3個のアルキル炭素、4個のアルキル炭素、5個のアルキル炭素、6個のアルキル炭素、7個のアルキル炭素、8個のアルキル炭素、9個のアルキル炭素、10個のアルキル炭素、11個のアルキル炭素、12個のアルキル炭素、13個のアルキル炭素、14個のアルキル炭素、及び15個のアルキル炭素を有する、アミノアルキルカーボネートである。
【0041】
一つの実施形態において、R1はホスフェートである。Δ9−THCホスフェートの製造は、Δ9−THCの分子構造中に存在するヒドロキシル基を官能基化することを含む。この場合において、Δ9−THCホスフェートは、アンモニウム塩の形態で単離された。しかし当業者は、Δ9−THCホスフェートを、医薬上許容されるアミンの塩へと変換し得る。さらに当業者は、異なるホスフェート:アミン比率で塩を調製し得る。以下の構造において示されるように、Δ9−THCホスフェートは:
【0042】
【化2】

【0043】
[式中、
X及びYは、同一か又は異なり得、そして:水素;アルカリ金属(例えばナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム及びマグネシウム)を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオン(例えば、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、モノアミン、ジアミン、及び天然に存在するアミンを含むアミンの、四級化又はプロトン化アミン)からなる群から選択される]
の構造を有する。かかる医薬上許容される有機塩基の例は、コリン、ベタイン、カフェイン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン,グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、ピペラジン、グルコサミン、アルギニン、リシン、及びヒスチジンを含む。さらなる実施形態において、X及びYは異なる置換基である。別の実施形態において、X及びYは同一の置換基である。さらなる実施形態において、X及びYはいずれも同一の官能基、例えばピペラジンの一部であり得る。
【0044】
さらなる実施形態において、ホスフェートは、ジホスフェート及びトリホスフェートからなる群から選択される。別の実施形態において、当該化合物は、ジ又はトリホスフェートの塩形態である。
【0045】
式Iのさらなる実施形態は:
【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
[式中、
X及びYは:水素;アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオンからなる群から選択される]
を含む。
【0050】
本明細書に記載されたさらなる実施形態は:
(a)
【0051】
【化6】

【0052】
[式中、
1は、エステル、酸素化されたエステル、オキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、コハク酸モノエステル、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステル、アミノエステル、環状アミノエステル、アシル化されたアミノエステル、カーボネート、酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、ヒドロキシカルボニルアルキルカーボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサカルバメート、ペグ化されたカルバメート、ヒドロキシル化されたカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたカルバメート、ヒドロキシカルボニルアルキルカルバメート、ジハイドロジェンホスフェート、アルカリ金属ホスフェート塩、アルカリ土類金属ホスフェート塩、及び有機塩基のホスフェート塩から選択される]
からなる群から選択されるΔ9−THCプロドラッグ;並びに
(b)医薬上の賦形剤
を含む医薬組成物である。
【0053】
哺乳動物へ化合物を投与する方法であって、以下のステップ:
(a)
【0054】
【化7】

【0055】
[式中、
1は、エステル、酸素化されたエステル、オキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、コハク酸モノエステル、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステル、アミノエステル、環状アミノエステル、アシル化されたアミノエステル、カーボネート、酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、ヒドロキシカルボニルアルキルカーボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサカルバメート、ペグ化されたカルバメート、ヒドロキシル化されたカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたカルバメート、ヒドロキシカルボニルアルキルカルバメート、ジハイドロジェンホスフェート、アルカリ金属ホスフェート塩、アルカリ土類金属ホスフェート塩、及び有機塩基のホスフェート塩から選択される]
からなる群から選択される化合物を、医薬賦形剤と混合して、医薬組成物を形成し;
(b)前記医薬組成物から、哺乳動物へ投与するために好適な剤形を製造し;そして
(c)前記剤形を哺乳動物へ投与すること
を含む、前記方法である。
【0056】
さらなる実施形態は、Δ9−THCプロドラッグを哺乳動物へ経皮送達する方法であって、以下のステップ:
(a)
【0057】
【化8】

【0058】
[式中、
1は、エステル、酸素化されたエステル、オキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、コハク酸モノエステル、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステル、アミノエステル、環状アミノエステル、アシル化されたアミノエステル、カーボネート、酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、ヒドロキシカルボニルアルキルカーボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサカルバメート、ペグ化されたカルバメート、ヒドロキシル化されたカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたカルバメート、ヒドロキシカルボニルアルキルカルバメート、ジハイドロジェンホスフェート、アルカリ金属ホスフェート塩、アルカリ土類金属ホスフェート塩、及び有機塩基のホスフェート塩から選択される]
からなる群からΔ9−THCプロドラッグを選択し、
(b)前記選択されたΔ9−THCプロドラッグを、医薬上許容される賦形剤と混合して、医薬組成物を形成し;そして
(c)前記医薬組成物を、哺乳動物の皮膚へ接触させること
を含む、前記方法を含む。
【0059】
本明細書に記載されるさらなる実施形態は、哺乳動物の病状を処置するための方法であって:
【0060】
【化9】

【0061】
[式中、
1は、エステル、酸素化されたエステル、オキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、コハク酸モノエステル、シュウ酸が混合されたペグ化されたエステル、アミノエステル、環状アミノエステル、アシル化されたアミノエステル、カーボネート、酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、ヒドロキシカルボニルアルキルカーボネート、カルバメート、アルキルカルバメート、アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサカルバメート、ペグ化されたカルバメート、ヒドロキシル化されたカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたカルバメート、ヒドロキシカルボニルアルキルカルバメート、ジハイドロジェンホスフェート、アルカリ金属ホスフェート塩、アルカリ土類金属ホスフェート塩、及び有機塩基のホスフェート塩から選択される]
からなる群から選択されるΔ9−THCプロドラッグを投与するステップを含む、前記方法である。
【0062】
一つの実施形態において、生じる式IのΔ9−THCプロドラッグは、Δ9−THCよりも親水性であり、したがって、水に対してより溶解性を有する。Δ9−THC、及びΔ9−THCの種々のプロドラッグに関する、水/オクタノール分配係数のlog10値(logP)を、図10に示す。さらなる実施形態は、Δ9−THCのものよりも小さいlogP値を有する、Δ9−THCのプロドラッグである。さらなる実施形態は、Δ9−THCのものよりも大きいlogP値を有する、Δ9−THCのプロドラッグである。さらなる実施形態は、Δ9−THCのものとほぼ同等のlogP値を有する、Δ9−THCのプロドラッグである。
【0063】
医薬賦形剤
本明細書において記載された医薬組成物は、所望であれば、一つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む。本明細書において用語「賦形剤」は、それ自体治療薬ではなく、対象への治療剤の送達のための担体又はビヒクルとして使用される、或いは例えば、その取り扱い若しくは貯蔵特性を改善するために、又は組成物の投与量単位の形成を可能とするために若しくは容易とするために添加される、任意の物質を意味する。賦形剤は、限定的ではない実例として、溶媒、増粘剤、浸透促進剤、湿潤剤、滑剤、軟化剤、不快な臭気、芳香を遮断又は中和するために添加される物質、並びに当該組成物の外見及び質感を改善するために添加される物質を含む。任意のかかる賦形剤は、本開示の任意の剤形において使用され得る。賦形剤の先のリストは、網羅的なものを意味せず、追加の賦形剤が、Δ9−THCプロドラッグの送達のための所望の目標を達成するために使用され得ると当業者が理解するように、実例を挙げているにすぎない。
【0064】
賦形剤を含む本開示の組成物は、薬学、薬剤学、薬物送達、薬物動態、医学、又は賦形剤と薬剤若しくは治療剤とを混合することを含む、他の関連する分野における当業者に既知の任意の方法によって調製され得る。
【0065】
一つの実施形態において、本明細書において記載されたΔ9−THCプロドラッグは、浸透促進剤と共に混合され得る。浸透促進剤の非限定の例は、C8−C22の脂肪酸、例えばイソステアリン酸、オクタン酸、及びオレイン酸;C8−C22の脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール、及びラウリルアルコール;C8−C22脂肪酸の低級アルキルエステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、及びラウリン酸メチル;C6−C22の二酸のジ(低級)アルキルエステル、例えば、アジピン酸ジイソプロピル;C8−C22の脂肪酸のモノグリセリド、例えばグリセリルモノラウレート;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセロール;酢酸エチル;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;及びテルペンを含む。使用のために好適なさらなる浸透促進剤はまた、2002年8月15日に米国特許出願公開第2002−0111377A1号として公開された、米国特許出願番号第10/032,163号明細書において見られる。
【0066】
一つの実施形態において、本明細書において記載されたΔ9−THCプロドラッグは、増粘剤(別名ゲル化剤)と混合され得る。本明細書において使用される増粘剤は、アニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸(CARBOPOL(登録商標)、Noveon,Inc社製,Cleveland,Ohio)、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロースなどを含み得、そしてそれは、Carbopol(登録商標)ポリマーの誘導体、例えばCarbopol(登録商標)Ultrez 10、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、Carbopol(登録商標)954、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)ETD2001、Carbopol(登録商標)EZ−2、及びCarbopol(登録商標)EZ−3、並びに他のポリマー、例えばPemulen(登録商標)高分子乳化剤、並びにNoveon(登録商標)ポリカルボフィルを含む。さらなる増粘剤、促進剤及び補助剤は、「Remington’s The Science and Practice of Pharmacy」、及び「Handbook of Pharmaceutical Excipients」Arthur H.Kibbe編、2000年、に通常見られ得る。増粘剤又はゲル化剤は、組成物の所望のレオロギー的特性を提供するために十分な量で存在する。具体的には、一つ以上の医薬上許容される増粘剤又はゲル化剤が、全体量中に、約0.1重量%、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10重量%、約10.5重量%、約11重量%、約11.5重量%、約12重量%、約12.5重量%、約13重量%、約13.5重量%、約14重量%、約14.5重量%、又は約15重量%で存在する。
【0067】
一つの実施形態において、中和剤は、ゲル形成時に補助するために場合により存在する。好適な中和剤は、水酸化ナトリウム(例えば水性混合物として)、水酸化カリウム(例えば水性混合物として)、水酸化アンモニウム(例えば水性混合物として)、トリエタノールアミン、トロメタミン(2−アミノ2−ヒドロキシメチル−1、3プロパンジオール)、アミノメチルプロパノール(AMP)、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジイソプロパノールアミン、Ethomeen C−25(Armac Industrial Division)、Di−2(エチルヘキシル)アミン(BASF−Wyandotte Corp.,Intermediate Chemicals Division)、トリアミルアミン、Jeffamine D−1000(Jefferson Chemical Co.)、b−ジメチルアミノプロピオナイトライト(b−Dimethylaminopropionitrite)(American Cyanamid Co.)、Armeen CD(Armac Industrial Division)、Alamine 7D(Henkel Corporation)、ドデシルアミン、及びモルホリンを含む。当該中和剤は、哺乳動物の皮膚と接触するために好適なゲルを形成するために十分な量で存在する。
【0068】
一つの実施形態において、製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチであり、そしてΔ9−THCプロドラッグ、場合により浸透促進剤、増粘剤、低級アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;及び水を含む。別の実施形態において、製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチであり、水酸化ナトリウム、又はトリエタノールアミン、又は水酸化カリウム、又はそれらの組み合わせを、ゲル形成時にゲル化剤を補助するために、当技術分野で既知である十分量をさらに含む。
【0069】
一つの実施形態において、水酸化ナトリウムの溶液、例えば0.1N水酸化ナトリウム溶液、0.2N水酸化ナトリウム溶液、0.5N水酸化ナトリウム溶液、1.0N水酸化ナトリウム溶液、1.5N水酸化ナトリウム溶液、2.0N水酸化ナトリウム溶液、又は当該組成物へ水酸化ナトリウムの十分量を提供する任意の他の好適な溶液が使用される。一つの実施形態において、当該組成物は、約1%〜約10%の0.1N水酸化ナトリウムを含む。
【0070】
さらなる実施形態は、以下の組成物を含む:
【0071】
【表1】

【0072】
本明細書に記載された組成物は、一つ以上の医薬上許容される湿潤剤を賦形剤として場合により含む。本開示の組成物中で湿潤剤として使用され得る界面活性剤の非限定の例は、四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化セチルピリジニウム、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、ノノキシノール(nonoxynol)9、ノノキシノール10、及びオクトキシノール(octoxynol)9、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロック共重合体)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び油、例えばポリオキシエチレン(8)カプリル酸/カプリン酸モノ及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油、及びポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(40)ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween(商標)80)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールラウレート(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びそれらの塩、例えばオレイン酸、オレイン酸ナトリウム、及びオレイン酸トリエタノールアミン、グリセリル脂肪酸エステル、例えば、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、及びソルビタンモノステアレート、チロキサポール、並びにそれらの混合物を含む。かかる湿潤剤は、存在するならば、当該組成物の全重量中、約0.25%〜約15%、約0.4%〜約10%、又は約0.5%〜約5%を構成する。具体例として、一つ以上の医薬上許容される湿潤剤が、全量中、約0.25重量%、約0.5重量%、約0.75重量%、約1重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7.0重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、又は約10重量%で存在する。
【0073】
本明細書に記載された組成物は、一つ以上の医薬上許容される(固結防止剤及び/又は流動促進剤を含む)滑剤を賦形剤として場合により含む。好適な賦形剤は、ベハピン酸グリセリン(glyceryl behapate)(例えばCompritol(商標)888);ステアリン酸、並びにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びナトリウムを含むその塩;水素化植物油(例えば、Sterotex(商標));コロイド状シリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、Carbowax(商標)4000、及びCarbowax(商標)6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムを、個別か又は組み合わせてのいずれかで含む。存在するならば、かかる滑剤は、当該組成物全量の約0.1重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜約8重量%、約0.25重量%〜約5重量%を構成する。具体例として、一つ以上の医薬上許容される滑剤が、全量中、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%又は約10.0重量%で存在する。
【0074】
別の実施形態において、本明細書に記載された組成物は、軟化剤を場合により含む。具体的な軟化剤は、鉱油とラノリンアルコールとの混合物、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ワセリン、ワセリン及びラノリンアルコール、セチルエステルワックス、コレステロール、グリセリン、グリセリルモノステアレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、レシチン、アリルカプロエート、アルテア・オフィシナリス(althea officinalis)抽出物、アラキジルアルコール、argobaseEUC、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、アカシア、アラントイン、カラギーナン、セチルジメチコーン、シクロメチコン、コハク酸ジエチル、ジヒドロアビエチルベハネート(dihydroabietyl behenate)、アジピン酸ジオクチル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミル、オクタン酸エステル、PEG−75ラノリン、ラウリン酸ソルビタン、くるみ油、小麦胚種油、スーパーリファインド(super refined)アーモンド、スーパーリファインドごま油、スーパーリファインド大豆、パルミチン酸オクチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、及びヤシ脂肪酸グリセリルを含む。存在するならば、軟化剤は、本明細書に記載された組成物中に、約1重量%〜約30重量%、約3重量%〜約25重量%、又は約5重量%〜約15重量%の量で存在する。具体的には、一つ以上の軟化剤が、全量中、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、又は約30重量%で存在する。
【0075】
一つの実施形態において、組成物は、抗菌性保存剤を含む。具体的な抗菌性保存剤は、限定されないが、安息香酸、フェノール酸、ソルビン酸、アルコール、塩化ベンゼトニウム、ブロノポール、ブチルパラベン、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、エチルパラベン、イミドウレア、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム、又はチメロサールを含む酸を含む。存在するならば、抗菌性保存剤は、全量中、約0.1重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜約3重量%、又は約0.3重量%〜約2重量%で、例えば約0.2重量%、0.4重量%、0.6重量%、0.8重量%、1重量%、1.2重量%、1.4重量%、1.6重量%、1.8重量%、2重量%、2.2重量%、2.4重量%、2.6重量%、2.8重量%、3.0重量%、3.2重量%、3.4重量%、3.6重量%、3.8重量%、4重量%、4.2重量%、4.4重量%、4.6重量%、4.8重量%、又は5重量%で存在する。
【0076】
本明細書に記載された組成物は、一つ以上の乳化剤を場合により含む。用語「乳化剤」は、無極性層と極性層との間の表面張力を下げることができる薬剤のことであり、そして他では「自己乳化」剤として定義される化合物を含む。好適な乳化剤は、炭水化物、タンパク質、高分子量アルコール、湿潤剤、ワックス、及び微粉化した固体を含む、医薬上許容される乳化剤の任意の分類由来であり得る。存在するならば、任意の乳化剤は、組成物全量中、約1重量%〜約15重量%、約1重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約5重量%で存在する。具体的には、一つ以上の乳化剤が、全量中、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%で存在する。
【0077】
別の実施形態において、水非混和性溶媒は、プロピレングリコールを含み、そして当該組成物中に約1重量%〜約99重量%で存在し、例えば、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又は約99重量%で存在する。
【0078】
本明細書に記載された組成物は、一つ以上の結合剤を場合により含み得る。結合剤は、乾燥しているか又は湿っているかのいずれかであり得る。乾燥性結合剤は、単純及び複合炭水化物(例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マルトデキストリン、デンプン、修飾デンプン、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、及びエリスリトール)、セルロース、及びセルロース性誘導体(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース)を含む。湿性結合剤は、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、及びアカシアを含む。所望の結果に応じて、薬学、薬剤学、薬物送達、薬物動態、医学、又は、賦形剤を薬剤若しくは治療剤と混合して組成物とすることを含む他の関連する分野における当業者は、好適な結合剤、及び当該結合剤の相対濃度を選択することができるであろう。
【0079】
別の実施形態において、本明細書に記載された組成物は、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、微結晶セルロース、及びデンプンを含み得る。所望の結果に応じて、薬学、薬剤学、薬物送達、薬物動態、医学、又は、賦形剤を薬剤若しくは治療剤と混合して組成物とすることを含む他の関連する分野における当業者は、好適な崩壊剤、及び当該崩壊剤の相対濃度を選択することができるであろう。
【0080】
さらなる実施形態において、本明細書において開示された組成物は、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びその医薬上許容される塩、タルク、植物油、及びワックスを含み得る。所望の結果に応じて、薬学、薬剤学、薬物送達、薬物動態、医学、又は、賦形剤を薬剤若しくは治療剤と混合して組成物とすることを含む他の関連する分野における当業者は、好適な滑剤、及び当該滑剤の相対濃度を選択することができるであろう。
【0081】
本明細書に記載された組成物はまた、場合により一つ以上の味覚増強剤、例えば、アスパルテーム、アセサルフェームカリウム、スクラロース、及びサッカリンを含む甘味剤、或いは矯味剤、例えば香味剤を場合により含み得る。所望の結果に応じて、薬学、薬剤学、薬物送達、薬物動態、医学、又は、賦形剤を薬剤若しくは治療剤と混合して組成物とすることを含む他の関連する分野における当業者は、好適な味覚増強剤又は矯味剤、及び当該味覚増強剤又は矯味剤の相対濃度を選択することができるであろう。
【0082】
治療的使用
一つの実施形態において、本明細書に開示された組成物は、一つ以上のΔ9−THCプロドラッグを、当該組成物全量の約0.1重量%〜約95重量%で含み、例えば、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%で含む。
【0083】
本明細書において使用される用語「治療上有効な量」又は「治療上及び/又は予防上有効な量」は、特定の処置状況を必要とし得る、必要とされる若しくは所望の治療的及び/又は予防的応答を生じさせるために十分である化合物量若しくは薬剤量のことである。
【0084】
対象に対する治療上及び/又は予防上有効な薬剤量は、対象の体重、及び当業者に周知の他の要因にとりわけ依存することが理解されるだろう。治療剤又はその組成物が投与され得る、本明細書における「対象」は、哺乳動物、例えばいずれかの性別のヒト対象、任意の年齢のヒト対象を含み、同様に任意の非ヒト動物、特に家畜又はコンパニオンアニマル、具体的にはネコ、イヌ、又はウマを含み、並びに実験動物、例えばテンジクネズミを含む。
【0085】
用語「処置する」、「処置した」、「処置している」及び「処置」は、哺乳動物、特にヒトの病状に対する任意の応答、又はその病状の予想のことであると広範囲に理解され得、そして限定されないが、以下を含む:
(i)当該病状が、当該病状を患い易いか又は患いにくく、しかしなお当該病状を診断されていない対象中に生じることを防ぐこと、したがって、当該処置は当該病状のための予防的処置を構成する;
(ii)当該病状を阻害すること、すなわち、当該病状の発現、発症、又は進行を抑止し、減速させ、遅延させること;或いは
(iii)当該病状を軽減すること、すなわち、当該病状の退行を生じさせること。
【0086】
一つの実施形態において、Δ9−THCプロドラッグの治療上有効な量は:拒食症、悪心、嘔吐、疼痛、消耗症候群、HIV−消耗、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、抗腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、多形性膠芽腫、神経膠腫、眼内圧上昇、緑内障、カンナビス使用障害、トゥレットシンドローム、ジストニア、多発性硬化症、炎症性腸疾患、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、抗炎症性、抗けいれん性、抗精神病性、抗酸化性、神経保護性、抗癌性、免疫調節性効果、末梢性疼痛、ヘルペス後神経痛に関与する神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内疼痛及び潰瘍、会陰切開術後の疼痛、乾癬、そう痒症、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、深刻な多形性紅斑(例えばスティーブンス・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、軟骨石灰化症、月経困難症に続発する関節痛、線維筋痛、筋骨格系疼痛、神経病性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱滑膜炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後変形性関節症、滑膜炎、及び若年性関節リウマチからなる群から選択される病状を処置するために投与される。
【0087】
医薬剤形
一つの実施形態において、任意の製剤の単一の投与量単位は、治療上有効な量、又は治療上及び/又は予防上有効な量のΔ9−THCプロドラッグを含む。
【0088】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、経皮投与のために好適である。別の実施形態において、経皮に投与可能な組成物は、腹部、背部、胸部、脚部、腕部、頭皮部、又は他の好適な皮膚表面の中、及び/又は周辺への投与のために適応され、そしてΔ9−THCプロドラッグが、パッチ、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム、又はオイルで投与される。
【0089】
別の実施形態において、経皮投与可能な本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグがグリコール製剤又はゲル製剤の形態である製剤を含む。
【0090】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、局所投与に好適である。別の実施形態において、局所投与可能な組成物は、腹部、背部、胸部、脚部、腕部、頭皮部、又は他の好適な皮膚表面の中、及び/又は周辺への投与のために適応され、そしてΔ9−THCプロドラッグが、パッチ、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム、又はオイルで投与される。
【0091】
別の実施形態において、本明細書に記載された組成物は、経口投与に好適である。別の実施形態において、経口投与可能な本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが錠剤、カプセル、懸濁液、シロップ、又は液体形態で投与される製剤を含む。さらなる実施形態において、当該組成物は、持続放出、又は長時間作用する錠剤又はカプセルとして製剤化され得る。さらなる実施形態において、経口用剤形は、組成物及び当業者に既知の技術を使用して、腸溶性コーティングされ得る。
【0092】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、口腔投与のために好適である。別の実施形態において、口腔投与される本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、ロゼンジ、スプレー、ゲル、ペースト、溶解可能錠剤、又は溶解可能片の形態で投与される製剤を含み得る。
【0093】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、舌下投与に好適である。別の実施形態において、舌下投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、ロゼンジ、スプレー、ゲル、ペースト、溶解可能錠剤、又は溶解可能片の形態で投与される製剤を含み得る。
【0094】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、注射投与に好適である。別の実施形態において、注射投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、静脈内、髄腔内、皮下、又はデポ注射で投与される製剤を含み得る。
【0095】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、直腸投与に好適である。別の実施形態において、直腸投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、坐剤、軟膏、クリーム、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム、又はオイルの形態である製剤を含み得る。
【0096】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、膣内投与に好適である。別の実施形態において、膣内投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、坐剤、軟膏、クリーム、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、フォーム、又はオイルの形態である製剤を含み得る。
【0097】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、眼球投与に好適である。別の実施形態において、眼球投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、軟膏、懸濁液、ゲル、又はスプレーの形態である製剤を含み得る。
【0098】
一つの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、経鼻投与に好適である。別の実施形態において、経鼻投与可能である本明細書に記載された組成物は、Δ9−THCプロドラッグが、軟膏、懸濁液、溶液、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、又はミストの形態である製剤を含み得る。
【実施例】
【0099】
実施例1
第I節 概要
本目的は、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成することであり、そしてΔ9−テトラヒドロカンナビノール及びそのプロドラッグのインビトロにおけるヒト腹部皮膚への浸透を評価することであった。9個のΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、そして試験した。潜在的な候補品の化学的安定性をスクリーニングするために、及び拡散試験の間に剤形を保つプロドラッグの能力を決定するために、拡散試験におけるドナー溶液と比較した製剤の化学的安定性について、合成されたΔ9−テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグを分析した。Δ9−テトラヒドロカンナビノールへの変換率を測定するために、血漿中の安定性について、合成されたΔ9−テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグを分析した。血漿中で、潜在的候補品は、速やかにΔ9−テトラヒドロカンナビノールへと変換されたが、一方で安定なプロドラッグはほとんど変換されなかった。当該手順は、親分子へと生物変換されない化合物を選別して排除するために実施された。拡散セルへの流入を、浸透試験のために使用した。当該浸透試験のために使用されるレシーバーは、25%エタノール水溶液、又は40%PEG(ポリエチレングリコール)400水溶液のいずれかであった。ドナー溶液は、100%PG(プロピレングリコール)、PG:エタノール:H2O=1:1:1、PG:エタノール:H2O=2.36:1.18:1のものを含むか、またはゲル製剤中にすり込まれた。Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの流束及び遅延時間の値が、当該浸透プロファイルから得られた。24時間の拡散試験後における皮膚への薬剤の蓄積は、μmol/g湿組織重量として決定された。
【0100】
第II節 手順
1.0.目的:Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、そしてΔ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグのインビトロにおけるヒト皮膚への浸透を評価した。以下の化合物が合成され、そして評価された:
【0101】
【化10】

【0102】
【化11】

【0103】
2.0 皮膚の詳細
以下の実験で使用される皮膚試料は、腹部縮小手術(abdominal reduction surgery)から得られ、そして約200μmの厚さに切られた。ここで使用される皮膚試料を、6か月未満、−20℃で凍結した。
【0104】
3.0 化学薬品
アセトニトリル(HPLCグレード)、トリフルオロ酢酸、トリエチルアミン、硫酸ゲンタマイシン、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、アセトン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、1−オクタンチオール、及び水酸化ナトリウムをFisher Scientific(Fairlawn、NJ)から購入した。メタノール(HPLCグレード)、アセトニトリル(HPLCグレード)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジメチルグリシン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、モノ−Fmoc−1,4−ブタンジアミン塩酸塩、及びポリエチレングリコール400(PEG400)を、VWR(West Chester、PA)から購入した。プロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、トリホスゲン、Δ9−テトラヒドロカンナビノール、及び無水エタノール、チオフェノール、無水コハク酸、N−ホルミルグリシン、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−L−プロリンジシクロヘキシルアンモニウム塩をSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。石油エーテル、酢酸エチル、ヘキサン、クロロホルム、無水硫酸ナトリウム、塩化メチレン、及びジクロロメタンを、University of Kentucky Chemical Stores(Lexington、KY)から購入した。アルゴン及びプレ精製された窒素を、Scott Gross Company(Lexington、KY)から購入した。Carbopol(登録商標)980を、Noveon,Inc.(Cleveland、OH)から得た。Nanopure水を、Barnstead NANOpure(登録商標)Diamond(商標)Ultrapure水ろ過システム(Dubuque、IA).から得た。以下の化合物を文献の手順に従って合成した:3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸(Macromolecules39(12),3978−3979,2006.)、及びN−ホルミルサルコシン(米国特許第5,684,161号明細書(1997))。
【0105】
4.0 Δ9−テトラヒドロカンナビノール(Δ9−THC)プロドラッグの合成
【0106】
4.1 ALL00117(Δ9−テトラヒドロカンナビノール3,6,9,12−テトラオキサトリデカノイルエスエル)の合成
【0107】
THC(68.6mg、0.218mmol)を、5mLのジクロロメタンに溶解した。次に、3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸(63.0mg、0.283mmol)のジクロロメタン(1mL)液を加え、その後4−ジメチルアミノピリジン(4.5mg、0.0218mmol)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(76.5mg、0.371mmol)を加えた。当該混合物を室温で2時間攪拌した。当該混合物をヘキサン(6mL)で希釈し、ろ過し、減圧下濃縮し、そしてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント4:1、2:1、1:1、0:1)にてシリカゲルクロマトグラフィーを行った。製造物を含む画分を減圧下濃縮し、数滴の酢酸エチルを用いてヘキサン中に溶解し、ろ過し、そして再度濃縮してALL00117(83mg、73%)を油状物として得た。
【0108】
ALL00117に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0109】
【化12】

【0110】
4.2 ALL00118(Δ9−テトラヒドロカンナビノールN,N−ジメチルグリシルエステル)の合成
【0111】
ジクロロメタン(4.5mL)中、N,N−ジメチルグリシン(60.3mg、0.585mmol)、THC(141mg、0.45mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(158mg、0.765mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(9.3mg、0.045mmol)から出発して、ALL00117と同一の手順で143mg(80%)のALL00118を油状物として得た。
【0112】
ALL00118に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0113】
【化13】

【0114】
4.3 ALL00119(Δ9−テトラヒドロカンナビノール3,6,9,12−テトラオキサトリデシルカーボネート)の合成
【0115】
テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(208mg、0.00065mol)をジクロロメタンに溶解し、そして当該溶液を氷浴中で冷却した。トリホスゲン(56mg、0.00019mol)をジクロロメタンに溶解し、そしてこの溶液をテトラエチレングリコールモノメチルエーテル溶液へ、0℃に維持しつつ、攪拌しながらゆっくりと加えた。当該混合物をアルゴン下で維持し、そして3時間攪拌した。
【0116】
テトラヒドロカンナビノール(170mg、0.00054mol)を10mLのジクロロメタンに溶解した。トリエチルアミン(82mg、0.00081mol)を一滴ずつ加えた。当該溶液にアルゴンを封入し、密閉し、そして3時間攪拌した。
【0117】
当該2つの溶液を合わせ、そして室温に戻した。当該混合物をアルゴン下で維持し、そして一晩攪拌した。当該溶媒を窒素下で少量へと減らし、そしてヘキサンを加えた。形成された沈澱物をろ過により除去した。ろ液を真空下で乾燥させた。粗生成物をヘキサン:塩化メチレンの1:1液に再度溶解した。
【0118】
溶出液としてヘキサン:酢酸エチル1:1を使用するシリカゲルカラムを用いて当該粗生成物を精製し、112mg(38%)のALL00119を得た。精製された製造物の外観は、透明な明るい琥珀色の粘性油状物であった。
【0119】
ALL00119に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0120】
【化14】

【0121】
4.4 ALL00120(Δ9−テトラヒドロカンナビノールN−ホルミルグリシルエステル)の合成
【0122】
テトラヒドロカンナビノール(134mg、0.00043mol)、N−ホルミルグリシン(56mg、0.00054mol)、DMAP(5.3mg、0.00004mol)を、10mLのジクロロメタン中で混合した。当該溶液を、室温で20分間攪拌した。DCC(124mg、0.00060mol)を当該混合物へ加えた。当該混合物を室温で一晩攪拌した。
【0123】
当該溶液を窒素下で少容量とし、そしてヘキサンを加えた。形成される沈殿物をろ過により除去した。ろ液を真空下乾燥させた。粗生成物をヘキサン:塩化メチレンの1:1液に再度溶解した。
【0124】
溶出液としてヘキサン:酢酸エチル1:1を使用するシリカゲルカラムを用いて当該粗生成物を精製した。精製された製造物の外観は、透明な明るい琥珀色の粘性油状物であった(136.8mg、80%)。
【0125】
ALL00120に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0126】
【化15】

【0127】
4.5 ALL00121(Δ9−テトラヒドロカンナビノールN−ホルミルサルコシルエステル)の合成
【0128】
ジクロロメタン(7.5mL)中、N−ホルミルサルコシン(73.2mg、0.625mmol)、THC(157mg、0.5mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(144.4mg、0.70mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(10.3mg、0.05mmol)から出発して、ALL00117と同一の手順で(反応時間3時間)161mg(78%)のALL00121を油状物として得た。
【0129】
ALL00121に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0130】
【化16】

【0131】
4.6 ALL00122(Δ9−テトラヒドロカンナビノール3,6,9,12−テトラオキサトリデシルオキサレート)の合成
【0132】
テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(402mg、1.93mmol)を、一滴ずつ、オキサリルクロリド(1.63mL、19.3mmol)へと氷水中攪拌しながら加えた。当該混合物を室温へと昇温し、20分間攪拌し、そして減圧下濃縮した。ベンゼン(0.3mL)を加え、そして当該混合物を再度濃縮して571mgの粗生成物のシュウ酸モノ−3,6,9,12−テトラオキサトリデシルエステルクロリドを得た。
【0133】
シュウ酸モノ−3,6,9,12−テトラオキサトリデシルエステルクロリドの粗生成物(269mg、0.90mmol)を、THC(188.6mg、0.60mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(223mg、1.08mmol)の乾燥ジクロロメタン(3mL)溶液へ一滴ずつ加えた。
【0134】
シュウ酸モノ−3,6,9,12−テトラオキサトリデシルエステルクロリドの粗生成物を、アルゴン雰囲気下、攪拌しながら及び氷水中で冷却しながら、乾燥ジクロロメタン(3mL)の溶液へと一滴ずつ加えた。当該混合物を室温で2時間攪拌し、そして4−ジメチルアミノピリジン(44mg)及びシュウ酸モノエステルクロリドの粗成生物(54mg)の両方のさらに2回分を、2時間ごとに冷却しながら加えた。当該混合物を一晩攪拌し、ヘキサンで希釈し、そして減圧下で濃縮した。残渣をヘキサン−酢酸エチル(グラジエント2:1、1:1、0:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、189mg(39%)のALL00122を油状物として得た。
【0135】
ALL00122に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0136】
【化17】

【0137】
4.7 ALL00123(Δ9−テトラヒドロカンナビノールヘミサクシネート)の合成
【0138】
THC(204.4mg、0.65mmol)、無水コハク酸(91.1mg、0.91mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(187.8mg、0.91mmol)の混合物のジクロロメタン(3.25mL)液を、室温で4時間攪拌した。追加で、無水コハク酸(43mg)及び4−ジメチルアミノピリジン(102mg)を加え、そして一晩攪拌を続けた。氷酢酸(351mg、5.85mmol)を攪拌しながら加え、そしてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント2:1、1:1、0:1)を用いて、当該反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにて直接精製し、133.8mg(50%)のALL00123を油状物として得た。
【0139】
ALL00123に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0140】
【化18】

【0141】
4.8 ALL00124(Δ9−テトラヒドロカンナビノール4-アミノブチルカルバメート)の合成
【0142】
モノ−Fmoc−1,4−ブタンジアミン塩酸塩(461mg、1.33mmol)の、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(33.3mL)及びジクロロメタン(22.2mL)の溶液を攪拌しながら、トリホスゲン(592mg、2.0mmol)のジクロロメタン(5mL)液を室温で加えた。1時間攪拌後、当該製造物をジクロロメタン(40mL)で抽出し、そしてジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、そして濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、そしてヘキサンを加えることによって当該製造物を沈澱させた。Fmoc−4−アミノブチルイソシアネートを、白色固体として、ろ過により回収した(305mg、68%)。
【0143】
トリエチルアミンを、THC(141.5mg、0.45mmol)の乾燥DCM(0.4mL)溶液へと加えた。アルゴン雰囲気下、室温で5分間攪拌し、Fmoc−4−アミノブチルイソシアネートの乾燥DCM(0.4mL)溶液を加え、そして一晩攪拌を継続した。反応混合物をろ過し、そしてろ液を、シリカゲルクロマトグラフィーにてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント10:1、5:1、4:1、2:1)を用いて精製し、216mg(74%)のTHC Fmoc−4−アミノブチルカルバメートを得た。
【0144】
THC Fmoc−4−アミノブチルカルバメート(202mg、0.31mmol)のTHF(3mL)溶液を攪拌しながら、1−オクタンチオール(227mg、1.55mml)を加え、その後DBU(6.28mg、0.062mmol)を加えた。室温で105分攪拌後、当該反応混合物をヘキサン(3mL)で希釈し、そしてジクロロメタン−メタノール(グラジエント1:0、20:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1)を用いて、シリカゲルクロマトグラフィーにて直接精製し、120mg(90%)のALL00124を油状物として得た。THCへの分解を避けるために、当該化合物は、濃縮後に速やかに−20℃にて貯蔵されるべきである。
【0145】
ALL00124に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0146】
【化19】

【0147】
4.9 ALL00125(Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロリルエステル)の合成
【0148】
pH3.5のクエン酸バッファーとジクロロメタンを用いた抽出により、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−L−プロリンを、そのジシクロヘキシルアンモニウム塩(150mg)から遊離の状態とした。
【0149】
ジクロロメタン中、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−L−プロリン、THC(76.8mg、0.244mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(70.4mg、0.34mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(3mg、0.024mmol)から出発して、ALL00117と同一の手順にて(反応時間1時間)、102.7mg(74.5%)のTHC N−Fmoc−プロリルエステルを黄色油状物として得た。
【0150】
THC N−Fmoc−プロリルエスエル(99.7mg)を、10%(v/v)のチオフェノール及び1.5%(v/v)のTFAを含有する乾燥ジクロロメタンに溶解した。15分後、当該混合物を冷却した飽和炭酸水素ナトリウムへと注ぎ、そしてジクロロメタン(2×30mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を、冷水(30mL)を用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、そして濃縮して約2mLとした。
【0151】
粗生成物の溶液を、シリカゲルクロマトグラフィーにて、ジクロロメタン−メタノール(グラジエント100:0、100:1、50:1、40:1、30:1)を用いて精製した。生成物を含有する合わせたフラクションを、クロロホルムで希釈し、25℃にて約10mLへと濃縮し、クロロホルムを用いて希釈し、そして約1mLへと再度濃縮した。当該生成物の溶液をクロロホルム(約20mL)で再度希釈し、そして乾燥するまで濃縮した。残存する油を速やかに1mLのクロロホルムに溶解し、乾燥するまで濃縮し、そして速やかに2mLのクロロホルムに溶解し、ALL00125(約30mg/mL)のストック溶液を得、そしてそれを−20℃で貯蔵した。データ回収のために必要とされる試料は、実験の直前に当該ストック溶液を濃縮することによって調製した。
【0152】
ALL00125に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0153】
【化20】

【0154】
5.0 血漿における安定性試験
【0155】
約1mg/mLの各々のプロドラッグのストック溶液を、100μLのエタノール、及び900μLのアセトニトリルで調製した。次に、10μLのストックを1mLの血漿へと加え、そしてボルテックスにかけた。当該試料をアンバー・バイアル中に封入し、そして親薬剤への生物変換を分析するための試料を得た。
【0156】
6.0 インビトロにおける皮膚透過試験
【0157】
6.1 レシーバー流体の調製
最初に25%のエタノール水溶液をレシーバー流体のために使用したが、当該プロファイルは標準的なものではなく、そして直線的な薬剤プロファイルを得るために十分な時点を有さなかった。25%エタノール水溶液のレシーバー流体及び40%PEG400のレシーバー流体との間の比較が試験された。40%PEG400は、標準的なプロファイルを与え、そして各々の薬剤においてより高い濃度を有し、そしてそれは拡散試験の残りのために使用されるレシーバー流体であった。レシーバー流体は、900mLのnanopure水をメスシリンダーで測定することによって調製された。当該水は0.2μのフィルター(Millipore,Billerica,MA)でろ過された。さらに、当該ろ過された水へ75mgのゲンタマイシンを加え、そして600mLのPEG400を加えた。
【0158】
6.2 製剤の調製
4つの異なる製剤が、ドナー部を満たすために使用された。薬剤は、100%PG、1:1:1のPG:エタノール:H2O、2.36:1.18:1のPG:エタノール:H2O、又はゲル製剤のいずれかで作製された。当該溶液に関して、好適な量の薬剤を、ガラスをシリル化処理したカルチャーチューブへと秤量し、そしてエタノールを加えて当該薬剤を溶液とし、その後PGを加え、そして水を最後に加えた。ゲル製剤は、無水エタノール、水、ミリスチン酸イソプロピル、Carbopol(登録商標)980、0.1N水酸化ナトリウム溶液、及び各々の薬剤を含んだ。
【0159】
6.3 透過試験
【0160】
(i)腹部形成術において採取され、そして−20℃で貯蔵された皮膚を、当該実験のために使用した。PermeGear flow−through(In−Line,Hellertown,PA)拡散セルシステムを皮膚透過試験のために使用した。
【0161】
(ii)水浴を循環させながら、拡散セルを32℃で維持した。ドナー部に面する角質層(皮膚の上層)と共に、拡散セル中にヒト表皮を配置した。皮膚の浸透面積は0.95cm2であった。一つの処置あたり3つの拡散セルを用いて、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0162】
(iii)レシーバー溶液は25%エタノール水溶液、又は40%PEG400水溶液であり、そして流速は0.8mL/時に調節された。各々のセルは、各々の製剤の50若しくは100μL(ドナー溶液)でチャージされ、又はテフロン(登録商標)コーティングされた棒を用いて15秒間皮膚へと擦られる35μLのゲル製剤を用いてチャージされた。当該製剤を適用して完全な被覆を確保した。当該試験の継続のために、ストッパーを用いて拡散セルを覆った。
【0163】
(iv)3時間の増大で24時間の後に、試料をシンチレーションバイアルへと回収した。抽出されるまで全試料を4℃で貯蔵した。25%エタノール拡散試料の1mLのアリコートが、シリル化されたHPLCバイアルへ配置されるか、又は40%PEG400拡散試料のアリコート(500μL)が、シリル化されたHPLCバイアルへ配置され、そして500μLのアセトニトリルを当該試料中に加え、キャップし、そしてボルテックスにかけた。
【0164】
(v)当該実験の最後に、皮膚組織を拡散セルから除去し、nanopure水で洗い、そしてペーパータオルを用いてふき取って乾燥させた。組織表面に吸着している製剤を除去するために、ブックテープ(Scotch(商標),3M,St.Paul,MN)を使用して、皮膚に対して2回テープストリッピングを行った。当該薬剤と接触する皮膚領域を切除し、細かく切り、そしてあらかじめ重量を量っておいたシンチレーションバイアル中に入れた。10mLのアセトニトリルを当該バイアルへ加え、そして室温で一晩振とうすることによって薬剤を皮膚から抽出した。試料をHPLCによって分析した。
【0165】
(vi)当該実験の最後に、ドナー溶液の10μLのアリコートを除去し、そして10mLのアセトニトリルを含むシンチレーションバイアルへと加えた。バイアルをボルテックスにかけ、その後15分間ソニケーションした。1mLのアリコートを除去し、そしてシリル化されたHPLCバイアルへと分析のために移した。
【0166】
7.0 分析方法
【0167】
【表2】

【0168】
8.0 データ分析
レシーバー画分で回収された薬剤の蓄積量を、時間の関数としてプロットした。所定の実験における流束値は、浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分の傾きから得られた。浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分のX切片から遅延時間を得た。送達されるプロドラッグ、及びプロドラッグ由来のΔ9−テトラヒドロカンナビノールを合わせた結果を、「全Δ9−テトラヒドロカンナビノール」としてリスト化した。これらの値は、Δ9−テトラヒドロカンナビノール及び/又はプロドラッグの形態で送達される、全Δ9−テトラヒドロカンナビノール等価物としてのデータを表す。
【0169】
第III節 表
【0170】
表1.Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグ
【0171】
【表3】

【0172】
表2.100%PGドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)及びALL00117(n=3)の浸透データ
【0173】
【表4】

【0174】
表3.PG:エタノール:水=1:1:1のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=3)及びALL00118(n=3)の浸透データ
【0175】
【表5】

【0176】
表4.ゲル製剤を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00117(n=1)、及びALL00118(n=3)の浸透データ
【0177】
【表6】

【0178】
表5.PG:エタノール:水=1:1:1の溶液、及びより速い流速を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)の浸透データ
【0179】
【表7】

【0180】
表6.PG:エタノール:水=1:1:1のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)の浸透データ、及び2つの異なるレシーバー流体の比較
【0181】
【表8】

【0182】
表7.PG:エタノール:水=2.36:1.18:1のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00120(n=3)、ALL00121(n=2)、及びALL00123(n=3)の浸透データ
【0183】
【表9】

【0184】
表8.ゲル製剤を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00120(n=3)、ALL00121(n=2)、及びALL00123(n=3)の浸透データ
【0185】
【表10】

【0186】
表9.pH=5.5 PG:エタノール:水=2.36:1.18:1のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00119(n=3)、ALL00122(n=2)、及びALL00124(n=2)の浸透データ
【0187】
【表11】

【0188】
表10.pH=5.5 PG:エタノール:水=2.36:1.18:1のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=3)、ALL00124(n=2)、及びALL00125(n=3)の浸透データ
【0189】
【表12】

【0190】
表11.Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの、血漿における安定性
【0191】
【表13】

【0192】
実施例2
第I節 概要
本目的は、さらなるΔ9-テトラヒドロカンナビノール プロドラッグを合成することであり、そしてΔ9-テトラヒドロカンナビノール及びそのプロドラッグの、インビトロにおけるヒト腹部皮膚への浸透を評価することであった。4つのさらなるΔ9-テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、その内3つを試験した。合成されたΔ9-テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグは、テトラヒドロカンナビノールへの変換率を測定して、血漿における安定性を分析した。潜在的な候補品は、血漿中でΔ9-テトラヒドロカンナビノールへと速やかに変換されるが、一方で安定なプロドラッグはわずかに変換されるのみである。拡散セルへの流入を、浸透試験のために使用した。当該浸透試験のために使用されるレシーバーは、40%PEG(ポリエチレングリコール)400水溶液であった。ドナー溶液は、ゲル製剤中にすり込まれた。Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの流束及び遅延時間の値が、当該浸透プロファイルから得られた。24時間の拡散試験後における皮膚への薬剤の蓄積は、μmol/g湿組織重量として決定された。
【0193】
第II節 手順
1.0.目的:Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、そしてΔ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグのインビトロにおけるヒト皮膚への浸透を評価した。以下の化合物が合成された:
【0194】
【化21】

【0195】
2.0 皮膚の詳細
以下の実験で使用される皮膚試料は、腹部縮小手術から得られ、そして約200μmの厚さに切られた。ここで使用される皮膚試料を、6か月未満、−20℃で凍結した。
【0196】
3.0 化学薬品
トリフルオロ酢酸、トリエチルアミン、硫酸ゲンタマイシン、アセトン、(t−ブチルジメチルシリルオキシ)酢酸、ジクロロメタン(DCM)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及び炭酸水素ナトリウムを、Fisher Scientific(Fairlawn、NJ)を通じて購入した。メタノール(HPLCグレード)、アセトニトリル(HPLCグレード)、酢酸エチル、ヘキサン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、3−ジメチルアミノプロピオン酸 塩酸塩、及び ポリエチレングリコール400(PEG400)を、VWR(West Chester、PA)を通じて購入した。無水エタノールUSP、トリエチルアミン三フッ化水素塩、リボン酸ジアセトニド、及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールを、Sigma−Aldrich(St. Louis、MO)から購入した。無水硫酸ナトリウムを、UK Stores(Lexington、KY)から購入した。アルゴン、及びプレ精製した窒素を、Scott Gross Company(Lexington、KY)から購入した。Carbopol(登録商標)980を、Noveon、Inc.(Cleveland、OH)から購入した。Nanopure水を、Barnstead NANOpure(登録商標)Diamond(商標)Ultrapure水ろ過システム(Dubuque、IA)から得た。
【0197】
4.0Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの合成
【0198】
4.1 ALL00153(Δ9−テトラヒドロカンナビノール3−(ジメチルアミノ)プロピオネート)の合成
THC(46mg、0.00015mol)、3−ジメチルアミノプロピオン酸塩酸塩(28mg、0.00018mol)、及びDMAP(27mg、0.00022mol)を、1mLの乾燥ジクロロメタン中で混合した。溶液を室温で5分間撹拌した。DCC(45mg、0.00022mol)を当該混合物へ加えた。当該混合物を室温で3時間撹拌した。窒素気流下で反応混合物からジクロロメタンを除去した。当該試料にアセトニトリルを加え、そして固体をろ過により除去した。溶液を窒素下で少量へと減らした。移動相としてACN:pH3バッファー(80:20)を用いて、セミ分取C8HPLCカラムを使用してALL00153を単離した。減圧下、ロータリーエバポレーターによってAL00153を含む溶出フラクションからACNを除去した。残存する水層のpHを、1%炭酸水素ナトリウムを用いてpH8に調節した。DCMを用いて3回水層を抽出し、そして合わせたDCMを硫酸ナトリウムで乾燥した。DCMをロータリーエバポレーターによって除去した。精製産物の外観は、透明な、明るい琥珀色の粘性油状物であった。
【0199】
ALL00153を、エレクトロスプレー・陽イオンモードでLC/MSにより分析した。414.342(M+1,100%)の分子イオンを観測することにより、当該化合物の分子量を同定した。
【0200】
ALL00153に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0201】
【化22】

【0202】
4.2 ALL00154(Δ9−テトラヒドロカンナビノールグリコレート)の合成
【0203】
THC(78.6mg,0.25mmol)及び(t−ブチルジメチルシリルオキシ)酢酸(71.4mg,0.375mmol)のジクロロメタン(0.5mL)溶液を撹拌しながら、4−ジメチルアミノピリジン(6.1mg,0.05mmol)を加え、その後N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(103.2mg,0.5mmol)を加えた。当該混合物を室温で2時間撹拌した。追加量の(t−ブチルジメチルシリルオキシ)酢酸(80mg,0.42mmol)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(110mg,0.53mmol)を加え、そして撹拌を1時間継続した。当該混合物をヘキサン(1.5mL)で希釈し、ろ過し、減圧下濃縮し、そしてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント50:1,40:1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを行い、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテート(69.9mg,57.4%)を油状物として得た。
【0204】
次に、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(t−ブチルジメチルシリルオキシ)アセテート(67.8mg)をジクロロメタン(0.25mL)に溶解し、−15℃へと冷却し、そして0.25mLの冷やした2Nトリエチルアミン三フッ化水素塩−ジクロロメタン溶液で処理した。当該反応混合物を5℃で48時間放置した。当該混合物を過剰量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液/酢酸エチルへと注ぎ、0℃に冷却し、激しく撹拌した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層抽出物を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、そして濃縮した。残渣をヘキサン−酢酸エチル(グラジエント30:1、20:1、10:1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを行い、38.5mg(74%)のΔ9−テトラヒドロカンナビノールグリコレート(ALL00154)を油状物として得た。
【0205】
ALL00154に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0206】
【化23】

【0207】
4.3 ALL00155(Δ9−テトラヒドロカンナビノールD−リボネート)の合成
THC(63.8mg,0.00018m)及びリボン酸ジアセトニド((2R,3R,4R)−2,3,4,5−ジ−O−イソプロピリデン−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンタン酸)(63.8mg,0.00026m)を、0.5mLのDCM中で混合した。DMAP(2.1mg,0.00002m)を加え、そして当該溶液を短時間撹拌した。DCC(535.5mg,0.00026m)を加え、そして当該混合物を2時間撹拌した。ヘキサン(1.5mL)を加え、そして当該混合物をろ過した。ろ液を窒素下で少量へと減らした。製造物(62.5mg)を、ヘキサン:酢酸エチル=80:20で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して単離した。
【0208】
Δ9−テトラヒドロカンナビノールD−リボネートジアセトニドに関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0209】
【化24】

【0210】
当業者が、多くの利用可能なアセトニド脱保護法の一つを使用して、Δ9−テトラヒドロカンナビノールD−リボネートジアセトニドを脱保護してALL00155を形成することができると理解される。
【0211】
4.4 ALL00156(Δ9−テトラヒドロカンナビノールホスフェートアンモニウム塩)の合成
【0212】
THC(10.9mg,0.0347mmol)の無水THF(0.2mL)溶液を撹拌しながら、アルゴン雰囲気下0℃で、トリエチルアミン(0.0314mL,0.2253mmol)を加え、その後オキシ塩化リン(0.00635mL,0.0693mmol)を加えた。0℃にて2時間撹拌後、トリエチルアミン(0.020mL)を加え、その後水(0.030mL)を加えた。当該混合物を室温で24時間撹拌し、そして当該製造物を、Waters SymmetryPrep(登録商標)C8カラム(7.8×300mm,7μm粒子サイズ)を使用して、70:30(0.5%炭酸アンモニウム:ACN)からなる移動相、及び230nmのUV検出で精製した(RT15分)。
【0213】
ALL00156に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3−CD3OD;約10:1)は以下の通りであった:
【0214】
【化25】

【0215】
LC/MSのエレクトロスプレー・陰イオンモードでALL00156を分析した。当該化合物の分子量は、393.090(M−1、100%)のTHP-P(O)(OH)O-イオン、及び787.709(13.5%)の二量体の観測により確認された。
【0216】
5.0 血漿における安定性試験
【0217】
約1mg/mLの各々のプロドラッグのストック溶液を、100μLのエタノール、及び900μLのアセトニトリルで調製した。次に、10μLのストックを1mLの血漿へと加え、そしてボルテックスにかけた。当該試料をアンバー・バイアル中に封入し、そして親薬剤への生物変換を分析するために試料を得た。
【0218】
6.0 インビトロにおける皮膚透過試験
【0219】
6.1 レシーバー流体の調製
レシーバー流体は、600mLのnanopure水をメスシリンダーで測定することによって調製された。当該水は0.2μのフィルター(Millipore,Billerica,MA)でろ過された。次に、当該ろ過された水へ50mgのゲンタマイシンを加え、そして400mLのPEG400を加えた。
【0220】
6.2 製剤の調製
薬剤をゲル製剤とした。ゲル製剤は、無水エタノール、水、Carbopol(登録商標)980、0.1N水酸化ナトリウム溶液、及び各々の薬剤を含んだ。
【0221】
6.3 透過試験
【0222】
腹部形成術において採取され、そして−20℃で貯蔵された皮膚を、当該実験のために使用した。PermeGear flow−through(In−Line,Hellertown,PA)拡散セルシステムを皮膚透過試験のために使用した。
【0223】
水浴を循環させながら、拡散セルを32℃で維持した。ドナー部に面する角質層(皮膚の上層)と共に、ヒト表皮を拡散セル中に配置した。皮膚の浸透面積は0.95cm2であった。一つの処置あたり3つの拡散セルを用いて、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0224】
レシーバー溶液は40%PEG400水溶液であり、そして流速は0.8mL/時に調節された。各々のセルは、テフロン(登録商標)コーティングされた棒を用いて15秒間皮膚へと擦られた50μLのゲル製剤を用いてチャージされた。当該製剤を適用して完全な被覆を確保した。当該試験の継続のために、キャップを用いて拡散セルを覆った。
【0225】
3時間の増大で24時間の後に、試料をシンチレーションバイアルへと回収した。抽出されるまで全試料を4℃で貯蔵した。40%PEG400拡散試料のアリコート(500μL)が、シリル化されたHPLCバイアルへ配置され、そして500μLのアセトニトリルを当該試料中に加え、キャップし、そしてボルテックスにかけた。
【0226】
当該実験の最後に、皮膚を700μLのアセトニトリルで洗浄し、そしてその700μLのアセトニトリルから、10μLのアリコートが、10mLのアセトニトリルを含むシンチレーションバイアルへと希釈された。当該バイアルをボルテックスにかけ、その後15分間ソニケーションした。1mLのアリコートを除去し、そしてシリル化されたHPLCバイアルへと分析のために移した。
【0227】
当該実験の最後に、皮膚組織を拡散セルから除去し、nanopure水で30秒間ゆすぎ、そしてアルコールパッドを用いて2回ふき取った。組織表面に吸着している製剤を除去するために、ブックテープ(Scotch(商標),3M,St.Paul,MN)を使用して、皮膚に対して2回テープストリッピングを行った。当該薬剤と接触する皮膚領域を切除し、細かく切り、そしてあらかじめ重量を量っておいたシンチレーションバイアル中に入れた。10mLのアセトニトリルを当該バイアルへ加え、そして室温で一晩振とうすることによって薬剤を皮膚から抽出した。試料をHPLCによって分析した。
【0228】
7.0 分析方法
【0229】
【表14】

【0230】
8.0 データ分析
レシーバー画分に回収された薬剤の蓄積量を、時間の関数としてプロットした。所定の実験における流束値は、浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分の傾きから得られた。浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分のX切片から遅延時間を得た。送達されるプロドラッグ、及びプロドラッグ由来のΔ9−テトラヒドロカンナビノールを合わせた結果を、「全Δ9−テトラヒドロカンナビノール」としてリスト化した。これらの値は、Δ9−テトラヒドロカンナビノール及び/又はプロドラッグの形態で送達される、全Δ9−テトラヒドロカンナビノール等価物としてのデータを表す。
【0231】
第III節 表
【0232】
表12 Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグ
【0233】
【表15】

【0234】
表13 40%PEG400水溶液レシーバー流体を用いた、ゲル製剤における、THC(n=3)、ALL00153(n=3)、及びALL00154(n=1)の浸透データ
【0235】
【表16】

【0236】
表14 Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの血漿における安定性
【0237】
【表17】

【0238】
実施例3
第I節.概要
本目的は、さらなるΔ9-テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成することであり、そしてΔ9-テトラヒドロカンナビノール及びそのプロドラッグの、インビトロにおけるヒト腹部皮膚への浸透を評価することであった。10個のさらなるΔ9-テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、その内8個を試験した。合成されたΔ9-テトラヒドロカンナビノールのプロドラッグは、テトラヒドロカンナビノールへの変換率を測定して、血漿における安定性を分析された。潜在的な候補品は、血漿中でΔ9-テトラヒドロカンナビノールへと速やかに変換されるが、一方で安定なプロドラッグはわずかに変換されるのみである。当該手順は、親薬剤へ生物変換されない化合物を選別して除くために行われた。拡散セルへの流入を、浸透試験のために使用した。当該浸透試験のために使用されるレシーバー流体は、40%PEG(ポリエチレングリコール)400水溶液であった。ドナー溶液は、プロピレングリコール(PG):水:ミリスチン酸イソプロピル(IPM)=90:8:2を含んだ。Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの流束及び遅延時間の値が、当該浸透プロファイルから得られた。24時間の拡散試験後における皮膚への薬剤の蓄積は、μmol/g湿組織重量として決定された。
【0239】
第II節 手順
1.0.目的:Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、そしてΔ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグのインビトロにおけるヒト皮膚への浸透を評価した。以下の化合物が合成された:
【0240】
【化26】

【0241】
【化27】

【0242】
2.0 皮膚の詳細
以下の実験で使用される皮膚試料は、腹部縮小手術から得られ、そして約200μmの厚さに切られた。ここで使用される皮膚試料を、6か月未満、−20℃で凍結した。
【0243】
3.0 化学薬品
トリフルオロ酢酸、トリエチルアミン、硫酸ゲンタマイシン、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、ジクロロメタン、炭酸水素ナトリウム、4−ジメチルアミノピリジン、t−ブチルジメチルシリルクロリド、1−オクタンチオール、R−(+)−1−ベンジルグリセロール、及びFmoc−N−(4−ヒドロキシブチル)カルバメートを、FisherScientific(Fairlawn、NJ)を通じて購入した。メタノール(HPLCグレード)、アセトニトリル(HPLCグレード)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、イミダゾール、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、N,N−ジメチルグリシン、及びポリエチレングリコール400(PEG400)を、VWR(WestChester、PA)を通じて購入した。デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール、プロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、メチル(S)−(−)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシレート、メチル(R)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボキシレート、(R)−(−)−ソルケタール、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシンジシクロヘキシルアンモニウム塩、トリホスゲン、トリエチルアミン三フッ化水素塩、及びチオフェノールを、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO)から購入した。クロロホルム及び無水硫酸ナトリウムを、University of KentuckyChemical Stores(Lexington、KY)から得た。アルゴン及びプレ精製された窒素を、Scott Gross Company(Lexington、KY)から購入した。Nanopure水を、Barnstead NANOpure(登録商標)Diamond(商標)Ultrapure水ろ過システム(Dubuque、IA)から得た。以下の化合物を、文献の手順に従って合成した:5−カルボキシ−2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキサン(Macromolecules,31,4061,1998)、3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸(Macromolecules,39(12),3978−3979,2006.)、及びN−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−β−アラニン(JACS,85,3660,1963)。
【0244】
4.0 Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9−THC)プロドラッグの合成
【0245】
4.1 ALL00117(Δ9-テトラヒドロカンナビノール3,6,9,12−テトラオキサトリデカノイルエステル)の合成
【0246】
THC(200mg,0.0004mol)を、約10mLのジクロロメタンに溶解した。当該混合物を室温で約5分攪拌した。次に、3,6,9,12−テトラオキサトリデカン酸(43.3mg,0.195mmol)のジクロロメタン(1.75mL)液を加え、そして4−ジメチルアミノピリジン(1.8mg,0.015mmol)、及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(49.5mg,0.24mmol)を加えた。当該混合物を室温で一晩攪拌した。当該混合物をろ過し、減圧下濃縮し、そしてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント;4:1,2:1,1:1,0:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにて精製した。製造物を含むフラクションを減圧下濃縮し、数滴の酢酸エチルを加えたヘキサンに溶解し、ろ過し、そして再度濃縮してALL00117(65.5mg、65%)を油状物として得た。
【0247】
ALL00117に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0248】
【化28】

【0249】
4.2 ALL00118(Δ9-テトラヒドロカンナビノールN,N−ジメチルグリシルエステル)の合成
【0250】
N,N’−ジメチルグリシン、THC(150mg,0.3mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(49.5mg,0.24mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(1.8mg,0.015mmol)のジクロロメタン(1.75mL)液から出発して、ALL00117(反応時間)と同一の手順で、8mg(4%)のALL00118を油状物として得た。
【0251】
ALL00118に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0252】
【化29】

【0253】
4.3 ALL00126(Δ9−テトラヒドロカンナビノール(R)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネート)の合成
【0254】
(R)−(+)−1−ベンジルグリセロールを、イミダゾール存在下、t−ブチルジメチルシリルクロリドと反応させ、その後触媒的脱ベンジル化(10%Pd/C、酢酸エチル)を経由して、(S)−2,3−ビス(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパン−1−オールを調製した。
【0255】
(S)−2,3−ビス(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロパン−1−オール(129mg,0.3836mmol)のジクロロメタン(0.6mL)液をアルゴン雰囲気下0℃にて攪拌しながら、トリエチルアミン(38.8mg,53.5μL,0.3836mmol)を加え、その後トリホスゲン(37.9mg,0.1279mmol)を加え、そして攪拌を0℃にて3時間継続した。当該混合物をその後、攪拌されているTHC(88.0mg,0.28mmol)及びトリエチルアミン(38.8mg,53.5μL,0.3836mmol)のジクロロメタン(0.6mL)溶液へと、アルゴン雰囲気下0℃にて移した。攪拌を室温で3時間継続した。当該混合物を酢酸エチル(3mL)で希釈し、そしてろ過した。ろ液を濃縮し、酢酸エチル(1mL)で希釈し、そして再度濃縮した。ヘキサン−酢酸エチル(gradient40:1,30:1,20:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにて残渣を精製し、120.1mg(65%)のTHC(S)−2,3−ビス(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピルカーボネートを油状物として得た。
【0256】
THC(S)−2,3−ビス(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピルカーボネートをジクロロメタン(200μL)に溶解し、−15℃に冷却し、そして200μLの冷やした2Nトリエチルアミン三フッ化物で処理した。反応混合物を5℃にて65時間放置した。当該混合物を、激しく攪拌されている過剰の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液/酢酸エチルへと0℃にて注いだ。水層を酢酸エチルにて2度抽出した。合わせた有機層抽出物を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、そして濃縮した。ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント3:1,2:1,1:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにて残渣を精製し、60.5mg(77%)のTHC(R)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネート(ALL00126)を、油状物として得た。
【0257】
ALL00126に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0258】
【化30】

【0259】
4.4 ALL00127(Δ9−テトラヒドロカンナビノール4−アミノブチルカーボネート)の合成
【0260】
Fmoc−N−(4−ヒドロキシブチル)カルバメート(40.2mg,0.129mmol)の乾燥ジクロロメタン(0.5mL)溶液を、アルゴン雰囲気下0℃にて攪拌しながら、トリエチルアミン(13.05mg,18μL,0.129mmol)を加え、その後トリホスゲン(13.4mg,0.04515mmol)を加え、そして攪拌を0℃にて2時間継続した。その後当該混合物を、攪拌しているTHC(47.2mg,0.15mmol)、及びトリエチルアミン(15.2mg,20.9μL,0.15mmol)のジクロロメタン(0.5mL)溶液へ、アルゴン雰囲気下0℃にて移した。攪拌を室温にて2時間継続した。混合物を酢酸エチル(3mL)で希釈し、そしてろ過した。ろ液を濃縮し、酢酸エチル(1mL)で希釈し、そして再度濃縮して87.3mgの粗生成物を得た。当該粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル(3:1)を用いて、分取順相HPLC(ZORBAXRX−SIL,9.4x250mm,5μm)で精製し、41.8mg(50%)のTHC4−(Fmoc−アミノ)ブチルカーボネートを油状物として得た。
【0261】
THC4−(Fmoc−アミノ)ブチルカーボネート(65.7mg,0.10mmol)を、1.5mLの10%(v/v)1−オクタンチオール−アセトニトリル溶液に溶解した。DBU(10%(v/v),37.2μL)の溶液を加え、そして当該混合物を室温で5分間攪拌した。2回目のDBU溶液(37.2μL)を加え、そして攪拌を室温で15分間継続した。混合物をシリカゲルに直接ロードし、そしてジクロロメタン−メタノール(グラジエント1:0,30:1,20:1,10:1,5:1)を用いたクロマトグラフィーにて精製した。製造物(Δ9−テトラヒドロカンナビノール4−アミノブチルカーボネート)を含む、合わせたフラクションをクロロホルムで希釈し、25℃にて約0.3mLまで濃縮し、クロロホルムで希釈し、そして濃縮した。残余の油(29mg,67%)をクロロホルムに溶解し、そして−20℃にて貯蔵した。
【0262】
ALL00127に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0263】
【化31】

【0264】
4.5 ALL00129(Δ9−テトラヒドロカンナビノール3−ヒドロキシ−2− (ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート)の合成
【0265】
THC(23.1mg,0.07346mmol)、及び5−カルボキシ−2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキサン(15.4mg,0.08815mmol)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を攪拌しながら、4−ジメチルアミノピリジン(1.5mg,0.007346mmol)を加え、その後N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(20.5mg,0.09917mmol)を加えた。当該混合物を、室温で2時間攪拌した。追加で、5−カルボキシ−2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキサン(15mg,0.08611mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(3mg,0.0145mmol)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(18mg,0.08724mmol)を加え、そしてさらに3.5時間攪拌した。当該混合物をヘキサン(0.4mL)で希釈し、ろ過し、減圧下濃縮し、ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント10:1,8:1,5:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、THC3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエートアセトニド(25.7mg,55%)を、油状物として得た。
【0266】
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(25mg)を、THC3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエートアセトニド(20.56mg,0.04369mmol)及び1−オクタンチオール(100μL)のクロロメタン(1.4mL)溶液へ加えた。当該混合物を室温で3時間攪拌した。当該混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、そして残渣を順相HPLC(ZORBAXRX−SIL,5μm,9.4x250mm,ヘキサン−酢酸エチル(1:1))で精製して、8.36mg(44%)のTHC3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート(ALL00129)を油状物として得た。LC−MSは以下の通りであった:431.201(M+H+,100%),315.158(92%)。
【0267】
4.6 ALL00130(Δ9-テトラヒドロカンナビノールグリシネート)の合成
【0268】
pH3.5のクエン酸バッファー及びジクロロメタンを用いた抽出によって、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシンを、ジシクロヘキシルアンモニウム塩から遊離の状態にした。
【0269】
ALL00134(全反応時間8時間)と同一の手順で、THC(20.6mg)、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシン(18.1mg)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(19mg)、及び4−ジメチルアミノピリジン(0.8mg)のジクロロメタン液から出発して、その後(3回分の)N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシン(25mg)及びN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(26mg)を加え、順相HPLC(ZORBAXRX−SIL,5μm,9.4x250mm,ヘキサン−酢酸エチル70:30)の後に、5.1mgのTHC N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシネートを黄色油状物として得た。
【0270】
THC N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)グリシネート(6.1mg,0.0116mmol)を、10%(v/v)のチオフェノール及び1.5%(v/v)のTFAを含む(100μL)乾燥ジクロロメタンに室温で溶解した。5分後、120μLの3%トリエチルアミン−DCM液を(0℃で)加えることによって、当該混合物をクエンチした。粗生成物の溶液を直接、シリカゲルクロマトグラフィーにて、ジクロロメタン−メタノール(グラジエント1:0,20:1,10:1,5:1)を用いて精製した。当該生成物を含む合わせたフラクションをクロロホルムで希釈し、25℃で約3mLまで濃縮し、クロロホルムで希釈し、そして約0.5mLまで再度濃縮した。生産物の溶液をクロロホルムで再度希釈し(約5mL)、そして乾燥するまで濃縮した。残存する油状物を速やかにクロロホルムに溶解し、乾燥するまで濃縮し(2.49mg、58%)、そして速やかにクロロホルムに溶解し、THCグリシネート(ALL00130)のストック溶液を得、そしてそれを−20℃で貯蔵した。
【0271】
ALL00130に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0272】
【化32】

【0273】
4.7 ALL00133(Δ9-テトラヒドロカンナビノールβ-アラニネート)の合成
【0274】
ALL00134(全反応時間3時間)と同一の手順で、THC(31.4mg,0.10mmol)、N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−β−アラニン(36.6mg,0.13mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(34mg,0.165mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(5.1mg,0.025mmol)のジクロロメタン(0.5mL)液から出発して、ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント10:1,6:1)を用いたシリカゲルクロマトグラフィーの後に、42.2mg(78%)のTHC N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−β−アラニネートを黄色油状物として得た。
【0275】
THC N−(2−ニトロフェニルスルフェニル)−β−アラニネート(35.8mg,0.0665mmol)を、10%(v/v)のチオフェノール及び1.5%(v/v)のTFAを含む(150μL)乾燥ジクロロメタンに室温で溶解した。10分後、180μLの3%トリエチルアミン−DCM液を(0℃で)加えることによって、当該混合物をクエンチした。粗生成物の溶液を直接、シリカゲルクロマトグラフィーにて、ジクロロメタン−メタノール(グラジエント1:0,30:1,20:1,10:1,7:1)を用いて精製した。当該生成物を含む合わせたフラクションをクロロホルムで希釈し、25℃で約3mLまで濃縮し、クロロホルムで希釈し、そして約0.5mLまで再度濃縮した。生産物の溶液をクロロホルムで再度希釈し(約5mL)、そして乾燥するまで濃縮した。残存する油状物を速やかにクロロホルムに溶解し、乾燥するまで濃縮し(11.47mg,45%)、そして速やかにクロロホルムに溶解し、THC β−アラニネート(ALL00133)のストック溶液を得、そしてそれを−20℃で貯蔵した。
【0276】
ALL00133に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0277】
【化33】

【0278】
4.8 ALL00134(Δ9−テトラヒドロカンナビノール(S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエート)の合成
【0279】
THC(31.4mg,0.1mmol)及び(S)−4−カルボキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(22.1mg,0.13mmol)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を攪拌しながら、4−ジメチルアミノピリジン(5.2mg,0.025mmol)を加え、その後N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(34.0mg,0.165mmol)を加えた。当該混合物を室温にて2時間攪拌した。当該混合物をヘキサン(0.4mL)で希釈し、ろ過し、減圧下濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーにて、ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント30:1,20:1)を用いて精製して、THC(S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエートアセトニド(22.7mg,51%)を油状物として得た。
【0280】
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(10mg,0.0275mmol)を、THC(S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエートアセトニド(26.9mg,0.0532mmol)及び1−オクタンチオール(93.4mg,111μL,0.6385mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液へ加え、そして当該混合物を室温で21時間攪拌した。当該混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィーを用いて、ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント4:1,3:1,2:1)にて残渣を精製して、18.1mg(84%)のTHC(S)−2,3−ジヒドロキシプロパノエート(ALL00134)を油状物として得た。
【0281】
ALL00134に関して、1H NMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0282】
【化34】

【0283】
4.9 ALL00138(Δ9−テトラヒドロカンナビノール(S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネート)の合成
【0284】
(R)−(−)−ソルケタール(22.2mg,0.168mmol)のジクロロメタン(0.4mL)溶液をアルゴン雰囲気下、0℃にて攪拌しながら、トリエチルアミン(17.7mg,24.4μL,0.175mmol)を加え、その後トリホスゲン(16.6mg,0.056mmol)を加え、0℃にて4時間攪拌を継続した。当該混合物をその後、攪拌しているTHC(44.0mg,0.14mmol)及びトリエチルアミン(18.4mg,25.4μL,0.182mmol)のジクロロメタン(0.4mL)溶液へ、アルゴン雰囲気下、0℃にて移した。攪拌を室温にて2時間継続した。当該混合物を酢酸エチル(2mL)で希釈し、そしてろ過した。ろ液を濃縮し、酢酸エチル(1mL)に溶解し、そして再度濃縮した。ヘキサン−酢酸エチル(グラジエント30:1,20:1,10:1)にて残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、34.5mg(52%)のTHC (S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネートアセトニドを得た。
【0285】
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(12.1mg,0.0333mmol)を、THC(S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネートアセトニド(30.5mg,0.06447mmol)及び1−オクタンチオール(94.3mg,112μL,0.6447mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液へ加え、そして当該混合物を室温にて17時間攪拌した。混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、そしてヘキサン−酢酸エチル(グラジエント3:1,2:1,1:1)にて残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、18.8mg(67%)のTHC (S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネート(ALLOO138)を油状物として得た。
【0286】
ALL00138に関して、1HNMR(400MHz,CDCl3)は以下の通りであった:
【0287】
【化35】

【0288】
4.10 AL00144(Δ9−テトラヒドロカンナビノール(R)−2,3−ジヒドロキシプロピルカーボネート)の合成
【0289】
ALL00134と同一の手順で、THC(42.79mg,0.136mmol)、(R)−4−カルボキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(23.85mg,0.163mmol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(39.2mg,0.190mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(3.3mg,0.027mmol)のジクロロメタン液から出発して、ヘキサン:酢酸エチル=9:1を用いたシリカゲルクロマトグラフィーの後に、46.96mg(78%)のTHC (R)−2,3−ジヒドロキシプロパノエートアセトニドを油状物として得た。
【0290】
トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(25mg)を、THC(R)−2,3−ジヒドロキシプロパノエートアセトニド(46.96mg)及び1−オクタンチオール(100μL)のクロロメタン(1.6mL)溶液へ加え、そして当該混合物を室温で一晩攪拌した。当該混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、そして残渣を順相HPLC(ZORBAXRX−SIL,5μm,9.4x250mm,ヘキサン−酢酸エチル(65:35))で精製して、11.85mg(28%)のTHC (R)−2,3−ジヒドロキシプロパノエート(ALL00144)を油状物として得た。LC−MSは以下の通りであった:403.137(M+H+,100%),315.142(61%)。
【0291】
5.0 血漿における安定性試験
【0292】
約1mg/mLの各々のプロドラッグのストック溶液を、100μLのエタノール、及び900μLのアセトニトリル中で調製した。10μLのストックを1mLの血漿へと加え、そしてボルテックスにかけた。当該試料をアンバー・バイアル中に封入し、そして親薬剤への生物変換を分析するために試料を得た。
【0293】
6.0 インビトロにおける皮膚透過試験
【0294】
6.1 レシーバー流体の調製
レシーバー流体は、600mLのnanopure水をメスシリンダーで測定することによって調製された。当該水を0.2μのフィルター(Millipore,Billerica,MA)でろ過した。さらに、当該ろ過された水へ50mgのゲンタマイシンを加え、そして600mLのPEG400を加えた。
【0295】
6.2 製剤の調製
4つの異なる製剤は、ドナー部を満たすために使用された。薬剤は、PG:水:IPM=90:8:2の溶液で作製された。この溶液に関して、好適な量の薬剤を、ガラスをシリル化処理したカルチャーチューブへと秤量し、そしてIPMを加え、その後50μLのPGを加えて薬剤をコーティングし、その後追加で247μLのPGを加えて、ドナー溶液を再度ボルテックスにかけた。最終的に26μLの水を加えた。
【0296】
6.3 透過試験
【0297】
(i)腹部形成術において採取され、そして−20℃で貯蔵された皮膚を、当該実験のために使用した。PermeGear flow−through(In−Line,Hellertown,PA)拡散セルシステムを皮膚透過試験のために使用した。
【0298】
(ii)水浴を循環させながら、拡散セルを32℃で維持した。ドナー部に面する角質層(皮膚の上層)と共に、ヒト表皮を拡散セル中に配置した。皮膚の浸透面積は0.95cm2であった。一回の処置あたり3つの拡散セルを用いて、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0299】
(iii)レシーバー溶液は40%PEG400水溶液であり、そして流速は0.8mL/時に調節された。各々のセルは、各々の製剤の50若しくは90〜100μL(ドナー溶液)でチャージされた。当該製剤を適用して完全な被覆を確保した。当該試験の継続のために、ストッパーを用いて拡散セルを覆った。
【0300】
(iv)3時間の増大で24時間後に、又は1.5時間の増大で12時間後に、そして3時間の増大で24時間までで、試料をシンチレーションバイアルへと回収した。抽出されるまで全試料を4℃で貯蔵した。40%PEG400拡散試料のアリコート(500μL)が、シリル化されたHPLCバイアルへ配置され、そして500μLのアセトニトリルを当該試料中に加え、キャップし、そしてボルテックスにかけた。
【0301】
(v)当該実験の最後に、皮膚組織を拡散セルから除去し、nanopure水で洗い、そしてペーパータオルを用いてふき取って乾燥させた。組織表面に吸着している製剤を除去するために、ブックテープ(Scotch(商標),3M,St.Paul,MN)を使用して、皮膚に対して2回テープストリッピングを行った。当該薬剤と接触する皮膚領域を切除し、細かく切り、そしてあらかじめ重量を量っておいたシンチレーションバイアル中に入れた。10mLのアセトニトリルを当該バイアルへ加え、そして室温で一晩振とうすることによって薬剤を皮膚から抽出した。試料を直接HPLCに注入するか、又はHPLCによる分析の前に追加のアセトニトリルで10倍に希釈した。
【0302】
(vi)当該実験の最後に、ドナー溶液の10μLのアリコートを除去し、そして10mLのアセトニトリルを含むシンチレーションバイアルへと加えた。バイアルをボルテックスにかけ、その後15分間ソニケーションした。1mLのアリコートを除去し、そしてシリル化されたHPLCバイアルへと分析のために移した。
【0303】
7.0 分析方法
【0304】
【表18】

【0305】
8.0 データ分析
レシーバー画分に回収された薬剤の蓄積量を、時間の関数としてプロットした。所定の実験における流束値は、浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分の傾きから得られた。浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分のX切片から遅延時間を得た。送達されるプロドラッグ、及びプロドラッグ由来のΔ9−テトラヒドロカンナビノールを合わせた結果を、「全Δ9−テトラヒドロカンナビノール」としてリスト化した。これらの値は、Δ9−テトラヒドロカンナビノール及び/又はプロドラッグの形態で送達される、全Δ9−テトラヒドロカンナビノール等価物としてのデータを表す。
【0306】
第III節 表
【0307】
表15 Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの血漿における安定性
【0308】
【表19】

【0309】
表16 Δ9−テトラヒドロカンナビノール、及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグ
【0310】
【表20】

【0311】
表17 PG:H2O:IPM=90:8:2のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00117(n=3)、ALL00118(n=3)、及びALL00126(n=2)の浸透データ
【0312】
【表21】

【0313】
表18 PG:H2O:IPM=90:8:2のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=1)、ALL00129(n=3)、及びALL00138(n=3)の浸透データ
【0314】
【表22】

【0315】
表19 PG:H2O:IPM=90:8:2のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、ALL00127(n=3)、ALL00134(n=3)、及びALL00144(n=2)の浸透データ
【0316】
【表23】

【0317】
実施例4
第I節.概要
本目的は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール プロドラッグを合成することであり、そしてΔ9-テトラヒドロカンナビノール及びそのプロドラッグの、インビトロにおけるヒト腹部皮膚への浸透を評価することであった。1つのΔ9-テトラヒドロカンナビノール プロドラッグを合成し、そして試験した。拡散セルへの流入を、浸透試験のために使用した。当該浸透試験のために使用されるレシーバーは、40%PEG400水溶液であった。ドナー溶液は、PG:H2O:IPM=90:8:2を含んだ。Δ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグの流束及び遅延時間の値が、当該浸透プロファイルから得られた。24時間の拡散試験後における皮膚への薬剤の蓄積は、μmol/g湿組織重量として決定された。
【0318】
第II節 手順
1.0.目的:目的は、Δ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグを合成し、そしてΔ9−テトラヒドロカンナビノール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノールプロドラッグのインビトロにおけるヒト皮膚への浸透を評価することであった。以下の化合物が合成された:
【0319】
【化36】

【0320】
2.0 皮膚の詳細
以下の実験で使用される皮膚試料は、Cooperative Human Tissue Networkによって供給された。ここで使用される皮膚試料を、6か月未満、−20℃で凍結した。
【0321】
3.0 インビトロにおける皮膚浸透試験
【0322】
3.1 レシーバー流体の調製
レシーバー流体は、600mLのnanopure水をメスシリンダーで測定することによって調製された。当該水を0.2μのフィルター(Millipore,Billerica,MA)でろ過した。次に、当該ろ過された水へ50mgのゲンタマイシンを加え、そして400mLのPEG400を加えた。
【0323】
3.2 製剤の調製
薬剤は、PG:H2O:IPM=90:8:2で調製された。この溶液に関して、好適な量の薬剤を、ガラスをシリル化処理したカルチャーチューブへと秤量し、そして7μLのIPMを加えた。次に、50μLのPGを加え、そしてボルテックスをかけて、薬剤を溶液とし、その後残りのPG(247μL)を加えた。水を最後に加えた。両方のドナー溶液を飽和させた。
【0324】
3.3 透過試験
【0325】
腹部形成術において採取され、そして−20℃で貯蔵された皮膚を、当該実験のために使用した。PermeGear flow−through(In−Line,Hellertown,PA)拡散セルシステムを皮膚透過試験のために使用した。
【0326】
水浴を循環させながら、拡散セルを32℃で維持した。ドナー部に面する角質層(皮膚の上層)と共に、拡散セル中にヒト表皮を配置した。皮膚の浸透面積は0.95cm2であった。一つの処置あたり3つの拡散セルを用いて、ヒト皮膚ドナーからデータを回収した。
【0327】
レシーバー溶液は40%PEG400水溶液であり、そして流速は0.8mL/時に調節された。各々のセルは、100μLの各々の薬剤(ドナー溶液)を用いてチャージされた。当該製剤を適用して完全な被覆を確保した。当該試験の継続のために、ストッパーを用いて拡散セルを覆った。
【0328】
3時間の増大で24時間の後に、試料をシンチレーションバイアルへと回収した。抽出されるまで全試料を4℃で貯蔵した。40%PEG400拡散試料のアリコート(500μL)が、シリル化されたHPLCバイアルへ配置され、そして500μLのアセトニトリルを当該試料中に加え、キャップし、そしてボルテックスにかけた。
【0329】
当該実験の最後に、皮膚組織を拡散セルから除去し、nanopure水で30秒間ゆすぎ、そしてペーパータオルでふき取って乾燥させた。組織表面に吸着している製剤を除去するために、ブックテープ(Scotch(商標),3M,St.Paul,MN)を使用して、皮膚に対して2回テープストリッピングを行った。当該薬剤と接触する皮膚領域を切除し、細かく切り、そしてあらかじめ重量を量っておいたシンチレーションバイアル中に入れた。10mLのアセトニトリルを当該バイアルへ加え、そして室温で一晩振とうすることによって薬剤を皮膚から抽出した。試料をHPLCによって分析した。
【0330】
当該実験の最後に、ドナー溶液の10μLのアリコートを除去し、そして10mLのアセトニトリルを含むシンチレーションバイアルへ加えた。当該バイアルをボルテックスにかけ、その後15分間ソニケーションした。1mLのアリコートを除去し、そしてシリル化されたHPLCバイアルへと分析のために移した。
【0331】
4.0 分析方法
【0332】
【表24】

【0333】
5.0 データ分析
レシーバー画分に回収された薬剤の蓄積量を、時間の関数としてプロットした。所定の実験における流束値は、浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分の傾きから得られた。浸透した薬剤の蓄積量vs.時間プロットの、定常状態部分のX切片から遅延時間を得た。送達されるプロドラッグ、及びプロドラッグ由来のΔ9−テトラヒドロカンナビノールを合わせた結果を、「全Δ9−テトラヒドロカンナビノール」としてリスト化した。これらの値は、Δ9−テトラヒドロカンナビノール及び/又はプロドラッグの形態で送達される、全Δ9−テトラヒドロカンナビノール等価物としてのデータを表す。
【0334】
第III節 表
【0335】
表20 PG:H2O:IPM=90:8:2のドナー溶液を用いた、Δ9−テトラヒドロカンナビノール(n=2)、及びALL00153(n=3)の浸透データ
【0336】
【表25】

【0337】
本明細書において引用されている、刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各々の参考文献が個々にかつ具体的に参照により援用されることを意図されているのと同程度に、及び本明細書にその全体が記載されているのと同程度に、本明細書において参照により援用される。
【0338】
本開示との関連で(特に以下の特許請求の範囲との関連で)、用語「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」、並びに同様の言及は、本明細書において他に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含するものとして解釈される。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書において他に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順番で行われ得る。本明細書において与えられる任意の及び全ての実施例、又は例示的用語(例えば、「のような」、「好ましい」、「好ましくは」)の使用は、本開示の内容をさらに説明することのみを意図しており、そして特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。明細書中のいかなる用語も、本明細書の開示の実施のために必須な、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0339】
特許請求の範囲に記載された開示の代替的実施形態は本明細書に記載されており、そしてそれは、特許請求の範囲に記載された発明を実施するために発明者にとって既知の最良の形態を含む。これらの中で、開示された実施形態の変形は、当業者が先の開示を読むことで明白となるであろう。発明者は、必要に応じてかかる変形を行う(たとえば、特徴又は実施形態を変更又は組み合わせる)ための技術を有する者であることが期待され、そして当該発明者は、当該発明が具体的に本明細書に記載されていること以外の他のことに使用されることを意図する。
【0340】
したがって本発明は、適用法によって許容される通りに、本明細書に添付された特許請求の範囲中に記載された対象の全ての改良物、及び均等物を含む。さらに、全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
【0341】
個々の数値の使用は、あたかもそれらの値に「約」又は「おおよそ」なる用語が先に付加されているように、概算値として記載される。同様に、本出願において定められている種々の範囲の数値は、他において明確に示されない限り、言及された範囲内の最小値及び最大値に、あたかも「約」又は「おおよそ」なる用語が先に付加されているように、概算値として記載される。このように、上及び下で言及された範囲の変形は、当該範囲内の値と同一の結果を実質的に実現するために使用され得る。数値について言及する場合において、本明細書において使用される用語「約」及び「おおよそ」は、当該開示された対象が最も密接に関連している技術分野、又は問題となる範囲又は要素に関連する技術分野における当業者にとって、それらの通常かつ一般的な意味を有するものとする。厳密な数値限界から拡張される量は、多くの要因に依存する。例えば、考え得る幾つかの要因は、所定の変動量が特許請求の範囲の対象の実施において存在する、要素及び/又は効果の臨界点を含み、並びに当業者に既知である他の考慮を含む。本明細書で使用されるように、異なる数値に関する、異なる量の有意な数字の使用は、いかにして用語「約」又は「おおよそ」の使用が、特定の数値又は範囲を拡張するために有用であるかを限定することを意図していない。したがって、一般的な事項として、「約」又は「おおよそ」は、数値を拡張する。同様に、範囲の開示は、最小値と最大値との間の個々の値を含む連続的な範囲に加えて、当該用語「約」又は「おおよそ」の使用により提供される範囲を拡張することを意図されている。したがって、本明細書における数値範囲の記載は、本明細書中において他に示されない限り、個々の分離した値を当該範囲内に落とし込むための簡潔な方法として役に立つことを単に意図しており、そして個々の分離した値は、本明細書においてあたかも個別に記載されているかのように本明細書中に組み込まれる。
【0342】
本明細書において開示されたデータによって形成され得る、若しくは由来され得る任意の範囲、比率、及び比率の範囲は、本発明の開示のさらなる実施形態を示し、そしてそれらはあたかも明確に記載されているかのごとく、当該開示の一部として含まれる。これは、有限の上方境界及び/若しくは下方境界を含んで、又は含まないで形成され得る範囲を含む。したがって、最も関連のある分野における当業者は、特定の範囲、比率、及び比率の範囲が、本明細書において示されたデータから明確に導き出すことができると理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

[式中、
1は、酸素化されたエステル、カーボネート、カルバメート、アミノ酸の窒素原子とアミノ酸の主炭素骨格の炭素原子との間で環が閉じている環状アミノエステル、アシル化されたグリシンエステル、及びホスフェートから選択され;そして
(a)前記酸素化されたエスエルが、ポリオキサエステル、ペグ化されたエステル、ヒドロキシル化されたエステル、ポリヒドロキシル化されたエステル、分岐したヒドロキシル化されたエステル、分岐したポリヒドロキシル化されたエステル、及びシュウ酸が混合されたペグ化されたエステルからなる群から選択され;そして
(b)前記カルバメートが:アミノアルキルカルバメート、アシル化されたアミノアルキルカルバメート、環状アミノアルキルカルバメート、オキサアルキルカルバメート、ポリオキサアルキルカルバメート、ペグ化されたアルキルカルバメート、ヒドロキシル化されたアルキルカルバメート、ポリヒドロキシル化されたアルキルカルバメート、分岐したヒドロキシル化されたアルキルカルバメート、分岐したポリヒドロキシル化されたアルキルカルバメート、及びヒドロキシカルボニルアルキルカルバメートからなる群から選択される]
で表される化合物。
【請求項2】
前記カーボネートが:酸素化されたカーボネート、オキサカーボネート、ポリオキサカーボネート、ペグ化されたカーボネート、ヒドロキシル化されたカーボネート、ポリヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したヒドロキシル化されたカーボネート、分岐したポリヒドロキシル化されたカーボネート、アミノアルキルカーボネート、環状アミノアルキルカーボネート、アシル化されたアミノアルキルカーボネート、及びヒドロキシカルボニルアルキルカーボネートからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ホスフェートが、ジハイドロジェンホスフェート、アルカリ金属ホスフェート塩、アルカリ土類金属ホスフェート塩、及び有機塩基のホスフェート塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記有機塩基が、コリン、ベタイン、カフェイン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、ピペラジン、グルコサミン、アルギニン、リシン、及びヒスチジンからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ホスフェートが、ジホスフェート及びトリホスフェート、並びにそれらの塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
【化2】

【化3】

【化4】

[式中、
X及びYは:水素;アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオンからなる群から選択される]
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(a)請求項1に記載の化合物;及び
(b)医薬上許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項8】
(a)
【化5】

【化6】

【化7】

[式中、
X及びYは:水素;アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオンからなる群から選択される]
からなる群から選択される化合物;並びに
(b)医薬賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項9】
拒食症、悪心、嘔吐、疼痛、消耗症候群、HIV−消耗、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、抗腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、多形性膠芽腫、神経膠腫、眼内圧上昇、緑内障、カンナビス使用障害、トゥレットシンドローム、ジストニア、多発性硬化症、炎症性腸疾患、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、抗炎症、抗けいれん、抗精神病、抗酸化、神経保護、抗癌、免疫調節効果、末梢性疼痛、ヘルペス後神経痛に関与する神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内疼痛及び潰瘍、会陰切開術後の疼痛、乾癬、そう痒症、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、深刻な多形性紅斑(例えばスティーブンス・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、軟骨石灰化症、月経困難症に続発する関節痛、線維筋痛、筋骨格系疼痛、神経病性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱滑膜炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後変形性関節症、滑膜炎、及び若年性関節リウマチからなる群から選択される、哺乳動物における病状を処置するための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
前記化合物が、経皮、局所、経口、口腔、舌下、静脈内、筋肉内、膣内、直腸、眼球、経鼻、及び濾胞からなる群から選択される経路によって投与される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
拒食症、悪心、嘔吐、疼痛、消耗症候群、HIV−消耗、化学療法により誘発される悪心及び嘔吐、アルコール使用障害、抗腫瘍、筋萎縮性側索硬化症、多形性膠芽腫、神経膠腫、眼内圧上昇、緑内障、カンナビス使用障害、トゥレットシンドローム、ジストニア、多発性硬化症、炎症性腸疾患、関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、抗炎症、抗けいれん、抗精神病、抗酸化、神経保護、抗癌、免疫調節効果、末梢性疼痛、ヘルペス後神経痛に関与する神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹、熱傷、光線性角化症、口腔内疼痛及び潰瘍、会陰切開術後の疼痛、乾癬、そう痒症、接触性皮膚炎、湿疹、水疱性疱疹状皮膚炎、剥脱性皮膚炎、菌状息肉腫、天疱瘡、深刻な多形性紅斑(例えばスティーブンス・ジョンソン症候群)、脂漏性皮膚炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、軟骨石灰化症、月経困難症に続発する関節痛、線維筋痛、筋骨格系疼痛、神経病性術後合併症、多発性筋炎、急性非特異的腱滑膜炎、滑液包炎、上顆炎、外傷後変形性関節症、滑膜炎、及び若年性関節リウマチからなる群から選択される、病状を処置するための医薬の製造のための:
【化8】

【化9】

[式中、
X及びYは:水素;アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオンからなる群から選択される]
からなる群から選択される化合物の使用。
【請求項12】
前記化合物が、経皮、局所、経口、口腔、舌下、静脈内、筋肉内、膣内、直腸、眼球、経鼻、及び濾胞からなる群から選択される経路によって投与される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
以下のステップ:
(a)請求項1に記載の化合物と医薬賦形剤とを組み合わせて医薬組成物を形成し;
(b)前記医薬組成物から、哺乳動物への投与に好適な剤形を製造し;そして
(c)哺乳動物へ前記剤形を投与すること
を含む、哺乳動物への投与のための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
前記医薬組成物が、経皮、局所、経口、口腔、舌下、静脈内、筋肉内、膣内、直腸、眼球、経鼻、及び濾胞からなる群から選択される経路によって投与される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
以下のステップ:
(a)
【化10】

【化11】

[式中、
X及びYは:水素;アルカリ金属、アルカリ土類金属を含む塩形成カチオン;及び医薬上許容される有機塩基のカチオンからなる群から選択される]
からなる群から選択される化合物を、医薬賦形剤と組み合わせて医薬組成物を形成し;
(b)前記医薬組成物から、哺乳動物への投与のために好適である剤形を製造し;そして
(c)哺乳動物へ前記剤形を投与すること
を含む、哺乳動物への投与のための医薬の製造のための、化合物の使用。
【請求項16】
前記医薬組成物が、経皮、局所、経口、口腔、舌下、静脈内、筋肉内、膣内、直腸、眼球、経鼻、及び濾胞からなる群から選択される経路によって投与される、請求項15に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−505382(P2011−505382A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536229(P2010−536229)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/085201
【国際公開番号】WO2009/073633
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510027319)オールトランツ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】