説明

テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置

【課題】試料の集合体構造を精密に測定する、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびその構造を得る。
【解決手段】フェムト秒レーザから第1のビーム光と第2のビーム光を発生する。第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に変換して試料チャンバーに導入する。第1のテラヘルツ電磁波を第1の試料に伝播させて、第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求める。第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に変換して試料チャンバーに導入し、第2のテラヘルツ電磁波を第2の試料に伝播させて、第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求める。第1の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値と第2の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求める。特定のテラヘルツ電磁波吸収値差により、試料のイオン種を同定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置に関し、特にフェムト光を用いテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを適用したテラヘルツ電磁波を用いた試料の集合体構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の集合体構造分析装置に関する。
【0002】
本発明は特にテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置に関し、特にフェムト光を用いテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを適用したテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の集合体構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の集合体構造分析装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の試料として例えば水の構造の検出法として、X線回折法、核磁気共鳴法、ラマン分光分析法、赤外吸収法など種々試みられてきているもののそれぞれの方法に問題があり、未だ水の構造検出、構造分析には至っていない。
【0004】
例えば、X線回折法は、電子濃度に過敏であり、ラマン分光分析法は、非常に低い波数を用いる必要があり、ラマン分光分析法は複雑なスペクトルピークが現れるなどの問題がある。このように、水の構造を分析する方法がないために、磁気処理水等の効能の原因は未だ不明であり、また水の構造分析が不可能であるために、水の処理の最適化やより高度な水の精製も行えない状況にある。
【0005】
一方、テラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムは、環境や健康科学に関して効能を持つとされる種々の処理を施した水の構造を分析するのに利用できる。この水の構造分析には磁気処理水を採用し、水中に含まれるミネラル種およびそれらの濃度と磁気処理による水の構造変化との関係を明らかにし、テラヘルツ電磁波による水の構造分析により、磁気処理水の生体(植物)や化学現象における効能を究明することが望まれている。
【0006】
テラヘルツ電磁波は、一般に300ギガヘルツ(300GHz)から10テラヘルツ(10THz)の周波数帯域の電磁波で、光波と電波の中間に位置している。この周波数領域には、固体中のプラズマ周波数、超伝導体エネルギーギャップガップ、巨大分子の振動モード、様々の分子間相互作用、および気体中の振動スペクトルなどの特性が存在している。テラヘルツ電磁波は、物質をイオン化させない、物質を破壊しない、光波同様の光学系を構築できる、高い位相の感受率を持つなどの特長があり、分光、イメージング、センシングなどの幅広い応用をもつ。
【0007】
テラヘルツ電磁波時間領域分光システムは、テラヘルツ電磁波の時間波形を測定する手法である。測定した時間波形をフーリュ変換することで、テラヘルツ領域の電場の振幅と位相の周波数成分を得る。この手法は、振幅と位相差を同時に測定できるので、Kramers−Kronig変換を使わずに光学定数を決定できる。
【0008】
時間領域分光法は、時間遅延を用いることで電磁波の時間波形を検出する方法を透過型時間領域分光法と呼ぶ。透過型時間領域分光法を用いると、電磁波がサンプルを透過する前後での位相差と電磁波の電界振幅の減衰より、物質の複素屈折率、複素導電率などの導出が可能であり、全周波数領域を必要とするKramers−Kronig変換を必要としないという特長を持っている。
【0009】
本発明の一実施例では、通常の水に比べ水クラスタのサイズが小さいといわれている磁気処理水を取り扱っている。また、磁気処理水と比較するために、非処理水、脱イオン水、および蒸留水を用意した。用意した様々の水を、それぞれ厚さ60μm、130μm、および210μmの場合について、テラヘルツ電磁波時間領域分光システムを用いて測定した。磁気処理水、植物などに影響を及ぼすとされている水の定量的な評価が可能になった。水クラスタのサイズが小さくなるといわれている磁気処理水を主なサンプルとし、様々な水に関して、テラヘルツ電磁波時間領域分光システムを用いて測定を行った。
テラヘルツ放射発生に、フェムト秒パルスレーザーで励起された半導体素子による発生法で、時間領域分光法を用いることで直接電磁波の時間波形測定が可能であり、Kramers−Kronig変換なしに物質の複素屈折率や複素誘電率、複素導率など定数を求めることができる。
【0010】
フェムト秒パルスレーザーとしては、チタン・サファイヤレーザーやとエルビユーム(Er)ドープファイバレーザーがある。
水の構造モデルは、水の分子間ネットワークで水素結合により集合体を形成している。そして、ランダムネットワークモデルでは、ピコ秒オーダーで構造変化し、クラスターモデルでは、テラヘルツ帯の分子間振動する。このためテラヘルツ分光分析が有効である。
【0011】
一方、水の効能については、磁気処理水の吸収特性の影響の解明と、磁気処理水の微量の含有金属イオンの影響の解明が必要である。
【0012】
従来の試料として例えば水の構造の検出法として、フェムト光を用いテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを適用したテラヘルツ電磁波による水の構造分析方法が知られている。この従来の水の構造分析方法においては、1個のビ−ム光(シングルビーム光)を用い、水分析チャンバーに1個の試料(例えば、1種類の水のサンプル)を収容し、一つ一つの試料(サンプル)のみ分析、測定していた。例えば、磁気処理水と非処理水、脱イオン水、および蒸留水との分析においては、それぞれの試料を水分析チャンバーに1回毎に入れ替え、個々の試料のデータを得ていた。
【0013】
テラヘルツ電磁波は、空気中の水分に対して強く吸収され易い性質を有する。テラヘルツ電磁波は、空気中の水分でかき乱され易い。いいかれば、テラヘルツ電磁波は、テラヘルツ電磁波が伝播する空気中の影響を受け易い。従来の試料分析チャンバー内部での個々の試料による分析は、試料を試料分析チャンバーに入れ替えて時間間隔をおいて行われていた。2種類以上の試料分析の場合、それぞれの試料は、試料分析チャンバー内部の環境条件が変化するので、テラヘルツ電磁波が水分に吸収される具合(吸収率)が変化した。このように、試料分析チャンバー内部に収容した2種類以上の試料の集合体構造を分析しようとしても、試料分析チャンバー内部の環境条件が変化するので、テラヘルツ電磁波は試料分析チャンバー内部の空気によって吸収されるテラヘルツ電磁波の水分割合が異なる等の外乱による差異が生じていた。
【0014】
このため、テラヘルツ電磁波を用いて、2種類以上の試料の集合体を分析をしようとしても、この場合は試料の集合体構造の精密な測定が不可能であった。例えば、磁気処理水と非磁気処理水の分析の場合、水分析チャンバー内部の環境条件が変化し、例えば2種類の試料である磁気処理水と非磁気処理水とのテラヘルツ電磁波の与える影響が異なるので、磁気処理水と非磁気処理水との集合体構造の相互関連を一度にかつ即座に得られなかった。
【0015】
また、試料分析チャンバー内部の環境条件が変化するので、試料分析チャンバー内部に配置された個々の試料の集合体構造は、得られるテラヘルツ電磁波吸収係数にばらつきが生じていた。
【0016】
なお、パルス幅がフェムト秒以上10ピコ秒以下のパルスレーザー光を用いた半導体デバイスの故障診断方法と装置(特許文献1)やパルス幅がフェムト秒以上10ピコ秒以下のパルスレーザー光を用いた集積回路断線検査方法と装置(特許文献2)は公知である。
【0017】
【特許文献1】特開2004−228236
【特許文献2】特開2006−24774
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、試料分析チャンバー内部の環境条件に影響を受けないテラヘルツ電磁波を用いた2種類以上の試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、試料分析用チャンバーの同一の環境条件下で、2種類以上の試料の構造分析を正確に行なうことができるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、2種類以上の試料を分析する際、各試料の集合体構造が精密に測定できるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、2種類以上の試料の特定のテラヘルツ電磁波の吸収特性の影響が解明できるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、2種類以上の試料についての微量の含有金属イオンの影響が解明できるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、試料の集合体構造で、試料の集合体に含有されているイオンの種類によって生じる差異を検出して微量のイオン種を特定(同定)できるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の特徴は、フェムト秒レーザーから第1のビーム光と第2のビーム光を発生し、前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に変換して試料分析チャンバーに導入し、前記第1のテラヘルツ電磁波を前記試料分析チャンバーに配置した第1の試料に伝播させて、前記第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記第1の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に変換して前記試料分析チャンバーに導入し、前記第2のテラヘルツ電磁波を前記試料分析チャンバーに配置した第2の試料に伝播させて、前記第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記第2の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記第1の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記第2の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法にある。
【0025】
本発明の特徴は、第1のビーム光と第2のビーム光を発生するフェムト秒レーザー;前記フェムト秒レーザーで発生した前記第1のビーム光と前記第2のビーム光が伝播する、第1の試料と第2の試料を有する試料分析チャンバー;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に生成する第1のテラヘルツ電磁波生成手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第1のテラヘルツ電磁波が伝播する前記第1の試料の試料載置部;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1の試料載置部に伝播した前記第1のテラヘルツ電磁波を導出する第1のテラヘルツ電磁波導出手段;前記第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記第1の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測する第1のテラヘルツ電磁波試料吸収値計測手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に生成する第2のテラヘルツ電磁波生成手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第2のテラヘルツ電磁波が伝播する前記第2の試料の試料載置部;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2の試料載置部に伝播した前記第2のテラヘルツ電磁波を導出する第2のテラヘルツ電磁波導出手段;前記第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記第2の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測する第2のテラヘルツ電磁波試料吸収値計測手段;および前記第1の試料テラヘルツ電磁波吸収値計測手段で計測した前記第1の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記第2の試料テラヘルツ電磁波吸収値計測手段で計測した前記第2の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めるテラヘルツ電磁波吸収値差計測手段よりなるテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置にある。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、2種類以上の試料について測定する際、2種類以上の試料を同一の試料分析チャンバーに収容し、2種類以上の試料は試料分析チャンバー内部では同一の環境条件の下で置かれるので、2種類以上の試料は試料分析チャンバーの同じ水分状態で特定のテラヘルツ電磁波を吸収することができる。
【0027】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、2種類以上の試料での試料分析チャンバーでの空気に起因する水分の吸収による外乱を防止できる。
【0028】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、2種類以上の試料に関する特定のテラヘルツ電磁波の吸収係数を正確に得ることができる。
【0029】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、2種類以上の試料に関する吸収される特定のテラヘルツ電磁波の精密な分析、測定ができる。
【0030】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、試料の集合体に関するテラヘルツ電磁波の吸収特性の影響が解明できる。
【0031】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、試料の構造体の微量な(金属)含有イオンの影響が解明できる。
【0032】
本発明によれば、テラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、試料の集合体構造で、試料に含有されている(金属)イオンの種類によって生じる差異を検出して、微量の(金属)イオン種を特定(同定)できる。
【実施例】
【0033】
本発明の好ましい実施形態として、テラヘルツ電磁波を用いた処理試料の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた処理試料の構造分析装置の一例として、試料として水を例にとり、テラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法およびテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置の一実施例について以下説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施例であるテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置を示す。磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100は、2ビーム型(ダブルビーム型)テラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを採用した磁気処理水と非磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを利用したテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100である。
【0035】
図1において、テラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100は、励起用ファイバレーザーであるフェムト波ファイバレーザー(フェムト波パルスレーザー:励起型ファイバレーザー)1を備えている。このフェムト波ファイバレーザーで発生するレーザーは、例えば波長780nm、パルス幅82fs、パルス繰り返し数(repetition rate)82MHzである。
【0036】
このフェムト波パルスレーザー1から発生されたレーザー光である主ビーム光aは伝播され、ファイバカプラー(ファイバ連結器)2に到達する。このファイバカプラー2によって、主ビーム光aは2種類のビーム光bとビーム光cとに分岐される。
【0037】
ファイバカプラー2から分岐された一方の分岐ビーム光bは、ポラライザー(偏光板、偏光子)3、チョッパー4を通り、ファイバカプラー5に伝播、導入される。ファイバカプラー5により、分岐ビーム光bは、さらに2種類のビーム光dとビーム光eとに分岐される。分岐された2種類の分岐ビーム光dと分岐ビーム光eとの両ビーム光d、eは、水分析チャンバー20に、それぞれ伝播、導入される。
【0038】
磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100に設けられた水分析チャンバー20の一側には、試料水(磁気処理水)のテラヘルツ電磁波エミッター6A、試料水分析セル(磁気処理水分析セル)を有する試料水部(磁気処理水部)または試料水分析セル載置台7Aとテラヘルツ電磁波検出器8Aが配置されている。また、水分析チャンバー20の他側には、標準試料水(非処理水部)のテラヘルツ電磁波エミッター6B、標準水分析セル(非磁気処理水分析セル)を有する標準試料水部(非処理水部)または標準試料水分析セル載置台7Bとテラヘルツ電磁波検出器8Bとが配置されている。
【0039】
この磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100の水分析チャンバー20の上記テラヘルツ電磁波エミッター5Aおよび上記テラヘルツ電磁波エミッター5Bは、それぞれ光導伝スイッチテラヘルツ電磁波発信機を構成し、また上記テラヘルツ電磁波検出器6Aおよび上記テラヘルツ電磁波検出器6Bは、それぞれ光導伝スイッチテラヘルツ電磁波受信機を構成している。
【0040】
上述した試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6A、試料水部(試料載置台)7A、テラヘルツ電磁波検出器8Aと、標準試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6B、標準試料水部(標準試料載置台)7B、テラヘルツ電磁波検出器8Bとは、それぞれ対向して水分析チャンバー20の内部に配置されている。
【0041】
試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Aと標準試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Bは、同じ構造で同じ大きさであり、同様な作用を行なう。また、試料水テラヘルツ電磁波検出器8Aと標準試料水テラヘルツ電磁波検出器8Bとは、同じ構造で同じ大きさであり、同様な作用を行なう。
【0042】
分岐ビーム光dは、試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Aに伝播、導入され、テラヘルツ電磁波となって試料水部7Aと検出器8Aに伝播される。一方、分岐ビーム光eは、標準試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Bに伝播、導入され、テラヘルツ電磁波となって標準試料水部7Bと検出器8Bに伝播される。また直流供給源13からの直流電圧は、試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Aと標準試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Bとに供給、印加される。
【0043】
一方、フェムト波ファイバレーザー1で発生された主レーザー光aは、ファイバカプラー2によってビーム光cに分岐される。この分岐ビーム光cは、ポラライザー(偏光板、偏光子)11に伝播される。さらに、この分岐ビーム光cは、レンズ12を通過してリトロリフレクタ13に空気伝播され、このリトロリフレクタ13で光の通過する長さ等を調節する。リトロリフレクタ13で時間遅延操作等後、空気伝播され、再びビーム光fとなり、ファイバカプラー12に伝播、導入される。
【0044】
ビーム光fは、ファイバカプラー12により、ビーム光gとビーム光hとに分岐される。分岐されたビーム光hは、水分析チャンバー6に配置された試料水のテラヘルツ電磁波検出器8Aに伝播、導入される。一方、分岐されたビーム光gは、水分析チャンバー20に配置された標準試料のテラヘルツ電磁波検出器8Bに伝播、導入される。試料水のテラヘルツ電磁波検出器8Aからの信号と標準試料水のテラヘルツ電磁波検出器8Bからの信号は、増幅器15に入力される。
【0045】
磁気処理水と非磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析装置100の上記チョッパー4は、ロック・イン・増幅器16に接続されている。ロック・イン・増幅器16には、テラヘルツ電磁波時間領域分光分析用および自動測定用のパーソナルコンピュータ(PC)17が接続されている。
【0046】
このパーソナルコンピュータ(PC)17には、スペクトル(図形形成部)18が接続されている。パーソナルコンピュータ(PC)17からの信号でスペクトル(図形形成部)18を表示する。なお、パーソナルコンピュータ(PC)17自体でスペクトルを見ることもできる。また、パーソナルコンピュータ(PC)17には、ステージコントローラ14が接続されている。このステージコントローラ14は、リトロリフレクタ13に接続され、時間遅延を与える等の操作制御を行なう。
【0047】
また、試料水部7Aの検出器8Aからの信号と標準試料水部7Bの検出器8Bからの信号は演算増幅器(Amp)15にそれぞれ入力され、この演算増幅器15からの信号は、ロック・イン・増幅器(ロック・イン・Amp)16に入力される。
【0048】
パーソナルコンピュータ(PC)17は、データの取り込み、フエーリュ変換を行い、周波数スペクトルの変換、2種類の試料(磁気処理水、非磁気処理水)の周波数スペクトルを差し引く等の操作が行われる。
【0049】
図1に示したテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100において、フェムト波ファイバレーザー1からのビーム光dとビーム光eは、同じ強度(同じ振幅)で同位相(同じ位相)を有している。このように、本発明の上記実施例では、フェムト波ファイバレーザー1からの二つのビーム光d、e、いいかえれば二重ビーム光(ダブルビーム光)d、eが水分析チャンバー20の内部に伝播される。
【0050】
ビーム光dは、試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Aでテラヘルツ電磁波に変換され、試料水部7Aとテラヘルツ電磁波検出器8Aに伝播される。また、ビーム光eは、標準試料水のテラヘルツ電磁波エミッター6Bでテラヘルツ電磁波に変換され、標準試料水部7Bとテラヘルツ電磁波検出器8Bに伝播される。
【0051】
図1に示したテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100において、テラヘルツ電磁波エミッター6Aから試料水部7Aに伝播されるテラヘルツ電磁波とテラヘルツ電磁波エミッター6Bから標準試料水部7Bに伝播されるテラヘルツ電磁波は、同じ強度(同じ振幅)で同位相(同じ位相)を有している。
【0052】
それぞれのテラヘルツ電磁波の信号は、リトロリフレクタ13、ステージコントローラ14、増幅器15、ロック・イン・増幅器16、およびパーソナルコンピュータ(PC)17等により、テラヘルツ電磁波時間領域分光分析が実行される。そして、パーソナルコンピュータ(PC)17の信号を用いて、スペクトル18を表示する。
【0053】
つぎに水の磁気処理について述べる。対象となる水は、脱イオン水で、電気抵抗率は16MΩcm以上であり、ミネラル水は、次の3種類を用いた。
(1)硬度20
濃度(/100ml)(Ca:0.51mg、Mg:0.14mg、
Na:0.86mg、K:0.08mg)
(2)硬度90
濃度(/100ml)(Ca:2.66mg、Mg:0.50mg、
Na:0.86mg、K:0.19mg)
(3)硬度1500
濃度(/100ml)(Ca:6.79mg、Mg:34mg、
Na:4.87mg、K:0.13mg)
また、磁気処理条件は、回転速度:500rpm、かくはん時間:30分、水量:200cc、および温度:20℃であった。
【0054】
磁石として、ネオジウム磁石(NdFe14B)を使用し、残留磁場強度は1.2Tesla、高磁場強度は11kOe、および表面磁場強度は4400ガウス(Gauss)であった。
【0055】
試料として用意した水は、いずれの処理も行っていない水道水(非処理水)、脱イオン水、蒸留水、および磁気処理水である。水はテラヘルツオーダの電磁波の領域では非常に吸収が大きくなるので、試料(水)の厚さを薄くする必要がある。そこで、テラヘルツ電磁波領域での透過性と、扱いやすさを考慮して、ガラス板を用いて試料(水)を封入するための2種類のセルを作成した。
【0056】
一方は、厚さが約1mmのガラス板にウエットエッチングを施すことで直接ガラス板に溝を作成した。その溝は、縦が約10mm、横が約10mm、および深さが約30μmである。測定では同様なセルを2つ用意し、溝を重ね合わせるようにセルで試料(水)を挟む込むことで厚さ約60μmの試料(水)とした。
【0057】
他方は、薄い平板を用意し、その中央を抜くことで試料(水)の封入スペースとした。用意した平板は、厚さ約130μmのガラス板、および厚さ約210μmのプラスチック板である。測定では、平板を厚さが約1mmのガラス板2枚で挟み込み、そこに試料(水)を封入して、厚さ約130μmのサンプル、および厚さ約130μmの試料(水)とした。
【0058】
テラヘルツ電磁波の発生素子と検出素子について説明する。フェムト秒レーザー励起による様々な材料や素子からのテラヘルツ電磁波発生がある。この実施例では、低温成長型GaAs光伝導アンテナ(Low Temperature grown GaAs antenna、LT−GaAs)および半導体表面からの発生を用いた。
テラヘルツ電磁波が電気光学結晶に照射されると、電気光学効果であるポッケルス効果により、その電場強度に応じて結晶の複屈折率に微小に変化が生じる。そこに同期してフェムト秒レーザーを用いて結晶中を透過させると、電気光学結晶中の複屈折率の変化に応じてフェムト秒レーザーの偏光状態がわずかに変化する。
【0059】
変化を受けたフェムト秒レーザーは、λ/4板を通った後、偏光ビームスプリッタでP波、およびS波に分離され、2つのフォトダイオードによりバランス検出される。検出された信号はテラヘルツ電磁波の電場強度に比例しているので、テラヘルツ電磁波の振幅を検出することができる。光伝導アンテナによる検出と同様に、フェムト秒レーザーに時間遅延を与えることでテラヘルツ電磁波の時間波形を得ることができる。
【0060】
本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100で得られた時間(ps)と電界(a.u.:任意定数:任意単位)との関連図を図2に示す。
【0061】
図2は、試料を通過して検出器(光導伝スイッチテラヘルツ電磁波受信機)に入った光信号を示すものである。つまり、時間(ps)に対する入射光強度の変化を示すものである。
【0062】
ついで、本発明の一実施例を示す磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100で得られた周波数(THz)と強度(対数)(a.u.:任意定数:任意単位)との関連図を図3に示す。
【0063】
図3は、試料を通過してテラヘルツ電磁波検出器(光導伝スイッチテラヘルツ電磁波受信機)に入った光信号を示すものである。いいかえれば、図3は、図2の時間(ps)に対する入射光強度の変化に対し、周波数(テラヘルツ電磁波:THz)に対する入射光強度の変化を示すものである。
【0064】
図4は、本発明の一実施例を示す磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100で得られた水の吸収係数差を示す図で、周波数(THz)と吸収係数差Δαとの関連図である。図4において、曲線4Aは水の厚さは300μmで硬度90、曲線4Bは水の厚さは300μmで硬度1500の場合を示す。
【0065】
吸収係数差分Δαは、Δα=α(processed:処理) − α(non―processed:非処理)である。いいかえれば、吸収係数差Δαは、処理を施した磁気処理水の吸収係数αから処理を施さない非処理水の吸収係数αを引いた絶対差である。
図4は、図3で得られた2種類の曲線、例えば2種類の水(磁気処理水と非処理水)の周波数(THz)と強度(対数)(a.u.:任意定数:任意単位)との関連曲線を差し引いて示しものであり、差し引きスペクトルを示す。これは、微量の金属のイオン濃度が異なる水を反映したスペクトルを示すものである。つまり、2種類の水(磁気処理水と非磁気処理水)の性質の違いを表わすスペクトルを示している。
【0066】
図5は、本発明の一実施例を示す磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置で得られた水の吸収係数差の硬度依存を示す図で、硬度(°)と吸収係数差Δαとの関連図である。この図5では、横軸の硬度は、微量な金属であるマグネシウム(Mg)イオンとカルシウム(Ca)イオンのみのイオン硬度を示している。
【0067】
図5で、白丸は水の厚さ200μm、黒丸は水の厚さ300μmの場合である。図5で、曲線5Aは0.29THz、曲線5Bは0.73THz、曲線5Cは1.03THzの硬度(°)と吸収係数差Δαとの関連図である。
【0068】
上述のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを適用した磁気処理水の構造分析の結果、磁気処理によって、0.3テラヘルツ(THz)、0.7テラヘルツ(THz)、および1.0テラヘルツ(THz)付近で水の吸収特性が変化した。
また、磁気処理によって現れるテラヘルツ電磁波の吸収特性が変化は、金属のイオン硬度が高いほど顕著であった。
【0069】
図6は、本発明の一実施例を示す磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置100で得られた水の吸収係数差Δαの硬度依存を示す図である。図6は、微量な金属イオン濃度(ppm)と吸収係数差Δαとの関連図である。
この実施例の金属イオンとしては、図5に示したマグネシウム(Mg)イオンとカルシウム(Ca)イオンに加えて、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(Ka)イオン等がある。
【0070】
図6で、白丸は水の厚さ200μm、黒丸は水の厚さ300μmの場合である。図6で、曲線6Aは0.29THz、曲線6Bは0.73THz、曲線6Cは1.03THzの硬度(°)と吸収係数差Δαとの関連図である。
【0071】
上述のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析システムを適用した磁気処理水の構造分析の結果、磁気処理によって、0.3テラヘルツ(THz)、0.7テラヘルツ(THz)、および1.0テラヘルツ(THz)付近で水の吸収特性が変化した。また、磁気処理によって現れる吸収特性の変化は、含有金属イオン濃度が高いほど顕著であった。
【0072】
なお、水クラスタの分析法を確立するために、通常の水に比べ水クラスタのサイズが小さいといわれている磁気処理水を取り扱っている。また、磁気処理水と比較するために、非処理水、脱イオン水、および蒸留水を用意した。用意した様々の水を、それぞれ厚さ60μm、130μm、および210μmの場合について、テラヘルツ電磁波時間領域分光システムを用いて測定した。水クラスタの分析法を確立して、磁気処理水など、植物などに影響を及ぼすとされている水の定量的な評価が可能になった。水クラスタのサイズが小さくなるといわれている磁気処理水を主なサンプルとし、様々な水に関して、テラヘルツ電磁波時間領域分光システムを用いて測定を行った。
【0073】
なお、本発明の上記一実施例では、2種類の試料として、磁気処理水と非磁気処理水を採用した。例えば、薬剤の一成分を構成する2種類の化学構造物、例えば基の一部を構成する金属が構造式で異なる位置に配置されて2種類の化学構造物を、2種類の試料として採用することもできる。
【0074】
また、本発明の上記一実施例では、2種類の試料を試料分析チャンバーに収容した例を示したが、3種類以上の試料を試料分析チャンバーに収容し、それぞれの試料の構造分析を行なうことも勿論できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置のシステム図。
【図2】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置で得られた時間(ps)と電界(a.u.)との関連図。
【図3】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置で得られた周波数(THz)と強度(対数)(a.u.)との関連図。
【図4】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置で得られた水の吸収係数差を示す図で、周波数(THz)と吸収係数差Δαとの関連図。
【図5】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水の非磁気処理水の構造分析装置で得られた水の吸収係数差の硬度依存を示す図で、硬度(°)と吸収係数差分Δαとの関連図。
【図6】本発明の一実施例を示すテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水の非磁気処理水の構造分析装置で得られた水の吸収係数差の硬度依存を示す図で、金属イオン濃度(ppm)と吸収係数差Δαとの関連図。
【符号の説明】
【0076】
1 フェムト光レーザー
6A テラヘルツ電磁波エミッター
6B テラヘルツ電磁波エミッター
7A 試料水部(試料載置台)
7B 標準試料水部(標準試料載置台)
8A テラヘルツ電磁波検出器
8A テラヘルツ電磁波検出器
13 リトロリフレクタ
14 ステージコントローラ
15 増幅器15
16 ロック・イン・増幅器、
17 パーソナルコンピュータ(PC)
18 スペクトル
20 水分析チャンバー
d 分岐レーザー光
e 分岐レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェムト秒レーザーから第1のビーム光と第2のビーム光を発生し、前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に変換して試料分析チャンバーに導入し、前記第1のテラヘルツ電磁波を前記試料分析チャンバーに配置した第1の試料に伝播させて、前記第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記第1の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に変換して前記試料分析チャンバーに導入し、前記第2のテラヘルツ電磁波を前記試料分析チャンバーに配置した第2の試料に伝播させて、前記第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記第2の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記第1の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記第2の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めることを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法。
【請求項2】
請求項1のテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法において、前記第1のビーム光と前記第2のビームとは、同じ強度と同じ位相を有し、前記第1のテラヘルツ電磁波と前記第2のテラヘルツ電磁波とは、同じ強度と同じ位相を有することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法。
【請求項3】
請求項1のテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法において、前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値差により、前記第1の試料と前記第2の試料のイオン種を同定することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析方法。
【請求項4】
フェムト秒レーザーから第1のビーム光と第2のビーム光を発生し、前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に変換して水分析チャンバーに導入し、前記第1のテラヘルツ電磁波を前記水分析チャンバーに配置した磁気処理水に伝播させて、前記磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記磁気処理水の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に変換して前記水分析チャンバーに導入し、前記第2のテラヘルツ電磁波を前記水分析チャンバーに配置した非磁気処理水に伝播させて、前記非磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行ない、前記非磁気処理水の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を求め、前記磁気処理水の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記非磁気処理水の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めることを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法。
【請求項5】
請求項4のテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法において、前記第1のビーム光と前記第2のビームとは、同じ強度と同じ位相を有し、前記第1のテラヘルツ電磁波と前記第2のテラヘルツ電磁波とは、同じ強度と同じ位相を有することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法。
【請求項6】
請求項4のテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法において、前記の特定のテラヘルツ電磁波吸収値差により、前記磁気処理水と前記非磁気処理水のイオン種を同定することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析方法。
【請求項7】
第1のビーム光と第2のビーム光を発生するフェムト秒レーザー;前記フェムト秒レーザーで発生した前記第1のビーム光と前記第2のビーム光が伝播する、第1の試料と第2の試料を収納する試料分析チャンバー;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に生成する第1のテラヘルツ電磁波生成手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第1のテラヘルツ電磁波が伝播する前記第1の試料の試料載置部;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第1の試料載置部に伝播した前記第1のテラヘルツ電磁波を導出する第1のテラヘルツ電磁波導出手段;前記第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう第1の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記第1の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測する第1のテラヘルツ電磁波試料吸収値計測手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に生成する第2のテラヘルツ電磁波生成手段;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第2のテラヘルツ電磁波が伝播する前記第2の試料の試料載置部;前記試料分析チャンバーに設けられ、前記第2の試料載置部に伝播した前記第2のテラヘルツ電磁波を導出する第2のテラヘルツ電磁波導出手段;前記第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう第2の試料のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記第2の試料の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測する第2のテラヘルツ電磁波試料吸収値計測手段;および前記第1の試料テラヘルツ電磁波吸収値計測手段で計測した前記第1の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記第2の試料テラヘルツ電磁波吸収値計測手段で計測した前記第2の試料の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めるテラヘルツ電磁波吸収値差計測手段よりなることを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置。
【請求項8】
請求項7のテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置において、前記第1のビーム光と前記第2のビームとは、同じ強度と同じ位相を有し、前記第1のテラヘルツ電磁波と前記第2のテラヘルツ電磁波とは、同じ強度と同じ位相を有することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析装置。
【請求項9】
請求項7のテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析構造において、前記の特定のテラヘルツ電磁波吸収値差により、前記第1の試料と前記第2の試料のイオン種を同定することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた試料の構造分析構造。
【請求項10】
第1のビーム光と第2のビーム光を発生するフェムト秒レーザー;前記フェムト秒レーザーで発生した前記第1のビーム光と前記第2のビーム光が伝播する、磁気処理水と非磁気処理水を有する水分析チャンバー;前記第1のビーム光を第1のテラヘルツ電磁波に生成する第1のテラヘルツ電磁波生成手段;前記第1のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第1のテラヘルツ電磁波が伝播する、前記水分析チャンバーに設けた前記磁気処理水を収納した磁気処理水載置部;前記磁気処理水載置部を伝播した前記第1のテラヘルツ電磁波を導出する第1のテラヘルツ電磁波導出手段;前記磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう磁気処理水テラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記磁気処理水の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測するテラヘルツ電磁波磁気処理水吸収値計測手段;前記第2のビーム光を第2のテラヘルツ電磁波に生成する第2のテラヘルツ電磁波生成手段;前記第2のテラヘルツ電磁波生成手段からの前記第2のテラヘルツ電磁波が伝播する、前記水分析チャンバーの設けた前記非磁気処理水を収納した非磁気処理水載置部;前記非磁気処理水載置部を伝播した前記第2のテラヘルツ電磁波を導出する第2のテラヘルツ電磁波導出手段;前記非磁気処理水のテラヘルツ電磁波時間領域分光分析を行なう非磁気処理水テラヘルツ電磁波時間領域分光分析手段;前記非磁気処理水の特定のテラヘルツ電磁波吸収値を計測するテラヘルツ電磁波非磁気処理水吸収値計測手段;および前記磁気処理水の前記テラヘルツ電磁波磁気処理水吸収値計測手段で計測した前記磁気処理水の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値と前記非磁気処理水の前記テラヘルツ電磁波非磁気処理水吸収値計測手段で計測した前記非磁気処理水の前記特定のテラヘルツ電磁波吸収値との差を求めるテラヘルツ電磁波吸収値差計測手段よりなることを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置。
【請求項11】
請求項10のテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置において、前記第1のビーム光と前記第2のビームとは、同じ強度と同じ位相を有し前記第1のテラヘルツ電磁波と前記第2のテラヘルツ電磁波とは、同じ強度と同じ位相を有することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置。
【請求項12】
請求項10のテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析装置において、前記の特定のテラヘルツ電磁波吸収値差により、前記磁気処理水と前記非磁気処理水のイオン種を同定することを特徴とするテラヘルツ電磁波を用いた磁気処理水と非磁気処理水の構造分析構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−198278(P2009−198278A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39555(P2008−39555)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(504203572)国立大学法人茨城大学 (99)
【Fターム(参考)】