説明

テレビインターホンシステム

【課題】 最初に出画する選択画面において、来訪者を確認できる画像を表示するインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 カメラ撮像映像の中で人の顔が撮像されている映像を識別する顔識別回路24を備え、撮像映像の中で顔識別回路24の顔検知スコアが所定値を越えた部位に対して顔検知スコアを含むインデックスを添付して撮像映像をメモリ20に録画制御し、録画映像を再生する際は、インデックス添付部の中で顔検知スコアの最も高い部位の映像を選択して最初に出画させる制御を実施する親機CPU25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は来訪者の映像を見ながら通話できるテレビインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターホン子機にカメラを設けて来訪者を撮像し、その映像を居住者が確認可能としたテレビインターホンシステムが普及している。このようなテレビインターホンシステムは、留守などの際に訪れた来訪者を確認するために録画機能が設けられている(例えば、特許文献1参照)。従来のこのようなテレビインターホンシステムは、録画した来訪者映像を確認する際、まず図4のモニタ画面の表示説明図に示すように複数の録画映像の先頭画像がモニタにサムネイル表示され、その後再生操作を受けて全体の映像が再生されていた。
【特許文献1】特開2002−33838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、図4に示すような選択画面が最初に表示されることで、複数の来訪者があった場合に最初に一覧画像が表示されるため保存映像の全体を把握しやすい。しかしながら、表示される画像は撮像を始めた先頭画像であるため、図4の左下の画像のように来訪者が切れた状態で表示されたり、右下に示すように全く映っていない場合があり、先頭画像に訪問者が映っていない場合は、その後映像を再生して来訪者が撮像範囲に現れるのを待たなければならなかった。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、最初の選択画面において来訪者を確認できる画像を表示するインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するカメラを備えたインターホン子機と、呼び出しに応答する機能及びカメラの撮像映像を出画するモニタを備えたインターホン親機とを有するテレビインターホンシステムであって、インターホン親機は、カメラの撮像映像を録画する録画メモリと、撮像映像の中で人の顔が撮像されている映像を識別する顔識別手段と、カメラの撮像映像を顔が撮像されている部位にインデックスを添付して録画する録画制御手段と、録画映像のインデックス添付部位を最初にモニタに出画させる映像再生制御手段とを有することを特徴とする。
この構成によれば、録画映像を再生するための選択画面を表示させた際に、最初に人物の顔が映っている部位の映像を出画させることができ、録画映像毎に人物が写っている部位を探す必要がなく来訪者の確認を容易に行うことができる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、顔識別手段は、撮像映像の中で顔の特徴部分を数値化した顔検知スコアを出力し、録画制御手段は撮像映像の顔識別部位に顔検知スコアを含むインデックスを添付して録画することを特徴とする。
この構成によれば、インデックスに添付された顔検知スコアを基に録画映像の中で最も顔を識別し易い映像を選択する事が可能となり、来訪者の識別がし易くなる。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載の発明において、映像再生制御手段は、録画映像のインデックス添付部のうち、顔検知スコアが最も高い部位の映像を選択して最初に出画させることを特徴とする。
この構成によれば、1回の撮像映像の中で即ち同一の来訪者を撮像した映像の中で、最も来訪者を識別し易い映像が出画されるので、最初に表示した画面だけで来訪者を容易に確認でき、全体を再生して確認する必要がなくなるので帰宅時の来訪者確認に手間取るようなことがない。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、映像再生制御手段は、録画映像が複数記憶されている場合は、個々のインデックス添付部位をサムネイル表示させることを特徴とする。
この構成によれば、複数の来訪者があった場合は、複数の来訪者の顔映像が同時に出画されので、短時間で個々の来訪者を確認することができる。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、映像再生制御手段は、録画映像が複数記憶されている場合は、夫々の映像のインデックス添付部位を所定時間ずつ順次再生することを特徴とする。
この構成によれば、複数の来訪者があった場合は、来訪者の顔映像が順次出画されるので、短時間で個々の来訪者を確認することができる。
【0009】
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、モニタに出画された複数の録画映像から所望する映像を選択する映像選択手段を有し、映像再生制御手段は、映像選択手段により選択された映像を録画開始時からモニタに再生することを特徴とする。
この構成によれば、選択された映像は撮像開始映像から再生するので、来訪者の周囲の状況や来訪者が複数である場合等の把握に有効となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、録画映像を再生するための選択画面を表示させた際に、最初に人物の顔が映っている部位の映像が出画されるので、録画映像毎に人物が写っている部位を探す必要がなくなり確認作業が容易である。更に、この選択画面は、1回の撮像映像の中で、即ち同一の来訪者を撮像した映像の中で、最も来訪者を識別し易い映像が出画させることができ、全体を再生して確認する必要がなくなり、帰宅時の来訪者確認に手間取るようなことがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るテレビインターホンシステムの一例を示す構成図であり、1(1a,1b)は玄関等の屋外に設置されて居住者を呼び出すためのインターホン子機(以下、単に子機とする)、2は住戸内に設置されて呼び出しに応答するためのインターホン親機(以下、単に親機とする)、3は人の接近を検知して自動撮像するセンサカメラである。子機1は2台設置され、夫々伝送線L1,L2により親機2に接続されている。また、センサカメラ3は伝送線L3により親機2に接続されている。
【0012】
子機1は、呼出ボタン5、親機2と通話するためのマイク6及びスピーカ7、そして来訪者を撮像するためのカメラ8を備えているし、センサカメラ3は、カメラ9、人感センサ10を備えている。
【0013】
親機2は、図2に示すような回路構成となっている。即ち、子機1を接続する第1インターフェイス(第1IF)12、センサカメラ3を接続する第2インターフェース(第2IF)13、来訪者と通話するためのマイク14及びスピーカ15が接続された通話回路16、子機1のカメラ8及びセンサカメラ3のカメラ9が撮像した映像を出画するモニタ17、変調されて伝送されてきた映像信号を復調等行う映像処理回路18、子機1の呼出ボタン5の操作を検出する呼出検出回路19、撮像映像や各種設定を記憶するメモリ20、子機1からの呼び出しに対して応答するための通話ボタン22、複数の操作ボタンから成る操作部23、撮像映像の中の人の顔を識別する顔識別回路24、親機2を制御するCPU(以下、親機CPUとする)25等を備えている。
【0014】
このように構成された、テレビインターホンシステムの動作を次に説明する。但し、来訪者により子機1の呼出ボタン5が操作されて居住者が応答する動作は、従来と同様であるし本発明の要部ではないので説明を省略し、来訪者の呼出操作を受けてカメラ8が起動し、自動録画する留守設定時の動作を説明する。
留守設定は、操作部の中の留守設定ボタン(図示せず)を操作することで設定され、親機CPU25の制御により留守設定制御が実施される。この留守設定時に来訪者が呼出ボタン5を操作すると、子機1のカメラ8が起動して撮像を開始し、撮像映像が変調されて親機2に伝送される。映像信号を受信した親機2は、親機CPU25の制御により映像処理回路18でデジタル信号に変換され、顔識別回路24で顔が識別される。並行してメモリ20に録画される。
【0015】
顔識別回路24は、撮像映像中の顔の特徴部分を数値化する公知の顔検知回路を備え、数値化した顔検知スコアが親機CPU25に出力される。親機CPU25は、顔検知スコアが所定値以上の映像部位にスコア値を含むインデックスを添付してメモリ20に映像を録画させる。この録画映像へのインデックス添付は、録画する度に実施され、録画は来訪者毎に(子機の呼出ボタンが押される毎に)実施される。こうして、全ての録画映像の来訪者撮像部位にインデックスが添付される。
【0016】
更に、センサカメラ3が不審者等を感知して撮像を開始した場合も、同様の録画が成される。即ち、センサカメラ3から感知信号を受けて親機2は、親機CPU25の制御により、伝送されてきた映像信号を映像処理回路18でデジタル信号に変換し、顔識別回路24で顔を識別させ、顔識別部にインデックスを添付してメモリ20に録画する。
【0017】
こうして録画された映像は、外出していた居住者が帰宅した際に再生操作することで、モニタ17に出画させて見ることができる。操作部23の所定の操作によりモニタ17にまず選択画面が表示される。この選択画面は、親機CPU25の制御により図3に示すようなサムネイル表示でモニタ17に出画される。ここでは、留守中の4人の来訪者があった場合を示し、4人の来訪者画像が同時に出画されている様子を示している。
尚、この画面は、来訪者が1名であれば1つの画像しか出画されないし、5名以上来訪者があった場合は、4つの画像が同時に表示された後、所定時間が経過したら残りの来訪者画像に切り替わって表示される。尚、図3において、各画像内に表示されている日時は録画時の日時を示し、親機CPU25の制御により録画時に映像に添付される。
【0018】
そして、ここで表示される画像は、親機CPU25の制御によりインデックス添付部の画像のうち顔検知スコアが最も高い部位の画像、即ち来訪者毎の一連の撮像映像の中で最も顔を認識し易く誰か判断し易い画像が選択されて出画される。そのため、各画像は撮像映像の中で来訪者を最も識別し易い画像となっている。居住者はこの画像を見て、撮像開始時点から見たい画像がある場合は、操作部23の所定の操作により映像選択操作し、再生ボタンを押せばサムネイル表示が終了して選択された画像の映像が最初から出画される。
【0019】
このように、選択画面の状態で人物の顔が映っている部位の映像が出画されるので、録画映像毎に人物が写っている部位を探す必要がなく確認作業を容易に行うことができる。そして、このときの画像は、1回の撮像映像の中で、即ち同一の来訪者を撮像した映像の中で、最も来訪者を識別し易い映像が出画されるので、最初に出画した画面の映像だけで来訪者を容易に確認でき、全体を再生して確認する必要がなくなるので帰宅時の来訪者確認に手間取るようなことがない。
また、複数の来訪者があった場合は、サムネイル表示により複数の来訪者の顔映像が同時に出画されるので、同時に個々の来訪者を確認することができる。
更に、この選択画面の画像の何れかを選択すれば、選択された映像が最初から再生されるので、来訪者の周囲の状況や来訪者が複数である場合等も確認できる。
【0020】
尚、上記実施形態は、4つの画像をサムネイル表示させて選択画面としているが、夫々静止画ではなく動画としても良い。例えば顔検知スコアの最も高い部位の前後の特定時間(例えば4秒間)の映像をサムネイル表示させても良い。また、カメラ撮像映像を録画する構成となっているが、この録画は動画ではなく複数の連続する画像を録画しても良く、録画及びその再生は動画、静止画の双方を含むものである。
また、選択画面の表示は、サムネイル表示でなくとも良く、来訪者順に所謂インデックス表示を行っても良い。そして、この場合も上述したインデックス添付部位のうち顔検知スコアの最も高い部位を順次所定時間ずつ出画させることで、複数の来訪者の顔映像が順次出画されるため、サムネイル表示と同様に短時間で個々の来訪者を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るテレビインターホンシステムの一例を示す構成図である。
【図2】図1のインターホン親機の回路ブロック図である。
【図3】モニタに出画させた選択画面の説明図である。
【図4】従来のモニタに出画させた選択画面の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・インターホン子機、2・・インターホン親機、8・・カメラ、17・・モニタ、18・・映像処理回路、20・・メモリ(録画メモリ)、23・・操作部、24・・顔識別回路(顔識別手段)、25・・親機CPU(録画制御手段、映像再生制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するカメラを備えたインターホン子機と、呼び出しに応答する機能及び前記カメラの撮像映像を出画するモニタを備えたインターホン親機とを有するテレビインターホンシステムであって、
前記インターホン親機は、前記カメラの撮像映像を録画する録画メモリと、
撮像映像の中で人の顔が撮像されている映像を識別する顔識別手段と、
前記カメラの撮像映像を顔が撮像されている部位にインデックスを添付して録画する録画制御手段と、
前記録画映像の前記インデックス添付部位を最初に前記モニタに出画させる映像再生制御手段とを有することを特徴とするテレビインターホンシステム。
【請求項2】
前記顔識別手段は、撮像映像の中で顔の特徴部分を数値化した顔検知スコアを出力し、前記録画制御手段は撮像映像の顔識別部位に前記顔検知スコアを含むインデックスを添付して録画することを特徴とする請求項1記載のテレビインターホンシステム。
【請求項3】
前記映像再生制御手段は、録画映像のインデックス添付部のうち、前記顔検知スコアが最も高い部位の映像を選択して最初に出画させることを特徴とする請求項2記載のテレビインターホンシステム。
【請求項4】
前記映像再生制御手段は、録画映像が複数記憶されている場合は、個々のインデックス添付部位をサムネイル表示させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のテレビインターホンシステム。
【請求項5】
前記映像再生制御手段は、録画映像が複数記憶されている場合は、夫々の映像のインデックス添付部位を所定時間ずつ順次再生することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のテレビインターホンシステム。
【請求項6】
前記モニタに出画された複数の録画映像から所望する映像を選択する映像選択手段を有し、前記映像再生制御手段は、前記映像選択手段により選択された映像を録画開始時から前記モニタに再生することを特徴とする請求項4又は請求項5記載のテレビインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−211660(P2008−211660A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47866(P2007−47866)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】