説明

テレビジョンおよび表示装置

【課題】 製造コストを増大させることなく、表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 リモコン40からの所定の停止操作に基づいて、カラ−デコ−ダ23aが利用可能な作業領域であるフレ−ムメモリ23fに焼き付きの原因となった静止画像の画像デ−タが保持される。そして、リモコン40による反転画像の表示指示に基づいて、フレ−ムメモリ23fに保持されている画像デ−タの輝度を反転させた反転画像をPDPパネル31に表示させることにより、PDP31の表示画面全体を均一化させる。これにより、焼き付きの原因となった画像の画像デ−タを記憶させるためのメモリを別途設ける必要がなくなるため、製造コストの増大を抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光体を発光させて画像を表示させるプラズマディスプレイパネル(PDPピクチャ)等を用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)を備えた表示装置では、3色の色信号R(赤)、G(緑)、B(青)の各発光体を発光させてカラ−画像を表示させる。このような表示装置では、発光体を発光させている関係上、表示内容や使用時間に応じて、表示画面上に焼き付きが発生してしまうという問題がある。例えば、長時間にわたって同一のOSD表示を継続して行っていたり、テレビゲ−ムを行っている途中の静止画像を長時間継続して表示させていたりすると、静止画像の輝度の段差に基づく焼き付きが発生し、表示画面が見難くなってしまう。
【0003】
このような問題を解決するために、従来、入力映像信号の輝度を反転させた反転画像を表示させることにより、表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能な表示装置が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平11−298226号公報
【特許文献2】特開平11−298226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の表示装置では、反転画像を表示させる元となる静止画像、すなわち、焼き付きが発生した静止画像を記憶しておく専用のメモリが、別途、設けられている構成となっており、このことが、表示装置の製造にかかるコストの増大を招来してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み、製造コストを増大させることなく、表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能な表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項2にかかる発明は、入力映像信号に基づいて所定の表示画像を表示させる第1の表示画像表示手段と、
上記入力映像信号の輝度を反転させた反転画像を表示させる第2の表示画像表示手段とを具備する表示装置において、
所定の停止操作に応じて、上記第1の表示画像表示手段により表示されている表示画像の画像デ−タを、1フレ−ム分の画像デ−タを記憶可能なフレ−ムメモリに記憶させる画像デ−タ記憶手段と、
上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づいて、上記第2の表示画像表示手段に上記反転画像を表示させる表示制御手段と
を具備する構成としてある。
【0007】
上記のように構成した請求項2において、上記第1の表示画像表示手段は、入力映像信号に基づいて所定の表示画像を表示部に表示させる。また、上記第2の表示画像表示手段は、入力映像信号の輝度を反転させた反転画像を表示させる。
【0008】
また、上記画像デ−タ記憶手段は、所定の停止操作に応じて、上記第1の表示画像表示手段により表示されている表示画像の画像デ−タを、1フレ−ム分の画像デ−タを記憶可能なフレ−ムメモリに記憶させる。さらに、上記表示制御手段は、上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づいて、上記第2の表示画像表示手段に上記反転画像を表示させる。上記フレ−ムメモリは、入力映像信号に対する所定の処理を実行するビデオデコ−ダや、デジタル映像信号を表示部が有する画面の大きさに合わせて変換するためのスケ−ラ等が、その作業領域として備えているものであり、このフレ−ムメモリを利用して焼き付きが発生したときの静止画像の画像デ−タを記憶しておくことが可能となる。その結果、焼き付きが発生したときの静止画像の画像デ−タを記憶しておくためのメモリを別途余計に設ける必要がなくなるため、製造にかかるコストの増大を抑制することが可能となる。
【0009】
さらに、請求項3にかかる発明は、上記表示制御手段が、上記画像デ−タ記憶手段により記憶されている画像デ−タについて、同画像デ−タに基づく静止画像の輝度が高い部分と低い部分との境界を暈すように、上記反転画像を表示させる構成としてある。
上記のように構成した請求項3において、反転画像を表示させた結果、画面全体の焼き付きが均一になった際に、元の静止画像の輝度が高い部分と低い部分との境界を目立たなくすることが可能となる。
【0010】
さらに、請求項4にかかる発明は、表示画面の焼き付きを目視により確認するための全白画像を表示させる全白画像表示手段を具備する構成としてある。
上記のように構成した請求項4において、焼き付きが発生したときの表示画面の焼き付き具合や、反転画像を表示させることにより均一化された表示画面の目視による確認を行うことが可能となる。
【0011】
さらに、請求項5にかかる発明は、入力映像信号の動きを検出し、所定時間以上動きがない場合を静止画像であると特定する特定手段と、
上記特定手段により静止画像であると特定されてからの経過時間を測定する計時手段とを具備し、
上記表示制御手段が、上記計時手段により測定された経過時間にわたって上記反転画像を表示させる構成としてある。
上記のように構成した請求項5において、焼き付きの発生にかかる静止画像が表示されていた時間と同じ時間にわたって反転画像を表示させることが可能となるため、表示画面をより均一化させることができ、表示画面の焼き付きをより目立たなくすることが可能となる。
【0012】
さらに、請求項6にかかる発明は、上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づく静止画像を表示させる静止画像表示手段を具備する構成としてある。
上記のように構成した請求項6において、焼き付きが発生した元の静止画像を確認することが可能となる。
【0013】
さらに、請求項7にかかる発明は、外部装置からの入力映像信号を入力可能な映像入力端子を具備し、同外部装置としてのゲ−ム装置からの入力映像信号に基づいてゲ−ム画像を表示するゲ−ムモ−ドを選択可能であり、上記表示制御手段が、上記ゲ−ムモ−ドが選択されているときに、上記第2の表示画像表示手段に上記反転画像を表示させる構成としてある。
上記のように構成した請求項7において、テレビゲ−ム等からの入力映像信号に起因して焼き付きが発生した場合であっても、反転画像を表示させることにより表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能となる。
【0014】
さらに、請求項8にかかる発明は、上記表示部が、プラズマディスプレイパネルからなる構成としてある。
上記のように構成した請求項8において、プラズマディスプレイパネルの表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項2にかかる発明では、製造にかかるコストの増大を抑制しつつ、表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能となる。
請求項3にかかる発明では、焼き付きが発生した元の静止画像の輝度が高い部分と低い部分との境界を目立たなくすることが可能となる。
請求項4にかかる発明では、表示画面の目視による確認を行うことが可能となる。
請求項5にかかる発明では、表示画面の焼き付きをより目立たなくすることが可能となる。
請求項6にかかる発明では、焼き付きが発生した元の静止画像を確認することが可能となる。
請求項7にかかる発明では、テレビゲ−ム等からの入力映像信号に起因して焼き付きが発生した場合であっても、反転画像を表示させることにより表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能となる。
請求項8にかかる発明では、プラズマディスプレイパネルの表示画面の焼き付きを目立たなくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明にかかるプラズマディスプレイパネルを備えたテレビジョンとしての表示装置(PDP表示装置)の構成を示すブロック図である。同図において、PDP表示装置20は、アンテナ10からの周波信号を入力するチュ−ナ部22を備えている。チュ−ナ部22は、いわゆるシンセサイザ方式のチュ−ナの構成とされ、選局制御信号としてPLLデータ、すなわち、PLLル−プにおける可変分周回路の分周比のデ−タがチュ−ナ部22に与えられる。
【0017】
また、PDP表示装置20は、ビデオ入力端子24を備えている。ビデオ入力端子24には、外部装置としてのゲ−ム装置50が接続されており、このビデオ入力端子24を介してゲ−ム装置50からの映像信号及び音声信号を入力可能となっている。上述したチュ−ナ部22とビデオ入力端子24とにはスイッチ回路25が接続されている。このスイッチ回路25は、チュ−ナ部22からの映像信号、または、ビデオ入力端子24からの映像信号のいずれか一方を有効とし、後述する映像信号処理部23に供給するためのものである。すなわち、本発明にかかる表示装置20は、テレビジョン放送の受像と、ゲ−ム装置からのゲ−ム映像の表示との両方を行うことが可能なように構成されている。
【0018】
チュ−ナ部22またはビデオ入力端子24からの出力は、映像信号処理部23に供給される。映像信号処理部23は、カラ−デコ−ダ23aとIP変換部23bとスケ−ラ−23cと表示画像調整部23eとを備えている。カラ−デコ−ダ23aは、入力された信号から、R、G、Bの3原色信号を復調する。また、カラ−デコ−ダ23aは、図示しないA/D変換器を備え、入力されたR、G、Bの3原色信号をデジタル信号に変換する。さらに、カラ−デコ−ダ23aは、映像信号と音声信号との分離も行い、分離された音声信号を後述するD/A変換器32に供給する。カラ−デコ−ダ23aは、さらに、OSD処理部23dを備えている。このOSD処理部23dは、映像に所定の静止画像を重ねて表示したり、所定の静止画像を差し替えて表示する等の処理を行うことができる。OSD処理部は、文字情報等のデ−タをCPU28aから入力し、同文字情報等のデ−タに基づいて静止画像を生成することが可能となっている。
【0019】
IP変換部23bは、連続するインタ−レ−ス形式の映像信号をプログレッシブ形式の映像信号に変換する。スケ−ラ−23cは、入力したデジタルの映像信号を、PDPパネル31が有する画面の大きさに合致するように変換を行う。なお、カラ−デコ−ダ23a、IP変換部23bおよびスケ−ラ−23cは、それぞれの処理を行う際のワ−クエリアとしてフレ−ムメモリ23f、23g、23hをそれぞれ利用することが可能となっている。
【0020】
カラ−デコ−ダ23aが利用可能なワ−クエリアとしてのフレ−ムメモリ23fには、動き検出部26が接続されている。動き検出部26は、フレ−ムメモリ23fに記憶されている映像信号のフレ−ム(一画面分の画像デ−タ)間の差分を検出し、この差分に基づいて、所定時間以上動きがない場合を静止画像であると判断し、それ以外は動画像であると判断する。そして、動き検出部26の検出結果は、CPU28aに送信される。CPU28aは、動き検出部26から静止画像である旨の判断結果を受信すると、その時点からの経過時間(T)を測定する。本発明にかかるPDP表示装置20は、この経過時間(T)と同時間にわたって反転画像を表示させるのである。
【0021】
また、リモコン40等からの所定の停止操作に基づいて、CPU28aは、フレ−ムメモリ23fに記憶されている画像デ−タを保持させ、同画像デ−タに基づく静止画像をPDPパネル31に表示させる制御を行う。このようにすることにより、例えば、ゲ−ム画像を長時間にわたって表示させたことに気付いたユ−ザ−が、表示画面の焼き付きが発生した虞のある静止画像の確認を行うことが可能となる。
【0022】
表示画像調整部23eは、γ補正回路を含み、入力された映像信号に基づく表示画像の生成、および、CPU28aからの命令に基づく反転画像の生成を行う。また、表示画像調整部23eは、リモコン40等による停止操作に応じてフレ−ムメモリ23fに画像デ−タが保持されているときに、リモコン40等による所定の操作に基づくCPU28aからの命令に応じて、同画像デ−タの輝度を反転させた反転画像を生成する処理を行う。この表示画像調整部23eについては、後に図面(図2)を用いて詳述する。
【0023】
PDP駆動部30は、LVDS変換回路等を含み、表示画像調整部23eからの出力に応じて、PDPパネル31に各種の画像を表示させる処理を行う。また、カラ−デコ−ダ23aから出力された音声信号は、D/A変換部32を介してアンプ/スピ−カ33に入力される。
【0024】
上述したCPU28aは、バス29に接続されており、バス29に接続されたRAM28bをワ−クエリアとしながら、PDP表示装置2の各種機能を実現するための制御処理を実行する。また、バス29には書き換え可能なEEPROM28dが接続されており、CPU28a、EEPROM28dに記憶された各種デ−タを使用して制御処理を実行する。
【0025】
EEPROM28dには、選局デ−タ28d1が記憶されている。この選局デ−タ28d1は、リモコン40等からの受信チャンネルの選局指示に基づいて、チュ−ナ部22が受信する周波数帯を選択するためのものである。また、EEPROM28dには、上述したOSD処理部23dにOSD処理を行わせるためのOSDデ−タ28d2が記憶されている。
【0026】
バス29にはリモコンI/F28eが接続されており、リモコン40から出力される赤外線明滅信号を入力可能になっている。この赤外線明滅信号は、バス29を介してCPU28aに送出され、CPU28aは対応する制御処理を実行する。
【0027】
図2は、図1に示した表示画像調整部の構成を示すブロック図である。同図に示すように、表示画像調整部23eは、3つの表示画像生成回路60、62、64、および、3つの反転画像生成回路61、63、65を備えている。表示画像生成回路60および反転画像生成回路61は、カラ−デコ−ダ23aにより復調されたRのデジタル信号(R信号)を入力する。また、表示画像生成回路62および反転画像生成回路63、表示画像生成回路64および反転画像生成回路65は、それぞれG信号、B信号を入力する。表示画像生成回路60および反転画像生成回路61は、スイッチ回路66に接続されており、これらの2つの回路を切り替え可能となっている。同様に、表示画像生成回路62および反転画像生成回路63、表示画像生成回路64および反転画像生成回路65は、それぞれスイッチ回路67、68に接続されている。
【0028】
表示画像生成回路60は、ROM60aを備えており、このROM60aには、γ補正を行い表示画像を生成するための表示画像生成用ルックアップテ−ブルが記憶されている。このルックアップテ−ブルの一例を図3に示す。同図において、各入力階調値に対するγ補正後の出力階調値が対応付けられている。すなわち、このルックアップテ−ブルを用いることにより、入力階調値からγ補正後の出力階調値を一義的に得ることが可能となっている。スイッチ回路66により表示画像生成回路60が有効となっている場合には、表示画像生成回路60に入力されたR信号に対して、このルックアップテ−ブルに基づくγ補正が行われ、同補正後のR信号が出力されるのである。
【0029】
一方、反転画像生成回路61は、ROM61aを備えており、このROM61aにも、γ補正を行うための反転画像生成用ルックアップテ−ブルが記憶されている。このルックアップテ−ブルの一例を図4に示す。同図において、図3に示した表示画像生成用ルックアップテ−ブルと同様に、各入力階調値に対するγ補正後の出力階調値が対応付けられているのであるが、図3に示したルックアップテ−ブルと比較して輝度が反転したものとなっている。リモコン40等の操作により反転画像を表示させる旨の指示があったときには、フレ−ムメモリ23fに保持されている画像デ−タから得られるR信号に対して、このルックアップテ−ブルに基づくγ補正が行われ、同補正後のR信号が出力されるのである。
【0030】
G信号が入力される表示画像生成回路62および反転画像生成回路63、B信号が入力される表示画像生成回路64および反転画像生成回路65についても、それぞれ、ROM62a、63a、64a、65aを備えている。ROM62a、64aについては、図3に示したものと同様の表示画像生成用ルックアップテ−ブルが記憶されており、ROM63a、65aについては、図4に示したものと同様の反転画像生成用ルックアップテ−ブルが記憶されているのである。そして、R、G、Bの各信号に対して、それぞれ表示画像生成回路60、62、64によるγ補正が行われた場合には、映像信号に基づく通常の表示画像が得られる一方、R、G、Bの各信号に対して、それぞれ反転画像生成回路61、63、65によるγ補正が行われた場合には、フレ−ムメモリ23fに保持されている画像デ−タに基づく反転画像が得られるのである。
【0031】
次に、図1に示したPDP表示装置20において実行されるメイン処理の流れを、図5に示すフロ−チャ−トに基づいて説明する。まず、ステップS100において、初期設定を行う。この処理において、CPU28a内のレジスタ、RAM28bのクリア、EEPROM28dからの白バランス調整用の設定デ−タの読み出し等の初期設定にかかる処理を行う。
【0032】
次に、ステップS110において、テレビ入力になっているか否かを特定する。この処理において、図1に示したスイッチ回路25によりチュ−ナ部22からの映像信号が有効となっているか否かを特定する。すなわち、テレビジョン放送を受像中であるか否かを特定するのである。
【0033】
ステップS110においてテレビ入力となっていると特定した場合には、ステップS120において、テレビジョン放送受像処理を行う。この処理において、CPU28aは、現在設定されているチャンネル番号に基づいて、PDP表示装置20を構成する各部、各回路を主導的に制御し、同チャンネル番号に対応するテレビ映像をPDPパネル31に表示させる処理を実行する。一方、ステップS110においてテレビ入力となっていない(ビデオ入力である)と特定した場合には、ステップS130において、ゲ−ム装置50からの入力映像信号に基づいて表示画像を表示させる処理を実行する。これにより、ゲ−ム画像がPDPパネル31に表示されるのである。
【0034】
ステップS120またはステップS130の処理を実行すると、次に、ステップS140において、停止操作があったか否かを特定する。この処理において、例えば、ゲ−ム画像やOSD画像を長時間にわたって表示させたままにしておいたことに気付いたユ−ザ−等により、反転画像を表示させて表示画面のメンテナンスを行うために、現在表示中の画像を停止させる操作があったか否かを特定する。停止操作があった場合には、ステップS150において反転画像表示処理を実行する。この反転画像表示処理については、後に図面(図6)を用いて詳述する。
【0035】
一方、ステップS140において停止操作がなかったと特定した場合には、ステップS160において、PDP表示装置20の電源をOFFにする旨の指示があったか否かを特定する。PDP表示装置20の電源をOFFにする旨の指示がなかった場合には処理をステップS110に戻し、指示の入力があった場合にはメイン処理を終了させる。
【0036】
次に、図5に示したフロ−チャ−トのステップS150において呼び出されて実行される反転画像表示処理の流れを図6に基づいて説明する。まず、ステップS200において、画像デ−タをフレ−ムメモリに保持させる処理を実行する。この処理において、ユ−ザ−による停止操作があったときに表示されている画像の画像デ−タを、フレ−ムメモリ23fに保持させる処理を実行する。
【0037】
次に、ステップS210において、ステップS200の処理によりフレ−ムメモリ23fに保持されている画像デ−タに基づく静止画像をPDPパネル31に表示させる処理を実行する。この処理が行われることにより、表示画面の焼き付きの原因となった画像の確認を行うことが可能となる。
【0038】
次に、ステップS220において、経過時間(T)を表示させる処理を行う。この処理において、動き検出部26が静止画像であると判断した時点からの経過時間(T)、すなわち、表示画面の焼き付きの原因となった画像が表示されていた時間をPDPパネル31に表示させる処理を行う。
【0039】
次に、ステップS230において、全白画像の表示指示があったか否かを特定する。この処理において、リモコン40等の操作により、表示画面の焼き付きの度合いを確認するための全白画像をPDPパネル31に表示させる旨の指示があったか否かを判断する。全白画像の表示指示があった場合には、ステップS240において、全白画像をPDPパネル31に表示させる。
【0040】
ステップS240の処理を実行するか、または、ステップS230において全白画像の表示指示がなかったと特定した場合、ステップS250において、反転画像の表示指示があったか否かを特定する。この処理において、リモコン40等の操作により、反転画像を表示させる旨の指示の入力があったか否かを特定する。反転画像の表示指示がなかった場合には、反転画像表示処理を終了させる。
【0041】
一方、ステップS250において反転画像の表示指示があったと特定した場合、ステップS260において反転画像を表示する処理を行う。具体的には、CPU28aからの命令信号によりスイッチ回路66、67、68の切り替えを行い、反転画像生成回路61、63、65を有効とするとともに、フレ−ムメモリ23fに保持されている画像デ−タから復調されたR、G、Bの各信号に対して反転画像生成用ルックアップテ−ブルに基づくγ補正を行い、補正後のR、G、Bの各信号に基づく反転画像をPDPパネル31に表示させるのである。なお、このとき、輝度の高い部分と低い部分との差が所定レベル以上である境界部分については、同境界部分を暈すように反転画像を表示させることが望ましい。具体的には、例えば、輝度の高い部分と低い部分との差が所定レベル以上である境界部分については、或る画素Aに隣接する複数の画素の階調値と、画素Aの階調値との平均値を、反転画像を表示させるときの画素の階調値とするように補正を行い、上記境界部分が均一にぼやけるようにするのである。
【0042】
ステップS260の処理を実行すると、次に、ステップS270において表示時間(t)の測定を開始する処理を行う。この表示時間(t)は、反転画像がPDPパネル31に表示されている時間である。次に、ステップS280において、反転画像の表示時間(t)と、上述した経過時間(T)とについてt<Tであるか否かを特定する。t<Tである場合には、処理をステップS280に戻す一方、t<Tではない(t=Tである)場合には、ステップS290において反転画像の表示を終了させ、その後、反転画像表示処理を終了させる。なお、図6には示していないが、この反転画像の表示終了後に、全白画像を表示させることにより、表示画面の均一性のチェックを行うことができるように構成されていてもよい。
【0043】
以下、図6に示した反転画像表示処理が実行されるときの具体例を示す。ユ−ザ−によるリモコン40等からの所定の停止操作があったことを受けて、まず、同停止操作があったときにPDPパネル31に表示されている画像の画像デ−タをフレ−ムメモリ23fに保持させる(ステップS200)。そして、保持されている画像デ−タに基づく静止画像をPDPパネル31に表示させ(ステップS210)、表示画面の焼き付きが発生した原因となった静止画像をユ−ザ−が確認することができるようにするとともに、同静止画像が表示されていた経過時間(T)画面に表示させる(ステップS220)。また、表示画面の焼き付きが具合を確認するための全白画像をユ−ザ−からの指示に応じて表示させる(ステップS240)。その後、反転画像を表示させる旨の指示がユ−ザ−からあったときには、経過時間(T)と同時間にわたって反転画像を表示させるのである(ステップS260〜S290)。
【0044】
上述した実施形態においては、ユ−ザ−からの停止操作があったときに、その静止画像の画像デ−タをカラ−デコ−ダ23aのワ−クエリアであるフレ−ムメモリ23fに保持させる場合について説明したが、本発明では、入力映像信号に所定の処理を施す際にワ−クエリアとして利用されるフレ−ムメモリに画像デ−タを保持させるようにすればよく、図1においては、例えば、IP変換部23bやスケ−ラ−23cに上記画像デ−タを保持させるように表示装置が構成されていてもよい。
【0045】
図5に示したフロ−チャ−トでは、テレビ入力になっている場合であっても、ビデオ入力になっている場合であっても、ユ−ザ−による停止操作に応じて図6に示した反転画像表示処理が実行される場合について説明したが、本発明においては、図7に示すように、外部装置としてのゲ−ム装置からのゲ−ム画像を表示するゲ−ムモ−ドを選択可能に構成されており、更に、このゲ−ムモ−ドが選択されているときのみに、上述した停止操作に応じて反転画像表示処理が実行されるようにPDP表示装置が構成されていてもよい。
【0046】
図7に示すメイン処理では、ステップS100の初期設定処理が実行された後、ステップS300においてゲ−ムモ−ドが選択されているか否かが特定され、ゲ−ムモ−ドが選択されている場合には、ステップS130、S140、S150の処理が行われるのであるが、ゲ−ムモ−ドが選択されていない(テレビ入力である)場合には、ステップS120のテレビジョン放送受信処理が行われた後、ステップS160に処理が移されるため、ステップS150の反転画像表示処理は実行されない。
【0047】
以上説明したように、実施形態にかかるPDP表示装置10では、リモコン40からの所定の停止操作に基づいて、カラ−デコ−ダ23aが利用可能な作業領域であるフレ−ムメモリ23fに焼き付きの原因となった静止画像の画像デ−タが保持されるため、焼き付きが発生したときの静止画像の画像デ−タを記憶しておくためのメモリを別途余計に設ける必要がなくなるため、製造にかかるコストの増大を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】PDP表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示画像調整部の構成を示すブロック図である。
【図3】表示画像生成用ルックアップテ−ブルの一例を示す図である。
【図4】反転画像生成用ルックアップテ−ブルの一例を示す図である。
【図5】メイン処理の流れを示すフロ−チャ−トである。
【図6】図5のフロ−チャ−トのステップS150において呼び出される反転画像表示処理の流れを示すフロ−チャ−トである。
【図7】メイン処理の別例を示すフロ−チャ−トである。
【符号の説明】
【0049】
10…アンテナ
20…PDP表示装置
22…チュ−ナ部
23…映像信号処理部
23a…カラ−デコ−ダ
23b…IP変換部
23c…スケ−ラ−
23d…OSD処理部
23e…表示画像調整部
23f…フレ−ムメモリ
26…動き検出部
28a…CPU
28b…RAM
28d…EEPROM
30…PDP駆動部
31…PDPパネル
40…リモコン
60、62、64…表示画像生成回路
61、 63、65…反転画像生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に基づいて所定の表示画像をプラズマディスプレイパネルに表示させる第1の表示画像表示手段と、
上記入力映像信号の輝度を反転させた反転画像を表示させる第2の表示画像表示手段と
を具備するテレビジョンにおいて、
上記入力映像信号の動きを検出し、所定時間以上動きがない場合を静止画像であると特定する特定手段と、
上記特定手段により静止画像であると特定されてからの経過時間を測定する計時手段と、
所定の停止操作に応じて、上記第1の表示画像表示手段により表示されている表示画像の画像デ−タを、1フレ−ム分の画像デ−タを記憶可能なフレ−ムメモリに記憶させる画像デ−タ記憶手段と、
上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づく静止画像を表示させる静止画像表示手段と、
上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づいて、ゲ−ム計時手段により測定された経過時間にわたって、同画像デ−タに基づく静止画像の輝度が高い部分と低い部分との境界については、同境界を暈すように上記反転画像を表示させる表示制御手段と、
表示画面の焼き付きを目視により確認するための全白画像を表示させる全白画像表示手段と
を具備することを特徴とするテレビジョン。
【請求項2】
入力映像信号に基づいて所定の表示画像を表示部に表示させる第1の表示画像表示手段と、
上記入力映像信号の輝度を反転させた反転画像を表示させる第2の表示画像表示手段と
を具備する表示装置において、
所定の停止操作に応じて、上記第1の表示画像表示手段により表示されている表示画像の画像デ−タを、1フレ−ム分の画像デ−タを記憶可能なフレ−ムメモリに記憶させる画像デ−タ記憶手段と、
上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づいて、上記第2の表示画像表示手段に上記反転画像を表示させる表示制御手段と
を具備することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
上記表示制御手段は、上記画像デ−タ記憶手段により記憶されている画像デ−タについて、同画像デ−タに基づく静止画像の輝度が高い部分と低い部分との境界を暈すように、上記反転画像を表示させることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
表示画面の焼き付きを目視により確認するための全白画像を表示させる全白画像表示手段を具備することを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記入力映像信号の動きを検出し、所定時間以上動きがない場合を静止画像であると特定する特定手段と、
上記特定手段により静止画像であると特定されてからの経過時間を測定する計時手段と
を具備し、
上記表示制御手段は、上記計時手段により測定された経過時間にわたって上記反転画像を表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項6】
上記画像デ−タ記憶手段により上記フレ−ムメモリに記憶されている画像デ−タに基づく静止画像を表示させる静止画像表示手段を具備することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項7】
外部装置からの入力映像信号を入力可能な映像入力端子を具備し、
同外部装置としてのゲ−ム装置からの入力映像信号に基づいてゲ−ム画像を表示するゲ−ムモ−ドを選択可能であり、
上記表示制御手段は、上記ゲ−ムモ−ドが選択されているときに、上記第2の表示画像表示手段に上記反転画像を表示させることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1に記載の表示装置。
【請求項8】
上記表示部は、プラズマディスプレイパネルからなることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−11067(P2006−11067A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188410(P2004−188410)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】