説明

テープフィーダの調整装置

【課題】テープフィーダにおける電子部品の供給位置の調整において、調整される送り位置のばらつきを排除し、かつ調整作業効率に優れるテープフィーダの調整装置を提供することを目的とする。
【解決手段】テープフィーダ20における電子部品の供給位置がピックアップ位置Sとなるようにテープ21の送り位置を調整するテープフィーダの調整装置であって、テープフィーダ20における電子部品の供給位置を観察するカメラ4と、カメラ4により観察された電子部品の供給位置を示す画像とピックアップ位置Sを示す画像とを表示する表示手段6eとを備え、ピックアップ位置Sを示す画像が、電子部品の供給位置が許容される範囲を示す画像とともに表示手段6eに表示されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダにおけるテープの送り位置を調整することによりテープに収納された電子部品の供給位置を調整するテープフィーダの調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を部品供給部からピックアップして基板等の実装対象に実装する電子部品の実装装置において、電子部品を実装装置に連続的に供給するパーツフィーダとしてテープフィーダが広く用いられている。テープフィーダには、複数の電子部品を等ピッチで収納したテープがリールに巻回して格納されており、テープの送り位置を調整することにより電子部品の供給位置を調整することができるようになっている。テープフィーダは、実装装置に装着された状態においてノズルによるピックアップ位置に電子部品を正確に送ることができるように電子部品の供給位置が調整される。
【0003】
しかしながら、テープフィーダは種々の駆動系を含む機構から構成されており、経年使用により駆動系の磨耗や劣化が生じてテープの送り精度が低下する傾向にある。そのため、テープフィーダの使用の過程において電子部品の供給位置にずれが生じて電子部品がピックアップ位置に正確に送られなくなり、ピックアップミスが生じて実装品質の低下を招いていた。
【0004】
このような問題を解決するため、位置決め治具を使用することにより電子部品の供給位置を調整する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この装置によれば、位置決め治具に設けられた位置決め基準部とテープに設けられた被認識部との相対位置関係を画像表示し、この画像から読み取られた両者の位置ずれ量に基づいてテープの送り量を調整することにより電子部品の供給位置を調整するようになっている。
【特許文献1】特開平10−256799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品の供給位置の調整においては、要求される精度に応じて電子部品の供給位置が許容される領域が存在している。しかしながら、特許文献1に開示された装置には、電子部品の供給位置が許容される領域を示す手段が備えられていないため、許容される領域の判断に個人差が影響し送り位置にばらつきが生じていた。また、ピックアップ位置に正確に調整するためには技術と時間を要するので作業効率の悪いものであった。
【0006】
そこで本発明は、テープフィーダにおける電子部品の供給位置の調整において、調整される送り位置のばらつきを排除し、かつ調整作業効率に優れるテープフィーダの調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、電子部品が等ピッチで収納されたテープをピッチ送りするテープ送り手段を有するテープフィーダとの間で通信を行うことにより前記電子部品の供給位置がピックアップ位置となるように前記テープの送り位置を調整するテープフィーダの調整装置であって、前記テープフィーダに電気を供給する電気供給手段と、前記テープフィーダが着脱自在に設置されるステージと、前記ステージに設置された前記テープフィーダにおける前記電子部品の供給位置を観察する認識手段と、前記観察手段により観察された前記電子部品の供給位置を示す画像と前記ピックアップ位置を示す画像とを表示する表示手段と、前記テープ送り手段を制御して前記テープの送り位置を調整する調整手段とを備
え、前記ピックアップ位置を示す画像が、前記電子部品の供給位置が許容される範囲を示す画像とともに前記表示手段に表示される。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記観察手段が前記テープに設けられた被観察部を観察することにより前記電子部品の供給位置を観察し、前記表示手段が前記電子部品の供給位置及び前記ピックアップ位置を前記テープに設けられた被観察部の位置を示す画像により表示する。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記被観察部が複数の被観察部から任意に選択することが可能であり、前記ピックアップ位置を示す画像が、前記選択された被観察部の形状に対応した形状で前記表示手段に表示される。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、前記テープに設けられた被観察部に替えて前記テープフィーダに設けられたテープ送り爪と係合する係合孔を前記テープ送り爪と係合させた状態で前記テープフィーダに装着されたテープ治具に前記テープ送り方向に等ピッチで設けられた被観察部を用いる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子部品の供給位置が許容される領域が画像表示されるので、調整される送り位置のばらつきを排除することができる。また、送り位置が許容される領域内に電子部品の供給位置を調整すればよいので、調整作業効率に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置の構成を示す概略図、図2は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整時の状態を示す側面図、図3は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置とテープフィーダの電気的な構成を示すブロック図、図4(a)乃至(d)は本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図、図5(a)は本発明の一実施の形態におけるテープの斜視図、図5(b)は本発明の一実施の形態におけるテープ治具の斜視図、図6は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置の観察手段の位置決めの様子を示す説明図、図7は本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図、図8は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整方法を示すフローチャート、図9は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置を含む調整システムを示す概略図、図10は本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置を含む調整システムにおける表示手段に表示されるビューワの例を示す説明図である。
【0013】
図1において、テープフィーダの調整装置(以下、調整装置という)1は、テープフィーダや治具が設置されるステージ3と、ステージ3の上方に配設されて下方を観察する観察手段であるカメラ4と、カメラ4を水平方向に移動させる移動手段である移動テーブル5と、コンピュータ6から構成される。ステージ3はベース2上に配設されており、ステージ3の上面にはテープフィーダや治具の設置位置を所定の位置に案内するガイド3aが設けられている。移動テーブル5はステージ3上に配設された架台7の上部に配設されている。カメラ4及び移動テーブル5とコンピュータ6には電源8から電気が供給されている。
【0014】
図2において、調整装置1のステージ3上にはテープフィーダ20が設置されている。テープフィーダ20は、テープ21を巻回したリール22と、スプロケット23及びスプロケット23をインデックス回転させるモータ24と、モータ24の駆動及び停止のタイミングを制御してテープ21の送り位置を調整する制御部25と、制御部25により調整されたテープ21の送り位置を記憶する記憶部26を備えている。スプロケット23の外
周にはテープ21に形成された送り孔21a(図5(a)参照)と係合する送り爪23aが設けられており、スプロケット23のインデックス回転により、リール22に巻回されたテープ21を引き出してピッチ送りするようになっている。従って、制御部25によりモータ24の駆動及び停止のタイミングを制御することにより、スプロケット23の1回のインデックス回転におけるテープ送り量が調整されてテープ21の送り位置が調整される。テープ21の送り位置は、テープ21に等ピッチで収納された電子部品P(図5(a)参照)の送り位置がピックアップ位置Sとなるように調整される。
【0015】
このように構成されるテープフィーダ20は、図示しない電子部品実装装置に着脱自在に装着されて電子部品Pを連続的に供給する。電子部品実装装置には電子部品をピックアップするノズルが備えられており、ピックアップ位置Sに送られた電子部品Pをピックアップして基板等に実装する。
【0016】
次に、調整装置1とテープフィーダ20の電気系の構成について説明する。図3において、調整装置1に備えられたコンピュータ6は、論理演算処理を行うCPU6aと、CPU6aに各種処理動作を実行させるプログラム等を記憶するROM6bと、各種データの記憶領域やCPU6aによる作業領域を備えるRAM6cと、キーボードやドライバ等からなる入力部6dと、液晶パネルやCRT等からなる表示手段6eから構成されている。コンピュータ6はインターフェイス6fを介してカメラ4及び移動テーブル5と接続されており、移動テーブル5の駆動を制御してカメラ4の位置決めを行う。また、カメラ4により撮像された画像データを取り込んでRAM6cに保存するとともに表示手段6eに画像表示する。
【0017】
更に、インターフェイス6fは調整装置1のインターフェイス1aと接続されており、テープフィーダ20のインターフェイス20aと接離できるようになっている。図2に示すように、テープフィーダ20を調整装置1に装着した状態においてインターフェイス1aとインターフェイス20aが接続されるようになっており、調整装置1のコンピュータ6とテープフィーダ20との間で通信が可能となる。コンピュータ6の入力部6dを操作することにより、テープフィーダ20の制御部25に制御指令を送信してテープ21の送り位置を調整することができる。また、記憶部26に記憶されたテープ21の送り位置をRAM6cに取り込んで調整履歴データとして記憶することができる。インターフェイス1aは電源8とも接続されており、インターフェイス1aとインターフェイス20aが接続されると調整装置1からテープフィーダ20へ電気が供給される。
【0018】
次に、テープフィーダ20の調整について説明する。テープフィーダ20は電子部品実装装置に着脱されて電子部品の供給を繰り返すうちに着脱に関わる部位に磨耗や損耗が生じたりテープのピッチ送りを行う各種の駆動系の磨耗や劣化が生じたりしてテープ21の送り精度が低下する傾向にある。テープ21の送り精度が低下すると電子部品の供給位置がピックアップ位置Sからずれ、電子部品が不安定な姿勢でピックアップされたりノズルから脱落したりする等のピックアップミスが生じることがある。そのため、テープフィーダ20においては、電子部品の供給位置がピックアップ位置となるようにテープ21の送り位置を調整する作業が必要となっている。
【0019】
テープ21の送り位置の調整は、調整装置1に備えられたコンピュータ6の表示手段6eに表示される画像を参照して行われる。図4は、表示手段6eにおける画像表示の様子を示している。図4(a)は、被観察部がテープ21に収納された電子部品Pである場合を示しており、テープ21に収納された電子部品の供給位置を示す画像aとピックアップ位置を示す画像bを表示している。画像aは、テープ21に収納された電子部品Pをカメラ4により撮像した画像を画像処理して表示したものである。テープフィーダ20における電子部品の供給位置がピックアップ位置に調整されている場合には、図4(c)に示す
ように、表示手段6eの画像上で画像aと画像bが重なった状態で表示される。一方、テープフィーダ20における電子部品の供給位置がピックアップ位置からずれている場合には、図4(a)に示すように、画像aと画像bがずれた状態で表示される。すなわち、画像bは表示手段6eの画像上で画像aを位置合わせすべき目標位置を示している。従って、入力部6dを操作して表示手段6eの画像上で画像aを移動させて画像bに重なるようにテープ21の送り位置を調整することにより、テープフィーダ20における電子部品の供給位置をピックアップ位置に調整することができる。
【0020】
テープフィーダ20の調整においては、図5(b)に示すようなテープ治具30を使用することもできる。テープ治具30には、図5(a)に示すテープ21と同様に、スプロケット23の外周に設けられた送り爪23aと係合する送り孔30aがピッチ送り方向に等ピッチで形成されている。電子部品の収納位置に相当する位置には被観察孔30bが形成されている。テープ治具30はテープフィーダ20に着脱自在になっており、送り孔30aをスプロケット23の送り爪23aに係合させた状態でテープフィーダ20に装着される。テープ治具30は、スプロケット23のインデックス回転によりピッチ送りされる。
【0021】
図4(b)は、被観察部がテープ治具30に形成された被観察孔30bである場合を示しており、テープ21に収納された電子部品の供給位置を被観察孔30bの位置で示す画像cとピックアップ位置を被観察孔30bの位置で示す画像dを表示している。テープフィーダ20における電子部品の供給位置がピックアップ位置に調整されている場合には、図4(d)に示すように、表示手段6eの画像上で画像cと画像dが重なった状態で表示される。一方、テープフィーダ20における電子部品の供給位置がピックアップ位置からずれている場合には、図4(b)に示すように、画像aと画像bがずれた状態で表示される。すなわち、画像dは表示手段6eの画像上で画像cを位置合わせすべき目標位置を示している。従って、入力部6dを操作して表示手段6eの画像上で画像cを移動させて画像dに重なるようにテープ送り手段を制御することにより、テープフィーダ20における電子部品の供給位置をピックアップ位置に調整することができる。
【0022】
なお、テープ送り手段を制御することによりテープ21の送り位置が調整されるのは、テープ21の送り方向であるX方向における送り位置のずれのみである。Y方向におけるずれは、テープフィーダ20自体の構造的な歪や劣化により発生するものであり、上述した制御系の調整ではなく例えば偏心ピン等を使用した機械的な方法により調整する。
【0023】
被観察部としては、テープ21に収納された電子部品の他に様々な形態のものを使用することができる。上述した電子部品やテープ治具30に設けられた被観察孔30bを含め、複数の被観察部が予めRAM6cに記憶されており、入力部6dにより任意の被観察部を選択することができるようになっている。被観察部としてテープ治具30に形成された被観察孔30bを使用すると、テープ21に直接設けられた被観察部と比較してテープ自体の伸縮による誤差の影響を排除することができ、より精度の高いテープフィーダの調整が可能になる。
【0024】
なお、表示手段6eには、画像b(画像d)の外側に画像e(画像f)が表示されている。電子部品の供給位置の調整においては、要求される精度に応じて電子部品の供給位置が許容される領域が存在しているので、この許容される領域に対応して画像e及び画像fが設定される。従って、テープ21の送り量の調整に際しては、画像a(画像b)が画像e(画像f)内に重なるようにすれば、要求される精度を満たした電子部品の供給位置の調整を行うことができる。このように、電子部品の供給位置を調整すべき位置を示す画像b(画像d)だけでなく電子部品の供給位置が許容される位置を被観察部の位置で示す画像e(画像f)を表示することにより、位置合わせ精度のバラツキを排除することができ
る。また、電子部品の供給位置が許容される位置を目標にしてテープの送り位置を調整すればよいので調整作業効率に優れる。
【0025】
以上の各画像を表示する画像データはRAM6cに記憶されており、任意の被観察部を選択すると、選択された被観察部の形状に対応した形状で表示手段6eに表示されるようになっている。
【0026】
次に、カメラ4の位置決めについて説明する。図6は、調整装置1のステージ3上に、テープフィーダ20、位置決め治具40、補正治具50を並設した状態を示した平面図である。位置決め治具40には位置決め基準孔40aが設けられており、位置決め基準孔40aの上方に撮像中心4aが位置するようにカメラ4を位置決めする。位置決めが終了すると、ステージ3上から位置決め治具40を離脱し、替わりにテープフィーダ20を設置する。
【0027】
位置決め治具40により位置決めされたカメラ4により撮像された画像は、図4(a)、(b)に示すように、表示手段6eに表示される画像の中央が画像上で被観察部の位置を示す画像a(画像c)を位置合わせすべき目標位置となっており、この位置に画像b及び画像e(画像d及び画像f)が表示される。
【0028】
カメラ4の位置決めにおいては、位置決め治具40がステージ3に対して繰り返し着脱されるので、接触部に磨耗や損耗が生じて設置時における位置決め基準孔40aの繰り返し位置決め精度が経年的に低下する傾向にある。そのため、位置決め基準孔40aを基準として位置決めされるカメラ4aが、本来位置決めされるべき位置からずれてしまうことがある。これにより、位置決め精度が低下した位置決め治具40を使用して調整されたテープフィーダ20においては、電子部品の供給位置がピックアップ位置Sからずれていることがある。そのため、調整後のテープフィーダ20について、電子部品の供給位置がピックアップ位置となるようにテープ21の送り位置の補正を行うことが必要となる。
【0029】
次に、テープ21の送り量の補正について説明する。図6において、補正治具50は位置決め治具40と同じものであり、位置決め基準孔40aが設けられた位置に対応した位置に補正基準孔50aが設けられている。カメラ4は、ステージ3上に設置された補正治具50に設けられた補正基準孔50aの上方に撮像中心4aが位置するように位置決めされる。この状態でカメラ4により補正基準孔50aを撮像すると、図7に示すように表示手段6eの画像の中央に画像処理された画像gとして表示される。
【0030】
カメラ4の位置決めが終了すると、ステージ3上から補正治具40を離脱し、替わりに位置決め治具40を設置して位置決めされたカメラ4により位置決め基準孔40aを撮像する。このとき、位置決め治具40に磨耗や損耗等がなければ、位置決め基準孔40aを示す画像hは補正基準孔50aを示す画像gと同様に画像の中央に表示されるが、経年劣化によって図7に示すように画像の中央からずれた位置に表示された場合には、位置決め治具40を使用して調整されたテープフィーダ20には、画像gと画像hの間の位置ずれ量iに相当する電子部品の供給位置のずれが生じていることになる。
【0031】
従って、テープフィーダ20における電子部品の供給位置をピックアップ位置に調整するために、図4(c)、(d)に示すように、表示手段6eの画像上で画像a(画像c)が画像b(画像d)に重なるようにテープ21の送り位置を調整した後に、図7に示す画像gと画像hの間の位置ずれ量iを補正量としてテープ21の送り位置の補正を行う。
【0032】
このように、位置決め治具40に設けられた位置決め基準孔40aを基準としてテープフィーダ20におけるテープ21の送り位置を調整することにより電子部品の供給位置の
調整を行う際に、位置決め治具40に設けられた位置決め基準孔40aと補正治具50に設けられた補正基準孔50aとの位置ずれ量を補正量として位置決め治具40を使用して調整されたテープ21の送り位置の補正を行うことにより、位置決め治具40自体の経年劣化により位置決め精度の悪化の影響を排除してテープフィーダ20における電子部品の供給位置を適正に調整することができる。
【0033】
なお、上記説明においては、テープフィーダ20、位置決め治具40、補正治具50をステージ3上に交互に着脱してテープフィーダ20の調整を行っているが、図6に示すように、位置決めされたカメラ4が、ステージ3上に並設されたテープフィーダ20、位置決め治具40、補正治具50の上方をX方向における位置を維持したままY方向に移動するようにしてもよい。
【0034】
以上のテープフィーダ20におけるテープ21の送り位置の調整は、コンピュータ6の入力部6dを操作することにより制御部25に制御指令を送信し、これを受信した制御部25によりモータ24の駆動を制御してスプロケット23のインデックス回転を調整することにより行われる。すなわち、テープフィーダ20と通信可能なコンピュータ6は、テープ送り手段を制御してテープ21の送り量を調整する調整手段として機能する。調整されたテープ21の送り位置は記憶部26に記憶される。記憶部26に記憶されたテープ21の送り位置に基づいて制御部25がテープ送り手段を制御することにより電子部品Pがピックアップ位置に送られる。
【0035】
テープ送り手段により調整されたテープ21の送り位置は調整履歴データとして記憶部26に記憶される。調整履歴データには、当該テープフィーダのシリアル番号、調整項目及び内容、調整日時、ライフカウンタ(当該テープフィーダにおける通算の送り回数)、ラストカウンタ(前回調整時からの送り回数)、エラー情報が含まれている。記憶部26に記憶された調整履歴データは、インターフェイス1aとインターフェイス20aが接続された際、すなわちテープフィーダ20が調整装置1に装着された際にコンピュータ6に送信される。コンピュータ6は、この調整履歴データを受信してRAM6cにデータベースとして記憶する。また、表示手段6eに表示された画像データについても調整履歴データと関連付けてRAM6cにデータベースとして記憶する。
【0036】
このように、テープフィーダ20における調整履歴データや画像データが調整装置1のコンピュータ6に記憶されるので、データを解析することによりテープフィーダにおける精度低下の傾向を把握することができ、不具合原因の解析やテープフィーダ20の調整を行うべき時期の予測が可能となる。これにより、電子部品の供給位置が大幅にずれて実装品質に悪影響を与えるような事態に至る以前にテープフィーダの調整を行うことが可能となり、実装品質の向上に資することができる。
【0037】
次に、本実施の形態におけるテープフィーダの調整方法について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。まず、調整装置1のステージ3上に位置決め治具40を設置し、カメラ4の撮像中心4aが位置合わせ基準部40aの上方に位置するようにカメラ4の位置決めを行う(ST1)。カメラ4の位置決めが終了すると、ステージ3上から位置決め治具40を離脱して替わりにテープフィーダ20を設置する(ST2)。なお、図6に示すように、位置決め治具40とテープフィーダ20をステージ3上に並設している場合には、カメラ4をY方向にピッチ移動させてテープフィーダ20の上方に位置決めすることもできる。
【0038】
次に、被観察部を選択して(ST3)、テープ21の送り位置調整用の画像を表示手段6eに表示される。画像上で電子部品の供給位置を示す画像が、電子部品の供給位置が許容される範囲を示す画像内に位置していない場合は、テープ21の送り位置を調節して電
子部品の供給位置を調整する(ST4)。一方、画像上で電子部品の供給位置を示す画像が、電子部品の供給位置が許容される範囲を示す画像内に位置している場合は、電子部品の供給位置の調整は必要なく送り位置の調整は終了する。送り位置の調整が終了すると、調整履歴データが記憶部26に記憶される(ST5)。
【0039】
次に、複数の調整装置1を備えたテープフィーダの調整システムについて説明する。図9において、テープフィーダの調整システム(以下、調整システムという)は、3つの調整装置1と、これらと電気的に接続された1つのコンピュータ60から構成されている。調整装置1のコンピュータ6には、上述したデータベースがRAM6cに含まれており、このデータベースに含まれる調整履歴データや画像データがコンピュータ60に送信される。
【0040】
コンピュータ60は、論理演算処理を行うCPU60aと、CPU60aに各種処理動作を実行させるプログラム等を記憶するROM60bと、各種データの記憶領域やCPU60aによる作業領域を備えるRAM60cと、キーボードやドライバ等からなる入力手段60dと、液晶パネルやCRT等からなる表示手段60eから構成される。各コンピュータ6から送信される調整履歴データや画像データは、RAM60cにデータベースとして記憶される。ROM60bには、RAM60cに記憶されたデータベースを表示手段60eに表示するためのビューワが含まれており、このビューワを起動させるとRAM60cに記憶されたデータベースを一覧表示できるようになっている。
【0041】
ビューワは、例えば図10に示すように、各調整装置1における調整履歴データを一覧表示することにより、1つのコンピュータ60により複数の調整装置1におけるテープフィーダの調整に関する様々な情報を管理することができる。また、ビューワは各種のデータ処理機能を備えており、1つのコンピュータ60により複数の調整装置1におけるテープフィーダの調整に関する情報や履歴所望の形式に加工して表示したり出力したりすることが可能になっている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明におけるテープフィーダの調整装置によれば、電子部品の供給位置が許容される領域が表示されるので、調整される送り位置のばらつきを排除することができるとともに調整作業効率に優れるという利点を有し、テープフィーダを使用して電子部品の実装を行う分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置の構成を示す概略図
【図2】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整時の状態を示す側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置とテープフィーダの電気的な構成を示すブロック図
【図4】(a)本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図(b)本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図(c)本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図(d)本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図
【図5】(a)本発明の一実施の形態におけるテープ治具の斜視図(b)本発明の一実施の形態におけるテープの斜視図
【図6】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置の撮像手段の位置決めの様子を示す説明図
【図7】本発明の一実施の形態における表示手段の画像表示の例を示す説明図
【図8】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整方法を示すフローチャート
【図9】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置を含む調整システムを示す概略図
【図10】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの調整装置を含む調整システムにおける表示手段に表示されるビューワの例を示す説明図
【符号の説明】
【0044】
1 テープフィーダの調整装置
3 ステージ
4 カメラ(認識手段)
6 コンピュータ(調整手段)
6d 入力手段
6e 表示手段
8 電源
20 テープフィーダ
21 テープ
23 スプロケット(テープ送り手段)
24 モータ(テープ送り手段)
30 テープ治具
30b 被認識孔(被認識部)
S ピックアップ位置
P 電子部品(被認識部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が等ピッチで収納されたテープをピッチ送りするテープ送り手段を有するテープフィーダとの間で通信を行うことにより前記電子部品の供給位置がピックアップ位置となるように前記テープの送り位置を調整するテープフィーダの調整装置であって、
前記テープフィーダに電気を供給する電気供給手段と、前記テープフィーダが着脱自在に設置されるステージと、前記ステージに設置された前記テープフィーダにおける前記電子部品の供給位置を観察する認識手段と、前記観察手段により観察された前記電子部品の供給位置を示す画像と前記ピックアップ位置を示す画像とを表示する表示手段と、前記テープ送り手段を制御して前記テープの送り位置を調整する調整手段とを備え、
前記ピックアップ位置を示す画像が、前記電子部品の供給位置が許容される範囲を示す画像とともに前記表示手段に表示されることを特徴とするテープフィーダの調整装置。
【請求項2】
前記観察手段が前記テープに設けられた被観察部を観察することにより前記電子部品の供給位置を観察し、前記表示手段が前記電子部品の供給位置及び前記ピックアップ位置を前記テープに設けられた被観察部の位置を示す画像により表示することを特徴とする請求項1記載のテープフィーダの調整装置。
【請求項3】
前記被観察部が複数の被観察部から任意に選択することが可能であり、前記ピックアップ位置を示す画像が、前記選択された被観察部の形状に対応した形状で前記表示手段に表示されることを特徴とする請求項1又は2記載のテープフィーダの調整装置。
【請求項4】
前記テープに設けられた被観察部に替えて前記テープフィーダに設けられたテープ送り爪と係合する係合孔を前記テープ送り爪と係合させた状態で前記テープフィーダに装着されたテープ治具に前記テープ送り方向に等ピッチで設けられた被観察部を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のテープフィーダの調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−158049(P2007−158049A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351705(P2005−351705)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】