説明

テープ貼付装置

【課題】貼付アームから垂れ下がった粘着テープの始端部を吸着状態に自動復帰させる。
【解決手段】貼付アーム32の先端部に、粘着テープ16の始端部16aを吸着保持する第1吸着部48が設けられる。貼付アーム32における第1吸着部48よりテープ引出し経路の上流側に、テープ引出し経路より上方に位置するようにエア吹出し手段60が配設される。吸着不良が発生して粘着テープ16の始端部16aが貼付アーム32から垂れ下がった状態で、エア吹出し手段60からアーム先端に向けてエアが噴出される。このエア噴出によって第1吸着部48の周辺の気圧が低下して負圧が発生し、垂れ下がっていた粘着テープ16の始端部16aは第1吸着部48に引き寄せられて該第1吸着部48による吸着状態に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器における蓋と容器本体とを粘着テープによって止着するテープ貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食材を収容した容器本体と、該容器本体に冠着された蓋とを粘着テープで止着する装置として、例えば特許文献1や特許文献2に開示された技術が提案されている。両文献に開示の技術は、何れもコンベヤに載置された蓋付き容器を上方から押さえ、コンベヤの左右に設けた一対のアームを容器の上部位置まで移動して該アームに吸着保持した粘着テープの始端部を容器の左右両側の上面に貼付し、アームを容器の側面に沿って水平移動と下降移動させて粘着テープを所要長さだけ供給源から引き出すと共に切断して、その切断端部をアームによって容器の側面または底面に押し撫でるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4063393号公報
【特許文献2】特開2009−107690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記アームに吸着保持した粘着テープの始端部が、前記容器の材質や貼付面の形状、あるいは粘着テープの貼付強度、その他の種々の貼付条件によって容器に貼付されずに、テープ片を切断した後の粘着テープの始端部がアームに吸着保持されることなく垂れ下がってしまうことがあった。この場合は、吸着不良検出手段によって吸着不良が検出されて、貼付装置での貼付処理を中断する事態を生じ、生産能率を低下させる問題が指摘される。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係るテープ貼付装置に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、貼付アームから垂れ下がった粘着テープの始端部を吸着状態に自動復帰させ得るテープ貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係るテープ貼付装置は、
容器本体に蓋が冠着された容器の外縁に所定長さ毎に切断したテープ片を貼付して蓋と容器本体とを止着するテープ貼付装置において、
テープロールから引き出した粘着テープの始端部を容器の蓋に貼付すると共に切断されたテープ片の終端部を容器本体に貼付する貼付アームと、
該貼付アームの下面側において粘着面を下方に向けて引出し案内された粘着テープの始端部を、貼付アーム先端で非粘着面側から吸着する吸着部と、
該吸着部よりテープ引出し経路の上流側において粘着テープを貼付アームの下面側で保持する支持手段と、
前記貼付アームの下面側に配設され、支持手段による粘着テープの保持位置より上方における粘着テープの引出し方向上流からテープ始端側に向けてエアを噴出するエア吹出し手段と、
前記吸着部に対する粘着テープの吸着状態の良否を検出する検出手段とを備え、
該検出手段により粘着テープの吸着不良を検出した際に前記エア吹出し手段からエアを噴出するよう構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記検出手段により粘着テープの吸着不良を検出した後の所定の貼付サイクル数経過後に前記エア吹出し手段からエアを噴出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記支持手段は、前記粘着テープの粘着面側を下方から支持し得る保持部材と、該保持部材の近傍において粘着テープの非粘着面を吸着し得る吸引孔とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記エア吹出し手段によるエア噴出後において、前記検出手段による吸着不良の検出が継続する際に装置を停止するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、粘着テープの吸着不良の発生時に、該粘着テープを吸着状態に人手を介することなく自動復帰させることができ、貼付処理の中断に起因する生産能率の低下を防止し得る。
請求項2に係る発明によれば、吸着不良を検出した後の所定の貼付サイクル数経過後にエア噴出するので、吸着部に対して粘着テープが歪んで保持されている等により貼付処理を中断するまでもない状態でのエア噴出を回避し得る。
請求項3に係る発明によれば、貼付時に、テープロールから引き出された粘着テープが貼付アームの下面側に弛んだ状とならずに貼着アームの下面に略沿った状態で保持することができる。
請求項4に係る発明によれば、粘着テープの吸着不良に伴う不良品が発生するのを未然に防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例に係るテープ貼付装置を物品搬送方向の上流側から視た概略斜視図である。
【図2】実施例に係るテープ貼付装置を物品搬送方向の下流側から視た概略斜視図である。
【図3】実施例に係るテープ貼付装置を導入コンベヤと搬送コンベヤとの端部を離間して移動空間を形成した状態で示す概略縦断側面図である。
【図4】実施例に係る右側の貼付機構の要部を示す概略斜視図である。
【図5】実施例に係る貼付アームの要部底面図である。
【図6】実施例に係る貼付アームの縦断面図である。
【図7】実施例に係るテープ貼付装置の主要な制御ブロック図である。
【図8】実施例に係る貼付アームから垂れ下がった粘着テープの始端部が第1吸着部に引き寄せられる状態を示す説明図である。
【図9】実施例に係る吸着不良制御処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るテープ貼付装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜図3は、実施例に係るテープ貼付装置の概略構成を示すものであって、テープ貼付装置は、蓋付きの容器10を載置して搬送するベルトコンベヤからなる導入コンベヤ12と、該導入コンベヤ12の下流側に接続されて導入コンベヤ12から受け渡された容器10を載置して搬送するベルトコンベヤからなる搬送コンベヤ14と、両コンベヤ12,14間の渡り部に対応して配設され、容器10に粘着テープ16を貼付するテープ貼付手段18とから基本的に構成される。また、導入コンベヤ12および搬送コンベヤ14との対向端部は、相互に近接・離間移動自在に構成され、テープ貼付手段18における後述する貼付アーム32の容器底面側への移動を許容する移動空間Sとなる間隙部を渡り部に画成するよう構成されている。なお、前記容器10は、本例では各種食材を収容した容器本体10aに蓋10bを冠着した平面視で四角形のプラスチック成形品からなる弁当容器を挙げている。
【0014】
図3に示す如く、前記導入コンベヤ12から搬送コンベヤ14への渡り部に対応して、該渡り部に位置する容器10を保持する押圧体20および受け具22が配設される。押圧体20は、渡り部の上方に配設した支持材24に配設した第1保持シリンダ26の作動によって昇降動するよう構成され、該押圧体20は、両コンベヤ12,14で搬送される容器10と干渉しない上方の退避位置と、渡り部に位置する容器10の上面を押圧する押圧位置との間を移動するよう構成される。また受け具22は、渡り部の下方に配設した第2保持シリンダ28の作動によって昇降動するよう構成され、該受け具22は、導入コンベヤ12および搬送コンベヤ14の物品載置面より下方に離間した退避位置と、渡り部でコンベヤ12,14間に跨って載置された容器10の底面を支持する支持位置との間を移動するよう構成される。なお、押圧体20および受け具22は、テープ貼付手段18の貼付アーム32が粘着テープ16を容器10に貼付するよう動作する際に、該貼付アーム32と干渉しない形状に形成される。
【0015】
前記テープ貼付手段18は、渡り部に対応して搬送路を挟む左右両側に貼付機構30a,30bを備える。両貼付機構30a,30bの構成は左右対称であるので、図1において右側の右貼付機構30aの構成について説明し、左側の左貼付機構30bについては、同一部材に同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0016】
右貼付機構30aは、容器10に粘着テープ16を貼付する貼付アーム32を、左右方向に往復動するボールねじとサーボモータの組合わせ等からなる横行機構34および昇降動するボールねじとサーボモータの組合わせ等からなる昇降機構36とを備える。横行機構34は、図1に示す如く、前記搬送コンベヤ14の下方に横架された固定台38に対し搬送路の右側位置において水平移動可能に配設された横行枠40を、左右方向へ水平移動することで搬送コンベヤ14における搬送路に対して接近または離間するよう構成される。また昇降機構36は、図2に示す如く、横行枠40に昇降動可能に配設された取着部材42を昇降動するよう構成される。
【0017】
図1および図4に示す如く、前記取着部材42には、粘着テープ16が巻回されたテープロール44が支持されると共に、テープロール44に隣接して貼付アーム32が前記渡り部の上方へ向けて水平に突出するように取着される。この貼付アーム32の先端部の下面に、負圧発生手段46に接続された吸引孔48aからなる第1吸着部(吸着部)48が形成されると共に、貼付アーム32の先端部の垂直面に、負圧発生手段46に接続された吸引孔50aからなる第2吸着部50が形成されている。テープロール44から引き出された粘着テープ16は、複数のローラ52並びにテンションローラ54を介して貼付アーム32の下面側において、その粘着面を下方に向けて引出し案内され、この粘着テープ16の始端部16aが、貼付アーム32の先端で非粘着面側から第1吸着部48により吸着されて保持される。
【0018】
前記貼付アーム32の延在方向の中央付近に、前記第1吸着部48よりテープ引出し経路の上流側において、粘着テープ16を貼付アーム32の下面側で保持する支持手段55が配設される。支持手段55は、ガイドロール(保持部材)56と、ガイドロール56の配設位置を挟むテープ引出し方向の前後夫々の近傍に形成された第1吸引孔58aおよび第2吸引孔58bとを備える。ガイドロール56は、図6に示す如く、貼付アーム32の下面に沿って引き出されて第1吸着部48、第1吸引孔58aおよび第2吸引孔58bとで吸着されている粘着テープ16のテープ引出し経路より下方に位置するように貼付アーム32に軸支され、粘着テープ16の始端部16aが垂れ下がった際に、前記第1吸着部48よりテープ引出し経路の上流側において粘着テープ16を粘着面側から支持し得るよう構成される(図8参照)。ガイドロール56は、表面にフッ素樹脂コーティング等の粘着抑制処理が施され、粘着テープ16の粘着面が接触した際に粘着するのを抑制し得るようになっている。前記第1吸引孔58aおよび第2吸引孔58bは、図5に示す如く、ガイドロール56の配設位置を挟むテープ引出し方向の前後夫々の近傍において貼付アーム32の幅方向に離間して夫々複数形成され、両吸引孔58a,58bは、前記負圧発生手段46に接続されている。そして、貼付アーム32とガイドロール56との間を挿通するように引き出されている粘着テープ16を、両吸引孔58a,58bで非粘着面側から吸着するよう構成される。
【0019】
前記貼付アーム32の下面側には、図5または図6に示す如く、前記第1吸着部48と支持手段55の配設位置との間において、該支持手段55による粘着テープ16の保持位置より上方に位置するようにエア吹出し手段60が配設される。このエア吹出し手段60は、テープ引出し方向と交差するテープ幅方向に延在し、エア供給手段62に接続するノズル部材60aを備える。該ノズル部材60aには、幅方向に離間して穿設された複数の吸出孔からなる吹出部60bが設けられ、エア供給手段62から供給されるエアを、支持手段55による粘着テープ16の保持位置より上方における粘着テープ16の引出し方向上流からテープ始端側(アーム先端)に向けて吹出部60bから噴出するよう構成される(図8参照)。なお、エア吹出し手段60は、ノズル部材60aを回動調節することで、吹出部60bからのエアの噴出方向を上下方向で調節自在に構成される。
【0020】
前記第1吸着部48と負圧発生手段46とのエア吸引経路に、検出手段としての圧力スイッチ64(図7参照)が設けられ、該圧力スイッチ64は、第1吸着部48の吸引孔48aを覆って粘着テープ16の始端部16aが吸着されている状態(負圧検出状態)でONとなり、第1吸着部48に粘着テープ16の始端部16aが吸着されていない状態(負圧解除検出状態)でOFFとなるよう設定される。なお、本実施例では、第1吸着部48の吸引孔48aが粘着テープ16で部分的に覆われて吸着が不完全な状態についても、負圧解除検出状態として圧力スイッチ64がOFFとなるよう設定されている。
【0021】
前記取着部材42に配設される切断装置66は、前記貼付アーム32の第1吸着部48より外側に近接した位置において、粘着テープ16の引出し方向と交差するよう刃部を配置したカッタ68が貼付アーム32の下面に対し出没可能に支持され、取着部材42に配設したエアシリンダ70を作動することで、貼付アーム32の下面において第1吸着部48で吸着された粘着テープ16をカッタ68で切断するよう構成される。また第2吸着部50は、カッタ68で切断された後のテープ片(所定長さで切断された粘着テープ16)における貼付アーム32の先端垂直面の外側に位置する終端部を吸着保持するよう構成される。
【0022】
図7に示すように、テープ貼付装置の各機器を作動制御するための制御手段72の入力側に、前記第1吸着部48に対する粘着テープ16の吸着状態を検出する前記圧力スイッチ64が接続されると共に、該制御手段72の出力側に、前記エア吹出し手段60にエア(圧縮エア)を供給する前記エア供給手段62と、前記第1吸着部48、第2吸着部50および支持手段55の吸引孔58a,58bを介して吸引力を作用する前記負圧発生手段46とが夫々接続されている。そして、制御手段72は、圧力スイッチ64からの入力信号に基づいて、エア吹出し手段60にエアを供給する状態と、エアを供給しない状態とにエア供給手段62を切換え制御する。エア供給手段62は、エア供給源と、該エア供給源とエア吹出し手段60とを接続するエア経路に配設された開閉弁とを備え、該開閉弁を開閉作動することで、エア吹出し手段60へのエアの供給と供給停止とが切換えられる。なお、エア供給源は、左右の貼付機構30a,30bで共通のものを使用し得る。
【0023】
次に、前述したように構成されたテープ貼付装置の動作につき説明する。
前記導入コンベヤ12で載置搬送される容器10が渡り部において導入コンベヤ12の搬送終端と搬送コンベヤ14の搬送始端とに跨る位置に到来するタイミングで、各コンベヤ12,14が走行停止する。また両コンベヤ12,14の停止に合わせて、前記第1保持シリンダ26を作動することで、押圧体20が押圧位置まで下降して渡り部に位置する容器10の上面に当接してコンベヤ12,14の載置面に押し付ける(図3参照)。また、導入コンベヤ12および搬送コンベヤ14との対向端部が相対的に離間し、導入コンベヤ12の搬送始端と搬送コンベヤ14の搬送始端との間に間隙部が画成されて、容器底面のコンベヤ12,14による支持が部分的に解除されて、貼付アーム32における容器底面側の移動空間Sが確保される。また、容器10の形状等の条件によっては、前記第2保持シリンダ28を作動して退避位置の受け具22を支持位置まで上昇することで、間隙部に臨み両コンベヤ12,14間に跨って載置された容器10の底面を、該受け具22で下方から支持して前記押圧体20とにより容器10が上下から挟持される。
【0024】
前記左右の貼付機構30a,30bにおいては、各取着部材42の貼付アーム32が下降して容器10の蓋10bの上面左右両側に押し付けられ、前記第1吸着部48で吸着保持されている粘着テープ16の始端部16aが蓋10bの上面左右両側に押し撫でられて止着される。次に、各貼付アーム32が横行機構34と昇降機構36とにより外側へ横行して下降した後に容器10の側面に沿うように近接しつつ下降することで、粘着テープ16の始端部16aが蓋10bに対し貼付されたまま粘着テープ16はテープロール44から引き出される。貼付アーム32の移動に伴ってテープロール44から引き出されて貼付アーム32と前記ガイドロール56との間に挿通された粘着テープ16は、前記第1吸引孔58aおよび第2吸引孔58bを介して作用する吸引力で弛みが生ずることなく吸着され、貼付アーム32の下面側において粘着テープ16が弛んだ状態とならずにアーム下面に略沿った状態で保持される。貼付アーム32が容器本体10aの側面から底面に沿って移動し、粘着テープ16が容器10の底面位置に至る長さだけ引き出されたときに、粘着テープ16が切断装置66のカッタ68で切断されて容器10に貼付された粘着テープ16がテープ片として分離される。また分離されたテープ片の終端部は、第2吸着部50による吸引力で弛みが生ずることなく保持される。テープ片が分離されて貼付アーム32に支持された粘着テープ16の始端部16aは第1吸着部48により吸着保持され、その始端部16aが次工程におけるテープ片の始端部16aとなる。その後、各貼付アーム32が容器10の底面に沿うようにして若干横行することで、テープ片の終端部が容器本体10aの底面に押し撫でられて止着される。
【0025】
次に、貼付アーム32は、容器10から離間するよう横行すると共に上昇することで貼付開始位置に復帰する。また、前記第1、第2保持シリンダ26,28が作動し、前記押圧体20および受け具22の夫々が退避位置に移動する。更に、導入コンベヤ12および搬送コンベヤ14との対向端部が相対的して近接して前記間隙(移動空間S)が閉成されると共に、両コンベヤ12,14の走行が再開され、粘着テープ16が貼付されて容器本体10aと蓋10bとが封止された容器10は搬送コンベヤ14によって搬出側に向けて搬送される。
【0026】
次に、前記貼付アーム32に対する粘着テープ16の吸着不良に対応する制御処理につき、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
前述した、貼付アーム32の下面側に引き出されている粘着テープ16の始端部16aを蓋10bの上面に止着するよう動作を開始した貼付アーム32が、前記切断装置66のカッタ68で切断されたテープ片の終端部を容器本体10aの底面に止着し、貼付開始位置に復帰するまでの貼着サイクルにおいて(ステップS1)、前記制御手段72は、前記圧力スイッチ64がOFF状態であるか否かを確認し(ステップS2)、ON状態であると確認した場合には、粘着テープ16の始端部16aが第1吸着部48に正常に吸着保持されていると判断して、次の貼付サイクルの運転を継続する。また、圧力スイッチ64がOFF状態となったことを確認した場合は、制御手段72は、粘着テープ16の始端部16aが第1吸着部48に正常に吸着保持されていないと判断してステップS3に進む。そして、制御手段72は、貼付アーム32の貼付動作を引き続き継続すると共に、圧力スイッチ64がOFF状態で行なわれた貼付サイクル数Nが、予め設定された貼付サイクル数X(例えば2〜3サイクル)に達するまでサイクル数をカウントする(ステップS3)。制御手段72は、貼付サイクル数Nが設定サイクル数Xに達した際に、前記エア吹出し手段60からエアを噴出する(ステップS4)。
【0027】
図8に示す如く、前記支持手段55による粘着テープ16の保持位置より上方における粘着テープ16の引出し方向上流からテープ始端側(アーム先端)に向けてエア吹出し手段60からエアが噴出されると、前記第1吸着部48の周辺の気圧が低下して負圧が発生し、第1吸着部48で吸着保持されずに貼付アーム32の下方に垂れ下がった粘着テープ16の始端部16aが、第1吸着部48による吸引力が作用する位置まで一気に引き寄せられて粘着テープ16を第1吸着部48による吸着状態に復帰させることができる。
【0028】
前記エア吹出し手段60でのエア噴出直後の貼付サイクルにおいて(ステップS5)、前記制御手段72は、前記圧力スイッチ64の検出状態を確認し(ステップS6)、圧力スイッチ64がON状態であれば、粘着テープ16の始端部16aが第1吸着部48で吸着保持状態にあり、吸着不良が解消したと判断し、ステップS7に進んでステップS3でカウントした貼付サイクル数Nのカウント値をリセットする。また、引き続き圧力スイッチ64がOFF状態であれば、制御手段72は、依然として粘着テープ16の吸着不良が解消していないと判断してステップS8に進む。そして、制御手段72は、圧力スイッチ64がOFF状態で行なわれた貼付サイクル数Nが、予め設定された貼付サイクル数Z(例えば2〜3サイクル)に達するまでステップ4〜ステップ6までを繰り返し実行すると共にそのサイクル数をカウントし(ステップS8)、その設定サイクル数Zの範囲内で圧力スイッチ64のON状態が確認された場合(ステップS6)には、前記した如く、吸着不良が解消されたと判断してステップS7を経て、以後通常運転に移行する。また、ステップS4〜ステップS6までの繰り返しサイクル数Nが前記設定サイクル数Zに達した際には、制御手段72は、第1吸着部48に対するテープ始端部16aの吸着復帰が困難と判断し、テープ貼付装置の運転を停止する(ステップ9)。
【0029】
このように、本実施例では、貼付アーム32の下面側における粘着テープ16の引き出し方向上流から貼付アーム32の先端に向けてエアを噴出するだけの簡単な構成で、粘着テープ16の吸着不良を人手を介することなく自動で解消することができる。従って、吸着不良の発生時に装置の運転を中断することなく貼付処理を継続することができ、装置の運転中断に伴う生産能率の低下を防止し得る。なお、本実施例では、粘着テープ16が歪んで前記第1吸着部48に吸着されている状態や、第1吸着部48に対する粘着テープ16の位置がずれている状態等、第1吸着部48での負圧状態が不完全で圧力スイッチ64がOFF状態となっている場合においては、エア噴出を実施しなくても次の貼付サイクルによって正常な吸着状態に復帰する可能性があることから、吸着不良を検出後に複数回の貼付サイクルを行なった後、すなわち圧力スイッチ64によって吸着不良が検出されてから所定の貼付サイクルが経過した後に、前記エア吹出し手段60によるエア噴出を実施している。
【0030】
また、前記粘着テープ16の始端部16aが第1吸着部48に吸着保持されずに垂れ下がった際に、テープ引出し方向の上流側で該粘着テープ16を支持手段55によって貼付アーム32の下面側で保持し、粘着テープ16がエア噴出により発生する負圧作用が及ばない位置まで第1吸着部48から離間してしまうのを防止することができる。従って、エア吹出し手段60によるエア噴出の実施によって、垂れ下がっている粘着テープ16の始端部16aを確実に第1吸着部48に吸着保持する状態に復帰し得る。更に、エア吹出し手段60によるエア噴出が実施されても粘着テープ16の吸着不良が解消しない場合は、テープ貼付装置の運転を停止することで、粘着テープ16の吸着不良に伴う不良品が発生するのを未然に防止し得る。なお、前記エア吹出し手段60によるエア噴出が何度も繰り返される場合は、粘着テープ16が貼付されない容器10が包装不良品として搬送コンベヤ14によって搬出されるが、当該容器10についてはテープ貼付装置に再度供給することで粘着テープ16が止着された良品とすることができる。
【0031】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 実施例では、圧力スイッチ64がOFF状態での貼付サイクル数Nが複数回連続した後に、エア吹出し手段60によるエア噴出を実施する構成としたが、圧力スイッチ64がOFF状態となったときに、即座にエア吹出し手段60によるエア噴出を実施するようにしてもよい。
(2) 実施例では、検出手段として圧力スイッチ64を用いたが、粘着テープ16の位置を検出するリミットスイッチ等の接触式の検出手段、あるいはフォトセンサ等の光学式の非接触式検出手段等、各種方式の検出手段を採用し得る。
(3) 実施例では、保持部材として回転自在なガイドロール56を用いたが、テープ引出し経路の下方に固定配置したものであってもよい。
(4) 実施例では、容器10の左右両側に粘着テープを貼付する装置で説明したが、左右何れか一方の側にのみ粘着テープを粘着する装置であってもよい。
(5) エア吹出し手段60は、吸着不良に際して貼付アーム32から垂れ下がる粘着テープ16の始端部16aより上側に、該始端部16aを第1吸着部48による吸引力が作用する位置まで引き寄せ得る負圧を形成し得る方向に向けてエアを噴出するものであればよい。
上記した変更例に限らず、実施形態に記載した構成については、本発明の主旨を逸脱しない範囲でその他の各種構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0032】
10 蓋付きの容器,10a 容器本体,10b 蓋,16 粘着テープ
16a 始端部,32 貼付アーム,44 テープロール,48 第1吸着部(吸着部)
55 支持手段,56 ガイドロール(保持部材),58a 第1吸引孔
58b 第2吸引孔,60 エア吹出し手段,64 圧力スイッチ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(10a)に蓋(10b)が冠着された容器(10)の外縁に所定長さ毎に切断したテープ片を貼付して蓋(10b)と容器本体(10a)とを止着するテープ貼付装置において、
テープロール(44)から引き出した粘着テープ(16)の始端部(16a)を容器(10)の蓋(10b)に貼付すると共に切断されたテープ片の終端部を容器本体(10a)に貼付する貼付アーム(32)と、
該貼付アーム(32)の下面側において粘着面を下方に向けて引出し案内された粘着テープ(16)の始端部(16a)を、貼付アーム(32)先端で非粘着面側から吸着する吸着部(48)と、
該吸着部(48)よりテープ引出し経路の上流側において粘着テープ(16)を貼付アーム(32)の下面側で保持する支持手段(55)と、
前記貼付アーム(32)の下面側に配設され、支持手段(55)による粘着テープ(16)の保持位置より上方における粘着テープ(16)の引出し方向上流からテープ始端側に向けてエアを噴出するエア吹出し手段(60)と、
前記吸着部(48)に対する粘着テープ(16)の吸着状態の良否を検出する検出手段(64)とを備え、
該検出手段(64)により粘着テープ(16)の吸着不良を検出した際に前記エア吹出し手段(60)からエアを噴出するよう構成した
ことを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記検出手段(64)により粘着テープ(16)の吸着不良を検出した後の所定の貼付サイクル数経過後に前記エア吹出し手段(60)からエアを噴出するようにしたことを特徴とする請求項1記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記支持手段(55)は、前記粘着テープ(16)の粘着面側を下方から支持し得る保持部材(56)と、該保持部材(56)の近傍において粘着テープ(16)の非粘着面を吸着し得る吸引孔(58a,58b)とを設けたことを特徴とする請求項1または2記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記エア吹出し手段(60)によるエア噴出後において、前記検出手段(64)による吸着不良の検出が継続する際に装置を停止するようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のテープ貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−206740(P2012−206740A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72730(P2011−72730)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】