説明

ディスプレイに使用するための反射防止フィルム

円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20nm〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、を備える反射防止フィルムおよび同フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、反射防止フィルムに関し、特に、ディスプレイに使用するための反射防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の表面から反射された光の量を低減し、従って、かかる反射された光によって形成された反射または「ゴースト」画像を低減させるかまたは除く反射防止フィルムを有する様々な物品、例えば、レンズ、陰極線管、光ディスプレイ、ウインドウフィルムおよびウインドシールドを提供することが便利である。さらに、物品の表面への汚染または損傷の量を低減するために保護フィルムおよび/または汚れ防止フィルムを有する、光ディスプレイなどの様々な物品を提供することが有利である。例えば、パーソナルディジタルアシスタント(「PDA」)、現金自動取引機、携帯電話、タッチパネル、フラットパネルディスプレイおよび取り外し可能なコンピュータフィルターなどのデバイスにおいて用いられる光ディスプレイはしばしば、ユーザーの顔、指、スタイラス、宝石および/または他の物体を取扱い、および接触される。従って、ラノリンおよびフェイシャルオイルが、光ディスプレイのコントラスト、彩度または輝度に悪影響を及ぼすことがある。日常的な使用に起因する引掻き、摩耗、汚れおよび染みもまた、光ディスプレイの解像度および透明度を失わせ、時々、判読不能または機能しなくさせることがある。
【0003】
基材上の反射防止コーティングは典型的に、複数の無機層、例えば金属または金属酸化物層およびシリカ層を含む。(本明細書中で用いられる用語「シリカ」は反射防止技術分野における通常の意味で用いられ、式SiOxの材料を意味し、xは必ずしも2に等しくはない。当業者は理解するように、かかるシリカ層はしばしば、化学蒸着、真空蒸着、または酸素雰囲気中でのケイ素のスパッタリングによって堆積され、その結果、堆積された材料は、高純度シリカの理論式SiO2に正確に合致しない。)典型的に、シリカ層の一方の表面が露出され、水との低接触角によって示されるように高表面エネルギーを有するこの露出面は、指紋および他の跡を非常に残しやすい。かかる跡は清浄にするのがきわめて難しく、しばしば、化学洗浄剤の使用を必要とする。
【0004】
有効な反射防止フィルムは、サウスウォール・テクノロジーズ(Southwall Technologies)(カリフォルニア州、パロアルト(Palo Alto,CA))から市販されている。この材料は、耐磨耗性ハードコートを設けられ、次いで連続的に17nmの酸化インジウムスズ(ITO)層、23nmのシリカ層、95nmのITO層、84nmのシリカ層、および最後に、フルオロポリマーから形成されて耐引掻き性を改良し、表面の跡の残しやすさを低下させると言われる薄い「潤滑」層を設けられた、180μmのポリ(エチレンテレフタレート)基材を含む。
【0005】
この複合フィルムは、すぐれた反射防止特性を有するが、非常に高価であり(1平方フィート当たり約US$10、US$100m-2)、反射防止フィルムが望ましい多くの適用においてのその使用を妨げる。これらの層は典型的にスパッタリングによって形成され、スパッタリングされた層のコストはその厚さに正比例するので、このフィルムの高コストの大半を95nmのITO層および84nmのシリカ層に帰することができる。さらに、製造ラインベースでかかる複合フィルムの大量を製造することが望ましい場合、4つの別個のスパッタリング部を必要とし、それらの全てが高真空下に維持されなければならず、複雑かつ高額の機器につながる。
【0006】
無機層の上の注意深く制御された屈折率の、「厚い」(すなわち、光学活性)ポリマー層を提供することによって、無機層の厚さを大幅に低減することができ、それによって、特に、コーティング装置内の基材の滞留時間が、必要とされた層の厚さに正比例するスパッタリングまたは化学蒸着などの方法によって無機層が適用される時に、反射防止コーティングの全コストを低減することができることがわかった。又、かかる厚いポリマー層を用いる反射防止コーティングは、溶液または他のコーティング技術によって十分に均一に容易に適用可能であり、十分な耐引掻き性または耐磨耗性および十分な耐染み、耐汚れ、および耐土壌性を有する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、1つの態様において、本発明は、反射防止フィルムおよび同フィルムの製造方法を特徴とする。反射防止フィルムが、円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、を備える。
【0008】
概して、別の態様において、本発明は、光学装置および同光学装置の製造方法を特徴とする。光学装置が、ディスプレイデバイスおよび前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部の上に配置された反射防止フィルムを備え、前記反射防止フィルムが、円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、を備える。
【0009】
添付した図面および以下の説明において、本発明の1つ以上の実施態様の詳細を示す。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびにクレームから明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の反射防止フィルムおよびその成分は時々、「上方の(upper)」、「上の(atop)」、「上の(above)」または「前面の(front)」などの向きの語を用いて本明細書中で示されるか、または記載される。これらおよび同様な用語は、(反射防止フィルムを通る光路に対して)ディスプレイデバイスの通常の視認者に対する一般方向を指すために便宜的に用いられるにすぎない。同様に、本発明の反射防止フィルムおよびその成分は時々、「下方の(lower)」、「下の(beneath)」、「下の(underneath)」または「後ろの(behind)」などの向きの語を用いて本明細書中で示されるか、または記載される。これらおよび同様な用語は、(かかる光路に対して)前記フィルムに対する一般方向を指すために便宜的に用いられるにすぎない。当業者によって理解されるように、本発明の反射防止フィルムを様々な向きおよび位置において用いることができる。
【0011】
本発明の反射防止フィルムをいくつかのディスプレイ領域構成を有する様々なディスプレイ上で用いることができる。かかるディスプレイには、単一キャラクタまたは2進ディスプレイ(binary displays)およびマルチキャラクタおよび特にマルチキャラクタ、マルチラインディスプレイ、例えば液晶ディスプレイ(「LCD」)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ、蛍光表示管、前面および背面投射型ディスプレイ、陰極線管(「CRT」)、発光ダイオード(「LED」)、有機LED、タッチパネル、および標識などがある。本発明の反射防止フィルムは、そのディスプレイ領域が通常の使用の間に損傷およびグレアの影響を受けやすい表示面を有する表示スクリーンの形であるディスプレイ上で特に有用である。
【0012】
本発明の反射防止フィルムはまた、直線偏光子または円偏光子などの光偏光子と共に使用されてもよく、またはプライバシー、グレア防止およびコントラスト増強を提供するためにルーバー付きプラスチックフィルムと共に使用されてもよい。典型的に、円偏光子は四分の一波長リターダ(retarder)と組合わせて直線偏光子として導入される。ルーバー付きプラスチックフィルムは、視角を制御する接近して隔置されたブラックミクロルーバーを含有する、酢酸酪酸セルロースなどの薄いプラスチックフィルムである。視角は、ミクロルーバーの厚さおよび周波数によって決定される。その層は、不必要な周辺光を遮蔽しディスプレイから放射された光を誘導するベネッシャンブラインドをシミュレートする。適した市販のルーバー付きプラスチックフィルムは、3Mカンパニー(ミネソタ州、セントポール(St.Paul,MN))から入手可能な光制御フィルムである。
【0013】
反射防止フィルムまたは光偏光子を有する反射防止フィルムまたはルーバー付きプラスチックフィルムは、PDA、携帯電話(PDA/携帯電話の組合わせなど)、タッチパネル、現金自動取引機(ATM)、リストウォッチ、カーナビゲーションシステム、ダッシュボード、全地球測位システム、測深機、計算機、携帯用電子ゲーム機、電子ブック、CDまたはDVDプレーヤ、プロジェクションテレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートブックコンピュータディスプレイ、計器ゲージ、タブレットパーソナルコンピュータ、LCDテレビ、計測器パネルカバー、(屋内および屋外用グラフィックスを含めて)グラフィックディスプレイなどの標識等、様々な携帯および非携帯ディスプレイデバイスにおいて使用されてもよい。これらのデバイスは、平面表示面、または代表的なCRTのわずかに曲線状の面などの非平面表示面を有することができる。典型的にディスプレイ要素は、ディスプレイデバイスの表示面から測定可能な距離隔置されるのではなく、それの上にまたは物理的によく近接して配置される。
【0014】
図1は、本発明の実施態様による反射防止フィルム10を示す。反射防止フィルム10が、第1の表面12aおよび第2の表面12bを有する基材12、基材12の第1の表面12aに隣接して配置された無機層16、および無機層16に隣接して配置された外側の、光学活性ポリマー層18を含む。基材12が、ルーバー付きプラスチックフィルムまたは直線偏光子または円偏光子などの光偏光子であってもよい。円偏光子が直線偏光子および四分の一波長リターダを含んでもよく、そこにおいて、無機層16が直線偏光子に隣接している。あるいは、円偏光子が、日東電工株式会社(Nitto Denko Corporation)(日本)から入手可能なニポック(Nipoc)など、コレステリック偏光子を含んでもよい。
【0015】
直線偏光子が、合成二色シート偏光子であってもよい。合成二色シート偏光子の1つのタイプは、「H−シート」タイプ偏光子またはステンド偏光子(stained polarizer)などのポリビニルアルコール−ヨウ素錯体偏光子およびおよびそれらの変型であり、前者のかかる偏光子は、ポラロイド・コーポレーション(Polaroid Corporation)のエドウィン・H・ランド(Edwin H. Land)によって発明され、米国特許第2,454,515号明細書に記載されている。概して、ポリビニルアルコール−ヨウ素錯体偏光子は、ポリビニルアルコール母材中に含有された光吸収鎖状ポリヨウ化物を含む。ポリビニルアルコール−ヨウ素錯体偏光子は概して、例えば、ポリビニルアルコールまたはその誘導体のフィルムを光吸収ポリヨウ化物または同様な二色染料の水溶液で含浸し、前記フィルムをその長さの数倍、熱伸長して得られた高分子量分子を一軸配向することによって製造される。ポリビニルアルコール母材を一軸配向することによって、光吸収ポリヨウ化物の遷移モーメントが相応して配向され、従って材料は視覚的に二色になる。
【0016】
合成二色シート偏光子の別のタイプは固有偏光子(intrinsic polarizer)であり、すなわち、K−タイプ偏光子などのポリビニレン系偏光子である。固有偏光子は、染料添加剤、染み、または懸濁結晶性材料の光吸収性質からではなく、その母材の光吸収性質からその二色性を得る。典型的に固有偏光子は、ポリビニルアルコールの脱水生成物(すなわち、ポリビニレン)の配向懸濁物を有する配向ポリ(ビニルアルコール)のシートを含む。この種類の固有偏光子は、塩酸水溶液の蒸気など、脱水触媒の存在下でポリマーシートを加熱して共役ポリビニレンブロックを生じさせ、脱水工程の前、後、または中にポリマーシートを一軸延伸してポリ(ビニルアルコール)母材を整列することによって形成される。ポリ(ビニルアルコール)母材を一軸配向することによって共役ポリビニレンブロックまたは発色団の遷移モーメントもまた配向され、材料視覚的に二色になる。第2の配向工程または伸長工程が、米国特許第5,666,223号明細書(ベネット(Bennett)ら)に記載されているように、脱水工程の後に使用されてもよい。
【0017】
基材はほぼ透明であるのがよく、すなわち、反射防止フィルムが下にあるディスプレイデバイススクリーンの使用および表示を不当に妨げないように、基材が、所期の波長においておよび所期の表示条件または視角において十分な透明性または半透明性を有するのがよい。典型的に基材は、一部は、使用目的の所望の光学的および機械的性質に基づいて選択される。かかる機械的性質には、典型的に、可撓性、寸法安定性および耐衝撃性などがある。又、基材の厚さ典型的に使用目的に依存する。
【0018】
無機層16が1つ以上の層を含有してもよく、これまで反射防止コーティングにおいて用いられた無機材料のいずれかから形成されてもよい。無機層を形成するための好ましい材料は、金属酸化物、窒化物、ニッケル、クロム、およびシリカである。好ましい金属酸化物は、酸化インジウム、二酸化チタン、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ガリウムインジウム、五酸化ニオブ、酸化インジウムスズ、二酸化スズ、およびそれらの任意の組合せであり、酸化インジウムスズが特に好ましい。好ましい窒化物は、窒化ケイ素、窒化チタン、およびそれらの組合せである。
【0019】
光学活性ポリマー層18は好ましくは、約20〜約200nmの厚さを有し、好ましくは400〜700nmの可視波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有する。ポリマー層18は好ましくは、硬化性組成物の層を堆積し、次いでこの層をin situ硬化させることによって、無機層16上に形成される。必要とされる硬化性組成物の比較的厚い層を、溶液コーティングまたは他の従来のコーティング技術によって十分に均一に適用することができる。同様に、厚いポリマー層を設けることにより、厚さを可能にし、従って、無機層のコストを低減することができる。例えば、以下に記載された本発明の1つの実施態様は、上記のサウスウォール・テクノロジー(Southwall Technology)反射防止フィルムと比較して19nmの酸化インジウムスズ層、20nmのシリカ層および85nmのポリマー層を含む。本発明のこの実施態様は、フィルムの単位面積当たりスパッタリングされる必要がある材料の量を約80パーセント低減し、従ってフィルムのコストを50パーセント超、低減する。
【0020】
薄フィルム光学素子および反射防止コーティングの設計の当業者には明らかであるように、本発明において無機層16およびポリマー層18の厚さは、これらの層の全厚さが、好ましくは1.53以下の屈折率の波長範囲の中央の約λ/4であるように相関させられるのがよく、例えば、反射防止特性が400〜700nmの全可視範囲にわたって望ましい時に全厚さが約135〜145nmであるのがよい。同様に、無機層および前記ポリマー層の厚さを互いに相対的に調節して複合フィルムから最小反射率をもたらすことができる。
【0021】
本発明の1つの実施態様において、無機層が金属酸化物層であり、約10nm〜約30nm、望ましくは約17nm〜約23nmの厚さを有し、他方、同伴ポリマー層が約80nm〜約150nm、望ましくは約110nm〜約130nmの厚さを有する。この実施態様は、低い製造コストと十分な反射防止性質とを組合わせる。
【0022】
本発明の別の実施態様において、無機層16が、第1の金属酸化物層、第1の金属酸化物層上に堆積されたシリカ層、およびシリカ層上に堆積された第2の金属酸化物層を含む。次に、ポリマー層18が、第2の金属酸化物層上に堆積される。この構造において、第1の金属酸化物層が望ましくは、約20nm〜約35nm、好ましくは約25nm〜30nmの厚さを有し、シリカ層が望ましくは、約10〜約25nm、好ましくは約15nm〜約20nmの厚さを有し、第2の金属酸化物層が望ましくは、約50nm〜約100nm、好ましくは約65nm〜約80nmの厚さを有し、ポリマー層が望ましくは、約70nm〜約120nm、好ましくは約85nm〜約100nm.の厚さを有する。この好ましい3つの無機層構造は、上記のサウスウォール・テクノロジーの4層無機層構造の反射防止性能にほとんど等しい反射防止性能を提供し、さらに、4層無機層構造の厚いシリカ層、ITO層、および薄い潤滑層が除かれるので、製造コストを実質的に低減する。
【0023】
本発明の別の実施態様において、無機層16が、金属酸化物層および前記金属酸化物層上に堆積されたシリカ層を含む。次に、ポリマー層18が、シリカ層上に堆積される。かかる2層無機層構造において、金属酸化物層が望ましくは、約10nm〜約30nm、好ましくは約10nm〜約20nmの厚さを有し、シリカ層が望ましくは、約10nm〜約120nm、好ましくは約10nm〜約50nmの厚さを有し、ポリマー層が望ましくは、約50nm〜約130nm、好ましくは約60nm〜約100nmの厚さを有する。
【0024】
他の技術、例えば電子線および熱的蒸発を使用して本発明の無機層を堆積してもよいが、前記層は好ましくは、スパッタリングによってまたは化学蒸着によって堆積され、dcスパッタリングが特に好ましく、RF、マグネトロンおよび反応性スパッタリングおよび低圧プラズマ増強およびレーザー増強化学蒸着もまた、用いてもよい。用いられた基材に依存して、層の堆積は、基材に損傷を与えない温度において行われるのがよく、温度制限は、使用された正確な基材材料によって変化する。
【0025】
前述のように、本発明のポリマー層は好ましくは、400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20nm〜約200nmの厚さを有する。ポリマー層の好ましい厚さの範囲は、約50nm〜約130nm、好ましくは約60nm〜約100nmである。これらの範囲内の厚さを有するポリマー層は、従来の溶液コーティング技術、例えばスロットコーティングを用いて、有機溶剤に溶かした適切な硬化性材料の溶液を堆積し、溶剤を除去し、硬化性材料の得られた層を硬化することによって容易に調製される。
【0026】
この層のための他の許容範囲の性質、特に硬度および耐引掻きおよび耐汚染性と両立して前記ポリマー層の屈折率をできる限り低く維持することが望ましい。ポリマーはまた、フィルム上で用いられる場合がある洗浄用溶剤、例えばエチルアルコール、アンモニア水溶液、アセトン、ガソリンおよびイソプロパノールの他、ポリマー層が接触する場合がある食品および化粧用品、例えばピーナッツバターおよびリップスティックに耐性があるのがよい。最後に、ポリマー層18はまた、例えばスチールウールによる摩擦にポリマー層が耐えられることによって測定したとき、十分な耐久性を有するのがよい。望ましくは、ポリマー層が、400nm〜700nmの全可視範囲にわたって約1.50より小さい屈折率を有する。適切に低い屈折率を提供するために、ポリマー層18を形成するために用いられた硬化性組成物は、フルオロアルケンのポリマー、例えば、アトフィナ・ケミカル社(Atofina Chemicals,Inc.)(ペンシルベニア州、フィラデルフィア(Philadelphia,PA))によって商標「キナール(KYNAR)」として市販されている材料など、ポリ(ビニリデンフルオリド)またはビニリデンフルオリド/テトラフルオロエチレンコポリマーを含む。しかしながら、フルオロアルケンポリマーだけからなるポリマー層は典型的に軟質すぎて十分な引掻きへの保護を提供することができないので、硬化性組成物が、ICIアメリカズ社(ICI Americas,Inc.)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE))から入手できる材料「エルバサイト(ELVACITE)2041」またはローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Co.)(ペンシルベニア州、フィラデルフィア(Philadelphia,PA))によって商標「アクリロイド(ACRYLOID)A21」として市販されている材料などのシリコーン含有アクリレートまたはメタクリレートポリマーを含有することもまた、望ましい。ポリマー層中の架橋を促進し、従ってこの層の硬度を増加させるために、硬化性組成物中に多官能性アクリレートモノマー(「多官能性」は、3以上の官能価を有する材料を示すためにその通常の意味において本明細書中で用いられる)を含有することもまた、有利である。具体的な好ましい多官能性アクリレートモノマーは、サートマー社(Sartomer Company,Inc.)(ペンシルベニア州、エクストン(Exton,PA))製のサートマー(SARTOMERTMSR399である。この材料は、製造元によればジペンタエリトリトールペンタアクリレートである。ポリマー層の耐汚染性を改良するために、ゴールドシュミット(Goldschmidt)AG(ドイツ、エッセン(Essen,Germany))から入手可能なテゴラド(TegoRad)2500などのシリコーンアクリレートモノマーを含有することもまた、有利である。
【0027】
大部分のポリマーは、可視範囲において負の分散を有し、すなわち、700nmにおけるそれらの屈折率が400nmにおけるそれらの屈折率より小さいことは、ポリマー科学の当業者には周知である。かかる負の分散がフィルムの反射防止性質に悪影響を及ぼすことを計算は示し、従って、かかる負の分散をできる限り低減することが望ましい。前述のキナール(KYNARTMポリマーは低屈折率および小さな負の分散を有し、それを硬化性組成物中で使用するために非常に適したものにする。フルオロアルケンポリマーがポリマー層の低屈折率をもたらすこととアクリレートまたはメタクリレート架橋剤が同層の硬度をもたらすことの望ましさは、ポリマー層の性質が2つの層間の妥協条件を不可避的に必要とすることを示唆するが、硬化性組成物の調合が注意深く選択される場合、硬化する間に材料の分離が自発的に生じ、アクリレートまたはメタクリレートポリマーの豊富な(従って、増強された硬度および耐汚れ性の)外側部分および前記フルオロアルケンポリマーの豊富な(従って、低減された屈折率の)内側部分を有するポリマー層をもたらすことがわかった。硬化する間のアクリレートまたはメタクリレートポリマー材料のかかる分離のさらに別の利点は、それが空気などの酸素含有雰囲気中で架橋が起こることを可能にし、それによって、薄フィルムを紫外線硬化する間、慣用的である窒素ブランケットの必要を避け、従って、反射防止フィルムの製造コストを低減する。しかしながら、窒素雰囲気は、必要ならば、やはり使用されてもよい。
【0028】
硬化性組成物はいずれの従来の方法によって硬化されてもよいが、望ましくは、熱的にまたは紫外線によるかどちらによって開始されてもよいフリーラジカル硬化によって硬化されるが、後者が概して好ましい。ポリマー技術の当業者は、適切な開始剤、脱酸素剤およびかかるフリーラジカル硬化に有用な他の成分を熟知している。しかしながら、当該プロセスにおいて望ましいポリマー層の極端な薄さのために、必要とされる開始剤のタイプおよび比率は、より厚いポリマー層の製造用の代表的な調合物とは異なる場合があることに留意すべきである。
【0029】
図2は、本発明の別の実施態様による反射防止フィルム10を示す。反射防止フィルム10は、基材12の第1の表面12bに隣接して配置されたルーバー付きプラスチックフィルム20と共に、図1に図示および前述したように、基材12、無機層16、および外側の、光学活性ポリマー層18を備える。
【0030】
図1または図2を参照すると、反射防止フィルム10は付加的なコーティングまたは層を設けられ、その硬度、耐久性および耐引掻き性を改良してもよく、様々な層同士またはディスプレイデバイスへの接着性を改良するか、または任意の他の所望の性質、例えば紫外線、赤外線の濾光をもたらすか、または防ガスおよび/または防湿バリアを設けてもよい。例えば、基材を処理して、例えば、空気または窒素コロナなどのコロナ処理、プラズマ、火炎、または化学線などの物理的処理を用いて、基材とどれかの隣接層との間の接着性を改良してもよい。必要ならば、プライマーコーティングなどの任意選択の化学処理もまた、基材と隣接層との間に適用することができる。
【0031】
例えば、保護層22、24が、基材12の一方または両方の表面に隣接して設けられてもよい。保護層22が、複屈折性を有しない任意の光透過材料、例えば、ガラスを含有してもよい。保護層24が、複屈折性を有しない任意の光透過材料、または等方性材料などの任意の低複屈折性材料、例えば、加鉛ガラスまたはトリアセテートを含有してもよい。
【0032】
ハードコート層26が、基材12の第1の表面12aと無機層16との間に設けられてもよい。図2は保護層22およびルーバー付きプラスチックフィルム20の上のハードコート層26を示すが、他の構成、例えば、保護層22とルーバー付きプラスチックフィルム20との間のハードコート層26もまた可能である。ハードコート層26は、反射防止フィルム10に対する耐引掻き性および耐磨耗性を提供し、デバイスの表面を損傷から保護するのを助ける。ハードコート層26は典型的に、約1μm〜約15μm、好ましくは約2μm〜約3μmの厚さを有する。
【0033】
多種多様なハードコート材料をハードコート層26において用いてもよい。ハードコート層26は好ましくは、「セラマー」とも称される、バインダー母材中に分散されたナノメーターサイズの無機酸化物粒子を含有する。ハードコート層26は、硬化性液体セラマー組成物を基材上にコートし、前記組成物をin situ硬化させて固化フィルムを形成することによって形成されてもよい。適したコーティング方法には、例えば、スピンコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング、ワイヤーコーティング、フラッドコーティング、パディング、噴霧、ロールコーティング、ディッピング、ブラッシング、フォームの適用などがある。
【0034】
様々な無機酸化物粒子をハードコート層26において用いてもよい。前記粒子は好ましくは、形状が略球形であり、サイズが比較的均一である。前記粒子は、ほとんど単一分散の粒度分布を有するか、または2つ以上のほとんど単一分散の分布をブレンドすることによって得られた多峰分布を有することができる。凝結が無機酸化物粒子の沈殿またはハードコートのゲル化をもたらす場合があるので、好ましくは無機酸化物粒子は、ほとんど非凝結(ほとんど分散的)状態のままである。好ましくは無機酸化物粒子はコロイドサイズであり、すなわち、それらは好ましくは、約0.001〜約0.2マイクロメーター、より好ましくは約0.05マイクロメーター未満、最も好ましくは約0.03マイクロメーター未満の平均粒径を有する。これらのサイズの範囲は、無機酸化物粒子をバインダー樹脂中に分散させるのを容易にし、望ましい表面の性質および光学透明度を有するセラマーを提供する。無機酸化物粒子の平均粒度を、透過型電子顕微鏡法を用いて所与の直径の無機酸化物粒子の数を計算して測定することができる。好ましい無機酸化物粒子には、コロイドシリカ、コロイドチタニア、コロイドアルミナ、コロイドジルコニア、コロイドバナジア、コロイドクロミア、コロイド酸化鉄、コロイド酸化アンチモン、コロイド酸化スズ、およびそれらの混合物などがある。無機酸化物粒子は、シリカなどの単一酸化物から本質的に成るかまたは、から成る場合があり、またはシリカと酸化アルミニウム、もしくは別のタイプの酸化物が上に堆積される1つのタイプの酸化物のコアー(または金属酸化物以外の材料のコアー)など、酸化物の組合せを含むことができる。シリカが特に好ましい無機粒子である。無機酸化物粒子は、液体媒体中の無機酸化物粒子のコロイド分散系を含有するゾルの形で提供されるのが望ましい。前記ゾルは、例えば、米国特許第5,648,407号明細書(ゲッツ(Goetz)ら、‘407)および同5,677,050号明細書(ビルカディ(Bilkadi)ら、‘050)、(その開示内容を参照によって本願明細書に組み入れるものとする)に記載されているように、様々な技術を用いておよびヒドロゾル(そこにおいて水が液体媒体の働きをする)、オルガノゾル(そこにおいて有機液体が同様の働きをする)、および混合ゾル(そこにおいて液体媒体が水と有機液体との両方を含有する)などの様々な形において調製されてもよい。非晶質シリカの水性ゾルが特に好ましい。好ましいゾルは概して、ゾルの全重量に対してコロイド無機酸化物粒子を約2〜約50重量パーセント、好ましくは約25〜約45重量パーセント含有する。好ましいゾルは、オンデオ・ナルコ社(ONDEO Nalco Co.)(例えば、ナルコ(NALCO)TM1040、1042、1050、1060、2327、および2329コロイドシリカ)、ニアコル・ナノ・テクノロジーズ社(Nyacol Nano Technologies、Inc.)(例えば、ニアコル(NYACOL)TMAL20コロイドアルミナおよびニアコルTMA1530、A1540N、およびA1550コロイド五酸化アンチモン)、およびW.R.グレイス社(W.R.Grace and Co.)(例えば、ルドックスTMコロイドシリカ)などの供給元から得られる。無機粒子の表面は、ビルカディらの‘050号明細書に記載されているように「アクリレート官能化」されてもよい。ゾルはまた、米国特許第6,238,798B1号明細書(カン(Kang)らの、‘798号明細書)に全て記載されているように、バインダーのpHに整合させることができ、対イオンまたは水可溶性化合物(例えば、アルミン酸ナトリウム)を含有することができる。
【0035】
ハードコート層26は、無機酸化物粒子の水性ゾルをフリーラジカル硬化性バインダー前駆物質(例えば、硬化エネルギーの適した供給源に露光した時に架橋反応に関与することができる1つ以上のフリーラジカル硬化性モノマー、オリゴマーまたはポリマー)と混合することによって調製されるのが便利である場合がある。水のほとんど全てを除去するために、得られた組成物は通常、適用される前に乾燥される。この乾燥工程は時々、「ストリッピング」と称される。改良された粘度特性を付与し、セラマー組成物を基材上にコートするのを助けるために、適用される前に有機溶剤が得られたセラマー組成物に添加されてもよい。コートした後に、セラマー組成物が乾燥されて一切の添加された溶剤を除去することができ、次いで、フリーラジカル硬化性バインダー前駆物質の少なくとも部分的な硬化を起こすために、乾燥された組成物を適したエネルギー源に露光することによって、少なくとも部分的に固化されてもよい。
【0036】
ハードコート層26は好ましくは、バインダー100重量部当たり無機酸化物粒子を約10〜約50重量部、より好ましくは約25〜約40重量部、含有する。より好ましくは、ハードコートは、約15%〜約40%のアクリレート官能化コロイドシリカ、より好ましくは約15%〜約35%のアクリレート官能化コロイドシリカを含有するセラマー組成物から得られる。
【0037】
様々なバインダーをハードコート層26において使用することができる。好ましくはバインダーは、ハードコート組成物が基材上にコートされた時に光硬化され得るフリーラジカル重合性前駆物質から得られる。米国特許第5,104,929号明細書(ビルカディ、‘929号明細書)に記載されたアクリル酸のプロトン基置換エステルまたはアミド、またはビルカディらの‘050号明細書に記載されたエチレン性不飽和モノマーなどのバインダー前駆物質が特に好ましい。適したバインダー前駆物質には、多価アルコールのポリアクリル酸またはポリメタクリル酸エステル、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1−エトキシ−2,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロへキサンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、1,2−シクロへキサンジオール、1,6−シクロへキサンジメタノール、レソルシノール、ピロカテコール、ビスフェノールA、およびビス(2−ヒドロキシエチル)フタレートなどのジオールのジアクリル酸またはジメチルアクリル酸エステル、グリセリン、1,2,3−プロパントリメタノール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,6,−へキサントリオール、1,5,10−デカントリオール、ピロガロール、フロログルシノール、および2−フェニル−2,2−メチロールエタノールなどのトリオールのトリアクリル酸またはトリメタクリル酸エステル、1,2,3,4−ブタンテトロール、1,1,2,2,−テトラメチロールエタン、1,1,3,3,−テトラメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのテトラオールのテトラアクリル酸またはテトラメタクリル酸エステル、アドニトールなどのペントールのペンタアクリル酸またはペンタメタクリル酸エステル、ソルビトール、ジペンタエリトリトール、ジヒドロキシエチルヒダントインなどのヘキサノールのヘキサアクリル酸またはヘキサメタクリル酸エステル、およびそれらの混合物などがある。バインダーはまた、カン(Kang)らの‘798号明細書に記載されているような1つ以上の一官能性モノマーから誘導されてもよい。好ましくはバインダーが、ビルカディらの‘050号明細書に記載されているような1つ以上のN,N−二置換アクリルアミドおよびまたはN−置換−N−ビニル−アミドモノマーを含む。より好ましくはハードコート層26が、セラマー組成物の固形分の全重量に対して約20%〜約80%のエチレン性不飽和モノマーおよび約5%〜約40%のN,N−二置換アクリルアミドモノマーまたはN−置換−N−ビニル−アミドモノマーを含有するセラマー組成物から得られる。
【0038】
好ましくはハードコート層26中の無機粒子、バインダーおよび一切の他の成分は、硬化ハードコートが基材の屈折率に近い屈折率を有するように選択される。これは、モアレパターンまたは他の可視干渉縞の可能性の低減を助けることができる。
【0039】
上述のように、ハードコート層26を水性コーティング組成物から形成することができ、それは、ストリップされてコートする前に水を除去し、場合により溶剤で希釈されて組成物をコートするのを助ける。当業者は、所望の溶剤および溶剤レベルの選択がハードコート中の個々の成分の性質および所望の基材およびコーティング条件に依存することを理解するであろう。
【0040】
ハードコート層26を様々な薬剤で架橋してハードコートの内部凝集強さまたは耐久性を増大させることができる。好ましい架橋剤は比較的他数の有効な官能基を有し、ペンタエリトリトールトリアクリレートおよびペンタエリトリトールテトラアクリレートなど、トリ−およびテトラアクリレートがある。使用されるとき、架橋剤好ましくは、バインダー100重量部当たり、約60重量部未満、より好ましくは約30〜約50重量部である。
【0041】
当業者は、ハードコート層26が表面処理剤、界面活性剤、帯電防止剤(例えば、導電性ポリマー)、均染剤、開始剤(例えば、光開始剤)、光増感剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、潤滑剤、顔料、染料、可塑剤、沈殿防止剤、等、他の任意選択の補助剤を含有することができることを理解するであろう。
【0042】
ハードコート層26がコロイド無機酸化物粒子の水性ゾルとバインダー前駆物質とを配合することによって調製され、次いで好ましくはゾルが、粒子が負の表面電荷を有するようなpHを有する。例えば、無機粒子が主にシリカ粒子である場合、ゾルは好ましくはアルカリ性であり、pHが7より大きく、より好ましくは8より大きく、最も好ましくは9より大きい。好ましくは前記ゾルは、NH4+が負の表面電荷を有する粒子の反対作用として利用できるように、水酸化アンモニウム等を含有する。コロイド無機酸化物粒子の表面処理が望ましい場合、例えば、米国特許第6,245,833B1号明細書(カンら、‘833号明細書)(その開示内容を参照によって本願明細書に組み入れるものとする)に記載されているように、適した表面処理剤をゾルにブレンドすることができる。次いで、フリーラジカル硬化性バインダー前駆物質をセラマー組成物に添加する。セラマー組成物をストリッピングして水のほとんど全てを除去する。例えば、水の約98%を除去し、従ってセラマー組成物中に約2%の水を残すことが、適しているとわかった。水のほとんど全てを除去するとすぐに、カンらの`798号明細書に記載されたタイプの有機溶剤が好ましくは、セラマー組成物が約5%〜約99重量%の固形分(好ましくは約10%〜約70%)を含有するような量において添加される。溶剤を添加した後に、混合ハードコートが望ましい場合は低表面エネルギーフッ素化物を添加することができ、その後に、他の所望のいずれの補助剤をも添加する。
【0043】
コートした後、存在するならば、溶剤を熱、真空、および/またはその他でフラッシュする。次に、コートされたセラマー組成物が、熱エネルギー、可視光線、紫外線または電子線放射線などの適した形のエネルギーで照射することによって硬化される。周囲条件での紫外線による照射は、この硬化技術の比較的低いコストおよび速度のために、今のところ好ましい。
【0044】
反射防止フィルム10の様々な層を互いに、または接着剤の1つ以上の層(図示せず)によってディスプレイデバイスに接着してもよい。接着剤層の表面は、比較的平滑またはマイクロテキスチャ化されてもよい。マイクロテキスチャ化は、例えば、反射防止フィルムがディスプレイスクリーンなどの表面に適用される時に、気泡が逃散するのを助け、(例えば、米国特許第6,197,397号明細書に記載されているように)反射防止フィルム10の様々な層間の十分な光結合を提供するのを助ける。好ましくは、接着剤は透明であるか、または下にあるディスプレイデバイスの表示を不当に妨げないように十分に半透明である。接着剤は、天然生成物(例えば、ゴム系接着剤)から誘導されてもよく、またはホモポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、またはブロックコポリマーなどの合成材料であってもよい。接着剤は架橋されるか、架橋されなくてもよく、必要ならば、感圧性質を有することができる。感圧接着剤(PSA)の公認の定量的の記述は、ダルキスト(Dahlquist)規準によって与えられ、それが示すように、(室温、約20℃〜22℃において10ラジアン/秒で測定したとき)約3×105パスカルより小さい貯蔵弾性率(G´)を有する材料は感圧接着剤性質を有するが、他方、約3×105パスカルより大きいG´を有する材料は感圧接着剤性質を有さず、本明細書中で非感圧接着剤と称される。感圧接着剤は好ましくは無機層16の下に用いられ、例えば、無機層16と任意選択の保護層22との間、無機層16と任意選択の光制御フィルム20との間、または無機層16と任意選択のハードコート層26との間に用いられる。
【0045】
接着剤には、熱可塑性ブロックコポリマーエラストマー(熱可塑性樹脂およびエラストマー挙動の両方を示す、セグメント化AおよびBブロックまたはセグメントのコポリマー)がある。有用な熱可塑性ブロックコポリマーエラストマーには、放射状、線状A−Bジブロック、および線状A−B−Aトリブロック構造を有するマルチ−ブロックコポリマー、ならびにかかるコポリマーのブレンドがある。適した市販の熱可塑性ブロックコポリマーエラストマーには、ソルプレーン(SOLPRENE)TM材料群(フィリップス・ペトロウリアム・カンパニー(Philips Petroleum Co.))、フィナプレーン(FINAPRENE)TM材料群(フィナ(FINA))、タフプレーン(TUFPRENE)TMおよびアサプレーン(ASAPRENE)TM材料群(アサヒ(Asahi))、ステレオン(STEREON)TM材料群(ファイアーストーン・シンセティック・ラバー&ラテックス・カンパニー(Firestone Synthetic Rubber & Latex Co.))、ユーロプレーン・ゾルT(EUROPRENE SOL T)TM材料群(エニケム(Enichem))、ベクター(VECTOR)TM材料群(デキシコ・ポリマー)、およびキャリフレックス(CARIFLEX)TRTM材料群(シェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Co.))などがある。他の適した接着材料には、高度に架橋されたアクリル接着剤、合成ブロックコポリマーエラストマー、シリコーンエラストマー、アクリレートエラストマー、米国特許第5,670,598号明細書(レイア(Leir)ら)に記載されているようなシリコーンポリ尿素エラストマー、セプトン(SEPTON)TM材料群(クラレ株式会社(Kuraray Co.Ltd.))およびクラトン(KRATON)D−1101、D−1102、D−1107、D−1111、D−1112、D−1113、D−1114PX、D−1116、D−1117、D−1118、D−1119、D−1122X、D−1124、D−1125PX、D−1160、D−1165、D−1161、D−1184、D−1193、D−1300、D−1320X、D−4141、D−4158、D−4433、RP−6485、RP−6409、RP−6614、RP−6906、RP−6912、G−1650、G−1651、G−1652、G−1654、G−1657、G−1701、G−1702、G−1726、G−1730、G−1750、G−1765、G−1780、FG−1901、FG−1921、FG−1924、およびTKG−101などのクラトン(KRATON)TM材料群(クラトン・ポリマー(Kraton Polymers))がある。接着材料の混合物もまた、用いることができる。
【0046】
反射防止フィルム10の様々な層のいずれも、所望の色を反射防止フィルムに付与するために、グレー、またはライトブラウンなどの適した色で色付けしてもよい。反射防止フィルム10はまた、赤外線からの特定の保護を提供するために、赤外線遮断成分を別個の層(図示せず)として、例えば、コーティングとして含有するか、既存の層に例えば、近赤外吸収染料を混入してもよい。任意選択の帯電防止コーティング(図示せず)がポリマー層18上に適用されてもよく、または粉塵および他の汚染物を反射防止フィルム10に付着させないために、任意選択の帯電防止剤がポリマー層18に含有されてもよい。
【0047】
任意選択の支持層(図示せず)もまた、無機層16の下および/または基材12の下に設けられてもよい。適した支持材料には、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメチルメタクリレートまたは「PMMA」)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンまたは「PP」)、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートまたは「PET」)、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、エポキシなどの熱硬化性または熱可塑性ポリマーがある。典型的に支持層は、一つには、反射防止フィルムの所望の光学的および機械的性質に基づいて選択される。かかる機械的性質には典型的に、可撓性、寸法安定性および耐衝撃性などがある。支持層の厚さは典型的に、反射防止フィルムの使用目的に依存する。PETなどのポリエステルまたはPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)などのポリオレフィンおよびPVC(ポリ塩化ビニル)から製造されたフィルムが特に好ましい。
【0048】
反射防止フィルム10の表面を粗くするか、またはテキスチャー化して艶消し表面仕上をもたらすか、または艶出し仕上をもたらすためにほとんど平滑であってもよい。艶消仕上は、反射防止フィルム10の表面に書き込むのを容易にする。ビードブラストされるかあるいは他の仕方で粗くされた適した用具で、反射防止フィルムの最外側層または下にある層の1つをエンボス加工すること、シリカ砂またはガラスビードなどの例えば、約10〜20μmのサイズの適した小粒子充填剤を層の1つに添加することによるか、または適した粗原型に当てて最外側層または下にある層の1つの硬化を実施することによるなど、当業者に周知の様々な仕方で艶消仕上を実施してもよい。
【0049】
反射防止フィルム10は、当業者に周知の技術を用いて所望のディスプレイデバイスのディスプレイ領域に適合するように変換され得る。適した変換技術には、ダイカッティング、スリッチングおよびレーザーカッティングなどがある。
【0050】
本発明をさらに説明するために以下の実施例が提供されるが、本発明がそれに限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0051】
実施例1
基材として円偏光子を有する反射防止フィルムがガラスATMに付着された。表1は、本発明の実施態様によって製造された反射防止フィルムの得られた性質を要約する。
【0052】
【表1】

【0053】
反射率をスペクトロフォトメータを用いて測定した。ダブルパス透過率および明所反射率(photopic reflectance)の測定を実施し、入射照明のパーセントとして記録した。
【0054】
2H〜6Hの範囲の増加する硬度の一連の鉛筆を用いることによって鉛筆の硬度を測定した。鉛筆を1kgの加荷重下でハンドヘルドローリング試験スタンドに固定し、各々の試験される鉛筆の硬度について、コーティングされた基材の端から端までローリングした。コーティングを引っ掻かなかった最も大きな鉛筆の硬度に基づいてコーティングを評価した。
【0055】
この発明の様々な改良および変更がこの発明の範囲および精神から逸脱することなく実施できることは、当業者には明らかである。この発明は、例示のためにだけ本明細書中で示された例に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施態様による反射防止フィルムの略側面図である。
【図2】本発明の実施態様による別の反射防止フィルムの略側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、
前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、
前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20nm〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、
を含む反射防止フィルム。
【請求項2】
前記無機層が金属酸化物、窒化物、ニッケル、クロム、シリカ、またはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
前記金属酸化物が酸化インジウム、二酸化チタン、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ガリウムインジウム、五酸化ニオブ、酸化インジウムスズ、二酸化スズ、またはそれらの任意の組合わせである、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記金属酸化物層が約10〜約30nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約80nm〜約150nmの厚さを有する、請求項3に記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記窒化物が窒化ケイ素、窒化チタン、またはそれらの組合わせである、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記無機層が第1の金属酸化物層、シリカ層、および第2の金属酸化物層を含み、前記シリカ層が前記第1の金属酸化物層と前記第2の金属酸化物層との間に配置され、前記第1の金属酸化物層が前記基材の前記第1の表面の上に堆積される、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記第1の金属酸化物層が約20nm〜約35nmの厚さを有し、前記シリカ層が約10nm〜約25nmの厚さを有し、前記第2の金属酸化物層が約50nm〜約100nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約70nm〜約120nmの厚さを有する、請求項6に記載の反射防止フィルム。
【請求項8】
前記無機層が金属酸化物層およびシリカ層を含み、前記金属酸化物層が前記基材の前記第1の表面の上に堆積され、前記シリカ層が前記金属酸化物層の上に堆積される、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項9】
前記金属酸化物層が約10nm〜約30nmの厚さを有し、前記シリカ層が約10nm〜約120nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約50nm〜約130nmの厚さを有する、請求項8に記載の反射防止フィルム。
【請求項10】
前記ポリマー層が、フルオロアルケンから誘導された反復単位、シリコーン含有アクリレート、メタクリレート、多官能性アクリレートモノマー、またはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項11】
前記ポリマー層がフルオロアルケンから誘導された反復単位およびシリコーン含有アクリレートから誘導された反復単位を含み、前記ポリマー層が前記シリコーン含有アクリレートの豊富な外側部分および前記フルオロアルケンの豊富な内側部分を有する、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項12】
前記ポリマー層がフルオロアルケンから誘導された反復単位およびメタクリレートから誘導された反復単位を含み、前記ポリマー層が前記メタクリレートの豊富な外側部分および前記フルオロアルケンの豊富な内側部分を有する、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項13】
前記ポリマー層が帯電防止剤をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項14】
前記ポリマー層上に配置された帯電防止コーティングをさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項15】
前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたハードコート層をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項16】
前記ハードコート層が約1μm〜約15μmの厚さを有する、請求項15に記載の反射防止フィルム。
【請求項17】
前記ハードコート層がフリーラジカル硬化バインダー中に分散されたコロイド無機酸化物粒子を含む、請求項15に記載の反射防止フィルム。
【請求項18】
前記基材に隣接して配置された支持層をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項19】
前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたルーバー付きプラスチック層をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項20】
前記基材が、直線偏光子と四分の一波長リターダとを含む円偏光子であり、前記無機層が前記直線偏光子に隣接している、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項21】
接着剤層をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項22】
前記接着剤層がマイクロテキスチャ化される、請求項21に記載の反射防止フィルム。
【請求項23】
赤外線遮断成分をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項24】
前記基材に隣接して配置された保護層をさらに含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項25】
ディスプレイデバイスと、
前記ディスプレイデバイス上に配置された反射防止フィルムと、を備え、前記反射防止フィルムが、円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20nm〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、
を含む、光学装置。
【請求項26】
前記ディスプレイデバイスが、パーソナルディジタルアシスタント、現金自動取引機、携帯電話、タッチスクリーン、リストウォッチ、カーナビゲーションシステム、ダッシュボード、全地球測位システム、測深機、計算機、携帯用電子ゲーム機、電子ブック、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、プロジェクションテレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートブックコンピュータディスプレイ、計器ゲージ、タブレットパーソナルコンピュータ、または液晶ディスプレイテレビである、請求項25に記載の光学装置。
【請求項27】
前記反射防止フィルムが、前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたルーバー付きプラスチック層をさらに含む、請求項25に記載の光学装置。
【請求項28】
前記基材が、直線偏光子と四分の一波長リターダとを含む円偏光子であり、前記無機層が前記直線偏光子に隣接している、請求項25に記載の光学装置。
【請求項29】
前記反射防止フィルムが前記基材に隣接して配置された保護層をさらに含む、請求項25に記載の光学装置。
【請求項30】
前記反射防止フィルムが接着剤層をさらに含む、請求項25に記載の光学装置。
【請求項31】
前記反射防止フィルムが、前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたハードコート層をさらに含む、請求項25に記載の光学装置。
【請求項32】
円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材を提供する工程と、
前記基材の前記第1の表面の上に無機層を堆積させる工程と、
前記無機層の上に硬化性組成物の層を堆積させる工程と、
前記堆積された硬化性組成物を硬化させて、約20nm〜約200nmの厚さおよび400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有する光学活性ポリマー層を形成する工程と、
を含む、反射防止フィルムの製造方法。
【請求項33】
前記無機層が金属酸化物、窒化物、ニッケル、クロム、シリカ、またはそれらの任意の組合わせから形成される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記金属酸化物が酸化インジウム、二酸化チタン、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化ガリウムインジウム、五酸化ニオブ、酸化インジウムスズ、二酸化スズ、またはそれらの任意の組合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記金属酸化物層が約10〜約30nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約80nm〜約150nmの厚さを有する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記窒化物が窒化ケイ素、窒化チタン、またはそれらの組合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記無機層の堆積工程が、
第1の金属酸化物層を前記基材の前記第1の表面の上に堆積させる工程と、
シリカ層を前記第1の金属酸化物層上に堆積させる工程と、
第2の金属酸化物層を前記シリカ層上に堆積させる工程と、
を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の金属酸化物層が約20nm〜約35nmの厚さを有し、前記シリカ層が約10nm〜約25nmの厚さを有し、前記第2の金属酸化物層が約50nm〜約100nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約70nm〜約120nmの厚さを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記無機層の堆積工程が、
金属酸化物層を前記基材の前記第1の表面の上に堆積させる工程と、
シリカ層を前記金属酸化物層上に堆積させる工程と、
を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記金属酸化物層が約10nm〜約30nmの厚さを有し、前記シリカ層が約10nm〜約120nmの厚さを有し、前記ポリマー層が約50nm〜約130nmの厚さを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記硬化性組成物が、フルオロアルケンポリマー、シリコーン含有アクリレートポリマー、メタクリレートポリマー、多官能性アクリレートモノマー、またはそれらの任意の組合わせを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記硬化性組成物がフルオロアルケンポリマーおよびシリコーン含有アクリレートポリマーを含み、前記硬化が前記ポリマー層中の材料の分離を起こし、前記シリコーン含有アクリレートの豊富な外側部分および前記フルオロアルケンの豊富な内側部分を製造する、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記硬化性組成物がフルオロアルケンポリマーおよびメタクリレートポリマーを含み、前記硬化が前記ポリマー層中の材料の分離を起こし、前記メタクリレートの豊富な外側部分および前記フルオロアルケンの豊富な内側部分を製造する、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記基材の前記第1の表面の上に、前記無機層がその上に堆積される前にハードコートを堆積させる工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
支持層を前記基材に隣接して配置する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記基材の前記第1の表面の上に、前記無機層がその上に堆積される前にルーバー付きプラスチック層を配置する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
接着剤層を堆積させる工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項48】
保護層を前記基材に隣接して配置する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
ディスプレイデバイスを提供する工程と、
円偏光子、直線偏光子、またはルーバー付きプラスチックフィルムである、第1の表面および第2の表面を有する基材と、前記基材の前記第1の表面の上に堆積された無機層と、前記無機層上に硬化性組成物をin situ硬化させることによって形成され、400nm〜700nmの波長範囲にわたって約1.53以下の屈折率を有し、約20nm〜約200nmの厚さを有する光学活性ポリマー層と、を含む反射防止フィルムを前記ディスプレイデバイスの少なくとも一部の上に配置する工程と、
を含む光学装置の製造方法。
【請求項50】
前記ディスプレイデバイスが、パーソナルディジタルアシスタント、現金自動取引機、携帯電話、タッチスクリーン、リストウォッチ、カーナビゲーションシステム、ダッシュボード、全地球測位システム、測深機、計算機、携帯用電子ゲーム機、電子ブック、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、プロジェクションテレビスクリーン、コンピュータモニタ、ノートブックコンピュータディスプレイ、計器ゲージ、タブレットパーソナルコンピュータ、または液晶ディスプレイテレビである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記反射防止フィルムが、前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたルーバー付きプラスチック層をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記反射防止フィルムが、前記基材に隣接して配置された支持層をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記反射防止フィルムが、前記基材に隣接して配置された保護層をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記反射防止フィルムが、前記基材の前記第1の表面と前記無機層との間に配置されたハードコート層をさらに含む、請求項49に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−503332(P2006−503332A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544801(P2004−544801)
【出願日】平成15年10月6日(2003.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/031473
【国際公開番号】WO2004/036270
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】