説明

ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム

【課題】
液晶ディスプレーに使用された場合に高い輝度を得ることができる液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを提供する。
【解決手段】
ポリエステルとMFRが230〜500g/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂を用いてなる白色ポリエステルフィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上であることを特徴とするディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色ポリエステルフイルムに関し、特に、液晶ディスプレイで最適な白色ポリエステルフイルムで、液晶画面をサイドライト(エッジライトとも言う)により照明した場合や、反射フィルムの真上に蛍光管を配置する様な(直下型という)構成で、より明るい画面が得られる反射板用基材を構成することが可能なディスプレ−反射板用白色ポリエステルフイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイを照明する際に、従来、ディスプレイの背面からライトをあてるバックライト方式や、特開昭63−62104号公報に示されるようなサイドライト方式が、薄型で均一に照明できるメリットから、広く用いられている。サイドライト方式とは、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施し、該アクリル板などのエッジより冷陰極管などの照明を当てる方式で照明光が均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られる。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできる。また、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板を設置する必要があるが、この反射板には薄さと、光の高反射性が要求されることから、フイルム内部に微細な気泡を含有させ、該気泡で光を散乱させることにより白色化された、白色フイルムなどが主に用いられる。
【0003】
一方、液晶テレビのような大画面用では、直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルム単独、もしくは、これらのフィルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている。
【0004】
この微細な気泡の形成は、フイルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点の非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)が形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。
【0005】
一方、液晶ディスプレイで重要な特性として画面の明るさの均整度がある。特に、画面の大きなディスプレイにおいては、反射板で反射された光が十分散乱されないと、画面の中に明るさのムラが生じきれいな画像にならない。この画面の明るさの均整度を保つために、反射板用の白色フイルムの表面に無機粒子を添加することで反射光を十分拡散反射させることが知られている。
【0006】
また、ノートパソコンや携帯電話など、より小型の液晶ディスプレーの照明に関しては、近年「逆プリズム方式」の採用が広がり始めている。この方式について図1で説明しておく。この方式は、エッジランプから出た光が導光板を通って反射板で反射した後、従来の方法とは逆向きに設置したプリズムを通して、光を垂直方向に曲げて指向性を持たせた状態で液晶セルに送る。従来の方法は、反射板で反射された光は拡散され、上向きに向いたプリズムに入る光が真上に指向性があるもの以外はプリズムで反射され、反射板との間で反射を繰り返し、最終的に光の指向性を高めた状態で液晶セルに送るのであるが、この方法の場合、反射を繰り返すうちに反射板を透過する光のロスが発生して輝度が十分稼げない。一方、逆プリズム方式で、従来の反射板を使用した場合は、拡散する光の割合が高いために逆を向いたプリズムで指向性を十分持たせることができず、十分な輝度が得られない。
【特許文献1】特開昭63―62104号公報
【特許文献2】特開平6―322153号公報
【特許文献3】特開平7―118433号公報
【特許文献4】特開2003―160682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決し、逆プリズム方式の液晶ディスプレイに使用された場合だけでなく、従来からの正プリズム方式の液晶ディスプレイ装置においても高い輝度を得ることができる液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的に沿う本発明の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムは、
(1)ポリエステルとMFRが230〜500g/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂を用いてなる白色ポリエステルフィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上であるディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(2)ポリエステルに非相溶な樹脂が、ポリメチルペンテンであることを特徴とする(1)記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(3)A層/B層/A層、またはA層/B層/C層の3層構成からなり、B層が微細気泡を含有した層であり、B層における微細気泡により形成される界面の個数が150以上である(1)または(2)記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
(4)フィルム厚み100μm当たり、界面の個数が80以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム、
であり、表示装置としては、
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを使用したディスプレー装置、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムによれば、ディスプレイ装置における画面輝度において従来にない高い輝度を得ることができる。本発明は、白色ポリエステルフイルムに関し、特に、ノートパソコン、モニターや携帯電話など、他には直下型の液晶テレビなどディスプレイとして高い輝度を発揮するものであり、従来より明るい画像が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を構成するポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、などで代表されるものであり、またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどがあげられる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0011】
もちろん、これらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良く、共重合成分としてはたとえば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分があげられる。
【0012】
また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフイルムは耐水性、耐久性、耐薬品性などに優れているものである。
【0013】
本発明においては、400〜700nmの光の波長域における平均反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上である必要がある。99%未満であると、バックライトとしての輝度が落ちることがあるからである。本発明において平均反射率とは、日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより波長を5nm間隔で反射率を読み取り、平均化した値である。
【0014】
反射率を99%以上とするためには、フイルム内部に微細な気泡を含有させ白色化されていることが重要であり、これが光に散乱作用を発揮するため反射率を向上させることができる。好ましくは、反射率は100%以上であり、より好ましくは101%以上である。反射率については特に上限はないが、反射率を上げるためには、核剤添加量を上げる必要があり、その場合製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明はフィルム内部に微細な気泡を含有することによって白色化されていることが好ましい。微細な気泡の形成は、フイルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点のポリエステルと非相溶なポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、この非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)が形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。非相溶ポリマーは、例えば、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレンなどから選ばれた融点200℃以上のポリマーである。中でもポリエステル母材に対して、ポリオレフィン、とくにポリメチルペンテンが好ましい。
【0016】
本発明におけるポリエステルに非相溶な樹脂のMFRとはメルトフローレートの事で、樹脂温度を260℃に加熱し、測定樹脂量を5kg使用し、他の条件はASTM D 1238に準じて測定される値である。数値が高いほど、粘度が低いことを示している。本発明では、メルトフローレートが230g/10min以上から、従来よりも微細効果が現れ、厚み辺りの界面が増える効果が見られる。また、MFRの増加とともに、微細効果も更に促進される。上限はないが500g/10minを越えると実質上生産することができないことが多い。そこで、好ましくは、MFRが250〜450g/10min、更に好ましくは、MFRが350〜450g/10minが好適に使用できる範囲である。
【0017】
MFRをコントロールする方法は、重合時の重合時間と樹脂成形時の押出し温度に依存するため、重合時間及び押出し温度を変更することによって自由に目的のMFRを得ることが可能である。
非相溶ポリマー(たとえばポリオレフィン)の添加量としては、非相溶ポリマーを含有する層全体を100重量%としたときに、5重量%以上25重量%以下であることが好ましい。これより少なすぎると白色化の効果が薄れ、高反射率が得にくくなり、高すぎると、フイルム自体の強度等機械特性が低くなりすぎるため好ましくない。
【0018】
この非相溶ポリマーは均一に分散されている程好ましい。均一分散により、フイルム内部に均一に気泡が形成され、白色化の度合、ひいては反射率が均一になる。非相溶ポリマーを均一分散させるには、低比重化剤を分散助剤として添加することが有効である。低比重化剤とは、比重を小さくする効果を持つ化合物のことであり、特定の化合物にその効果が認められる。例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレノキサイド/プロピレノキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明フイルムの場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリエチレングリコールが好ましい。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶ポリマーの分散性を向上させるために好ましく用いられる。添加量としては、非相溶ポリマーを含有する層全体を100重量%として、3重量%以上20重量%以下が好ましい。少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フイルム母材本来の特性を損うおそれがある。このような低比重化剤は、予めフイルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。
【0019】
前述の如く、白色ポリエステルフイルムが微細な気泡を含有することにより、該ポリエステルフイルムの見かけ比重は通常のポリエステルフイルムよりも低くなる。さらに低比重化剤を添加すれば、さらに比重は低くなる。つまり、白くて軽いフイルムが得られる。この白色ポリエステルフイルムを、液晶ディスプレイ反射板用基材としての機械的特性を保ちながら、軽量にするには、見かけ比重が0.5以上1.2以下であることが好ましい。
【0020】
見かけ比重を0.5以上1.2以下とするためには、上記のごとく低比重化剤、例えば比重0.83のポリメチルペンテンを用いた場合、層全体に対して5重量%以上25重量%以下含有させ、延伸倍率を
2.5〜4.5とすることにより達成することができる。見かけ比重が本発明の範囲にあると、液晶ディスプレイ反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた輝度を発揮する。
【0021】
本発明での界面とは、主にポリエステルと非相溶樹脂との間に製膜の延伸により発現した微細な気泡に侵入した空気層と樹脂層の境界面のことであり、反射性能は、空気層と樹脂層との境界でおきる界面反射でもたらされるものである。1つの界面での反射は、少ないが微細な気泡が多数重なりあうことによって界面多重反射を引き起こし、高反射材として機能付与がなされる。本発明の界面の個数は、ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、切断し、次いで、切断した界面を走査型電子顕微鏡S−2100A型((株)日立製作所)を用いて10000倍に拡大観察して得られた画像より、フィルム表面の任意の1点からもう一方にフィルム表面に向かって、フィルム表面に対して垂直に直線を引いたときに、線上に存在する界面の数を計測ことによって求める。界面数のカウント方法は、気相から固相への界面であっても1界面、固相から気相の界面であっても1界面とカウントする。本発明の界面数は、150以上であることが必要であり、2000以下である。界面数の増大により高い反射特性及び隠蔽性を得ることが出来る。
【0022】
フィルム厚み方向における微細気泡の平均厚みは、光反射性および光拡散性の点で、0.1μm〜10μmが好ましく、より好ましくは、0.4μm〜8μmである。0.1μm未満であると光干渉効果などにより反射率が波長によって変化するため、反射光が色づくことがある。また、10μm以上では、界面数を150以上確保するためには、フィルム厚みを相当に厚くする必要があり、薄膜化、軽量化の現状の実用にそぐわない。
【0023】
フィルム厚み100μm当たり、界面を80以上存在させることが好ましい。より好ましくは90以上3000以下である。フィルム厚み100μm当たり、界面を80以上存在させることにより、薄膜でありながら、高反射性かつ高隠蔽性を有する光反射フィルムを得ることが出来る。3000以上は飽和状態となり、効果は微小である。
【0024】
また、この液晶ディスプレー反射板用白色ポリエステルフイルムの構成は、A層/B層/A層、またはA層/B層/C層の3層構成からなり、該B層が前記微細気泡を含有した層となることが、高反射率と製膜性を両立させるのに好ましい。また、フイルム表面に相当するA層および/またはC層が、ポリエステルに無機粒子および/または有機粒子を含有する層として使用できる。また、C層にカーボンブラックを添加すると隠蔽性の高い反射フィルムとして好適に使用することが出来る。
【0025】
次に本発明の白色ポリエステルフイルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。非相溶ポリマーとしてMFRが400g/10minのポリメチルペンテンを、低比重化剤としてポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を、ポリエチレンテレフタレートに混合し、それを充分混合・乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。必要な場合は、SiO などの無機物添加剤を含んだポリエチレンテレフタレートを常法により押出機Bに供給して、Tダイ3層口金内で押出機B層のポリマーが両表層にくるようA層/B層/A層なる構成の3層にラミネートしてもよい。
【0026】
この溶融されたシートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、該未延伸フイルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、縦延伸したフイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦、横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると得られるフイルムの白さが不良となり、逆に16倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなり製膜性が不良となる傾向がある。こうして二軸延伸されたフイルムの平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り本発明フイルムを得る。
【0027】
かくして得られた本発明の液晶ディスプレー反射板用白色ポリエステルフイルムは、フィルム内部に微細な気泡が形成され高反射率が達成されており、液晶などのディスプレイの反射板として使用された場合に高い輝度を得ることができる。
【0028】
〔物性の測定ならびに効果の評価方法〕
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
【0029】
(1)平均相対反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均相対反射率とする。
【0030】
(2)フィルム内部の界面数
ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、切断した。次いで、切断した界面を走査型電子顕微鏡S−2100A型((株)日立製作所)を用いて10000倍に拡大観察して得られた画像より、フィルム表面の任意の1点からもう一方にフィルム表面に向かって、フィルム表面に対して垂直に直線を引いたときに、線上に存在する界面の数を計測ことによって求めた。界面数のカウント方法は、気相から固相への界面であっても1界面、固相から気相の界面であっても1界面とカウントした。 フィルム100μm当たりの界面数は、フィルム全厚み(フイルムを100×100mm角に切取り、ダイアルゲージを取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算した。)の界面数を100μm当たりに換算した数値とした。 (3)見かけ比重
フイルムを100×100mm角に切取り、ダイアルゲージを取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算した。また、このフイルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10−4gの単位まで読み取る。このとき見かけ比重=w/d×100とした。
【0031】
(4)画面の明るさ(輝度)
図1に示したようにソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの逆プリズムタイプの反射フィルム12を各実施例、比較例にて作製した反射フィルムに変更し測定した。輝度測定は、冷陰極管11にインバーターを使用し、AC12V印加した後、1時間待機し冷陰極管の明るさが均一・一定になるのを待った。その後に、輝度計15(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値をとる。輝度評価として、3000cd/m以上を◎、2950cd/m以上、3000cd/m未満を○、2900cd/m以上、2950cd/m未満を△、2900cd/m未満を×とした。図2に示した正プリズムタイプについても、同様に測定をした。
【0032】
(5)光沢度
スガ試験機製 デジタル変角光沢計(UGU―4D)を用いて、JIS K7105に準じ、入射角および受光角を60°にあわせて評価した。
【0033】
(6)MFR
ASTM D1238に準じ、樹脂温度260℃、樹脂量5kgとして測定した。
【実施例】
【0034】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0035】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートのチップ(東レ(株)製F20S)、及び、分子量4000のポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(東レデュポン(株)製“ハイトレル”)をポリエチレンテレフタレートの重合時に添加したマスターチップを180℃で3時間真空乾燥したのちに、ポリエチレンテレフタレート65重量部、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコールを5mol%共重合物(東レ(株)製T794M)を10重量部、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(東レデュポン(株)製“ハイトレル”)を5重量部、押出し温度を320℃に設定しMFRが230g/10minであるポリメチルペンテンを20重量部となるように混合し、270〜300℃に加熱された押出機Bに供給(B層)し、一方、ポリエチレンテレフタレートのチップを98重量部に、数平均粒径2.5μmの二酸化珪素2重量%マスターチップを2重量部混合したものを180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給(A層)、これらポリマーをA層/B層/A層となり、厚み比率で1:8:1となるように積層装置を通して積層し、Tダイよりシート状に成形した。さらにこのフイルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フイルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は132%であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0036】
[実施例2]
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成を、ポリエチレンテレフタレート86重量部、炭酸カルシウム50重量%マスターを14重量部投入する、押出機Bに送る原料のうち、押出し温度を400℃に設定しMFRが500g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は52%であり、液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム(基材)としての物性は表1の通りである。
【0037】
[実施例3]
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成を、ポリエチレンテレフタレート72重量部、炭酸カルシウム50重量%マスターを28重量部投入する、押出機Bに送る原料のうち、押出し温度を350℃Mに設定しMFRが360g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は29%であり、液晶ディスプレイ反射板用基材としての物性は表1の通り高輝度が得られた。
【0038】
[実施例4]
実施例1において、押出機Bに送る原料のうち、押出し温度を370℃に設定しMFRが400g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は132%であり、液晶ディスプレイ反射板用基材としての物性は表1の通りである。
【0039】
[比較例1]
実施例1において、押出機Bに投入する原料として、押出し温度を300℃に設定しMFRが180g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は132%であり、逆プリズム方式液晶ディスプレイ反射板用基材としての物性は表1の通りで、実施例1に比較して劣る結果となった。
【0040】
[比較例2]
実施例1において、押出機Bに投入する原料として、押出し温度430℃に設定しMFRが550g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は132%であり、逆プリズム方式液晶ディスプレイ反射板用基材としての物性は表1の通りで、実施例1に比較して劣る結果となった。
【0041】
[比較例3]
実施例2において、押出機Bに送る原料のうち、押出し温度330℃に設定しMFRが26g/10minであるポリメチルペンテン20重量部を用いた以外は、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムの光沢度(60°)は52%であり、液晶ディスプレイ反射板用基材としての物性は表1の通りである。
【0042】
表1に示すとおり、ポリエステルとMFRが230〜500g/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂PMPを用いて、界面数の増加と共に、反射率・輝度共に増加していることがわかる。また、図1に示すような逆プリズムタイプや、従来から多く採用されている正プリズム方式のバックライトでも好適に使用することができ、輝度向上が図れる。バックライトの輝度向上によって、液晶画面の輝度が向上し明るく、鮮やかな画像が得られる。
【0043】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】反射板を組み込んだバックライト画面(逆プリズム方式)の概略断面図である。
【図2】反射板を組み込んだバックライト画面(正プリズム方式)の概略断面図である。
【符号の説明】
【0045】
11;冷陰極管
12;反射板
13;導光板
14;プリズムシート
15;輝度計
16;冷陰極管
17;反射板
18;導光板
19;プリズムシート
20;輝度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルとMFRが230〜500g/10min(ASTM D1238)であるポリエステルに非相溶な樹脂を用いてなる白色ポリエステルフィルムであって、400〜700nmの光の波長域における平均相対反射率がフイルムの少なくとも片面で99%以上であることを特徴とするディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項2】
ポリエステルに非相溶な樹脂が、ポリメチルペンテンであることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項3】
A層/B層/A層、またはA層/B層/C層の3層構成からなり、B層が微細気泡を含有し、微細気泡により形成される界面の個数がフィルム全厚み当たり150以上である請求項1または2に記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項4】
フィルム厚み100μm当たり、界面の個数が80以上である請求項1〜3いずれかに記載の液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のディスプレイ反射板用白色ポリエステルフイルムを使用した液晶ディスプレー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−178505(P2007−178505A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374072(P2005−374072)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】