説明

ディスプレイ装置

【課題】焼き付き防止の為に周期的に画素を移動させると視聴者に違和感を与えるおそれがあり、特に映像解像度とパネル解像度が同じ場合に、いわゆるドットバイドット表示を行って映像信号の解像度のままパネルに表示する場合は視聴者に違和感を与える可能性が大きい。
【解決手段】本発明にかかるディスプレイ装置は、入力された映像信号に対応した映像を表示部において表示している期間に比べて、入力された映像信号に対して画素をぼやかしながら移動している期間を短くしたので、焼き付き防止制御を行っても視聴者に違和感を与えるおそれが低く、特にドットバイドット表示を行う場合に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ装置に関する。詳しくは、表示画面に焼き付きが生じづらいように表示制御を行い、表示画面に静止画または動画を長時間表示することのできる表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PDP(プラズマディスプレイパネル)を用いたテレビジョン装置、ディスプレイ装置が普及している。PDPに表示するコンテンツの種類には、放送やビデオなどの動画の他に、写真や広告などの静止画も含まれる。
【0003】
ここで、一枚の静止画を非常に長時間表示した場合や、動きのパターンが固定的な動画を非常に長時間表示した場合は、PDPに表示ムラ、いわゆる焼き付きの問題が生じるおそれがある。
【0004】
PDPの焼き付きは、PDP表面に無数に形成された発光体の色表示特性が画面上の領域によって異なっている場合によって生じる。発光体の色表示特性の変化は、発光体の劣化によって生じる。発光体の劣化速度はそれまでに発光体が発光した輝度の履歴などによって変化する。一般的に言えば、輝度の高い映像を表示し続けた場合は発光体の劣化速度は速い。つまり、PDPの一部に輝度の高い映像を表示し続け、他の一部に輝度の低い映像を表示し続けた場合は、焼き付きの発生が起こりやすくなる。
【0005】
焼き付きを防止するために多くの技術が開発されている。焼き付き防止技術として代表的なものに、一定時間ごとに映像を微小に縦横に数画素単位で動かす技術がある。例えば一枚の静止画を長時間表示した場合であっても、周期的に画素単位で映像を動かせば、微小に静止画の表示位置が変化することになる。静止画の表示位置が変化するということは、物体と物体の境界や、文字の縁取りなど、輝度の変化が激しい箇所がPDP上の一点に集中することが無くなるということである。つまり、焼き付き跡がくっきりと残ることなく、PDPの一領域全体で平均的にゆっくりと焼き付きが進行する。結果として焼き付きの進行速度が低減され、焼き付いてもそれが視認されづらいということになる。
【0006】
特許文献1の技術では、映像の移動単位を周期的にずらす技術を開示している。映像の移動単位をずらすとは、画素数の少ない映像を画素数の多いパネルに表示する際に用いる画素数変換係数を、画素のずらし量に応用することである。このようにすると、画素の移動量がある程度のバラつきを持つことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−070226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら前記従来の技術のようにすると、焼き付きは防止されるものの、周期的な画素の移動が視聴者に知覚されて違和感を与える可能性があるという問題がある。特に映像解像度とパネル解像度が同じ場合に、いわゆるドットバイドット表示を行って映像信号の解像度のままパネルに表示する場合は視聴者に違和感を与える可能性が大きい。ドットバイドット表示の場合は画素と画素の境界がはっきりしているからである。
【0009】
ここで、特許文献1のように映像の移動単位を周期的にずらそうとしても、ドットバイドット表示の場合は映像画素数とパネル画素数が同じである。つまり、そもそも画素数変換係数を生成することができない。
【0010】
つまり、焼き付き防止の為に周期的に画素を移動させると視聴者に違和感を与えるおそれがあり、特にドットバイドット表示の際はそれが顕著であるという課題があった。そしてこの課題は前記従来の技術においても解決されていない。
【0011】
本発明は、焼き付き防止制御を行っても視聴者に違和感を与えるおそれが低く、特にドットバイドット表示を行う場合であっても視聴者に与える違和感を解消することができる表示制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決する為に、本発明のディスプレイ装置は入力される映像信号に対して、所定の位置の画素が、所定の色で発色することによって、前記映像信号に対応した映像を、第一の期間表示する初期状態と、前記映像信号に対して、前記所定の位置の画素が、前記初期状態と同じ画素の座標系で表示した場合に対応する色と、前記映像信号に対応した映像を前記初期状態より画素の座標系を特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色との中間色で、発色することによって、前記映像信号に対応した映像を、前記第一の期間より短い第二の期間表示する遷移状態と、前記映像信号に対して、前記所定の位置の画素が、前記初期状態より画素の座標系を前記特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色で発色することによって、前記映像信号に対応した映像を表示する移動完了状態と、の三状態を、前記移動完了状態の画素の座標系を前記初期状態の画素の座標系へ置き換えることによって、繰り返して実現するように表示パネルを制御する制御装置を備える、ディスプレイ装置とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスプレイ装置によれば、初期状態において映像信号に対応した映像を表示している期間に比べて、遷移状態において画素をぼやかしながら移動している期間を短くしたので、焼き付き防止制御を行っても視聴者に違和感を与えるおそれが低い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の機能ブロック図
【図2】本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の動作フローチャート
【図3】本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の表示遷移図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<ディスプレイ装置の構成>
ディスプレイ装置の構成について説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の機能ブロック図である。
【0017】
映像信号生成部1は、放送、通信、あるいは記録媒体からの信号を映像信号へと変換するものである。
【0018】
映像生成部2は、映像信号生成部1からの映像信号を受けて、後段の表示部3で表示可能な形式へと変換するものである。
【0019】
表示部3は、映像生成部2によって変換された映像信号を、映像として表示するものである。表示部3の表面には複数の画素が形成されている。一つの画素は一般的には赤、緑青、の三つの表示要素から構成される。例えばプラズマディスプレイパネル、液晶パネルなどが挙げられる。
【0020】
中間画素生成部4は、映像信号生成部1からの信号および、期間計算部5からの指示に基づいて、映像生成部2に対して、映像の生成を、特定方向に隣接する画素との中間色で映像が表示されるように行うことを指示するものである。
【0021】
期間計算部5は、所定のクロックに基づいて期間を計算し、必要に応じて中間画素生成部4、座標計算部6に対して制御を行うものである。
【0022】
座標計算部6は、画素の座標系を管理するものである。画素の座標系とは、映像信号に基づいて表示される画素と表示部3の実際の画素の位置との相対的な位置関係である。例えば、ある映像を表示部3で表示したところ、映像を挟むように上下の水平方向に黒帯がかかって表示されたとする。その場合において、画素の表示座標系を上方に一画素ずらすとは上側に映像全体が一画素シフトすることを意味する。よって、上側の黒帯は一画素分短くなり、下側の黒帯は一画素分長くなることになる。
【0023】
制御装置7は、映像生成部2、中間画素生成部4、期間計算部5、座標計算部6を有する部位である。
<ディスプレイ装置の動作>
続いてディスプレイ装置の動作について説明する。
【0024】
まず、通常のコンテンツ視聴動作について説明する。通常のコンテンツ視聴動作とは焼き付き防止制御を行う、行わないに関わらず行う動作である。具体的には放送番組、記録媒体に記録された映像、音声コンテンツの視聴動作が含まれる。
【0025】
ユーザがリモコン装置や機械スイッチに対して所定の操作を行うと、ディスプレイ装置は、放送、通信、あるいは記録媒体からの信号を映像信号生成部1を介して受信する。受信した信号は復調、デコードされ、映像信号へと変換される。映像信号は映像生成部2に入力される。
【0026】
映像生成部2には映像信号生成部1からの映像信号が入力される。映像生成部2では映像信号生成部1からの映像信号を受けて、後段の表示部3で表示可能な形式へと変換する。
【0027】
表示部3は、映像生成部2で変換された映像信号が入力される。そして、映像信号に応じて所定の位置の画素が、所定の色で発色することによって映像を表示する。
【0028】
以上の動作によってユーザは表示部3に表示された映像を鑑賞することができる。
<ディスプレイ装置における焼き付き防止制御>
以下では上述のように、表示部3に映像を表示する動作に付随して行われる焼き付き防止制御について図2を参照しながら説明する。
【0029】
図2は本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の動作フローチャートである。
【0030】
まず、焼き付き防止制御が開始される。焼き付き防止制御の開始は、ユーザのディスプレイ装置に対する指示によって開始されてもいいし、ディスプレイ装置の電源がオンの時には常に開始されているようにしてもよい。
【0031】
ステップS1では、現在の映像表示座標が座標計算部6にセットされる。映像表示座標の表し方には種々のものが考えられる。例えば、720×480の解像度を持つ映像信号に対して、最も上側の垂直座標でかつ、最も左側の水平座標に表示されるべき色が、実際には表示部3上のどの画素に表示されているかを検知する手段が一手段として挙げられる。本発明では、映像上の特定の箇所の色が、表示部3上のどの画素に表示されているかを特定できるような情報ならば、映像表示座標として使用することができる。
【0032】
ステップS2では、期間計算部5のカウンタがリセットされ加算動作が開始される。
【0033】
ステップS3では、期間計算部5のカウンタ値が、既に設定されていた第一の期間を計測し終わったか否かを判断する。未だ計測期間が第一の期間を超えないと判断すれば(ステップS3でNO)、ステップS4に進む。計測し終わったと判断すれば(ステップS3でYES)、ステップS5に進む。ここで、本実施例では第一の期間は一分とする。
【0034】
ステップS4では、期間計算部5のカウンタが加算される。
【0035】
ここで、ステップS1からS4の処理が、表示部3の表示でどのように表されるかについて図3を用いて模式的に説明するために、まず図3について詳細に説明する。
【0036】
図3は本発明の一実施の形態におけるディスプレイ装置の表示遷移図である。表示遷移図とは表示内容が時間に従ってどのように遷移するかを示した図である。
【0037】
水平方向は画素の並びである。つまり図3では表示部3は左から右に並んだ5つの画素のみから構成されていると仮定する。もちろん、本発明が適用可能な表示部は非常に複数の画素(例えば垂直方向1980画素×水平方向1080画素)を有することはいうまでもない。
【0038】
なおここで、表示部3で表示する映像に対応する映像信号は、左から右に5つの画素が黒、白、黒、白、黒と並んでいる映像に対応する映像信号であり、映像信号の解像度と表示装置の解像度が合致しており、いわゆるドットバイドット表示を行っている。
【0039】
垂直方向は時間の進行方向である。時間の進行の単位を説明するために、垂直方向に時刻を付した。つまり、図3において、時刻t1では、左から右に並んだ5つの画素が黒、白、黒、白、黒のように発色している。なお、時刻のスケールは必ずしも均一でない。ここでt1からt5までは1分間、t6からt8までは1秒間、t9からt13までは1分間、t14は1/3秒間とする。
【0040】
また、表示部3に表示される色は刻々と変化する。色の変化のレベルを図3左下のカラーバーで示した。カラーバーの最上部は色レベルが5の黒であり、最下部は色レベルが1の白である。カラーバーの中間部に位置する色レベル4から2は黒と白の中間色である。色レベルは5から1に減少するに従って黒色から白色に近くなる。つまり、図3において、時刻t14では、左から右に並んだ5つの画素が色レベル4の色、色レベル2の色、色レベル4の色、色レベル2の色、色レベル4の色のように発色している。なおここで、表示部3で表示する映像に対応する映像信号は、左から右に5つの画素が黒、白、黒、白、黒と並んでいる映像に対応する映像信号であり、t1からt14の間、この映像信号がディスプレイ装置に入力されているとする。
【0041】
ステップS1からS4の処理を、図3にあてはめて説明すると以下のようになる。
【0042】
ステップS1における、現在の映像表示座標が座標計算部6にセットされるという動作は、図3のt1における画素の並びと表示色の対応付けに関する情報が座標計算部6にセットされるという動作に対応する。
【0043】
ステップS2における、期間計算部5のカウンタがリセットされ加算動作が開始されるという動作は、図3のt1の時の時刻に期間計算部5のカウンタが0になるという動作に対応する。
【0044】
ステップS3における、期間計算部5のカウンタ値が、既に設定されていた第一の期間を計測し終わったか否かを判断という動作は、第一の期間が一分間なので、図3の時刻がt5に達したか否かを判断するステップとなる。
【0045】
ステップS4における、期間計算部5のカウンタが加算されるという動作は、時刻のカウントを図3のt5まで行うという動作に対応する。
【0046】
以上をまとめると、ステップS1からS4の処理は図3における初期状態に対応する。そして初期状態とはつまり、入力される映像信号に対して、所定の位置の画素が、所定の色で発色することによって、映像信号に対応した映像を、第一の期間表示する状態といえる。
【0047】
続いてステップS3からステップS5に遷移した後のフローを説明する。
【0048】
ステップS5では期間計算部5の指示を受けて中間画素生成部4によって中間色の画素が生成される。中間色の画素が生成されるとは、映像が一画素未満で特定の方向にシフトするように映像を生成することを映像生成部2に指示するということである。具体的に言えば、ある画素(画素Aとする)が初期状態で発色していた色と、映像を特定の方向に一画素ずらした場合に画素Aが表示する色との中間色で画素Aを発色させるような映像を生成するように映像生成部2に指示するということである。
【0049】
ステップS6ではステップS5で中間画素生成部4に生成指示された映像に応じて映像生成部2が映像を生成し表示部3の各画素が発色される。
【0050】
ステップS7では、期間計算部5のカウンタがリセットされ加算動作が開始される。
【0051】
ステップS8では、期間計算部5のカウンタ値が、既に設定されていた第二の期間を計測し終わったか否かを判断する。未だ計測期間が第二の期間を超えないと判断すれば(ステップS8でNO)、ステップS9に進む。計測し終わったと判断すれば(ステップS8でYES)、ステップS10に進む。ここで、本実施例では第二の期間は一秒とする。
【0052】
ステップS9では、期間計算部5のカウンタが加算される。
【0053】
ステップS5からS9の処理を、図3にあてはめて説明すると以下のようになる。
【0054】
ステップS5における、期間計算部5の指示を受けて中間画素生成部4によって中間色の画素が生成されるという動作は、時刻がt5を超えたという指示を期間計算部5から指示されて、図3のt6において左から右に5つの画素に色レベル4、色レベル2、色レベル4、色レベル2、色レベル4と並んで表示させるように映像を生成するよう中間画素生成部4から映像生成部2に指示がされるという動作に対応する。
【0055】
ここで、ステップS5において映像がシフトしようとする特定の方向は右方向である。つまり、t5において、中央に位置する画素(色レベル5)に注目すると、仮に映像を右方向に一画素ずらした場合に、中央に位置する画素が表示すべき色レベルは色レベル1であるから、t6において中央に位置する画素は、色レベル5と色レベル1との中間色である色レベル4から色レベル2のいずれかで発色することになる。なお好ましくは、時刻の経過に応じて、表示する中間色の色相が、段階ごとに色レベル5から1へ近づいて変化していくことが望ましい。このようにすると、画素の色の変化がユーザに気づかれにくいので映像のシフトに対する違和感を低減することができる。図3においては、中間画素生成部4は、中間色を時間の経過に応じて三段階で、映像を特定の方向に一画素ずらした場合に表示する色に近づけるようシフトしている。つまり、時刻t7において左から右に5つの画素に色レベル3、色レベル3、色レベル3、色レベル3、色レベル3と並んで表示させるように映像を生成するよう中間画素生成部4から映像生成部2に指示がされるという動作も、時刻t8において左から右に5つの画素に色レベル2、色レベル4、色レベル2、色レベル4、色レベル2と並んで表示させるように映像を生成するよう中間画素生成部4から映像生成部2に指示がされるという動作も、ステップS5における、期間計算部5の指示を受けて中間画素生成部4によって中間色の画素が生成されるという動作に含めることが可能である。
【0056】
ステップS6における、ステップS5で中間画素生成部4に生成指示された映像に応じて映像生成部2が映像を生成し表示部3の各画素が発色されるという動作は、ステップS5での指示内容を受けて、時刻t6、t7、t8において実際に画素が発色されるという動作に対応する。
【0057】
ステップS7における、期間計算部5のカウンタがリセットされ加算動作が開始されるという動作は、図3のt6の時の時刻に期間計算部5のカウンタが0になるという動作に対応する。
【0058】
ステップS8における、期間計算部5のカウンタ値が、既に設定されていた第二の期間を計測し終わったか否かを判断という動作は、第二の期間が一秒間なので、図3の時刻がt5に達したか否かを判断するステップとなる。
【0059】
ステップS9における、期間計算部5のカウンタが加算されるという動作は、時刻のカウントを図3のt8まで行うという動作に対応する。
【0060】
ここで、第二の期間は第一の期間より短く設定されている。この理由は、第二の期間で表示される映像が、映像信号に対応する映像(左から右に5つの画素が黒、白、黒、白、黒と並んでいる映像)に対してぼやけた映像となるからである。つまり、第二の期間が長いとユーザにぼやけによる違和感を与えるおそれが高い。この点、第一の期間を第二の期間より長く設定すれば、相対的に第一の期間に対して第二の期間に対する印象が軽減されるため、画素シフトを行ってもユーザに与える違和感が少なくなる。
【0061】
以上をまとめると、ステップS5からS9の処理は図3における遷移状態に対応する。そして遷移状態とはつまり、映像信号に対して、所定の位置の画素が、初期状態と同じ画素の座標系で表示した場合に対応する色と、映像信号に対応した映像を初期状態より画素の座標系を特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色との中間色で、発色することによって、映像信号に対応した映像を、第一の期間より短い第二の期間表示する状態といえる。
【0062】
続いてステップS9からステップS10に遷移した後のフローを説明する。
【0063】
ステップS10では、座標計算部6にステップS1でセットされた映像表示座標が、特定の方向に一画素シフトされる。
【0064】
ステップS11では、座標計算部6にセットされた映像表示座標が映像生成部2に伝えられ、表示部3で表示される。
【0065】
ステップS10からS11の処理を、図3にあてはめて説明すると以下のようになる。
【0066】
ステップS10における、座標計算部6にステップS1でセットされた映像表示座標が、特定の方向に一画素シフトされるという動作は、図3のt1における映像が特定の方向に一画素シフトした状態における、画素の並びと表示色の対応付けに関する情報が座標計算部6にセットされるという動作に対応する。t1における映像の並びは左から右に5つの画素が黒、白、黒、白、黒という並びである。ここで特定の方向とは上述のステップS5での映像がシフトしようとする特定の方向に等しくなる。つまり、ステップS10において座標計算部6には、映像の並びが左から右に5つの画素が白、黒、白、黒、白と表示されているという条件に応じて、画素の並びと表示色の対応付けに関する情報がセットされる。なおここで、一番左の画素の色は定義が不可能なので白としたが、本発明はこれに限られるものではない。表示部3の端の画素においては、画素をシフトさせようとする際にシフトする方向の逆方向に画素が存在せず、色の定義が不可能な場合が存在する。このような場合、好ましくは、画面のベゼル(縁)の色と同一とすることが望ましい。なぜならば、画面の端と画面のベゼルの色が同一となれば、その境界をユーザが近くすることが困難となり、結果として画素のシフトによってユーザに与える違和感が低減するからである。
【0067】
ステップS11における、座標計算部6にセットされた映像表示座標が映像生成部2に伝えられ、表示部3で表示されるという動作は、図3のt9において左から右に5つの画素に白、黒、白、黒、白と表示される動作に対応する。
【0068】
以上をまとめると、ステップS10からS11の処理は図3における移動完了状態に対応する。そして移動完了状態とはつまり、映像信号に対して、所定の位置の画素が、初期状態より画素の座標系を特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色で発色することによって、映像信号に対応した映像を表示する状態である。
【0069】
続いてステップS11からステップS12に遷移した後のフローを説明する。
【0070】
ステップS12では、焼き付き防止制御を継続するか否かを判断する。焼き付き防止制御を継続する(ステップS12でYES)ならば、ステップS1へと戻りフローがループする。焼き付き防止制御を継続しない(ステップS12でNO)ならば、焼き付き防止制御を終了する。
【0071】
ステップS12の処理を、図3にあてはめて説明すると以下のようになる。
【0072】
ステップS12における、焼き付き防止制御を継続するか否かを判断し、焼き付き防止制御を継続する(ステップS12でYES)ならば、ステップS1へと戻る動作は、図3においてt9以降に再び初期状態に対応する制御を行う動作に対応する。
【0073】
以上をまとめると、ステップS12において、焼き付き防止制御を継続する(ステップS12でYES)動作は上述の移動完了状態の画素の座標系を初期状態の画素の座標系へ置き換えることによって、再び初期状態、遷移状態、移動完了常態の三状態を繰り返して実現する動作ということができる。
【0074】
なお、初期状態に再び移行する際には、好ましくは画素を移動させる方向を前回の初期状態とは変更して、周期的に特定の座標系に映像が回帰してくるように設計することが望ましい。この設計の仕方として、例えば左右の往復運動を繰り返すようにシフトさせてもよいし、円周を描くようにシフトさせてもよい。
【0075】
なお、第二の期間において、t6のように初期状態から色が変化した直後の期間と、t8のように再び初期状態に戻る直前の期間は、t7のようにその中間を形成する期間より長く設定することが好ましい。なぜならば、そのような期間は多くの画素が、映像信号に対応する映像とは、大きく異なる色を発色している可能性が高いからである。
<まとめ>
以上説明したように、本発明のディスプレイ装置は、初期状態において映像信号に対応した映像を表示している期間に比べて、遷移状態において画素をぼやかしながら移動している期間を短くしたので、焼き付き防止制御を行っても視聴者に違和感を与えるおそれが低い。
【0076】
特に映像信号の解像度と表示装置の解像度が合致する場合においては、この移動時間
中は、映像の鮮明度が最適なものから低下した状態になるため、移動時間の比率を抑える
ことによって、映像の鮮明度が低下する時間を減らすことになり、視覚上、映像の鮮明度
を上げることになる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のディスプレイ装置は静止画を表示することの多い店頭表示用ディスプレイとして有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 映像信号生成部
2 映像生成部
3 表示部
4 中間画素生成部
5 期間計算部
6 座標計算部
7 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像信号に対して、所定の位置の画素が、所定の色で発色することによって、前記映像信号に対応した映像を、第一の期間表示する初期状態と、
前記映像信号に対して、前記所定の位置の画素が、前記初期状態と同じ画素の座標系で表示した場合に対応する色と、前記映像信号に対応した映像を前記初期状態より画素の座標系を特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色との中間色で、発色することによって、前記映像信号に対応した映像を、前記第一の期間より短い第二の期間表示する遷移状態と、
前記映像信号に対して、前記所定の位置の画素が、前記初期状態より画素の座標系を前記特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色で発色することによって、前記映像信号に対応した映像を表示する移動完了状態と、
の三状態を、前記移動完了状態の画素の座標系を前記初期状態の画素の座標系へ置き換えることによって、繰り返して実現するように表示パネルを制御する制御装置を備える、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記所定の位置の画素は、前記遷移状態において、前記第二の期間の経過に応じて、表示する中間色の色相が、前記映像信号に対応した映像を前記初期状態より画素の座標系を特定の方向に一画素ずらして表示した場合に対応する色に近づくことを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記遷移状態において発色する中間色を生成する中間画素生成部と、
前記画素の座標系を管理する座標計算部と、
前記第一の期間と、第二の期間を計測する期間計測部と、
を備える
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記映像信号をドットバイドットで表示する際にのみ、
前記三状態を繰り返して実現するように表示パネルを制御することを特徴とする、
請求項1に記載のディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−133282(P2012−133282A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287296(P2010−287296)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】