説明

ディスペンサーの接着剤漏れ防止機構

【課題】 ディスペンサーの使用寿命を延長するディスペンサーの接着剤漏れ防止機構を提供する。
【解決手段】 ディスペンサーの上ベースと下ベースの間に設けられる接着剤漏れ防止機構であって、
伝動部材と、該伝動部材と連結される貫通孔を有するボールバルブと、該ディスペンサーの接着部の下部に設けられると共に、夫々該ボールバルブの表面を挟持する上プレートと下プレートとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にボールバルブを回転させて接着剤の吐出又は漏れ防止の制御を行うことにより、ディスペンサーの使用寿命を延長するディスペンサーの接着剤漏れ防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、従来のディスペンサー(80)は、内部にゲル状の接着剤を収容する注入筒(81)を有し、該注入筒(81)の内部に接着剤を下方へ移動させるためのピストン(83)が設けられると共に、下部にベース(82)が設けられ、該ベース(82)の内部に円柱状のバルブ(84)が設けられ、該バルブ(84)の内部にT字形の流路(85)が形成され、更に、該ベース(82)の底部に接着ヘッド(86)が設けられると共に、一側に連結パイプ(87)が設けられる。
前記ディスペンサー(80)では、接着作業を行う時、円柱状のバルブ(84)を回転させ、T字形の流路(85)が上下に連通する状態でピストン(83)によって接着剤を流路(85)と接着ヘッド(86)を介して押し出し、一方、接着作業を中止する時は、円柱状バルブ(84)を回転させ、T字形の流路(85)が上下に連通しない状態として接着剤を流路(85)と接着ヘッド(86)から漏れないようにする。又、この漏れ防止状態においては、流路(85)と連結パイプ(87)とは通状態にあるので、外部から連結パイプ(87)と流路(85)を介して注入筒(81)に接着剤を補充することができる。尚、前記ディスペンサーは現在よく使用されるものであるため、特に特許文献又は非特許文献に記載されていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記接着剤の吐出又は漏れ防止の制御を行う円柱状のバルブ(84)は毎日数千回又は数万回の回転すると、その外側とベース(82)との間に隙間が発生してしまい、接着剤がこの隙間に進入すると、バルブ(84)が回転しなくなり、ディスペンサー(80)の使用寿命を縮めてしまうという問題があった。
そこで、出願されたのが本発明であって、ディスペンサーの使用寿命を延長するディスペンサーの接着剤漏れ防止機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の請求項1の発明は、ディスペンサーの上ベースと下ベースの間に設けられる接着剤漏れ防止機構であって、
伝動部材と、該伝動部材と連結される貫通孔を有するボールバルブと、該ディスペンサーの接着部の下部に設けられると共に、夫々該ボールバルブの表面を挟持する上プレートと下プレートとを備えることを特徴とするディスペンサーの接着剤漏れ防止機構、を提供する。
本願の請求項2の発明は、前記伝動部材は、該上ベースに設けられるシリンダーと、該シリンダーの中心ロッドの前端に設けられる連結座と、枢軸によって該連結座に枢設されると共に、位置決め孔を有する連結ブロックと、一端に溝を有するヘッド部が設けられると共に、前記連結ブロックの位置決め孔に位置決めされる第1回転部材と、一端に該第1回転部材の溝に挿入するための平面部が形成されると共に、他端にボールバルブと連結するための頚部が設けられる第2回転部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサーの接着剤漏れ防止機構、を提供する。
本願の請求項3の発明は、前記上プレートと下プレートがテフロン(登録商標)素材からなり、前記ディスペンサーの接着部下端に第2回転部材を収容するための収容空間が形成されると共に、底部プレートが設けられ、該底部プレートに接着ヘッドが設けられ、該収容空間に上プレートと下プレートが収容され、該上プレートと下プレートの表面にボールバルブを挟持するための湾曲面が形成され、該上プレートに突出部が設けられ、該突出部の外側にOリングが設けられることを特徴とする請求項2に記載のディスペンサーの接着剤漏れ防止機構、を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するものであり、伝動部材によってテフロン(登録商標)素材からなる上プレートと下プレートとの間に設けられるボールバルブを回転させるので、優れた耐摩効果を有し、又、上プレートの突出部にOリングが設けられることにより、ボールバルブに摩損があった時、該Oリングが接着剤を摩損によって発生する隙間に進入することを防止するので、ディスペンサーの使用寿命を延長することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るディスペンサーの斜視図であり、図2は本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の一部断面図であり、図3は本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の分解斜視図であり、図4は本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の斜視図であり、図5は本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構をディスペンサーの下部に設ける状態を示す断面図である。
図1ないし図3に示すように、本発明に係る接着剤漏れ防止機構が用いられるディスペンサーは、一体に設けられる上ベース(10)と下ベース(20)を有し、該上バース(10)の上部に接着剤筒フレーム(11)とモータ(13)が設けられると共に、下部に接着剤ヘッドフレーム(12)が設けられ、該モータ(13)の軸に連結部材(14)が設けられ、上ベース(10)と下ベース(20)との間に断熱プレート(15)が設けられると共に、一側に一体になる接着剤筒(40)と連結パイプ(41)と接着部(30)が設けられ、該接着剤筒(40)が前記接着剤筒フレーム(11)に固定され、該下ベース(20)前側の収容空間の底部に凸縁(21)が設けられ、該接着部(30)が下ベース(20)の収容空間に設置されると共に、下端が凸縁(21)に位置され、又、下ベース(20)の前側に該接着部を位置決めるためのストッパー(24)が設けられ、又、接着部(30)の上部に前記モータ(13)の連結部材(14)と連結する連結部材(35)が設けられる。
図2に示すように、前記接着部(30)において、縦方向の主流路(31)と斜方向の連結流路(32)が形成され、該連結流路(32)が連結パイプ(41)の流路(42)と連通され、前記主流路(31)にねじロッド(33)が設けられ、該ねじロッド(33)の上端に連結部材(35)が連結されることにより、接着剤筒(40)に収容されるゲル状の接着剤が連結パイプ(41)の流路(42)から連結流路(32)を介して主流路(31)に進入されることができ、モータ(13)を起動する際、連結部材(14)(35)がねじロッド(33)を連動することにより、接着剤を主流路(31)の下方へ移送することができる。
又、図2及び図3に示すように、本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構は、前記ディスペンサーにおける上ベース(10)と下ベース(20)との間に設けられ、伝動部材とボールバルブ(73)を備え、該ボールバルブ(73)において貫通孔(74)が形成され、ディスペンサーの接着部(30)の下端とボールバルブ(73)の表面に夫々上プレート(37)と下プレート(38)が設けられる。
前記伝動部材は、上ベース(10)に設けられるシリンダー(50)と、該シリンダー(50)の中心ロッド(51)に設けられる連結座(53)と、枢軸(54)によって該連結座(53)に枢設されると共に、位置決め孔(553)を有する連結ブロック(55)と、一端に溝(62)を有するヘッド部(61)が設けられると共に、連結ブロック(55)の位置決め孔(553)に位置決められる第1回転部材(60)と、一端に前記第1回転部材(60)の溝(62)に挿入される平面部(71)が形成されると共に、他端にボールバルブ(73)を連結するための頚部(72)が設けられる第2回転部材(70)と、を備える。
前記シリンダー(50)の中心ロッド(51)にねじ山が形成され、連結座(53)にねじ孔(531)が形成され、該中心ロッド(51)に位置決めナット(52)が設けられ、該ねじ孔(531)に中心ロッド(51)を螺設することにより、連結座(53)が中心ロッド(51)に設けられる。
前記連結ブロック(55)は枢軸(54)によって連結座(53)に枢設され、該連結座(53)の両側に貫通孔(533)を有する側板(532)が設けられ、連結ブロック(55)の一端に貫通孔(552)を有する突出ブロック(551)が設けられ、該突出ブロック(551)を側板(532)との間に挿入すると共に、貫通孔(533)(552)に枢軸(54)を貫通することにより、連結ブロック(55)が連結座(53)に枢設される。
前記連結ブロック(55)に位置決め孔(553)が形成され、該位置決め孔(553)の一側に一端が位置決め孔(553)に貫通するカットアウト(554)が形成され、該連結ブロック(55)の表面にカットアウト(554)を貫通するねじ孔(555)が形成され、第1回転部材(60)を連結ブロック(55)の位置決め孔(553)に挿入する際、ボルト(56)がねじ孔(555)に螺合されることにより、第1回転部材(60)を位置決め孔(553)に固設する。
図2に示すように、前記下ベース(20)にカバー(22)が設けられ、該カバー(22)の間に溝(23)が形成されると共に、内部にベアリング(57)が設けられ、前記連結ブロック(55)を溝(23)に設置することにより、第1回転部材(60)をベアリング(57)に挿入すると共に、位置決め孔(553)に設置することができる。
図4に示すように、前記シリンダー(50)を往復移動する場合、中心ロッド(51)が連結座(53)を連動すると共に、連結ブロック(55)を回転することにより、第1回転部材(60)と第2回転部材(70)を快速的に正逆方向に回転することができる。
又、図2及び図5に示すように、前記接着部(30)の下端に第2回転部材(70)を収容するための収容空間が形成されると共に、底部プレート(36)が設けられ、該底部プレート(36)に接着ヘッド(39)が設けられ、該収容空間に上プレート(37)と下プレート(38)が収容され、該上プレート(37)と下プレート(38)の表面にボールバルブ(73)を挟持するための湾曲面が形成され、該上プレート(37)に突出部(372)が設けられ、該突出部(372)の外側にOリング(373)が設けられ、又、上プレート(37)と下プレート(38)にボールバルブ(73)の貫通孔(74)に対応する貫通孔(371)(381)が形成される。
前記ディスペンサーは、接着作業を行う場合、接着部(30)の主流路(31)に入ったゲル状の接着剤がねじロッド(33)の回転によって上プレート(37)の貫通孔(371)とボールバルブ(73)の貫通孔(74)と下プレート(38)の貫通孔(381)を介して接着ヘッド(39)から流出されることができる。又、接着作業を中止する場合、伝動部材においてシリンダー(50)の中心ロッド(51)の往復移動によって第1回転部材(60)と第2回転部材(70)を正逆方向に回転し、ボールバルブ(73)の貫通孔(74)と上プレート(37)の貫通孔(371)、下プレート(38)の貫通孔(381)をずれる際、接着作業を中止することができる。従って、本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構は、接着作業及び中止作業を快速に行うことができる。又、前記上プレート(37)と下プレート(38)がテフロン(登録商標)素材からなるので、優れた耐摩損効果を有する。又、上プレート(37)の突出部(372)にOリング(373)が設けられるので、ボールバルブ(73)に摩損をあった時、該Oリング(373)が接着剤を摩損によって発生する隙間に進入することを防止できる。
又、前記実施形態では、更にボールバルブ(73)の回転を減速するための減速機構を含む実施形態、又はボールバルブ(73)の回転を駆動する電磁バルブや連動組を含む実施形態を有する。
【産業上の利用可能性】
【0007】
本発明は前記の構成を有し、伝動部材によってテフロン(登録商標)素材からなる上プレートと下プレートとの間に設けられるボールバルブを回転させるので、優れた耐摩効果を有し、又、上プレートの突出部にOリングが設けられることにより、ボールバルブに摩損があった時、該Oリングが接着剤を摩損によって発生する隙間に進入することを防止するので、ディスペンサーの使用寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るディスペンサーの斜視図である。
【図2】本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の一部断面図である。
【図3】本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の分解斜視図である。
【図4】本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構の斜視図である。
【図5】本発明に係るディスペンサーの接着剤漏れ防止機構をディスペンサーの下部に設ける状態を示す断面図である。
【図6】従来のディスペンサーの操作状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0009】
10 上ベース
11 接着剤筒フレーム
12 接着剤ヘッドフレーム
13 モータ
14 連結部材
15 断熱プレート
20 下ベース
21 凸縁
22 カバー
23 溝
24 ストッパー
30 接着部
31 主流路
32 連結流路
33 ねじロッド
34 上カバー
35 連結部材
36 底部プレート
37 上プレート
371 貫通孔
372 突出部
373 Oリング
38 下プレート
381 貫通孔
39 接着ヘッド
40 接着剤筒
41 連結パイプ
42 流路
50 シリンダー
51 中心ロッド
52 位置決めナット
53 連結座
531 ねじ孔
532 側板
533 貫通孔
534 収容溝
54 枢軸
55 連結ブロック
551 突出ブロック
552 貫通孔
553 位置決め孔
554 カットアウト
555 ねじ孔
56 ボルト
57 ベアリング
60 第1回転部材
61 ヘッド部
62 溝
70 第2回転部材
71 平面部
72 頚部
73 ボールバルブ
74 貫通孔
80 ディスペンサー
81 注入筒
82 ベース
83 ピストン
84 バルブ
85 流路
86 接着ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンサーの上ベースと下ベースの間に設けられる接着剤漏れ防止機構であって、
伝動部材と、該伝動部材と連結される貫通孔を有するボールバルブと、該ディスペンサーの接着部の下部に設けられると共に、夫々該ボールバルブの表面を挟持する上プレートと下プレートとを備えることを特徴とするディスペンサーの接着剤漏れ防止機構。
【請求項2】
前記伝動部材は、該上ベースに設けられるシリンダーと、該シリンダーの中心ロッドの前端に設けられる連結座と、枢軸によって該連結座に枢設されると共に、位置決め孔を有する連結ブロックと、一端に溝を有するヘッド部が設けられると共に、前記連結ブロックの位置決め孔に位置決めされる第1回転部材と、一端に該第1回転部材の溝に挿入するための平面部が形成されると共に、他端にボールバルブと連結するための頚部が設けられる第2回転部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサーの接着剤漏れ防止機構。
【請求項3】
前記上プレートと下プレートがテフロン(登録商標)素材からなり、前記ディスペンサーの接着部下端に第2回転部材を収容するための収容空間が形成されると共に、底部プレートが設けられ、該底部プレートに接着ヘッドが設けられ、該収容空間に上プレートと下プレートが収容され、該上プレートと下プレートの表面にボールバルブを挟持するための湾曲面が形成され、該上プレートに突出部が設けられ、該突出部の外側にOリングが設けられることを特徴とする請求項2に記載のディスペンサーの接着剤漏れ防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−341244(P2006−341244A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277966(P2005−277966)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(505360557)▲紘▼騰科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】