説明

ディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム

【課題】ディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、フィルタの前後差圧の検出に構造が簡単で耐久性の高いセンサを用い、かつフィルタの前後差圧を正確に測定する。
【解決手段】ディーゼルエンジン2の起動処理を行う都度、ディーゼルエンジン2を起動する前に、第1及び第2圧力センサ21,22のそれぞれの検出値P1,P2と予め定めた基準値Prefとの差を第1及び第2補正値ΔP1,ΔP2として演算して記憶し、第1及び第2圧力センサ21,22の検出値と第1及び第2補正値ΔP1,ΔP2とを用いてDPF4の前後差圧P12を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に搭載されるディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムに係わり、特に、フィルタの前後差圧を演算し、その前後差圧を用いてフィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理の要否を判断するディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガスに関する規制は年々強化されてきており、このような規制の強化に対応して、排気ガスフィルタや、そのフィルタに用いる触媒の技術も急速に進歩している。例えば、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter:以下、単にPMと記載する)を低減する技術として、粒子状物質除去フィルタ(Diesel Particulate Filter:以下、単にDPFと記載する)が開発されている。
【0003】
DPFは、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるPMを捕集することにより、大気中に排出されるPMの量を低減するものである。DPFは、捕集し、堆積したPMを燃焼除去することで捕集能力を回復する(DPFの再生)。通常、DPFに堆積したPMは、ある一定以上の高温の排気ガスにさらされる事により燃焼除去される(自然再生)が、ディーゼルエンジンに対する負荷が軽い場合は、排気ガスの温度はPMの燃焼に必要な高温に達しないのでDPFは自然再生されず、この状態を放置するとPMが過度に堆積してDPFの目詰まりが発生する。
【0004】
このような事態を防ぐために、例えば、一定時間毎に排気ガスの温度を強制的に上昇させて捕集されているPMを燃焼除去したり、DPFの前後差圧から目詰まり量を算出し、目詰まりが所定の量を超えた場合にPMを強制的に燃焼除去したりすることが必要である。
【0005】
DPFの前後差圧を検出するものとして、例えば、特許文献1には、1つの差圧センサに圧力導入管を介して、DPFの上流側及び下流側のそれぞれの圧力を入力し、DPFの前後差圧を検出する技術が記載されている。また、特許文献2には、DPFの上流側及び下流側のそれぞれに設けた圧力センサにより圧力を検出し、その差をとることによりDPFの前後差圧を検出する技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−344619号公報
【特許文献2】特開7−317529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PMの堆積状況に対して、DPFの再生時期が遅すぎる場合は、堆積したPMが急速燃焼することによりDPFが溶損する可能性があり、また、再生時期が早すぎる場合は、燃費が悪化するので、PMの堆積量の演算に用いるDPFの前後差圧の検出には正確性が求められる。DPFの前後差圧検出において、特許文献1記載のように差圧センサを用いる場合は、センサの構造が複雑であるため、通常の圧力センサと比較して高価であり、耐久性も相対的に低い。また、特許文献2記載の技術のように2つの圧力センサを用いる場合は、それぞれのセンサのばらつきにより、公差範囲内においてセンサの検出値に誤差があり、正確な差圧を測定することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、フィルタの前後差圧の検出に構造が簡単で耐久性の高いセンサを用い、かつフィルタの前後差圧を正確に測定することができるディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、ディーゼルエンジンの排気系に配置され、排気ガスの中に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタと、このフィルタの上流側及び下流側にそれぞれ配置された第1及び第2圧力センサと、この第1及び第2圧力センサの検出値に基づいて前記フィルタの前後差圧を演算する差圧演算手段とを有し、前記差圧演算手段により演算した前記フィルタの前後差圧を用いて前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理の要否を判断するディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、前記ディーゼルエンジンのキースイッチのON操作により前記ディーゼルエンジンの起動処理を行う都度、前記ディーゼルエンジンを起動する前に、前記第1及び第2圧力センサのそれぞれの検出値と予め定めた基準値との差を第1及び第2補正値として演算する補正値演算手段と、前記補正値演算手段により演算した第1及び第2補正値を記憶する補正値記憶手段とを備え、前記差圧演算手段は、前記第1及び第2圧力センサの検出値と前記補正値記憶手段に記憶した第1及び第2補正値とを用いて前記フィルタの前後差圧を演算するものとする。
【0010】
このように補正値演算手段と補正値記憶手段を設け、ディーゼルエンジンの起動処理を行う都度、第1及び第2圧力センサのそれぞれの検出値と予め定めた基準値との差を第1及び第2補正値として演算し、その値を記憶し、差圧演算手段が第1及び第2圧力センサの検出値とその第1及び第2補正値とを用いてフィルタの前後差圧を演算することにより、第1及び第2圧力センサのばらつきによるセンサの検出値の誤差が補正されるため、2つの圧力センサ(第1及び第2圧力センサ)を用いた場合でも、フィルタの前後差圧を正確に測定することができる。また、第1及び第2圧力センサは通常の圧力センサでよいため、差圧センサを用いる場合に比べて構造が簡単になり、かつ耐久性も向上することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記フィルタの上流側に設置された第1温度センサと、前記フィルタの下流側に設置された第2温度センサとを備え、前記補正値演算手段は、前記第1及び第2温度センサの検出値の差が規定値の範囲内の場合のみ前記補正値を計算して前記記憶手段に記憶するものとする。
【0012】
圧力センサは温度依存性があり、温度が変化すると被測定圧力が同じでも、圧力センサの検出値(出力値)が変化するので、この検出値に基づいて求める補正値も変化する。
【0013】
本発明においては、フィルタの上流側及び下流側に設けた圧力センサ間において、同等の温度条件で圧力を検出して補正値を計算することができるので、フィルタの前後差圧をより正確に測定することができる。
【0014】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記フィルタの上流側に設置された第1温度センサと、前記フィルタの下流側に配置された第2温度センサとを備え、前記補正値演算手段は、前記第1及び第2温度センサの検出値がそれぞれ規定値の範囲内の場合のみ前記補正値を計算して前記記憶手段に記憶するものとする。
【0015】
これにより、フィルタの上流側及び下流側に設けられた圧力センサのそれぞれにおいて、予め定めた温度条件で圧力を検出して補正値を計算することができるので、フィルタの前後差圧を正確に測定することができる。
【0016】
(4)更に、上記(1)において、好ましくは、前記差圧演算手段により演算された前記フィルタの前後差圧が所定の値よりも大きい場合に、前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理の開始を促す表示を行う表示手段と、再生制御スイッチを有し、この再生制御スイッチが操作されると前記フィルタの再生処理を開始する手動再生手段とを備えるものとする。
【0017】
これにより、オペレータがフィルタの粒子状物質の堆積状況を知り、その情報に基づいて、フィルタの再生処理を行うことができる。
【0018】
(5)また、上記(1)において、好ましくは、前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理を定期的に行う自動再生手段を備え、前記補正値演算手段は、前記第1及び第2圧力センサの少なくとも一方が故障した場合には、前記第1及び第2補正値の演算を行わないと共に、前記自動再生手段は、再生処理を実行する間隔を短くするものとする。
【0019】
これにより、圧力センサの故障でフィルタの上流側及び下流側の圧力が検出できない場合においても、間隔を短くして自動でフィルタの再生処理を行うので、フィルタの目詰まりを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルタの前後差圧の検出に構造が簡単で耐久性の高いセンサを用い、かつフィルタの前後差圧を正確に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる作業車両の排気ガス浄化システムをエンジン制御システムと共に示す図である。
【0023】
図1において、2はディーゼルエンジンであり、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと記載する)2は、エンジン2の回転数を制御する電子ガバナ2aと、エンジン2からの排気ガスを外部に排出する排気管3とを備えている。
【0024】
100はエンジン制御システムであり、エンジン制御システム100は、エンジン2の始動を指示するキーSW20と、エンジン2の目標回転数を指示するエンジンコントロールダイヤル26と、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転センサ25と、キーSW20、エンジンコントロールダイヤル26及びエンジン回転センサ25からの信号を基に所定の演算処理を行い、電子ガバナ2aに制御信号を出力するエンジン制御装置8とを備えている。エンジン制御装置8は、車体ネットワーク12を介して、作業車両全体の動作を制御する車体制御装置11と接続され、各種情報のやり取りを行う。
【0025】
また、エンジン制御システム100には、本実施の形態に係わる排気ガス浄化システム1が設けられている。この排気ガス浄化システム1は、排気管3の途中に備えられ、エンジン2からの排気ガスに含まれるPM(Particulate Matter:以下、単にPMと記載する)を捕集するフィルタ4bとその上流側に位置する酸化触媒4aとを有するDPF(Diesel Particulate Filter:以下、単にDPFと記載する)4と、DPF4の上流側及び下流側の排気管3の内部の温度を検出する第1及び第2温度センサ23,24と、DPF4の上流側及び下流側の排気管3の内部の圧力を検出する第1及び第2圧力センサ21,22と、DPF4の再生制御(後述)を指示するDPF再生SW27とを備えており、これらセンサ類及びスイッチからの信号はエンジン制御装置8に入力される。エンジン制御装置8は、それらの信号を基に排気ガス浄化システム1としての所定の演算処理を行う。排気ガス浄化システム1は、また、表示部10と、この表示部10を制御するモニタ制御装置9とを有し、モニタ制御装置9は車体ネットワーク12に接続されており、エンジン制御装置8の処理結果に基づいた各種情報(後述)が車体ネットワーク12を介してモニタ制御装置9に送られて、表示部10に表示される。排気ガス浄化システム1は、さらに、エンジン制御装置8の処理結果に基づいてDPFの上流側に未燃燃料を噴射する再生燃料噴射装置7を備えている。キーSW20、エンジンコントロールダイヤル26、DPF再生SW27及び表示部10は、作業車両の運転室(図示せず)内に配置されており、オペレータが容易に操作できるようになっている。
【0026】
図2は、エンジン制御装置8の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【0027】
エンジン制御装置8は、キーSW判定部30、第1圧力センサ出力値演算部31、第2圧力センサ出力値演算部32、第1温度センサ出力値演算部33、第2温度センサ出力値演算部34、エンジン回転演算部35、エンジン目標回転演算部36、DPF再生SW判定部37、温度差演算部40、センサエラー判定部41、補正値記憶部42、エンジン制御部50、通信部43の各種機能を有している。
【0028】
キーSW判定部30及びDPF再生SW判定部37は、それぞれキーSW20及びDPF再生SW27からの各スイッチ信号を入力し、その判定結果をそれぞれエンジン制御部50に入力する。
【0029】
第1圧力演算部31及び第2圧力演算部32は、それぞれ第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22からの各信号を入力し、その演算結果をそれぞれ第1圧力及び第2圧力としてエンジン制御部50に入力する。
【0030】
第1温度演算部33及び第2温度演算部34は、それぞれ第1温度センサ23及び第2温度センサ24からの各信号を入力し、その演算結果をそれぞれ第1温度及び第2温度として温度差演算部40及びエンジン制御部50に入力する。
【0031】
エンジン回転演算部35は、エンジン回転センサ25からの信号を入力し、その演算結果(エンジン回転数)をエンジン制御部50に入力する。
【0032】
エンジン目標回転演算部36は、エンジンコントロールダイヤル26からの電圧信号を入力し、その演算結果(エンジン目標回転数)をエンジン制御部50に入力する。
【0033】
また、センサエラー判定部41は、第1圧力演算部31、第2圧力演算部32、第1温度演算部33、第2温度演算部34及びエンジン回転演算部35からの各種信号を入力し、これらの信号に基づいてセンサ21〜25のエラー判定を行い、その判定結果をエンジン制御部50に入力する。
【0034】
補正値記憶部42は、エンジン制御部50で演算された第1及び第2圧力センサ21,22の補正値(後述)を記憶する。
【0035】
通信部43は、車体ネットワーク12を介してモニタ制御装置9及び車体制御装置11と接続されており、エンジン制御部50からの情報をモニタ制御部9及び車体制御装置11に送信したり、モニタ制御部9及び車体制御装置11からの情報を受信してエンジン制御部50に入力したりする。
【0036】
図3は、エンジン制御部50の処理機能の概要を示す図である。エンジン制御部50は、圧力センサ補正制御部50a、DPF監視制御部50b、エンジン回転制御部50c、DPF手動再生制御部50d、DPF自動再生制御部50eの各種機能を有している。
【0037】
圧力センサ補正制御部50aは、キーSW判定部30の判定結果、第1圧力演算部31、第2圧力演算部32、第1温度演算部33、第2温度演算部34、温度差演算部40の演算結果、及びセンサエラー判定部41の判定結果を入力し、所定の演算処理を行い、補正値記憶部42、通信部43、エンジン回転制御部50c及びDPF自動再生制御部50eに制御信号を出力する。DPF監視制御部50bは、第1圧力演算部31と第2圧力演算部32の演算結果、及び補正値記憶部42に記憶した補正値を入力し、所定の演算処理を行い、通信部43及びDPF手動再生制御部50dに制御信号を出力する。エンジン回転制御部50cは、キーSW判定部30の判定結果、エンジン回転演算部35とエンジン目標回転演算部36の演算結果、及び圧力センサ補正制御部50aとDPF手動再生制御部50dからの制御信号を入力し、電子ガバナ2aに制御信号を出力する。DPF手動再生制御部50dは、DPF監視制御部50bからの制御信号、及びDPF再生SW判定部37の判定結果を入力し、所定の演算処理を行い、エンジン回転制御部50c及び再生燃料噴射装置7に制御信号を出力しDPF4の再生制御を行う(後述)。DPF自動再生制御部50eは、圧力センサ補正制御部50aからの制御信号を入力し、この制御信号に応じてエンジン回転制御部50c及び再生燃料噴射装置7に制御信号を出力し、DPF手動再生制御部50eと同様にDPF4の再生制御を行う。
【0038】
図3に示した圧力センサ補正制御部50a、DPF監視制御部50b、DPF手動再生制御部50d,DPF自動再生制御部50eの演算処理の詳細を図4〜図7のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図4は、圧力センサ補正制御部50aの演算処理の詳細を示すフローチャートである。圧力センサ補正制御部50aは、キーSW20がOFFからONに切り換えられると、エンジン2の起動処理として図4に示す演算処理を行う。まず、センサエラー判定部41の判定結果からセンサ類が正常かどうかを判定し(ステップS100)、判定結果がYESであれば、エンジン回転演算部35の演算結果からエンジン2が停止中であるかどうかと、温度差演算部40の演算結果からDPF4の前後温度差が一定範囲内(例えば、0〜3℃)にあるかどうかと、第1及び第2温度演算部33,34の演算結果からDPF4の上流側及び下流側の温度の両方が補正可能範囲内(例えば、10〜30℃)にあるかどうかを判定し(ステップS102,S104,S106)、全ての判定結果がYESであれば、第1及び第2圧力センサ21,22の検出値を補正する補正値ΔP1,ΔP2を算出する(ステップS108,S110)。この補正値ΔP1,ΔP2は、第1及び第2圧力センサ21,22の検出値P1,P2と第1及び第2圧力センサ21,22の基準出力値Prefとの差であり、
補正値ΔP1=検出値P1−基準出力値Pref
補正値ΔP2=検出値P2−基準出力値Pref
の計算により算出する。第1及び第2圧力センサ21,22の基準出力値Prefは、排気管3内の圧力が周囲大気圧と同圧であるときの第1及び第2圧力センサ21,22の出力値の設計値である。すなわち、第1及び第2圧力センサ21,22は、測定回路の一部を構成する歪ゲージを貼着したダイヤフラムの片側に圧力導入室を設けて被測定圧力を導入し、反対側を大気圧に開放することで、大気圧に対する被測定圧の相対圧を検出するものであり、ステップS108,S110では、ダイヤフラムの片側に導入される被測定圧力が大気圧と等しい場合の圧力を相対圧P1,P2として検出し、その値とその設計値(通常0)との差を補正値ΔP1,ΔP2として算出するものである。
【0040】
次に、その2つの補正値ΔP1,ΔP2が予め定めた補正可能範囲内であるかどうかを判定し(ステップS112)、判定結果がYESであれば、その2つの補正値ΔP1,ΔP2を補正値記憶部42に記憶し(ステップS114)、その後、通常エンジン制御を行う(ステップS120)。補正値ΔP1,ΔP2が補正可能範囲であるかどうかとは、それらの値が設計値に対して公差(設計上の許容誤差)の範囲内かどうかということを意味する。また、ステップS102,S104,S106,S112のうちの少なくとも1つのステップにおける判定結果がNOであれば、補正範囲外警告処理を行い(ステップS118)、その後、通常エンジン制御を行う(ステップS120)。また、ステップS100での判定結果がNOであれば、センサ異常警告処理と補正範囲外警告処理を行い(ステップS116,S118)、その後、通常エンジン制御を行う(ステップS120)。
【0041】
ステップS116で示したセンサ異常警告処理では、制御信号としてセンサ異常警告信号をDPF自動再生制御部50eに出力すると共に、通信部43及び車体ネットワーク12を介してモニタ制御装置9にセンサ異常警告信号を送信し、モニタ制御装置9はその信号に基づき表示部10にセンサ異常警告を表示する。また、ステップS118で示した補正範囲外警告処理では、通信部43及び車体ネットワークを介してモニタ制御装置9に補正範囲外警告信号を送信し、モニタ制御装置9はその信号に基づき表示部10に補正範囲外警告を表示する。
【0042】
図5は、DPF監視制御部50bの演算処理の詳細を示すフローチャートである。DPF監視制御部50bは、まず、第1及び第2圧力センサ21,22の検出値P1,P2を入力し(ステップS200)、この検出値P1,P2と補正値記憶部42から読み出した補正値ΔP1,ΔP2を用いて下記の演算を行い、補正圧力P11,P22を演算する(ステップS202)。
【0043】
補正圧力P11=P1−ΔP1
補正圧力P22=P2−ΔP2
続いて、補正圧力P11から補正圧力P22を差し引いて差圧(DPF4の前後差圧)P12を計算する(ステップS204)。次に、差圧P12が予め定めた第1基準差圧Pcよりも大きいかどうかを判定し(ステップS206)、判定結果がYESであれば、オペレータに手動再生制御の開始を促すDPF手動再生警告を表示部10に表示し(ステップS208)、差圧P12をDPF手動再生制御部に出力し(ステップS210)、処理を終了する。また、判定結果がNOであれば、差圧P12をDPF手動再生制御部に出力し(ステップS210)、処理を終了する。DPF監視制御部50bは、図5に示した演算処理を定期的(例えば0.1秒毎)に行っている。
【0044】
図6は、DPF手動再生制御部50dの演算処理の詳細を示すフローチャートである。DPF手動再生制御部50dは、まず、DPF再生SW27がONされたかどうかを判定し(ステップS300)、判定結果がNOであればその処理を繰り返し、判定結果がYESであれば、図5のステップS210にて出力されたDPF監視制御部50bからのDPF4の前後差圧P12が第1基準差圧Pcよりも大きいかどうかを判定する(ステップS302)。判定結果がYESであれば、DPF再生制御を行い(ステップS304)、更に、差圧P12が第2基準差圧Pc2よりも大きいかどうかを判定し(ステップS306)、判定結果がYESであれば、再度ステップS304,S306の処理を行い、ステップS306の判定結果がNOになれば、DPF再生制御を終了し、通常エンジン制御を行う(ステップS308)。また、ステップS302において、判定結果がNOであれば、同様にDPF再生制御を終了し、通常エンジン制御を行う(ステップS308)。DPF再生制御は、排気ガスの温度を強制的に上昇させフィルタ4bに捕集されているPMを燃焼除去する制御である。例えば、エンジン2の回転数を所定の回転数(例えば1800rpm)に維持し、排気ガスの温度を上昇させ、この状態で再生燃料噴射装置7により排気管3内に未燃燃料を噴射し、この燃料をDPF4内の酸化触媒4aより燃焼させ、この燃焼熱によりフィルタ4bに捕集されたPMを燃焼除去する。
【0045】
図7は、DPF自動再生制御部50eの演算処理の詳細を示すフローチャートである。DPF自動再生制御部50eは、まず、圧力センサ補正制御部50aからセンサ異常警告信号が出力されているかどうかを判定し(ステップS400)、判定結果がNOであれば基準時間Ta=Ta1を設定し(ステップS402)、判定結果がYESであれば基準時間Ta=Ta2を設定する(ステップS404)。次に、前回DPF再生制御を行ってからの時間T1が基準時間Taを経過したかどうかを判定し(ステップS406)、判定結果がNOであれば、ステップS406の判定処理を再度行う。ステップS406において、判定結果がYESでれば、DPF再生制御を開始し(ステップS408)、続いてDPF再生制御を開始してからの時間T2が予め設定した時間Tbを経過したかどうかを判定し(ステップS410)、判定結果がNOであれば、DPF再生制御を続行して、再度ステップS410の判定を行い(ステップ408,S410)、ステップS410の判定結果がYESであれば、DPF再生制御を終了し、通常エンジン制御を行う(ステップS412)。
【0046】
以上において、エンジン制御部50の圧力センサ補正制御部50aは、エンジン2のキースイッチ20のON操作によりエンジン2の起動処理を行う都度、エンジン2を起動する前に、第1及び第2圧力センサ21,22のそれぞれの検出値と予め定めた基準値との差を第1及び第2補正値として演算する補正値演算手段を構成し、補正値記憶部42は、補正値演算手段(圧力センサ補正値制御部50a)により演算した第1及び第2補正値を記憶する補正値記憶手段を構成する。また、DPF監視制御部50bは、第1及び第2圧力センサの検出値に基づいてフィルタの前後差圧を演算する差圧演算手段を構成し、かつその差圧演算手段は、第1及び第2圧力センサの検出値と前記補正値記憶手段に記憶した第1及び第2補正値とを用いてフィルタの前後差圧を演算するものである。
【0047】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0048】
<エンジン起動時>
オペレータがキーSW20をOFFからONに切り換えると、キーSW判定部30がキーSW20のONを判定し、その判定結果がエンジン制御部50の圧力センサ補正制御部50aに入力される。圧力センサ補正制御部50aはその判定結果を受けて、エンジン2の起動処理をして図4に示した演算処理を行う。これにより、センサ類21,22,23,24,25が全て正常であり、エンジン2が停止中であり、DPF4の上流側及び下流側の排気ガス(排気管3内)の温度が予め定めた規定値の範囲内であり、DPF4の上流側と下流側の排気ガス(排気管3内)の温度差が予め定めた規定値の範囲内である場合は、第1及び第2圧力センサ21,22の補正値ΔP1,ΔP2が算出され(図4のステップS100→S102→S104→S106)、この補正値が予め定めた規定値の範囲内であると、その補正値が補正値記憶部42に記憶され(図4のステップS112,S114)、その後、通常のエンジンの2の起動制御が行われる(図4のステップS120)。また、センサ類21,22,23,24,25の何れか1つでも正常でない場合、DPF4の上流側及び下流側の排気ガス(排気管3内)の温度が予め定めた規定値の範囲内でない場合、DPF4の上流側と下流側の排気ガス(排気管3内)の温度差が予め定めた規定値の範囲内でない場合は、補正範囲外警告が表示部10に表示され、通常エンジン制御を行う(図4のステップS118,S120)。更に、センサ類21,22,23,24,25に異常がある場合は、センサ異常警告が表示部10に表示され、かつDPF4の自動再生制御処理部(図示せず)にセンサ異常警告の制御信号を出力して、その後、エンジン起動制御を行う(図4のステップS116,S118,S120)。
【0049】
このように、DPF4の上流側及び下流側に配置した圧力センサ21,22のそれぞれについて補正値ΔP1,ΔP2を算出し、この補正値を用いて圧力センサ21,22の検出値P1,P2を補正するので、より正確な検出値P11,P22を得ることができる。
【0050】
また、DPF4の上流側及び下流側の温度差が規定値の範囲内である場合にのみ圧力センサ21,22の補正値ΔP1,ΔP2を算出する。ここで、圧力センサ21,22は温度依存性があり、圧力センサ21,22の検出値P1,P2は温度によって変化し、この検出値を用いて算出する補正値ΔP1,ΔP2も温度の影響を受ける。したがって、DPF4の前後温度差が規定の範囲内である場合(同等の温度条件である場合)にのみ補正値ΔP1,ΔP2を算出することにより、より正確な検出値P11,P22を得ることができる。
【0051】
また、DPF4の上流側及び下流側に配置した圧力センサ21,22のそれぞれの温度が予め定めた温度条件である場合にのみ検出値P1,P2を検出し、補正値ΔP1,ΔP2を算出するので、より正確な検出値P11,P22を得ることができる。
【0052】
<通常作動時>
1.DPF監視制御
エンジン起動後の通常作動時はDPF監視制御部50bによりDPF4の前後差圧P12が演算され監視されている。ここで、DPF監視制御部50bは、エンジン起動時に演算した圧力センサ21,22の補正値ΔP1,ΔP2を補正値記憶部42から読み出し、この補正値ΔP1,ΔP2を用いて圧力センサ21,22の検出値P1,P2を補正して圧力P11,P22を算出し、この圧力P11,P22を用いてDPF4の前後差圧P12を算出する(図5のステップS200〜S204)。このように、補正値ΔP1,ΔP2を用いて検出値P1,P2を補正し、補正後の圧力P11,P22を用いてDPF4の前後差圧P12を算出するので、DPF4の前後差圧を正確に測定することができる。
【0053】
このようにして得られた前後差圧P12と予め定めた第1基準差圧Pcを比較し、前後差圧P12が第1基準差圧Pcよりも小さい場合は何もせず、前後差圧P12が第1基準差圧Pcよりも大きい場合は、DPF4のPM堆積量が規定値を超えたとして、表示部10に手動再生警告を表示し、オペレータに手動再生の開始を促す(図5のステップS206,S208)。このステップS200〜S210の処理は定期的(例えば0.1秒毎)に実行されている。
【0054】
2.DPF自動再生制御
エンジン起動後の通常動作時は、上述したDPF監視制御部50bによるDPF監視制御と平行して、DPF手動再生制御部50eによりDPF4の自動再生制御が行われている。
【0055】
自動再生制御部50eは、センサ異常警告の制御信号が入力されていない通常時は、PMの堆積量やその他の条件によらず、定期的(例えば3時間毎)にDPF4の再生制御を行う。センサ異常警告の制御信号が入力されている場合は、DPF4の再生制御を実行する間隔を短くし(例えば2時間毎)、この時間毎にDPF4の再生制御を行う。
【0056】
このように、DPF4のPMの堆積状態を正確に検出できない場合(センサ異常時)においても、PMが堆積し、目詰まりすることによるPM捕集能力の低下を抑えることができる。また、PMの堆積量に対してDPF4の再生処理が遅れるのを防止することができ、PMの急速燃焼によるDPF4の溶損を防止することができる。
【0057】
3.DPF手動再生制御
エンジン起動後において、DPF監視制御部50bにより表示部10に手動再生警告が表示された場合、オペレータはDPF再生SW27を押して手動再生制御部50dを制御することにより、DPF4の再生制御を行う。
【0058】
オペレータがDPF再生SW27を押すと、DPF4の再生制御が開始され、DPF4の前後差圧P12が予め定めた第2基準差圧Pc2よりも小さくなるまで、すなわち、DPF4に堆積したPMが除去されたと判断する基準差圧よりも小さくなるまでDPF再生制御を継続し、この条件を満たしたら、DPF再生制御を終了する(図6のステップS300〜S310)。
【0059】
表示部10に手動再生警告が表示されない場合にオペレータがDPF再生SW27を押すと、DPF再生制御は開始されない(図6のステップS302,S308)。
【0060】
このように、オペレータは手動再生警告によりDPF4の再生が必要であることを知ることができ、DPF4の手動再生を開始することができるので、PMが堆積し、目詰まりすることによるPM捕集能力の低下を抑えることができる。また、PMの堆積量に対してDPF4の再生処理が遅れるのを防止することができ、PMの急速燃焼によるDPF4の溶損を防止することができる。
【0061】
以上のように本実施の形態によれば、圧力センサ補正制御部50aにより演算し、補正値記憶部42に記憶した第1及び第2補正値を用いて、DPF4の上流側及び下流側のそれぞれに設けた圧力センサ21,22で検出した圧力P1,P2を補正し、その補正後の圧力P11、P22に基づいてDPF4の前後差圧P12を算出するので、2つの圧力センサ(第1及び第2圧力センサ)を用いた場合でも、DPF4の前後差圧を正確に測定することができる。また、第1及び第2圧力センサ21,22は通常の圧力センサでよいため、差圧センサを用いる場合に比べて構造が簡単になり、かつ耐久性も向上することができる。
【0062】
また、DPF4の上流側及び下流側に設けられた圧力センサ21,22の周囲の温度差が予め定めた規定値の範囲内の場合のみ第1及び第2補正値ΔP1,ΔP2を演算するので、圧力センサ21,22の周囲温度の違いによる補正値ΔP1,ΔP2の相対的な誤差を抑制することができ、DPF4の前後差圧をより正確に測定することができる。
【0063】
更に、DPF4の上流側及び下流側に設けられた圧力センサ21,22の周囲温度が、それぞれ予め定めた所望の範囲内の場合のみ第1及び第2補正値ΔP1,ΔP2を演算するので、補正値ΔP1,ΔP2の誤差を抑制することができ、DPF4の前後差圧をより正確に測定することができる。
【0064】
また、DPF監視制御部50bによりDPF4の前後差圧P12を測定し、その前後差圧P12が予め定めた所定の値よりも大きくなった場合、すなわち、PMの堆積によりDPF4の再生処理が必要となった場合には、表示部10の表示によりオペレータに再生処理の開始を促し、オペレータはそれを見てDPF4の手動再生を開始するので、PMの堆積状態に応じた適切なタイミングでDPF4の再生処理を行うことができる。これにより、無駄な再生処理を行うことが無くなるので燃費を抑えることができ、また、PMが過度に堆積した状態での再生処理によるDPF4の焼損を防止することができる。
【0065】
更に、DPF自動再生制御部50eは、DPF4の再生処理を定期的に行うと共に、第1及び第2圧力センサ21,22の少なくとも一方が故障した場合には、自動再生処理を行う間隔を短くするので、圧力センサ21,22の故障によりフィルタの上流側及び下流側の圧力が検出できない場合においても、フィルタの目詰まりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる作業車両の排気ガス浄化システムをエンジン制御システムと共に示す図である。
【図2】エンジン制御装置の処理機能の詳細を示す機能ブロック図である。
【図3】エンジン制御部の処理機能の概要を示す図である。
【図4】圧力センサ補正制御部の演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】DPF監視制御部の演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】DPF手動再生制御部の演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】DPF自動再生制御部の演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 エンジン制御システム
2 エンジン
2a 電子ガバナ
3 排気管
4 DPF
4a 酸化触媒
4b フィルタ
5a,5b 温度センサ
6a,6b 圧力センサ
7 再生燃料噴射装置
8 エンジン制御装置
9 モニタ制御装置
10 表示部
11 車体制御装置
12 車体ネットワーク
20 キーSW
21 第1圧力センサ
22 第2圧力センサ
23 第1温度センサ
24 第2温度センサ
25 エンジン回転センサ
26 エンジンコントロールダイヤル
27 DPS再生SW
30 キーSW判定部
31 第1圧力演算部
32 第2圧力演算部
33 第1温度演算部
34 第2温度演算部
35 エンジン回転演算部
36 エンジン目標回転演算部
37 DPF再生SW判定部
40 温度差演算部
41 センサエラー判定部
42 補正値記憶部
43 通信部
50 エンジン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンの排気系に配置され、排気ガスの中に含まれる粒子状物質を捕集するフィルタと、このフィルタの上流側及び下流側にそれぞれ配置された第1及び第2圧力センサと、この第1及び第2圧力センサの検出値に基づいて前記フィルタの前後差圧を演算する差圧演算手段とを有し、前記差圧演算手段により演算した前記フィルタの前後差圧を用いて前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理の要否を判断するディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、
前記ディーゼルエンジンのキースイッチのON操作により前記ディーゼルエンジンの起動処理を行う都度、前記ディーゼルエンジンを起動する前に、前記第1及び第2圧力センサのそれぞれの検出値と予め定めた基準値との差を第1及び第2補正値として演算する補正値演算手段と、
前記補正値演算手段により演算した第1及び第2補正値を記憶する補正値記憶手段とを備え、
前記差圧演算手段は、前記第1及び第2圧力センサの検出値と前記補正値記憶手段に記憶した第1及び第2補正値とを用いて前記フィルタの前後差圧を演算することを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム。
【請求項2】
請求項1記載のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、
前記フィルタの上流側に設置された第1温度センサと、
前記フィルタの下流側に設置された第2温度センサとを備え、
前記補正値演算手段は、前記第1及び第2温度センサの検出値の差が規定値の範囲内の場合のみ前記補正値を計算して前記記憶手段に記憶することを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム。
【請求項3】
請求項1記載のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、
前記フィルタの上流側に設置された第1温度センサと、
前記フィルタの下流側に配置された第2温度センサとを備え、
前記補正値演算手段は、前記第1及び第2温度センサの検出値がそれぞれ規定値の範囲内の場合のみ前記補正値を計算して前記記憶手段に記憶することを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム。
【請求項4】
請求項1記載のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、
前記差圧演算手段により演算された前記フィルタの前後差圧が所定の値よりも大きい場合に、前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理の開始を促す表示を行う表示手段と、
再生制御スイッチを有し、この再生制御スイッチが操作されると前記フィルタの再生処理を開始する手動再生手段とを備えることを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム。
【請求項5】
請求項1記載のディーゼルエンジンの排気ガス浄化システムにおいて、
前記フィルタに堆積した粒子状物質を焼却除去する再生処理を定期的に行う自動再生手段を備え、
前記補正値演算手段は、前記第1及び第2圧力センサの少なくとも一方が故障した場合には、前記第1及び第2補正値の演算を行わないと共に、
前記自動再生手段は、再生処理を実行する間隔を短くすることを特徴とするディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−91915(P2009−91915A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260998(P2007−260998)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】