ディーゼルエンジンの排気処理装置
【課題】DPFの再生効率を高めることができるディーゼルエンジンの排気処理装置を提供する。
【解決手段】可燃性ガス生成器1で可燃性ガス4を生成させ、この可燃性ガス4をDPF5の上流で可燃性ガス放出口6から排気通路7に放出し、この可燃性ガス4を排気8中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気8を昇温させ、排気8の熱でDPF5に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、可燃性ガス生成器1に可燃性ガス生成触媒室11を設け、この可燃性ガス生成触媒室11に可燃性ガス生成触媒13を収容し、可燃性ガス生成器1に空気3と液体燃料2とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒13で可燃性ガス4を生成させ、この可燃性ガス4をDPF5の上流に配置したDOC100に供給し、DOC100の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器1への空気3と液体燃料2の供給量を演算する。
【解決手段】可燃性ガス生成器1で可燃性ガス4を生成させ、この可燃性ガス4をDPF5の上流で可燃性ガス放出口6から排気通路7に放出し、この可燃性ガス4を排気8中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気8を昇温させ、排気8の熱でDPF5に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、可燃性ガス生成器1に可燃性ガス生成触媒室11を設け、この可燃性ガス生成触媒室11に可燃性ガス生成触媒13を収容し、可燃性ガス生成器1に空気3と液体燃料2とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒13で可燃性ガス4を生成させ、この可燃性ガス4をDPF5の上流に配置したDOC100に供給し、DOC100の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器1への空気3と液体燃料2の供給量を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関し、詳しくは、DPFの再生効率を高めることができるディーゼルエンジンの排気処理装置に関する。
この明細書及び特許請求の範囲の用語中、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタ、PMは排気中の粒子状物質、DOCはディーゼル酸化触媒を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンの排気処理装置として、可燃性ガス生成器で可燃性ガスを生成させ、この可燃性ガスをDPFの上流で可燃性ガス放出口から排気通路に放出し、この可燃性ガスを排気中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気を昇温させ、排気の熱でDPFに溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、可燃性ガス生成器に空気と液体燃料とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒で可燃性ガスを生成させ、この可燃性ガスをDPFの上流に配置したDOCに供給するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の排気処理装置によれば、排気の温度が低い場合にも、可燃性ガスをDOCで酸化燃焼させて、排気を昇温させ、DPFに溜まったPMを燃焼除去させることができる利点がある。
しかし、この従来技術では、DOCの下流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量を演算するようにしているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−256769号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 DPFの再生効率が低い。
この従来技術では、DOCの下流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量を演算するようにしているため、負荷変動や回転変動によるDOCの上流側排気温度の変化が、DOCの蓄熱作用によって緩和され、DOCの下流側排気温度は鈍い変化となり、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量の演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになっておらず、可燃性ガスの生成量に過不足が生じ、DPFの再生効率が低い。
【0005】
本発明の課題は、DPFの再生効率を高めることができるディーゼルエンジンの排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、
可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成器(1)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流に配置したDOC(100)に供給する、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度(例えば、DOCの入口排気温度)に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生効率を高めることができる。
図1に例示するように、DOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにしたので、負荷変動や回転変動によるDOC(100)の上流側排気温度の変化が、DOC(100)の蓄熱作用の影響を受ける前に、そのまま可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算に反映され、その演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになっていることから、可燃性ガス(4)の生成量が適正になり、DPF(5)の再生効率を高めることができる。
【0008】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 この排気処理装置を機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジン等にも用いることができる。
DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、この演算に当たり、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量の検出を不要にしたので、この排気処理装置を機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンやエアフローセンサを備えていないディーゼルエンジンにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置の模式図である。
【図2】図1に示す装置の可燃性ガス発生器を備えた排気管の縦断面図である。
【図3】図2に示す可燃性ガス発生器の組み付け構造を説明する図で、図3(A)は図2のIIIA矢視部分の拡大図、図3(B)は第1変形例の図3(A)相当図である。
【図4】可燃性ガス発生器の組み付け構造の他の変形例を説明する図で、図4(A)は第2変形例の図3(A)相当図、図4(B)は第3変形例の図3(A)相当図である。
【図5】図2に示す可燃性ガス発生器の空燃混合室への液体燃料等の供給構造を説明する図で、図5(A)は図2のVA−VA線断面図、図5(B)は図5(A)のB−B線断面図である。
【図6】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造で用いる部品の説明図で、図6(A)は芯材を内嵌させた環状壁の平面図、図6(B)は下側のガスケットの平面図、図6(C)は上側のガスケットの平面図である。
【図7】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造の第1変形例を説明する図3(A)相当図である。
【図8】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造の変形例を説明する図で、図8(A)は第1変形例の図5(A)相当図、図8(B)は図8(A)のB−B線断面図、図8(C)は第2変形例の図8(B)相当図、図8(D)は図8(C)の第2変形例を他の個所で縦断した縦断面図である。
【図9】図2に示す可燃性ガス発生器の二次空気混合室の区画構造を説明する図で、図9(A)は図2のIXA−IXA線断面図、図9(B)は変形例の図9(A)相当図である。
【図10】図2に示す排気管の燃焼触媒の固定構造を説明する図で、図10(A)は図2の要部拡大図、図10(B)は図10(A)のB−B線断面図、図10(C)は第1変形例の図10(A)相当図、図10(D)は第2変形例の図10(A)相当図、図10(E)は第3変形例の図10(A)相当図、図10(F)は第4変形例の図10(A)相当図である。
【図11】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部側面図である。
【図12】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部平面図である。
【図13】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部正面図である。
【図14】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンのDPF再生処理のフローチャートである。
【図15】図14のフローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図15は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置を説明する図であり、この実施形態では、立形多気筒ディーゼルエンジンの排気処理装置について説明する。
【0011】
排気処理装置の概要は、次の通りである。
図11〜図13に示すように、シリンダヘッド(112)の横側に排気マニホルド(113)を取り付け、この排気マニホルド(113)の上部に過給機(75)を取り付け、この過給機(75)の排気タービン(76)に排気管(66)を介してDPFケース(67)を接続している。排気管(66)には可燃性ガス生成器(1)を取り付けている。
【0012】
図1に示すように、可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにしている。
【0013】
図1に示すように、DPFケース(67)には上流側にDOC(100)を、下流側にDPF(5)を収容している。DOCはディーゼル酸化触媒の略称である。
DPF(5)は、セラミックのハニカム担体で、隣合うセル(5a)の端部を交互に目封じたウォールフローモノリスである。セル(5a)の内部とセル(5a)の壁(5b)を排気が通過し、セル(5a)の壁(5b)でPMを捕捉する。
DOC(100)は、セラミックのハニカム担体で、酸化触媒を担持させ、セル(100a)の両端を開口したフロースルー構造で、セル(100a)の内部を排気(8)が通過するようになっている。可燃性ガス(4)は排気(8)とともにDOC(100)を通過する際、DOC(100)により可燃性ガス(4)が排気(8)中の酸素で触媒燃焼され、排気(8)が昇温され、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMが燃焼除去される。
【0014】
可燃性ガス生成器の構成は、次の通りである。
図1、図2に示すように、可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成触媒室(11)の始端部(上端部)に環状壁(14)を配置し、この環状壁(14)の内側に空燃混合室(12)を形成し、この空燃混合室(12)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、空燃混合室(12)で空燃混合ガス(23)を形成し、この空燃混合ガス(23)を可燃性ガス生成触媒(13)に供給し、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させる。
【0015】
液体燃料(2)はディーゼル燃料である軽油であり、液体燃料供給源(22)から供給され、空気(3)は空気供給源(21)から供給される。液体燃料供給源(22)は燃料タンク、空気供給源(21)はエアクリーナである。
可燃性ガス生成触媒(13)は、セラミックの担体に酸化触媒成分を担持させたもので、液体燃料(2)を酸化することにより、液体燃料(2)の一部を酸化させ、その発熱により液体燃料(2)を気化させた可燃性ガス(4)を生成する。
可燃性ガス生成触媒(13)は、立体網目構造の金属線材の担体を用いてもよく、部分酸化触媒成分を担持させたものであってもよい。
【0016】
図2に示すように、環状壁(14)の中心部に芯材(15)を内嵌させ、環状壁(14)の内周面(16)と芯材(15)の外周面(18)との間に空燃混合室(12)を形成し、空燃混合室(12)の空燃混合ガス(23)が空燃混合室(12)の終端部(下端部)から可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄り部に供給されるようにしている。
これにより、熱が逃げ難く、高温状態が維持され、高い触媒活性が得られる可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄り部で可燃性ガス(4)の生成を効率よく行うことができる。
【0017】
図2に示すように、芯材(15)にヒータ(25)を用い、ヒータ(25)の放熱外周面(26)を空燃混合室(12)に露出させ、可燃性ガス(4)の生成開始時には、ヒータ(25)の放熱外周面(26)から空燃混合室(12)に直接に放熱を行うようにしている。
これにより、ヒータ(25)の熱が空燃混合室(12)に速やかに伝わり、空燃混合ガス(23)が速やかに形成され、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。また、ヒータ(25)と空燃混合室(12)との間に介在物がなく、可燃性ガス生成器(1)を小型化することができる。
ヒータ(25)は、可燃性ガス(4)の生成開始時に加熱を行うための電熱ヒータで、金属パイプ内に電熱線を収容したシーズヒータが用いられている。
【0018】
図2に示すように、環形の可燃性ガス生成触媒(13)の内周に空燃混合ガス入口面(27)を設け、この空燃混合ガス入口面(27)に液体燃料保持材(28)を沿わせ、液体燃料保持材(28)の中心部に芯材(15)を内嵌させ、空燃混合室(12)の空燃混合ガス(23)が空燃混合室(12)の終端部から液体燃料保持材(28)を介して可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄りの空燃混合ガス入口面(27)に導入されるようにしている。
これにより、熱が逃げ難く、高温状態が維持され、高い触媒活性が得られる可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄りの空燃混合ガス入口面(27)で可燃性ガス(4)の生成を効率よく行うことができる。
また、液体燃料保持材(28)の消炎機能により、空燃混合ガス(23)の火炎燃焼の発生が抑制され、可燃性ガス生成触媒(13)や環状壁(14)の熱損傷を防止することができる。
液体燃料保持材(28)はグラスウールで構成され、その空隙率を可燃性ガス生成触媒(13)よりも大きくし、可燃性ガス生成触媒(13)よりも液体燃料(2)が保持されやすい構造になっている。液体燃料保持材(28)は立体網目構造の金属線材や多孔質のセラミックで形成してもよい。
液体燃料保持材(28)は空燃混合ガス入口面(27)の全部に沿って形成しているが、その一部に沿って形成してもよい。
【0019】
図2に示すように、芯材(15)に用いたヒータ(25)の放熱外周面(26)を液体燃料保持材(28)に向けて露出させ、可燃性ガス(4)の生成開始時には、ヒータ(25)の放熱外周面(26)から液体燃料保持材(28)に直接に放熱を行うようにしている。
これにより、ヒータ(25)の熱が液体燃料保持材(28)に保持された液体燃料(2)に集中的に伝わり、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
また、ヒータ(25)と液体燃料保持材(28)との間に介在物がなく、可燃性ガス生成器(1)を小型化することができる。
【0020】
図3(A)に示すように、環状壁(14)の内周面(16)の終端部(下端部)に空燃混合ガス供給絞り部(17)を設け、この空燃混合ガス供給絞り部(17)と芯材(15)の外周面(18)との間に空燃混合ガス供給絞り隙間(20)を形成している。
これにより、空燃混合ガス供給絞り隙間(20)の消炎機能で空燃混合ガス(23)の火炎燃焼の発生が抑制され、可燃性ガス生成触媒(13)や環状壁(14)の熱損傷を防止することができる。
【0021】
図3(A)に示すように、環状壁(14)の内周面(16)にスペーサ突起(29)を設け、芯材(15)の外周面(18)にスペーサ突起(29)を当接させることにより、スペーサ突起(29)を介して環状壁(14)の内周面(16)及び空燃混合ガス供給絞り部(17)と芯材(15)の外周面(18)とが相互に位置合わせされるようにしている。
これにより、これらの位置合わせは治具等を用いることなく正確に行うことができ、可燃性ガス生成器(1)の組み立てを容易にすることができる。
環状壁(14)とスペーサ突起(29)とは金属の一体成型品である。
芯材(15)の外周面(18)にスペーサ突起(29)を設け、環状壁(14)の内周面(16)にスペーサ突起(29)を当接させてもよい。
【0022】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)に環形の可燃性ガス生成触媒(13)を内嵌させ、環状壁(14)の終端部にインロー突部(30)を設け、このインロー突部(30)を可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)に内嵌させることにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)と環状壁(14)とスペーサ突起(29)とを介して、可燃性ガス生成触媒(13)の空燃混合ガス入口面(27)に沿わせた空燃混合ガス導入隙間(28)と芯材(15)の外周面(18)とが相互に位置合わせされる。
これにより、これらの位置合わせは治具等を用いることなく正確に行うことができ、可燃性ガス生成器(1)の組み立てを容易にすることができる。
【0023】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)に環状の載置面(31)を設け、環状壁(14)の終端部(下端部)に被載置面(32)を設け、載置面(31)に環状壁(14)の被載置面(32)を載置固定するに当たり、環状壁(14)の終端部(下端部)に被載置面(32)よりも内側に位置するインロー突部(30)を設け、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)にインロー突部(30)を内嵌させている。
これにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の始端部(上端部)からの空燃混合ガス(23)や可燃性ガス(4)の漏れが、インロー突部(30)の嵌合によって阻止され、載置面(31)と環状壁(14)の被載置面との間からのガス漏れを抑制することができる。
【0024】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)にガスケット(19)を介して環状壁(14)の被載置面(32)を載置し、環状壁(14)の載置面(38)にガスケット(40)を介して蓋(37)を載置し、これらを取り付けボルト(33)で共締めしている。
【0025】
図3(B)は可燃性ガス生成器の組み付け構造の第1変形例で、可燃性ガス生成触媒(13)の周面と可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)との間、触媒(13)の始端面とインロー突部(30)との間、触媒(13)の終端面と後述する仕切り板(52)との間に断熱性クッション材(9)を介在させ、可燃性ガス生成触媒室(11)での可燃性ガス生成触媒(13)の固定と断熱を図っている。
断熱性クッション材(9)にはグラスウールのマットを用いている。
【0026】
図4(A)は第2変形例で、取り付けボルト(33)の締結力で、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)に環状壁(14)の被載置面(32)を載置固定し、インロー突部(30)の内側に可燃性ガス生成触媒(13)を収容するに当たり、可燃性ガス生成触媒(13)と取り付けボルト(33)との間で、インロー突部(30)に断熱空間(34)を設けている。
これにより、可燃性ガス生成触媒(13)で発生した熱の伝達が断熱空間(34)で阻止され、取り付けボルト(33)の熱膨張が抑制され、これに起因する取り付けボルト(33)の軸力低下を抑制することができる。
【0027】
図4(B)は第3変形例で、図4(A)の第2変形例で、断熱空間(34)をインロー突部(30)の外周面に凹設し、断熱空間(34)内にシール材(35)を配置し、このシール材(35)で可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)とインロー突部(30)との間を密封することにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)と環状壁(14)の被載置面(32)との間のガスケット(19)を不要にしたものである。
これにより、ガスケット(19)の弾性力低下に起因する取り付けボルト(33)の軸力低下を抑制することができる。
これら図3(B)、図4(A)(B)に示す第1〜第3変形例の他の構造は、図3(A)に示す実施形態と同一であり、図中、同一の要素には同一の符号を付しておく。
【0028】
空燃混合室への液体燃料と空気の供給構造は、次の通りである。
図5(A)(B)に示すように、環状壁(14)の始端部(上端部)に蓋(37)を配置し、環状壁(14)の始端部(上端部)に環状の蓋載置面(38)を設け、蓋(37)の終端部(下端部)に被載置面(39)を設け、環状壁(14)の蓋載置面(38)に環状のガスケット(40)を介して蓋(37)の被載置面(39)を載置固定している。
ガスケット(40)は重ね合わせた下側のガスケット(40a)と上側のガスケット(40b)の二枚組となっている。
下側のガスケット(40a)にその周方向に所定間隔を保持して複数の液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを設け、液体燃料出口(36)は各液体燃料入口(42)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)にその周方向に沿う液体燃料ガイド溝(41)を凹設し、この液体燃料ガイド溝(41)の開口に各液体燃料入口(42)を連通させ、液体燃料ガイド溝(41)に供給された液体燃料(2)が各液体燃料入口(42)を介して液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
これにより、環状壁(14)内に液体燃料ガイド通路や液体燃料出口を形成する場合に比べ環状壁(14)の加工を容易にすることができる。
図6(B)に示すように、液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)と後述する空気入口(42a)とは、金属製の下側のガスケット(40a)に打ち抜き状に形成されている。
液体燃料ガイド溝(41)は、蓋(37)の被載置面(39)に設けてもよい。
【0029】
図5(A)(B)に示すように、上側のガスケット(40b)にその周方向に所定間隔を保持して複数の空気入口(42b)と空気出口(36b)とを設け、空気出口(36b)は各空気入口(42b)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)その周方向に沿う空気ガイド溝(41b)を凹設し、この空気ガイド溝(41b)の開口に各空気入口(42b)を連通させ、空気ガイド溝(41b)に供給された空気(3)が各空気入口(42b)を介して空気出口(36b)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
各空気入口(42b)は、下側のガスケット(40a)の空気入口(42a)を介して空気ガイド溝(41b)の開口と連通している。
これにより、環状壁(14)内に空気ガイド通路や空気出口を形成する場合に比べ環状壁(14)の加工を容易にすることができる。
図6(C)に示すように、各空気入口(42b)と空気出口(36b)とは、金属製の上側のガスケット(40b)に打ち抜き状に形成されている。
空気ガイド溝(41b)は、蓋(37)の被載置面(39)に設けてもよい。
図6の(A)〜(C)に、環状壁(14)と下側のガスケット(40a)と上側のガスケット(40b)の各平面図を示す。
【0030】
図7と図8は、空燃混合室への液体燃料等の供給構造の変形例を説明する図である。
図7と図8(A)(B)は第1変形例で、ガスケット(40)は一枚のみで、このガスケット(40)にその周方向に所定間隔を保持して複数の液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを設け、液体燃料出口(36)は各液体燃料入口(42)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)にその周方向に沿う液体燃料ガイド溝(41)を凹設し、この液体燃料ガイド溝(41)の開口に各液体燃料入口(42)を連通させ、液体燃料ガイド溝(41)に供給された液体燃料(2)が各液体燃料入口(42)を介して液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
図8(A)に示すように、液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とは、ガスケット(40)に打ち抜き状に形成されている。
環状壁(14)に空気噴出口(24)を設け、空気(3)は空気噴出口(24)から空燃混合室(12)に接線方向に噴出され、環状壁(14)の内周面(16)に沿って空燃混合室(12)内を旋回する。
【0031】
図8(C)(D)は第2変形例で、液体燃料ガイド溝(41)を、蓋(37)の被載置面(39)に設けている。
図8(C)に示すように、液体燃料(2)は、液体燃料供給口(64)からこれに連通する所定の液体燃料入口(42)に流入し、この所定の液体燃料入口(42)から導出された液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するとともに、この所定の液体燃料入口(42)を介して液体燃料ガイド溝(41)に流入し、図8(D)に示すように、この液体燃料ガイド溝(41)から他の液体燃料入口(42)に分配され、これらから導出された各液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出する。
この第2変更例では、DPF(5)の再生が終了し、液体燃料ガイド溝(41)への液体燃料(2)の供給を停止すると、液体燃料ガイド溝(41)から液体燃料(2)が自重で液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを介して空燃混合室(12)に流出するため、液体燃料ガイド溝(41)に液体燃料(2)が残留せず、液体燃料(2)の炭化による液体燃料ガイド溝(41)等の詰まりを抑制することができる。
【0032】
この液体燃料(2)の供給に関する第1変形例と第2変形例を空気(3)の供給に応用し、図6(C)に示すガスケット(40b)を一枚だけ用いて、空気(3)のみをガスケット(40b)から空燃混合室(12)に流出させ、液体燃料(2)はガスケット以外の個所から空燃混合室(12)に流出させてもよい。
これら図7、図8(A)〜(D)に示す第1〜第2変形例の他の構造は、図5、図6に示す実施形態と同一であり、図中、同一の要素には同一の符号を付しておく。
【0033】
図3(A)(B)、図4(A)(B)、図7に示すように、環状壁(14)の内周面(16)は下方の終端部に向かって縮径するテーパ形状とし、環状壁(14)の内周面(16)の上縁部に沿ってその周方向に所定間間隔を保持した複数の液体燃料出口(36)を設け、各液体燃料出口(36)から流出させた液体燃料(2)が環状壁(14)の内周面(16)に沿って自重で流れ落ちるようにしている。
これにより、環状壁(14)の内周面(16)に沿って流れ落ちる液体燃料(2)の複数の流れが空気(3)と接触して空燃混合ガス(23)となり、空燃混合ガス(23)の濃度分布が均一化され、可燃性ガス(4)の生成を促進することができる。
また、可燃性ガス生成器(1)が傾いても、液体燃料(2)が自重で環状壁(14)の内周面(16)に沿って流れ落ち、空燃混合ガス(23)を支障なく形成できる。
【0034】
可燃性ガスの排気への供給構造は、次の通りである。
図2に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)に二次空気混合室(44)を連通させ、二次空気混合室(44)に二次空気混合ガス出口(61)を介して燃焼触媒室(45)を連通させ、燃焼触媒室(45)に燃焼触媒(46)を収容し、この燃焼触媒室(45)に前記可燃性ガス放出口(6)を連通させ、可燃性ガス生成触媒室(11)と二次空気供給源(47)から二次空気混合室(44)に可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを供給することにより、二次空気混合室(44)で可燃性ガス(4)と二次空気(48)とが混合して二次空気混合ガス(49)となり、この二次空気混合ガス(49)が燃焼触媒(46)を通過する際、可燃性ガス(4)の一部が二次空気(48)で触媒燃焼され、その燃焼熱で、燃焼触媒(46)を通過した可燃性ガス(4)の残部が昇温され、昇温された可燃性ガス(4)が可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出されるようにしている。
これにより、排気(8)の温度が低い場合でも、可燃性ガス(4)が着火し、排気(8)中の酸素で可燃性ガス(4)を燃焼させることができる。
燃焼触媒(46)は酸化触媒である。二次空気供給源(47)は、空気供給源(47)と同様、エアクリーナである。
【0035】
可燃性ガス発生器の二次空気混合室の区画構造は、次の通りである。
図9(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の終端部(下端部)に仕切り板載置面(50)(51)を設け、この仕切り板載置面(50)(51)に仕切り板(52)を載置固定し、仕切り板(52)で可燃性ガス生成触媒室(11)の終端側(下端部)に二次空気混合室(44)を区画形成し、仕切り板(52)の周縁部(53)にその周方向に所定間隔を保持した複数の可燃性ガス出口孔(54)をあけ、可燃性ガス生成触媒(13)で生成された可燃性ガス(4)が可燃性ガス出口孔(54)を介して二次空気混合室(44)に供給されるようにしている。
これにより、二次空気混合室(44)を簡易に形成することができる。
また、空燃混合ガス供給絞り隙間(20)を介して可燃性ガス生成触媒(13)の中心部に導入された空燃混合ガス(23)は、可燃性ガス生成触媒室(11)の終端部にある仕切り板(52)の周縁部(53)にある複数の可燃性ガス出口孔(54)に向かって可燃性ガス生成触媒(13)内を偏りなく通過し、可燃性ガス(4)を効率的に生成することができる。
2個所の仕切り板載置面(50)(51)のうち、一方の仕切り板載置面(50)は後述する環状区画壁(57)の上端面であり、他方の仕切り板載置面(51)は二次空気混合室(44)の室壁(55)の内周に沿って形成されている。
【0036】
図9(B)は二次空気混合室の区画構造の変形例であり、仕切り板(52)の周縁部(53)と二次空気混合室(44)の室壁(55)との間に、仕切り板(52)の周縁部(53)に沿う可燃性ガス出口隙間(56)を設け、可燃性ガス生成触媒(13)で生成された可燃性ガス(4)が可燃性ガス出口隙間(56)を介して二次空気混合室(44)に供給されるようにしている。
仕切り板(52)は放射方向に突出した3個所の突起(73)を備え、その先端が二次空気混合室(44)の室壁(55)に接当して、仕切り板(52)の径方向の移動が阻止されている。
【0037】
図9(A)(B)に示すように、二次空気混合室(44)の中央部に環状区画壁(57)を設け、この環状区画壁(57)で環状区画壁(57)の周囲の二次空気合流室(58)と、環状区画壁(57)の内側の二次空気混合ガス膨張室(59)(59)とを区画し、二次空気混合ガス膨張室(59)(59)の上開口を仕切り板(52)で閉塞し、二次空気混合ガス膨張室(59)の入口に絞り孔(60)をあけ、二次空気混合ガス膨張室(59)の出口に二次空気混合ガス出口(61)をあけ、可燃性ガス生成触媒室(11)と二次空気供給源(47)とから二次空気合流室(58)に可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを供給することにより、二次空気合流室(58)で可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを合流させた二次空気混合ガス(49)が形成され、この二次空気混合ガス(49)が、絞り孔(60)で絞られた後、二次空気混合ガス膨張室(59)で膨張しながら拡散し、二次空気混合ガス出口(61)を経て燃焼触媒(46)に供給されるようにしている。
これにより、二次空気合流室(58)と二次空気混合ガス膨張室(59)とを簡易に形成することができる。
また、燃焼触媒(46)に供給される二次空気混合ガス(49)の濃度分布が均一化され、燃焼触媒(46)での触媒燃焼を効率的に行うことができる。
【0038】
排気管の構造は、次の通りである。
図1に示すように、排気経路中にある排気管取り付け座(65)に排気管(66)を取り付け、この排気管(66)の下流にDPF(5)を収容したDPFケース(67)を配置し、図2に示すように、排気管取り付け座(65)内に排気出口通路(68)とこの排気出口通路(68)からその径方向外側に張り出した張り出し部(69)を設け、排気管(66)内に排気通路(7)の通路始端部(71)と可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)とを並列に並べて設け、排気通路(7)の通路始端部(71)の中心軸線(71a)は排気出口通路(68)の中心軸線(68a)に沿わせ、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)の通路中心軸線(74a)は張り出し部(69)に向け、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)と排気通路(7)の通路始端部(71)との境界に前記可燃性ガス放出口(6)をあけている。
【0039】
これにより、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)の通路軸線(74a)に沿って流れる可燃性ガス(4)は張り出し部(69)に向かい、排気通路(7)を通過する排気(8)を直撃せず、可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)の通路始端部(71)に緩やかに放出される。このため、可燃性ガス(4)による排気(8)の流れの偏向が抑制され、背圧を小さくすることができる。
また、図12に示すように、排気通路(7)の通路終端部(63)側が曲がった排気管(66)や真っ直ぐな排気管(66)を使い分けて、DPFケース(67)の配置を変更する場合でも、排気(8)の偏向が抑制されているため、排気管(66)の形状の相違による背圧の相違は小さく、一定した排気性能を保証することができる。このため、排気管(66)の通路終端部(63)側の形状を変更し、DPFケース(67)の配置の自由度を大きくすることができる。
【0040】
図2に示すように、排気管取り付け座(65)として過給機(75)の排気タービン(76)排気管取り付け座を用い、排気出口通路(68)として排気タービン(76)の排気出口通路を用い、張り出し部(69)として排気タービン(76)のウェイストゲートバルブ(77)とそのバルブ取り付け部(78)とを用いている。
これにより、過給機(77)を利用して、排気管(66)を取り付けることができる。
【0041】
図2に示すように、燃焼触媒(46)の出口側端面(79)を可燃性ガス放出口(6)から可燃性ガス案内通路(70)の始端側に離間させている。
これにより、排気(8)の脈動によって排気(8)が可燃性ガス放出口(6)から可燃性ガス案内通路(70)に進入しても、この排気(8)が燃焼触媒(46)に接触しにくく、排気(8)中の酸素により燃焼触媒(46)で可燃性ガス(4)が不要に燃焼する不具合が抑制され、これに起因する燃焼触媒(46)の熱損傷を防止することができる。
【0042】
燃焼触媒の固定構造は、次の通りである。
図10(A)に示すように、二次空気混合室(44)の二次空気混合ガス出口(61)と燃焼触媒室(45)との間に二次空気混合ガス入口室(81)を形成し、二次空気混合ガス入口室(81)と燃焼触媒室(45)に燃焼触媒受け止め手段(82)と燃焼触媒抜け止め手段(83)とを設け、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から二次空気混合ガス入口室(81)側に向けて燃焼触媒室(45)に燃焼触媒(46)を差し込み、燃焼触媒受け止め手段(82)で二次空気混合ガス入口室(81)側への燃焼触媒(46)の移動を受け止め、燃焼触媒抜け止め手段(83)で可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)側への燃焼触媒(46)の抜けを止めることにより、燃焼触媒(46)を触媒燃焼室(45)に固定している。
これにより、触媒燃焼室(45)での燃焼触媒(46)の固定を容易に行うことができる。
【0043】
図10(A)に示すように、二次空気混合ガス入口室(81)の内周面(88)を二次空気混合ガス出口(61)から燃焼触媒室(45)に向かって拡開するテーパ状にし、二次空気混合ガス入口室(81)の内周面(88)を燃焼触媒受け止め手段(82)としている。
これにより、二次空気混合ガス出口(61)から流出した二次空気混合ガス(49)が二次空気混合ガス入口室(81)で燃焼触媒(46)の入口側端面(80)に向けて広く拡散し、燃焼触媒(46)の入口側端面(80)全域から偏りなく燃焼触媒(46)に流入し、燃焼触媒(46)全域で二次空気混合ガス(49)中の可燃性ガス(4)を効率的に燃焼させるこができる。また、燃焼触媒受け止め手段(82)を特別に設ける必要がない。
【0044】
図10(A)(B)に示すように、可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)にセンサ挿入孔(86)をあけ、このセンサ挿入孔(86)から可燃性ガス案内通路(70)に燃焼触媒出口側温度センサ(87)を挿入し、この燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を燃焼触媒(46)の出口側端面(79)に臨ませるに当たり、センサ挿入孔(86)にパイプ(90)を挿入し、パイプ(90)に燃焼触媒出口側温度センサ(87)を挿通させ、パイプ(90)の挿入側端部(91)からセンサ感温部(89)を突出させ、パイプ(90)の挿入側端部(91)の外周面(92)で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)を受け止めることにより、パイプ(90)の挿入側端部(91)を燃焼触媒抜け止め手段(83)とし、パイプ(90)の挿入側端部(91)で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)から燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を離間させている。
【0045】
これにより、可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)に抜け止め手段(83)を取り付けるための新たな挿入孔を設ける必要がない。また、燃焼触媒(46)の出口側端面(79)からセンサ感温部(89)に直接に入熱がなされる不具合や、エンジンの振動で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)がセンサ感温部(89)に接触する不具合が防止され、燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)の損傷を防止することができる。
【0046】
図10(B)に示すように、センサ挿入孔(86)のキリ孔加工時に、センサ挿入孔(86)の奥端の一部に可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)を残してパイプ受け止め部(93)とし、このパイプ受け止め部(93)でパイプ(90)の挿入側端面(94)の一部を受け止めている。
これにより、可燃性ガス案内通路(70)にパイプ(90)が必要以上に進入せず、パイプ(90)の挿入側端部(91)で燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)が覆われる不具合を防止することができる。
【0047】
図10(C)〜(F)は燃焼触媒の固定構造の変形例を示している。
図10(C)に示す第1変形例は、図10(A)(B)に示す実施形態において、燃焼触媒室(45)の室壁(62)と燃焼触媒(46)との間に断熱性クッション材(96)を介在させたものである。断熱性クッション材(96)はグラスウールのシートである。
【0048】
図10(D)に示す第2変形例は、燃焼触媒室(45)と燃焼触媒(46)との間に断熱性クッション材(96)を介在させ、燃焼触媒室(45)の室壁(62)に断熱性クッション材(96)を摩擦固定し、この断熱性クッション材(96)に燃焼触媒(46)を摩擦固定することにより、この断熱性クッション材(96)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としたものである。
図10(C)(D)に示す第1変形例と第2変形例では、断熱性クッション材(96)で燃焼触媒(46)の温度低下や衝撃を避けることができ、燃焼触媒(46)の触媒活性と耐久性を高めることができる。
【0049】
図10(E)に示す第3変形例は、燃焼触媒室(45)の出口に止め輪(98)を内嵌固定し、この止め輪(98)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としている。
図10(F)に示す第4変形例は、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から燃焼触媒室(45)に向けてスリーブ(99)を圧入し、このスリーブ(99)を可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)に摩擦固定し、このスリーブ(99)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としている。このスリーブ(99)にはセンサ挿通孔(99a)を設け、このセンサ挿通孔(99a)からスリーブ(99)内に燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を突出させている。
図10(E)(F)に示す第3変形例と第4変形例では、触媒燃焼室(45)での燃焼触媒(46)の固定を強固に行うことができる。
【0050】
図2に示すように、二次空気混合ガス入口室(81)の室壁(95)と二次空気混合室(44)の室壁(55)と環状区画壁(57)とを相互に連続する一体成型品で構成し、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から二次空気混合ガス入口室(81)と二次空気混合ガス膨張室(59)を経て二次空気合流室(58)に向けて直進するキリの一連のキリ加工によって、二次空気混合ガス入口室(81)と二次空気混合ガス膨張室(59)との境界壁(97)を貫通する二次空気混合ガス出口(61)と、環状区画壁(57)を貫通する絞り孔(60)(60)とを形成している。
これにより、二次空気混合ガス出口(61)と絞り孔(60)(60)の形成を簡易に行うことができる。
【0051】
排気経路の構成と可燃性ガス生成の制御は次の通りである。
図1に示す制御手段であるエンジンECU(102)は、PM堆積量推定手段(101)とPM再生制御手段(111)とを備えている。エンジンECUはエンジン電子制御ユニットの略称である。
PM堆積量推定手段(101)は、エンジンECU(1)の所定の演算部であり、エンジン負荷、エンジン回転数、DPF上流側排気温度センサ(103)による検出排気温度、DPF上流側排気圧センサ(104)によるDPF(5)上流側の排気圧、差圧センサ(105)によるDPF(5)の上流と下流の差圧等に基づいて、予め実験的に求めたマップデータからPM堆積量を推定する。
【0052】
PM堆積量推定手段(101)によりPM堆積量推定値が所定の再生要求値に至ると、PM再生制御手段(111)は、ヒータ(25)を発熱させ、液体燃料ポンプ(107)と空気供給ポンプ(108)と二次空気供給ポンプ(109)とを駆動する。これにより、空燃混合室(12)に液体燃料(2)と空気(3)が供給され、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)が発生し、二次空気混合室(44)で二次空気混合ガス(49)が形成され、燃焼触媒(46)で可燃性ガス(4)が昇温され、昇温された可燃性ガス(4)はDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出される。
【0053】
PM再生制御手段(111)は、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)による可燃性ガス生成触媒(13)の検出温度に基づいて、液体燃料ポンプ(107)の液体燃料供給量や空気ポンプ(108)の空気供給量を調量し、燃焼触媒出口側温度センサ(87)による燃焼触媒(46)の出口側での可燃性ガス(4)の検出温度に基づいて、二次空気ポンプ(109)の二次空気供給量を調量する。
PM再生制御手段(111)は、DOC上流側排気温度センサ(110)によるDOC(100)上流側の排気(8)の検出温度がDOC(100)の活性化温度よりも低い場合には、二次空気ポンプ(109)の二次空気供給量を調量し、可燃性ガス(4)を昇温させ、排気(12)の温度を高め、DOC(10)の活性化を図る。
PM再生制御手段(111)は、DPF下流側排気温度センサ(112)による検出排気温度が所定の異常温度に至った場合には、排気(8)への可燃性ガス(4)の供給を停止する。
【0054】
DPF再生制御手段(111)による制御は、次の通りである。
図1に示すように、DPF再生制御手段(111)で空燃混合室(12)への空気(3)と液体燃料(2)の供給を制御するに当たり、可燃性ガス(4)の生成開始時に、可燃性ガス生成触媒温度に基づくことなく、ヒータ(25)の発熱開始から所定の予熱時間を経過したことに基づいて、DPF再生制御手段(111)が空気(3)と液体燃料(2)の供給を開始するようにしている。
これにより、ヒータ(25)の発熱開始後、空気(3)と液体燃料(2)の供給開始までに不要な時間がかからず、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
【0055】
その理由は、次の通りである。
すなわち、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)には可燃性ガス生成触媒(13)に差し込んだサーミスタ等を用いるが、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)は破損防止の観点から、可燃性ガス生成触媒(13)に接触させることができないため、ヒータ(25)の発熱開始後の空気(3)と液体燃料(2)の供給開始を、可燃性ガス生成触媒温度に基づいて行う場合、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)では、ヒータ発熱開始後の比較的低い可燃性ガス生成触媒(13)の温度を正確に検出することが困難で、可燃性ガス生成触媒(13)が確実に可燃性ガス生成温度に達していると思われる高めの検出温度を可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)が検出するまで、空気(3)と液体燃料(2)の供給開始を待つ必要がある。
【0056】
これに対し、ヒータ(25)の発熱開始後の液体燃料(2)の供給開始を、可燃性ガス生成触媒温度に基づくことなく、ヒータ(25)の発熱開始後に所定の予熱時間を経過したことに基づいて行う場合、必要な予熱時間を予め実験的に求めておけば、ヒータ(25)の発熱開始後、液体燃料(2)の供給を開始するまでに不要に長い予熱時間を待つ必要がなく、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
【0057】
図1に示すように、DPF(5)の再生処理の終了後は、可燃性ガス生成器(1)に液体燃料(2)を供給することなく液体燃料パージ用の空気(3)を供給し、可燃性ガス生成触媒(13)に残留している液体燃料(2)を空気(3)で可燃性ガス(4)にして可燃性ガス生成触媒(13)からパージする。
これにより、次回のDPFの再生処理の開始時に、可燃性ガス生成触媒(13)が液体燃料(2)で湿ったままになっておらず、可燃性ガス生成触媒(13)の温度が早期に上昇し、可燃性ガス(4)の生成開始をスムーズに行うことができる。
【0058】
図1、図15に示すように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇している場合には、空気(3)の供給を継続(S13)し、可燃性ガス生成触媒温度がパージ中止温度を越えている場合には、空気(3)の供給を停止する。このため、空気(3)の過剰供給で生じる可燃性ガス生成触媒(13)の過熱による熱損傷を防止することができる。
【0059】
図1、図15に示すように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給量を増加(S16)し、それでも可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給を停止(S18)して、液体燃料パージ処理を終了する。
このように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給量を増加するので、空気不足による液体燃料パージの不全を防止することができる。
また、空気(3)の供給量を増加(S16)し、それでも可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、可燃性ガス生成触媒(13)に液体燃料(2)が殆ど残留していないことを意味するので、空気(3)の供給を停止(S18)して、液体燃料パージ処理を終了し、可燃性ガス生成触媒(13)から液体燃料がパージされると、速やかに液体燃料パージ処理を終了させる。
【0060】
DPF再生制御手段(111)による処理の流れは、次の通りである。
図14に示すように、ステップ(S1)でPM堆積推定値が所定のDPF再生要求値に至ったか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S2)でヒータ(25)の発熱を開始させ、ステップ(S3)で所定の予熱時間が経過したか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S4)で空気(3)と液体燃料(2)の供給が開始され、ステップ(S5)で可燃性ガス生成触媒温度がガス生成温度を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S6)でヒータ(25)の発熱を終了させ、ステップ(S7)でPM堆積推定値が所定のDPF再生終了値に至ったか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S8)で空気(3)と液体燃料にの供給を終了させる。
【0061】
図15に示すように、ステップ(S9)でDOC出口温度がパージガス処理温度(DOCの触媒活性化温度)を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S10)で可燃性ガス生成触媒温度がガス生成温度を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S11)で液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始し、ステップ(S12)で可燃性ガス生成触媒温度が上昇しているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S13)で空気の供給を継続し、ステップ(S14)で可燃性ガス生成触媒温度がパージ中止温度(DPFの過熱による熱損傷を抑制できる温度)を越えているか否かが判断される。判断が肯定の場合、ステップ(S15)で空気の供給を停止し、ステップ(S9)に戻る。ステップ(S14)の判断が否定である場合、ステップ(S13)に戻る。
ステップ(S12)での判断が否定である場合には、ステップ(S16)で空気(3)の供給量を増加し、ステップ(S17)で可燃性ガス生成触媒温度が上昇しているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S13)に移行し、判断が否定である場合には、ステップ(S18)で空気(3)の供給が停止され、液体燃料パージ処理は終了する。
【0062】
図1に示すように、DPF再生制御手段(111)はDOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算する。
これにより、負荷変動や回転変動によるDOC(100)の上流側排気温度の変化が、DOC(100)の蓄熱作用の影響を受ける前に、そのまま可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算に反映され、その演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになり、可燃性ガス(4)の生成量が適正になり、DPF(5)の再生効率を高めることができる。
【0063】
図1に示すように、DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量に基づく演算を不要にしている。
これにより、この排気処理装置を、機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンやエアフローセンサを備えていないディーゼルエンジンにも用いることができる。
DPF再生制御手段(111)による可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算は、DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数に対して実験的に求めた供給量のマップデータに基づいて行う。
【符号の説明】
【0064】
(1) 可燃性ガス生成器
(2) 液体燃料
(3) 空気
(4) 可燃性ガス
(5) DPF
(6) 可燃性ガス放出口
(7) 排気通路
(8) 排気
(100) DOC
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気処理装置に関し、詳しくは、DPFの再生効率を高めることができるディーゼルエンジンの排気処理装置に関する。
この明細書及び特許請求の範囲の用語中、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタ、PMは排気中の粒子状物質、DOCはディーゼル酸化触媒を意味する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンの排気処理装置として、可燃性ガス生成器で可燃性ガスを生成させ、この可燃性ガスをDPFの上流で可燃性ガス放出口から排気通路に放出し、この可燃性ガスを排気中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気を昇温させ、排気の熱でDPFに溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、可燃性ガス生成器に空気と液体燃料とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒で可燃性ガスを生成させ、この可燃性ガスをDPFの上流に配置したDOCに供給するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の排気処理装置によれば、排気の温度が低い場合にも、可燃性ガスをDOCで酸化燃焼させて、排気を昇温させ、DPFに溜まったPMを燃焼除去させることができる利点がある。
しかし、この従来技術では、DOCの下流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量を演算するようにしているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−256769号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 DPFの再生効率が低い。
この従来技術では、DOCの下流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量を演算するようにしているため、負荷変動や回転変動によるDOCの上流側排気温度の変化が、DOCの蓄熱作用によって緩和され、DOCの下流側排気温度は鈍い変化となり、可燃性ガス生成器への空気と液体燃料の供給量の演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになっておらず、可燃性ガスの生成量に過不足が生じ、DPFの再生効率が低い。
【0005】
本発明の課題は、DPFの再生効率を高めることができるディーゼルエンジンの排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、
可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成器(1)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流に配置したDOC(100)に供給する、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度(例えば、DOCの入口排気温度)に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 DPFの再生効率を高めることができる。
図1に例示するように、DOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにしたので、負荷変動や回転変動によるDOC(100)の上流側排気温度の変化が、DOC(100)の蓄熱作用の影響を受ける前に、そのまま可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算に反映され、その演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになっていることから、可燃性ガス(4)の生成量が適正になり、DPF(5)の再生効率を高めることができる。
【0008】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 この排気処理装置を機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジン等にも用いることができる。
DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、この演算に当たり、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量の検出を不要にしたので、この排気処理装置を機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンやエアフローセンサを備えていないディーゼルエンジンにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置の模式図である。
【図2】図1に示す装置の可燃性ガス発生器を備えた排気管の縦断面図である。
【図3】図2に示す可燃性ガス発生器の組み付け構造を説明する図で、図3(A)は図2のIIIA矢視部分の拡大図、図3(B)は第1変形例の図3(A)相当図である。
【図4】可燃性ガス発生器の組み付け構造の他の変形例を説明する図で、図4(A)は第2変形例の図3(A)相当図、図4(B)は第3変形例の図3(A)相当図である。
【図5】図2に示す可燃性ガス発生器の空燃混合室への液体燃料等の供給構造を説明する図で、図5(A)は図2のVA−VA線断面図、図5(B)は図5(A)のB−B線断面図である。
【図6】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造で用いる部品の説明図で、図6(A)は芯材を内嵌させた環状壁の平面図、図6(B)は下側のガスケットの平面図、図6(C)は上側のガスケットの平面図である。
【図7】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造の第1変形例を説明する図3(A)相当図である。
【図8】図5に示す空燃混合室への液体燃料等の供給構造の変形例を説明する図で、図8(A)は第1変形例の図5(A)相当図、図8(B)は図8(A)のB−B線断面図、図8(C)は第2変形例の図8(B)相当図、図8(D)は図8(C)の第2変形例を他の個所で縦断した縦断面図である。
【図9】図2に示す可燃性ガス発生器の二次空気混合室の区画構造を説明する図で、図9(A)は図2のIXA−IXA線断面図、図9(B)は変形例の図9(A)相当図である。
【図10】図2に示す排気管の燃焼触媒の固定構造を説明する図で、図10(A)は図2の要部拡大図、図10(B)は図10(A)のB−B線断面図、図10(C)は第1変形例の図10(A)相当図、図10(D)は第2変形例の図10(A)相当図、図10(E)は第3変形例の図10(A)相当図、図10(F)は第4変形例の図10(A)相当図である。
【図11】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部側面図である。
【図12】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部平面図である。
【図13】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンの要部正面図である。
【図14】図1に示す排気処理装置を備えたディーゼルエンジンのDPF再生処理のフローチャートである。
【図15】図14のフローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図15は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの排気処理装置を説明する図であり、この実施形態では、立形多気筒ディーゼルエンジンの排気処理装置について説明する。
【0011】
排気処理装置の概要は、次の通りである。
図11〜図13に示すように、シリンダヘッド(112)の横側に排気マニホルド(113)を取り付け、この排気マニホルド(113)の上部に過給機(75)を取り付け、この過給機(75)の排気タービン(76)に排気管(66)を介してDPFケース(67)を接続している。排気管(66)には可燃性ガス生成器(1)を取り付けている。
【0012】
図1に示すように、可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにしている。
【0013】
図1に示すように、DPFケース(67)には上流側にDOC(100)を、下流側にDPF(5)を収容している。DOCはディーゼル酸化触媒の略称である。
DPF(5)は、セラミックのハニカム担体で、隣合うセル(5a)の端部を交互に目封じたウォールフローモノリスである。セル(5a)の内部とセル(5a)の壁(5b)を排気が通過し、セル(5a)の壁(5b)でPMを捕捉する。
DOC(100)は、セラミックのハニカム担体で、酸化触媒を担持させ、セル(100a)の両端を開口したフロースルー構造で、セル(100a)の内部を排気(8)が通過するようになっている。可燃性ガス(4)は排気(8)とともにDOC(100)を通過する際、DOC(100)により可燃性ガス(4)が排気(8)中の酸素で触媒燃焼され、排気(8)が昇温され、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMが燃焼除去される。
【0014】
可燃性ガス生成器の構成は、次の通りである。
図1、図2に示すように、可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成触媒室(11)の始端部(上端部)に環状壁(14)を配置し、この環状壁(14)の内側に空燃混合室(12)を形成し、この空燃混合室(12)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、空燃混合室(12)で空燃混合ガス(23)を形成し、この空燃混合ガス(23)を可燃性ガス生成触媒(13)に供給し、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させる。
【0015】
液体燃料(2)はディーゼル燃料である軽油であり、液体燃料供給源(22)から供給され、空気(3)は空気供給源(21)から供給される。液体燃料供給源(22)は燃料タンク、空気供給源(21)はエアクリーナである。
可燃性ガス生成触媒(13)は、セラミックの担体に酸化触媒成分を担持させたもので、液体燃料(2)を酸化することにより、液体燃料(2)の一部を酸化させ、その発熱により液体燃料(2)を気化させた可燃性ガス(4)を生成する。
可燃性ガス生成触媒(13)は、立体網目構造の金属線材の担体を用いてもよく、部分酸化触媒成分を担持させたものであってもよい。
【0016】
図2に示すように、環状壁(14)の中心部に芯材(15)を内嵌させ、環状壁(14)の内周面(16)と芯材(15)の外周面(18)との間に空燃混合室(12)を形成し、空燃混合室(12)の空燃混合ガス(23)が空燃混合室(12)の終端部(下端部)から可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄り部に供給されるようにしている。
これにより、熱が逃げ難く、高温状態が維持され、高い触媒活性が得られる可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄り部で可燃性ガス(4)の生成を効率よく行うことができる。
【0017】
図2に示すように、芯材(15)にヒータ(25)を用い、ヒータ(25)の放熱外周面(26)を空燃混合室(12)に露出させ、可燃性ガス(4)の生成開始時には、ヒータ(25)の放熱外周面(26)から空燃混合室(12)に直接に放熱を行うようにしている。
これにより、ヒータ(25)の熱が空燃混合室(12)に速やかに伝わり、空燃混合ガス(23)が速やかに形成され、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。また、ヒータ(25)と空燃混合室(12)との間に介在物がなく、可燃性ガス生成器(1)を小型化することができる。
ヒータ(25)は、可燃性ガス(4)の生成開始時に加熱を行うための電熱ヒータで、金属パイプ内に電熱線を収容したシーズヒータが用いられている。
【0018】
図2に示すように、環形の可燃性ガス生成触媒(13)の内周に空燃混合ガス入口面(27)を設け、この空燃混合ガス入口面(27)に液体燃料保持材(28)を沿わせ、液体燃料保持材(28)の中心部に芯材(15)を内嵌させ、空燃混合室(12)の空燃混合ガス(23)が空燃混合室(12)の終端部から液体燃料保持材(28)を介して可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄りの空燃混合ガス入口面(27)に導入されるようにしている。
これにより、熱が逃げ難く、高温状態が維持され、高い触媒活性が得られる可燃性ガス生成触媒(13)の中心寄りの空燃混合ガス入口面(27)で可燃性ガス(4)の生成を効率よく行うことができる。
また、液体燃料保持材(28)の消炎機能により、空燃混合ガス(23)の火炎燃焼の発生が抑制され、可燃性ガス生成触媒(13)や環状壁(14)の熱損傷を防止することができる。
液体燃料保持材(28)はグラスウールで構成され、その空隙率を可燃性ガス生成触媒(13)よりも大きくし、可燃性ガス生成触媒(13)よりも液体燃料(2)が保持されやすい構造になっている。液体燃料保持材(28)は立体網目構造の金属線材や多孔質のセラミックで形成してもよい。
液体燃料保持材(28)は空燃混合ガス入口面(27)の全部に沿って形成しているが、その一部に沿って形成してもよい。
【0019】
図2に示すように、芯材(15)に用いたヒータ(25)の放熱外周面(26)を液体燃料保持材(28)に向けて露出させ、可燃性ガス(4)の生成開始時には、ヒータ(25)の放熱外周面(26)から液体燃料保持材(28)に直接に放熱を行うようにしている。
これにより、ヒータ(25)の熱が液体燃料保持材(28)に保持された液体燃料(2)に集中的に伝わり、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
また、ヒータ(25)と液体燃料保持材(28)との間に介在物がなく、可燃性ガス生成器(1)を小型化することができる。
【0020】
図3(A)に示すように、環状壁(14)の内周面(16)の終端部(下端部)に空燃混合ガス供給絞り部(17)を設け、この空燃混合ガス供給絞り部(17)と芯材(15)の外周面(18)との間に空燃混合ガス供給絞り隙間(20)を形成している。
これにより、空燃混合ガス供給絞り隙間(20)の消炎機能で空燃混合ガス(23)の火炎燃焼の発生が抑制され、可燃性ガス生成触媒(13)や環状壁(14)の熱損傷を防止することができる。
【0021】
図3(A)に示すように、環状壁(14)の内周面(16)にスペーサ突起(29)を設け、芯材(15)の外周面(18)にスペーサ突起(29)を当接させることにより、スペーサ突起(29)を介して環状壁(14)の内周面(16)及び空燃混合ガス供給絞り部(17)と芯材(15)の外周面(18)とが相互に位置合わせされるようにしている。
これにより、これらの位置合わせは治具等を用いることなく正確に行うことができ、可燃性ガス生成器(1)の組み立てを容易にすることができる。
環状壁(14)とスペーサ突起(29)とは金属の一体成型品である。
芯材(15)の外周面(18)にスペーサ突起(29)を設け、環状壁(14)の内周面(16)にスペーサ突起(29)を当接させてもよい。
【0022】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)に環形の可燃性ガス生成触媒(13)を内嵌させ、環状壁(14)の終端部にインロー突部(30)を設け、このインロー突部(30)を可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)に内嵌させることにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)と環状壁(14)とスペーサ突起(29)とを介して、可燃性ガス生成触媒(13)の空燃混合ガス入口面(27)に沿わせた空燃混合ガス導入隙間(28)と芯材(15)の外周面(18)とが相互に位置合わせされる。
これにより、これらの位置合わせは治具等を用いることなく正確に行うことができ、可燃性ガス生成器(1)の組み立てを容易にすることができる。
【0023】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)に環状の載置面(31)を設け、環状壁(14)の終端部(下端部)に被載置面(32)を設け、載置面(31)に環状壁(14)の被載置面(32)を載置固定するに当たり、環状壁(14)の終端部(下端部)に被載置面(32)よりも内側に位置するインロー突部(30)を設け、可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)の始端部(上端部)にインロー突部(30)を内嵌させている。
これにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の始端部(上端部)からの空燃混合ガス(23)や可燃性ガス(4)の漏れが、インロー突部(30)の嵌合によって阻止され、載置面(31)と環状壁(14)の被載置面との間からのガス漏れを抑制することができる。
【0024】
図3(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)にガスケット(19)を介して環状壁(14)の被載置面(32)を載置し、環状壁(14)の載置面(38)にガスケット(40)を介して蓋(37)を載置し、これらを取り付けボルト(33)で共締めしている。
【0025】
図3(B)は可燃性ガス生成器の組み付け構造の第1変形例で、可燃性ガス生成触媒(13)の周面と可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)との間、触媒(13)の始端面とインロー突部(30)との間、触媒(13)の終端面と後述する仕切り板(52)との間に断熱性クッション材(9)を介在させ、可燃性ガス生成触媒室(11)での可燃性ガス生成触媒(13)の固定と断熱を図っている。
断熱性クッション材(9)にはグラスウールのマットを用いている。
【0026】
図4(A)は第2変形例で、取り付けボルト(33)の締結力で、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)に環状壁(14)の被載置面(32)を載置固定し、インロー突部(30)の内側に可燃性ガス生成触媒(13)を収容するに当たり、可燃性ガス生成触媒(13)と取り付けボルト(33)との間で、インロー突部(30)に断熱空間(34)を設けている。
これにより、可燃性ガス生成触媒(13)で発生した熱の伝達が断熱空間(34)で阻止され、取り付けボルト(33)の熱膨張が抑制され、これに起因する取り付けボルト(33)の軸力低下を抑制することができる。
【0027】
図4(B)は第3変形例で、図4(A)の第2変形例で、断熱空間(34)をインロー突部(30)の外周面に凹設し、断熱空間(34)内にシール材(35)を配置し、このシール材(35)で可燃性ガス生成触媒室(11)の周壁(10)とインロー突部(30)との間を密封することにより、可燃性ガス生成触媒室(11)の載置面(31)と環状壁(14)の被載置面(32)との間のガスケット(19)を不要にしたものである。
これにより、ガスケット(19)の弾性力低下に起因する取り付けボルト(33)の軸力低下を抑制することができる。
これら図3(B)、図4(A)(B)に示す第1〜第3変形例の他の構造は、図3(A)に示す実施形態と同一であり、図中、同一の要素には同一の符号を付しておく。
【0028】
空燃混合室への液体燃料と空気の供給構造は、次の通りである。
図5(A)(B)に示すように、環状壁(14)の始端部(上端部)に蓋(37)を配置し、環状壁(14)の始端部(上端部)に環状の蓋載置面(38)を設け、蓋(37)の終端部(下端部)に被載置面(39)を設け、環状壁(14)の蓋載置面(38)に環状のガスケット(40)を介して蓋(37)の被載置面(39)を載置固定している。
ガスケット(40)は重ね合わせた下側のガスケット(40a)と上側のガスケット(40b)の二枚組となっている。
下側のガスケット(40a)にその周方向に所定間隔を保持して複数の液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを設け、液体燃料出口(36)は各液体燃料入口(42)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)にその周方向に沿う液体燃料ガイド溝(41)を凹設し、この液体燃料ガイド溝(41)の開口に各液体燃料入口(42)を連通させ、液体燃料ガイド溝(41)に供給された液体燃料(2)が各液体燃料入口(42)を介して液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
これにより、環状壁(14)内に液体燃料ガイド通路や液体燃料出口を形成する場合に比べ環状壁(14)の加工を容易にすることができる。
図6(B)に示すように、液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)と後述する空気入口(42a)とは、金属製の下側のガスケット(40a)に打ち抜き状に形成されている。
液体燃料ガイド溝(41)は、蓋(37)の被載置面(39)に設けてもよい。
【0029】
図5(A)(B)に示すように、上側のガスケット(40b)にその周方向に所定間隔を保持して複数の空気入口(42b)と空気出口(36b)とを設け、空気出口(36b)は各空気入口(42b)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)その周方向に沿う空気ガイド溝(41b)を凹設し、この空気ガイド溝(41b)の開口に各空気入口(42b)を連通させ、空気ガイド溝(41b)に供給された空気(3)が各空気入口(42b)を介して空気出口(36b)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
各空気入口(42b)は、下側のガスケット(40a)の空気入口(42a)を介して空気ガイド溝(41b)の開口と連通している。
これにより、環状壁(14)内に空気ガイド通路や空気出口を形成する場合に比べ環状壁(14)の加工を容易にすることができる。
図6(C)に示すように、各空気入口(42b)と空気出口(36b)とは、金属製の上側のガスケット(40b)に打ち抜き状に形成されている。
空気ガイド溝(41b)は、蓋(37)の被載置面(39)に設けてもよい。
図6の(A)〜(C)に、環状壁(14)と下側のガスケット(40a)と上側のガスケット(40b)の各平面図を示す。
【0030】
図7と図8は、空燃混合室への液体燃料等の供給構造の変形例を説明する図である。
図7と図8(A)(B)は第1変形例で、ガスケット(40)は一枚のみで、このガスケット(40)にその周方向に所定間隔を保持して複数の液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを設け、液体燃料出口(36)は各液体燃料入口(42)からガスケット(40)の内側に向けて導出し、環状壁(14)の蓋載置面(38)にその周方向に沿う液体燃料ガイド溝(41)を凹設し、この液体燃料ガイド溝(41)の開口に各液体燃料入口(42)を連通させ、液体燃料ガイド溝(41)に供給された液体燃料(2)が各液体燃料入口(42)を介して液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するようにしている。
図8(A)に示すように、液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とは、ガスケット(40)に打ち抜き状に形成されている。
環状壁(14)に空気噴出口(24)を設け、空気(3)は空気噴出口(24)から空燃混合室(12)に接線方向に噴出され、環状壁(14)の内周面(16)に沿って空燃混合室(12)内を旋回する。
【0031】
図8(C)(D)は第2変形例で、液体燃料ガイド溝(41)を、蓋(37)の被載置面(39)に設けている。
図8(C)に示すように、液体燃料(2)は、液体燃料供給口(64)からこれに連通する所定の液体燃料入口(42)に流入し、この所定の液体燃料入口(42)から導出された液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出するとともに、この所定の液体燃料入口(42)を介して液体燃料ガイド溝(41)に流入し、図8(D)に示すように、この液体燃料ガイド溝(41)から他の液体燃料入口(42)に分配され、これらから導出された各液体燃料出口(36)から空燃混合室(12)に流出する。
この第2変更例では、DPF(5)の再生が終了し、液体燃料ガイド溝(41)への液体燃料(2)の供給を停止すると、液体燃料ガイド溝(41)から液体燃料(2)が自重で液体燃料入口(42)と液体燃料出口(36)とを介して空燃混合室(12)に流出するため、液体燃料ガイド溝(41)に液体燃料(2)が残留せず、液体燃料(2)の炭化による液体燃料ガイド溝(41)等の詰まりを抑制することができる。
【0032】
この液体燃料(2)の供給に関する第1変形例と第2変形例を空気(3)の供給に応用し、図6(C)に示すガスケット(40b)を一枚だけ用いて、空気(3)のみをガスケット(40b)から空燃混合室(12)に流出させ、液体燃料(2)はガスケット以外の個所から空燃混合室(12)に流出させてもよい。
これら図7、図8(A)〜(D)に示す第1〜第2変形例の他の構造は、図5、図6に示す実施形態と同一であり、図中、同一の要素には同一の符号を付しておく。
【0033】
図3(A)(B)、図4(A)(B)、図7に示すように、環状壁(14)の内周面(16)は下方の終端部に向かって縮径するテーパ形状とし、環状壁(14)の内周面(16)の上縁部に沿ってその周方向に所定間間隔を保持した複数の液体燃料出口(36)を設け、各液体燃料出口(36)から流出させた液体燃料(2)が環状壁(14)の内周面(16)に沿って自重で流れ落ちるようにしている。
これにより、環状壁(14)の内周面(16)に沿って流れ落ちる液体燃料(2)の複数の流れが空気(3)と接触して空燃混合ガス(23)となり、空燃混合ガス(23)の濃度分布が均一化され、可燃性ガス(4)の生成を促進することができる。
また、可燃性ガス生成器(1)が傾いても、液体燃料(2)が自重で環状壁(14)の内周面(16)に沿って流れ落ち、空燃混合ガス(23)を支障なく形成できる。
【0034】
可燃性ガスの排気への供給構造は、次の通りである。
図2に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)に二次空気混合室(44)を連通させ、二次空気混合室(44)に二次空気混合ガス出口(61)を介して燃焼触媒室(45)を連通させ、燃焼触媒室(45)に燃焼触媒(46)を収容し、この燃焼触媒室(45)に前記可燃性ガス放出口(6)を連通させ、可燃性ガス生成触媒室(11)と二次空気供給源(47)から二次空気混合室(44)に可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを供給することにより、二次空気混合室(44)で可燃性ガス(4)と二次空気(48)とが混合して二次空気混合ガス(49)となり、この二次空気混合ガス(49)が燃焼触媒(46)を通過する際、可燃性ガス(4)の一部が二次空気(48)で触媒燃焼され、その燃焼熱で、燃焼触媒(46)を通過した可燃性ガス(4)の残部が昇温され、昇温された可燃性ガス(4)が可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出されるようにしている。
これにより、排気(8)の温度が低い場合でも、可燃性ガス(4)が着火し、排気(8)中の酸素で可燃性ガス(4)を燃焼させることができる。
燃焼触媒(46)は酸化触媒である。二次空気供給源(47)は、空気供給源(47)と同様、エアクリーナである。
【0035】
可燃性ガス発生器の二次空気混合室の区画構造は、次の通りである。
図9(A)に示すように、可燃性ガス生成触媒室(11)の終端部(下端部)に仕切り板載置面(50)(51)を設け、この仕切り板載置面(50)(51)に仕切り板(52)を載置固定し、仕切り板(52)で可燃性ガス生成触媒室(11)の終端側(下端部)に二次空気混合室(44)を区画形成し、仕切り板(52)の周縁部(53)にその周方向に所定間隔を保持した複数の可燃性ガス出口孔(54)をあけ、可燃性ガス生成触媒(13)で生成された可燃性ガス(4)が可燃性ガス出口孔(54)を介して二次空気混合室(44)に供給されるようにしている。
これにより、二次空気混合室(44)を簡易に形成することができる。
また、空燃混合ガス供給絞り隙間(20)を介して可燃性ガス生成触媒(13)の中心部に導入された空燃混合ガス(23)は、可燃性ガス生成触媒室(11)の終端部にある仕切り板(52)の周縁部(53)にある複数の可燃性ガス出口孔(54)に向かって可燃性ガス生成触媒(13)内を偏りなく通過し、可燃性ガス(4)を効率的に生成することができる。
2個所の仕切り板載置面(50)(51)のうち、一方の仕切り板載置面(50)は後述する環状区画壁(57)の上端面であり、他方の仕切り板載置面(51)は二次空気混合室(44)の室壁(55)の内周に沿って形成されている。
【0036】
図9(B)は二次空気混合室の区画構造の変形例であり、仕切り板(52)の周縁部(53)と二次空気混合室(44)の室壁(55)との間に、仕切り板(52)の周縁部(53)に沿う可燃性ガス出口隙間(56)を設け、可燃性ガス生成触媒(13)で生成された可燃性ガス(4)が可燃性ガス出口隙間(56)を介して二次空気混合室(44)に供給されるようにしている。
仕切り板(52)は放射方向に突出した3個所の突起(73)を備え、その先端が二次空気混合室(44)の室壁(55)に接当して、仕切り板(52)の径方向の移動が阻止されている。
【0037】
図9(A)(B)に示すように、二次空気混合室(44)の中央部に環状区画壁(57)を設け、この環状区画壁(57)で環状区画壁(57)の周囲の二次空気合流室(58)と、環状区画壁(57)の内側の二次空気混合ガス膨張室(59)(59)とを区画し、二次空気混合ガス膨張室(59)(59)の上開口を仕切り板(52)で閉塞し、二次空気混合ガス膨張室(59)の入口に絞り孔(60)をあけ、二次空気混合ガス膨張室(59)の出口に二次空気混合ガス出口(61)をあけ、可燃性ガス生成触媒室(11)と二次空気供給源(47)とから二次空気合流室(58)に可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを供給することにより、二次空気合流室(58)で可燃性ガス(4)と二次空気(48)とを合流させた二次空気混合ガス(49)が形成され、この二次空気混合ガス(49)が、絞り孔(60)で絞られた後、二次空気混合ガス膨張室(59)で膨張しながら拡散し、二次空気混合ガス出口(61)を経て燃焼触媒(46)に供給されるようにしている。
これにより、二次空気合流室(58)と二次空気混合ガス膨張室(59)とを簡易に形成することができる。
また、燃焼触媒(46)に供給される二次空気混合ガス(49)の濃度分布が均一化され、燃焼触媒(46)での触媒燃焼を効率的に行うことができる。
【0038】
排気管の構造は、次の通りである。
図1に示すように、排気経路中にある排気管取り付け座(65)に排気管(66)を取り付け、この排気管(66)の下流にDPF(5)を収容したDPFケース(67)を配置し、図2に示すように、排気管取り付け座(65)内に排気出口通路(68)とこの排気出口通路(68)からその径方向外側に張り出した張り出し部(69)を設け、排気管(66)内に排気通路(7)の通路始端部(71)と可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)とを並列に並べて設け、排気通路(7)の通路始端部(71)の中心軸線(71a)は排気出口通路(68)の中心軸線(68a)に沿わせ、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)の通路中心軸線(74a)は張り出し部(69)に向け、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)と排気通路(7)の通路始端部(71)との境界に前記可燃性ガス放出口(6)をあけている。
【0039】
これにより、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)の通路軸線(74a)に沿って流れる可燃性ガス(4)は張り出し部(69)に向かい、排気通路(7)を通過する排気(8)を直撃せず、可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)の通路始端部(71)に緩やかに放出される。このため、可燃性ガス(4)による排気(8)の流れの偏向が抑制され、背圧を小さくすることができる。
また、図12に示すように、排気通路(7)の通路終端部(63)側が曲がった排気管(66)や真っ直ぐな排気管(66)を使い分けて、DPFケース(67)の配置を変更する場合でも、排気(8)の偏向が抑制されているため、排気管(66)の形状の相違による背圧の相違は小さく、一定した排気性能を保証することができる。このため、排気管(66)の通路終端部(63)側の形状を変更し、DPFケース(67)の配置の自由度を大きくすることができる。
【0040】
図2に示すように、排気管取り付け座(65)として過給機(75)の排気タービン(76)排気管取り付け座を用い、排気出口通路(68)として排気タービン(76)の排気出口通路を用い、張り出し部(69)として排気タービン(76)のウェイストゲートバルブ(77)とそのバルブ取り付け部(78)とを用いている。
これにより、過給機(77)を利用して、排気管(66)を取り付けることができる。
【0041】
図2に示すように、燃焼触媒(46)の出口側端面(79)を可燃性ガス放出口(6)から可燃性ガス案内通路(70)の始端側に離間させている。
これにより、排気(8)の脈動によって排気(8)が可燃性ガス放出口(6)から可燃性ガス案内通路(70)に進入しても、この排気(8)が燃焼触媒(46)に接触しにくく、排気(8)中の酸素により燃焼触媒(46)で可燃性ガス(4)が不要に燃焼する不具合が抑制され、これに起因する燃焼触媒(46)の熱損傷を防止することができる。
【0042】
燃焼触媒の固定構造は、次の通りである。
図10(A)に示すように、二次空気混合室(44)の二次空気混合ガス出口(61)と燃焼触媒室(45)との間に二次空気混合ガス入口室(81)を形成し、二次空気混合ガス入口室(81)と燃焼触媒室(45)に燃焼触媒受け止め手段(82)と燃焼触媒抜け止め手段(83)とを設け、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から二次空気混合ガス入口室(81)側に向けて燃焼触媒室(45)に燃焼触媒(46)を差し込み、燃焼触媒受け止め手段(82)で二次空気混合ガス入口室(81)側への燃焼触媒(46)の移動を受け止め、燃焼触媒抜け止め手段(83)で可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)側への燃焼触媒(46)の抜けを止めることにより、燃焼触媒(46)を触媒燃焼室(45)に固定している。
これにより、触媒燃焼室(45)での燃焼触媒(46)の固定を容易に行うことができる。
【0043】
図10(A)に示すように、二次空気混合ガス入口室(81)の内周面(88)を二次空気混合ガス出口(61)から燃焼触媒室(45)に向かって拡開するテーパ状にし、二次空気混合ガス入口室(81)の内周面(88)を燃焼触媒受け止め手段(82)としている。
これにより、二次空気混合ガス出口(61)から流出した二次空気混合ガス(49)が二次空気混合ガス入口室(81)で燃焼触媒(46)の入口側端面(80)に向けて広く拡散し、燃焼触媒(46)の入口側端面(80)全域から偏りなく燃焼触媒(46)に流入し、燃焼触媒(46)全域で二次空気混合ガス(49)中の可燃性ガス(4)を効率的に燃焼させるこができる。また、燃焼触媒受け止め手段(82)を特別に設ける必要がない。
【0044】
図10(A)(B)に示すように、可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)にセンサ挿入孔(86)をあけ、このセンサ挿入孔(86)から可燃性ガス案内通路(70)に燃焼触媒出口側温度センサ(87)を挿入し、この燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を燃焼触媒(46)の出口側端面(79)に臨ませるに当たり、センサ挿入孔(86)にパイプ(90)を挿入し、パイプ(90)に燃焼触媒出口側温度センサ(87)を挿通させ、パイプ(90)の挿入側端部(91)からセンサ感温部(89)を突出させ、パイプ(90)の挿入側端部(91)の外周面(92)で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)を受け止めることにより、パイプ(90)の挿入側端部(91)を燃焼触媒抜け止め手段(83)とし、パイプ(90)の挿入側端部(91)で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)から燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を離間させている。
【0045】
これにより、可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)に抜け止め手段(83)を取り付けるための新たな挿入孔を設ける必要がない。また、燃焼触媒(46)の出口側端面(79)からセンサ感温部(89)に直接に入熱がなされる不具合や、エンジンの振動で燃焼触媒(46)の出口側端面(79)がセンサ感温部(89)に接触する不具合が防止され、燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)の損傷を防止することができる。
【0046】
図10(B)に示すように、センサ挿入孔(86)のキリ孔加工時に、センサ挿入孔(86)の奥端の一部に可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)を残してパイプ受け止め部(93)とし、このパイプ受け止め部(93)でパイプ(90)の挿入側端面(94)の一部を受け止めている。
これにより、可燃性ガス案内通路(70)にパイプ(90)が必要以上に進入せず、パイプ(90)の挿入側端部(91)で燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)が覆われる不具合を防止することができる。
【0047】
図10(C)〜(F)は燃焼触媒の固定構造の変形例を示している。
図10(C)に示す第1変形例は、図10(A)(B)に示す実施形態において、燃焼触媒室(45)の室壁(62)と燃焼触媒(46)との間に断熱性クッション材(96)を介在させたものである。断熱性クッション材(96)はグラスウールのシートである。
【0048】
図10(D)に示す第2変形例は、燃焼触媒室(45)と燃焼触媒(46)との間に断熱性クッション材(96)を介在させ、燃焼触媒室(45)の室壁(62)に断熱性クッション材(96)を摩擦固定し、この断熱性クッション材(96)に燃焼触媒(46)を摩擦固定することにより、この断熱性クッション材(96)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としたものである。
図10(C)(D)に示す第1変形例と第2変形例では、断熱性クッション材(96)で燃焼触媒(46)の温度低下や衝撃を避けることができ、燃焼触媒(46)の触媒活性と耐久性を高めることができる。
【0049】
図10(E)に示す第3変形例は、燃焼触媒室(45)の出口に止め輪(98)を内嵌固定し、この止め輪(98)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としている。
図10(F)に示す第4変形例は、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から燃焼触媒室(45)に向けてスリーブ(99)を圧入し、このスリーブ(99)を可燃性ガス案内通路(70)の通路壁(85)に摩擦固定し、このスリーブ(99)を前記燃焼触媒抜け止め手段(83)としている。このスリーブ(99)にはセンサ挿通孔(99a)を設け、このセンサ挿通孔(99a)からスリーブ(99)内に燃焼触媒出口側温度センサ(87)のセンサ感温部(89)を突出させている。
図10(E)(F)に示す第3変形例と第4変形例では、触媒燃焼室(45)での燃焼触媒(46)の固定を強固に行うことができる。
【0050】
図2に示すように、二次空気混合ガス入口室(81)の室壁(95)と二次空気混合室(44)の室壁(55)と環状区画壁(57)とを相互に連続する一体成型品で構成し、可燃性ガス案内通路(70)の通路終端部(74)から二次空気混合ガス入口室(81)と二次空気混合ガス膨張室(59)を経て二次空気合流室(58)に向けて直進するキリの一連のキリ加工によって、二次空気混合ガス入口室(81)と二次空気混合ガス膨張室(59)との境界壁(97)を貫通する二次空気混合ガス出口(61)と、環状区画壁(57)を貫通する絞り孔(60)(60)とを形成している。
これにより、二次空気混合ガス出口(61)と絞り孔(60)(60)の形成を簡易に行うことができる。
【0051】
排気経路の構成と可燃性ガス生成の制御は次の通りである。
図1に示す制御手段であるエンジンECU(102)は、PM堆積量推定手段(101)とPM再生制御手段(111)とを備えている。エンジンECUはエンジン電子制御ユニットの略称である。
PM堆積量推定手段(101)は、エンジンECU(1)の所定の演算部であり、エンジン負荷、エンジン回転数、DPF上流側排気温度センサ(103)による検出排気温度、DPF上流側排気圧センサ(104)によるDPF(5)上流側の排気圧、差圧センサ(105)によるDPF(5)の上流と下流の差圧等に基づいて、予め実験的に求めたマップデータからPM堆積量を推定する。
【0052】
PM堆積量推定手段(101)によりPM堆積量推定値が所定の再生要求値に至ると、PM再生制御手段(111)は、ヒータ(25)を発熱させ、液体燃料ポンプ(107)と空気供給ポンプ(108)と二次空気供給ポンプ(109)とを駆動する。これにより、空燃混合室(12)に液体燃料(2)と空気(3)が供給され、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)が発生し、二次空気混合室(44)で二次空気混合ガス(49)が形成され、燃焼触媒(46)で可燃性ガス(4)が昇温され、昇温された可燃性ガス(4)はDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出される。
【0053】
PM再生制御手段(111)は、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)による可燃性ガス生成触媒(13)の検出温度に基づいて、液体燃料ポンプ(107)の液体燃料供給量や空気ポンプ(108)の空気供給量を調量し、燃焼触媒出口側温度センサ(87)による燃焼触媒(46)の出口側での可燃性ガス(4)の検出温度に基づいて、二次空気ポンプ(109)の二次空気供給量を調量する。
PM再生制御手段(111)は、DOC上流側排気温度センサ(110)によるDOC(100)上流側の排気(8)の検出温度がDOC(100)の活性化温度よりも低い場合には、二次空気ポンプ(109)の二次空気供給量を調量し、可燃性ガス(4)を昇温させ、排気(12)の温度を高め、DOC(10)の活性化を図る。
PM再生制御手段(111)は、DPF下流側排気温度センサ(112)による検出排気温度が所定の異常温度に至った場合には、排気(8)への可燃性ガス(4)の供給を停止する。
【0054】
DPF再生制御手段(111)による制御は、次の通りである。
図1に示すように、DPF再生制御手段(111)で空燃混合室(12)への空気(3)と液体燃料(2)の供給を制御するに当たり、可燃性ガス(4)の生成開始時に、可燃性ガス生成触媒温度に基づくことなく、ヒータ(25)の発熱開始から所定の予熱時間を経過したことに基づいて、DPF再生制御手段(111)が空気(3)と液体燃料(2)の供給を開始するようにしている。
これにより、ヒータ(25)の発熱開始後、空気(3)と液体燃料(2)の供給開始までに不要な時間がかからず、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
【0055】
その理由は、次の通りである。
すなわち、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)には可燃性ガス生成触媒(13)に差し込んだサーミスタ等を用いるが、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)は破損防止の観点から、可燃性ガス生成触媒(13)に接触させることができないため、ヒータ(25)の発熱開始後の空気(3)と液体燃料(2)の供給開始を、可燃性ガス生成触媒温度に基づいて行う場合、可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)では、ヒータ発熱開始後の比較的低い可燃性ガス生成触媒(13)の温度を正確に検出することが困難で、可燃性ガス生成触媒(13)が確実に可燃性ガス生成温度に達していると思われる高めの検出温度を可燃性ガス生成触媒温度センサ(106)が検出するまで、空気(3)と液体燃料(2)の供給開始を待つ必要がある。
【0056】
これに対し、ヒータ(25)の発熱開始後の液体燃料(2)の供給開始を、可燃性ガス生成触媒温度に基づくことなく、ヒータ(25)の発熱開始後に所定の予熱時間を経過したことに基づいて行う場合、必要な予熱時間を予め実験的に求めておけば、ヒータ(25)の発熱開始後、液体燃料(2)の供給を開始するまでに不要に長い予熱時間を待つ必要がなく、可燃性ガス(4)の生成をスムーズに開始することができる。
【0057】
図1に示すように、DPF(5)の再生処理の終了後は、可燃性ガス生成器(1)に液体燃料(2)を供給することなく液体燃料パージ用の空気(3)を供給し、可燃性ガス生成触媒(13)に残留している液体燃料(2)を空気(3)で可燃性ガス(4)にして可燃性ガス生成触媒(13)からパージする。
これにより、次回のDPFの再生処理の開始時に、可燃性ガス生成触媒(13)が液体燃料(2)で湿ったままになっておらず、可燃性ガス生成触媒(13)の温度が早期に上昇し、可燃性ガス(4)の生成開始をスムーズに行うことができる。
【0058】
図1、図15に示すように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇している場合には、空気(3)の供給を継続(S13)し、可燃性ガス生成触媒温度がパージ中止温度を越えている場合には、空気(3)の供給を停止する。このため、空気(3)の過剰供給で生じる可燃性ガス生成触媒(13)の過熱による熱損傷を防止することができる。
【0059】
図1、図15に示すように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給量を増加(S16)し、それでも可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給を停止(S18)して、液体燃料パージ処理を終了する。
このように、液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始(S11)してから、可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、空気(3)の供給量を増加するので、空気不足による液体燃料パージの不全を防止することができる。
また、空気(3)の供給量を増加(S16)し、それでも可燃性ガス生成触媒温度が上昇していない場合には、可燃性ガス生成触媒(13)に液体燃料(2)が殆ど残留していないことを意味するので、空気(3)の供給を停止(S18)して、液体燃料パージ処理を終了し、可燃性ガス生成触媒(13)から液体燃料がパージされると、速やかに液体燃料パージ処理を終了させる。
【0060】
DPF再生制御手段(111)による処理の流れは、次の通りである。
図14に示すように、ステップ(S1)でPM堆積推定値が所定のDPF再生要求値に至ったか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S2)でヒータ(25)の発熱を開始させ、ステップ(S3)で所定の予熱時間が経過したか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S4)で空気(3)と液体燃料(2)の供給が開始され、ステップ(S5)で可燃性ガス生成触媒温度がガス生成温度を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S6)でヒータ(25)の発熱を終了させ、ステップ(S7)でPM堆積推定値が所定のDPF再生終了値に至ったか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S8)で空気(3)と液体燃料にの供給を終了させる。
【0061】
図15に示すように、ステップ(S9)でDOC出口温度がパージガス処理温度(DOCの触媒活性化温度)を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S10)で可燃性ガス生成触媒温度がガス生成温度を越えているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S11)で液体燃料パージ用の空気(3)の供給を開始し、ステップ(S12)で可燃性ガス生成触媒温度が上昇しているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S13)で空気の供給を継続し、ステップ(S14)で可燃性ガス生成触媒温度がパージ中止温度(DPFの過熱による熱損傷を抑制できる温度)を越えているか否かが判断される。判断が肯定の場合、ステップ(S15)で空気の供給を停止し、ステップ(S9)に戻る。ステップ(S14)の判断が否定である場合、ステップ(S13)に戻る。
ステップ(S12)での判断が否定である場合には、ステップ(S16)で空気(3)の供給量を増加し、ステップ(S17)で可燃性ガス生成触媒温度が上昇しているか否かが判断される。判断が肯定である場合には、ステップ(S13)に移行し、判断が否定である場合には、ステップ(S18)で空気(3)の供給が停止され、液体燃料パージ処理は終了する。
【0062】
図1に示すように、DPF再生制御手段(111)はDOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算する。
これにより、負荷変動や回転変動によるDOC(100)の上流側排気温度の変化が、DOC(100)の蓄熱作用の影響を受ける前に、そのまま可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算に反映され、その演算値が排気の温度変化に迅速に対応したものになり、可燃性ガス(4)の生成量が適正になり、DPF(5)の再生効率を高めることができる。
【0063】
図1に示すように、DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量に基づく演算を不要にしている。
これにより、この排気処理装置を、機械カム式燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンやエアフローセンサを備えていないディーゼルエンジンにも用いることができる。
DPF再生制御手段(111)による可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量の演算は、DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数に対して実験的に求めた供給量のマップデータに基づいて行う。
【符号の説明】
【0064】
(1) 可燃性ガス生成器
(2) 液体燃料
(3) 空気
(4) 可燃性ガス
(5) DPF
(6) 可燃性ガス放出口
(7) 排気通路
(8) 排気
(100) DOC
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、
可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成器(1)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流に配置したDOC(100)に供給する、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量に基づく演算を不要にした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項1】
可燃性ガス生成器(1)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流で可燃性ガス放出口(6)から排気通路(7)に放出し、この可燃性ガス(4)を排気(8)中の酸素で燃焼させ、その燃焼熱で排気(8)を昇温させ、排気(8)の熱でDPF(5)に溜まったPMを燃焼除去することができるようにし、
可燃性ガス生成器(1)に可燃性ガス生成触媒室(11)を設け、この可燃性ガス生成触媒室(11)に可燃性ガス生成触媒(13)を収容し、可燃性ガス生成器(1)に空気(3)と液体燃料(2)とを供給することにより、可燃性ガス生成触媒(13)で可燃性ガス(4)を生成させ、この可燃性ガス(4)をDPF(5)の上流に配置したDOC(100)に供給する、ディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度に基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算するようにした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載したディーゼルエンジンの排気処理装置において、
DOC(100)の上流側排気温度とエンジン回転数とに基づいて、可燃性ガス生成器(1)への空気(3)と液体燃料(2)の供給量を演算することにより、燃料噴射弁から燃焼室への燃料噴射量や吸気量に基づく演算を不要にした、ことを特徴とするディーゼルエンジンの排気処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−214441(P2011−214441A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81112(P2010−81112)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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