ディーゼルエンジン排ガス処理装置
【課題】サイクロンの小型化と、高PM捕集率及び低燃費がはかられるディーゼルエンジン排ガス浄化装置の提供。
【解決手段】重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極1−2、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する管状捕集部を有し、管状捕集部から剥離した粒状物質を分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、管状捕集部の下流側の内面付近に設けた粒状物質の高濃度排ガス導出部に1乃至複数の接線式サイクロンで構成したサイクロン捕集手段2−1を備え、高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガス流を当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロン2−1aへ導入する方式となす。
【解決手段】重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極1−2、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する管状捕集部を有し、管状捕集部から剥離した粒状物質を分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、管状捕集部の下流側の内面付近に設けた粒状物質の高濃度排ガス導出部に1乃至複数の接線式サイクロンで構成したサイクロン捕集手段2−1を備え、高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガス流を当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロン2−1aへ導入する方式となす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるカーボンを主体とする粒状物質(Particulate Matter:以下「PM」と称する)や有害ガスを除去し、浄化する船舶用、発電用、産業用などの特に重油以下の低質燃料を使用する大排気量ディーゼルエンジンの排気ガス処理技術に係り、より詳しくは高い温度の排気ガスを排出する大排気量ディーゼルエンジンにおけるコロナ放電を利用した排気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種船舶や発電機並びに大型建機、さらには各種自動車等の動力源としてディーゼルエンジンが広範囲に採用されているが、このディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるPMは、周知の通り大気汚染をきたすのみならず、人体に極めて有害な物質であるため、その排気ガスの浄化は極めて重要である。このため、ディーゼルエンジンの燃焼方式の改善や各種排気ガスフィルタの採用、そしてコロナ放電を利用して電気的に処理する方法等、既に数多くの提案がなされ、その一部は実用に供されている。
【0003】
ここで、ディーゼルエンジンの排気ガス中のPM(粒状物質)の成分は、有機溶剤可溶分(SOF:Soluble Organic Fractions、以下「SOF」と称す)と有機溶剤非可溶分(ISF:Insoluble Organic Fractions、以下「ISF」と称す)の2つに分けられるが、そのうちSOF分は、燃料や潤滑油の未燃分が主な成分で、発ガン作用のある多環芳香族等の有害物質が含まれる。一方、ISF分は、電気抵抗率の低いカーボン(すす)とサルフェート(Sulfate:硫酸塩)成分を主成分とするもので、このSOF分およびISF分は、その人体、環境に与える影響から、極力少ない排気ガスが望まれている。特に、生体におけるPMの悪影響の度合いは、その粒子径がnmサイズになる場合に特に問題であるとも言われている。
【0004】
コロナ放電を利用して電気的に処理する方法としては、例えば以下に記載する方法及び装置(特許文献1〜5)が提案されている。
【0005】
即ち、特許文献1には、図12にその概略を示すように、排気ガス通路21にコロナ放電部22−1と帯電部22−2とからなる放電帯電部22を連設して、コロナ放電された電子29を排気ガスG1中のカーボンを主体とするPM28に帯電させ、同排気ガス通路21に配置した捕集板23で前記帯電したPM28を捕集する方式であって、放電帯電部22における電極針24は排気ガス流の流れ方向長さが短く、かつ捕集板23は排気ガス流の流れ方向に対し直角方向に配設された構成となしたディーゼルエンジンの排気ガス用電気式処理方法及び装置が提案されている。図中、25はシールガス管、26は高圧電源装置、27は排気ガス誘導管である。
【0006】
又、特許文献2には、図13にその概略を示すように、針先31−1の周りにコロナ放電35を起こして排気ガス中のPM33を帯電させるためのニードル電極31と、帯電したPM33を捕集するための捕集電極32と、前記ニードル電極31と前記捕集電極32との間に所定の直流高電圧を印加するための高圧直流電源34とを備えたディーゼルエンジンの排気PM捕集装置が提案されている。図中、36は偏向電極である。
【0007】
更に、特許文献3には、図14にその概略を示すように、排気経路中に設けたPM捕集用の収集電極対の一方を構成する固定円筒体41と、該固定円筒体41の中心部に軸方向に延設されて収集電極対の他方を構成する電極棒42と、前記収集電極対間に静電界を形成して排気ガス中のPMを前記固定円筒体41の内面に集積させる高電圧電源部43と、前記固定円筒体41の内面に沿って当該固定円筒体に対し相対回動して該固定円筒体内面に堆積したPMを掻き落とす掻き落とし部44を備えた排気ガス浄化装置が提案されている。図中、45は排気管、46は回転円筒部である。
【0008】
一方、特許文献4には、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMを帯電させる放電電極、及び帯電されたPMを捕集する集塵電極を有する電気集塵手段と、集塵電極に捕集されて滞留するPMを当該集塵電極から剥離させる手段と、集塵電極から剥離されたPMを分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段とを備えたディーゼルエンジン排ガス浄化装置が提案されている。
この装置は、図15にその一例を示すように、排ガスを横方向に流しながら処理するように構成されたもので、PMを捕集するための電気集塵部51と、分別捕集部としてのサイクロン52を備え、電気集塵部51は筒状ハウジング56の内周面に取付けた筒状金属体57と該筒状金属体の内周面に形成した凹凸部58とによって構成された集塵電極54と、この集塵電極54の軸線に沿って延びる主電極59と、この主電極59の長手方向に所定の間隔で配設された放射状に突出する電極針60の群とによって構成された放電電極55とを備え、サイクロン52は電気集塵部51を通過したガス流53の流れを旋回流に変換するガイドベーン61より下流側の部位に構成され、このサイクロン52の下流に該サイクロン内のガスを排出するための排気管62と、遠心分離されたPMを捕集するホッパー63が設けられている。64は集塵電極54に捕集されて滞留するPMを当該集塵電極から剥離させる剥離機構であり、例えば偏心による振動を発生する偏心モータ65で構成されている。66は排気管62内の排ガスをホッパー63の上部空間にリターンさせるための抽気管である。
即ち、上記構成の排ガス浄化装置は、電気集塵部51に流入した排ガス中のPMは、集塵電極54と放電電極55との間における放電によって帯電されてクーロン力によって集塵電極54に捕集され、捕集されたPMはガス流と共にガイドベーン61に流入し、ガイドベーン61より下流側の部位に構成されるサイクロン52によりPMが遠心分離され、遠心分離されたPMはホッパー63内に降下して捕集され、一方、浄化された排ガスは排気管62を介して外部に放出される仕組みとなしたものである。
【0009】
又、特許文献5には、自動車に搭載したディーゼルエンジンの排気ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置として、図16、図17に示すように帯電凝集部70を上流側に、フィルタ部80を下流側に配設して構成すると共に、帯電凝集部70のガス通路壁を筒状体71、71a等で形成し、又、ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の筒状体71fで低電圧電極の集塵電極を形成し、これらの筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極でコロナ電極を形成すると共に、前記ガス通路壁の筒状体を自然対流と熱放射による自然によりガスを冷却するガス冷却部として形成し、更に、前記ガス通路壁の筒状体、又は前記導電性の筒状体の内側表面近傍を流れるガス流に対して、乱流を促進する乱流促進手段71eを、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成するガス処理装置が示されている。図中、71cはガス入口室、71bはコロナ電極、71dはガス出口室である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2006/064805B号公報
【特許文献2】特開平9−112246号公報
【特許文献3】特開平6−173637号公報
【特許文献4】特開2006−136766号公報
【特許文献5】特許第4529013号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した従来のディーゼルエンジン排ガス浄化装置には、以下に記載する欠点がある。
即ち、前記特許文献1に記載されたディーゼルエンジンの排気ガス用電気式処理方法及び装置は、放電帯電部22における電極針24は排気ガス流の流れ方向長さが短くかつ捕集板23は排気ガス流の流れ方向に対し直角方向に配設され、又、排気ガス流が捕集板23に対し直接当接するので流過抵抗(圧力損失;圧損)が大きいこと、捕集板23が薄く排気ガス流の流れ方向長さが短いのでPMの素通りが危惧され、PM捕集効率を十分に高めることができない恐れがあること、一旦捕集板23を通過したPMは再度コロナ放電により帯電させて捕集されることがなくそのまま排出されてしまうことが危惧される、といった問題を有する。
なお、前記特許文献1には、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積・剥離を繰返すジャンピング現象を発現させて成長させ、この成長現象により排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共にPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流を選択的に抽出してサイクロンで捕集するという技術思想は開示も示唆もしていない。
【0012】
又、前記特許文献2に記載の排気PM捕集装置及び特許文献3に記載の排気ガス浄化装置は、放電電圧と捕集偏向電圧が同電位であるため両電圧をそれぞれの適正条件に設定することが難しいこと、偏向電極と捕集電極間のスパーク発生を防止するためにその間隔を大きくとらざるを得ないこと、又そのために捕集されずに捕集区間を素通りするPMが多くなり、捕集効率が低下すること、更に、捕集効率を上げるためには捕集部の容量を大きくとる必要があり、装置の大型化を余儀なくされ、小型軽量化が望まれる舶用部品としては不適当である、といった欠点を有する。
なお、前記特許文献2には、捕集電極32は排気の通り道となるトンネル状の電極とされ、捕集電極32のトンネル内にニードル電極31と偏向電極36との電極結合体が、トンネルと軸心を略共通にして配設され、太く長尺の電極結合体が管状捕集部のほぼ全長にわたり内挿されて格子状に形成され、と記載され、又、前記特許文献3には、実施例6の段落[0033]に「……固定円筒体41の中心線に沿って放電電極対及び収集電極対の各一方を構成する電極棒42が垂下され、……固定円筒体41の下部側面には径大な排気口が設けられ、排気口には下流側排気管45が嵌入……。」と、段落[0035]には「回転円筒部46は下部が径小な切頭円錐形状を有し……回転円筒部46の内面から上方に長尺のバー(掻き落とし部)44が立設しており、バー44の外縁は固定円筒体41の径大部の内面に接している。」と、段落[0036]には「……ディーゼルパティキュレートは、放電空間で電極棒42と固定円筒体41……との間のコロナ放電により……帯電したディーゼルパティキュレートは、……静電界に引かれて固定円筒体41の径大部の内面に堆積する。」と、記載され、更に段落[0037]には「回転円筒部46の回転とともに、バー44は固定円筒体41の径大部の内面に接して低速で回転し、径大部の内面に堆積したディーゼルパティキュレート層を落下させ、……落下したディーゼルパティキュレートは収集箱に集め、……除去することができる。」と記載されて管状捕集部が形成されてはいるが、特許文献3に記載されているものは、捕集電極を排気ガス流の流れ方向に長尺な固定円筒部(管状)とすると共に、管状捕集部の管軸方向に間隔を保持して電極針を設け、PMを排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積させ、堆積したPM粒子をバーにて掻き落とす技術であり、掻き落とされた時に飛散するPM粒子の一部は収集箱の手前に設けられた径大な排気口に嵌入された下流側排気管より排出されることが大いに危惧される技術である。
従って、特許文献2、3に記載された技術も、前記特許文献1に記載された技術と同様に、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積・剥離を繰返すジャンピング現象を発現させて成長させ、この成長現象により排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共にPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流を選択的に抽出してサイクロンで能率よく捕集する技術思想は開示も示唆もしていない。
【0013】
一方、前記特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、電気集塵部51の集塵電極54や筒状ハウジング56の内周壁面(捕集管壁)に捕集されたPM粒子は大きな塊を形成し、このPM塊が自然剥離ないし機械的剥離機構により集塵電極54や捕集管壁を離脱して筒状ハウジング56内で混合され、この離脱して混合されたPM塊を排ガス中からサイクロン52において遠心分離してホッパー63に再捕集する方式であるが、この方式においては、筒状ハウジング56内に配設した全排ガス量の混合を伴うガイドベーン61によるサイクロン52に排ガスの全量を流してPMを遠心分離させるため、必然的に大型のガイドベーン61を配置した大型のサイクロン52が必要となり、設備コスト及びランニングコストが高くつくこと、又、構造的にサイクロン52を複数設置することができないため、運転エンジン台数の増減やエンジンの負荷率の大きな変動に伴う排気ガス流量の大幅な増減に対応できない上、サイクロン導入部の排ガス流速を適正に制御する手段を備えていないため高いPM捕集率を維持しかつサイクロンでの過大な圧損による燃費の悪化等の問題を解消することができない、といった欠点を有する。
なお、前記特許文献4においては、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら管状捕集部内面付近に堆積させサイクロンで捕集してはいるが、該特許文献4に記載された技術も、前記特許文献1〜3に記載された技術と同様に、排気ガス流のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共に排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流の管状捕集部内面付近の流れだけを選択的に抽出して集中的にサイクロンで捕集する技術思想は開示も示唆もしていない。
【0014】
更に、特許文献5に記載のガス処理装置は、車載用の小型のガス処理装置であって、帯電凝集部70を上流側に、フィルタ部80を下流側に配設して構成すると共に、帯電凝集部70に排気ガスを多数に分流するガス入口室71cを設けると共にガス通路壁を筒状体71fで形成しかつ該筒状体71fを外気に露出してガス通路壁である当該筒状体71fを自然対流と熱放射による自然放熱によりガスを冷却するガス冷却部として形成し、その後分流した排気ガスをガス出口室71dにて再混合させる装置に関する技術であり、管状捕集部から流出した排気ガスが、PM粒子の捕集工程以前に再混合されることのない技術(後述する本発明)とは異なる。この特許文献5に記載のガス処理装置は、筒状体71fの内表面又はその内表面の近傍にガス流れに対する乱流促進手段71eを設けて、特に筒状体の表面近傍にガスの乱流化を促進して、流路断面方向の攪拌作用を大きくしてしまう欠点を有する。
なお、この特許文献5に記載のものは、捕集壁を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状の筒状体とすると共に該管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら該管状捕集部内面付近に堆積させて捕集しているものの、この特許文献5も、前記特許文献1〜4と同様に、排気ガス流のPMの粒径を下流側に設置されたサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共に排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの濃度を上昇させ、更にこのPMの粒径が大径でかつPM濃度が高濃度の排気ガス流の管状捕集部内面付近の流れだけを選択的に抽出して集中的にサイクロンで捕集するという技術思想は開示も示唆もしていない。
【0015】
本発明は、上記した従来技術の欠点を解消するためになされたもので、特に全排ガス量が流れる通路内にガイドベーンを配設してサイクロンを構成する特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の方式に替えて、サイクロン方式の分別捕集手段を管状捕集部内ではなく管状捕集部の下流側に配設し、かつ該サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成する方式を採用することにより、サイクロンを小型化することができる上、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動などによる排気ガス流量の大幅な増減に応じてサイクロンを適正に選択使用することが可能であり、さらにサイクロン導入部の排ガス流速を適正に制御する手段を備えることにより、高いPM捕集率を維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題を解消することができるディーゼルエンジン排ガス浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極、及び帯電された前記PMを捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は前記管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に間隔配設された放射状に突出する複数本の電極針とによって構成された電気集塵手段と、前記管状捕集部から剥離したPMを分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、前記管状捕集部の下流側の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管を、同管状捕集部の下流側の内周面付近に高濃度排ガス導出部をそれぞれ設け、PMの高濃度排ガス導出部に前記PMを捕集するサイクロン捕集手段を連設するとともに、該サイクロン捕集手段を接線式サイクロンで構成し、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度を制御する仕組みとなすことを特徴とするものである。なお、低濃度排ガスとはPM含有量の少ない排ガス(浄化された排ガス)のことであり、高濃度排ガスとはPMを多く含む排ガスのことであることはいうまでもない。
【0017】
又、本発明装置は、前記サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、前記高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロンへ導入する方式となすことを特徴とするものである。
【0018】
本発明装置において、前記管状捕集部は、その下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部を有し、前記大径管状部の軸心付近に低濃度排ガス導出管と前記大径管状部の内周面付近に高濃度排ガス導出部が連設された構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0019】
更に、前記管状捕集部のテーパ管状部又は該テーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部の領域にまで放電電極を延長して設けた構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0020】
本発明装置は又、前記サイクロン捕集手段を、処理能力の異なる複数の接線式サイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることを好ましい態様とし、更に又、前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0021】
更に、本発明装置においては、前記管状捕集部がほぼ水平に配置されること、又は前記管状捕集部がほぼ垂直かつ上向きに配置されること、或いは前記管状捕集部がほぼ垂直かつ下向きに配置されることを好ましい態様とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、管状捕集部の外部でPMを遠心分離させる方式を採用したことにより、管状捕集部において排ガス中のPMが管状の捕集壁面に捕集されて塊状となり、このPM塊が管状の捕集壁面に付着と剥離を繰返しながら該管状の捕集壁面付近をPMが徐々に濃縮化されていくことによりPMを高濃度に含んだ排ガス流となって下流へ流れ、該管状捕集部内においてPMの高濃度排ガスと管状捕集部の軸心付近をPMが徐々に希薄化されていくことによりPMを低濃度にしか含有しない低濃度排ガスに分離され、PMの高濃度排ガスは管状の捕集壁面付近を、PMの低濃度排ガスは管状捕集部の軸心部付近をそれぞれ流れる現象が発生するので、PMが濃縮された高濃度排ガスのみを管状の捕集壁面付近からサイクロン捕集手段へ導くことができる。即ち、本発明装置によれば、全排ガス量に対しては一部ではあるがPMの高濃度排ガスのみをサイクロンへ導くことができるので、サイクロンを小型化できる。一方、PMが希薄化された低濃度排ガス(浄化された排ガス)は管状捕集部の下流側で軸心付近に連設されている低濃度排ガス導出管より外部へ放出される。
【0023】
又、本発明装置によれば、サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、高濃度排ガス導出部より排出されるPMの高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に該接線式サイクロンへ導入する方式となすことにより、ガイドベーンを配設した前記特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の軸流式サイクロンと比較して捕集性能の優れた接線式サイクロンの「流入する流体の接線速度が速いと捕集効率が高くなる」という作用効果に加え、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動による排気ガス流量の大幅な増減に応じて接線式サイクロンの処理能力と台数を適正に選択することが可能となり、排ガス流量の変化に対応してPMの高い捕集率を確保することができる。更に、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度(接線速度)を適正に制御することができるので、PMの高い捕集率を維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題も解消することができる。
【0024】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は又、管状捕集部の下流側にテーパ状に拡径するテーパ管状部又は該テーパ管状部に連なる大径管状部を設けることにより、高濃度排ガス流がテーパ管状部により徐々に減速され、大径管状部の内周面に連設した高濃度排ガス導出部にPMを確実に導入させることができる。更に、管状捕集部のテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部領域の内周面付近にまで放電電極を延長して設けた構成とすることにより、より効果的にPMを捕集することができ、排ガスのさらなる浄化をはかることができる。
【0025】
更に本発明装置は、前記サイクロン捕集手段を、処理能力の異なる複数の接線式サイクロン、例えば小処理能力接線式サイクロン、中処理能力接線式サイクロン、大処理能力接線式サイクロンの3種類のサイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることにより、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動による排気ガス流量の大幅な増減に応じて接線式サイクロンをより適正に選択使用することが可能となるのみならず、低濃度排ガス導出管に配設したダンパーと合わせて各接線式サイクロン毎に設けた流量制御ダンパーを制御することにより各接線式サイクロンへの排ガス流入速度をより適正に制御することが可能となる。又更に、前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成とすることにより、接線式サイクロン通過後の浄化ガス流が増速吸引され、当該排ガス浄化装置での圧損もより改善され燃費の向上に寄与する。
【0026】
本発明装置は又、前記管状捕集部をほぼ水平に配置した場合には、管状捕集部がエンジンが設置されている機関室の床面に対しほぼ一定の高さとなるので捕集管や放電電極等に対するメンテナンス時の作業性が良好となること、前記管状捕集部を前記床面に対しほぼ垂直かつ上向きに配置した場合には、該管状捕集部が煙突への排気管の配管を兼ねることができるので省スペースがはかられること、前記管状捕集部を前記床面に対しほぼ垂直かつ下向きに配置した場合には、落下するPMが捕集し易くなるのみならず、捕集壁面に付着したSOFやサルフェート等が液状化した場合、その液状成分が捕集壁面を流下し捕集し易い上、サルフェート等により腐食した重い酸化スケールが壁面から剥離し落下しても捕集し易いこと、等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例装置の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例装置の変形例の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の第4実施例装置の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図6】図5のa−a線上の拡大断面図である。
【図7】本発明の第5の実施例装置の全体構成を一部省略して示す概略縦断面図である。
【図8】本発明装置におけるサイクロン捕集手段の他の実施例を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明装置における接線式サイクロン通過後の浄化ガスの増速吸引部を拡大して模式的に示す説明図で、(a)はエアーノズル方式、(b)はモータ駆動ファン方式をそれぞれ示す。
【図10】本発明装置における管状捕集部をほぼ垂直かつ下向きに配置した例を示す概略図である。
【図11】本発明装置における管状捕集部をほぼ垂直かつ上向きに配置した例を示す概略図である。
【図12】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の一例を示す概略縦断面図である。
【図13】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の他の例を示す概略縦断面図である。
【図14】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の別の例を示す概略縦断面図である。
【図15】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の更に別の例を示す概略縦断面図である。
【図16】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の更に別の例を一部破断して示す概略縦断面図である。
【図17】図16に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に本発明の第1の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、大きく分けて電気集塵手段を構成する管状捕集部1と分別捕集手段を構成する分別捕集部2とからなり、PM粒子を捕集するために設ける管状捕集部1は、集塵電極を構成する所定長さの、捕集壁面1−1kを有する捕集管1−1と排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極1−2とを備えている。集塵電極を構成する捕集管1−1には、上流側(ディーゼルエンジン側)の端部に排ガス導入口1−1aを有し、下流側の端部の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管3を、下流側の端部の内周面付近にPMの高濃度排ガス導出部1−1bをそれぞれ連設している。放電電極1−2は、集塵電極を構成する捕集管1−1の軸心付近をほぼ全長にわたって延びる主電極1−2aと、該主電極1−2aの長手方向に所望の間隔で配設された放射状に突出する電極針1−2bの群とによって構成されている。このように構成された放電電極1−2は、捕集管1−1の排ガス導入口1−1a側に設けたシールエアー導入管部1−1cと、低濃度排ガス導出管3の入口部位に設けたシールエアー導入管部3−1に垂設した支持体4を介して主電極1−2aの両端部が支持されている。なお、図示しないが、放電電極1−2は必要に応じ捕集管1−1の内部より絶縁されたステーにより所望間隔を有して支持されている。又、放電電極1−2は外部に設置された高圧電源装置(図示せず)に配線されて制御された高圧電源の供給を受けている。
【0029】
前記排ガスの流れ方向における管状捕集部1の下流側に設けられた分別捕集部2は、分別手段としてのサイクロン捕集手段2−1により構成されている。このサイクロン捕集手段2−1は、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに連通管5−1を介して接続された1台の接線式サイクロン2−1aで構成され、さらに該接線式サイクロン2−1aと前記低濃度排ガス導出管3との間に、接線式サイクロン2−1a通過後の浄化ガスを低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガスに合流させるための排出管6−1を配設している。又、前記低濃度排ガス導出管3には、接線式サイクロン2−1aへの高濃度排ガス流入量及び流入速度と低濃度排ガス放出量の流量調整を行うための流量制御ダンパー7を設けている。
なお、図1の鎖線部は、舶用ディーゼルエンジンにおける主機12と補機13の組合せを例示したものである。この舶用ディーゼルエンジンの場合、エンジン運転は主機12と補機13の並列運転及び各々単独運転があると共に各エンジンの負荷も大きく変動するため排気ガス流総量が大幅に変動する。又、大排気量エンジンの場合、前記前記捕集管1−1を複数並設(図面省略)する場合もある。
【0030】
図2に本発明の第2の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、サイクロン捕集手段2−1を2台の接線式サイクロン2−1aで構成した以外は前記第1の実施例装置と同様の構成を有するものである。即ち、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに連通管5−1、5−2を介して2台の接線式サイクロン2−1aを並列的に接続してサイクロン捕集手段2−1を構成するとともに、この場合も各接線式サイクロン2−1a通過後の浄化ガスをそれぞれ低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガスに合流させるための排出管6−1、6−2を配設している。
【0031】
上記図1、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置において、排ガス導入口1−1aより捕集管1−1内に流入した排ガス中のPMは、集塵電極を構成する当該捕集管1−1の内壁である捕集壁面1−1kと放電電極1−2との間における放電によって帯電されるので、帯電されたPM粒子はクーロン力によって捕集壁面1−1kに捕集される。捕集管1−1の捕集壁面1−1kに捕集されたPM粒子には時間の経過と共に軸心付近の排気ガス流から捕集されたPM粒子が更に堆積されて次第に成長して塊状となり、このPM塊が排気流による剥離と放電(帯電)に伴うクーロン力による管状の捕集壁面1−1kへの再付着を繰返しながら捕集壁面の近傍を濃縮されながら流れていくことによりPMを高濃度に含んだ排ガス流となると同時に、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を流れる排ガス中のPMは捕集壁面1−1kに捕集されて次第に希薄化されて低濃度にしかPMを含まない排ガス流となって下流へ流れていく。即ち、排ガス導入口1−1aより捕集管1−1内に流入した排ガスは、管状捕集部1を流下する過程においてPMの高濃度排ガス流と低濃度排ガス流に分離され、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1kの近傍を高濃度排ガス流が、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を低濃度排ガス流となって捕集管1−1の下流へ流れていく。そして、図1に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流において、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1k近傍を流れてきたPMの高濃度排ガス流は、該捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bより連通管5−1を介して接線式サイクロン2−1aに導入されてPMが遠心分離され、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1k近傍を流れてきた高濃度排ガス流は、該捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bより連通管5−1、5−2を介して2台の接線式サイクロン2−1aに導入されてPMが遠心分離される。一方、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を流れるPMの低濃度排ガス流は、図1、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置共に該捕集管1−1のほぼ軸心部付近に設置された低濃度排ガス導出管3を通して外部へ放出される。又、前記接線式サイクロン2−1aで浄化された排ガス流は、それぞれ排出管6−1、6−1及び6−2を介して低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガス流に合流される。
なお、サイクロン捕集手段2−1を2台の接線式サイクロン2−1aで構成した図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、高濃度排ガス導出部1−1bより排出される高濃度排ガス流の流量に応じて使用する台数を設定すればよく、又、2台の接線式サイクロン2−1aを交互に使用することもできる。
【0032】
上記のように、図1、図2に示す本願発明のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、PMの高濃度排ガスのみ(全排ガス量の一部)をサイクロンへ導くことができるので、小型のサイクロンで効率よくPMを捕集・分別回収することができる。
【0033】
次に、図3に第3の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、管状捕集部1の集塵電極を構成する捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eを形成し、前記大径管状部1−1eの軸心部付近に低濃度排ガス導出管3と内周面付近に高濃度排ガス導出部1−1bを連設した構成とした以外は、前記図1又は図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置と同様の構成を有するものである。かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流側端部において、高濃度排ガス流がテーパ管状部1−1dにより徐々に減速され、大径管状部1−1e内周面付近に連設した高濃度排ガス導出部1−1bにPMを確実に導入させることができる。なお、放電電極1−2の電極針1−2bは、捕集管1−1の下流側端部のテーパ管状部1−1bにまで連続して設けると更に好ましい。
【0034】
又、上記図3に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置において、図4に示すように捕集管1−1を下向きに垂直配置とした場合には、大径管状部1−1eの底壁面1−1e´を図示のように連通管5−1側へ下降傾斜させる。かかる手段をこうじるのは、落下したSOF、サルフェート等の液状成分をサイクロン側へ流下させて捕集し易くするためと、捕集管1−1内面の捕集壁面1−1kがPMやサルフェート等により腐食して酸化スケール(金属酸化スケール等)が発生した場合に、該捕集壁面1−1kから剥離した前記酸化スケールも捕集し易くするためである。
【0035】
又、図5、図6に第4の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、管状捕集部1の集塵電極を構成する捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eを形成し、前記大径管状部1−1eの軸心部付近に低濃度排ガス導出管3と内周面付近に高濃度排ガス導出部1−1bを連設した構成とし、更に前記テーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eの領域にまで放電電極1−2及び電極針1−2bを延長して設けた構成とした以外は、前記図1又は図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置と同様の構成を有するものである。なお、図中の1−2cは、複数に分岐された放電電極1−2の各々を支持する支持リングである。
かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流側端部において、高濃度排ガス流がテーパ管状部1−1dにより徐々に減速されるのでより効果的にPMを捕集することができるのみならず、大径管状部1−1eに流入してからもPM塊が成長してサイクロン捕集手段2−1での捕集効率をより高めて排ガスの更なる浄化をはかることができる。
【0036】
更に、図7に第5の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、捕集管1−1の手前に排ガス導入室1−1f、及び前記排ガス導入室1−1fと捕集管1−1との間に絞り部1−1gとテーパ拡径部1−1hを設けると共に、前記絞り部1−1gとテーパ拡径部1−1hにも電極針1−2bを設け、前記排ガス導入室1−1fへの排ガス導入口1−1aと、シールエアー導入室1−1iへのシールエアー導入口1−1jを、それぞれ対向させて設けた構成となしたものである。
かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置において、捕集管1−1の長さをL、捕集管1−1の内径をDとした場合、3D≦L≦15D、好ましくは5D≦L≦10Dの条件を満足させるのが好ましい。その理由は、3D未満では排ガスの流れが整流しきれずに乱れがおさまりきれないので、捕集壁面1−1k部でのPMの濃化が促進されず、他方、15Dを超えると濃化の程度に差がなく、装置の大型化を招きスペース効率が悪化するためである。又、好ましい条件として5D≦L≦10Dとしたのは、5D以上であれば流れは特によく整流されて捕集壁面1−1k部付近へのPMの濃化が安定し、10D以内で濃化の程度に差が少なくなり実用上の効果が得られるので装置の大型化を抑制できるためである。なお、各部の寸法の一例を具体的に示すと、捕集管1−1の長さLは3m、捕集管1−1の内径はφ400mm、絞り部1−1gの長さは375mm、絞り部1−1gの内径はφ220mm、テーパ拡径部1−1hのテーパ角θは30度である。
更に、排ガス導入口1−1aより排ガス導入室1−1fへ流入された排ガスは、絞り部1−1gを経由することによりテーパ拡径部1−1hを経た排ガス流の乱れが抑制されてガス流れが速やかに安定化して捕集管内壁の捕集壁面1−1kでの濃化と捕集管軸心付近での希薄化が促進される。しかも絞り部1−1gにおいては、電極と粒子間距離が短いので全粒子を確実に帯電させることができて粒子を捕集管内壁の捕集壁面1−1kに付着させて捕集性能の向上がはかれる。なお、排ガスを対向させて排ガス導入室1−1fへ流入させることとしたのは、対称的に捕集管1−1へ流入させることにより排ガス流の流れのバランスが取れて排ガス流の乱れが少なくなって速やかに整流され、短い軸方向長さの流れでありながら良く整流されて好ましいからである。又、電極に対するシールエアーも対向させてシールエアー導入室1−1iに流入させると同様に好ましい。
【0037】
次に、図8に示すサイクロン捕集手段は、処理能力の異なる複数の接線式サイクロン、例えば小処理能力接線式サイクロン2−1b、中処理能力接線式サイクロン2−1c、大処理能力接線式サイクロン2−1dの3種類のサイクロンで構成したもので、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに放射状位置に接続した連通管8−1、8−2、8−3を介して各接線式サイクロン2−1b、2−1c、2−1dを接続し、前記各連通管8−1、8−2、8−3の高濃度排ガス導入口に流量制御ダンパー9−1、9−2、9−3を設けた構成となしたものである。
このように処理能力の異なる複数の接線式サイクロンでサイクロン捕集手段を構成した場合には、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率に応じて変化する排気ガス流量に対応して各接線式サイクロンをより適正に選択使用することが可能となるのみならず、低濃度排ガス導出管3に配設したダンパーと合わせて各接線式サイクロン毎に設けた流量制御ダンパー9−1、9−2、9−3を制御することにより各接線式サイクロンへの排ガスの流入接線速度をより適正に制御することが可能となり、高い捕集効率を広いエンジン負荷率の範囲等において確保、維持することができる。
【0038】
又、図9(a)(b)に示すように接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるために配設した排出管6−1に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを増速吸引するためのエアーノズル10又はモータ11−1にて駆動されるファン11を設置することにより、接線式サイクロン通過後の浄化ガス流に運動エネルギーが付与されて増速吸引され、当該排ガス浄化装置での圧損もより小さくなるよう改善されて燃費を向上させることができる。
【0039】
更に又、図10、図11はそれぞれ本発明装置における管状捕集部1、例えば図3〜図5に示す捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径する1−1eを有する管状捕集部1を機関室床面に対しほぼ垂直に配置した場合を例示したもので、図10は前記管状捕集部1をほぼ垂直かつ下向きに配置した例、図11は前記管状捕集部1をほぼ垂直かつ上向きに配置した例をそれぞれ示す。ここで、図10に示すように管状捕集部1をほぼ垂直かつ下向きに配置した場合には、該管状捕集部1が煙突(図示せず)への排気管の配管を兼ねることができるので省スペースがはかられる利点がある。一方、図11に示すように管状捕集部1を垂直かつ上向きに配置した場合には、落下するPMが捕集し易くなるのみならず、捕集壁面に付着したSOFやサルフェート等が液状化した場合、その液状成分が捕集壁面を流下し捕集し易い上、サルフェート等により腐食した重い酸化スケールが壁面から剥離し落下しても捕集し易い利点がある。なお、管状捕集部1をほぼ水平に配置した場合には、管状捕集部1がエンジンが設置されている機関室の床面に対しほぼ一定の高さとなるので捕集管や放電電極等に対するメンテナンス時の作業性が良好となる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、予めPMが濃縮されて高濃度化された全排ガス量の一部の流れをサイクロンへ導入して排ガスを浄化する方式であるから、サイクロンを小型化できる上、サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、高濃度排ガス導出部より排出されるPMの高濃度排ガス流を当該排ガスの流量に応じて選択的に該接線式サイクロンへ導入する方式となすことにより、軸流式サイクロンより捕集性能の優れた接線式サイクロンの作用効果に加え、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の変動に伴う排気ガス流量(流速)の大幅な増減に応じて接線式サイクロンの処理能力と台数とのバランスを取りながら適正に選択することが可能となり、排ガス流量の各変化に対応してPMの高い捕集率を確保、維持することができ、又、低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガスの流入接線速度を適正に制御することができるので、PMの高い捕集率を確保、維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題も解消することができる等、多くの優れた効果を奏することから、舶用、車両用、産業用等の各種用途の重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジン排ガスの浄化処理に大きく寄与する。
【符号の説明】
【0041】
1 管状捕集部
1−1 捕集管
1−1a 排ガス導入口
1−1b 高濃度排ガス導出部
1−1c シールエアー導入管部
1−1d テーパ管状部
1−1e 大径管状部
1−1f 排ガス導入室
1−1g 絞り部
1−1h テーパ拡径部
1−1i シールエアー導入室
1−1j シールエアー導入口
1−1k 捕集壁面
1−2 放電電極
1−2a 主電極
1−2b 電極針
1−2c 支持リング
2 分別捕集部
2−1 サイクロン捕集手段
2−1a 接線式サイクロン
2−1b 小処理能力接線式サイクロン
2−1c 中処理能力接線式サイクロン
2−1d 大処理能力接線式サイクロン
3 低濃度排ガス導出管
3−1 シールエアー導入管部
4 支持体
5−1、5−2、8−1、8−2、8−3 連通管
6−1、6−2 排出管
7、9−1、9−2、9−3 流量制御ダンパー
10 エアーノズル
11 ファン
11−1 モータ
12 主機
13 補機
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるカーボンを主体とする粒状物質(Particulate Matter:以下「PM」と称する)や有害ガスを除去し、浄化する船舶用、発電用、産業用などの特に重油以下の低質燃料を使用する大排気量ディーゼルエンジンの排気ガス処理技術に係り、より詳しくは高い温度の排気ガスを排出する大排気量ディーゼルエンジンにおけるコロナ放電を利用した排気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種船舶や発電機並びに大型建機、さらには各種自動車等の動力源としてディーゼルエンジンが広範囲に採用されているが、このディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるPMは、周知の通り大気汚染をきたすのみならず、人体に極めて有害な物質であるため、その排気ガスの浄化は極めて重要である。このため、ディーゼルエンジンの燃焼方式の改善や各種排気ガスフィルタの採用、そしてコロナ放電を利用して電気的に処理する方法等、既に数多くの提案がなされ、その一部は実用に供されている。
【0003】
ここで、ディーゼルエンジンの排気ガス中のPM(粒状物質)の成分は、有機溶剤可溶分(SOF:Soluble Organic Fractions、以下「SOF」と称す)と有機溶剤非可溶分(ISF:Insoluble Organic Fractions、以下「ISF」と称す)の2つに分けられるが、そのうちSOF分は、燃料や潤滑油の未燃分が主な成分で、発ガン作用のある多環芳香族等の有害物質が含まれる。一方、ISF分は、電気抵抗率の低いカーボン(すす)とサルフェート(Sulfate:硫酸塩)成分を主成分とするもので、このSOF分およびISF分は、その人体、環境に与える影響から、極力少ない排気ガスが望まれている。特に、生体におけるPMの悪影響の度合いは、その粒子径がnmサイズになる場合に特に問題であるとも言われている。
【0004】
コロナ放電を利用して電気的に処理する方法としては、例えば以下に記載する方法及び装置(特許文献1〜5)が提案されている。
【0005】
即ち、特許文献1には、図12にその概略を示すように、排気ガス通路21にコロナ放電部22−1と帯電部22−2とからなる放電帯電部22を連設して、コロナ放電された電子29を排気ガスG1中のカーボンを主体とするPM28に帯電させ、同排気ガス通路21に配置した捕集板23で前記帯電したPM28を捕集する方式であって、放電帯電部22における電極針24は排気ガス流の流れ方向長さが短く、かつ捕集板23は排気ガス流の流れ方向に対し直角方向に配設された構成となしたディーゼルエンジンの排気ガス用電気式処理方法及び装置が提案されている。図中、25はシールガス管、26は高圧電源装置、27は排気ガス誘導管である。
【0006】
又、特許文献2には、図13にその概略を示すように、針先31−1の周りにコロナ放電35を起こして排気ガス中のPM33を帯電させるためのニードル電極31と、帯電したPM33を捕集するための捕集電極32と、前記ニードル電極31と前記捕集電極32との間に所定の直流高電圧を印加するための高圧直流電源34とを備えたディーゼルエンジンの排気PM捕集装置が提案されている。図中、36は偏向電極である。
【0007】
更に、特許文献3には、図14にその概略を示すように、排気経路中に設けたPM捕集用の収集電極対の一方を構成する固定円筒体41と、該固定円筒体41の中心部に軸方向に延設されて収集電極対の他方を構成する電極棒42と、前記収集電極対間に静電界を形成して排気ガス中のPMを前記固定円筒体41の内面に集積させる高電圧電源部43と、前記固定円筒体41の内面に沿って当該固定円筒体に対し相対回動して該固定円筒体内面に堆積したPMを掻き落とす掻き落とし部44を備えた排気ガス浄化装置が提案されている。図中、45は排気管、46は回転円筒部である。
【0008】
一方、特許文献4には、ディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMを帯電させる放電電極、及び帯電されたPMを捕集する集塵電極を有する電気集塵手段と、集塵電極に捕集されて滞留するPMを当該集塵電極から剥離させる手段と、集塵電極から剥離されたPMを分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段とを備えたディーゼルエンジン排ガス浄化装置が提案されている。
この装置は、図15にその一例を示すように、排ガスを横方向に流しながら処理するように構成されたもので、PMを捕集するための電気集塵部51と、分別捕集部としてのサイクロン52を備え、電気集塵部51は筒状ハウジング56の内周面に取付けた筒状金属体57と該筒状金属体の内周面に形成した凹凸部58とによって構成された集塵電極54と、この集塵電極54の軸線に沿って延びる主電極59と、この主電極59の長手方向に所定の間隔で配設された放射状に突出する電極針60の群とによって構成された放電電極55とを備え、サイクロン52は電気集塵部51を通過したガス流53の流れを旋回流に変換するガイドベーン61より下流側の部位に構成され、このサイクロン52の下流に該サイクロン内のガスを排出するための排気管62と、遠心分離されたPMを捕集するホッパー63が設けられている。64は集塵電極54に捕集されて滞留するPMを当該集塵電極から剥離させる剥離機構であり、例えば偏心による振動を発生する偏心モータ65で構成されている。66は排気管62内の排ガスをホッパー63の上部空間にリターンさせるための抽気管である。
即ち、上記構成の排ガス浄化装置は、電気集塵部51に流入した排ガス中のPMは、集塵電極54と放電電極55との間における放電によって帯電されてクーロン力によって集塵電極54に捕集され、捕集されたPMはガス流と共にガイドベーン61に流入し、ガイドベーン61より下流側の部位に構成されるサイクロン52によりPMが遠心分離され、遠心分離されたPMはホッパー63内に降下して捕集され、一方、浄化された排ガスは排気管62を介して外部に放出される仕組みとなしたものである。
【0009】
又、特許文献5には、自動車に搭載したディーゼルエンジンの排気ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置として、図16、図17に示すように帯電凝集部70を上流側に、フィルタ部80を下流側に配設して構成すると共に、帯電凝集部70のガス通路壁を筒状体71、71a等で形成し、又、ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の筒状体71fで低電圧電極の集塵電極を形成し、これらの筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極でコロナ電極を形成すると共に、前記ガス通路壁の筒状体を自然対流と熱放射による自然によりガスを冷却するガス冷却部として形成し、更に、前記ガス通路壁の筒状体、又は前記導電性の筒状体の内側表面近傍を流れるガス流に対して、乱流を促進する乱流促進手段71eを、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成するガス処理装置が示されている。図中、71cはガス入口室、71bはコロナ電極、71dはガス出口室である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2006/064805B号公報
【特許文献2】特開平9−112246号公報
【特許文献3】特開平6−173637号公報
【特許文献4】特開2006−136766号公報
【特許文献5】特許第4529013号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した従来のディーゼルエンジン排ガス浄化装置には、以下に記載する欠点がある。
即ち、前記特許文献1に記載されたディーゼルエンジンの排気ガス用電気式処理方法及び装置は、放電帯電部22における電極針24は排気ガス流の流れ方向長さが短くかつ捕集板23は排気ガス流の流れ方向に対し直角方向に配設され、又、排気ガス流が捕集板23に対し直接当接するので流過抵抗(圧力損失;圧損)が大きいこと、捕集板23が薄く排気ガス流の流れ方向長さが短いのでPMの素通りが危惧され、PM捕集効率を十分に高めることができない恐れがあること、一旦捕集板23を通過したPMは再度コロナ放電により帯電させて捕集されることがなくそのまま排出されてしまうことが危惧される、といった問題を有する。
なお、前記特許文献1には、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積・剥離を繰返すジャンピング現象を発現させて成長させ、この成長現象により排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共にPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流を選択的に抽出してサイクロンで捕集するという技術思想は開示も示唆もしていない。
【0012】
又、前記特許文献2に記載の排気PM捕集装置及び特許文献3に記載の排気ガス浄化装置は、放電電圧と捕集偏向電圧が同電位であるため両電圧をそれぞれの適正条件に設定することが難しいこと、偏向電極と捕集電極間のスパーク発生を防止するためにその間隔を大きくとらざるを得ないこと、又そのために捕集されずに捕集区間を素通りするPMが多くなり、捕集効率が低下すること、更に、捕集効率を上げるためには捕集部の容量を大きくとる必要があり、装置の大型化を余儀なくされ、小型軽量化が望まれる舶用部品としては不適当である、といった欠点を有する。
なお、前記特許文献2には、捕集電極32は排気の通り道となるトンネル状の電極とされ、捕集電極32のトンネル内にニードル電極31と偏向電極36との電極結合体が、トンネルと軸心を略共通にして配設され、太く長尺の電極結合体が管状捕集部のほぼ全長にわたり内挿されて格子状に形成され、と記載され、又、前記特許文献3には、実施例6の段落[0033]に「……固定円筒体41の中心線に沿って放電電極対及び収集電極対の各一方を構成する電極棒42が垂下され、……固定円筒体41の下部側面には径大な排気口が設けられ、排気口には下流側排気管45が嵌入……。」と、段落[0035]には「回転円筒部46は下部が径小な切頭円錐形状を有し……回転円筒部46の内面から上方に長尺のバー(掻き落とし部)44が立設しており、バー44の外縁は固定円筒体41の径大部の内面に接している。」と、段落[0036]には「……ディーゼルパティキュレートは、放電空間で電極棒42と固定円筒体41……との間のコロナ放電により……帯電したディーゼルパティキュレートは、……静電界に引かれて固定円筒体41の径大部の内面に堆積する。」と、記載され、更に段落[0037]には「回転円筒部46の回転とともに、バー44は固定円筒体41の径大部の内面に接して低速で回転し、径大部の内面に堆積したディーゼルパティキュレート層を落下させ、……落下したディーゼルパティキュレートは収集箱に集め、……除去することができる。」と記載されて管状捕集部が形成されてはいるが、特許文献3に記載されているものは、捕集電極を排気ガス流の流れ方向に長尺な固定円筒部(管状)とすると共に、管状捕集部の管軸方向に間隔を保持して電極針を設け、PMを排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積させ、堆積したPM粒子をバーにて掻き落とす技術であり、掻き落とされた時に飛散するPM粒子の一部は収集箱の手前に設けられた径大な排気口に嵌入された下流側排気管より排出されることが大いに危惧される技術である。
従って、特許文献2、3に記載された技術も、前記特許文献1に記載された技術と同様に、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら堆積・剥離を繰返すジャンピング現象を発現させて成長させ、この成長現象により排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共にPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流を選択的に抽出してサイクロンで能率よく捕集する技術思想は開示も示唆もしていない。
【0013】
一方、前記特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、電気集塵部51の集塵電極54や筒状ハウジング56の内周壁面(捕集管壁)に捕集されたPM粒子は大きな塊を形成し、このPM塊が自然剥離ないし機械的剥離機構により集塵電極54や捕集管壁を離脱して筒状ハウジング56内で混合され、この離脱して混合されたPM塊を排ガス中からサイクロン52において遠心分離してホッパー63に再捕集する方式であるが、この方式においては、筒状ハウジング56内に配設した全排ガス量の混合を伴うガイドベーン61によるサイクロン52に排ガスの全量を流してPMを遠心分離させるため、必然的に大型のガイドベーン61を配置した大型のサイクロン52が必要となり、設備コスト及びランニングコストが高くつくこと、又、構造的にサイクロン52を複数設置することができないため、運転エンジン台数の増減やエンジンの負荷率の大きな変動に伴う排気ガス流量の大幅な増減に対応できない上、サイクロン導入部の排ガス流速を適正に制御する手段を備えていないため高いPM捕集率を維持しかつサイクロンでの過大な圧損による燃費の悪化等の問題を解消することができない、といった欠点を有する。
なお、前記特許文献4においては、捕集板を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状とすると共に、管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら管状捕集部内面付近に堆積させサイクロンで捕集してはいるが、該特許文献4に記載された技術も、前記特許文献1〜3に記載された技術と同様に、排気ガス流のPMの粒径をサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共に排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの濃度を上昇させ、さらにこのPMの粒径が大径でかつ濃度が高濃度に濃縮した排気ガス流の管状捕集部内面付近の流れだけを選択的に抽出して集中的にサイクロンで捕集する技術思想は開示も示唆もしていない。
【0014】
更に、特許文献5に記載のガス処理装置は、車載用の小型のガス処理装置であって、帯電凝集部70を上流側に、フィルタ部80を下流側に配設して構成すると共に、帯電凝集部70に排気ガスを多数に分流するガス入口室71cを設けると共にガス通路壁を筒状体71fで形成しかつ該筒状体71fを外気に露出してガス通路壁である当該筒状体71fを自然対流と熱放射による自然放熱によりガスを冷却するガス冷却部として形成し、その後分流した排気ガスをガス出口室71dにて再混合させる装置に関する技術であり、管状捕集部から流出した排気ガスが、PM粒子の捕集工程以前に再混合されることのない技術(後述する本発明)とは異なる。この特許文献5に記載のガス処理装置は、筒状体71fの内表面又はその内表面の近傍にガス流れに対する乱流促進手段71eを設けて、特に筒状体の表面近傍にガスの乱流化を促進して、流路断面方向の攪拌作用を大きくしてしまう欠点を有する。
なお、この特許文献5に記載のものは、捕集壁を排気ガス流の流れ方向に長尺な管状の筒状体とすると共に該管状捕集部の管軸方向に電極針を設け、PM粒子を排気ガス流の流れ方向に流しながら該管状捕集部内面付近に堆積させて捕集しているものの、この特許文献5も、前記特許文献1〜4と同様に、排気ガス流のPMの粒径を下流側に設置されたサイクロンで捕集し易いように粗大化させると共に排気ガス流の管状捕集部内面付近のPMの濃度を上昇させ、更にこのPMの粒径が大径でかつPM濃度が高濃度の排気ガス流の管状捕集部内面付近の流れだけを選択的に抽出して集中的にサイクロンで捕集するという技術思想は開示も示唆もしていない。
【0015】
本発明は、上記した従来技術の欠点を解消するためになされたもので、特に全排ガス量が流れる通路内にガイドベーンを配設してサイクロンを構成する特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の方式に替えて、サイクロン方式の分別捕集手段を管状捕集部内ではなく管状捕集部の下流側に配設し、かつ該サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成する方式を採用することにより、サイクロンを小型化することができる上、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動などによる排気ガス流量の大幅な増減に応じてサイクロンを適正に選択使用することが可能であり、さらにサイクロン導入部の排ガス流速を適正に制御する手段を備えることにより、高いPM捕集率を維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題を解消することができるディーゼルエンジン排ガス浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極、及び帯電された前記PMを捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は前記管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に間隔配設された放射状に突出する複数本の電極針とによって構成された電気集塵手段と、前記管状捕集部から剥離したPMを分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、前記管状捕集部の下流側の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管を、同管状捕集部の下流側の内周面付近に高濃度排ガス導出部をそれぞれ設け、PMの高濃度排ガス導出部に前記PMを捕集するサイクロン捕集手段を連設するとともに、該サイクロン捕集手段を接線式サイクロンで構成し、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度を制御する仕組みとなすことを特徴とするものである。なお、低濃度排ガスとはPM含有量の少ない排ガス(浄化された排ガス)のことであり、高濃度排ガスとはPMを多く含む排ガスのことであることはいうまでもない。
【0017】
又、本発明装置は、前記サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、前記高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロンへ導入する方式となすことを特徴とするものである。
【0018】
本発明装置において、前記管状捕集部は、その下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部を有し、前記大径管状部の軸心付近に低濃度排ガス導出管と前記大径管状部の内周面付近に高濃度排ガス導出部が連設された構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0019】
更に、前記管状捕集部のテーパ管状部又は該テーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部の領域にまで放電電極を延長して設けた構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0020】
本発明装置は又、前記サイクロン捕集手段を、処理能力の異なる複数の接線式サイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることを好ましい態様とし、更に又、前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成となすことを好ましい態様とするものである。
【0021】
更に、本発明装置においては、前記管状捕集部がほぼ水平に配置されること、又は前記管状捕集部がほぼ垂直かつ上向きに配置されること、或いは前記管状捕集部がほぼ垂直かつ下向きに配置されることを好ましい態様とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、管状捕集部の外部でPMを遠心分離させる方式を採用したことにより、管状捕集部において排ガス中のPMが管状の捕集壁面に捕集されて塊状となり、このPM塊が管状の捕集壁面に付着と剥離を繰返しながら該管状の捕集壁面付近をPMが徐々に濃縮化されていくことによりPMを高濃度に含んだ排ガス流となって下流へ流れ、該管状捕集部内においてPMの高濃度排ガスと管状捕集部の軸心付近をPMが徐々に希薄化されていくことによりPMを低濃度にしか含有しない低濃度排ガスに分離され、PMの高濃度排ガスは管状の捕集壁面付近を、PMの低濃度排ガスは管状捕集部の軸心部付近をそれぞれ流れる現象が発生するので、PMが濃縮された高濃度排ガスのみを管状の捕集壁面付近からサイクロン捕集手段へ導くことができる。即ち、本発明装置によれば、全排ガス量に対しては一部ではあるがPMの高濃度排ガスのみをサイクロンへ導くことができるので、サイクロンを小型化できる。一方、PMが希薄化された低濃度排ガス(浄化された排ガス)は管状捕集部の下流側で軸心付近に連設されている低濃度排ガス導出管より外部へ放出される。
【0023】
又、本発明装置によれば、サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、高濃度排ガス導出部より排出されるPMの高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に該接線式サイクロンへ導入する方式となすことにより、ガイドベーンを配設した前記特許文献4に記載のディーゼルエンジン排ガス浄化装置の軸流式サイクロンと比較して捕集性能の優れた接線式サイクロンの「流入する流体の接線速度が速いと捕集効率が高くなる」という作用効果に加え、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動による排気ガス流量の大幅な増減に応じて接線式サイクロンの処理能力と台数を適正に選択することが可能となり、排ガス流量の変化に対応してPMの高い捕集率を確保することができる。更に、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度(接線速度)を適正に制御することができるので、PMの高い捕集率を維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題も解消することができる。
【0024】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は又、管状捕集部の下流側にテーパ状に拡径するテーパ管状部又は該テーパ管状部に連なる大径管状部を設けることにより、高濃度排ガス流がテーパ管状部により徐々に減速され、大径管状部の内周面に連設した高濃度排ガス導出部にPMを確実に導入させることができる。更に、管状捕集部のテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部領域の内周面付近にまで放電電極を延長して設けた構成とすることにより、より効果的にPMを捕集することができ、排ガスのさらなる浄化をはかることができる。
【0025】
更に本発明装置は、前記サイクロン捕集手段を、処理能力の異なる複数の接線式サイクロン、例えば小処理能力接線式サイクロン、中処理能力接線式サイクロン、大処理能力接線式サイクロンの3種類のサイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることにより、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の大きな変動による排気ガス流量の大幅な増減に応じて接線式サイクロンをより適正に選択使用することが可能となるのみならず、低濃度排ガス導出管に配設したダンパーと合わせて各接線式サイクロン毎に設けた流量制御ダンパーを制御することにより各接線式サイクロンへの排ガス流入速度をより適正に制御することが可能となる。又更に、前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成とすることにより、接線式サイクロン通過後の浄化ガス流が増速吸引され、当該排ガス浄化装置での圧損もより改善され燃費の向上に寄与する。
【0026】
本発明装置は又、前記管状捕集部をほぼ水平に配置した場合には、管状捕集部がエンジンが設置されている機関室の床面に対しほぼ一定の高さとなるので捕集管や放電電極等に対するメンテナンス時の作業性が良好となること、前記管状捕集部を前記床面に対しほぼ垂直かつ上向きに配置した場合には、該管状捕集部が煙突への排気管の配管を兼ねることができるので省スペースがはかられること、前記管状捕集部を前記床面に対しほぼ垂直かつ下向きに配置した場合には、落下するPMが捕集し易くなるのみならず、捕集壁面に付着したSOFやサルフェート等が液状化した場合、その液状成分が捕集壁面を流下し捕集し易い上、サルフェート等により腐食した重い酸化スケールが壁面から剥離し落下しても捕集し易いこと、等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施例装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例装置の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例装置の変形例の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図5】本発明の第4実施例装置の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【図6】図5のa−a線上の拡大断面図である。
【図7】本発明の第5の実施例装置の全体構成を一部省略して示す概略縦断面図である。
【図8】本発明装置におけるサイクロン捕集手段の他の実施例を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明装置における接線式サイクロン通過後の浄化ガスの増速吸引部を拡大して模式的に示す説明図で、(a)はエアーノズル方式、(b)はモータ駆動ファン方式をそれぞれ示す。
【図10】本発明装置における管状捕集部をほぼ垂直かつ下向きに配置した例を示す概略図である。
【図11】本発明装置における管状捕集部をほぼ垂直かつ上向きに配置した例を示す概略図である。
【図12】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の一例を示す概略縦断面図である。
【図13】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の他の例を示す概略縦断面図である。
【図14】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の別の例を示す概略縦断面図である。
【図15】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の更に別の例を示す概略縦断面図である。
【図16】従来のディーゼルエンジン排ガス処理装置の更に別の例を一部破断して示す概略縦断面図である。
【図17】図16に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に本発明の第1の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、大きく分けて電気集塵手段を構成する管状捕集部1と分別捕集手段を構成する分別捕集部2とからなり、PM粒子を捕集するために設ける管状捕集部1は、集塵電極を構成する所定長さの、捕集壁面1−1kを有する捕集管1−1と排ガス中に含まれるPMに帯電させる放電電極1−2とを備えている。集塵電極を構成する捕集管1−1には、上流側(ディーゼルエンジン側)の端部に排ガス導入口1−1aを有し、下流側の端部の軸心付近にPMの低濃度排ガス導出管3を、下流側の端部の内周面付近にPMの高濃度排ガス導出部1−1bをそれぞれ連設している。放電電極1−2は、集塵電極を構成する捕集管1−1の軸心付近をほぼ全長にわたって延びる主電極1−2aと、該主電極1−2aの長手方向に所望の間隔で配設された放射状に突出する電極針1−2bの群とによって構成されている。このように構成された放電電極1−2は、捕集管1−1の排ガス導入口1−1a側に設けたシールエアー導入管部1−1cと、低濃度排ガス導出管3の入口部位に設けたシールエアー導入管部3−1に垂設した支持体4を介して主電極1−2aの両端部が支持されている。なお、図示しないが、放電電極1−2は必要に応じ捕集管1−1の内部より絶縁されたステーにより所望間隔を有して支持されている。又、放電電極1−2は外部に設置された高圧電源装置(図示せず)に配線されて制御された高圧電源の供給を受けている。
【0029】
前記排ガスの流れ方向における管状捕集部1の下流側に設けられた分別捕集部2は、分別手段としてのサイクロン捕集手段2−1により構成されている。このサイクロン捕集手段2−1は、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに連通管5−1を介して接続された1台の接線式サイクロン2−1aで構成され、さらに該接線式サイクロン2−1aと前記低濃度排ガス導出管3との間に、接線式サイクロン2−1a通過後の浄化ガスを低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガスに合流させるための排出管6−1を配設している。又、前記低濃度排ガス導出管3には、接線式サイクロン2−1aへの高濃度排ガス流入量及び流入速度と低濃度排ガス放出量の流量調整を行うための流量制御ダンパー7を設けている。
なお、図1の鎖線部は、舶用ディーゼルエンジンにおける主機12と補機13の組合せを例示したものである。この舶用ディーゼルエンジンの場合、エンジン運転は主機12と補機13の並列運転及び各々単独運転があると共に各エンジンの負荷も大きく変動するため排気ガス流総量が大幅に変動する。又、大排気量エンジンの場合、前記前記捕集管1−1を複数並設(図面省略)する場合もある。
【0030】
図2に本発明の第2の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、サイクロン捕集手段2−1を2台の接線式サイクロン2−1aで構成した以外は前記第1の実施例装置と同様の構成を有するものである。即ち、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに連通管5−1、5−2を介して2台の接線式サイクロン2−1aを並列的に接続してサイクロン捕集手段2−1を構成するとともに、この場合も各接線式サイクロン2−1a通過後の浄化ガスをそれぞれ低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガスに合流させるための排出管6−1、6−2を配設している。
【0031】
上記図1、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置において、排ガス導入口1−1aより捕集管1−1内に流入した排ガス中のPMは、集塵電極を構成する当該捕集管1−1の内壁である捕集壁面1−1kと放電電極1−2との間における放電によって帯電されるので、帯電されたPM粒子はクーロン力によって捕集壁面1−1kに捕集される。捕集管1−1の捕集壁面1−1kに捕集されたPM粒子には時間の経過と共に軸心付近の排気ガス流から捕集されたPM粒子が更に堆積されて次第に成長して塊状となり、このPM塊が排気流による剥離と放電(帯電)に伴うクーロン力による管状の捕集壁面1−1kへの再付着を繰返しながら捕集壁面の近傍を濃縮されながら流れていくことによりPMを高濃度に含んだ排ガス流となると同時に、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を流れる排ガス中のPMは捕集壁面1−1kに捕集されて次第に希薄化されて低濃度にしかPMを含まない排ガス流となって下流へ流れていく。即ち、排ガス導入口1−1aより捕集管1−1内に流入した排ガスは、管状捕集部1を流下する過程においてPMの高濃度排ガス流と低濃度排ガス流に分離され、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1kの近傍を高濃度排ガス流が、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を低濃度排ガス流となって捕集管1−1の下流へ流れていく。そして、図1に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流において、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1k近傍を流れてきたPMの高濃度排ガス流は、該捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bより連通管5−1を介して接線式サイクロン2−1aに導入されてPMが遠心分離され、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1内壁の捕集壁面1−1k近傍を流れてきた高濃度排ガス流は、該捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bより連通管5−1、5−2を介して2台の接線式サイクロン2−1aに導入されてPMが遠心分離される。一方、捕集管1−1のほぼ軸心部付近を流れるPMの低濃度排ガス流は、図1、図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置共に該捕集管1−1のほぼ軸心部付近に設置された低濃度排ガス導出管3を通して外部へ放出される。又、前記接線式サイクロン2−1aで浄化された排ガス流は、それぞれ排出管6−1、6−1及び6−2を介して低濃度排ガス導出管3内を流れる低濃度排ガス流に合流される。
なお、サイクロン捕集手段2−1を2台の接線式サイクロン2−1aで構成した図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、高濃度排ガス導出部1−1bより排出される高濃度排ガス流の流量に応じて使用する台数を設定すればよく、又、2台の接線式サイクロン2−1aを交互に使用することもできる。
【0032】
上記のように、図1、図2に示す本願発明のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、PMの高濃度排ガスのみ(全排ガス量の一部)をサイクロンへ導くことができるので、小型のサイクロンで効率よくPMを捕集・分別回収することができる。
【0033】
次に、図3に第3の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、管状捕集部1の集塵電極を構成する捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eを形成し、前記大径管状部1−1eの軸心部付近に低濃度排ガス導出管3と内周面付近に高濃度排ガス導出部1−1bを連設した構成とした以外は、前記図1又は図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置と同様の構成を有するものである。かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流側端部において、高濃度排ガス流がテーパ管状部1−1dにより徐々に減速され、大径管状部1−1e内周面付近に連設した高濃度排ガス導出部1−1bにPMを確実に導入させることができる。なお、放電電極1−2の電極針1−2bは、捕集管1−1の下流側端部のテーパ管状部1−1bにまで連続して設けると更に好ましい。
【0034】
又、上記図3に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置において、図4に示すように捕集管1−1を下向きに垂直配置とした場合には、大径管状部1−1eの底壁面1−1e´を図示のように連通管5−1側へ下降傾斜させる。かかる手段をこうじるのは、落下したSOF、サルフェート等の液状成分をサイクロン側へ流下させて捕集し易くするためと、捕集管1−1内面の捕集壁面1−1kがPMやサルフェート等により腐食して酸化スケール(金属酸化スケール等)が発生した場合に、該捕集壁面1−1kから剥離した前記酸化スケールも捕集し易くするためである。
【0035】
又、図5、図6に第4の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、管状捕集部1の集塵電極を構成する捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eを形成し、前記大径管状部1−1eの軸心部付近に低濃度排ガス導出管3と内周面付近に高濃度排ガス導出部1−1bを連設した構成とし、更に前記テーパ管状部1−1dと該テーパ管状部に連なる大径管状部1−1eの領域にまで放電電極1−2及び電極針1−2bを延長して設けた構成とした以外は、前記図1又は図2に示すディーゼルエンジン排ガス処理装置と同様の構成を有するものである。なお、図中の1−2cは、複数に分岐された放電電極1−2の各々を支持する支持リングである。
かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置の場合は、捕集管1−1の下流側端部において、高濃度排ガス流がテーパ管状部1−1dにより徐々に減速されるのでより効果的にPMを捕集することができるのみならず、大径管状部1−1eに流入してからもPM塊が成長してサイクロン捕集手段2−1での捕集効率をより高めて排ガスの更なる浄化をはかることができる。
【0036】
更に、図7に第5の実施例装置として示すディーゼルエンジン排ガス処理装置は、捕集管1−1の手前に排ガス導入室1−1f、及び前記排ガス導入室1−1fと捕集管1−1との間に絞り部1−1gとテーパ拡径部1−1hを設けると共に、前記絞り部1−1gとテーパ拡径部1−1hにも電極針1−2bを設け、前記排ガス導入室1−1fへの排ガス導入口1−1aと、シールエアー導入室1−1iへのシールエアー導入口1−1jを、それぞれ対向させて設けた構成となしたものである。
かかる構成のディーゼルエンジン排ガス処理装置において、捕集管1−1の長さをL、捕集管1−1の内径をDとした場合、3D≦L≦15D、好ましくは5D≦L≦10Dの条件を満足させるのが好ましい。その理由は、3D未満では排ガスの流れが整流しきれずに乱れがおさまりきれないので、捕集壁面1−1k部でのPMの濃化が促進されず、他方、15Dを超えると濃化の程度に差がなく、装置の大型化を招きスペース効率が悪化するためである。又、好ましい条件として5D≦L≦10Dとしたのは、5D以上であれば流れは特によく整流されて捕集壁面1−1k部付近へのPMの濃化が安定し、10D以内で濃化の程度に差が少なくなり実用上の効果が得られるので装置の大型化を抑制できるためである。なお、各部の寸法の一例を具体的に示すと、捕集管1−1の長さLは3m、捕集管1−1の内径はφ400mm、絞り部1−1gの長さは375mm、絞り部1−1gの内径はφ220mm、テーパ拡径部1−1hのテーパ角θは30度である。
更に、排ガス導入口1−1aより排ガス導入室1−1fへ流入された排ガスは、絞り部1−1gを経由することによりテーパ拡径部1−1hを経た排ガス流の乱れが抑制されてガス流れが速やかに安定化して捕集管内壁の捕集壁面1−1kでの濃化と捕集管軸心付近での希薄化が促進される。しかも絞り部1−1gにおいては、電極と粒子間距離が短いので全粒子を確実に帯電させることができて粒子を捕集管内壁の捕集壁面1−1kに付着させて捕集性能の向上がはかれる。なお、排ガスを対向させて排ガス導入室1−1fへ流入させることとしたのは、対称的に捕集管1−1へ流入させることにより排ガス流の流れのバランスが取れて排ガス流の乱れが少なくなって速やかに整流され、短い軸方向長さの流れでありながら良く整流されて好ましいからである。又、電極に対するシールエアーも対向させてシールエアー導入室1−1iに流入させると同様に好ましい。
【0037】
次に、図8に示すサイクロン捕集手段は、処理能力の異なる複数の接線式サイクロン、例えば小処理能力接線式サイクロン2−1b、中処理能力接線式サイクロン2−1c、大処理能力接線式サイクロン2−1dの3種類のサイクロンで構成したもので、捕集管1−1の高濃度排ガス導出部1−1bに放射状位置に接続した連通管8−1、8−2、8−3を介して各接線式サイクロン2−1b、2−1c、2−1dを接続し、前記各連通管8−1、8−2、8−3の高濃度排ガス導入口に流量制御ダンパー9−1、9−2、9−3を設けた構成となしたものである。
このように処理能力の異なる複数の接線式サイクロンでサイクロン捕集手段を構成した場合には、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率に応じて変化する排気ガス流量に対応して各接線式サイクロンをより適正に選択使用することが可能となるのみならず、低濃度排ガス導出管3に配設したダンパーと合わせて各接線式サイクロン毎に設けた流量制御ダンパー9−1、9−2、9−3を制御することにより各接線式サイクロンへの排ガスの流入接線速度をより適正に制御することが可能となり、高い捕集効率を広いエンジン負荷率の範囲等において確保、維持することができる。
【0038】
又、図9(a)(b)に示すように接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるために配設した排出管6−1に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを増速吸引するためのエアーノズル10又はモータ11−1にて駆動されるファン11を設置することにより、接線式サイクロン通過後の浄化ガス流に運動エネルギーが付与されて増速吸引され、当該排ガス浄化装置での圧損もより小さくなるよう改善されて燃費を向上させることができる。
【0039】
更に又、図10、図11はそれぞれ本発明装置における管状捕集部1、例えば図3〜図5に示す捕集管1−1の下流側端部にテーパ状に拡径する1−1eを有する管状捕集部1を機関室床面に対しほぼ垂直に配置した場合を例示したもので、図10は前記管状捕集部1をほぼ垂直かつ下向きに配置した例、図11は前記管状捕集部1をほぼ垂直かつ上向きに配置した例をそれぞれ示す。ここで、図10に示すように管状捕集部1をほぼ垂直かつ下向きに配置した場合には、該管状捕集部1が煙突(図示せず)への排気管の配管を兼ねることができるので省スペースがはかられる利点がある。一方、図11に示すように管状捕集部1を垂直かつ上向きに配置した場合には、落下するPMが捕集し易くなるのみならず、捕集壁面に付着したSOFやサルフェート等が液状化した場合、その液状成分が捕集壁面を流下し捕集し易い上、サルフェート等により腐食した重い酸化スケールが壁面から剥離し落下しても捕集し易い利点がある。なお、管状捕集部1をほぼ水平に配置した場合には、管状捕集部1がエンジンが設置されている機関室の床面に対しほぼ一定の高さとなるので捕集管や放電電極等に対するメンテナンス時の作業性が良好となる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係るディーゼルエンジン排ガス浄化装置は、予めPMが濃縮されて高濃度化された全排ガス量の一部の流れをサイクロンへ導入して排ガスを浄化する方式であるから、サイクロンを小型化できる上、サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、高濃度排ガス導出部より排出されるPMの高濃度排ガス流を当該排ガスの流量に応じて選択的に該接線式サイクロンへ導入する方式となすことにより、軸流式サイクロンより捕集性能の優れた接線式サイクロンの作用効果に加え、舶用エンジンにおける主機及び補機の並列運転や単独運転に伴う運転状況の変化やエンジンの負荷率の変動に伴う排気ガス流量(流速)の大幅な増減に応じて接線式サイクロンの処理能力と台数とのバランスを取りながら適正に選択することが可能となり、排ガス流量の各変化に対応してPMの高い捕集率を確保、維持することができ、又、低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガスの流入接線速度を適正に制御することができるので、PMの高い捕集率を確保、維持しかつ当該排ガス浄化装置での過大な圧損による燃費の悪化等の問題も解消することができる等、多くの優れた効果を奏することから、舶用、車両用、産業用等の各種用途の重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジン排ガスの浄化処理に大きく寄与する。
【符号の説明】
【0041】
1 管状捕集部
1−1 捕集管
1−1a 排ガス導入口
1−1b 高濃度排ガス導出部
1−1c シールエアー導入管部
1−1d テーパ管状部
1−1e 大径管状部
1−1f 排ガス導入室
1−1g 絞り部
1−1h テーパ拡径部
1−1i シールエアー導入室
1−1j シールエアー導入口
1−1k 捕集壁面
1−2 放電電極
1−2a 主電極
1−2b 電極針
1−2c 支持リング
2 分別捕集部
2−1 サイクロン捕集手段
2−1a 接線式サイクロン
2−1b 小処理能力接線式サイクロン
2−1c 中処理能力接線式サイクロン
2−1d 大処理能力接線式サイクロン
3 低濃度排ガス導出管
3−1 シールエアー導入管部
4 支持体
5−1、5−2、8−1、8−2、8−3 連通管
6−1、6−2 排出管
7、9−1、9−2、9−3 流量制御ダンパー
10 エアーノズル
11 ファン
11−1 モータ
12 主機
13 補機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は前記管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に間隔配設された放射状に突出する複数本の電極針とによって構成された電気集塵手段と、前記管状捕集部から剥離した粒状物質を分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、前記管状捕集部の下流側の軸心付近に粒状物質の低濃度排ガス導出管を、同管状捕集部の下流側の内周面付近に高濃度排ガス導出部をそれぞれ設け、粒状物質の高濃度排ガス導出部に前記粒状物質を捕集するサイクロン捕集手段を連設するとともに、該サイクロン捕集手段を接線式サイクロンで構成し、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度を制御する仕組みとなすことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項2】
前記サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、前記高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロンへ導入する方式となすことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項3】
前記管状捕集部は、その下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部を有し、前記大径管状部の軸心付近に低濃度排ガス導出管と同大径管状部の内周面付近に高濃度排ガス導出部がそれぞれ連設された構成となすことを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項4】
前記管状捕集部のテーパ管状部又は該テーパ管状部に連なる大径管状部の領域にまで放電電極を延長して設けた構成となすことを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項5】
前記管状捕集部がほぼ水平に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項6】
前記管状捕集部がほぼ垂直かつ上向きに配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項7】
前記管状捕集部がほぼ垂直かつ下向きに配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項8】
前記サイクロン捕集手段は、処理能力の異なる複数の接線式サイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項9】
前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成となすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項1】
重油以下の低質燃料を使用するディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる粒状物質に帯電させる放電電極、及び帯電された前記粒状物質を捕集する集塵電極を構成する所定長さの管状捕集部を有し、かつ前記放電電極は前記管状捕集部内に管軸方向に配設された主電極と該主電極に間隔配設された放射状に突出する複数本の電極針とによって構成された電気集塵手段と、前記管状捕集部から剥離した粒状物質を分別して捕集するサイクロン方式の分別捕集手段を備えたディーゼルエンジン排ガス処理装置において、前記管状捕集部の下流側の軸心付近に粒状物質の低濃度排ガス導出管を、同管状捕集部の下流側の内周面付近に高濃度排ガス導出部をそれぞれ設け、粒状物質の高濃度排ガス導出部に前記粒状物質を捕集するサイクロン捕集手段を連設するとともに、該サイクロン捕集手段を接線式サイクロンで構成し、前記低濃度排ガス導出管に配設したダンパーの開度を制御することにより前記接線式サイクロンへの排ガス流入速度を制御する仕組みとなすことを特徴とするディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項2】
前記サイクロン捕集手段を複数の接線式サイクロンで構成し、前記高濃度排ガス導出部より排出される高濃度排ガスを当該排ガスの流量に応じて選択的に前記接線式サイクロンへ導入する方式となすことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項3】
前記管状捕集部は、その下流側端部にテーパ状に拡径するテーパ管状部と該テーパ管状部に連なる大径管状部を有し、前記大径管状部の軸心付近に低濃度排ガス導出管と同大径管状部の内周面付近に高濃度排ガス導出部がそれぞれ連設された構成となすことを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項4】
前記管状捕集部のテーパ管状部又は該テーパ管状部に連なる大径管状部の領域にまで放電電極を延長して設けた構成となすことを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項5】
前記管状捕集部がほぼ水平に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項6】
前記管状捕集部がほぼ垂直かつ上向きに配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項7】
前記管状捕集部がほぼ垂直かつ下向きに配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項8】
前記サイクロン捕集手段は、処理能力の異なる複数の接線式サイクロンで構成するとともに、各接線式サイクロンの導入口に流量制御ダンパーを設けることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【請求項9】
前記接線式サイクロンと低濃度排ガス導出管との間に、接線式サイクロン通過後の浄化ガスを前記低濃度排ガスと合流させるための排出管を配設するとともに、該排出管にエアーノズル又はモータ駆動ファンを配置した構成となすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のディーゼルエンジン排ガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−107556(P2012−107556A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256160(P2010−256160)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000120249)臼井国際産業株式会社 (168)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000120249)臼井国際産業株式会社 (168)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]