説明

デジタルコンテンツをブロードキャストする方法、この方法を実行するためのネットワークおよび端末

デジタルコンテンツをブロードキャストする方法であって、このコンテンツがターゲットの人々にアクセス可能にされるように期日が決定され、この方法は、前記期日前にデジタルコンテンツを記憶メモリにブロードキャストし、権利のデジタル管理用のツールが前記コンテンツへのアクセスを防止することと、前記期日に通信端末へ、前記コンテンツへのアクセス権を有効にするためのコマンドをブロードキャストすることとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の技術分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細にはデジタルコンテンツの配信を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な場合において、ターゲットの視聴者に情報をブロードキャストする期日を課すことが望ましい。
【0004】
本明細書では、「情報」とは、いかなるテキストおよび/または音声および/または映像データのことも指し、このデータは商業用目的、娯楽用目的、科学的目的、技術的目的、または他の目的のためのものである。
【0005】
こうした状況のいくつかの例を以下に記載する。
【0006】
新しい映画または新しい歌は、アーティストまたはそのプロデューサによって選択された期日前に視聴者にアクセスできるものであってはならない。広告キャンペーンは、このような場合に、発表された期日まで秘密のままである新しい商品への高まる関心を引き上げることができる。したがって、バズマーケティング手法を使用し、この商品の発売に寄せられる注目が最大限にされることが可能である。ブログ、フォーラム、およびウェブサイトにより、潜在的な顧客の間で、まだ入手できないが、その公開の日時は広く宣伝されている新しい商品への関心および興味を築き上げることが可能になる。
【0007】
法的情報または規制情報は、一般に指定期日に関連する人々のすべてにアクセス可能にされる。詳細には、株式公開企業の財務報告、国家経済に関する統計、ならびに特許および特許出願について同じことが当てはまる。
【0008】
通信社またはジャーナリストなど情報の提供者は、所定の期日前に情報を公開することを契約上または法律上、禁じられている場合がある。
【0009】
深刻な事態が発生する場合、広く配信されるプレスリリースが、重要な情報が特定の期日に伝えられる、または入手可能になることを明言することができる。
【0010】
このような状況が発生するときは常に、予定日における情報の需要は最大となる。したがって、情報の提供者には、要求に応じられないという危険がある。
【0011】
情報が電子的に公開されるときは常に、過剰な数のダウンロード要求がサーバの動きを妨げる可能性がある。情報が大きなデジタルファイル(映像など)であるときは常に、ネットワークの容量が、要求時のスパイクに対処するには不十分であることが判明する可能性がある。
【0012】
情報が移動体通信端末(PDA、スマートフォン)で利用できるときは常に、過負荷の危険はさらに大きい。1995年には、米国に3400万人の携帯電話加入者がいた(セルラ通信およびインターネット協会の統計値)。現在、米国における携帯電話加入者の数は、1億1600万人と推定されている。
【0013】
過負荷が発生した場合、情報が一部に不均一にブロードキャストされる危険がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、決められた、所定の期日にデジタル情報をブロードキャストするための方法を開示することによって、こうした技術的問題を改善することを目的とし、この方法は、デジタルファイルのサイズおよびこのデジタル情報にアクセスするためにネットワークによって提供されるビットレートとは無関係に、この情報への均一なアクセスを保証する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
こうした目的のために、本発明は、第1の態様によれば、デジタルコンテンツをブロードキャストするための方法に関し、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされるように期日が決定され、この方法は、前記期日の前にデジタルコンテンツを記憶メモリにブロードキャストし、デジタル権利管理ツールがコンテンツへのアクセスを防止することと、前記期日に通信端末へ前記コンテンツへのアクセス権を開放するコマンドをブロードキャストすることとを含む。
【0016】
有利には、権利を開放するためのコマンドは、電子番組ガイドに送信され、例えばデジタルコンテンツは、ビデオオンデマンドサービスからの映像である。
【0017】
有利には、デジタルコンテンツの少なくとも一部は、インターネットを介して、またはマイクロ波もしくは衛星によって配信される。
【0018】
変形形態において、または組合せにおいて、デジタルコンテンツの少なくとも一部は、移動体通信網を介して配信される。
【0019】
1つの実施形態では、記憶メモリはホーム中継ノードまたはゲートウェイ(住居用ゲートウェイ)内にある。
【0020】
別の実施形態では、記憶メモリは、通信端末内にある。
【0021】
1つの実施形態では、この方法はさらに、通信端末によりデジタルコンテンツを、受信する可能性のある端末のすべてに向けたそのデジタルコンテンツの送信と表示同期することを含む。
【0022】
有利には、前記データの前にブロードキャストされるデジタルコンテンツは暗号化され、このコンテンツにアクセスする権利を開放するためのコマンドは、暗号解読キーを含む。
【0023】
第2の態様によれば、本発明は、デジタルコンテンツをブロードキャストする電気通信ネットワークに関し、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされる期日が決定され、このネットワークは、前記期日の前にデジタルコンテンツを記憶メモリにブロードキャストするための手段と、コンテンツへのアクセスを防止するデジタル権利管理ツールとを含み、さらにこのネットワークは、通信端末へ、前記期日に前記コンテンツへのアクセス権を開放するコマンドをブロードキャストするための手段を含む。
【0024】
第3の態様によれば、本発明は、デジタルコンテンツを受信するための通信端末に関し、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされる期日が決定され、この端末は、前記期日前にデジタルコンテンツを受信するための手段、およびコンテンツへのアクセスを防止するデジタル権利管理ツールを含み、さらにこの端末は、前記コンテンツを保存するための記憶メモリと、前記期日に、前記コンテンツへのアクセス権を開放するコマンドを受信するための手段とを含む。
【0025】
本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照して行われる、現在の好ましい実施形態についての以下の説明を読んで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】デジタルアセンブリ装置など、個人の加入者機器を有する好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図示した実施形態では、ユーザは、デジタルアセンブリ装置(セットトップボックス)など、個人の加入者機器1(CPE Customer Premise Equipment)を有する。
【0028】
この機器1は、メモリ2、有利にはキャッシュメモリを有する。
【0029】
1つの実施形態では、キャッシュメモリはホーム中継ノードまたはゲートウェイ(住居用ゲートウェイ)内にある。
【0030】
この機器1は、視聴モニタ3、例えばコンピュータ画面またはテレビに接続されている。
【0031】
メディアコンテンツは、期日T1にコンテンツデータベース4から機器1へ送信される。
【0032】
このデータは、有線または無線により、また適切な場合は一部インターネットにより、配信されることが可能である。
【0033】
期日T1は、コンテンツがユーザにアクセス可能となる期日T2とは異なる。デジタル権利管理ツール5は、配信されてメモリ2に保存されたコンテンツが読み取られることを防止する。
【0034】
一般公開の期日T2には、権利を開放するためのコマンドが機器に送信される。このコマンドは、サービスプロバイダ6から届く。
【0035】
1つの実施形態では、メディアコンテンツがビデオオンデマンドであるときは常に、電子番組ガイド7によりユーザは次の情報に気づくようになる:
− 現在映像が受信されています。
− 映像は期日T2からアクセス可能になります。
− 映像が完全に受信され、ローカルメモリに保存されています。
【0036】
1つの実施形態では、保存されたコンテンツの暗号化は、サービスプロバイダから送信された暗号解読キーを入力することによってユーザにより解除される。メッセージにより、この暗号解読キーが受領されたことをユーザに知らされる。
【0037】
1つの有利な実施形態では、デジタルコンテンツはテレビ番組である。あるテレビ番組がすべての視聴者に同時にブロードキャストされるとき、ネットワークの負荷が過度に大きくなることが判明する可能性がある。この方法は、番組の配信とその公開を事前に切り離すことによって、この問題を改善することができる。より詳細には、テレビ番組は、必ずしもユーザに知らされることなくユーザに配信され、この番組は、例えば住居用ゲートウェイの中のキャッシュメモリに保存される。番組の配信は、通常の配信チャネルによって実行されるとは限らない。例えば、番組は、無線または衛星手段によってキャッシュメモリに届く場合がある。受信されたコンテンツは、有利には暗号化される。このテレビ番組は、暗号解読キーを送信することによって、利用可能にされる。この番組が放送されるとき、ユーザがこの番組の視聴を選択するときは常に、キャッシュメモリにローカルに保存された番組をローカルで表示することと、放送される番組の受信との間で同期が行われる。したがって、ユーザは、このテレビ番組が伝統的な方法で届いていると感じる。したがって、デジタルコンテンツの伝送時間と公開との分離は、ユーザには見えない。
【0038】
本発明は、いくつかの利点を有する。
【0039】
第一に、最も人気のあるデジタルコンテンツ、すなわち非常に当たるであろうと期待されるか予測されるデジタルコンテンツは、ネットワークまたはサーバが過度のダウンロード要求数により飽和状態になるという危険を冒すことなく、ユーザに公開されることが可能である。例えば、メディアコンテンツ(映画、映像、クリップ、歌)は、夜など、ネットワークがあまり使用されていないとき、ユーザまたは見込み購入者の端末に配信される。
【0040】
ユーザがペイパービュー映像など、非常に当たると予想される映像を購入することを決断する場合、ユーザは単にこの情報をいつでもVoD(Video on Demand)プラットフォームへ送信すればよく、映像はユーザの自宅に保存されており、後日公開されることになる。
【0041】
サービスプロバイダは、ユーザ機器内の記憶メモリ、およびデジタル権利管理ツールの制御を行う。サービスプロバイダは、前もってメモリに保存されたコンテンツの中からデジタル権利管理ツールへデジタルコンテンツを公開するためのコマンドを送信するサービスプロバイダである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルコンテンツをブロードキャストする方法であって、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされる期日が決定され、
前記期日前にデジタルコンテンツを記憶メモリに配信し、デジタル権利管理ツールが前記コンテンツへのアクセスを防止することと、
前記期日に通信端末に前記コンテンツへのアクセス権を開放するためのコマンドを配信することと
を含む、方法。
【請求項2】
権利を開放するためのコマンドが、電子番組ガイドに送信されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
デジタルコンテンツの少なくとも一部が、インターネットを介して、または無線放送もしくは衛星放送によって配信されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
デジタルコンテンツの少なくとも一部が、移動体通信網を介して配信されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
記憶メモリが通信端末の内部にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
通信端末によりデジタルコンテンツを、受信する可能性のある端末のすべてに向けたこのデジタルコンテンツの送信と表示同期することをさらに含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記期日前に配信されるデジタルコンテンツが暗号化され、前記コンテンツにアクセスする権利を開放するためのコマンドが暗号解読キーを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
デジタルコンテンツをブロードキャストする電気通信ネットワークであって、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされる期日が決定され、
前記期日前に、デジタル権利管理ツールが前記コンテンツへのアクセスを防止するようにして、デジタルコンテンツを記憶メモリにブロードキャストする手段と、
前記期日に通信端末に、前記コンテンツへのアクセス権を開放するためのコマンドをブロードキャストする手段と
を含む、ネットワーク。
【請求項9】
デジタルコンテンツを受信するための通信端末であって、このコンテンツがターゲット視聴者にアクセス可能にされるように期日が決定され、
前記期日前に、前記コンテンツへのアクセスを防止するデジタル権利管理ツールを用いて、デジタルコンテンツを受信するための手段と、
前記コンテンツを保存するための記憶メモリと、
前記期日に、前記コンテンツにアクセスする権利を開放するためのコマンドを受信するための手段と
を含む、端末。

【図1】
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【公表番号】特表2011−517251(P2011−517251A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504504(P2011−504504)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050633
【国際公開番号】WO2009/136087
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】